◆現地ニュースリリース◆
「防災の日」を迎える日本の皆さんへ被災地グジャラート州アーメダバードからメッセージ
2001年8月31日
(社)シャンティ国際ボランティア会
市川 斉 川崎典子
1月26日のインド西部地震から早7ヶ月が経過しました。
今月26日から、SVA第三回現地調査として、現地の団体との事業の調整、被災地の状況を視察しています。
ちょうど、明日(9月1日)が日本で「防災の日」にあたり、調査の途中ではありますが、メール(FAX)を送らせて頂きます。
再建した家がゼロのエンジャー村
8月29、30日、パタン県、スレンドラナガル県を視察しました。地震の一番の被害の中心はカッチ県ですが、しかし、他の県での被害も深刻です。
例えば、30日に訪問した、スレンドラナガル県Aengad(エンジャー)村の家族数は、240軒(人口2500人)。うち全体の6割にあたる150軒が、全壊・半壊など被害を受けました。しかし、再建した家は、まだありません。多くは、テント生活、よくても全壊した家の材料を使って作った家で急場をしのいでいます。
その内のひとりで、Gordham(ゴーダン)さんの家を訪ねました。彼は、妻、息子夫婦、孫3人の7人家族で、テントと急場しのぎで作った家(ともに、3m四方)の家で暮らしています。この雨季のシーズンに一度だけサイクロンが来て、テントが吹き飛ばされて非常に怖い思いをしたとのこと。家の再建のメドを尋ねたら、行政からの支援が遅れていて、家の再建が何も進まないとのことでした(ちなみに、家の再建は、NGOと村が契約して、それに対して政府が支援するのが、一般的ですが、大幅に政府の対応が遅れています)。
再建した家の数が「0(ゼロ)」というのは極端な例ですが、しかし、この2日間で訪問した4つの村の家の再建率は平均5%ぐらいで、まさに復興は、これからです。
不可触民(指定カーストの人)も含めて村の再建が進むナニボル村
アーメダバード県ドルカ郡ナニボル村。
この村は、村の360軒が全半壊した村ですが、震源地から遠いため、行政、NGOからの支援が届きにくい村でした。SVAは、30年以上にわたり災害地での住宅再建に関わってきたASAG(アーメダバード・スタディ・アクション・グループ)と連携してこの村での低所得者層を対象に耐震のある低コスト住宅の再建を行なっています。対象家族は、住宅再建(新築)が62軒、修繕が34軒。5月下旬から工事にとりかかり、すでに15軒が完成しました。新築対象のうち半数にあたる32軒が、不可触民(現在では、行政用語として、指定カースト(schedule Caste)と呼ぶのが一般的。)と言われる、社会的な差別を受けている人々でした。この村の1割が指定カーストの人々なので、その人々のほぼ全員が、新築家屋の対象です。一般的にインドでは、村内では同じカースト同士がまとまった地域に住み、しかも、不可触民が井戸を使わせてもらえなかったり、いわれなき差別を受けたりするのは、今でも一般的です。(調査団に出発する前も、カーストの身分の違う者同士の恋愛が発覚し、双方の家族がその子どもを殺害したというショッキングな報道がありました。)
しかし、この村では、経済的に貧しい順に住宅再建を決定し、しかも、カーストの上下に関係なく、住宅再建を行なっていました。この点をASAG事務局長のラジェシュ氏に伺ったところ、村の二人のリーダーを中心に皆の意見をまとめ上げ、そのような不満を出ないようにしているとのことでしたが、本当にこんなことができるのかと思うぐらい、不思議であり、衝撃的でした。
実際に28日に、このナニボル村を視察しました。例えば、Vankerという苗字は、織り職人を指し、指定カーストですが、ここでは10軒あまりが同じ苗字で、すでに2軒の新築と1軒の修繕が完了し、もう1軒が工事中でした。
また、Bhangiという苗字は、掃除夫で指定カーストを指しますが、この地区では12軒中11軒が新築対象であり、工事はこれから始まります。
しかも、再建される住宅は、単なる震災前の住宅に戻すのではなく、各家ごとに注文をきき、NGOが住宅の専門家と連携して、住みやすい家の再建をしていること、しかも、家主が住宅工事に参加し、耐震性のある家づくりを学んでいるとのことです。
この村での再建を見る限り、災害の単なる生活再建でなく、新たに村のコミュニティづくりを考えた生活の創造を含めたことが行なわれていること、特に、カーストによる差別が当たり前の中で、村の住民がカーストの上下にこだわらずに、経済的・社会的に不利な状況にある人を最優先して生活再建しようする姿に、目を見張るものがありました。
息の長い支援を(「防災の日にあたって」)
被災地訪問中、多くの方から感謝され、ここで改めて、NGO同士による顔の見える援助の重要性を実感しました。
しかし、人々の生活再建は、7ヶ月経過した今でも、まさにこれからです。災害直後が大変なことは、事実です。しかし、生き残った人々にとって、むしろ、災害後の生活再建が最重要ですが、そこには、ほとんど関心が寄られません。このことは、日本でも海外でも、同じようなことが言えます。昨年9月だけでも、日本では三宅島噴火災害(全島避難)、東海集中豪雨など、多くの災害が起きました。しかし、今でも被災者の人々の苦しみは続いています。
「防災の日」を迎えるにあたって、災害の持つ特性、決して、緊急時だけでなく、そこからも復興も大切ではないかということをお伝えすべく、調査の中間報告を含めて、現地発信の緊急リリースを送付させていただきました。
なお、メールが開通次第、デジタルカメラでとった写真を掲載します。
◆被災地の人びととともに復興に取り組む、SVAの支援活動にご協力ください◆
SVAは「インド西部大地震緊急救援募金」と「刺しゅう職人支援キャンペーン」の受け付けを来年3月まで延期します。被災地の人びととともに復興に取り組む、SVAの支援活動にご協力ください。
郵便振替口座00170-8-0397994
加入者名SVA緊急救援募金
*通信欄に「インド地震」または「刺しゅう募金」とご記入ください。
●被災地の子どもの支援 保育所の再建と運営の支援
●耐震性のある低コスト住宅の再建 低所得者のための住宅再建
●被災女性の生活を再建するための刺しゅう募金
問い合わせ先
(社)シャンティ国際ボランティア会(SVA) インド西部地震救援担当 高橋・市川
電話 03−5360−1233 ファックス 03−5360−1220
*SVAの救援活動についての詳しい資料や、被災地の写真をご提供できます。どうぞご連絡ください。