(「イラク・サマワ現地からの報告−−2.8フォトジャーナリスト 豊田直巳講演会〜自衛隊派兵と劣化ウラン戦争に反対する〜」 集会決議)
自衛隊派兵承認案の参院での採決強行に反対する
−−派兵反対、即時撤収を求める運動を粘り強く進めていこう−−

1. 政府与党は明日2月9日にも、イラクへの自衛隊派兵承認案の参院での可決を強行しようとしています。衆院での単独強行採決に続く暴挙を繰り返そうとしています。本当に許せません。闘いの手を緩めてはなりません。いかなる言い逃れをしようと、イラクは戦場であり、重武装で身を固めて戦争に行くのです。米の侵略戦争への加担、占領支配への加担、残虐な掃討作戦への加担です。そして重大な憲法違反です。

2. この間に明らかになったことは、自衛隊派兵の基本的な条件がことごとく崩れたということです。米政府大量破壊兵器捜索チームの前団長の「大量破壊兵器はなかった」「今後見つかる見込みはきわめて低い」との爆弾証言は、米英が掲げてきた「戦争の大義」を根底から崩しました。イラク戦争がでっち上げであったことが判明したのです。従ってイラク特措法の前提条件も崩れ、自衛隊派兵の根拠も無くなったのです。小泉首相も米英を鵜呑みにして大量破壊兵器の脅威を理由に米英の不法な戦争を支持しました。首相は責任を取って即刻派兵を中止し撤収を命ずべきです。

 承認案をめぐる国会審議で、小泉政権のウソとでたらめ、開き直りが一層明らかになりました。先遣隊による報告書のねつ造と相次ぐ発言撤回問題は、イラクサマワの詳細な状況把握、「非戦闘地域」か否かなどを判断する調査など、政府は全くやる気がないことを示しました。ただ戦場に送り込み、戦闘訓練を積み、自衛隊を米軍と同様の「戦える」侵略軍に変える予行演習をする。ただそのためだけに派兵しようとしているのです。「復興支援」など全くのまやかしです。

3. 今なおバグダッドなどいわゆるイラク北部スンニ派三角地帯を中心に戦争さながらの残虐な掃討作戦が行われています。罪なき一般民衆が殺され、不当に拘束され、拷問を加えられ、行方不明になっています。ほとんど報道されない中で、虐殺行為が繰り返されているのです。すでにイラクの民間人死者は少なくとも1万人に達し、兵士を含めれば犠牲者は数万人に達します。負傷者・病死者、乳児死亡など戦争と占領の被害の全貌は予測が付きません。自衛隊派兵はこのような戦争=占領への加担以外の何物でもありません。

4. 政府は、劣化ウランによる放射能汚染について、米軍が認めている「使用」すら未だに否定し続けています。自衛隊員の被曝も不可避です。政府は、明確な根拠も示さず劣化ウランの人体・環境への被害を否定しています。全く許せないことです。放射能被曝と放射能汚染を頭から否定しておきながらよく「人道復興支援」と言えるものです。今から数年後、イラクの都市部、人口密集地でばらまかれた劣化ウランの影響は、イラクの民衆をガン・白血病や異常出産など、放射能障害で長期に渡って苦しめるでしょう。日本は、放射能戦争への加担者と言う意味でも加害者になるのです。
 
5. 軍国主義・反動イデオロギーとの闘いが重要になっています。政府・防衛庁は、マスコミ各社に許し難い報道規制を行い、戦争の真実の姿を国民の目から覆い隠そうとしています。これこそ戦前の「大本営発表」であり、世論誘導を目論むものです。驚くべきことに小泉首相は最近、高校生の署名活動を批判し子どもの自発的な考えと行動を踏みにじりました。同時に「学校の先生が、自衛隊派遣が武力行使とか憲法違反と言うのは問題」と発言し、平和教育・憲法教育に露骨に嫌悪感を示しました。逆に「自衛隊派兵を理解させよ」「激励させよ」と、派兵賛美教育を命じたのです。これこそ教育基本法が禁じている教育への政治の不当な介入に他なりません。私たちは、派兵と連動して進められる戦争賛美の風潮、政治反動、民族排外主義に反対していかなければなりません。

6. 日本の軍国主義復活との闘いは新たな段階を迎えました。イラク派兵は政府支配層の軍国主義的で極右的な部分を活発化させ、遂に改憲を具体的政治日程に上らせました。経済制裁法が衆院可決されました。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)敵視政策が再び高まっています。ミサイル防衛と軍拡が勢いを増し始めました。
 派兵の現実が政治状況や軍事状況を変え始めています。今、日本全国の自衛隊基地・駐屯地は、ある意味で「準臨戦態勢」に入っています。自衛の名の下、実戦さながら「敵を殺す」訓練が繰り返されています。自衛隊のイラク派兵は、戦う侵略軍へ自衛隊のあり方を根本的に変えつつあるのです。イラクを皮切りに海外派兵で戦争を行う任務が最大の任務に据えられようとしているのです。有事法制の具体化も含めた「戦争体制」作りが歯止めがなくなったかのようにエスカレートしています。

7. 私たちの派兵反対の闘いは、単にイラク派兵反対の闘いではありません。政府与党による軍国主義の本格的な復活、「戦争国家」体制作りに反対する闘いの出発点に過ぎないのです。
 暗い時代、ともすれば相手の強さに意気消沈してしまいがちです。しかし今が踏ん張りどころです。何よりも「大義名分」が崩れたのです。これは小泉政権の弱点でもあります。そして国論も二分されています。状況次第で反対世論は再び増える可能性もあります。派兵強行、無茶苦茶な国会答弁、反対や異論の封じ込め、言論圧殺等々の強硬策等々。小泉政権だって無理に無理を重ねて暴走しているのです。いつか必ず矛盾を噴出させるでしょう。私たちのような小さな取り組みを全国各地で、諦めず積み重ねることが大切です。これらが反小泉、反派兵で一つになれば、奔流になるはずです。一つの暴露、一つの行動が大きな転機になって小泉政権を突き崩す可能性もあります。

 自衛隊派兵阻止のため、すでに派兵された部隊撤収のため、更に運動を強化し小泉政権を追い詰めましょう。来るイラク戦争開戦一周年の3月20日、かつて世界で2000万人、3000万人を動かしたグループが再び反占領、米英軍の撤退を要求して国際反戦デーを呼びかけています。私たちもこの反戦デーに合流していきましょう。


2004年2月8日
「イラク・サマワ現地からの報告−−2.8フォトジャーナリスト 豊田直巳講演会〜自衛隊派兵と劣化ウラン戦争に反対する〜」参加者一同