6/24−6/27国会論戦から−−メモと参考資料
「イラク特措法」:政府答弁ののデタラメ、矛盾、危険


はじめに−−民衆弾圧作戦を展開する米軍兵士を激励・奮起するための水補給がメイン。これのどこが「人道復興支援」なのか!ふざけるにもほどがある。

 政府のデタラメがますます明らかになってきた。「人道復興支援」を名目にした今回のイラク特措法が、「人道」も「復興」もウソで、実際には米英軍の水と燃料を補給するだけの「兵站」支援であることが分かったのだ。

 イラク現地は酷暑が続き、米軍兵士は暑さに耐えきれず大量の水補給が不可欠になっているのである。米軍は具体的に1日一人3リットルよこせと要求している。イラクには16万〜17万人の米軍、その他英軍を含めて、20万人の兵士が駐留しているが、1日60万リットル。これだけで膨大な水を供給しなければならない。

 ところで今米軍を先頭にやっているのは大規模軍事作戦であり、民衆弾圧、民衆虐殺だ。この血生臭い活動をスムーズにやるために虐殺部隊に水補給をするというのが「自衛隊」の最大の任務ということになる。水だけではない。米軍用の兵員や物資も運ぶ計画だ。こんなものをよくも「人道復興支援」などと呼ぶものである。水不足に苦しむイラク民衆、汚染した水で伝染病蔓延の危機にさらされている子どもたちなど全く眼中にはない。弾圧し殺すための部隊を奮起させるための水や物資の補給・輸送、ふざけるにもほどがある。


(1)(大量破壊兵器は)「あるとは断定できないが、ないとも断定できない」?!(小泉首相)――「大義」なき戦争を詭弁とこんにゃく問答で正当化する無責任。

@首相答弁はのらりくらりと逃げ回るものでしかない。
 米英のイラク侵略の「大義名分」であったはずの大量破壊兵器が未だにイラクで発見されていない。この大量破壊兵器問題は、今や英米の議会やメディアで最大の問題点に浮上している。にもかかわらず小泉首相だけはのらりくらりで済まされている。
 「疑わしきは国際社会がみな認めていた。(捜査が継続している)今の時点で、なかったという仮定で答弁する必要はない」「今でも対応は正しかったと思っている」「あるとは断定できないが、ないとも断定できない。今ないから、ないというのは断定しすぎる」。
(6月25日 衆院特別委)

Aなぜ米英と違い日本の首相が逃げられるのか。野党の責任は重大。野党の腰が据わっていないだけではなく、批判が一般論に終始しているから。
 これでは小泉首相が逃げ回れるはず。逃げ回る首相には以下の二段構えで追及することが必要。
−−何よりもまず小泉首相が3月20日にイラク戦争支持を表明した時点(それ以前から支持を表明していたが、公式にはこの開戦にあたっての支持が一番重要)で、自らが大量破壊兵器の存在を断定した根拠を問わねばならない。今見つかったかどうかではない。いずれ見つかるかどうかでもない。3月20日に断定した根拠である。この判断に当たっての大量破壊兵器の存在に関する調査報告、審議と判断の詳しい過程などを全面開示することを要求しなければならない。(おそらくこんなものはない)これは、首相が日本の国民をだました問題。
−−バグダッド陥落以降3ヶ月にもなろうとしているのに、また米英が開戦前に自信を持って国連に提出した「パウエル報告」に従って大捜索したはずなのに見つからないのはなぜか。どこまで捜索しているのか。開戦前の「パウエル報告」がデタラメであったことが相次いでメディアにすっぱ抜かれているが、その真相はどうなのか。これらの疑問点を具体的に米英に問い合わせるよう要求することも必要だ。これは米英が日本政府と日本の国民をだました問題。

(2)「主要な戦闘は終わったが、混乱は残っている」(小泉首相)「非戦闘地域イコール安全な地域を意味しない」(石破防衛庁長官)――結局は、「安全」の根拠は示さず「活動地域は非公表」(政府方針)の無責任ぶり

@非戦闘地域に自衛隊を送るといいながら、戦闘地域との峻別については、詭弁答弁から、ついにはどこへ送るかは明らかにしないと開き直る答弁へ。
「組織的、計画的ではなく、国または国に準じるものによる攻撃でなければ、強盗などが発生しても戦闘地域とは言わない」(石破長官 6月24日 衆院本会議)→(非戦闘地域と戦闘地域の区別は)「色々な情報に基づけば、その判断は可能だ」(石破長官 25日 衆院特別委)「戦闘地域と非戦闘地域は日本の情報と各国の情報で、(仕分け)可能だ。非戦闘地域に出せば自衛隊は戦闘行為に参加しないし、武力行使にも参加しない」(首相 25日 衆院特別委)→「主要な戦闘は終わったが混乱は残っている」(首相 同日 同委)「非戦闘地域イコール安全な地域を意味しない(首相 同日 同委)→(自衛隊の活動範囲について)「散発的には思わぬ事故も起きている。非戦闘地域だからといってすべてがよいとは考えない。綿密な調査と十分な情報を得て判断したい」(福田 26日 同委)→(基本計画の段階では)「(活動地域の指定は)おおまかな範囲。ざくっとした範囲だ」(石破長官 27日 同委)

 川口外相もイラク武装勢力による米英軍に対する襲撃に関して「場所をまとめて言うことは難しい」と述べ、戦闘が広域的に発生していることを認めた。もはや政府の言い繕いは完全に破綻した。

A結局政府は自衛隊の活動地域を公表しない方針。つまり米占領軍の言われるがまま指定する場所へ配置される。
 派遣の際に閣議決定する「基本計画」ではおおまかな活動範囲を示すにとどめ、防衛庁長官が指定し、公表を想定していない「実施要項」に詳細は先送り。つまり地域指定は米占領軍の言うままということである。

(3)一切を政府に(実は米占領軍に)白紙委任。詳細は「基本計画」「実施要項」へ――イラク民衆を殺すも、自分たちが殺されるも、自衛隊の運命を決めるのは米占領軍。

@大前提として石破長官は自衛隊の運用について、政府判断(実は米の判断)による機動的運用を唱えている
「(自衛隊の)対応措置は流動性をもち、行政府の責任で迅速性が確保されるのが実効的」(石破長官 6月27日 衆院特別委)

A上述したようにまず活動地域について

B実際の活動内容について
 「医療、輸送、補給、施設などの業務分野で地域に合ったものがある。成立すれば現地で詳細に調べて基本計画を作り、国会で承認を取る。」(石破長官 25日 同委)

(4)エスカレートする武器使用。銃撃戦・砲撃戦をも想定した武器使用基準のなし崩し的な大幅緩和。「自衛」「正当防衛」を口実に、今米英軍が繰り広げるのと同様のイラク民衆の殺戮を辞さない構えを強調。

@政府・防衛庁は、イラクという戦争地域へ日本軍を送り込み、無理矢理銃撃戦・砲撃戦を闘わせ、他では出来ない実地体験をさせる腹づもりではないか。まず自衛隊派兵ありき。強引すぎる。
 最初は、武器使用基準見直しは必要なしとしながらも、「自衛」の「合理的な武器使用」を主張していた程度だった。ところが野党側の追及が甘いと見るや、ついには重火器で砲撃戦を想定するところまでエスカレートさせた。イラク民衆に要請もされていないのに、勝手に軍隊を派兵して「自衛」とは、全く戦前の中国侵略、朝鮮侵略のような侵略行為だが、一挙に砲撃戦も辞さずというのは、タガが外れたとしか言いようがない。石破長官は13日にも「十分な権限も与えないまま自衛官を危険なところに送り出すような考えは毛頭持っていない」と述べ、重装備を狙い目にしていることを言明している。
 石破長官;「不測の事態が排除されるわけではない」としながらも、「自己防護のため、その事態に応じて合理的な武器を使用することができる」と基準見直しまでは必要ないと強調。(6/24衆院本会議)
 石破長官;「どのような武器を携行すれば、安全で国際的責務を果たせるか。現場の実情に合わせて、抑止力のあるものを持たせる」と述べ、対戦車砲などの重火器を装備させることを念頭に置いて検討を進める方針を示した。(6/25衆院特別委)

A自衛隊の武器使用基準については曖昧答弁でのらりくらり。フリーハンドを狙っているのがありあり。全て後回し、派遣前に公表で逃げる。
 石破長官は27日の答弁で、「部隊行動基準」(ROE)について「全部オープンにはできないが、どういう考えに基づくものか示すことが必要だ」と述べ、派遣前に概要を公表する考えを明らかにした。「自衛」についても「自爆テロに遭遇した場合、どう対応するかきちんと定めなければ(自衛隊を)出すことはできない」と述べ、自爆テロへの対応策も盛り込む考えを示した。

(5)武器・弾薬など何でもかんでも輸送する。
 口実は、いちいち輸送時に米英軍の荷物を開封することは出来ないというもの。当たり前。最初に自衛隊派兵ありきでやるから。そもそも自衛隊を派兵しなければ、こんな矛盾は出てこない。福田;「戦地では(武器とその他が)混在した荷物があると聞いている。武器弾薬を点検して別にするのでは実際にオペレーション(運用)しにくい。」(6/25衆院特別委)

(6)この法案の違憲性に関しても、米英軍の指揮下に入らないから憲法の集団自衛権行使には当たらないと言いつつ、実際には「管理下」に入ると発言するデタラメ。
 違憲性に関して政府は2つの言い逃れをする。
@指揮権問題。
 首相は言う。「米英軍の指揮下に入るものではなく、自衛隊の活動は武力行使に当たらない」と。しかし米英の連合軍暫定当局(CPA)に協力するために、米英軍の指揮下で活動するのだから、首相らの答弁は全くのウソ・デタラメ。こんなウソが通るのが今の国会、こんなウソを批判しないのが今のメディアである。

 現に、今の自衛隊はアメリカの言いなりというのが常識。なぜC130か。突然政府・防衛庁側が言い出したこの輸送機問題についても米軍に指示されたからだ。複数の日米関係筋が26日明らかにしたところによると、米国防総省高官が、首都バグダッドを拠点に航空自衛隊のC130輸送機派遣と、陸上自衛隊による陸上輸送や護衛を実施するよう求めていたことが分かった。これ以降である。政府・防衛庁が最大で6機のC130投入を言い始めたのは。
 小泉首相は「主体的な判断」を強調するが、米国主導で自衛隊の派遣や活動が方向付けられている実情は紛れもない事実である。要請したのは、国防総省のリチャード・ローレス国防副次官補(東アジア・太平洋担当)。イラク特措法案の国会提出2日前の今月11日、東京で非公式に開かれた日米安保事務レベル協議(ミニSSC)出席のため来日した際、政府関係者に伝達した。これ以外にも、制服組、背広組など各レベルで日米の指揮命令系統が張り巡らされている。今の自衛隊は、全てが米政府と米軍から指揮命令されているのである。シビリアン・コントロールなどあったものではない。非常に恐ろしいことだ。

A首相はまた、開戦時に交戦国ではなかったのだから憲法に違反しないとの見解を示した。
 「(イラク戦争の)非交戦国であるわが国が本法案に基づく活動を行ったとしても(憲法9条の禁じる)交戦権を行使することにはならない」(6/24衆院本会議)。しかし詭弁もいいところだ。占領への加勢は、明らかに「戦後」に参戦することであり、「戦後」に交戦権を行使することを意味するのである。
 交戦権をめぐっては80年の政府答弁書ではっきりと「相手国の領土の占領、そこにおける占領行政」が含まれるとの見解を示したはずだ。今年4月、ORHAに文民要員を派遣した際、内閣法制局は「武力の不行使が担保されている限り、復興への貢献が憲法の趣旨に反することはない」と整理したが、戦闘継続中の占領行政に自衛隊を派遣する場合については「任務、職務の内容を十分検討する必要がある」と判断を避けていた。だが武力不行使が担保されていないどころか、武力行使がほぼ確実なのだから、憲法違反であることは明白ではないか。

(7)福田官房長官は「安全、安全では仕事できぬ」「警官、消防員と同じ。自衛隊員だけが命をかけないのはおかしい」と述べ、自衛隊員に命をかけて侵略行為を働くよう強制。
 さすがこの発言は、国会審議が本格化して以降口にしなくなったが、本来ならこの発言をもっと追及すべきだ。この発言は福田官房長官が6月10日、記者会見でしゃべったもので、自衛隊員の安全が騒がれているのに対して答えた。「安全、安全と言って、そればかり考えて仕事ができるのか。日本の警察官や消防員だって同じだ。」と述べ、任務は危険と隣り合わせであることを指摘した。
 戦争状態の国に侵略に行く自衛隊員と、国内の緊急事態に対処する警官や消防員とを比較すること自体が暴論であり、問題のすり替えである。しかし死を覚悟して侵略行為を働くよう開き直って主張できるところまで、与党も野党も国会も弛緩してきたということではないか。

 イラク派兵で戦死した自衛隊員はやはり靖国に奉られるのであろうか。政府与党の大勢、右翼や右翼マスコミは大騒ぎするだろう。そしてなぜ派兵したのか、その是非を問う非難をかき消して、もっと大規模部隊を派兵しろ、もっと重装備で派兵しろという大合唱を、意図的に煽り立てるだろう。まさにこれは侵略国家への道である。

(8)米軍の下請け部隊として、米軍の命令通りに日本軍を世界中に派兵する「恒久法」の制定の雛形にするつもり。
 「何かことが起こるたびに特別法、時限立法でなく、憲法の範囲内で自衛隊が海外でどんな平和活動をするのがふさわしいかについて、恒久法が良いという議論が自民党内にもある。将来の課題として、国民の議論を踏まえながら検討すべき問題だ。」(首相 6月25日 衆院特別委)
 今回のイラク特措法で野党の追及が甘ければ、政府与党は、次は必ず「恒久法」を狙うだろう。そうなれば、自衛隊はまさに米軍と同じ侵略軍への道を進むことになる。突破口になるイラク特措法を許してはならない。


【参考資料】「イラク特措法」をめぐる国会答弁

●6月24日 衆院本会議
【自衛隊派遣の正当性】
中川正春(民主党);大量破壊兵器が発見されていないことに触れ、イラク戦争そのものへの「大義が崩れかかっている」と指摘。自衛隊を派遣する正当性はないと追及。
小泉首相;「イラクは査察への非協力など国連決議への重大な違反を繰り返してきた。軍事活動に大義はないとの指摘は当たらない」と反論。ただ、肝心の大量破壊兵器の有無については「米軍などが捜索しており、これに注視していく」と歯切れが悪い。

【活動地域】
中川;「非戦闘地域と戦闘地域の峻別は事実上できない」
石破防衛庁長官;非戦闘地域の定義は「(憲法が禁じる)武力行使との一体化の問題が生じないことを制度的に担保する仕組みだ」「各種の情報に基づき治安情勢を正確に把握し、非戦闘要件を満たすようにする」「組織的、計画的ではなく、国または国に準じるものによる攻撃でなければ、強盗などが発生しても戦闘地域とは言わない」
中川;こうした事態も戦闘行為と同一視する構えを崩していない。

【武器使用基準】
中川;「現行の基準で隊員の安全が確保できるのか」
石破長官;「不測の事態が排除されるわけではない」としながらも、「自己防護のため、その事態に応じて合理的な武器を使用することができる」と基準見直しまでは必要ないと強調。

【武器・弾薬輸送】
太田昭宏(公明党);「武器・弾薬の輸送を主任務としない配慮が必要だ」(日経)「武器・弾薬の輸送は、慎重に対応すべきだ」(朝日)
首相;「指摘の点を踏まえ、業務の円滑な実施について適切に対応する」(日経)「ご指摘の点も十分に踏まえ適切に対応していく」(朝日)

【法案と憲法の整合性について】
中川;「米英軍の指揮下に入れば、交戦権を否認する憲法に抵触する」
首相;「米英軍の指揮下に入るものではなく、自衛隊の活動は武力行使に当たらない」

【期限について】
野党;4年は「長すぎる」
首相;「あまり短い時間は適切ではない。あまり長い時間を規定することも適切ではない」

【国会承認】
首相;部隊派遣の「事後」とした国会承認でも、「迅速な派遣を目指す」

●6月25日 衆院特別委
【イラクの大量破壊兵器の未発見問題について】
前原誠司(民主党);「大量破壊兵器(WMD)が発見されなかった場合も政府の対応に問題がなかったと言えるか。」
首相;「疑わしきは国際社会がみな認めていた。(捜査が継続している)今の時点で、なかったという仮定で答弁する必要はない」「今でも対応は正しかったと思っている」(以上朝日)「あるとは断定できないが、ないとも断定できない。今ないから、ないというのは断定し過ぎる」(日経)
伊藤英成(民主党);「当初案ではWMDの処理活動が入っていた。」
福田;「できるものはできるだけたくさんやれるように用意すべきと考えた。与党の意見などもあり、法案に盛り込まないことにした。」

【自衛隊派遣の必要性について】
前原;「具体的な内容を示さないままでは議論できない」と指摘したうえで、政府側の答弁があいまいなら「賛否を決めてくれと言われても難しい」。「どういうニーズがあり、何をするのかを前提に議論しないと意味がない。」
石破長官;「医療・輸送・補給・施設」など活動分野を列挙したうえで「一日も早く支援できるかを考え、枠組み法を通してもらう」と、具体的な活動内容は後の基本計画で示す考えを示す。「医療、輸送、補給、施設などの業務分野で地域に合ったものがある。成立すれば現地で詳細に調べて基本計画を作り、国会で承認を取る。」

【国会承認】
前原;「自衛隊を派遣する前に国会承認を得るべきだ」「(具体的な活動内容を)基本計画に譲るのなら、国会の事前承認は当たり前だ。」
首相;「法案自体が自衛隊派遣の是か非か(を判断するもの)なので、現在の法案で良いと思うが、議論の余地はある」「今後、議論を深めるため、自衛隊が行く場合はどういう地域に行くか、何を支援するか、もっと判断できるような材料を提供できるよう準備させたい。事前承認の件だが、今後議論の余地はあると思う。」

【国際貢献を目的とした自衛隊派遣の恒久法整備の可能性】
赤松政雄(公明党);「安全保障の基本法などをどう展開するのか。」
首相;「何かことが起こるたびに特別法、時限立法でなく、憲法の範囲内で自衛隊が海外でどんな平和活動をするのがふさわしいかについて、恒久法が良いという議論が自民党内にもある。将来の課題として、国民の議論を踏まえながら検討すべき問題だ。」

【活動地域】
石破長官;「非戦闘地域」を戦闘地域と区別できるかどうかを巡って「色々な情報に基づけば、その判断は可能だ」。戦闘地域の定義に関しては「組織的・計画的で、国または国に準じるものによる攻撃があるところで、国際紛争やそれが予測される地域」。
末松義規(民主党);「イラク国内は無法状態。危ない所に自衛隊を送るべきでない。」
首相;「戦闘地域と非戦闘地域は日本の情報と各国の情報で、(仕分け)可能だ。非戦闘地域に出せば自衛隊は戦闘行為に参加しないし、武力行使にも参加しない。」
赤嶺政賢(共産党);「非戦闘地域で米軍が燃料を入れに来たら断るのか。」
川口外相;「米軍の作戦が、法案に基づいて日本が行う支援の対象となるイラク国内における安全及び安定を回復する活動に該当するかどうかで判断する。」

【自衛隊員が携行する武器の種類に関して】
石破長官;「どのような武器を携行すれば、安全で国際的責務を果たせるか。現場の実情に合わせて、抑止力のあるものを持たせる」と述べ、対戦車砲などの重火器を装備させることを念頭に置いて検討を進める方針を示した。

【戦争の正当性】
浅野勝人(自民党);「法案は国連安保理決議を引用し、武力攻撃の正当性の確認と受け取られかねない形だ。」
福田;「法案の根源に何があるかを明確にしなければいけないと、冒頭に3本の国連決議を明記した。」

【武器弾薬の輸送】
浅野;「陸上輸送を禁じたテロ対策特措法と違う理由は。」
福田;「戦地では(武器とその他が)混在した荷物があると聞いている。武器弾薬を点検して別にするのでは実際にオペレーション(運用)しにくい。」

【集団的自衛権の行使について】
首相;「憲法を改正してまで自衛隊の国際社会での活躍を広げようとか、解釈で自衛隊の活動の幅を広げることには極めて慎重だ」と述べ、否定的な考えを示した。そのうえで「国際紛争を解決するために自衛隊に(国連決議に基づく武力行使への)参加の要請があるかもしれないが、その際は憲法の改正論議も沸き起こる」と指摘した。

【現在のイラク情勢に関して】
首相;「主要な戦闘は終わったが、混乱は残っている」と治安が不安定であることを認めた。
石破長官;自衛隊の活動地域である非戦闘地域について「非戦闘地域イコール安全な地域を意味しない」

●6月26日 衆院特別委
【イラク国内での自衛隊の活動について】
石破長官;(杉浦正健(自民党)の質問に答えて)「現時点では確定的には言えないが、給水・浄水や(物資)空輸のニーズがある。活動のかなりの部分を占めることになるのではないか」「浄水車は古いタイプで36両、新型で15両持っている。(輸送機の)C130をきちんと飛ばせる国もそこらにはない。そういう装備を持つ自衛隊がニーズにこたえることができる」

【自衛隊の活動範囲について】
福田;(杉浦に対し)自衛隊の活動範囲について「散発的に思わぬ事故も起きている。非戦闘地域だからといってすべてがよいとは考えない。綿密な調査と十分な情報を得て判断したい」と述べ、派遣地域を見極める情報が不足している実情を認めた。

●6月27日 衆院特別委
【自衛隊の活動地域について】
石破長官;(丸谷佳織(公明党)の質問に答えて)「閣議決定する基本計画ではおおまかな範囲、かなりざくっとした範囲を定める。具体的に活動する実施区域は、防衛庁長官が指定する」と述べた。国会の事後承認を必要とする基本計画には活動地域を詳細には示さず、詳細な地域指定は防衛庁長官が決め、首相の承認をえるだけで済む実施要項に先送りする考えを示したもの。

【自衛隊の武器使用基準を具体的にマニュアル化した部隊行動基準について】
石破長官;(原口一博(民主党)、岩屋毅(自民党)への答弁)「どういう考え方、イメージかを示す必要がある」と述べ、自衛隊を派遣する前に概要を提示する意向を明らかにした。

【自衛隊の業務に関して】
石破長官;(同上)「例えばヨーロッパの地域からヨルダンのアンマンに生活関連物資などを集積し、そのイラク国内に輸送することを想定している」

【自衛隊の運用について】
石破長官;「(自衛隊の)対応措置は流動性をもち、行政府の責任で迅速性が確保されるのが実効的」と述べ、政府の判断による機動的な運用が望ましいと説明した。

2003年6月29日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局