4.29署名運動交流集会

第2部 ワークショップの報告



沖縄での反基地運動と有事法制

 源さんに、沖縄にとっての有事法制とは?という質問があり、それを中心に答えていただき、若干議論した。
 沖縄は、日常的な爆音、米軍による事故・事件、民間空港への強制着陸などなど、基地から派生する問題は途絶えることがないが、有事法制ができるとこういうことがさらにひどくなる。有事法制は日本の「有事」だけではなく、アメリカの戦争につき合わされる。第二次世界大戦以後、アメリカが有事でない時はなかった。常に戦争をおこし続けるアメリカ。その米軍基地が集中する沖縄も常に有事である。米軍にとっては沖縄中が自由な範囲だが、それがますますひどくなると思う。地位協定に有事法制が加われば、首長は協力義務が生じるから、これまでのように拒否することができなくなるからますます負担は大きくなる。沖縄で今起こっていることがこれからみなさんの所でも起こるのだろう。でも比重で言えば在日米軍の75%が集中しているのだから沖縄が負わされるものは大きい。


横須賀の反基地運動と有事法制

 筧さんの明るく元気な講演に惹かれてこのワークショップを選んだ人も多く、なぜこんなに元気に長くやってこられたのかが最初の質問になり、その答えは意外にも「親への反発から」。しかし、「『何だかんだ』とはいってもツボを押さえることが大事」と再度闘いの心構えを確認された。
 筧さんからは、9.11以降の横須賀基地の変化として、基地での検問の強化から激しい交通渋滞が日常化していること、米兵が基地を背に住民に銃口を向けること、また大阪港へのブルーリッジの入港に関連し、9.11以降行動が隠密化し、横須賀の現地にも全く情報が入らなくなっていること等が報告された。米艦船入港阻止闘争との関係では、港湾法をタテにした自治体の長による拒否が決定的であることが指摘された。基地の環境汚染についても再度紹介があったが、ゴミ焼却場の煙の事例などでは、米軍が被害があうと即座に改善されたという住民無視、米軍優先の差別体質が指摘された。
 反原発運動を闘っている人、靖国参拝違憲訴訟の原告になっている人、また私学でただ一人で日の丸・君が代に反対して闘っている人などからも発言があり、筧さんは特に耳を傾けすべてがつながっているとし、それぞれの闘いの意義と連携の必要性を強調した。
 全体を通して考えさせられたのは関西にとって横須賀は遠いということだった。関西でもしばしば紹介される沖縄よりもある意味で知らされておらず、厚木と横須賀との闘いの連携なども関西ではほとんど認識されていない。しかし、基地汚染も、騒音被害も、また筧さんが大きな写真を掲げていたようにアフガンへの出撃という点でもきわめて重大な基地であることを再認識するきっかけとなった。 


東京での沖縄の現状を伝える取り組み

 このワークショップは、東京から来られた仲宗根京子さんを囲んで行った。司会進行から話題提供まで仲宗根さん中心で討論が進んだ。最初に、仲宗根さんから北海道や東京、沖縄、横浜、日出生台、湯布院、大阪など基地のある地域の人々が少しずつネットワークを広げ、顔の見えるつながりを強めつつあること、そして、それをさらに進めるためには何が必要なのかという問題提起があった。それを受けて、参加者がそれぞれ自分の地域や職場で取り組んでいることなどを報告しあい、交流した。大阪の教員からは、大阪各地の市民運動が連携しホットライン活動を通したネットワークの広がりを実感していること、病院職員からは、病院の独立法人化を控え、看護助士が減り、労働条件が年々悪くなっていっていること、東京からの参加者からは過去の戦争遺跡を調べ、日本に侵略について徹底して学んでいることなどが報告された。
 このような報告をとおして、それぞれが地域・職場で取り組んでいるがそれがなかなかひとつに結びついていかないジレンマがあること。昨年の「つくる会」教科書不採択運動で力を発揮したインターネットを使ったネットワーク作りが有効であること。やはり地道な活動が大切であり、一人になっても続けられる運動を続けることが大切であること、などを参加者は感じていたようだった。


有事法制

 有事法制のワークショップには、普段より地道に反戦平和運動、反原発運動等に取り組んでいる市民、また自治体労働者、病院職員、教員など様々な職種の人々が集まりました。
 主に以下の二点をめぐって議論・交流が行われたと思います。
 第一は有事法制成立以前の今現在、すでに様々なところでいわゆる「戦争国家」体制作りが徐々に行われているのではないかとの指摘です。自治体職員からは、今年8月からの改正戸籍法の施工準備が着々と行われている有様が報告されました。これは国民総背番号制へとつながっていく動きです。教員からは卒業式・入学式の様子を含めて「日の丸」「君が代」攻撃の強化が報告されました。「国旗・国歌法」は、政府の答弁によれば、強制を伴うはずのものではなかったはずですが。病院職員からは東京の「ビッグ・レスキュー」でトリアージュ法という、重症者は捨てておかれる「救護」法が採用されていることが報告されました。これはまさに「野戦病院」のそれであり、有事法制をめぐって「有事のための病院づくり」や、「有事のための医療」に警戒を向けなければならないとの問題意識が語られました。
 こうした動きは有事法成立後ますます加速されるであろう、最初の問題提起にあったように有事法は「発動」前後の問題にとどまらず、「成立」前後の問題、すなわちこれが「成立」すれば、反動化・軍国主義化が一層強まるのだから、成立阻止に向けて運動を強化しようというのが、共通認識になったように思います。
 第二には署名運動を進めるにあたって現実にぶつかっている問題についての交流と、有事法の本質を説得的にどう人々に語りかけ、また、どう反対運動同士の連携を強めていくかという観点で議論が行われました。
 有事法の本質を一言で表すキャッチフレーズを考える必要があるだろう。またどうであれ自分は有事法に反対なんだということを示すワッペン・シール等を考えようとの案も出されました。
 いずれにしても国民に、まったく有事法が知られていない段階はすでに終わったといえます。国会に上程されてからは新聞報道もなされています。そういう意味では有事法が持つ本質的な意味、すなわちアメリカと共に日本が戦争を行う法律だという軍事的な側面と、これが現在から将来にわたる日本の「戦争国家体制作り」になるという側面を併せて宣伝していくことの意味が確認されたと思います。最後に、総評、日教組など従来の反対運動のセンターが不在の今、このような地道な運動を交流しあい、連携の輪を少しでも広げていくことの必要性が強調されました。


パレスチナ

 まず、米の「調停」が虐殺遂行と証拠隠滅の時間稼ぎに過ぎないこと、そしてガザなどへのイスラエル軍の新たな侵攻の危険があるという、緊迫した情勢についての質問や討論から始まった。
 次いで、私たちに何ができるかが議題となり、現に展開されている緊急署名を広めることや、支援カンパ、写真展などの提案が行われた。
 とりわけ、マスコミがほとんど真実の報道を行わない状況のもとで、ジェニンにおける虐殺の真相や、ガザにおける中学生の惨殺の事実を広く知らせていくことの重要性が議論された。また、シャロンの全面戦争に対し多くの人の関心や反発を呼んでいる一方で、パレスチナ問題そのものについてほとんど知られていないし、自分たち自身も十分知らないという現状があること、そういう中で、問題の根源であるイスラエルによるパレスチナ占領とオスロ合意後の和平プロセスへの批判が重要であることが議論された。
 さらに、パレスチナ国家の樹立に向けたパレスチナ人民の抵抗闘争・解放闘争についても関心を向け、シャロンとブッシュ政権が、「テロ基盤」を口実に何を潰そうとしたのかを知らせていくことが重要であるということが議論された。