ブッシュ・小泉両政権による対北朝鮮「経済封鎖」=戦争挑発政策に反対する!
万景峰号の「出港中止」強制と異常な反北朝鮮キャンペーン


はじめに−−北朝鮮包囲網の一段の強化。一斉に武力攻撃を示唆し始めた米政権。

 北朝鮮をめぐり非常にきな臭い状況になっています。6月26日、ベーカー駐日米大使、ライス大統領補佐官らが、相次いで武力攻撃を示唆し始めたのです。一時も目を離してはなりません。彼らは何をするか分からないのです。
※軍事的手段も排除されず=北朝鮮核、「忍耐にも限度」−駐日米大使(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030627-00000536-jij-int
※単独の武力行使も辞さず 北の核問題でライス氏(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030627-00000004-kyodo-int
※北朝鮮政府機関紙、米国との対立が戦争に発展する可能性を警告(ロイター)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030624-00000034-reu-int

 朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)のカートマン事務局長は、KEDO事業そのものの凍結に日本政府が同意するよう猛烈な圧力をかけ、対北朝鮮戦争挑発のエスカレーションを加速し始めました。
※理事会決定は時期尚早 KEDO事業凍結で外務省(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030627-00000089-kyodo-pol

 米軍司令官も、まるで戦争前夜のような発言をし始めました。非常に危険な段階に一歩踏み込んだのではないか。私たちは危機感を抱きます。
※<米軍司令官>北朝鮮、軍事境界線に化学兵器配備 公聴会で証言(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030627-00001048-mai-int

 小泉政権は今すぐ米の対北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)経済制裁戦略、戦争挑発政策から離脱すべきです。何でもかんでも戦争と武力で抑え込もうというブッシュのやり方と一線を画すべきです。


T.経済封鎖が戦争行為であることを説明もせずに国民を煽り立てる小泉政権の危険な「火遊び」。

(1)「出港禁止」=経済制裁とは戦争行為だ。自覚なしに「火遊び」する危険。
 万景峰号を「出港中止」に追い込んだことは明白な経済封鎖です。そして経済封鎖とは事実上の戦争行為です。対北朝鮮戦争への第一歩を踏み出した−−日本の国民はどこまでそれを知らされているでしょうか。また自覚しているでしょうか。毎日のように繰り返され、人々の意識に刻み込まれる北朝鮮敵視キャンペーン。こんな状況をいつまでも放置すれば大変なことになります。テロ特措法、アフガニスタン戦争支持、イラク戦争支持、有事法制強行、イラク特措法等々、まるでタガが外れたかのようにやりたい放題で戦争への道をひた走る小泉政権。この首相を一刻も早く政権の座から追い落とさねば取り返しの付かないことになります。
※北「米日の対北朝鮮封鎖は宣戦布告」(朝鮮日報)
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/06/23/20030623000074.html

 6月9日に「出港」を「中止」した万景峰号の事件は、突然の出来事でも他の政治的事件と無関係な孤立した出来事でもありません。それは米が主導する対北朝鮮包囲網の強化、事実上の経済制裁の実施に向けた一連の強硬措置の大きな流れの中に、もっと言えばイラク後のブッシュ政権の戦争政策の流れの中に位置づけなければ、その危険性も恐ろしさも何一つ理解できないでしょう。
※不審船の臨検強化狙う 米構想、同盟各国と協調し(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030618-00000128-kyodo-int

 また今回の事件は、日本政府が米の戦争挑発的な強硬措置の従順な追随者、忠実な実行者として尖兵の役割を演じていることの結果です。考えても見て下さい。実際に経済封鎖に踏み切ったのは、韓国でも他の国でもありません。日本なのです。狡猾にもブッシュ政権の戦争屋たちは、何でもかんでも言うことを聞く忠実な小泉首相に一番危険なことをやらせ、対北朝鮮の緊張激化の最先頭に立たせようとしているのです。アメリカへの忠誠心で競い合う首相官邸や外務省や防衛庁・自衛隊にこのまま好き放題させたら何をしでかすか、どこまでエスカレートするか、本当に危険です。

(2)対北朝鮮戦争挑発政策の“先兵”を買って出る小泉政権の危うさ。
 小泉政権にしても、どこまで対北朝鮮戦争を自覚しているのか、非常に疑問です。おそらくアメリカの言うがまま、場当たり的に、自覚もなしに動いているのでしょう。こんな危険なことはありません。ネオコン(新保守主義者)と呼ばれるブッシュ政権内の中枢によって仕組まれる核攻撃を含む「限定的空爆」。「朝鮮半島有事」を念頭に置いた有事法制を小泉政権は強行成立させてしまいました。自覚も決意もないのにずるずる「制裁」を続ける。対北朝鮮を攻撃するための国家総動員法を整備する。これほど危険な「火遊び」はありません。
※「米の地下破壊用核爆弾、北の核兵器に焦点」(朝鮮日報)
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/06/23/20030623000052.html
※北朝鮮限定攻撃も選択肢 パール米前国防政策委員長(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030612-00000046-kyodo-int
※「米、対北専制攻撃・政権交替の可能性」(朝鮮日報)
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/06/11/20030611000056.html
※米軍、北の攻撃兆候時は先制打撃を示唆(朝鮮日報)
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/06/04/20030604000020.html
※「米、北指導部の精密爆撃を検討」(朝鮮日報)
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/05/12/20030512000032.html
※ライス補佐官「北朝鮮を先制攻撃対象から排除しない」(東亜日報)
http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2003051564928

 小泉政権は、対北朝鮮戦争への第一歩になりかねない経済制裁を直ちに中止すべきです。ありとあらゆる誹謗中傷、敵視キャンペーンを中止し、日朝国交正常化交渉を再開し、政治的軍事的緊張緩和政策に立ち戻るべきです。


U.経済制裁実施の集中点としての万景峰号「出港阻止」――対北朝鮮戦争挑発政策の第一歩。

(1)もし万景峰号が出港していたら。手ぐすね引いて待ちかまえていた右翼反動層、翼賛メディア。
 万景峰号が6月9日新潟港に接岸していたら、海上保安庁の監視船に取り囲まれていたことでしょう。否、富山港沖で入港を拒否された北朝鮮の貨物船のように、そもそも入港を阻止され沖合でさらし者状態になる可能性の方が高かったかも知れません。万景峰号は6月23日も出港を中止しました。

 陸では税関、入管の車がバリケードを作ってネズミ一匹通さぬ態勢を組み、さらにそれを約1000人の機動隊が包囲。その外側には入港に抗議する右翼街宣車の群れ。抗議の声を挙げる「拉致」被害者関連の人々。メディアは朝から晩まで特番を組み、ここぞとばかり排外主義的な報道で大騒ぎしたでしょう。
 そんな中を船に国土交通省を含む関係当局者約100人が乗り込んできて船の構造から積み荷まで徹底的な調査を行うのです。その上で過去10年間国土交通省もしたことのない同船に対するポート・ステート・コントロール(PSC)の結果、新潟からの出港が停止されるのです。

 万景峰号を待ちかまえていた仕打ちはざっと以下の通りです。全く異常としか言いようがありません。
−−海上保安庁:船内検査要員として前回の1月入港時の13人を上回る海上保安官を送る。密輸などの「犯罪防止」のため、入港時と出港時に任意で船内をくまなく調べる。海上から監視する巡視船も増派する。
−−法務省:入国審査官を前回の14人から増強し、停泊中は24時間態勢で人の出入りを監視する。乗船者に対し船内で出入国管理法に基づく入国拒否の対象となる人物がいないかどうかを調べる。乗員の上陸禁止を今回も続ける他、船を訪れる人についてもチェックする。
−−財務省:新潟税関支署と東京税関の職員計50人以上を派遣し、船内検査に初めて加わる。1月から始めた麻薬犬と移動式X線装置による全荷物検査を継続する。船を訪れる人の手荷物も調べる。
−−厚生労働省:新型肺炎SARS対策として、新潟検疫所の検疫官が初めて乗船する。世界保健機関(WHO)発行のネズミ駆除証明書の提出も求める。
−−国土交通省:1チーム2人の外国船舶監督官を数チーム出し、船の構造や設備、装備などを立ち入り検査する「ポート・ステート・コントロール(PSC)」を同船では10年ぶりに実施する。必要なら出港差し止め措置を取る。
−−経済産業省:安全保障貿易検査官室職員を初めて現地に派遣する。輸出規制リストに該当しなくても、疑わしい物品に制限をかけられる「キャッチオール規制」の該当品がないか、税関と協力して検査する。
−−警察庁:新潟県警を中心に港などで警備活動にあたる。海上保安庁などから協力要請があれば、乗船して違法行為の取り締まりにあたる。等々。等々。

 いずれにしても6月初めから7月にかけて、新聞・TV・雑誌は「万景峰号入港」の報道で朝から晩まで埋め尽くされ、異様な“戦争プロパガンダ”で染め上げられていたでしょう。イラク特措法を目論む政府与党にとってこれほど都合の良い「舞台設定」はなかったはずです。何せ国民の得体の知れぬ“ナショナリズム”の高揚感の下で、一気呵成に通せるはずだったのですから。

(2)まるで口裏を合わせたかのような万景峰号への一斉砲火。米日政府が連携しての世論誘導。
 万景峰号はそもそも在日朝鮮人総連合会(総連)の商工業者らが資金を出して建造し、北朝鮮に寄付した船です。北朝鮮への食料品や生活物資の輸送、朝鮮学校の修学旅行など在日朝鮮人の祖国訪問に利用されてきました。

 その船がどうして上記のような異常な捜索と警備の対象となる予定だったのか。直接には5月15日にはワシントンで、20日には米上院公聴会で、北朝鮮からの亡命者と称される人物が、ミサイル部品について「部品の90%は日本から来た」「万景峰号で3ヶ月ごとに運ばれた」などと証言したことでした。
※「総連が万景峰号で密輸」 亡命者、米公聴会で証言(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030521-00000052-kyodo-int
※日本から部品の9割輸入 北のミサイル、元技師会見(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030516-00000025-kyodo-int

 まるで口裏を合わせたかのように、マスコミは一斉に万景峰号の出港阻止に向けて一大キャンペーンを張り始めました。同船を「謀略船」「大型工作船」と称し、「北朝鮮・金王朝直属の謀略機関『労働党統一戦線部』が所有している」、「以前から数々の反日工作の拠点だった」と煽り立て始めたのです。また「20年以上も前から、日本国内のカネをかき集めて、違法に北朝鮮に送っている」、「同船内で在日朝鮮人が対日対韓工作の資金を受け取っていた」等々、およそ考えられる限りの北朝鮮の「謀略」「疑惑」の集中点、集約点として攻撃の槍玉にあげられたのでした。明らかにこの戦争挑発的な“戦争プロパガンダ”の背後には、日米政府の連携があるはずです。

 ここに挙げられた数々の疑いは「傍証」や「うわさ」ばかりの、確かめようもない、また確実な証拠の何一つない事柄です。もしそのような違法行為があるなら、それ自体を取り締まればいいことです。にもかかわらず万景峰号そのものが犯罪者の如く扱われたのです。

 今回の事態で日本政府が糾弾されるべきは、日米政府とマスコミが、万景峰号がただ「疑わしい」というだけで、さらに重箱の隅をつつくが如き対応を取り、結果として出港さえできなくしてしまったということです。万景峰号は公然と日本の港から排除されたのです。寄港を求める外国船を追い払うことはできないという日本の法律(港湾法)さえ公然と破られているのに、それが当然のごとく語られているところに、日本政府と日本社会の異常さを感じざるを得ません。


V.日米首脳会談で合意し一斉に開始した北朝鮮船等への敵対行為。

(1)日米首脳会談は5月23日、米上院での“亡命者”証言は5月15日、20日。明らかに筋書きが書かれていた日米合作の経済制裁へのエスカレーション。
 今回の万景峰号に対する強硬措置は、5月23日の日米首脳会談でのブッシュ・小泉の合意を受けたものです。実は後述する5月7日の米NSCで経済制裁路線を打ち出すと同時に、日米首脳会談の内容と日程を決定したのです。日本政府関係者が経済制裁を示唆し始めたのも、この5月7日以降です。
※経済制裁も議題の可能性 日米首脳会談でと福田氏(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030509-00000065-kyodo-pol

 そして実にタイミング良く行われた5月15日、20日の亡命者の証言。両首脳は北朝鮮が核開発問題で挑発を強めた場合に「より強硬な措置」を講ずるという合意をしました。日本政府は5月末には早々と関係省庁が連携する万景峰対策を決定していたのです。北朝鮮は5月末から6月初めにかけて何か新たな「挑発」を強めたわけではありません。日本政府が、一方的に北朝鮮を挑発する経済制裁を実施に移したのです。
※日米首脳会談、北朝鮮核問題への対応策論議(東亜日報)
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=060000&biid=2003052420828

 万景峰号だけではありません。この間、北朝鮮に対する一連の「制裁」が続いています。
−−茨城県土浦市が地方自治体の中では初めて、6月14日、朝鮮総連関連施設に対する固定資産税の免除を中断。東京都、茨城県水戸市、新潟市なども同じ措置を検討しており、朝鮮総連の財政難がさらに拡大するものとみられている。日本の自治体は総連に対し従来北朝鮮を代表する「準外交機関」と見なし税金免除の特典を与えてきた。東京のある外交筋が「朝総連の施設に対する免税優遇の中断は、朝総連の対北送金を遮断する狙いがある」と説明したと伝えられている。
−−6月10日には、入港中の北朝鮮貨物船2隻に対し検索作業を実施、安全上の理由から航行停止にした。
−−また富山県は、富山港に入港する予定だった北朝鮮貨物船に対して6月13日、船舶安全性検査基準に達していないとの理由で接岸を拒否し、北朝鮮へ戻るように命じた。この船「スー・ヤン・サン」は日本の商社が中国から輸入した品物を積んでいたが、富山港沖約11キロ地点に停泊を余儀なくされた。先の台風で座礁が心配されたにもかかわらず、県は政府の圧力を受けて人道的扱いすらしなかった。
−−麻薬密輸・大量破壊兵器部品密輸の取り締まり強化を口実に、毎年日本に入港する約1400隻の北朝鮮貨物船に対する検査の大幅強化を通達した。

(2)米日豪3ヶ国による「選択的海上封鎖」政策。
 経済封鎖は日米だけで画策しているのではありません。AP、AFP、ロイターなど外信は、米国、日本、豪州の3ヶ国が、麻薬密売とミサイル輸出などに使われる北朝鮮船舶を公海上で検索、停船、拿捕する「選択的海上封鎖」に着手したと一斉に報じています。オーストラリアのダウナー外相は6月11日、豪州ABC放送に出演し、「われわれは武器と麻薬密売が疑われる北朝鮮船舶を、各国の海軍が協力して拿捕する案を検討している」と語ったと伝えています。またダウナー外相は3カ国の高官らが10日、日本・東京で会い、この問題について議論したと付け加えています。
 日米にプラスしてオーストラリアも経済封鎖に加わろうとしているのです。しかも日本政府の万景峰号に対する仕打ちは“先兵”として、率先して制裁の先頭に立ったことを意味するのです。


W.金正日体制打倒を狙う米の対北朝鮮政策――万景峰号出港阻止の背後にある危険な狙い。

(1)ここへきて急浮上したブッシュの対北朝鮮「兵糧責め」=「3つのC」戦略。突破口としての万景峰号出港阻止。
 それでは万景峰号が「出港中止」を余儀なくされた6月9日は、ブッシュ政権の対北朝鮮政策のエスカレーションの中でどう位置づけられるのでしょう。
 ブッシュ政権内部では北朝鮮をどう扱うかをめぐり、ことに国務省と国防総省の文官幹部の間で対立が続いている、北朝鮮政策は一貫性がないという受けとめが広がっているとも言われますが、ここへきて急浮上したのが、経済制裁を通じた「兵糧責め」戦略です。この政策は「3つのC」と呼ばれています。すなわち、北朝鮮との対決(Confrontation)を続け、同国に譲歩する(それは脅しを受け入れることになる)ことなく屈服(Capitulation)を要求し、そして、ひそかに北朝鮮の崩壊(Collapse)を待つという政策です。

 ブッシュ政権は今後、北朝鮮に対してますます「交渉用制裁」(圧力を加え譲歩を引き出すための制裁)を強化するでしょう。当面は核とミサイル関連の物資と、資金の流入を止めるため、機械類の禁輸や貨物船の海上封鎖を検討しています。日本に対して日朝貿易の停止や在日朝鮮人による送金停止を強く求めてくるのは必至です。
 なぜなら日本からの外貨と物資は北朝鮮にとっては「頼みの綱」とされており、北朝鮮と日本の貿易も北朝鮮全体の貿易額の約5分の1とかなりの位置を占めているからです。
 小泉政権は一体どこまでアメリカの言いなりになるのでしょうか。北朝鮮を締め上げて本当に金正日政権を打倒するのか、対北朝鮮戦争を覚悟するのか。少なくとも小泉首相は国民に向かって一言もそんなことを説明していません。ところがなし崩し的に経済制裁を発動しているのです。

(2)「兵糧責め」戦略発動の発端は5月7日の米国家安全保障会議(NSC)。
 昨年10月のケリー訪朝以降、北朝鮮の核開発問題が急速に焦点化しました。ことに米英によるイラク侵略とフセイン政権倒壊後に行われた4月23〜25日の米朝中三者会談が事実上決裂した後、ブッシュ政権内部では強硬政策が前面に出、米韓、日米、米ロ、米中と、それに基づく根回しが相次いで行われ、北朝鮮包囲網作りが加速されました。その最大の目玉が、船舶検査実施宣言と北朝鮮船の入港阻止だったのです。
※資金源絶ち、強制措置も 核量産、輸出視野に米政権(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030508-00000125-kyodo-int
※北朝鮮核問題で米国に経済圧力構想(東亜日報)
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=060000&biid=2003060253928
※大量破壊兵器阻止で新構想 米大統領が演説で表明(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030531-00000186-kyodo-int

 ブッシュ政権は現在、対北朝鮮政策を「最優先課題」にしています。そして目下の焦点を国連安保理で北朝鮮の「核開発」を非難する「議長声明」を採択させることに置いています。狙い目は「大量破壊兵器の開発・拡散防止」と「麻薬密輸阻止」を口実とした陸海空の「経済封鎖措置」です。それは5月7日、米国家安全保障会議(NSC)での方針決定を皮切りに、先に述べた一連の首脳会談、さらに6月1〜3日のエビアン・サミットを経て、6月12日のマドリード・イニチアチブ(ここでは北朝鮮の船舶を臨検できる『国際法の整備』を視野に入れていますが、一方で『現行法の活用』による積極的取り締まりを促しています)、そして直近6月17〜18日のARF(ASEAN地域フォーラム)での声明採択(海上と国境付近での違法行為の監視と、取り締まり協力の強化をうたっています)にまで至る、まるで真綿でジワジワ首を締め上げるような経済封鎖戦略なのです。
※<北朝鮮核開発問題>米、安保理に破棄求める声明草案提示(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030620-00001047-mai-int
※「内政干渉」とARF非難 北朝鮮代表団が声明(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030619-00000227-kyodo-int
※北朝鮮の核開発は最重要問題=米国務長官(ロイター)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030618-00000492-reu-int
※国際法整備など本格検討 政府、米拡散防止構想で(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030603-00000160-kyodo-pol

 米の直接の目的は包括的な「経済封鎖」と言えますが、その真の狙いが兵糧責めによる金正日体制打倒にあることは間違いありません。一方ではミョンビョンの核施設への限定的空爆という先制攻撃をちらつかせ脅迫しながら、他方では体制崩壊を辞さぬ経済封鎖を実施しようとしているのです。まことに危険なブッシュによる「火遊び」という他ありません。
※パウエル長官「対北食糧支援を中断」(朝鮮日報)
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/06/18/20030618000065.html
※パウエル長官、対北封じ込め政策を言及(朝鮮日報)
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/06/18/20030618000066.html


X.岐路に立つ日本−−もう一つの危険は対北朝鮮軍拡。

(1)朝鮮半島での戦乱を何としても阻止しなければならない。
 米主導による日本のなしくずし的経済制裁の行き着く先が、北朝鮮を「仮想」ではない文字通りの「敵国」と見なし、戦争への道をひた走ることになるのは、もはや明らかです。
 また、イラク戦争開戦に至る過程を見る限り、アメリカが北朝鮮に対し、核攻撃も辞さないという軍事脅迫を行いながら、「先制攻撃」をかけないという保証はどこにもありません。北朝鮮に対し現在のような敵対行動を率先して続ける限り、むしろ戦争への敷居を日本の側からどんどん低くしているようなものです。

 アメリカと一体となって日本が北朝鮮への侵略戦争を推し進めるのか、それとも一歩踏みとどまり、朝鮮半島の戦乱を阻止すべく、平和的な外交努力を粘り強く続けるのか――まさに日本は岐路に立っているのです。

(2)対北朝鮮経済制裁は対北朝鮮軍拡とワンセットのもの。
 私たちがイラク戦争に精力と関心を割いている間に、政府・防衛庁と自衛隊が、驚くべき対北朝鮮軍拡をエスカレートさせていることに、警鐘を乱打したいと思います。

 対北朝鮮軍拡の2本柱は、@弾道ミサイル防衛体制の構築を狙い目にしたミサイル防衛の2007年度導入、具体的にはイージス艦搭載のスタンダードミサイル(SM3)、地対空ミサイルパトリオット(PAC3)、A空中給油機による航空自衛隊の対北朝鮮空爆能力の確立、です。これとは別にすでに今年3月には軍事偵察衛星を打ち上げています。

 今年4月に石破防衛庁長官が、北朝鮮のミサイル基地への先制攻撃の可能性を示唆したのですが、これは空想でも何でもなく、米軍と一体となって着々と攻撃態勢を準備していることを意味する極めて危険なことなのです。
 一方では経済制裁と兵糧責め、他方では「限定的空爆」と軍事的封じ込め。対北朝鮮経済制裁は対北朝鮮軍拡とワンセットのものです。このまま行けば、日本が対北朝鮮の緊張激化と戦争の最前線に立たされかねません。

 私たちは何としても朝鮮半島での戦乱を阻止しなければなりません。タガが外れたように突き進む対北朝鮮戦争への道をどこで逆転させることが出来るのか。本気になって考えて行かねばなりません。

2003年6月27日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局