イラク派兵承認案 衆議院単独強行採決糾弾!

(1) 政府・与党は本日1月31日未明、民主、社民、共産ら野党が欠席する中、自衛隊イラク派兵の「承認案」を単独強行採決しました。軍靴で他国を攻めない、他国民を殺さないという戦後の平和憲法の枠組みをぶち壊す歴史的暴挙です。「人道復興支援」と言おうと、札束を積み一部サマワ住民を買収して「支持」を演出しようと、戦場イラクに重武装の自衛隊を派兵するのは、米英のイラク侵略戦争への公然たる参戦であり、占領支配への加担であり、侵略行為以外の何物でもありません。

 国民の疑問は膨らむばかりです。政府は「事後承認」をめぐる審議で開き直りと防戦一方でした。政府がどんな詭弁を使おうと「イラク全土が戦闘地域」であることは言うまでもないことです。憲法違反、イラク特措法違反など、法的にも政府は何らまともな反論は出来ていません。よくもこんな状況下で侵略軍を送り込むものです。

 今回の審議で新たなウソ・デタラメが浮上しました。政府・防衛庁も自衛隊も、何のまともな調査もせず、ただ「まず派兵ありき」で泥縄式のスケジュールを進めていたことが暴かれたのです。小泉首相がサマワ治安安定の根拠に上げたサマワ評議会は実はCPAに反発して解散していた。小泉首相や石破長官がこの事実を隠していた。先遣隊サマワ報告は帰国する前に事前に作成されていた。等々。−−野党の追及によって、小泉首相は前代未聞の発言撤回にまで追い込まれました。このような中で、政府与党は一切の説明責任さえ果たさないまま、数々の疑問、ウソ・デタラメにフタをして派兵強行に踏み出そうというのです。

(2) それだけではありません。国会審議の最中米国からは、米政府・米軍の公式の大量破壊兵器捜索チームの前団長デイビッド・ケイ氏が、「大量破壊兵器はなかった」「皆が間違っていた」と爆弾発言を行ったのです。この発言に対して小泉首相や福田官房長官は「あるとも断言できない」と開き直るだけでした。福田官房長官は困り果てて「ケイ発言は間違い」「ケイの根拠は分からない」と、逆にケイ氏に食ってかかる始末。海の向こうの米国では遂にウソとでっち上げが明らかになり始め、当の本人ブッシュですら、まともな回答が出来なくなっているのに、何も捜索せず調査もしない小泉首相らが、未だに「大量破壊兵器は存在する」と固執し続けているのです。

(3) イラク戦争の大義の破綻、イラク特措法の前提条件の喪失等々、イラクへの自衛隊派兵の前提が覆される事態が次々に明らかになっています。これ以上審議すればボロが出すぎる、「事後承認」と関係なく進めている計画に間に合わせたい、とばかりに政府与党は国会を深夜に開会し野党を排除し、数の力だけで採決するという民主主義のかけらもない採決強行をごり押ししたのです。

 野党が欠席し自民党の中からも造反者が出た中での単独強行採決は、政権の弱点として小泉首相と政府与党自身に跳ね返ってくるのは間違いありません。そして大量破壊兵器問題は米英の動きとも連動して小泉政権の最大のアキレス腱になり続けるでしょう。自衛隊派兵の全責任、イラク民衆を殺したときの責任、戦死者が出たときの責任、イラク侵略に加担した一切合切の責任を小泉首相とその政府与党全体が負わなければなりません。

 今私たち反戦運動に求められているのは闘いの継続と忍耐です。小泉政権の無理やりの派兵強行、反対や異論の封じ込めはいずれ裏目に出るときが来るはずです。弱点が弱点として噴出するときが必ず来るはずです。自衛隊派兵阻止のため、すでに派兵された部隊撤収のため、更に運動を強化し小泉政権を追い詰めましょう。

2004年1月31日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局