小泉首相、ブッシュ支援に乗り出す。普天間事故には何の対策も打たず突如辺野古で新基地建設を強行−−−
ボーリング調査強行を許すな!
○これ以上沖縄県民の命を危険なさらすな!普天間基地の即時閉鎖!無条件返還!
○辺野古の海上新基地建設反対!ボーリング調査中止!SACO破棄!


(1) 那覇防衛施設局が米軍新基地建設のためのボーリング地質調査を名護市辺野古沖で9月7日に開始する計画を進めていることが、昨日31日明らかになりました。7日朝にも米海兵隊施設キャンプ・シュワブから海上調査の作業船を出す方向で作業を進めているということです。同施設局によれば9月3日には、環境保全措置について辺野古沖近郊の久志十三区の住民説明会を開くことも判明しました。 
 私たちはこの調査強行に断固反対します。那覇防衛施設局と政府・防衛庁に対して即刻中止を要求します。
※那覇施設局、7日に辺野古沖調査 シュワブから作業船(琉球新報)
※議員半数が出席拒否 施設局ボーリング調査説明会(琉球新報)
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/today/040901a.html
※ボーリング調査着手へ/普天間代替(沖縄タイムス)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200408311700.html#no_1
※辺野古沖 地質調査来週にも 防衛施設局が方針(琉球新報)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040831-00000017-ryu-oki


(2) 沖縄県は怒りの声で渦巻いています。辺野古移設で「解決しない」(宜野湾市長)。「県民感情無視政府は独善的」(県内移設反対県民会議)等々。
 31日に行われた名護市議会の説明会では、議員の過半数が出席を拒否しました。拒否声明を読み上げた議員は、「SACO合意を見直さずに、普天間飛行場の辺野古移設を進めるのでは十数年かかる。宜野湾市民を移設までの間、危険な状況にさらすことになる」とし、辺野古移設の推進よりも普天間飛行場の危険除去へ向けた取り組みが緊急課題だと主張しました。全く同感です。

 宜野湾市の市街地のど真ん中にある普天間基地で、沖縄国際大学のキャンパスに米軍ヘリが墜落する大事故を起こしたのは、まだほんの半月前です。周辺住民に多数の死傷者を出す大惨事にならなかったのは奇跡でした。住宅密集地の米軍基地がどれほど危険なのか、これほど鮮明にした事故はありません。
 小泉首相、日本政府が今すぐなすべきことは、普天間事故の原因究明と再発防止対策、被害者の補償、日米地位協定の根本的見直し、普天間の即時閉鎖・撤去等々、つまり普天間事故を解決することです。新基地建設強行などとんでもありません。

 米軍は、事故とその後始末を通じて沖縄をまるで「植民地」「占領地」であるかのように扱っています。「あれは墜落事故ではなく、緊急着陸だ」(在日海兵隊の前司令官)、「乗員が被害を最小に食い止めた」「人の居ないところに落ちた」「素晴らしい操縦だ」(在日米軍司令官)など、謝罪もなく言いたい放題。原因究明も安全対策も何一つなされず、人命無視、県民無視の態度は呆れ返るほどです。周辺住民は今も安心して眠れない、生活できない状況です。
 事故現場は米軍によって封鎖され、県警も消防も検証さえできませんでした。市長、副知事、防衛政務次官、外務政務次官がことごとく立ち入りを拒否されました。米軍は本土の墜落事故では認めた日本側の現場検証を沖縄では認めなかったのです。これは日米地位協定さえ蹂躙し、日本の国家主権を踏みにじる違法行為です。しかもこんな状況下で、米軍はまるで事故がなかったかのように平然と普天間飛行場で飛行訓練・戦闘訓練を続けています。イラク戦争のためのヘリ発進、戦闘訓練と演習を優先させる、許し難い人命無視、“軍事至上主義”です。このような沖縄に最新鋭の大規模米軍基地を更にもう一つ提供することなど断じて許せないことです。


(3) それだけではありません。私たちが許せないのは日本政府、小泉首相の対応です。首相が普天間の事故後最初に取った具体的措置が、今回のこのボーリング調査開始なのです。
 小泉首相は“夏休み”を理由に、普天間事故対策を一切無視しました。こんな首相がこれまでいたでしょうか。彼は一体何をしたのか。
−−8月13日午後2時15分、事故勃発の時、彼は六本木で映画鑑賞にうつつを抜かし何一つ指示を出しませんでした。
−−15日には静養先の高輪プリンスホテルでアテネオリンピック漬け、金メダル受賞者に祝福の電話を掛けて「おめでとう」の大はしゃぎでした。
−−16日には銀座の歌舞伎座で歌舞伎鑑賞。「よかっただろう。いつ見ても泣かされるね。」
−−19日、稲嶺知事がわざわざ官邸を訪れ首相に会談を申し入れたにも関わらず、「夏休みで日程の調整がつかない」と門前払い。何と彼はこの時マジックショーを見ていた!−−25日、稲嶺知事の2回目の訪問でやっと会談は行われましたが、「沖縄の人々は大変ですね」と他人事。思いあまって知事が現場を見て欲しいと懇願し沖縄訪問を促したが、「北方領土視察があるので」と拒否。等々。
 その6日後に小泉首相は突如、ボーリング調査を指示したのです。沸き上がる怒りを抑えきれない。私たちはそういう思いで一杯です。

 なぜ今ボーリング調査開始なのか。カギは2つ。27日にワシントンで開かれた米軍の世界的再編と在日米軍の再編に関する日米外務・防衛当局の局長級会合、そして28日から9月2日にかけてニューヨークで開かれている共和党大会です。元々米軍の世界的再編は、ブッシュが選挙対策で打ち出しているものです。ブッシュに何かをプレゼントしなければならない、首相はそう考えたに違いありません。
 この局長級会合で「米側は11月の大統領選前にも再編案の大枠を固めたい意向があり、日本政府の対応が定まらないことへのいら立ちがある。」米側は焦っている。しかし基地関連の自治体や住民から一斉に反発と不安の声が上がったため、「時間稼ぎ」をする必要に迫られた。あるいは何か米側を納得させる「生け贄」を差し出す必要に迫られた。何かブッシュに差し出すものはないか。行き当たりばったり、その場限りの、ただ一貫した対米追随の帰結、それがボーリング調査と考えられるのです。つまり小泉首相の頭の中にあったのは、ブッシュへの迎合と取り入り、どうやって自分の政権を維持し生き残るか。それだけです。宜野湾市民、沖縄県民、日本国民のことなど、これっぽっちもありません。
※<米空軍>横田とグアム、10月に司令部統合へ(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040828-00000035-mai-pol

 対米従属と日米同盟最優先、日本を米軍のグローバル侵略基地に作り替えようとする小泉政権、小泉首相に抗議と反対の声を集中しましょう。


(4) SACO(日米行動委員会)合意の破棄−−これが今回の普天間事故が示した教訓です。沖縄全域でこの要求が県民の声となって浮上しています。普天間はもはや即時撤去、無条件撤去しかありません。次の、本当の大惨事が起こる前に閉鎖・撤去するしかないのです。まず第一に、今後15年以上も周辺住民の命と生活を危険にさらす普天間基地を放置できるわけがないのです。稲嶺知事さえ移設前に「分散」や「移動」を口にせざるを得なくなったのはその証拠です。
 第二に、政府や沖縄県が目論む「辺野古移設」では何一つ問題は解決しません。「移設」すれば、今度は辺野古と名護の住民が命と生活の危険を、今度は未来永劫堪え忍ぶよう強いることを意味するからです。しかもかけがえのない自然を破壊するばかげた行為です。

 もうこれ以上沖縄に基地を増やしてはなりません。県内に代替基地を押しつける、「基地たらい回し」のSACOを破棄すべきです。すでに県内市町村議会のヘリ墜落抗議、普天間早期返還決議は52議会のうち31議会に達し、そのうち22議会が「閉鎖」や「SACO合意見直し」「辺野古移設再考」などを要求し、政府と稲嶺知事に反対しています。琉球新報の世論調査では「日米合意の一部見直し」49.7パーセント、「普天間返還合意の抜本的見直し」43.3パーセントで合わせて93%が反対し、「辺野古移設計画の堅持」はわずか4.3パーセントにすぎません。辺野古の新基地建設計画を白紙に戻すべきです。


(5) 現在米軍は、世界中で部隊と基地の再編を進めています。なぜ日本政府は米軍の海外基地の中でも最も危険な普天間基地の閉鎖・撤去を米政府に申し入れないのか。米軍は冷戦時代から続いた部隊の配備を根本的に変えているのです。朝鮮戦争以来の全面的な再編と言われています。対北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の“最前線”であるはずの在韓米軍の主力陸上部隊さえその半数近くを引き揚げ、米本土からの出撃部隊に転用するといいます。沖縄・普天間の海兵隊部隊が沖縄にいなければならない理由はますますなくなっています。今や日本・沖縄の「防衛」に何の関係もないことは明らかなのです。そのことは現に沖縄の海兵隊地上部隊が全部イラクに送られて長期にわたって基地が“カラ”であること、普天間のヘリ部隊がイラクに送られ長期間帰ってこないことからも明らかです。

 ここでも日本政府が問題になるのです。米軍が日本を手放さないのは、国民の巨額の税金6600億円を「思いやり予算」という形で投入しているからです。米本土より基地の維持費が安ければば誰が引き揚げるでしょうか。基地を提供するだけではなく維持費まで面倒を見る。そんな国は世界中どこを見渡してもありません。

 どこまで米政府・米軍の方を向き続けるのか。いったい誰の政府、どこの政府なのか。小泉政権のやろうとしていることは、現地住民、沖縄県民の願い、望みを完全に無視し踏みにじるものです。今日本政府が開始すべきなのは米軍に迎合しボーリング調査=新基地建設を開始することではありません。米軍に在沖米軍基地の縮小・撤退を求め直ちに交渉を開始することなのです。


(6) 辺野古の住民は、今年4月19日に一旦強行されようとしたボーリング地質調査を文字通り体を張って阻止しました。そしてそれから4ヶ月以上にわたって現場で座り込み、監視、阻止行動を続けています。この現地の闘いこそが、ごり押ししようとする政府・防衛施設庁を追い返し工事を阻止してきたのです。おじぃ、おばぁたちが、また支援に駆けつけた県内外からの人たちが風雨の下、炎天下の下で歯を食いしばりながら闘ってきたのです。その闘いには本当に頭が下がる思いです。

 この必死の闘いの結果、一旦は封じ込められた「SACOを見直せ!」という声が再び強まってきました。普天間の事故をきっかけに「SACO見直し」は奔流となって沸き上がっています。米軍の世界的再編の動きの中で反対の声を上げるチャンスが出てきました。そして今、普天間の閉鎖・無条件全面撤去と辺野古新基地建設阻止が結び付き、「どちらもいらない」「もうこれ以上基地はいならい」「もうたくさんだ」等々、県民の怒りは頂点に達しています。

 闘いは決定的な局面を迎えています。沖縄の基地の運命を決する重大な局面です。防衛施設庁のボーリング調査強行を何としても阻止しなければなりません。これは現地と沖縄の人々だけでなく、本土の私たちの課題です。FAXやメール、ありとあらゆる手段を使って今すぐ反対の声、抗議の声を上げましょう。沖縄現地、辺野古現地を孤立させてはなりません。
※辺野古座り込み情報は、平良夏芽(タイラナツメ)日本基督教団うふざと伝道所牧師のサイトをご覧下さい。http://www.asahi-net.or.jp/~qg2n-tir/

2004年9月1日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局


[抗議先]



● 小泉首相
 〒100-0014 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣官邸
  首相官邸 Fax: 03-3581-3883 Tel: 03-3581-0101/03-5253-2111
  WEBサイト投稿ページ: http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html


● 石破防衛庁長官
 〒162-8801 東京都新宿区市谷本村町5-1 防衛庁
 Tel 03-3508-7525 FAX 03-3502-5174 Eメール info@jda.go.jp


● 那覇防衛施設局
 〒900-8574 那覇市前島3丁目25−1
 Tel 098-868-0174 FAX 098-866-3375


● 防衛施設庁
 〒162-8861 東京都新宿区市谷本村町5−1
 Tel 03-3268-3111(大代表) Eメール info@dfaa.jda.go.jp