ラオス

2001年度活動報告および2002年度計画


1. 概要

  世界で最も静かな首都の一つと思われるヴィエンチャン市も、だんだんと都市化の様相を呈し始めている。インターネットや携帯電話の急速な普及。中国製バイクの爆発的増加。物乞いやストリート・チルドレン、若者の覚醒剤の問題など、目に見える変化がいくつも起こっている。経済的な発展によって、子どもの基礎教育分野などが恩恵を受けるのも事実であるが、一方で経済的な格差、教育の機会の格差が今後ますます大きくなっていくであろう。
  SVA ヴィエンチャン事務所も1992 年の事務所開設以来、10 年間子どもの教育と文化の両面での国際協力事業を行ってきた。2002 年度は、その10 年間に蓄積された様々な経験、人脈、失敗などを評価し、次の10 年間に向けて新たな事業の組み立てを模索する1 年になるであろう。事業の内容も時代と状況に即しての変化が求められている。それと共に、ラオス人スタッフ人材育成に力を入れ、NGOとしてのマネージメント能力向上を目指す計画である。

2. 図書館支援事業

  2001 年7 月、ヴィエンチャン事務所付属の子ども図書室に加え、13 歳以上成人までを対象とする新図書室を開館した。子ども図書室で絵本や読み物に親しんだ子どもたちが成長し、中学生や高校生になった時に読む本や、そのような本を置いている図書室もないという現状に対応したものである。図書箱配布活動は、サワンナケート県2 郡に絞って90 箱の図書箱を配布した。生徒数が千人を超えるような大きな学校に130 冊の図書箱1 つでは本が少なすぎるという意見が多く、それを改善するために、生徒数に応じて各学校に図書箱を1 〜5 箱配布し、さらにクラスタースクール(教育改善推進のためにグループ化された学校群)の中心校には巡回用の図書箱を別に配布した。2002 年度にはフォローアップと評価を行い、さらに効果的な配布方法を模索する。移動図書館活動も例年どおり週4 日の活動を継続した。そのほか、新作絵本1 タイトル3,000 冊を出版。ヴィエンチャン特別市ソムサワート村とシェンダー村には2 棟の学校図書館建設を開始した。



図書館について学ぶ先生たち(サワンナケート県)

3. 「アジア子どもの家」事業

  2001 年度は、自立化に向けてSVA よりの直接支出の削減に努め、現地提携機関である情報文化省「子ども文化センター」も、他のNGO や国際機関にはたらきかけ予算獲得や事業拡大に努力した。その結果、ユニセフから、世界各国で実施した子どもの権利キャンペーン「Say Yesfor Children 」の運営や特別プログラムの実施などを依嘱された。図書館、伝統文化活動も例年通り実施し、とくに土曜日・日曜日は200 人〜300 人の子どもたちでいつもにぎわっている。また1 月に自治労本部と自治体国際化協会の協力によって、ヴィエンチャン市内の図書館員を主な対象に1 週間のセミナーを実施した。2003 年3 月をもって自治労本部からの7 年に亘った支援が終了するが、SVA は今後もこの事業へ資金的支援を継続し、将来的に政府への移管を目指す。 


4. 基礎教育教材開発製作事業

  全国の小学校(8,121 校)への配布をめざして続けてきた謄写版の製作も、2001 年度中に製作した謄写版1,141 台によって製作目標を達成し完了することとなり、配布活動も2002 年6 月までにほぼ終了することとなった。謄写版の普及をねらいとして実施してきた教員研修会も、3 つの県において開催した他、2002 年2 月には日本から専門家を招きヴィエンチャン市内において「学級新聞づくり研修」を試験的に実施した。学級新聞づくりは、作文教育を通じて子どもたちの想像力、表現力を育み、父母たちの学校教育への理解を促進する効果もあると期待している。謄 写版配布活動は完了するが、今後は、謄写版を扱う人材育成の事業展開に取り組む。研修会の開催についても、2002 年度からは特定の県を選定し、同県内で集中的にトレーニングを実施する(2002 年度はボリカムサイ県の5 つの地区にて実施)。研修のテーマとして取りあげる学級新聞づくりは、教育省との連携のもと、国語の教科に組み込まれる予定で、一層効率的な普及が期待される。また、謄写版の配布完了ならびに地方工場の閉鎖に伴い、2002年12 月にはヴィエンチャン市内にて関係者を集め、事業完了承認の会議を開く予定である。

1994年から2000年にかけて製作された謄写版台数
教材センター

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

合計
ウドムサイ県

60

66

100

200

200

200

200

0

1,026

シェンクワン県

0

0

100

200

200

200

0

0

700

ヴィエンチャン県

100

100

200

200

200

188

200

200

1,388

サヴァナケット県

0

100

200

200

200

200

200

0

1,100

サラワン県

100

200

200

200

200

200

200

200

1,500

ヴィエンチャン特別市

340

340

200

300

200

200

200

741

2,321

合計

600

806

1,000

1,300

1,200

1,188

1,000

1,141

8,235


謄写版で印刷した文集を読む子どもたち

5.学校建設と村ぐるみの教育支援事業

  地域社会における教育機会の改善と拡大を目的に実施している、村ぐるみの教育支援事業をボリカムサイ県パッカディン郡ポンシー村学校群において2001 年度も継続した。2003 年の事業完了を前に、現在村人自身によって立案された複数の活動が展開中で、とくに2001 年度には、小学校教員の技術向上研修と小学校運営システムの改善、村民幼稚園の開園、幼稚園教員の基本研修などが実施された。またボリカムサイ県フォーイクーン村とポンサイ村、ヴィエンチャン特別市のドーンサンパイ村の3 つの村で、日本の協力者からの支援を得て、住民参加型手法による学校建設を実施した。
  2002 年度は、いよいよ後半に差し掛かるポンシー村学校群内での教育支援事業を引き続き実施し、小学校及び幼稚園教員のためのトレーニング、読書推進活動特別イベント、図書館サービス拡大、トイレ建設、小学校旧校舎の修復などを中心に取り組んでいく予定。また小学校建設支援もボリカムサイ県を中心に2 つの村で実施していく予定。


絵本の読み聞かせ(ポンシー村)

建設支援を行った学校
県名学校年度支援者
1ヴィエンチャン市リンサン小学校1993自治労大阪
2ヴィエンチャン県ナドゥア小学校1994泉青年会議所
3ルアンパバーン県ドンカーム小学校1995曹洞宗福島県宗務所
4ヴィエンチャン特別市トントゥーム小学校1996曹洞宗福島県宗務所
5ヴィエンチャン県ブンカーム小学校1997曹洞宗福島県宗務所
6ヴィエンチャン特別市ポンサイ小学校 1997ソロプチミスト福島
7ヴィエンチャン県パクポ小学校1998香川国際ボランティアセンター
8ヴィエンチャン特別市ポンケオ小学校1998泰宗寺、池袋ライオンズクラブ他
9ボリカムサイ県パクサー小学校 1999連合静岡
10ボリカムサイ県ポンカーム小学校1999曹洞宗福島県宗務所
11ボリカムサイ県ポンシー小学校 2000在ラオス日本国大使館草の根無償資金

6. セコン県民話による初等教育支援事業

 2000 年から始まった本事業は、2002 年8 月に終了となる。2001 年度に実施した第3 回目の研修では日本の専門家による紙芝居についての講習の後、参加者自らが謄写版を使用した紙芝居の製作に取り組んだ。第4 回目の研修では、今まで収集したセコン県の民話を国立図書館や教育省の
スタッフと共に選定し、民話ブックレットやラオス人の作家により制作された民話紙芝居4 セットを配布。その意義や使用方法についての講習を行った。これらの研修により、教材の不足が解消され、教員の知識や意識が向上し、また、地元の文化への関心が高まった。そして、それらの研修の合間には小学校の巡回指導を定期的に行い、より一層、教員の理解を深めるように努めた。
  2002 年5 月にはUNV (国連ボランティア計画)、教育省などと共に本事業の最終評価会議を行い、教材の使用頻度が高く、生徒とのコミュニケーションを高めたなどの点で高く評価された。



村のお年寄りから民話の収集(セコン県)

7. アジア子ども文化祭

  2001 年11 月にラオスで初めて第6 回アジア子ども文化祭を実施した。タイ、カンボジア、ベトナムの子どもたちに加え、初めてミャンマー(ビルマ)の子どもを招聘。5 カ国150 名の子どもたちが4 日間の国際キャンプのあと、国立文化ホールで1500 人満員の観客の前で伝統文化を披露した。2002 年12月に第7 回の文化祭をヴィエンチャンで実施する予定。