[報告]9月26日 安倍新政権に反対する3つの国会行動
教育基本法改悪、共謀罪、集団自衛権行使の解釈改憲−−まれにみる反動政権との対決を決意


 9月26日、安倍晋三政権誕生の第165臨時国会開会日に照準を合わせて、午後から夜にかけての時間帯に、国会前で合計3つの対国会・対安倍新政権の行動が続け様に取り組まれました。1つ目は12時30分から午後2時にかけて行われた「共謀罪の新設に反対する市民と表現者の院内集会」、2つ目はこのすぐ後に開かれた「憲法破壊の暴走政治を許さない! 院内集会」、そして最後が午後6時から7時過ぎまで、土砂降りの雨の中にもかかわらず、全国から集まった参加者の方々が最後までやり抜いた「教育基本法の改悪をとめよう!9・26国会前集会」です。
 これらの集会はみな、この日誕生した安倍新政権の進める“戦争のできる国造り”に何とかストップをかけたいという熱い思いが飛び交っていました。行動参加者たちは、かつてない反動的で右翼的な安倍政権にひるむことなく、先の通常国会で共謀罪法など3悪法の成立を阻止した力、9.21の日の丸君が代強制違憲判決を勝ち取った力、そして沖縄の反基地闘争の力など全国の運動の力を結集して対臨時国会の闘争を闘い抜こうという熱気にあふれていました。署名事務局を代表して大阪から参加した一人として、このすばらしい集会、行動について、みなさんに報告し、元気を共有したいと思います。

2006年9月27日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局 (T.U)



「共謀罪の新設に反対する市民と表現者の院内集会」
通常国会での共謀罪成立を阻止した力を臨時国会へ

 「東京は雨」というのが今日の天気予報だった。新幹線、東京メトロを乗り継ぎ、丸の内線を国会議事堂前駅で降り、1番出口の階段をゆっくりと上がると、どんより曇った空からはすでに小雨がぱらついていた。出口の真正面に若い警官が二人、後ろ手に組んだ姿勢のまま、不躾な視線をこちらに向けているのに気がついた。地下鉄の出口から吐き出される乗降客の中から、「不審者」を見つけ出すのが自分の仕事ですと言わんばかりの露骨な視線。今年の春にも議員会館内の集会に参加したが、そのときは警官はいなかった。やはり、今日は臨時国会開会日。新首相が選出される日だからなのだと勝手に得心して、一つ目の集会の会場である参議院議員会館へと急ぐ。
 地下鉄出口の真正面には国会記者会館、広い道路をはさんでその右手真正面が首相官邸である。「もうここに小泉はいないのだ、今日からは安倍が入居するのだ」という思いが瞬間、脳裏をよぎる。衆議員・参議員の議員会館は、その首相官邸からおよそ200メートルくらい北に離れた所に並んで立っている。その向かい、東側に国会議事堂があり、議員面会所(議面)がある。
 参議院議員会館前の、国会に面した道路の上で、どこかのグループが集会を開いていた。「教育基本法改悪阻止」や「改憲反対」「共謀罪新設を許すな」などのスローガンの書かれたポスターを貼りだし、のぼりをたくさん立てて、発言者がマイクでしゃべっていた。少し発言を聞こうと思ったが、時計を見ると12時10分を回っていた。肝心の院内集会に慌てて飛び込むことになりはしないかと思い直し、すぐに会場の第3・第4会議室に向かった。

 第3会議室は、議員会館2階へ通じる階段を上がり、左手一番奥のところにある。会場にはいると、すでに50名くらいの人が集まっており、主催者の人々が配付資料を机に並べて整理している真っ最中だった。「共謀罪の新設に反対する市民 表現者の院内集会」と書かれた横幕が正面のホワイト・ボードに掲げられていた。
 着席し、配布された資料に目を通していると、参加者が途切れることなく続々と入って来る。定刻の10分前にはもう会場は満席となっていた。最終的には実数で160名は超えていた。
 アムネスティ・インターナショナルの寺中さんの挨拶と司会で集会は始まった。共謀罪反対ブログでおなじみの保坂展人衆院議員が簡単なあいさつ。続いて共産党議員。反差別国際運動日本委員会の森原秀樹さんは、共謀罪に反対する実に多様な論点が具体化してきた、盗聴されるから反対、運動弾圧につながるから反対、人権蹂躙だから反対、こういう具体的な論点を一層広めることが大事と訴え、今日の“3団体共催”は初めてだと指摘し、この共闘を大事にして、今日生まれる、「少数者の存在を許さない」安倍新内閣との対決を訴えた。続いて民主党の松岡徹議員が発言。「非常に危険な政権が今日生まれる」「何としても共謀罪を廃案へ追い込む闘いをしたい」「昨日も民主党の党大会があったが、うちの小沢さんも断固反対と言っておりますので・・・」 と会場の笑いを誘った。社民党は福島党首が来場し、熱のこもった挨拶をおこなった。教育基本法改悪、憲法改悪、共謀罪、防衛庁の省への昇格法案、これに加えて自衛隊恒久派遣法案もあるかもしれないことを訴え、日本の米軍基地の再編、強化に反対することと併せて問題にしていく姿勢を鮮明にし、安倍新政権を「今までの自民党政権の中で最も戦争に近い内閣」とこきおろした。「国のために命を捧げることは大切だ」という安倍の発言をやり玉に挙げ、本当に怖ろしいことだ、気分的には反戦・反ファシズム統一戦線だ、と気勢を上げ、とりあえずはまず「すでに野党共闘が成立している共謀罪導入反対」で頑張ろう! と締めくくった。

 続いて日弁連・共謀罪等立法ワーキンググループ委員の山下幸夫弁護士が発言した。「越境組織犯罪条約は必ず共謀罪の創設を求めているわけではない−日弁連の条約批准国の検討結果報告−」と題するレジュメが別に配布され、その要旨が説明された。この日弁連の調査は、@国連越境組織犯罪防止条約32条が定める締約国会議(2004年から2006年まで毎年開催)の報告書 A国連事務総長が受理した通知、宣言、および留保に関する報告書 を調査・分析したものだ。ちなみに、これらの報告は、ウェブ上で公開されており、誰でもダウンロードできるという。
 山下氏はこれまで政府・外務省・法務省が「嘘をつき通していた」ことを正面から問題にし、批判した。これまで政府は共謀罪導入の根拠としている越境組織犯罪条約の導入の世界各国での実情について、ほとんどわからないと言ってきた。それは、先の「誰もが入手できる」インターネット上でも公開されている公文書で明らかになっている情報であるにもかかわらず、それをいっさい無視し、世界各国でのこの条約の取り扱いの実情を意識的に隠してきたことになることは明らかだ。他方で、この条約を自国の国内条件を無視して強制的に導入すべし、とは誰も言っていないのに、日本政府がそのまま条約を批准し、かつ「共謀罪」を新設しなければいけないように語り続けてきたことも大問題だと言う。さらに山下氏は、アメリカでさえ、条約の重要な一部(5条)を留保していることを指摘しながら、「条約を批准するために共謀罪が必要というこれまで政府が言っていた口実はすべてウソ」と指弾し、日弁連がこの9月14日に出した意見書は、「共謀罪の修正ではなく、認めてはならないもの」と明記していることを紹介し、返す刀でこの共謀罪は、まさに国民への背信行為であり、絶対、許してはならないと訴えた。最後に、現在、衆院法務委員会はいつでも成立させる構えであるが、これを阻止するために頑張る、と表明した。10月18日には都内で日弁連の集会が開かれる予定となっている。

 次に精力的に共謀罪反対の論陣を張って来た足立昌勝さんが発言に立った。足立さんは、「結局、政府や自民党自身がダメといっていた政府案しか残っていない」こと、更に今でも「逮捕要件」が警察庁から法解釈の中に入って来ていることを明らかにした。つまり、共謀罪の適用に当たっては従来の「処罰要件」−「共謀遂行のための何らかの動きに入ったと認められる行為」−を満たすとき初めて「逮捕できる」ということだそうである。これ自身、全く矛盾している。「共謀」のみで犯罪が成立するのではなかったのか?まったくばかげた、支離滅裂な法律で、こんな法律はダメ、内心の自由を縛ることは許せない、と訴えた。
 小倉利丸さんからは、「サイバー犯罪条約」の怖ろしい問題点が指摘された。この法律が通れば、固定電話も携帯も、パソコンも、すべてが警察の監視の対象とされてしまうのだ。仮に共謀罪が通らなくても、このサイバー犯罪取り締まりの部分だけでも立法化されれば大変なことになると訴えた。盗聴やおとり捜査が日常的なアメリカの捜査機関では、“人間関係の相関図”を作ることが主な仕事だという。“誰が何をしゃべったか”よりも、“誰としゃべったのか”ということの方が重要だというのだ。この法律も一緒に問題とすることを強く訴えた。司会の寺中さんから、入管法改悪がすでに通ってしまったが、警察はそれを捜査にフル活用している。先日の新聞報道でも明らかとなったが、警察が外国人を見て「怪しい」「不審者」と思えば、すぐに職務質問し、いろいろな口実で逮捕し、情報を収集する。事態はここまで来ているとの補足があった。

 日弁連の斉藤義房さん(少年法「改正」問題緊急対策チーム座長)から、少年法のさらなる改悪についての発言が行われた。現在、衆院法務委員会では、少年法か共謀罪か、という状況であること、少年法改悪反対で連日の院内集会を持つ予定であることを明らかにした。少年事件の件数はむしろ減っているにもかかわらず、「重大事件」でのマスコミの無責任な宣伝の影響で不安が拡大させられている。そもそも、「重大事件」を引き起こすような少年に処罰で対処するのは間違いであり、福祉こそが本当に必要なのだと力を込めて訴えた。そして今回、国会に提出されている改悪案は、14歳以下の少年事件にも、警察の取り調べを導入しようとするものだ。この点、ただでさえ、大人を相手にしていても、警察の取り調べによる冤罪発生は日常的にあるのに、まして14歳以下の子供など赤子の手をひねるようなものだと批判した。さらに、「虞犯(犯罪を起こすおそれ)のおそれ」があるという、屋上屋を重ねるようなわけの分からない規定を導入することで、警察が目をつけた少年の徹底的な情報収集が可能となるという。少年本人を警察に直接呼び出せるだけでなく、保護者も、友人や知人まで、さらに在籍する学校にも情報提供照会が出せるようになるというのだ。結局、警察が「これは」と思う「公私の団体」にいくらでも介入・関与することができるようになる。こんなおかしな話はない。一体、憲法の保障する「個人の自由・尊厳」はどこに行ったのか? 警察は犯罪捜査に職務を限定すべきだ。先生は学校の教育でがんばれ。警察は市民社会に介入するべきではない、と切々と訴えた。この問題で、早速明日(9月27日)、院内集会を開く予定が紹介された。
 グリーンピース・ジャパンの星川淳さんが安倍政権を揶揄して、何でもあべこべ政権だと揶揄した。曰く、「美しい国」は、実は最も醜い国にこの日本をするものだから。曰く、「平和な国」は、実は外国へ出かけて戦争を求めるような国のことだから。「確信犯の強権発動政権」が安倍新政権であり、これと対決しようと訴えた。
 最後に、「共謀罪反対動画」を作成しているグループを代表して、寺澤さんから、今日の集会は、共謀罪法案反対NGO・NPO共同アピール・共謀罪の新設に反対する市民と表現者の集い実行委員会・共謀罪に反対するネットワークが初めて一堂に会して実現したものだ。これを大事にして、「共謀罪反対の一点でともかく一つになって、結集してがんばろう」との訴えが行われた。

 集会は非常に熱のこもったものとなった。何としても共謀罪阻止のために全力を尽くして闘おうという意欲に満ちた雰囲気が全体を支配していた。議員会館での院内集会で、部屋に入りきらないほどの人が集まった集会を私はこれまでに経験したことが無い。これまで3年に渡り、またこの春からは激動の動きの中で共謀罪を阻止するために闘ってきた様々な市民運動が、「安倍極右戦争推進内閣」の誕生を機に、それにひるむどころか更に従来にもまして闘うパワーを蓄積し、更に大きな「共謀罪阻止」のための大同団結を実現するために大きなうねりを生み出そうとしている、そのように感じられた集会となった。



「憲法破壊の暴走政治を許さない!院内集会」
150人を越える参加者で熱気あふれる

 午後2時半からの院内集会は、すぐ横の衆議院第2議員会館、第4会議室で行われる。すぐに移動。雨はすでにいつの間にか本降りとなっていた。
 第4会議室は、先の集会の部屋に比べ、だいぶ狭い。この部屋にまたまた続々と人が押し寄せる。あっという間に満杯となり、座れない人の方が多いほどになった。主催者発表で150名以上がこの狭い会議室に詰めかけた。

 集会は高田健さんの挨拶で始まった。
 「今日、今頃、衆参本会議でおそらく安倍晋三が首相に選ばれている。これまでの発言に大きな危惧を覚える。従来の自民党政権の枠を超える発言だ。集団的自衛権行使に道を開こうとしていることを、まず弾劾したい」という積極的な発言で始まった。この集会の目的は、「集団的自衛権行使容認発言を許さない! 改憲手続き法案、教育基本法改悪、共謀罪法案、自衛隊法改悪、海外派兵『恒久法』、テロ特措法延長などに反対」、である。安倍政権の政策は平和と人権を踏みにじるものであり、この第165臨時国会で対決していきたい、本日、連携して開かれる3つの集会を出発点に、最後まで闘っていきたいとの決意表明であった。

 続いて糸数慶子参議院議員が、11月に行われる沖縄知事選の野党共闘統一候補として立候補する事になったこと、「つい3日前、ようやく夫を説き伏せることができた」とユーモアあふれる挨拶を行った。安倍首相は、沖縄の米軍基地=キャンプ・シュワーブに基地を作らせたいと発言したことが許せない。今度の沖縄知事選挙は、沖縄だけにとどまらない大きな意味を持っている。夫はキャンプ・ハンセンの米軍実弾訓練の際、それに反対して訓練場に入り、逮捕され、7年間の裁判闘争をした一人だ。不当逮捕された夏芽さんのお父さんも、一生懸命、弁護活動をして支えてくれた。私は平和な沖縄を作りたい。糸数さんの真剣な訴えに、会場からは大きな激励の拍手がわき起こった。
 民主党の平岡秀夫衆院議員は、「市民と共に、何としても共謀罪、これを阻止したい」と発言した。「党首は別の機会に色々言っているが、私は『世界』4月号で集団的自衛権行使反対を明言した」とも発言し、ここでも会場の笑いを誘った。
 社民党はこの集会でも福島党首が出席し、「ナチス・ドイツも最初登場したときは軽く見られていた」「安倍新政権は改憲、戦争、愛国心強要政権だ。これを許さず、反戦・反ファシズム統一戦線で、と言いたいところです。臨時国会で大暴れします!」とアピールした。

 「教育基本法改悪を止めよう!全国連絡会」の若い女性からは予防訴訟裁判での完全勝利判決を受け、力のこもった真摯な発言がなされた。予防訴訟の画期的判決は非常にうれしい。教育基本法改悪は、教育の場から格差を作り出していこうとするもので、許せない。自分の育った所は福岡の炭坑地帯で、閉山後、みんな生活保護でしか生きられなくなった。その子供達も生活保護でしか生きられない社会になった。格差の固定だ。平等であるべき学校から格差を生み出し、固定するのが教基法改悪だ。これを許さないため、今日6時からの国会前集会へ、みんな来て下さい。大きな拍手が巻き起こった。

 市民ネットワークの小倉さんから、共謀罪と改憲の関係についての発言があった。「話し合う」だけで罪となる共謀罪は、もし今国会で先に通ったら、改憲反対運動への弾圧を容易にするもの。また、改憲手続き法や自民党の言う「新憲法制定」ということそのものが許せない。だいたい、憲法というものは、市民が作り出す国の規範だ。自民党という単なる一政党が、「新憲法を作る」と口にすることそのものがいわば、一党による「国家乗っ取り」「クーデターに等しい」。憲法は国民の手でしか作れない、との力強い発言があった。宗教者平和ネットからは、平良牧師の不当逮捕と警察への抗議、釈放の働きかけの訴えがあった。

 この集会の後半には、日本共産党系の諸団体が挨拶を行った。まず志位委員長が登場した。安倍政権は小泉政権と違い、外国で戦争をすることをむき出しにしている。これは逆に批判しやすい。教育基本法改悪問題では、まず先日の東京地裁判決を闘いに活かすこと。次に、安倍の「教育論」−反教育論を徹底して批判することを主張、教育への国家統制と格差付け、ふるいわけ、どんなひどいことになるかが手に取るようにわかってくると語った。先日初めて韓国を訪問し、ウリ党やハンナラ党などと交流してきた。日本の右傾化への心配をみんなから聞いてきた。アジアに対する責任を感じた、と発言した。東京都教組の代表は、10月14日、明治公園での集会に参加を訴えた。「命を捨てても教基法を守ろう」を合い言葉に頑張る、とも発言した。新日本婦人の会からも、10月14日の集会への参加が呼びかけられた。



「教育基本法の改悪をとめよう! 9.26国会前集会」
土砂降りの雨の中、教育基本法改悪阻止の国会前集会をやり抜いた!!
−−安倍新政権に国会初日に先制(先生)パンチ!!−−


 集会は午後6時から開始された。議員会館前の歩道はことに狭く、集会を執り行う上では実に具合がよろしくない。しかしその狭い歩道の上で、横に長く広がって、臨時国会、安倍政権に対峙して、集会は始まった。
 集会は、最初から熱気を帯びていた。雨が間断なく降りしきり、激しさを増す一方なのに、集会参加者がどんどん増えるのも珍しい。しかも、みんな元気だ。その証拠に、発言に対し、よく声が出る。とても親近感を持っていることがわかる。その理由の一つは、特別な壇をしつらえてあるわけではなく、同じ平場でしゃべることにあると思う。参加者と発言者が、よくあるように壇上と下とで断絶させられていない。これが良いのだ。発言者も、それを聞く参加者も、みんなずぶぬれになりながら、熱い連帯感を持ちながら集会を最後までやりぬいた。

 9月21日に完全勝利を闘い取った「日の丸・君が代」強制反対予防訴訟原告団であり、「被処分者の会」の代表は、9/21判決による勝利を高らかに宣言し、「自分たちが正しく、都教委が間違っている」「都教委は憲法違反、教基法違反」と繰り返した。そして、「東京の教員は、全国の最先頭を切って闘い抜き、教基法改悪を粉砕する」とぶち上げた。この上なく苦しい状況の下、苦しい闘いの道のりを歩んで来られたにもかかわらず、このパワーは一体何なんだ。今回のまさに歴史的な勝利判決が、新たな無尽蔵のパワーの源泉となっている、そう感じた。

 私たちが憲法連続講座で講師としてお招きした大内さんもこの集会に駆けつけ、腹の底から振り絞るような声で、参加者に呼びかけた。「安倍政権の教育政策の本質は、新自由主義に基づく学校の格差付け再編と国家統制だ。この臨時国会ではまさに1日1日が勝負だ。油断せず、闘い抜こう。ここへ来たのは、それを訴えるためだ」。
 全国連絡会の三宅さんも「安倍政権を怖がらず、油断せず、連帯を求め、人間同士の信頼を固めて教基法改悪に反対して行こう」と訴えた。
 宮城県からやってきた小学校の男の先生。「処分されそうになっている。自分は子供を大切にする教育をしてるだけだ。みんながスーパー教員になったら、どうなります? 子供が全員、勉強ができたら、どうなります? みんな逆上がりが得意な子ばかりだったら、どうしましょう? 学校とは、そんなところではないはずです。」

 大分から来た農民だという人。「自分はこれまで運動や演説などしたことがない。この教基法改悪だけは許せない。自分にはカネもめぼしい土地もない。子供に残せる財産は、教基法と憲法を守ること。自分の子や孫が安心して住める国にすることだ!」と胸を打つ発言を行った。
 集会は全体として、9/21判決の勝利の余韻を色濃く反映し、それが参加者のエネルギーを何倍にも高めていると確信させた。
最後に、国会と首相官邸に向けて、「教基法改悪を阻止するぞ!」「学校の格差付再編を許さない!」「憲法改悪反対」「愛国心の押しつけ反対」等をシュプレヒコールし、終了した。 教基法改悪を阻止するための、長い臨時国会での闘いの火蓋は切って落とされた。