有事関連法の廃案を要求して
中央で23日、24日連続の大規模集会


−−集会参加者からの報告−−

 「与党3党による5月末衆議院強行採決か」という緊迫した情勢の23日と24日、この暴走を食い止め、廃案まで追い込もうと、労働者・市民・宗教者などの大規模な集会とデモが都内で相次いで開催されました。


■ 5月23日の『第3弾 異議あり!! 有事法制──戦争の準備にはNOを──5・23集会』

 わずか30時間余りの審議で、質問に対してもまともな答弁もなされないままで、採決に必要な公聴会日程を与党単独で議決したことに対して、野党4党が結束して審議拒否で対抗するという重大な局面の中で、本集会が開催されました。
 集会のよびかけは、「フォーラム平和・人権・環境」「テロにも報復戦争にも反対!市民緊急行動」「原子力資料情報室」の3団体で、「異議あり!有事法制、憲法に基づく平和政策を求める3・14全国集会」以来の第3弾目の集会です。参加者は、連合内旧総評系の労働組合を中心に、市民団体、宗教団体、政党などが加わり、4000人を越える人々で日比谷野外音楽堂はほぼ埋め尽くされました。
 開会の挨拶は「フォーラム平和・人権・環境」から行われ、そのなかで与党による地方公聴会延期が報告されると会場から大きな拍手が起こりました。政党からは、菅民主党幹事長と福島社民党幹事長が挨拶に立ちました。菅幹事長は、有事法制に対する考え方が会場に参加している皆さんとは違うところもあるかもしれないけれどもと断わりながら、与党3党の特別委強行議決を批判し、一致するところで闘って行こうという訴えがなされました。福島幹事長からは、有事関連法案が日本を守るためではなくアメリカの戦争に参加するためのものであることや、そのために国民の権利が踏みにじられ憲法が否定される法案であることなどが訴えられ、廃案を目指して最後まで闘うことが表明されました。
 参加団体からのアピールでは、大分の労組代表は、署名運動や自治体への要請運動など、職場・地域での地道な取り組みを報告し、全国で闘いを組織していくことを呼びかけました。また、新聞労連の代表は、個人情報保護法案の反対とあわせて有事法制に反対していく決意を述べ、「労働組合がいま闘わなかったら、労働組合ではない」と強調し、大きな拍手をうけました。その他いくつかの団体からのアピールのあと、主催者から行動提起がなされ、24日から31日の国会前座り込み、6月12日中央決起集会などが提起され、大分における闘いを全国に広げて行くよう訴えられました。
 また集会の中で、翌日24日の集会主催者からの参加呼びかけが紹介されました。
集会後はデモ行進(パレード)に移り、銀座から東京駅付近の、家路を急ぐ労働者や市民に、有事法制廃案の訴えがアピールされました。


■ 5月24日「STOP!有事法制5・24大集会」

 与党3党が、自ら強行議決した地方公聴会日程を延期し、さらに中央公聴会も延期せざるを得なくなるところまで追い込まれ、反対に、有事法制反対運動はまず初戦で敵を後退させ、いよいよ本決戦に向かおうというタイミングの24日、有事法制反対の闘いとしては最大規模の集会とデモが、幅広い共闘体制のもとで開催されました。
 集会のよびかけは、陸・海・空・港湾労組20団体、平和をつくり出す宗教者ネット、平和を実現するキリスト者ネットで、集会名は「有事法制に反対する人 みんな集まろう! 憲法をまもって 平和なアジアと世界を STOP!有事法制5・24大集会」というものでした。会場の明治公園は、4万人を越える労働者・市民・宗教者・学生などでぎっしり埋まり、有事法制反対の集会としては最大規模のものとなりました。参加者は老若男女と多様で、緊迫した情勢を反映するものとなりました。なかでも、やはり一番多かったのは労働組合で、全労連系の組合が中心であり、全労協の旗も見受けられました。しかし、前日日比谷に結集した労働組合の旗はほとんどみかけませんでした。また、市民の参加も多く、中年から老年の参加者も多かったようですし、学生や若い青年たちが集団で参加していました。会場のまわりでは、下関の「原爆展を成功させる会」による原爆のパネル展示がおこなわれ、広島・長崎の原爆写真や原爆詩人・峠三吉の詩など、あらためて戦争の悲惨さを想い起こさせるものでした。
 集会ではまず、よびかけ団体の「平和をつくりだす宗教者ネット」の木津上人(日本山妙法寺)から開会宣言として、さまざまな違いを乗り越えて有事法制の廃案を願っているものが集まっていることが強調され、戦争の被害者にも加害者にもならない日本を築こう、とアピールされました。つづいて、志位共産党委員長、生方民主党議員、中村参議院議員(緑の会議代表)、土井社民党党首から、国会での緊迫した状況と各党・各会派の有事法制廃案に向けた決意が報告されました。志位委員長は、国会審議で明らかになった有事関連法の危険性を説明し、闘いはいまが攻めどころであり、この集会を契機に廃案を目指す運動を全国に広げて行こうとよびかけました。生方議員は、民主党の一部しか代表できないけれども自分としては廃案まで闘う決意を表明し、中村議員も有事関連法案がリアリティのない法案であり、最後まで反対していくことを表明しました。最後に土井党首は、平和憲法を守り生かしていくことが日本の道であることを強調し、「なにがなんでも有事法制を廃案に追い込み、小泉内閣にレッドカードをつきつけていこうではありませんか」と訴えました。
 このあと、日本青年団協議会、地方議員、全労連、宗教団体、市民団体、そして高校生から、それぞれの立場からの有事法制反対のアピールと反対運動への取り組み状況の報告がなされました。とくに高校生からのアピールには、会場から大きな拍手が送られていました。また、集会の途中で、司会者から、昨日の集会「第3弾 異議あり!! 有事法制──戦争の準備にはNOを──5・23集会」からの連帯のアピールが紹介されました。
 最後に、「STOP!有事法制5・24大集会」宣言において、「本集会の名において、政府に対し直ちに有事法制整備を断念して法案を廃案にするよう強く求めます」と読み上げられました。そのあと、3つのコースに分かれてデモ行進が行われました。それぞれが工夫した横断幕やのぼりやプラカードを掲げ、さらに歌や踊りなども交え、道行く人々に有事法制の廃案がアピールされました。

 23日、24日と続く中央での大規模な集会とデモは、全国でのさまざまな闘いとともに、野党の一致した審議拒否と合流して、今月末衆院強行採決という与党の賭けを打ち砕くのに一定の役割を果たしたと言えるのではないかと思います。そして、これからの廃案に向けた本格的な闘いのための礎にもなったと思います。