人質解放声明を受けて
自衛隊撤退を要求する声を一層強めよう!
(4/11昼 配布ビラ)
*4/11 午後4時、一部追加・訂正
 この時点で、まだ3人の解放は最終的に確認されていません。
 私たちは、3人の無事を確認するまで、救出要請、自衛隊撤退要求の行動を続ける必要があります。

小泉首相の責任を追及する
自衛隊を即時撤退させよ!
米軍は大量虐殺をやめよ!

 本日4月11日午前3時前、中東衛星放送アルジャジーラが、「3人の人質を24時間以内に解放する」という「犯人グループ」からの声明を放送し、「自衛隊が撤退しなければ殺害する」として拘束されていた3人の日本人が解放される見通しとなりました。私たちはこの事を心から喜ぶと共に、3人の無事を確認するまで、救出要請、自衛隊撤退要求を続けたいと思います。さらに事件が突きつけている問題を真剣に考えなければなりません。声明は「日本の人々」に対して「自衛隊の撤退のために政府に圧力をかける」よう要請しています。この問題は全く解決されていません。イラクでは米軍による非道な大量虐殺が現に続いており、自衛隊がその戦争に加担している状況は全く変わっていないのです。市民一人一人がイラク戦争の真実の姿を知り「自衛隊派兵反対」の声を上げることが必要です。

日米同盟を優先し、3人を見殺しにしようとした小泉首相
 この間の動きが示したことは、日本政府と小泉首相の人命を軽視した許し難い対応です。人質解放の条件とされていた「自衛隊の撤退」はしないと真っ先に表明して、面会を切に求める家族と会おうともせず、3人を見捨てました。政府は、格下の副外相をヨルダンに派遣し、事件から一日半もたってから「現地緊急対策本部」なるものを作り、努力しているポーズを取っていただけです。「自衛隊撤退せず」の表明は、ラムズフェルド国防長官から「良い選択だ」と評価されました。小泉首相は、人命の救出よりも日米同盟と米による賞賛を求めたのです。
 犯人グループの声明において、解放決定は「イスラム法学者団体の要請に応じた」からとし、日本の政府の反応は悲しいものだった、自分たちはこの3人の命を日本政府に代わって守る、日本人3人は侵略者の手先でなくイラクを助けに来たことがわかったから解放した、などと述べています。この声明からも明らかです。誰が見殺しにし、誰が救出したのか。日米同盟を優先し日本政府に見捨てられた3人が、救出を求める日本の市民の運動とイラクの市民の良心によって救われようとしているのです。
 人質解放に尽力したのは市民の人々です。決定的な役割を果たしたと思われるアルジャジーラなど海外メディアへの家族の出演を実現させたのも市民であり、10万名もの署名をあつめ、首相官邸前や国会、全国各地でデモや集会をし、撤兵と救出を求めたのも市民です。政府は一枚の声明さえださず、時間の過ぎるのを待っていただけです。また、日本のマスコミは、「なぜ危険地帯に行ったのか」「捕まる方が悪い」の論調を流し、テロに屈するなの大合唱で犯罪的な役割を果たしました。

今回の事件は自衛隊派兵=侵略戦争への加担がもたらしたもの
 今回の事件は、小泉政権が世論の反対を押し切ってイラクへの自衛隊派兵を強行した結果です。それが唯一の原因です。小泉首相はなぜ「人質の救出を最優先するために、復興支援は待ってほしい」ということができなかったのでしょうか。それは、自衛隊が「復興支援」ではなく、「テロとの闘い」を進める米軍への加担のために派遣されているからです。だから撤兵は「テロに屈した」ことになるのです。
 もう一度私たちは、この3人がどのような人たちであるのかを確認しておく必要があります。イラクの子どもたちのためにボランティアをしていた高遠さん、米軍が使った劣化ウランの被害を明らかにしそれに反対するNGOをたちあげた、高校を卒業したばかりの今井さん、イラク戦争の真実を伝えようとしていたフリーカメラマンの郡山さん、いずれも自衛隊派兵と戦争に反対し、市民の立場から真剣にイラクと現地の人々に向き合っていた人たちです。侵略戦争に加担する自衛隊派兵は、これまで地道に活動してきたボランティアやNGOの人たちを危機に陥れ、活動を徹底的に阻害することを示しました。

イラクでは米軍による掃討作戦・無差別大虐殺が続いている
 わたしたちはこの3人の問題だけでなく、イラクで起こっている現実に目を向けなければなりません。イラクでは、米軍によるすさまじい大掃討作戦、無差別殺りくが行われています。ファルージャでは地域全体が軍事的に封鎖され、米軍・占領軍はモスクを攻撃し、子供や女性や老人たちを皆殺しにしています。ファルージャだけで、ここ数日で少なくとも400〜500人以上が虐殺されました。イラク全土の犠牲者、負傷者数がどれだけにのぼるか全く想像がつきません。
 サドル派の大衆的な武装蜂起はバグダッド、ナジャフ、カルバラ、ディワニア、クーファ、バスラなど中南部を中心にイラク全土に、同時多発的に一気に拡大しました。シーア派、スンニ派を超えて共同戦線が形成されています。形だけの主権委譲でお茶を濁し、事実上の植民地の宗主国として居座ろうとしている米の政策に対して、そしてイラク民衆に対する無差別の大量虐殺に対して、イラク民衆の怒りが爆発したのです。
 サマワの自衛隊宿営地に対する迫撃砲での攻撃も始まっています。イラク民衆にとって、米英占領軍に加担する者は、日本を含めて全てが敵なのです。

日本の世論と反戦運動は自衛隊の撤退要求を強めなければならない
 わたしたちは、自衛隊派兵の責任だけでなく、政府が今回の事件で人質を見殺しにしようとした責任を追及しなければなりません。家族たちは、政府の対応を批判し、「人命を尊重しない人道復興支援などあり得ない」「自衛隊の撤退とイラクからの武器廃絶を訴え続けます」と語っています。さらに「解放」決定報道後に、アルジャジーラをはじめ尽力した人々に対する感謝のためにつくられた「家族からのアラブの皆様へのメッセージ」において、川口外相の無責任な発言を明確に拒絶し、批判しています。すなわち、川口外相が4月10日にアルジャジーラ報道用に録画したビデオの中にある発言、(拘束に対して)「日本の国民は驚きと怒りを感じています」の「怒り」を削除すること、復興支援との関係での発言「我が国の自衛隊もこのために派遣されているのです」という文言を削除すること、そして川口外相のビデオの放送そのものを中止することをアルジャジーラに対して家族たちが要求しているのです。家族の願いと怒りがどこにあるのかは明らかです。
 私たちは、イラクとアラブの民衆の信義に応えることが必要です。私たちは、人質の解放決定に安堵するのではなく、一層自衛隊の撤退を要求する運動を強めなければなりません。(2004.4.11.)



[参考記事]
 ‘家族からのアラブの皆様へのメッセージ’(WORLD PEACE NOW サイトへのリンク)