[投稿]岩国市長選の結果を見て、政府の卑劣なやり方に抗議する−−それでも艦載機移駐は受け入れられない

 2月10日の岩国市長選での「移駐容認派」の僅差での勝利を見て、改めて岩国市での基地問題と艦載機移転問題の深刻さを伝えたいと思い投稿します。
 岩国市長選において、空母艦載機移駐容認派の福田氏が当選しました。移駐反対を貫き政府との話し合いを主張していた井原前市長は、1782票の僅差で敗れました。投票率は前回を大幅に上回る76.26%に登りました。米軍再編を押しつけるためには手段を選ばない日本政府の卑劣なやり方が効力を発揮したこと、しかしそれでもこれ以上の基地負担は受け入れられないという住民の切実な思いがこのような結果になって表れたのだと思います。
 私が岩国で話を聞くことができたのは、離発着訓練の騒音被害で耐えられないと語る人と、不況で客足も遠のき地域活性化を期待するタクシーの運転手さんでした。福田氏に投票した人も決して艦載機移駐受け入れ賛成ではなく、小泉構造改革がもたらした地方経済の悪化や財政危機に不安を覚えて苦渋の選択をしたのだと思います。それは、各種の出口調査などで艦載機移駐反対が多数を占めたことにも表れています。政府は補助金カットで岩国市を身動きとれない状態に追いやり、百数十億円の札束を目の前にぶら下げるような形で、政策転換を迫ったのです。私は、このような政府の卑劣なやり方に強い憤りを覚えます。
 今回の市長選では敗れましたが、岩国市民の艦載機移駐への反発は根強く、決して移駐を受け入れた訳ではありません。2006年3月の住民投票、2007年12月の“国の仕打ちに怒りの1万人集会”などで示された住民の意志が、今後も移駐反対の流れとして引き継がれていくと思います。私たちもできる限り連帯していきたいと思います。



 岩国市の基地被害の実態をつかむため基地周辺や米軍住宅建設が狙われている愛宕山造成地を訪ねてみて

 私は、2月3日午前8時半からの岩国市長選への井原候補の出発式に参加した後、午前10時頃から、基地周辺の川下(かわしも)町、旭町で基地被害の実態をつかみたいと思い回りました。今津川河川敷の堤防道路を散歩している60歳代男性に話を聞くことができました。
 「私は、岩国駅近くの元町というところに住んでいる。毎日30分かけて散歩してここまで来ている。米軍戦闘機は基地北側滑走路から4キロ先の工場の2本の煙突めがけて上空150mを低空飛行、煙突の上空に来るといきなり45度に急上昇、戦闘機のバーナー(エンジン噴射口)が赤い炎を吹き上げ、爆音をあげるというものだ。うるさいということを越えている。月曜から金曜まで午後7時半から必ず2回2機編隊でタッチアンドゴーを繰り返しているよ」と話しました。
 今津川にかかる寿橋で、通行中の50歳代女性は、「地響きのような爆音です。夏は窓を開けているので特にうるさい。夜9時から10時に戦闘機が飛び立つと、周りが静寂なので、特にうるさく、テレビの音も聞こえません」と話しました。

 午後から、私は、愛宕山造成地の実態をつかむため、タクシーで向かいました。バスが通っておらず、タクシーで20分くらいかかります。タクシーの運転手さんはいろいろ話してくれました。
 「井原さんになると税金が上がるらしいですよ」
 「愛宕山造成地へ行くには狭い道しかなく、右折車でもあると全く動かなくなる所だったが、アクセス道路を国交省中国道路整備局が地元の勝井建設を使って建設している。これから道路の便もよくなりますよ。まっすぐ岩国駅に出られるようになりますよ」
 愛宕山造成地に着くと、タクシー運転手さんはさらに話しました。
 「ずいぶん広大な宅地を造成してますね。今も造成してるんですね。あれまた造成地の下にもう一本道路作ってますよ。南岩国駅に出られるように。南岩国は急激に発展しているところで、福田候補も事務所を構えています。」
 「安倍さんの時に移駐を決めてしまうべきだったんだ。ずるずるしているからこのようになってしまうんだ。」
 造成地では、「水谷建設」と書いた給水車が止まっていたりしていました。岩国基地の滑走路を沖合に出すために国が2400億円かけて愛宕山を削り取った土砂で埋め立てたものです。愛宕山造成地の開発費に250億円を山口県と岩国市が出費するというものでした。宅地開発は景気後退のあおり受けて、売却先が決まらない状態になっています。そこへ防衛省が「米軍空母艦載機移駐のための米軍住宅用地」として購入したいと打診しています。

2008年2月12日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局 KB