| 紹介 駐韓米軍問題解決運動史 『老斤里から梅香里まで』(日本語版) (363ページ 本体価格2,000円+税)
<目次>第1章 癒えることのない民間人虐殺真相究明闘争史 第2章 珠玉のような草の根民衆運動史:地域別運動史 *東豆川,議政府,龍山,仁川,平澤,群山,春川,大邱 第3章 三つの硝子玉を繋いで宝物を作ろう :全国連帯運動史 *米軍基地取り戻し,SOFA改正,梅香里 第4章 共に育てる連帯運動:主題別連帯運動 *米軍犯罪,環境問題,平和教育,今後の課題 付録 等 編集者/ [老斤里から梅香里まで]日本語版発刊委員会 翻 訳/[老斤里から梅香里まで]日本語版翻訳委員会 発行人/姜濟淑 編 集/キップンチャユ[深い自由]編集室 <発売元> 宇多出版企画 |
この本を読んだら、韓国の反基地闘争が身近に感じられるようになった。韓国での闘いが生き生きと伝わってくる。息づかいまで聞こえてきそうだ。悩みも一緒。喜びも一緒。米軍相手に果敢に闘う人々に触れ、勇気と希望がわいてくる。
駐韓米軍の実態を知ることは難しい。韓国内90カ所に米軍が駐留するといわれるが、在沖米軍のような基地機能などの資料を簡単に得ることはできない。地図にも米軍基地は載っていない。全て「軍事秘密」だからだそうだ。それが、本書を通して駐韓米軍基地の実態を知ることができる。基地の形成史(沖縄とよく似ている)、基地の広さ、所属部隊、周辺民間地域への影響、基地被害、在沖米軍基地や各太平洋基地とのつながりなどなど、市民団体が闘いの中で明らかにしたことが記されていて大変興味深い。今回2人の少女をひき殺した部隊が所属する議政府の基地についての記述もあり、事件の背景をさぐる一助にもなった。
韓国各地、18の市民団体によって書かれている本書からは、闘う人々の生の声が伝わってくる。勝利もある、運動の退潮期もある。喜びがあり、悩みがある。遠く離れていても思いは一緒だ。共感できる。各地に点在していた運動が、徐々に結びつき、ひとつの事件で一気に広がる様子が具体的に記されている。梅香里の全晩奎さんのように長年ひとりで孤軍奮闘されている人がいるからこそ、今の全国的な闘いができるのだということもよくわかる。沖縄と韓国との繋がりもある。沖縄で根付いた「人間の鎖」を韓国でも行うようになった。韓国で繰り返されている「水曜集会」「金曜集会」を今、沖縄の女性たちが毎週金曜日に行っている。沖縄から提起された「満月祭り」を沖韓同時共同開催している。互いに情報交換し合い、提起し合いながら豊かな運動を築いている。
駐韓米軍は、韓国の主要都市の中にある。人口密集地に基地がある。これが日本とは大きく違うところだ。ソウルとその周辺都市は人口が急増し、大規模住宅がどんどん建ち、「米軍基地は市民生活にとって必須の公共需要と直接衝突している状態」になっている。米軍基地が人々の生活基盤と密着しているため、環境汚染や爆音問題はその都市全体の問題となりやすい。韓国の人々にとって基地問題は遠い一地域の問題ではなく、身近な自分の問題になってきた。闘いの課題も部分的な権利や条件の獲得から「SOFAの改定」、「基地の返還」と変わってきている。「近年になってやっと芽生えてきた」反基地闘争だが、これから大きく飛躍する時期がくるのではないかと、本書を読みながら希望を持った。
反基地闘争の本としてはめずらしく、平和教育についての項目を設けている。本書に平和教育を入れているだけあって、反基地の運動団体として力を入れているようだ。先日交流した韓国の方も平和教育の大切さを強調されていた。本書では、学校はもちろん、社会教育、地域学習としても、日常的な平和教育の必要性を訴えている。この側面でも連帯できる可能性をみつけてうれしかった。
『駐韓米軍問題解決運動史〜老斤里から梅香里まで〜』は、57年間の米軍犯罪を明きらかにした。米軍を美軍と呼ぶ韓国で米軍犯罪を問うことはタブーであった。その韓国で本書が出され、日本語訳がでた意義は大きい。基地問題を考える方にはぜひ読んでいただきたい本だ。
(注文はこの本の日本語版出版のために奮闘された都さんに問い合わせてください。
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郵便振替 00920−6−92695 「沖韓民衆連帯大阪」
2002年8月22日
中條佐和子
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