アフガニスタンにおける劣化ウラン戦争

−−重大疑惑と検証−−

2003年2月11日

主催:アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
共催:ASIAN SPARK

アフガニスタン劣化ウラン被害調査カンパ・キャンペーン−−−−−−−−−

□ ウラニウム・メディカル・リサーチ・センターUMRCのアフガニスタン劣化ウラン調査と分析費用への資金カンパの呼びかけ

・カナダの民間組織であるUMRCは2002年5月にアフガニスタンの第1回現地調査を行った。その調査の結果は驚くべきものだった。
 ジャララバード付近の住民と国内避難民の聞き取り調査と検査の結果、湾岸戦争帰還兵と同様の複合的な臨床的症状を示す疾患や健康状態に苦しむ数百人の人々を確認した。
 尿試料を提供したすべての人のウラニウムによる体内汚染の検査結果は陽性だった。このドナーたちは、有毒で放射性のウラン同位体の濃度が1999年に検査された湾岸戦争帰還兵の100倍から400倍を示した。これが広範囲に及ぶならアフガニスタンは深刻なウラニウム汚染に直面することになる。(ただし検出されたのは劣化でないウラニウムだった)

・2002年9月に、UMRCは調査を拡大するために第2次現地調査団を派遣した。
 聞き取り調査された家族の多く(30%)は湾岸戦争疾患に類似した症状を示した。村の長老たちは乳幼児の25%以上が不可解な病気にかかっていると報告している。
 40の尿試料が、マザリシャリフ、トラ・ボラ、カンダハル、ジャララバード、カブールも採取された。地質学的サンプルが爆撃によるクレーターの内部、周辺の場所、隣接した水路などから採取された。
 UMRCはアフガニスタンでのウラニウム汚染の範囲と広がりを確定するためのこの仕事を完了させための援助を強く要請している。一つの尿や地質学的サンプルを科学研究所で分析するのに1000USドルかかる。

・UMRCの調査は極めて重要である。第2次調査の結果がウラニウムを検出すれば、
 第1に、アメリカが劣化ウラン(場合によっては天然ウランかもしれません)を大量に使った戦争を行った事実を明らかにする。
 第2に、ウランの被害と汚染の範囲と程度を明らかにするでしょう。それは戦争犯罪に対する補償要求の基礎になります。
 第3に、アメリカの新しい「核戦争」に加担している「被爆国」日本政府への批判となるでしょう。



□ アフガニスタンでの劣化ウラン大量使用疑惑1

・「ウラニウム戦争−−ペンタゴンは放射性弾薬の使用をさらに進める」(2002.11.13発表) アメリカのマークW.ヘロルド教授による指摘

 @アフガニスタンでは湾岸戦争に匹敵するか上回る劣化ウランが使われている疑いがある。

 A使用された劣化ウランは最大で500−600トンに達すると見積もられる。(湾岸戦争での使用量は国防総省発表で320トン)

 B従来型劣化ウラン弾を発射する対戦車攻撃機A−10が2002年3月以来アフガニスタンに配備され出撃を繰り返している。

 Cしかし、大量の劣化ウランを使っていると思われるのは硬化目標攻撃用の誘導爆弾、巡航ミサイルである。これらは桁違いに使用量が多い。

 従来の劣化ウラン兵器(資料3参照)
   A−10の30ミリ砲弾 300グラムの劣化ウラン弾芯
   M1戦車の120ミリ砲弾 5キログラム    〃


 新しい疑惑の兵器−−アフガニスタンでは大量使用された
   一般的な硬化目標攻撃用誘導爆弾GBU-24では750キログラム
(一発で戦車砲弾の150倍)

 D「12月初めに、ワシントンにある国防情報センター(CDI)の最高顧問フィリップ・コイルは、劣化ウランがアフガニスタンで使われている、もっとも最小限に抑えようと努めてはいるが、と述べた。」とヘロルドは紹介している。
 
マーク W.ヘロルド教授はアメリカ・ニューハンプシャ大学の経済女性学部の教授。アフガニスタンにおける民間人犠牲者の調査を行っている。
「Marc W. Herold ; A Dossier on Civilian Victims of United States' Aerial Bombing of Afghanistan:A Comprehensive Accounting」邦訳「アメリカはアフガニスタンで何人の人々を殺したか?!」(署名事務局)
 http://www.cursor.org/stories/civilian_deaths.htm
  アフガニスタン劣化ウラン被害調査カンパ・キャンペーン        


□ アフガニスタンでの劣化ウラン大量使用疑惑2

・イギリス人研究者ダイ・ウィリアムズ氏による徹底した追及
「アフガニスタンで疑惑の金属の悪夢?−−劣化ウラン兵器2001-2002」(2002年1月) と「イラクに対して企てられる戦争での劣化ウラン疑惑兵器の危険−−劣化ウラン兵器2001-2003」(2002年10月)

 新しい世代の硬化目標攻撃用爆弾や巡航ミサイルは劣化ウラン(またはタングステン)でできている可能性が高い。それらは23種類にのぼる。

 文献からの疑惑と証拠
 アメリカ空軍の計画文書(資料4)の中に「Dense Metal」(高密度金属)と表現されているのは劣化ウラン(またはタングステン)である可能性が高い。

 アメリカ軍の特許文書(資料5)の中には、新しい世代の硬化目標攻撃用誘導兵器の貫通弾頭について「劣化ウラン製」「タングステン製」と明記してある。

 構造からの疑惑
 従来の硬化目標攻撃用誘導兵器を改良する公表された方法では、鋼では従来の2倍の性能は達成できない。
 (英ガーディアン紙2002.9.5でデビッド・ハンブリング記者も同様の計算を行っている)

※1:「Mystery Metal Nightmare in Afghanistan?」
 http://www.eoslifework.co.uk/pdfs/DU012v12.pdf
※2:「Hazards of Uranium weapons in the proposed war on Iraq」
 http://www.eoslifework.co.uk/u231.htm

ダイ・ウィリアムズ氏はイギリスの独立の劣化ウラン研究者
 専門は心理学だが、新しいタイプの劣化ウラン兵器について極めて緻密な調査活動を行い、英・米政府、EU、NGOへの働きかけを活発に行っている。


アフガニスタンでの劣化ウラン大量使用の疑惑

 疑惑の3つの根拠
   UMRCの現地調査
   ヘロルド教授の指摘
   ウィリアムズ氏の指摘

 これらが本当だとすると、

(1)アメリカによる戦争での劣化ウラン使用、「新しい核戦争」は、従来より格段に大量の劣化ウランを使用する新しい段階に入ったことを意味する。

(2)アフガニスタンでの深刻な極まりない被害を意味する。本当にウラニウムによる汚染が広範囲に存在する。ジャララバードでの調査のウラニウム汚染が全土に及ぶほど広範囲なら、公衆衛生的危機に瀕していることを意味する。長期にわたる取り返しのつかない環境汚染と、無差別の被害が発生する。

(3)日本も、アメリカのアフガニスタンへの爆撃に給油を行い、加担したこと、同罪であることを免れない。

(4)直近に迫っているイラクに対するアメリカの戦争でイラクの人々の受ける被害が想像を絶する規模になるということを意味する。



イラクに対する劣化ウラン戦争をくい止めよう

「開戦48時間で3000発の誘導弾」ペンタゴンの攻撃計画は劣化ウランの嵐を住民に見舞う

 ・1日に3−400発の巡航ミサイル
 ・3000発の誘導爆弾
 ・もし、3分の1が硬化目標用であれば、800トンもの劣化ウランになる。


前回の湾岸戦争との違い−−都市部での大量使用

前回はイラク南部の主として砂漠の中で劣化ウラン弾が使われた。湾岸戦争では硬化目標攻撃用の爆弾は劣化ウラン製ではなかった。
それでも、イラク南部の被害は目を覆うものがある
今回は、都市部の軍事目標や通信施設が劣化ウラン弾の集中攻撃の目標になる。
大都市の住民が爆撃にさらされるだけでなく、直接劣化ウランに被曝する危険

劣化ウランの被害は戦争が終わっても極めて長期にわたって続く。無差別殺りくを引き起こす非人道的兵器。私たちはこのような兵器を使用するアメリカの戦争に反対である。