今年こそイラクからの米英軍、自衛隊の撤退を勝ち取ろう!
憲法・教育基本法改悪、日本軍国主義復活に反対する!
−−年頭のご挨拶と署名事務局への資金カンパのお願い−−


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(1) 今年こそイラクからの米英軍の、自衛隊の撤退を勝ち取ろう!−−これが私たちの今年最大の目標の一つです。来る1月20日にはブッシュ政権が第二期目のスタートを切ります。このままでは米軍のイラク支配があと4年も続くのです。すでに2年近くに及ぶ米の占領支配は遂に民族分裂、内戦の危機を生み出す段階にまで来ました。今後4年も軍事占領が続けば一体どうなるのか、最悪の事態を何としても避けなければなりません。民族分裂と内戦の阻止、イラク民衆の民族解放、民族独立の希望と切実な願いをイラク民衆と一緒になって実現させることが、自衛隊を派兵して占領に加担する日本の私たちの責務だと思います。

(2) 悲観すべき事ばかりではありません。ブッシュと米軍は追い詰められています。昨年夏〜秋頃を境にしてイラク情勢は変化し始めました。「米軍はイラクで敗北しつつある。」私たちはそう感じるようになりました。今年3月20日はイラク開戦2周年です。彼ら占領軍にとって今年は、撤退に追い込まれるか否かの正念場となるでしょう。
 ご承知の通り、ブッシュ再選の最初の仕事はファルージャ住民の大虐殺と街全体の破壊でした。しかし、まさに典型的な戦争犯罪とも言えるそのファルージャ攻撃から2ヶ月も経ったのに米軍は未だに完全な制圧ができないでいます。反米勢力の抵抗はまだ続いており、住民の帰還は未だに実現できず、イラク民衆の怒りと反米感情を拡大させただけです。最近、数千人、数万人のファルージャ住民がデモンストレーションを決行しました。

(3) イラク似非議会選挙を今月末に控え、イラク全土で反米闘争、武装抵抗が拡大し激化しています。ファルージャで数千名の抵抗勢力が虐殺され絶滅させられたはずなのに、むしろ反米闘争は拡大し先鋭化しているのです。本当に驚嘆すべきことです。軍事力と大量殺戮では他民族を支配することはできない、帝国主義的な石油略奪、植民地支配は時代錯誤であるという歴史的な真理が改めて証明されつつあります。
 昨年末のモスル米軍基地の中での大規模な自爆攻撃は米軍に衝撃を与えました。米兵の戦死、負傷、脱走、任務拒否、帰還兵のPTSD等々がとどまることなく増え続け、米軍はベトナム戦争以来の危機にあります。非武装の一般住民を虐殺した罪悪感、大義のないでっち上げの戦争、装備の欠陥、「出口」のない占領等々、兵士の士気が低下し始めています。もはや力づくの軍事占領は限界に来ており、占領支配の破綻は明らかです。
 今年は、イラク民衆の反米・反占領闘争を原動力とし、それに全世界の反戦運動が連帯し合流する格好でイラクから米英軍、自衛隊を撤退させることを、いよいよ現実のものにしなければならない年、否、現実のものにできる年ではないでしょうか。日本の反戦運動に取り組む全ての皆さんと一緒にこの仕事に全力を挙げたいと思います。

(4) 私たちが一番強調したいことは、世界最大最強の米国の軍事力に対するイラク民衆の民族解放の闘い、武装抵抗は歴史的な出来事だということです。歴史の歯車が動くのを私たちが目の前で見ているのです。陸上戦・市街戦で米軍が勝てない、負け始めているということです。まだ陸上兵力だけの段階ですが、従って全世界に張り巡らされた軍事基地網や空軍力・海軍力は無傷のまま残っているのですが、それにもかかわらず間違いなく米国はイラクで墓穴を掘り、その軍事覇権の一角を自ら掘り崩し始めているのです。

 それだけではありません。「ブッシュがあと4年も続く」(Four More Years!)−−このブッシュの選挙スローガンは、米国経済の破綻に危機感を持つ米国内の支配エリートと投資家達に、そして世界中の金融通貨当局に、新たな行動、「ドル離れ」を促す警告となって響きました。「4年も続く」は「必ず破綻する」と同義語になり、確信となったのです。米の「双子の赤字」、対外経常収支赤字と財政赤字は相互に作用しながら膨らみ続け、遂にブッシュ再選が確実になった頃から基軸通貨ドルの信認は新たな動揺を見せ始めました。
 言うまでもなく「双子の赤字」の最大の焦点はイラク戦費であり軍事費です。軍事費をこれ以上増やすことが出来ず、今やイラク戦費が不足し始め、ブッシュ政権が鳴り物入りで開始したミサイル防衛(MD)とハイテク兵器を削減してまで、イラクの地上兵力維持に投入しなければならなくなっています。
 ドル帝国とアメリカ帝国主義、その世界覇権を支える2つの支柱、軍事力と基軸通貨ドルがそれぞれ、イラク戦争の泥沼にどっぷりはまり込む中で、根底から動揺し始めているのです。


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(1) 今年はまた、日本の帝国主義的な軍国主義の復活にとって決定的に重要な年です。敗戦60年という戦後の区切りの年、本来なら戦前・戦中の天皇制日本軍国主義による侵略戦争と植民地支配を反省し、二度と侵略をしないという新たな誓いの年でなければならない年です。ところが、政府与党はこの歴史的教訓を踏みにじり、これと真っ向から敵対する年、平和と民主主義の戦後の歴史的出発点を全面的に破壊する年にしようとしているのです。
 自衛隊を侵略軍化し、日本を侵略国家にする策動を何としても阻止しなければなりません。政府与党の今年最大の政策方針は憲法改悪と教育基本法改悪に絞り込まれました。年頭のマス・メディア、新聞各紙も、少子高齢化問題と併せて、憲法改悪を前面に押し出しました。私たちは、国民投票法案を含め、戦争放棄、国民主権、基本的人権尊重を謳う現行憲法の一切の改悪に反対です。憲法と一体の教育基本法を改悪することにも断固反対します。

(2) 小泉政権は昨年12月、今後10年に及ぶ日本の軍事外交政策の方向性、内容を決める新しい「防衛大綱」「中期防」を閣議決定しました。その具体化の年が今年です。私たち日本の反戦運動は今年1年、軍事外交戦略の転換、その具体化との闘いという重要な課題に直面するのです。
 「防衛大綱」「中期防」−−それは、イギリスと共に日本がアメリカ帝国主義の世界覇権を軍事力で積極的に担うという途方もなく危険な戦略です。米軍の世界的再編=トランスフォーメーションにも積極的に加担するといいます。ブッシュの先制攻撃戦争戦略に自衛隊と日本全体を従属させるものであり、ウソとでっち上げ、情報操作をしてまでも、石油・天然資源と世界覇権のためなら平気で世界中を侵略し、虐殺と破壊を繰り返す、そんなどう猛で野蛮な米軍の手下、傭兵として使い走りをするというのです。

(3) 小泉首相は昨年末、国民の圧倒的な反対世論を無視し、イラク自衛隊の派兵延長を決定しました。さらに今年に入って、千載一遇のチャンスとばかりに災害支援の軍事利用を加速し始めました。スマトラ津波被害に対する「支援活動」と称して、3自衛隊統合運用整備を狙い、1600名もの派兵強行を決定したのです。今や20万人にも及ぶと懸念されている膨大な犠牲者、500万人を超える被災者の弱みにつけ込む許し難い行為です。通常国会で先送り予定だった海外派兵を本来業務とする自衛隊法改悪を一転して提出する方針です。さらに、あきれたことに「治安維持」や「武力行使」(武器使用基準緩和)さえ組み込んだ「海外派兵恒久法」の強行も策動しています。自然災害を利用したこのようななし崩し策動を絶対に許してはなりません。

(4) 日本国内だけに目を向けるならば、中央政治・地方政治における反戦・非戦勢力、護憲勢力の著しい後退、民主党の与党とのなれ合い・妥協、反戦運動、労働運動、民主主義運動全体の停滞・低迷という後退的傾向が目立ち、元気の出る展望はなかなか見い出しにくい状態です。しかし上で述べたように、ブッシュのアメリカも、1990年代のような、またイラク戦争以前のような盤石に見える「一極支配」からは大きく変化しています。アメリカの軍事覇権、経済覇権がジワリジワリと崩れ始めているのが現局面ではないでしょうか。
 小泉政権と政府与党、日本の支配層は、この崩れ衰退するアメリカの世界覇権に全面的に従属し依存する選択をしているのです。変化は必ずやってくるはずです。私たちは日々の闘いの中で次の具体的な展望を見い出していきたいと思います。


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(1) 私たちは昨年末新たに、「イラクの人びとの声にこたえ自衛隊の即時撤退を求める国会請願署名」を開始しました。「戦争犠牲者を心に刻む会」などの多くの平和団体、市民運動の呼びかけで行った共同の取り組みです。今年前半の最大の取り組みにしたいと考えています。これはイラク民衆と日本の民衆の最初の共同署名です。イラクで高まる反米・反占領の心底からの呼び掛けに応えて、自衛隊撤退の活動をさらに強化する決意です。
 サマワではサドル派の自衛隊撤退の要求が高まっています。3月にはオランダ軍の撤退が始まります。何よりも1月30日の、イラク民衆不在の似非議会選挙の強行は間違いなく失敗するでしょうし、自衛隊員が殺し殺される状況がますます切迫さを増すでしょう。一刻も早く自衛隊を撤退させなければなりません。

(2) 私たちは全国各地の反戦市民運動の皆さんと自衛隊撤退署名を提起し、昨年末には派兵延長反対に焦点を合わせて取り組んできました。この独自署名は、自衛隊撤退という大目標の実現まで継続します。昨年はフォトジャーナリストの豊田直巳さんをお呼びし、サマワ現地での調査に基づき、米軍支援のための自衛隊派兵のウソ・デタラメを暴いて頂きました。自衛隊派兵の論理を論駁する活動を今年も続けていきます。
 昨年4月の人質・拘束者事件に際しては、日本の多くの反戦団体・NGOらと共に、救出のために一緒になって活動しました。5月には「フリージャーナリスト安田純平氏が語る−−拘束体験を通してみたイラク戦争・占領−−ファルージャの状況を中心に」を開催しました。

 私たちが最も重点を置いている活動の一つは、劣化ウラン弾の危険性の暴露とUMRCイラク・ウラン被害調査カンパキャンペーンです。昨年4月、UMRCのドラコビッチ博士を招請し、東京と大阪で、サマワ帰還米兵から高濃度の劣化ウランが検出され、サマワとイラクが深刻な汚染にさらされている実態を報告して頂きました。また政府・文科省・原子力文化振興財団による「劣化ウラン弾安全」キャンペーンを批判する活動にも取り組みました。
 とりわけ私たちの活動はイラク反戦と共に発展してきました。イラク占領監視センター元所長エマン・ハーマスさん講演会は、ファルージャ虐殺の直後に開催することができ、参加者に大きな衝撃を与えました。イラク戦争開戦時、「人間の盾」を組織した元米海兵隊員 ケン・オキーフさん講演会では、イラク戦争の無法性と不正義なる原点を確認しました。

 昨年は日本の軍国主義復活への動きが加速し始めた年でした。私たちは7月に「日本の軍国主義はどこまで来たのか、どこへ行こうとしているのか?」と題する学習討論会を開き、日本の新しい軍国主義について熱心な討論を行いました。昨年春の通常国会で強行された有事関連7法案に続き、いよいよ政府与党は、軍事外交戦略の大転換に踏み出す新「防衛大綱」「中期防」を策定し決定したのです。今年はこの具体化と闘う年になります。

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 私たちの活動は多岐に渡っています。イラク写真パネルの貸し出しと写真展運動、アブグレイブ捕虜収容所を告発するパンフレットの発行、ホームページでの批判と情報提供、『イラク被害報道日誌』の継続、そして『署名運動ニュース』の発行など、様々な取り組みを行ってきました。色々なご批判、ご意見を出来るだけ取り入れながらやってきました。今後も率直なご批判とご意見、ご協力を心よりお願いします。

 現在の活動を維持するには財政的な基盤を強める必要があります。全国で反戦・平和の取り組みをされている皆さん、そして平和の志を持たれている皆さんに私たち「アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局」の活動を支えるための資金カンパをお願いします。今後とも、イラク反戦、自衛隊撤退、日本軍国主義の復活反対、憲法改悪反対、教育基本法改悪反対をはじめ精一杯取り組みを強めたいと思います。反戦平和のために力をあわせていきましょう。

アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
2005年1月11日


郵便振替:00950−5−178725
名義:「米戦争拡大と有事法制に反対する署名事務局」

  (正式名称は「アメリカの戦争拡大と・・・」ですが、振替用紙の都合で「米戦争拡大と・・・」に変えています)