◆インド西部大地震第3回被災地調査(8月26日〜9月6日)◆
現地の様子
(現地リリースに写真を貼付しました)
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村人への聞き取り調査。この一家は震災の後テント生活を続けていた。(スレンドラナガル県アンジャール村)
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再建した家がゼロのエンジャー村
8月29、30日、パタン県、スレンドラナガル県を視察しました。地震の一番の被害の中心はカッチ県ですが、しかし、他の県での被害も深刻です。
例えば、30日に訪問した、スレンドラナガル県Aengad(エンジャー)村の家族数は、240軒(人口2500人)。うち全体の6割にあたる150軒が、全壊・半壊など被害を受けました。しかし、再建した家は、まだありません。多くは、テント生活、よくても全壊した家の材料を使って作った家で急場をしのいでいます。
その内のひとりで、Gordham(ゴーダン)さんの家を訪ねました。彼は、妻、息子夫婦、孫3人の7人家族で、テントと急場しのぎで作った家(ともに、3m四方)の家で暮らしています。この雨季のシーズンに一度だけサイクロンが来て、テントが吹き飛ばされて非常に怖い思いをしたとのこと。家の再建のメドを尋ねたら、行政からの支援が遅れていて、家の再建が何も進まないとのことでした(ちなみに、家の再建は、NGOと村が契約して、それに対して政府が支援するのが、一般的ですが、大幅に政府の対応が遅れています)。
再建した家の数が「0(ゼロ)」というのは極端な例ですが、しかし、この2日間で訪問した4つの村の家の再建率は平均5%ぐらいで、まさに復興は、これからです。
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| 再建された低コスト住宅とそこに住む親子(ナニボル村) 拡大表示 |
不可触民(指定カーストの人)も含めて村の再建が進むナニボル村
アーメダバード県ドルカ郡ナニボル村。
この村は、村の360軒が全半壊した村ですが、震源地から遠いため、行政、NGOからの支援が届きにくい村でした。SVAは、30年以上にわたり災害地での住宅再建に関わってきたASAG(アーメダバード・スタディ・アクション・グループ)と連携してこの村での低所得者層を対象に耐震のある低コスト住宅の再建を行なっています。対象家族は、住宅再建(新築)が62軒、修繕が34軒。5月下旬から工事にとりかかり、すでに15軒が完成しました。新築対象のうち半数にあたる32軒が、不可触民(現在では、行政用語として、指定カースト(schedule Caste)と呼ぶのが一般的。)と言われる、社会的な差別を受けている人々でした。この村の1割が指定カーストの人々なので、その人々のほぼ全員が、新築家屋の対象です。一般的にインドでは、村内では同じカースト同士がまとまった地域に住み、しかも、不可触民が井戸を使わせてもらえなかったり、いわれなき差別を受けたりするのは、今でも一般的です。(調査団に出発する前も、カーストの身分の違う者同士の恋愛が発覚し、双方の家族がその子どもを殺害したというショッキングな報道がありました。)
しかし、この村では、経済的に貧しい順に住宅再建を決定し、しかも、カーストの上下に関係なく、住宅再建を行なっていました。この点をASAG事務局長のラジェシュ氏に伺ったところ、村の二人のリーダーを中心に皆の意見をまとめ上げ、そのような不満を出ないようにしているとのことでしたが、本当にこんなことができるのかと思うぐらい、不思議であり、衝撃的でした。
実際に28日に、このナニボル村を視察しました。例えば、Vankerという苗字は、織り職人を指し、指定カーストですが、ここでは10軒あまりが同じ苗字で、すでに2軒の新築と1軒の修繕が完了し、もう1軒が工事中でした。
また、Bhangiという苗字は、掃除夫で指定カーストを指しますが、この地区では12軒中11軒が新築対象であり、工事はこれから始まります。
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| 低所得者のための住宅再建はすでに新築が15件、修復が5件終了していた(ナニボル村) 拡大表示 |
しかも、再建される住宅は、単なる震災前の住宅に戻すのではなく、各家ごとに注文をきき、NGOが住宅の専門家と連携して、住みやすい家の再建をしていること、しかも、家主が住宅工事に参加し、耐震性のある家づくりを学んでいるとのことです。
この村での再建を見る限り、災害の単なる生活再建でなく、新たに村のコミュニティづくりを考えた生活の創造を含めたことが行なわれていること、特に、カーストによる差別が当たり前の中で、村の住民がカーストの上下にこだわらずに、経済的・社会的に不利な状況にある人を最優先して生活再建しようする姿に、目を見張るものがありました
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震源地ブージ市内の被災者テント村 拡大表示 |
再建が遅々と進まないブージ
9月1〜2日、今回の地震の震源地、ブージを訪問。そこで活動するJENインド事務所の椎名氏と合流し、さっそく被災地を訪問した。ブージは、人口約12万5千人。
旧市街地の被害が深刻で、7〜8割の住宅が全半壊の被害を受けたという。住宅の被害は、G1(一部損壊)〜G5(全壊)の5段階で判定されているが、未だにその判定についてのクレームが絶えないという。8月には、州政府より旧市街地の再建計画が発表されたが、減歩率が少なくとも25%を超えており、中には強制的に移転させられそうな家族もあり、計画の紆余曲折が予想される。
椎名氏の案内で、JENが支援するガウガンバ・ハイスクールの敷地にあるテント村を訪ねた。ここには、182家族978人が生活しているという。電気と水は行政から提供されるが、すでに物資の配布はなく、一部NGOの配布に頼っているという。その中で、カリマさんのテントを訪ねた。年齢は70歳前後で、ひとり暮らし。地震により家と家事手伝いの仕事の両方を失ったという。家の再建のめどはたたず、現在は、同じテント村に住む親戚に養ってもらっているという。
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| 震源地ブージでは、ようやくがれきが取り除かれたところだった。損壊の度合いが壁に書かれた建物 拡大表示 |
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テントの仮設保育所で遊ぶ子どもたち
(スレンドラナガル県ジェセダ村)
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建設許可が下りるのを待つ保育所
8月29〜30日、SVAが支援を行なう予定のパタン県・スレンドラナガル県の保育所12か所のうち、4か所を訪問した。
その中のひとつである、パタン県パタンカ村。人口千人のこの村は、約250軒の家屋のほとんどが被害を受けたが再建した家は10軒にとどまるという。保育所は全壊し、新たに建設を予定しているが、村のOKは出ているものの、州政府の最終的な認可が下りず、いまだにテントでの仮運営を続けている。
また、他の地区では、保育所の建物が半壊で済み現在も建物を使用しているが、家を失った家主から立ち退きを迫られており、ほかの場所に移転せざるを得ないという。
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地震で保育所が倒壊したので仮設の小屋に子どもたちを集めているという2人の先生(パタン県パタンカ村)
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| SEWAの「刺しゅう職人支援」を呼びかけるポスター(アーメダバード SEWAクラフト部門) 拡大表示 |
刺繍職人支援
9月4日、地元のNGOであるSEWAラダンプール事務所でハンデイクラフト担当者チャンドリカベンさんの話を聞いた。
1月の地震によって、手工芸品プロジェクトなどSEWAの事業にも大きな影響があった。家屋の損壊など物理的な被害はもちろんだが、被災者の心の傷は深く、また地震が起きるのではないかという不安のために、ひとりでいられなくなってしまったり、ひとつのことに集中できない状態が続いたという。
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SEWAが支援している刺しゅう職人グループのリーダー(パタン県ダッタラナ村)
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また、突然の災害で家や財産などを失った衝撃は大きく、SEWAによる支援も食べ物やテントなどの物質的な支援だけでなく、心のケアも盛り込んだものになったという。
スタッフが話を聞きながら不安を取り除き、手工芸品製作に取り組むことで生活を再建しようと被災女性を力づけた。
この事務所が統括するダトナ村を訪ねて職人たちの話を聞いた。SEWAの提供する素材に伝統の刺繍を施す職人たちは、およそ200人。村の650世帯の半分を超える350軒の家が倒壊したが、再建されたのはそのうちの20軒にすぎない。干ばつや大雨など厳しい自然条件下にある農村地域では、収入も不安定で、復興はまだこれからだ。
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低所得者のための住宅再建について、協力団体ASAGと打ち合わせをする市川斉・地球市民事業課長
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現地調査終了にあたって
9日間にわたり、約2500キロ走行してグジャラート州の被災地を回った。阪神・淡路大震災以来、様々な被災地を見てきたが、貧富の格差による復興の速度の違いを改めて感じた。
SVAとしては、震災後一年間は、被災地のNGOに協力して支援活動を行なうが、改めて、息の長い支援の重要性をこの場を借りて訴えたい。