空爆はエスカレートし、飢餓の危機は去っていない
アメリカは直ちに攻撃と虐殺を中止せよ!
PKO法改悪反対!日本は派兵を中止せよ!

署名運動の第2次集約にご協力を!




無法・不法な侵略で主権国家アフガンを崩壊させた責任は重大。

 ついにタリバン政権は崩壊しました。アメリカは何の正当な理由もなく貧しい一個の独立した主権国家を一方的に侵略し、空爆と一般市民の殺戮を繰り返したあげく崩壊させたのです。今こそアメリカの侵略性とどう猛さを告発し糾弾しなければなりません。アメリカこそテロ国家です。
 アメリカとブッシュ政権の責任は重大です。アメリカに加担しているイギリス、日本やNATO諸国を初め西側諸国が主導する「国際翼賛体制」なるものの責任は重大です。一個の主権国家が「怪しい」「匿った」というだけで潰されたのです。何の理由も根拠もなしに軍事力で叩き潰されたのです。私たちは、侵略した側、国際法を蹂躙した側が我が物顔で大手を振ってばっこする現在の異常な状況を断じて許すことができません。ベトナム戦争を取り上げるまでもなく、アメリカによるあからさまな侵略行為が何の責めも負わされないという歴史をもうこれ以上積み重ねさせてはなりません。アメリカに逆らえばとんでもない仕返しを受ける。黙ってアメリカに従うほかない。逆にアメリカに従えばドルをもらえる、援助をしてもらえる。そういう風潮をはね除けなければなりません。アメリカに逆らえば理由もなく国際法を蹂躙してでも攻撃され崩壊させられるという「アメリカの世界覇権」を弾劾しなければなりません。
 私たちは何よりもまず、タリバン政権の崩壊に当たって、一つの主権国家アフガニスタンを崩壊させたという事実そのものについて、アメリカとそれに加担した諸国全体−−もちろん日本政府も含めて−−を糾弾し、その責任を追及します。
 アメリカと侵略国は、タリバン政権を崩壊させた責任だけではなく、これからアフガニスタンで起こるであろう悲劇と困難の全責任を負うべきです。

米の空爆は一段と残虐な殺戮行為をエスカレートさせている。

 米英軍の侵略はまだ終わっていません。むしろ空爆も地上での戦闘も各地で激しさを増しています。私たちは、米英に対し、いわゆる「多国籍軍」に対し、アフガニスタンに対する攻撃を直ちにやめるよう要求します。
 アメリカはタリバンが撤退先にした南部のカンダハルや北部クンドゥズ州に対する徹底した空爆、無差別殺戮を強め、タリバン勢力壊滅とアルカイダ=ビンラディンに対する掃討作戦を強行しています。アメリカは更にウズベキスタンとタジキスタンにF15EやA10など空軍の攻撃機を新たに配備し、空爆を強めようとしています。
 北部のクンドゥズ州では、タリバン兵に対する「投降」交渉が突如うち切られ、立てこもるタリバン兵士に対する攻撃が開始されました。アメリカはタリバン兵に加わる数千人のアラブ人や外国人志願兵をテロリストと決めつけ、捕虜にせずアフガンで抹殺すると意向です。この攻撃開始は「アラブには出ていってほしい」のが「本音」の北部同盟を、アメリカの意向に従わせたものです。まさに投降なき大量虐殺が始められようとしています。捕虜にすることを認めず、裁判にもかけずに一方的に「死刑」にする野蛮極まる行為です。
 また、米軍は11月21日にカンダハル郊外に3発目の燃料気化爆弾を投下しました。都市近郊に核兵器につぐ威力を持つ爆弾を投下し、1キロ以内の兵士、住民を殺し尽くしています。大量殺戮兵器の使用を禁じた国連人権委員会決議さえ踏みにじるものです。しかし、これらはアメリカの卑劣さ、どう猛さのほんの一例に過ぎません。

飢餓と難民の危機はまだ去っていない。一部ではむしろ深刻化している。
 北部同盟の支配地域の一挙拡大で、食糧危機、飢餓と餓死者急増の危機はひとまず去ったと言われています。しかしそれは意図的にねじ曲げられた誤った報道です。カブールや西側報道機関が多数入った主要都市では、確かにそうかも知れません。ところが現に食糧や物資の補給は極度に滞っているのです。世界食糧計画やユニセフなど、アメリカべったりの国連機関でさえ、事態の深刻化に警鐘を鳴らしています。無数の地雷や米軍の不発弾だけではありません。情勢が不安定化し無政府化しているために、食糧の略奪が頻発しているのです。戦闘が続いている地域だけではなく、北部同盟が支配したと言われる地域でも大混乱しているのです。当然でしょう。軍閥にとって食糧は兵力調達のエサなのですから。
 難民、国内避難民の帰還もスムーズに進んでいません。日本や世界各国のNGOが懸念し、私たちも訴えてきた飢餓と凍死の問題は、結局何の解決も見ていないのです。アメリカや西側諸国が熱心なのは、ビンラディン暗殺とイラクへの攻撃、「新政権に向けた駆け引き」だけであり、アフガンの民衆の生命ではないのです。タリバン政権崩壊前に、特別に強調した飢餓と凍死の危機を今こそ声を大にしてアピールしていきたいと思います。

マス・メディアの国際的な世論操作を暴かねばならない。

 空爆の被害も、飢餓や難民の被害も、タリバン政権の崩壊で突如なくなってしまったかのような報道が幅を利かせています。私たちは米英が独占するマス・メディアによる国際世論の操作を批判しなければなりません。私たちがいま見る新聞やTVでは、南部でのタリバンの降伏、カブールの解放感に満ち溢れた映像、新政権をめぐる駆け引きに焦点が当てられています。しかしこれらは全体のごく一部に過ぎません。騙されてはなりません。
 空爆が強められた南部では市民の犠牲を無視した無差別爆撃が強められています。タンクローリーをねらい打ちし、食料輸送車や民間トラックなど動くものなら何でも破壊する無差別の攻撃が強められています。11月19日には北部クンドゥズ地方で1000人が死亡したと言われています。カブールやその他の地域からカンダハルに撤退途中のタリバン兵を空爆で狙い打ちにする映像は目を覆うばかりです。それをわざわざ米軍当局が記者会見を開いて報道陣に自慢するわけです。サディストの世界そのものです。しかしこれらはほとんど報道もされないし、非難もされません。湾岸戦争でイラク軍の撤退を狙い打ちにして10万人、20万人のイラク兵を、文字通り焼き尽くした惨い仕打ちを思い出させます。かかる残虐な仕打ちを何の批判もなしに、何の躊躇もなしに報道し平気でいられる米国内の雰囲気にゾッとするのは私たちだけでしょうか。
 いま盛んに米欧日の西側メディアは、タリバン崩壊後のカブールの喜び、解放感を伝えています。ブルカ、ひげ剃り、たこ揚げ、音楽、映画、ブロマイドなど。これらのうちの幾つかはすでに今年に入ってタリバン政権下で散見されるようになったことを米欧の報道機関は何も言いません。もちろんこれにはタリバンの圧制からの解放という事実もあるでしょう。しかし同時に、米英軍に理由もなく空爆で殺戮されたり、空襲に耐えなければならなかったことからの解放感でもあるのです。マスコミは「もうどんな戦争でもいやだ」という素直な気持ちを、自分たちの戦争は正当だという宣伝に意図的に政治利用しているだけなのです。
 私たちは、隠された報道統制の下で進行中の恐ろしい事態、アメリカによる大量虐殺を放置してはなりません。署名運動を進めてきた皆さんとともに、マスコミの報道のあり方を徹底して追及していきたいと思います。

私たちはイラクへの攻撃と侵略に反対する。
 アフガニスタンの戦争もまだ終わらない段階から、アメリカは再び次の獲物に飛びかかろうと準備を始めました。ブッシュ大統領や軍当局者はアフガンに続いてイラク攻撃を示唆し始めたのです。「ビンラディンやアルカイダに関係なくても攻撃する」「テロとの戦いは始まったばかりだ」と。タリバンを潰したことで完全に調子に乗っているのです。
 この発言を聞いて私たちは、ますます小泉政権に対する反戦平和運動を強化しなければという気持ちを強くしました。小泉政権はアメリカのイラク侵略にまで加担するのか、一体どこまでアメリカに追随するのかと、空恐ろしくなるばかりです。と同時に、こうしたアメリカ政府とペンタゴンを調子に乗らせ増長させたのは、小泉政権を初めとする西側政権なのです。このことも忘れてはなりません。
 それにしても呆れ返ります。一体これはどういうことでしょう。これほど今回の戦争の本質を示している言辞はありません。とにかくテロなど口実にすぎないのです。アフガンにもこんないい加減な理由で攻撃したのでしょう。タリバンの圧政やアフガン女性の抑圧も正当化の口実に過ぎなかったということです。本当はアメリカの気に入らない、言うことを聞かない政府を滅ぼすことが目的なのです。

中東・南アジア地域に居座る米軍・多国籍軍と石油・天然ガス利権。

 ペンタゴンに強い影響力を持つ軍事専門家が言います。「我々が、中東・南アジア地域に圧倒的な規模の兵力を築き上げていることを忘れていけない。周辺地域には米軍の4空母機動部隊に英軍の空母もいる。タジキスタンには空爆出撃に使える基地もある。ブッシュ政権がアフガン攻撃だけなら不必要なほどの軍事増強をやってきたのは、中東、それもイラクに対する軍事作戦を当初から考えていたからだ」と。しかも「継続的に実施しなければならない」と言うのです。
 米英を初め西側諸国の軍隊の常駐体制が、中東・南アジア地域に構築されようとしているのです。もちろん欧州諸国はイラク攻撃にまだ慎重ですが、いずれ何らかの恰好で関与するはずです。
 少なくとも、こうした西側諸国の積極介入の裏側には、カスピ海と中央アジアの石油と天然ガス、そしてパイプラインの利権があるのは間違いありません。石油・天然ガスをめぐる「グレート・ゲーム」が始まっていると考えて良いでしょう。

広がる群雄割拠と無政府状態。差し迫る内戦の危機。

 タリバン政権が崩壊して新たに出現したのは内戦と無政府状態の危険です。大小様々な軍閥支配の群雄割拠、部族支配、最大の軍閥の連合体である北部同盟の支配の復活であり、1994−96年の内戦時代の殺人集団の支配の再現です。これらの軍閥は民衆の支持にではなく、アメリカ、ロシア、パキスタン、イラン、インド等々の国から武器や物資を供給され、これらの国の権益や利害や政治的意向を反映する私兵的なグループです。すでにそれぞれのグループが勝手な思惑を露骨にし始め、全国各地で無政府状態・無法化状況が生じています。マスコミは北部同盟の勝利を恐怖政治からの解放であるかのように描いていますが、彼らこそカブールで支配権を巡って殺し合い、恐るべき破壊と荒廃と虐殺の恐怖をアフガンにもたらした張本人なのです。
 北部同盟がカブールを初め首都と主要都市を支配したといっても中央の政治権力はまだありません。中央権力を樹立するには、「中央政府」と同時に、軍隊と警察と裁判所を中心とする「治安弾圧機構」の統一が不可欠なのですが、武装したいくつもの軍閥が拮抗する中でこうした機構を作り出すのは不可能に近く、外から人為的にアフガン全体を安定させることなど無理なのです。彼らが再び主導権争い、勢力圏争いを繰り広げ内戦に再突入する可能性は非常に大きいと言って良いでしょう。国連や西側諸国さえ他民族に対するエスニッククレンジング(民族浄化)や大量虐殺の危険を危惧しているのです。すでにタリバン少年兵数百人が虐殺された、カブールのパシュトゥン人が恐怖の中で生活していると伝えられ、その兆候は現れています。外国人記者の殺害をはじめ強盗・殺人が頻発し、治安秩序の不安定化・崩壊が始まっています。

米欧日など西側諸国、ロシアと中央アジア、イランなど周辺諸国による露骨な介入と干渉。

 今になってアフガンに対する軍事行動での競争が欧州各国の間で始まりました。首都カブール陥落など戦況の急変を見て欧州各国は派遣部隊を急いで送ることを決定したのです。一部の国々は現地の意向を無視して軍の派遣に踏み切りました。まるで手柄を競っているかのようです。英国はすでに勝手に兵力をカブールに送り込み北部同盟と対立を起こしています。アフガンでは反米感情が強いので米の身代わりに英が治安維持の中心を担ってやるとばかり4000人もの大部隊を送る計画です。フランスも遅れじとばかり北部マザリシャリフに地上軍を送り込む目論見です。ドイツも積極加担に転換し、3900人派兵と首相信任を国会で可決しました。社会民主党も90年連合・緑の党もドイツの海外侵略に積極的に加担することになりました。これらの派兵はアフガン国内でも国際社会でもまともに検討され合意されたものではありません。ただひたすら手柄争いのために各国が勝手に先走り、弱ったアフガンにハイエナのように集っているのです。
 すでに北部同盟内部の主導権争いが顕在化し、同時に北部同盟と米英初め西側諸国との主導権争いも激化し始めています。米英仏主導の国連審議、その国連が主導する「暫定政権構想」、多国籍軍の編成と派兵、「戦後復興計画」などをめぐっても対立と矛盾が激しくなっています。自分が主導権を取るために相手の計画を邪魔する醜悪極まる競争が行われています。各国の利害、アフガン国内の軍閥の指導者達の利害だけが先行しているのです。これまでと同じ事が再び繰り返されようとしています。その度に振り回されるアフガンの人民こそ、そうした西側諸国の政治ゲームの最大の犠牲者です。

タリバン政権崩壊以降も継続する全世界の反戦平和運動。
 タリバン政権崩壊以降も、世界各地で反戦平和運動が継続して闘われています。アメリカではインターナショナルANSWERがラマダン前日の11月14日を全世界反戦統一行動デーとして国際的行動を呼びかけ、各地で運動を組織しました。
 11月17日には欧州各地で平和団体や労組が米の空爆中止を求めてデモ行進を行いました。「カブール陥落の今こそ裁きと平和を」を掲げて、パリで4千人、アテネで8千人が集まりました。ギリシアでは戦争の即時中止と反グローバリゼーションがスローガンでした。ドイツでもケルン、エッセンでデモ行進がありましたが、ここでは「ドイツ軍の派兵反対」が注目を集めました。イタリアでも全国100以上の都市で空爆停止を要求する行動が行われました。
 11月18日にはロンドンで10万人の反戦デモ・集会がありました。英核軍縮運動(CND)、平和団体、左翼政党、イスラム系団体が主催したものです。

アフガンへの介入・干渉に加わろうとする小泉政権とPKO法改悪。

 日本政府もこの機に乗じてPKFやPKOの名目で自衛隊をアフガニスタン国内に送り介入しようとしています。インド洋への艦船派遣に続いて、今度はアフガニスタンやパキスタンなど外国の領土で自衛隊が軍事活動をする危険性が高まっています。
 政府与党は、テロ特措法の成立を成立させたことに続いて今国会中でのPKO法(国連平和維持活動協力法)改悪に突き進もうとしています。与党3党は14日に国連平和維持軍(PKF)の本体業務への参加凍結解除と自衛隊員の武器使用基準の緩和を柱にしてPKO法を改悪することで合意しました。20日には改正案を閣議決定し、22日に国会に提出しました。報道では30日衆院通過、12月7日会期末までに参院通過を策しています。公明党は通常国会での審議を主張していましたが、一夜で態度を変えて今国会強行に豹変しました。今回は民主党も賛成に回ろうとしています。国会の中で反対の声が極めて弱いもとで、まともな審議も行わずに軍事力行使に関わる重要法が可決される異常事態です。
 かつて軍事力の露骨な行使を伴うPKFへの参加を凍結したのは、当時の政府がPKO法を強行可決させたとき、憲法違反の疑義をぬぐい去れず国民を納得させられなかったからです。PKO業務での武器使用(発砲)が厳しく制限されるのも憲法に違反するからです。小泉首相と政府がアフガニスタン戦争に悪乗りして「テロ撲滅」の看板の下で、従来禁じられてきた軍事力行使、海外派兵の制約を次々と取っ払おうとすることを許してはなりません。

PKO法改悪反対に向け第2次集約を!
 私たちは署名の第2次集約を11月末に定めて運動を進めてきました。11月末から12月初めのこの時期が非常に重要な時期になりました。現局面は、PKO法改悪反対、アフガニスタンでの「平和維持」や「難民救済」の名目での自衛隊の派遣に反対する声を国会に届け、阻止のために闘う最後の機会になりそうです。
 私たちはすでにテロ特措法に対して10月16日に緊急提出行動で3839名分、10月24日の提出行動では2364名の署名を国会に提出してきました。テロ特措法可決後も10月29日に署名用紙を手直しして11月末第2次集約に向けて署名運動を進めてきました。第2次集約分の署名はPKO法改悪反対の声として国会に提出します。第2次集約まであとわずかとなりましたが、最後まで全力で署名運動に取り組み、署名を広げることでPKO法改悪反対の声を広げたいと思います。是非ともご協力をお願いします。まだお手持ちの署名用紙がありましたら今月中に署名事務局までお届け頂きたいと思います。

太平洋戦争開戦60周年を前にして−−12/9署名運動集会への参加を!
 私たち署名事務局は、「太平洋戦争開戦60周年、アメリカの報復戦争に反対し、日本の参戦・PKO法改悪に反対する集会」を12月9日に計画しています。
 今年の12月8日は太平洋戦争開戦60周年にあたります。この節目の年に、日本の軍隊が戦後初めて海外派兵の危険極まりない深みに踏み出そうとしています。何としても食い止めなければなりません。署名事務局は、今後もアメリカが「報復戦争」を中止し空爆と戦争をやめるまで奮闘する決意です。小泉政権が海外派兵をやめるまで頑張る決意です。私たちと一緒になって「呼びかけ人」になって頂いた皆さん、署名活動の中で惜しみないご協力を頂いた皆さんにも参集いただき、是非ともこの集会を成功させたいと思います。多くの皆さんの参加をお願いします。

2001年11月23日
アメリカの報復戦争と日本の参戦に反対する署名事務局



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