──2005年夏季カンパのお願いにかえて──
敗戦60年:小泉復活の賭けを失敗に追い込もう!
小泉政権の自壊を、軍国主義化・反動化の流れを押し返す転機にしよう!
◎小泉は靖国神社に参拝するな
◎自衛隊をイラクから即時無条件撤退させよ
◎憲法改悪反対。教育基本法改悪反対


(1)小泉政権の自壊は小泉路線そのものの行き詰まりと破綻。小泉の改憲・教育基本法改悪反対、軍国主義化・反動化反対を争点化させよう
 政局は、総選挙に向けて走り出しました。今回の政変は、小泉政権の自壊です。小泉首相自らが「改革の本丸」と位置付けた郵政民営化法案が衆院での造反に続き、参院自民党議員の大量の造反よって否決され八方ふさがりに陥ったのです。小泉は与党を振り切り、反対する閣僚を罷免してまで衆院解散・総選挙に打って出ました。参院で否決されたのに衆院を解散するなど前代未聞です。それはこれまで4年間の小泉政治のファッショ的な手法そのものです。「私は常に正しい。」「私が何をやっても国民は大人しく付いてくる。」そのような独裁者のような手法が、一か八かの賭けへと突き進ませているのです。

 早くも政府与党と財界・マスコミが一体となって、小泉惨敗の大方の予想を覆し機先を制するかのように、「小泉支持」「改革の火を消すな」の大合唱を始めました。彼らは、「小泉執行部vs造反組」を騒ぎ立て、「刺客」や「自民党内紛」に国民の目を釘付けにし、問題の本質をすり替えようとしています。「郵政」が唯一の争点であるかのように矮小化し、勤労人民の雇用や生活、平和と外交など、山積する重要争点から目をそらそうとしています。危なっかしい小泉首相の賭けを成功させようと躍起になっているのです。
 このような中、民主党は、自らを埋没に追い込んでいます。小泉自民党と変わらない「改革断行」と「国民負担」で選挙に臨むことを決めました。平和や外交から逃げ、新自由主義と「構造改革」の強引さ、えげつなさで競い合っているのです。

 私たちは、最重要争点である小泉軍国主義を争点から外させてはなりません。そもそも小泉路線は大きく2つの部分−−新自由主義的「構造改革」と軍国主義化・反動化−−から成っています。これ以上、日本の軍国主義化をエスカレートさせてはならないのです。反戦平和の課題を徹底させる立場から、靖国参拝反対、イラク自衛隊撤兵、改憲・教育基本法改悪反対を争点化させましょう。

 私たちは、異様な小泉支持率上昇に大いに危機感を持っています。ここまで小泉自民党をつけあがらせたのは、「自民党をぶっ壊す」「改革派の旗手」と最大限に称揚したマスコミであり、それに騙された世論です。自民党と変わらない政策で小泉を延命させてきた民主党の責任も特に重大です。二度と小泉のトリックやパフォーマンスに騙されてはなりません。もしここで、支配層のなりふり構わずの小泉支持の世論工作が功を奏して、小泉の強引な総選挙の賭けが成功すれば一体どうなるのか。小泉は小泉路線全部が「信認された」と図に乗るでしょう。憲法改悪をはじめ軍国主義化・反動化の更なる危険なエスカレーションに邁進するでしょう。最悪のシナリオです。

 今回の選挙は、小泉政権の4年間を支持するのか否か、更には今後も、新自由主義「改革」の“勝ち組”や軍国主義者が我が物顔で権力や社会全体を支配する“小泉的な国のあり方”を選ぶのか否か、の“信任投票”なのです。自衛隊の海外派兵はもとより、憲法改悪、教育基本法改悪など、日本の軍国主義化・反動化の行方、将来の国家の枠組みを決める決定的に重要な岐路となる選挙なのです。私たちは、小泉復活の賭けを絶対に成功させてはなりません。
 “小泉劇場”はいずれ飽きが来ます。小泉ペースはいつまでも続くわけがありません。来る選挙は、間違いなく小泉首相に苦戦を強いるはずです。反戦平和運動の任務は重大です。日本の反戦平和運動は、何としてもこの新しい事態を小泉が4年間強引に推し進めてきた軍国主義と反動化の流れをくいとめ、押し返す転機としなければなりません。靖国参拝反対、イラク自衛隊撤退、憲法と教育基本法の改悪反対を掲げ、改めて反戦平和の取り組みを全力を挙げて強化しましょう。


(2)大手マスコミ、一斉に「小泉支持」「郵政民営化支持」で世論工作を開始。しかし郵政民営化は一体誰のためのものなのか
 本当に異常で露骨な“小泉支持キャンペーン”が始まりました。企業利益の史上記録更新を続けるグローバル資本の巣窟・日本経団連、経済同友会など財界はいち早く「小泉改革支持」を打ち出しました。
 マスコミも小泉政府・与党の「広報部」になったかのような異様さです。すでに参院採決前の段階で、全マスコミが「郵政民営化支持」を打ち出し、小泉を後方支援しました。解散劇の翌日には、選挙宣伝丸出しの竹中の「踊り場脱却宣言」を一面トップでデカデカと垂れ流す始末です。毎日毎日、「小泉支持急上昇」「構造改革を挫折させてはならない」「造反組への処分は当然」「新党結成は困難」「経営者は小泉支持」「市場はトリプル安」「海外メディアも海外市場も小泉支持」等々のオンパレード−−まるで小泉を支持すれば明るい未来が保証され、支持しなければ日本が滅びるかのような扇動をしています。

 魂胆は明らかです。今や外資と癒着・融合した財界=グローバル資本と小泉自民党と官僚機構のトライアングルが一体となって推進する新自由主義的「構造改革」路線が失速すれば、自らが中心となった日本の政治権力と経済構造の再編過程が頓挫するからです。 
 南米や欧州では、「民営化」「官から民へ」「小さな政府」など、強引な市場原理主義や新自由主義「改革」が国家経済を破綻させ人民大衆の雇用や生活を根底から破壊してきた結果、見直しが進み始めています。日本だけが、マスコミ界や政財界や学界で、現実から遊離した周回遅れ、時代錯誤の「官=悪、民=善」「市場原理主義礼賛」「市場万能主義絶対論」に沸いているのです。これも全く異常なことです。

−−郵政民営化とは何か。小泉と郵政民営化論者は次々と議論をすり替えてきています。「郵貯が特殊法人に流れて赤字になっている」「郵貯や簡保の資金を民間に開放して経済を活性化させる」「郵政族や特定郵便局長が政治を支配している」等々。しかしこれらには全てごまかしがあるのです。
 そもそも「郵政改革」とは、国営か民営かという経営・所有の形態の問題ではありません。郵貯・簡保・年金など、340兆円もの大切な国民の貯蓄を野放図に特殊法人や自治体に貸し付けて焦げ付かせ、巨額の不良債権を生み出した財政投融資制度をどう建て直すかという問題なのです。その最大の原因と責任は、この制度を取り仕切る「財務相理財局」=財務相とそれに癒着した自民党政治にあるのです。ところが小泉はこの原因と責任を不問に付し、経営・所有形態の問題にすり替えたのです。財投改革と「郵政民営化」、経済活性化と「郵政民営化」、そして郵政事業と自民党政治との癒着構造を断ち切ることと「郵政民営化」、これらは全く別のことなのです。

−−民営化の犠牲者は誰か。過疎地を含む全国津々浦々に張り巡らされた郵便・郵貯・簡保のユニバーサルサービスは最も重要な「公共サービス」の一つです。これらをバラバラに分断し、金儲けの手段にして儲からないところを切り捨てることは、国民の生活や権利を破壊することです。郵政労働者や関連部門の労働者・勤労者は大規模な首切りとリストラ合理化攻撃にさらされるでしょう。その本質は反労働者的・反人民的なものなのです。世論調査を見ても、国民の反対論、慎重論が多いのも、こうした懸念が強いからです。

−−では、一体誰が利益を得るのか。目先の狙いは、7兆円を超えると試算される「郵政株式会社」の株式売却益です。財政危機の中、小泉政府は喉から手が出るほどこれが欲しいのです。自民党・財界ぐるみの放漫財政政策の失敗のツケをこんな形で国民に回されようとしているのです。
 また、日経新聞や業界新聞を見れば一目瞭然です。参院否決が明らかとなった時点で、郵便貯金や簡易保険の資金を狙っていた銀行・生保・投資ファンドなどの金融資本が怒りをにじませました。郵便局のシステム再構築を新たな商談としていたコンピュータ業界、ソフトウェア業界も落胆を露わにしました。物流業界も然りです。もちろん、米国の金融・生保業界も非難しました。
 これらの中に小泉「構造改革」の本質が透けて見えます。「官から民へ」「小さな政府」「官=悪、民=善」などのスローガンも同様です。郵政民営化、新自由主義「構造改革」とは、国家資産、すなわち人民の貴重な財産の食い潰しであり、安値で略奪することなのです。今小泉政権がやろうとしているのは、明治初期以来の「第二の官業払い下げ」なのです。ハゲタカとは外資のことだけと思ったら大間違いです。日本の財界・大企業と金融資本もハゲタカなのです。


(3)「小泉改革」の本質−−財界による国家資産食い潰し、勤労人民の貧困化を代償としたグローバル資本の繁栄、財政危機の人民負担への転嫁、大増税と社会保障切り捨て−−を見抜こう
 郵政民営化は、「小泉改革」の全てではありません。小泉首相は、「骨太方針」と銘打って、道路公団民営化や数々の規制緩和などを繰り返してきました。これら全ての背景には未曾有の財政危機があります。しかし何十年にもわたり財政の大盤振る舞いの利権と利益を独り占めしてきたのは財界であり、大蔵省=財務省を頂点とする官僚機構であり、自民党政治であり、政官財の権力機構そのものなのです。財政を破綻させたこれらの張本人達が自分たちの責任を棚に上げ、同じ連中が今度は手のひらを返したように財政危機を煽り立て、問題を国営か民営かの経営・所有形態の問題にすり替え、破綻した財政の原因と責任を全面的に労働者と勤労人民に転嫁しようとしているのです。これが「小泉改革」の本質です。

 「小泉改革」の4年間とは何だったのか。−−それは勤労人民大衆の切実な雇用・労働・生活の破壊であり、医療・年金・福祉など社会保障制度の改悪・破壊です。「医療制度改革」という名の医療費の自己負担増、「年金制度改革」は給付カットと保険料アップ、「社会保険制度改革」については、健康保険料も、厚生年金保険料も、雇用保険料も、ことごとく引き上げ。介護保険も給付カットと保険料アップ。「不良債権処理」では、異常低金利政策と「公的資金投入」で、零細な貯蓄の利息を当てにしていた人民からこの利息を収奪し銀行・金融資本に“くれてやり”。「地方分権」「三位一体改革」とは名ばかり、それは地方の切り捨てに他なりません。
 障害者の生きる権利と自立した生活を破壊する「障害者自立支援法」なるものが、政府・厚生労働省と与党によりごり押しされようとしました。当事者の意見を無視して「応益負担」(障害が重いほど負担を増やす)の原則、障害者の地域生活、社会参加に不可欠なサービスの切り捨てなどを盛り込んだ悪質な法案でした。今回は、障害者とその家族、支援者の運動によってギリギリのところで廃案に追い込まれましたが、社会的弱者をも徹底的に押し潰すやり方はまさに小泉「勝ち組」政治の冷酷で傲慢な本質を見せつけるものです。

 今年からは、定率減税の廃止、所得税控除の廃止・縮小、住宅ローン減税の縮小など、“サラリーマン大増税”が本格的に始まります。更には、公務員制度改悪によって公務員を大量に人員整理し、給与もカット、挙げ句の果ては、消費税の大増税を強行しようと画策しているのです。

 更に忘れてはならないことがあります。「小泉改革」は、財界や大企業の意向を全面的に取り入れ、労基法をはじめ戦後労働法規全体を改悪することによって“非正規雇用”を人為的に創出し、大量のパート、「派遣地獄」と言われる低賃金・劣悪労働条件の派遣労働者、フリーターやニートなどに代表される若者の失業者の大群を生み出したのです。中小零細企業では賃下げやボーナスカットが当然のように強行され、大手企業でも成果主義賃金が導入されています。都市の商工業者の倒産と自主廃業、零細な農漁民の経営と生活の破壊なども急速に進んでいます。
 こうして、小泉政権の4年間を通じて、労働者と勤労人民大衆の窮乏化が急速に進行し、「一億総中流社会」が崩壊し、「階級・階層格差社会」「分断国家」が生まれつつあります。日本の国民も企業と同様、「勝ち組と負け組」に選別されつつあるのです。−−小泉政治にここまで踏みにじられ収奪された労働者や勤労人民大衆がいつまでも黙っているはずがありません。


(4)小泉の「構造改革」と一体の軍国主義化・反動化の4年を問わねばならない
 小泉首相が進めてきた新自由主義的「構造改革」は、軍国主義化・反動化と一体のものでした。
 軍事外交政策の面で小泉首相はこの4年間、何をしてきたのでしょうか。ブッシュのアフガニスタン戦争の支持と「テロ特措法」による自衛隊インド洋派兵、日本と日本国民をアメリカの戦争に動員する「武力攻撃事態法」「国民保護法」など一連の有事法制の制定、国民総背番号制へ道を開く住民基本台帳法の施行、教職員への日の丸・君が代強制攻撃と人権蹂躙、イラク戦争への支持と「イラク特措法」に基づくイラクへの自衛隊派兵、イギリスと同様に日本がアメリカ帝国主義の世界覇権を軍事力で積極的に担うという途方もなく危険な戦略を明らかにした「新防衛大綱」・中期防の制定。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を常時ミサイル防衛の攻撃対象とする自衛隊法の改悪、国内を管理・監視社会に変質させる政治反動化(刑法改悪、少年法改悪、旅券法改悪、犯罪行為を話し合っただけで逮捕できるという共謀罪)等々。
 小泉首相はこれら一連の軍国主義・反動政策を、イラク派兵の時に乱用したように、「憲法の隙間」や「自衛隊の行くところが非戦闘地域」というような、憲法や法律を蹂躙し、論理も何もない、詭弁を絶叫することだけで乗り切ってきました。
 小泉政権が息を吹き返せば、間違いなく次は憲法改悪、教育基本法改悪、自衛隊の海外派兵を常態化する「恒久法」が待ちかまえています。私たちは、このような最悪の事態を何としても阻止しなければなりません。


(5)靖国参拝強行でアジア諸国から孤立。アジア外交八方ふさがりの異常事態でも、日本を対中国軍事対決の“最前線基地”に造り替えようと目論む
 小泉政治は、今年の春まずアジア外交において大きな行き詰まりに陥りました。アジア侵略戦争の肯定と賛美を前提とした「つくる会」教科書採択への自民党・教育委員会による圧力、靖国神社への公式参拝表明、そして侵略戦争と植民地支配に対する謝罪と補償をを拒否した上での、ただブッシュの援護だけを期待した恥知らずの日本の常任理事国入りの画策、竹島(独島)や尖閣諸島をめぐる対韓国、対中国の挑発など小泉の暴走は、アジア近隣諸国との外交関係をかつて無く悪化させました。
 これら一連の動きに対して、今春、韓国、中国の反日デモが爆発しました。その衝動力には、過去の日本の侵略・植民地支配を問うことと、米に追随した日本の、中国・北朝鮮敵視による日本の軍事大国化への警戒と反対があります。
 常任理事国入り反対、安全性を無視した牛肉輸入問題など、対米関係もギクシャクし始めました。現在開かれている北朝鮮の核問題を話し合う六ヶ国協議でも日本は拉致問題をごり押ししむしろ会議のぶち壊し役として孤立しています。−−小泉政権の今回の自壊は、このような小泉外交の全面的破綻をも示しているのです。

 中国や韓国などアジア近隣諸国の反対を押し切っての小泉首相の靖国参拝強行がまさにアジアにおける日本外交の最大の焦点に浮上しています。靖国問題は単に小泉首相の右翼的信条の発露であるだけではありません。戦後自民党のアジア外交を「謝罪外交」と決め付け、この「自虐的外交」の転換を実現するテコにしようとしているのです。中国が、日本の投資と企業の対中進出欲しさのあまり、過去の侵略戦争や植民地支配の美化・正当化を日本でやりたい放題、言いたい放題にしても、文句を言わせないことが狙いなのです。“確信犯”です。
 また、靖国問題は、A級戦犯だけが問題なのではありません。追悼施設とは言いますが、その本質は天皇制日本によるアジア太平洋戦争と植民地支配を美化し、今も日本の軍事大国化を鼓舞する“軍国主義・反動勢力の拠点”であり、天皇制イデオロギーと神道を柱とする“極右宗教勢力の拠点”であり、政府自民党と政財界を牛耳る日本の“極右勢力全体の政治的結集軸”なのです。
 小泉の靖国参拝強行は、ここへきて、新しい、もっと軍国主義的で戦争挑発的な性格を帯び始めました。小泉を介して靖国は、ブッシュの言いなり、対米従属の日米同盟一本槍とワンセットのものとなったのです。彼は、急速に台頭する中国を軍事的に牽制し対抗するために、日米軍事同盟と在日米軍基地の再編強化を目論み、日本を対中国対決の“前線基地”に造り替えようとしているのです。断じて許してはなりません。


(6)自衛隊派兵地サマワ情勢が急変。「人道復興支援」のまやかしが露呈。今すぐ自衛隊を撤退させよ
 更に、日本国民もイラク市民もだまし続けて自衛隊を駐留させ続けてきたサマワ現地でも大きな転機が訪れています。8月7日には3000人ものサマワ市民が雇用や生活物資、水・電力対策を要求するデモに立ち上がり、イラク治安部隊と衝突、65人もの死傷者が出る事態になったのです。8日にはムサンナ州評議会が、電力不足問題や治安悪化の責任を問い、ハッサン知事の解任を決議しました。

 サマワでは7月半ばから連日のように市民のデモが起きています。この怒りはサマワ市当局や警察だけではなく、自衛隊にも向けられ始めています。路上爆弾、ロケット弾など自衛隊宿営地などに対する攻撃はエスカレートしています。小泉政府がサマワの有力者を買収し飼い慣らす拠点であった「日本サマワ友好協会」が遂に解散に追い込まれました。パフォーマンスばっかりで、雇用も水も電気も、本当にサマワ市民が必要としているものを何一つ提供しなかった日本政府・自衛隊に対する市民の怒りが爆発しているのです。
 今回の事件そのものが、自衛隊の「給水活動」や「人道復興支援」が如何にデタラメで、如何にウソ・ハッタリであったかを事実でもって暴露しています。つまり自衛隊は、ただ米占領軍の一員としてイラク南部で軍事的プレゼンスを誇示するためだけに居続けているのです。

 8月15日に新憲法制定を迎えるというイラクでは、武装勢力の反米・反占領抵抗闘争が一層強まっています。抵抗闘争の大型化、組織化は一層強まっています。アメリカ軍は本格的な撤退を検討しなければならない事態に立ち至っています。イギリスも9月にはサマワからの撤退を開始します。多国籍軍の相次ぐ撤退、イギリス軍の撤退検討、アメリカ自身の部分撤退の言及のもとで、日本政府は自衛隊の撤退を決断するときが来ています。もはや「非戦闘地域」の詭弁では通用しなくなっているのです。
 ところが、ここでも小泉首相は、郵政政局と同様、事態を意図的にギリギリまで緊張させ、殺し殺される“事件”を待ち望んでいるかのようです。最悪の事態の勃発を逆手にとって、日本の軍国主義化・反動化をエスカレートさせるきっかけを狙っているのではないでしょうか。本当に危険な男です。今すぐ自衛隊をイラクからも、インド洋からも撤退させるべきです。


(7)敗戦60年。運動の力で、イラク自衛隊派兵、靖国参拝、憲法改悪、教育基本法改悪反対を争点にし、小泉軍国主義の流れを押し返そう
 政府与党と大手マスコミが誘導するように小泉自民党が政権復活に成功するのか、民主党単独政権が誕生するのか、またはあれこれの連立政権が生まれるのか。9月11日に予定される衆院選挙の結果によって、いかなる政権が作られ、誰が首相になるかは不透明で予測することはできません。しかし、はっきりしていることは、人民大衆に犠牲を押し付ける新自由主義「改革」を進めれば進めるほど、それは自らの基盤を掘り崩していくであろうということです。

 今年は敗戦60年の節目の年です。60周年は、小泉の靖国参拝強行をめぐる対立と論争にもはっきりと現れているように、過去の問題ではなく、まさに現在の政治問題です。小泉政権の「信認」は、間違いなく改憲と日本軍国主義を新たな段階へエスカレートさせ、日本を「戦争国家」に転落させる転換点となるでしょう。小泉の「大逆転」を許すのか否か、小泉軍国主義の新たな暴走を許すのか否か、日本を「戦争国家」に転落させるのか否かの重大な選択の年となったのです。来る選挙では、イラク自衛隊派兵、靖国参拝、憲法改悪、教育基本法改悪を争点にさせ、小泉政権復活を阻止することで、日本の軍国主義化・反動化の流れを何としても押し返さなければなりません。
 敗戦50年と敗戦60年。この10年間は、政府自民党と右翼勢力が「従軍慰安婦」=性奴隷問題に集中砲火を浴びせ、教科書と教育現場から抹殺させ、戦争責任・加害責任の一切の残滓を現実政治の中から葬り去ろうと画策する教育反動・政治反動の10年でした。私たちは、反戦平和運動や戦争責任を追及する市民運動、アジア近隣諸国の犠牲者やその家族と一緒になって、もう一度、敗戦60年を巻き返しのきっかけにしなければなりません。
 
 目下の闘いの最前線は「つくる会」教科書不採択、小泉靖国参拝阻止です。とりわけ、「つくる会」教科書を一冊たりとも子どもたちに渡してはならないという取り組みに私たちは奮闘してきました。この間の「つくる会」教科書不採択運動では、危ないとされてきた栃木県栃木市・小山市、新潟市、東京都町田市、大阪府貝塚市と阪南市などで次々と不採択を勝ち取っています。
 しかし、教育委員の首のすげ替えまでやって何が何でも「作る会教科書」を子どもに押しつけようとする石原東京都では、直轄の中高一貫校に続いて杉並区教育委員会が12日に強引に「つくる会歴史教科書」の採択を決めました。各都道府県市町村レベルで激しいせめぎ合いがまだ続いています。引き続き緊張した闘いが8月一杯続きます。日本全国の民主的教職員の運動、良心的な市民の力によって、教育反動攻撃の最新の集中点である右翼教科書採択を押し込めなければなりません。

 過去の戦争の評価は、現在の小泉の軍国主義化・政治反動化と切っても切り離せないものです。敗戦60年を、新たな侵略戦争、新たな海外派兵、新たな軍国化・反動化のの年にさせてはなりません。中国、韓国、北朝鮮などアジア近隣諸国との善隣友好の年、自衛隊を戦場イラクから撤退させる年、首相の靖国参拝をやめさせる年、憲法改悪と教育基本法改悪を阻止する年としなければなりません。今やこれらの諸課題を実現するには、何としても小泉自民党を選挙で敗北させ、小泉政権に再び政治の主導権を奪回させてはならないのです。今こそ闘いの手を強めていきましょう。



 私たち署名事務局は、2005年の新年以来、「イラクの人びとの声にこたえ自衛隊の即時撤退を求める国会請願署名」に「心に刻む会」など他団体と共同して取り組んできました。イラク戦争の被害については、新たに写真展用の「ダールジャマイルが告発するファルージャの大虐殺」を作成・貸し出しを行っています。
 5月には「戦争できる国造り、グローバル企業のための国造りに反対しよう!憲法改悪と教育基本法改悪に反対する5.1討論集会」を開催し、憲法改悪と教育基本法の改悪に反対する取り組みを更に強化してきました。
 現在は、「子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会」など市民団体と共に、「つくる会」教科書の採択を許さない闘いに合流しています。大阪では、つくる会教科書や戦前の戦争賛美の国定教科書などを展示する「教科書パネル展」を開催しました。

 また署名事務局では、詳しいパンフレットを継続して発行してきました。最近では、「2004年11月:ファルージャの大虐殺」「アブグレイブ:ブッシュ政権中枢の第一級の国家戦争犯罪」で、イラクでのアメリカの戦争犯罪を告発しています。
 署名事務局は、劣化ウラン反対の運動を中心に据え、UMRCとドラコビッチ博士によるアフガニスタン市民、イラク市民、そしてイラク帰還米兵の劣化ウラン被害の調査活動を国内に紹介する一方、「UMRCイラク・ウラン被害調査カンパ・キャンペーン」で資金カンパを募り、被害調査に協力しています。その成果はドラコビッチ博士の講演録パンフ「初めて明かされる!サマワ帰還米兵、イラク住民の劣化ウラン被曝」に掲載しています。

 署名事務局は、日本人傭兵をきっかけとして話題となった「戦争の民営化」、「民間軍事請負会社」(PMF)問題、ロンドンテロなど政治事件に関する声明、米によるイラクの大掃討作戦や米の新兵募集危機などアメリカのイラク占領支配の破綻に関する論評などで恒常的にホームページで批判と情報提供を行い、そして『署名運動ニュース』の発行を継続しています。

 署名事務局は、共同行動も追求しています。8月15日には「アジア太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会」の実行委員会に積極的に加わり、分科会の一翼を担うと共に集会の成功めざして奮闘しています。その他、各地で行われる、教育基本法改悪反対や自衛隊派兵反対の集会に参加、代表派遣をしています。
 
 このような多種多様な活動を維持するためには多額の資金が必要です。全国で反戦平和の取り組みをされている皆さん、反戦・平和の志を持たれている皆さんに署名事務局への資金カンパをお願いします。
 敗戦60年の今年を、小泉軍国主義・反動化を押し返す転換点、自衛隊撤退を勝ち取る転換点の年にしましょう。共にイラク反戦、自衛隊撤退、日本軍国主義復活反対、憲法改悪反対、教育基本法改悪反対等のために力を合わせましょう。

2005年8月15日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局


アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名 事務局
e-mail: stopuswar@jca.apc.org
〒580-0023 大阪府松原市南新町 3-3-28
阪南中央病院労働組合 気付
FAX 072-331-1919
TEL 090-5094-9483(事務局)

<カンパ等振込先>
郵便振替 00950−5−178725
米戦争拡大と有事法制に反対する署名事務局
なお、郵便振替用紙をご希望の方は、署名事務局までご連絡下さい