台湾の元「慰安婦」裁判を支援する会
台湾の元「慰安婦」裁判を支援する会 1999.12.26
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原告ふたりの意見陳述書


原告  林沈中

   一
私は、台湾の花連の被害者の代表として今日、この裁判に来ました。

私は民国19年生まれで、今年で70歳になります。

私には3人の兄がいました。一番上の兄は海軍の軍属で戦死しました。2番目の兄は 台湾の兵隊でした。3番目の兄は飛行機を作る工場にいました。

   二
ある日タキムラ部長が私のお父さんとお母さんのところに来て、私を日本軍の倉庫部 隊に働きに行かせるようにいいました。タキムラ部長は、そこで働けば1ケ月10円がも らえると言っていました。

3人の兄がいずれも家を出ていたため、私の家には稼ぎ手がいませんでした。それで、 お父さんとお母さんは私を働きに行かせることを承諾しました。

   三
始めは私を入れて4人の女性がいました。その後10数名まで増えましたが、何人も の人が死に結局戦争が終わったときには6名しか残っていませんでした。戦後さらに2人 の人が死にいまでは4人しか生き残っていません。

私達は、最初そこでボタン付けの仕事などをやらされました。また、1週間に2、3回 は家に帰ることができました。

しかし、2、3ヵ月ぐらいたつと、家に帰るのは遠くて大変だからなどと言われ、家に 帰ることができなくなりました。

また、その頃、ナリタ軍曹にトンネルに連れて行かれ、兵隊達にいたずらされました。 その後ずっと兵隊達の相手をさせられました。

私は当時17歳か18歳でした。私には選択の余地はなく、逃げることもできませんで した。私は仕方がないとあきらめました。3回流産もしました。とてもつらい経験でした 。

他にも日本兵の子どもを産まされた女性が2人いました。

   四
戦後、私は3回結婚しました。しかし、3回とも夫に私の過去のことを知られ、その ことでいじめられ離婚しました。

私は今まで一人で過去のことを胸にしまい、苦しみ、泣いてきました。

日本政府がいつか謝ってくれるのではないかと思って、ずっと待っていましたが、待っ ても待っても謝りの言葉はありませんでした。私の心の痛みは死ぬまで消えることはあり ません。いつも心の固いところに残っています。とてもつらい経験だったのです。

   五
民国86年より台湾の政府が私たち被害者に毎月1500元を支払ってくれており、 現在はそれを頼りに生活しています。しかし、悪いことをしたのは日本であり、台湾政府 ではありません。ですから、日本の政府にきちんと謝って賠償をしてほしいのです。そう すれば、私の心も少しは休まります。一日も早くこの問題を解決してほしいです。

   六
最後に私は、これまで自分の体験を部落の人達や友人に知られたくなかったので、裁 判も匿名でしてきました。しかし、今ではマスメデイア等を通じて徐々に私の体験も他の 人に知られてきました。ですから、これからは私の名前を知られてもかまいません。裁判 も匿名でなくてもいいです。

以上            


原告  鄭陳桃

   一
私は名前を鄭陳桃といいます。年齢は80歳になります。

   二
私は、高等科1年まで学校に行きました。

   三
私は台北で生まれて、その後塩水に住み、18歳のとき、魏という人の妻に「看護 助手を募集している」と騙されて高雄港からアンダマンに連れて行かれました。私はとて も辛い思いをしました。約束が違ったのですが、アンダマンは、離島で逃げたくても逃げ られず、そこに1年2ヵ月くらい居ました。その軍隊は海軍の石川部隊でした。

その後、「新しい女性と交代する」ということで私たちはジョホールに連れて行かれた のですが、台湾に帰る船も、サイパンに行く船もなくて魏の妻にそこに置き去りにされ ました。

   四
アンダマンに行ったときに、21名いた女性たちは今はみんな死亡し、私だけ が生き残っています。そこでの経験は、誰にも話せない恥ずかしいものでした。台湾に返 ってから叔父にはそのことで」いじめられ、私は故郷には居られずあちこちを放浪し仕事 を探して暮らしました。50年以上の長い間若いときのことで辛い目に会い続けでした。

今は年とって働けなくなりました。

台湾の政府から、毎月1500元をもらって暮らしていますが、私はこのお金は日本の 政府が出すべきだと考えています。

   五
私は55年間も黙っていた事実を話すのは、日本の若い人にこの事実を知ってもら いたいし、日本の政府に日本の兵隊のしたことを、私の長い苦しみの被害弁償をしてもら いたいからです。

   六
私は、これ以上話すのが辛いのでもう終りにします。


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