米IEEEの高周波基準改悪策動頓挫!

SAR(吸収比)を12倍甘くするなどの大幅改悪案に反対意見多く出る

□米連邦政府筋が基準緩和に難色
 IEEE(米国電気電子技術者協会)内に設置されたICES(電磁波の安全に関するIEEE国際委員会)は、高周波(ラジオ波/マイクロ波)の人体曝露基準を大幅に緩和し業界や軍関係に都合よくしようと動いていたが(会報13号22ペ-ジ参照)、意見がまとまらず改悪の動きは止まった。
 米連邦政府代表は「現行基準の主要部分を緩和することを支持しない」という立場を明らかにしたが、一方国防総省の下で働いていたり関係するメンバ−は懲りずに基準緩和を支持しており、意見は分かれた。

□明暗分けた2回の会合
 ICESは「SCC-28」として知られている小委員会で議長はエレノア・アデア博士だ。彼女はテキサス州サンアントニオにあるブルック空軍基地に勤務していて最近そこを辞めたが常に空軍に有利に動く立場の人物だ。2001年9月にICES内の作業部会で基準緩和草案は提出されたが、今年1月10〜11日にフロリダ州フォ−ト・ロ−ダデ−ルで開催された作業部会では草案の主要部分の多くが反対意見が多く拒絶された。しかし、その1週間後にテキサス州サンアントニオで開かれた小委員会4(SC-4)はICESと作業部会の中間の組織だが、そこでは前週と異なり草案の主要部分は支持された。

□基準緩和草案の中身は
 今回の草案は、現行の 「労働環境基準」と「一般環境基準」の二本建てなのを5倍甘い基準の「労働環境基準」に一本化にすることと、測定方法も現行の組織1g当たりを組織10g当たりに変更しようというものだ。日本で採用している組織10g当たりは組織1g当たりより約3倍弱甘くなる。総合すると現行より草案だと約12倍基準は緩和する。

□意見不一致の原因は
 二つの会合が別々の結論となったのは政府の健康部門省庁を代表する人たちがフォ−ト・ロ−ダデ−ルの会合には出席しサンアントニオの会合には出なかったからだ。政府健康部門省庁は、業界や空軍と違って「現行基準は悪くない」と考えている。
 いずれにしても業界や軍関係者のドス黒い意図は頓挫した。


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