=米日の北朝鮮制裁・戦争挑発に反対する=
臨検加担のための周辺事態法適用、
特別措置法制定をやめよ!
○経済・金融制裁のエスカレーション反対!
○北朝鮮との対決ではなく対話を行え!


 安倍政権は、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)による核実験実施発表に対して熱に浮かされたように対北朝鮮経済制裁と戦争挑発に突き進もうとしている。極めて危険である。
 日本政府は、10日衆院で北朝鮮非難決議を上げ、13日には独自制裁を閣議決定し、14日には発動した。政府は、国連決議を根拠にした米軍による北朝鮮貨物船などの船舶検査(臨検)への後方支援、さらには海上自衛隊自身による臨検まで口にし、朝鮮半島での武力紛争を想定した「周辺事態法」の適用や「特別措置法」制定の検討まで開始し始めている。北朝鮮の核実験実施発表を今にも核攻撃がなされるかのように煽り立て、事実上の戦争挑発にまで進もうとするこの日本政府の危険な動きを絶対に止めなければならない。

米の強硬策を容認する国連決議 一触即発の危険をもつ臨検
 15日未明、国連安保理は、北朝鮮の核実験を非難し、制裁を行う国連決議を採択した。決議は核ミサイル関係物資の禁輸や金融資産の凍結などの制裁措置だけでなく、北朝鮮に出入りする船舶に対する「必要に応じた」臨検をねじ込んだ。中・ロの要請で軍事行動へ道を開く7章42条は見送り、経済制裁を意味する41条が明記されたものの、対北朝鮮制裁のエスカレーションを容認している。決議は北朝鮮を核実験実施表明に追い込んだアメリカを免責し、北朝鮮を一方的に孤立させるものであり、何よりもアメリカによる戦争挑発の道を残した危険極まりないものである。
 ブッシュはこれをテコに、北朝鮮に入港する船舶に対する臨検が可能になる。臨検は、武力による威嚇を背景にした強制査察であり、武力行使・軍事衝突につながり大規模な戦闘にまで進む危険性を持つ。その結果は朝鮮半島と周辺地域住民にとんでもない被害をもたらす戦争である。核実験実施表明を、絶対に現実の戦争にまで持ち込ませてはならない

臨検支援のための「周辺事態法の適用」「特別措置法」は戦争挑発
 安倍首相は、米の臨検支援のために周辺事態法の適用や特別措置法を検討し始めた。米艦船への海上自衛隊補給艦による燃料補給などの後方支援、青森・大湊、京都・舞鶴、長崎・佐世保などの各海自基地への米艦船の寄港、さらには民間港湾への寄港など日本列島の臨検基地化も検討している。それだけでなく、「周辺事態」認定を前提に、船舶検査法による海上自衛隊自身による臨検への参加さえ論議に登っている。
 周辺事態法は、朝鮮半島における「日本の平和と安全に重大な影響を与える事態」を想定し、「武力衝突が差し迫っている」「内乱、内戦が発生している」などの類型をもった、紛れもない戦争状態を前提とする法律である。安倍はこれを強引に適用することで、アメリカが臨検によって人為的に作り出す緊張状態を利用し、本当の戦争を引き起こすのに手を貸そうとしている。

事態の責任はブッシュ政権にある 対北朝鮮封じ込め政策を転換せよ
 私たちは北朝鮮の核実験に反対である。私たちは、あらゆる核や核実験に反対である。核拡散は朝鮮半島と東アジアの緊張激化をもたらす。しかし、現時点では、本当に核実験がやられたのか、どの程度の規模であったのか、成功したのか失敗したのかさえ明らかになっていない。
 今日の世界における核拡散の元凶はアメリカにある。ブッシュは、この8月末にも就任後10回目となる臨界前・未臨界核実験を強行している。他国には核開発・保有を禁止しながら、自らは核実験をやりたい放題にし核独占体制で恫喝するというやり方こそが放棄されなければならない。
 私たちは、北朝鮮を核実験実施発表へと追いやったブッシュの責任を追及しなければならない。ブッシュは就任後クリントン政権の対話路線を転換し、北朝鮮との交渉を一切拒否してきた。そして北朝鮮をイラン、イラクと並べて「悪の枢軸」と規定し、体制の崩壊を戦略目標においてきた。実際フセイン体制を軍事侵略によって崩壊させた。そしてブッシュは6カ国協議で時間稼ぎをして北朝鮮の危機が進行するのを待つという戦略を取ってきた。特に昨年9月からは金融制裁と軍事演習などによって恫喝をエスカレートさせた。北朝鮮が要求した早急の制裁解除とアメリカとの二国間交渉を拒否したことが、北朝鮮を核実験実施発表へと向かわせた直接のきっかけである。ブッシュは、対北朝鮮封じ込め政策を今すぐ転換すべきである。

日本政府は経済制裁をやめよ 敵視政策から対話政策への転換を
 日本政府が閣議決定・発動した独自の追加制裁は、北朝鮮からのすべての品目の輸入禁止、北朝鮮船舶の日本入港の全面禁止、北朝鮮籍を持つ人の入国原則禁止など、北朝鮮の市民生活にまで打撃を与える、他の国に例がない異様に厳しい内容である。しかも 安倍首相は、北朝鮮のミサイル発射があった7月の段階から、核実験を想定して制裁の準備をしていたことが暴露されている。そして核実験実施発表がされるやいなや、大急ぎで制裁を可決、実行に移したのである。安倍政権は、核実験をやめさせるための交渉や対話に努めるのではなく、「政権浮揚の好機」と捉えるような異常な政権である。私たちはこんなやり方には絶対反対である。
 安倍首相は、北朝鮮を敵視する「主張する外交」を公言し、就任早々「集団的自衛権の解釈変更」を打ち出した。憲法改悪を政権目標に掲げ、教育基本法改悪、恒久法制定、防衛庁の省昇格など「戦争をするための国づくり」を進めようとしている。加えて、周辺事態法適用の動きは、日本列島全体を、対北朝鮮の臨検基地としてアメリカに供するという危険な政策であり、北朝鮮にとっては露骨な戦争挑発である。これらは、北朝鮮に対して、深刻な脅威を与える。
 私たちは、日本政府に対して、一切の北朝鮮敵視・挑発政策、制裁強化政策を止め、対話と交渉に基づく平和外交に政策転換するよう要求する。     

2006年10月15日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局


これは、10月15日に配布したビラです
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