シリーズ<マスコミが伝えないイラク戦争・占領の現実>その20
ファルージャ大虐殺一周年:米軍の戦争犯罪(1)
暴かれた、ファルージャでの白リン弾=化学兵器使用
◎米政府は白リン弾使用の違法性を認めよ!米軍はいますぐイラクから全面撤退せよ!
◎米軍を支援する日本の自衛隊も加担者。自衛隊は即時無条件に撤退せよ!


《特集『ファルージャ大虐殺一周年』に当たって》

(1) 2004年11月8日にイラクの小都市で始まった「ファルージャの大虐殺」。数万人規模の住民を街に封じ込め、数週間にわたって破壊しつくし、丸ごと虐殺・殲滅するという残忍な軍事作戦−−これは戦後の血塗られたアメリカの戦争犯罪の歴史の中でも例を見ない前代未聞の大虐殺であった。米軍は、殲滅作戦を予告し、市全体を包囲・封鎖し、まず最初に被害の実態が明らかになる病院・診療所を攻撃し破壊し、橋・道路の封鎖し、電話を切断し、メディアやジャーナリストを排除し、「目撃者のない街」を作り出した。そして電気、水・食糧・医薬品の搬入を遮断し、残された住民はすべて「テロリスト」と見なし、女性・子どもを構わず無差別に爆撃、襲撃したのであった。この住民丸ごとの殲滅作戦は「ファルージャ方式」として、タルアファールやカイム、ラマディなど反米勢力の強い地域で繰り返された。
※私たちは昨年11月の未曾有のこの大虐殺事件を海外の媒体を中心に調べ上げ、今年2月、パンフレット「2004年11月:ファルージャの大虐殺−−「選挙」と占領支配のために住民と街を抹殺した米軍」を発行した。

(2) この「ファルージャの大虐殺」から1年がたった。大手メディアはこの一周年を黙殺し、10月15日に行われたイラク国民投票の「成功」と12月の国民議会選挙への「期待」を宣伝した。しかし最近欧米では、ファルージャ大虐殺に関する新しい暴露が幾つかのメディアで相次いで報告されていたのである。
 その中でも決定的に重要な第一のものは、ファルージャ大虐殺一周年の日にイタリアの国営放送RAIのドキュメンタリー番組で放送された「隠された大虐殺」である。この番組は、米軍が否定してきた国際法違反の化学兵器=白リン弾の使用の事実を、1年近くの取材の末、映像や証言などによって明らかにしたものである。
※Rainews24 http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/body.asp

 第二に、ファルージャに入った人権団体などが、ファルージャの状況を報道した。ファルージャは今も廃墟であり、通行証なくしては何人たりともはいることができず、人道物資などが滞る閉鎖された都市となっている。
※Falluja, One Year Later http://electroniciraq.net/news/2195.shtml
(邦訳「ファルージャ:あれから一年」http://teanotwar.blogtribe.org/entry-7e8d78e405caafcb1d1330c72ffde56e.html

 また、アメリカのフリージャーナリスト、ダール・ジャマイル氏はファルージャを再訪し、がれきの中で生きる人々を取材した。イラク人権研究センターがファルージャの犠牲者を4000人〜6000人と見積もっていること、30万都市には15万人程度が戻ってきていること、寒さの中で電気が来ず、また汚水を飲まざるを得ないことなどから疾病が拡大し、さらに病院がまともに機能しておらず生活破壊に追い打ちをかけていることなど、厳しい状況をレポートした。
※Fallujah Revisited http://dahrjamailiraq.com/weblog/archives/dispatches/000317.php
※Life Goes On in Fallujah's Rubble http://www.dahrjamailiraq.com/hard_news/archives/hard_news/000322.php
 町を封鎖し、真っ先に病院・医療機関を攻撃し、さらに食料・飲料水などを断って兵糧責めにするという残忍な米軍作戦の批判は以下でも報告されている。
※UN official accuses US of starving Iraqi civilians http://abc.net.au/news/newsitems/200510/s1482944.htm
※Iraqi Hospitals Ailing Under Occupation http://dahrjamailiraq.com/reports/HealthcareUnderOccupationDahrJamail.pdf

 第三に、ファルージャの大虐殺と封じ込めを暴露する新しいビデオ「Caught in the Crossfire−−The Untold Story of Falluja 」が制作された。ファルージャへの空爆や装甲車の進駐、米兵らによる家宅捜索、銃撃の映像や、廃墟となった街で「ここには汚水しかない」と怒る住民の姿などが納められている。
※ConceptionMedia Caught in the Crossfire−−The Untold Story of Falluja 
http://conceptionmedia.net/projects/caughtinthecrossfire/index.html

 第四に、イギリスでは、ファルージャ大虐殺一周年に市民グループによってアクションが行われ、ファルージャの大虐殺を告発するサイト「ファルージャを忘れない」が立ち上げられている。イタリアの国営放送が暴露した白リン弾の問題を系統的に報道しているのも、ガーディアン、インディペンデントなどイギリスの独立系のメディアであった。イギリス議会が、「ダウニングストリートメモ」で大きく揺れ、部分撤退の決定を余儀なくされたこと、イタリアが来年5月にイラクからの撤退を決定したことと無縁ではないだろう。
http://www.voices.netuxo.co.uk/
http://www.voices.netuxo.co.uk/remember%20fallujah.htm
※ファルージャを忘れない(Remember Fallujah) http://www.rememberfallujah.org/

(3) 私たちは、このファルージャ大虐殺の事実を、ブッシュと米軍の戦争犯罪としてだけ告発しようとするものではない。ファルージャ大虐殺には多くの在沖米軍の海兵隊が直接関わっている。また、サマワに居座る日本の自衛隊はれっきとした米軍=多国籍軍の一員として、イラク戦争・占領に参戦しているからである。日本もまたこの前代未聞の戦争犯罪に加担したのである。

 私達はこの間暴露された上記の一連の事実を[ファルージャ大虐殺一周年]シリーズとして、順次掲載していきたい。第一回目は米軍による白リン弾=化学兵器使用の批判である。
 米軍によるファルージャ侵攻直後から、サーモバリック爆弾、クラスター爆弾、化学兵器、白リン弾など非人道兵器の使用が、目撃証言などによって報道されてきた。しかし、これほどリアルに映像による「状況証拠」と「証言」を突きつけたのははじめてのことである。この「証拠」を前に、米国務省も白リン弾の対人使用をしぶしぶ認めざるをえなくなった。
 しかし、ファルージャではいったい何人が犠牲になり、どのような残虐行為が行われたのかさえほとんど明らかではない。米軍が報道管制を敷いたからである。ファルージャの大虐殺はまだ終わっていない。真実の暴露と責任追及が続いていくだろう。

2005年11月30日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局




[1]はじめに−−やはり米軍は国際法で禁止された化学兵器を使用した!!

(1)ファルージャ大攻撃一周年の日にイタリアで放送された「隠された大虐殺」。米軍による化学兵器=白リン弾の使用とその被害。
 米軍のファルージャでの白リン弾=化学兵器使用の事実が、イタリアの国営放送RAIのドキュメンタリー番組で暴露された。昨年のファルージャ攻撃当時から、断片的に問題にはされてきたが、米軍側の隠蔽工作によって、うやむやにされてきた事件がついに白日の下にさらされたのだ。この番組は、米軍がファルージャを包囲し、30万都市を封鎖して準備を進め大攻撃を開始した昨年11月8日からちょうど一周年の日に放送された。「隠された大虐殺」と名付けられたこの番組は、文字通り、米軍が否定してきた国際法違反の化学兵器の使用の事実を、1年近くの取材の末、攻撃や犠牲者に関する従軍取材の記者の映像、イラク人研究者の証言、帰還した米兵の証言などによって明らかにしたものである。
※Rainews24 http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/body.asp
※ビデオ・英語版(wmv形式、35.9MB)http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/video/fallujah_ING.wmv
※ビデオイタリア語版・映像(wmv形式、35.9MB)http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/video/fallujah_ITA.wmv


(2)生々しい映像が化学兵器のすさまじさを物語る。
 人々が逃げまどう中を、白リン弾がシャワーのように降り注いでいる写真がある。背景の空は明るい。これは昼間だ。また別の映像は暗闇の中で、連発花火のように白リン弾が落ちてくる。これは夜だ。「照明だ」「煙幕だ」と国防総省は語っていたが、それが真っ赤なウソであることをこれらの映像は示している。白リン弾の攻撃は、昼夜を問わず、無差別殺戮のために用いられているのである。
 さらに、白リン弾攻撃の犠牲者たちと思われる人々の無惨な姿が映し出される。ファルージャの犠牲者についてこれまで様々なメディアを通じて配信されてきた映像とは明らかに違っている。服は焼けていないが体は黒こげになっている、手の皮が手袋のようにはがれている、同様に顔の皮が仮面のようにはがれている、皮膚が溶けてカラメルのように固まっている、肉が溶けて頭蓋骨が出ている、全身が焼けただれている等々。
※写真は以下に掲載されている。
http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/slideshow.asp?gallery=1
http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/slideshow.asp?gallery=2
http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/slideshow.asp?gallery=3
http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/slideshow.asp?gallery=4


(3)証言する帰還兵たち
 生々しい映像に加えて、取材したイラク人記者や元米兵たちの貴重な証言がある。11月8日の火の雨が降ったような攻撃がまさに白リン弾であり、「150メートル以内にいる者はすべて焼き尽くされる」、「弾頭から出る白リンが散って雲のようになり、皮膚に触れると肉が骨まで焼ける」、「焼けた死体、焼けた子どもや女性をみた」等々、つぶさに証言している。
 昨年11月当時、フリージャーナリストのダール・ジャマイル氏らの告発によってナパーム弾や化学兵器の使用が疑われていたが、ファルージャの大虐殺から一年間論争され続けてきたこの問題に、イタリアのドキュメンタリーがだめ押し的な証拠を突きつけたのである。
※The fog of war: white phosphorus, Fallujah and some burning questions(インディペンデント)
http://news.independent.co.uk/world/americas/article327094.ece
 また、ファルージャ攻撃に同行した従軍記者らが、イタリアのドキュメンタリー放送をきっかけに次々と証言を始めている。アメリカの世論が変わり、ブッシュがレイムダック化し、イラク戦争の大義への疑問と撤退論が前に出るなかで、それに乗る形で、米軍の占領支配の非道性を告発する動きが急速に加速しようとしているのではないか。


(4)まずこの事実を知らせることが重要。
 このドキュメンタリーはイタリアで11月8日に放送されてから、日本国内では大手メディアが無視する中で、ウェブログやホームページなどで様々な形で言及されてきた。ジャーナリストの飯田亮介さんがこの番組を紹介し、「Falluja, April 2004-the book」で益岡賢さん、いけだよしこさんが海外の報道を逐次翻訳して伝えた。そして「ゆっくすさん」の翻訳による番組のナレーションや米兵の証言が「燃える雨」として"Dablog"というブログサイトで紹介されている。私たちは、ビデオをみながら日本語訳をたどることで、イタリアの番組のおおよそのところを把握することが出来る。
 日本でも、多くの人々にこの事実を知らせることから始めなければならない。日本では化学兵器と言えばフセイン政権を問題にするが、実は米国自身が、しかもイラクの大量破壊兵器(もちろん化学兵器を含む)の廃棄を「大義名分」とした今回のイラク戦争で使用したという事実を暴露していかねばならないのである。
※"Dablog" 「燃える雨」http://www.doblog.com/weblog/myblog/7844/2037678#2037678
※「Falluja, April 2004-the book」http://teanotwar.blogtribe.org/
※「暗いニュースリンク」http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/11/post_27c0.html
※「反戦翻訳団」http://blog.livedoor.jp/awtbrigade/



[2]イラク戦争とファルージャ攻撃の認識を一変させる正真正銘の化学兵器−−白リン弾の日常的で頻繁な使用。残忍さと異常さ。

(1)白リン弾攻撃はファルージャ大虐殺の主な手段の一つ。
 私たちは、米軍による白リン弾=化学兵器使用を、ファルージャ大虐殺の中でも最重要の戦争犯罪、人道上の罪として断罪する。
 イタリアのドキュメンタリー番組とそれ以降に明らかにされた白リン弾使用の事実は、単にアメリカが化学兵器を使ったかどうかという論争に決着をつけたというだけではない。残虐きわまりないファルージャ大虐殺に対する評価をさらに悪い方向に一変させるものである。さらに、イラク戦争と占領支配での米軍の住民殺戮のやり方、戦争のやり方に対する見方を一変させるものである。
 町を閉鎖し、家に封じ込めて、虱潰しの家宅捜索や機銃掃射で皆殺しを行った。動いているものは何でも攻撃した。それだけでなく、「ザルカウィが潜伏」「テロリストが潜伏」というでっち上げによって、焼夷性と有毒ガスを出す白リン弾を打ち込み、焼き殺しあるいは燻り出した上で射殺や砲撃で殺した。この白リン弾という残忍な兵器を日常的に使用し、罪のない人々を殺戮したのである。いったいファルージャ大虐殺とは何だったのか、ファルージャ方式とは何なのか、白リン弾使用の事実を前にして、これを改めて考えなければならない


(2)ファルージャ作戦の合い言葉−−「シェイク・アンド・ベイク」。
 以下はファルージャ攻撃に従軍取材した『デイリー・テレグラフ』が11月20日に配信した記事の一部である。
 「記者は、ファルージャ南部で掃討作戦を行っていたタスクフォース2−2に従軍した。部隊はローラー作戦を行い、反米勢力が潜むエリアには500ポンド、1000ポンド爆弾が投下され、家々は爆破されていった。しかし、反米勢力の内の数人が見つからなかった。指揮官は「シェイク・アンド・ベイクだ」と叫んだ。兵士たちは歓喜した。それが、白リン弾による攻撃を意味したからだ。白リン弾は街の端から撃たれ、民家の上で爆発し、「白い煙の巨大な噴煙柱」を送り込む。反米勢力は白リン弾によって即死するか、あぶり出されてきたところをスナイパーによって射殺されるのだ。」
※I watched US use 'shake and bake'(ニューステレグラフ 2005.11.20.)
http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml;jsessionid=HBQSEZMKFFKDVQFIQMFSFFWAVCBQ0IV0

 ビニール袋に鶏肉と小麦粉を入れてかき混ぜオーブンで焼く料理法「シェイク・アンド・ベイク」が、文字通り燃えながら落下する白リンで肉から骨までを焼きつくし、リンの燃焼による有毒ガスで燻り出す白リン弾作戦の軍の隠語として用いられている。そしてこれが掃討作戦の中で敵の息の根を止める切り札として遂行されたことを示唆している。

 米軍による白リン弾使用が発覚したのち、イギリスの国防省も、英軍がファルージャで白リン弾を使用したことを認めざるを得なくなった。白リン弾を使った戦闘訓練の存在についても暴露されている。米軍だけでなく、英軍による白リン弾使用が明らかになったことは、それがファルージャ作戦で重要な作戦であったことを証明するものである。
※Tim Collins trained troops to fight with white phosphorus http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2005/11/20/nphos20.xml
※UK used white phosphorus in Iraq http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/4441822.stm


(3)白リン弾、化学兵器の威力に関する証言。
 RAIの番組で証言された白リン弾による攻撃とその犠牲について見てみよう。証人たちは、@米軍による白リン弾使用の事実だけでなく、Aファルージャでの無差別殺戮、B被害を報道されないための米軍による厳しい情報統制などについても語っている。(内容は「燃える雨」(ゆっくすさん翻訳)を参照した)
※"Dablog"「燃える雨」 http://www.doblog.com/weblog/myblog/7844/2037678#2037678

 @ 武装ゲリラに誘拐され、解放されたイタリア・マニフェスト紙の女性記者ジュリアナ・シグリーナ(Giuliana Sgrena)記者は、2003年4月、バグダッド空港制圧の時点で米軍がナパーム弾などを使ったと住民が言っていた、ファルージャの住民たちから米軍が白リン弾を使用し、家中の埃が危険なのできれいに洗えと言われたと聞いたと語っている。

 A 死体を特定し埋めるために米軍からファルージャ入りを認められたモハメッド・ハディード医師は、非戦闘員の死体は、奇妙な怪我のあるもの、骨まで焼かれているもの、肉から皮膚が垂れ下がっているもの等があり、顔も体も文字通り溶けていた。奇妙なことに服は損なわれていなかったと語った。

 B ファルージャのイラク人権研究センターの指導者であるモハメッド・タリク・デラージさんは、パソコンを開いて熱で顔が溶けている被害者の写真を見せた。彼は、子ども、女性、若者、年寄りなど多くの人がベッドの上や台所で殺されているのが発見された、目撃者によると、アメリカ軍の攻撃によっていろんな色の火のシャワーが降り、その後、その場所の人間は全員死んだと語った。

 C コロラド州の二人の帰還海兵隊員ジェフとギャレットはインタビューに答え、「ファルージャで白リン弾が使われたことは知っている、これは疑いようもなく化学兵器だ」。「(使われたことは)伝達事項として無線で流されていたので確実だ。ウィスキーピートを5滴落とすと言っていたが、これは白リン弾(WP)の隠語だ」と語っている。
 さらにジェフは、白リン弾の化学的作用について「弾頭から出るガス、つまり白リンは、散って雲のようになる。そして、皮膚に触れると、取り返しのつかない被害が生じる。肉が骨まで焼ける。服は必ずしも焼けないが、服の下の皮膚は焼ける」「呼吸したらのどと肺に水泡ができて息ができなくなり、体が内側から焼ける」と語っている。

 ナレーションは犠牲者は「焼けた死体、焼けた子どもや女性です。白リン弾は無差別に殺します。雲状になって、たいていの場合150メートルに渡って影響を及ぼし、その範囲に存在する全ての人、動物を焼きます」と語る。


(4)ファルージャでの無差別殺戮についての証言。
 番組は、ファルージャの掃討作戦と無差別殺戮についても証言や映像も流している。街を装甲車が走り、数十人の米兵が銃をもって捜索する。街の至る所に死体が放置されている。がれきの下、道の真ん中。ある建物には数十の死体が横たえられている。2人の米兵が死体の片足づつをを持って引きずり、並べているようだ。戦果を確認しているのか。別の映像では、白旗を掲げて橋を歩く男性と子どもたちに銃弾があびせられる。ジャマイル氏が公表した、殺された、白旗をもった子どもの写真の裏付けとなる映像である。
 映像はホームビデオで撮ったのか、「2004.11.18.」の日付がある。さらに衝撃の映像が続く。冒頭で紹介した、焼きただれた人々の遺体である。
 前出のジェフは語る「私は、ファルージャの戦闘地域に入る際、歩いている人、話している人、息をしている人は一人残らず敵の戦闘員だ、と指示された。」(インタビュアの10歳の子どもも撃て、と命令されていたというのは本当ですか?と言う問いに)「ファルージャに行った頃には、銃を持っているならどんな男でも全て攻撃の標的とすることになった。実際、10歳くらいの子どもが戦っていることは数多くあった。(米兵は)アラブ人を大量に殺していた。私には、大量殺人に見えた。」



[3]白リン弾使用は二重、三重の明白な国際法違反である。

(1)当初米国務省は、白リン弾の使用を認めた上で「照明用だ」と居直っていた。
 国務省のホームページUSINFOで、1年前の2004年12月9日、「アメリカは、ファルージャで違法な兵器を使用したか」という記事を載せ、アルジャジーラやサンデーミラー、イスラムオンラインなどを名指しし、米軍が白リン弾やナパーム弾を使用したとするこれらの記事が誤りだという異例の主張を行った。そこでは、2004年11月12日に国防総省によって出された次の声明を引用した。
 「アメリカは、現在進行中のファルージャ作戦を含めイラクのいかなる時点でも、化学兵器を使用していないことを断言する。更に、アメリカは、いかなる状況においても、いかなる国による化学兵器の開発、生産、取得、移転、使用を支援したり容認したりする事はない。現在アメリカが保有しているすべての化学兵器は、化学兵器禁止機構(OPCW)に申告されており、化学兵器禁止条約の下で、私たちの義務に従ってアメリカで破壊されている。」
その上で、国務省は以下のように開き直った。ナパーム弾やそれに類する武器を敵軍に対して使用することは国際法で禁止されていない。2003年のイラク侵攻開始時に米軍はフセイン軍に対してMK-77焼夷弾を使用したが、違法ではない。米軍はファルージャ攻撃ではMK-77焼夷弾を使っていない。また、白リン弾は禁止されていない。米軍は、照明目的のために、ファルージャの中でそれらを非常に控え目に使用した。敵の兵士ではなく敵陣を照らすために、空に発射されたのだ。 この記事で国務省は、「サンデーミラー紙はナパームガスといっているが、ナパームはジェルだ」などと揚げ足取りに終始しているのであるが、要するに彼らがいいたいことは、民間人、戦闘員を問わず人に対する使用は違法であるという認識のもと、戦闘において敵陣の照明用に使用したにすぎないと断言したのである。
※Did the U.S. Use "Illegal" Weapons in Fallujah? http://usinfo.state.gov/media/Archive_Index/Illegal_Weapons_in_Fallujah.html


(2)ひそかに加えられた驚くべき「注」:実は「米軍は白リン弾を、敵の戦闘員をいぶり出すために用いていました」
 ところがこの記事には目を疑うような注がついている。日付は記事から1年後の2005年11月10日、イタリア国営放送の番組が放送されてから2日後である。この「注」が小さくこっそりと付け加えられていたのだ。
 「われわれに提供されていた情報のいくらかが……正しいものではなかったということが判明しました。白リン弾は煙を出しますが、ファルージャでは照明のためではなく、煙幕のために用いられていました。これは「隔月刊 野戦砲兵隊」(Field Artillery)の記事でわかったことです。同記事には『塹壕線や偽装蛸壺に潜んでいる反乱勢力に対し、HE(榴弾)では効果が見られない場合に、効果的な心理兵器として使用した』とあります。記事によれば、米軍は白リン弾を、敵の戦闘員をいぶり出すために用い、それから榴弾で殺しました」。
 これはいったい何なのか。些末な修正ではない。どうでもいい誤りではない。まさに問題になっている核心中の核心について、ファルージャ大虐殺の最中に言っていたこと、すなわち「人については使っていない、照明のために使った」という主張が完全に覆ったのである。注で、「人に対して使った」という国防総省の記事があったと付け加えているのである。注ですむ話ではない。記事は誤りであり、全面撤回し、謝罪し、「米軍は国際法を違反していた」と正面から認めるべきではないのか。
そして、11月15日、国防総省のスポークスマン、バリー・ベナブル中佐は、ファルージャで「敵に対して焼夷兵器として」白リン弾を使用したことを認めたのである。
※US: Incendiary weapon used in Iraq http://english.aljazeera.net/NR/exeres/F28D95E6-A0A4-42EE-8072-7A87B45141DB.htm


(3)米軍の機関紙で使用の事実が発覚。米軍は、2004年4月にも11月にも殺戮兵器として白リン弾を使っていた。
 実はこの国務省の記事と米国防総省自身の声明を覆す米軍の戦闘記録を発見し国務省に突きつけたのはブロガーたちだった。すなわち、「隔月刊 野戦砲兵隊」の2005年3月号である。それは、第二砲兵隊の将校たちが、昨年11月のファルージャ攻撃で特に効果を上げた「弾薬」について記録した箇所で「White Phosphorous(白リン弾)」を挙げ、「白リン弾は有効で用途の広い弾薬であると分かった。白リンは煙幕として使用し、またその後に、塹壕線や偽装蛸壺に潜んでいる反乱勢力に対し、HE(榴弾)では効果が見られない場合に、効果的な心理兵器として使用した。われわれは『シェイク・アンド・ベイク』ミッションを行い、反乱勢力が潜んでいる場所から出てこさせるために白リン弾を使った」と書いていたのである。
※March-April 2005 issue of Field Artillery magazine, "The Fight for Fallujah"
http://www.tradoc.army.mil/pao/ProfWriting/2-2AARlow.pdf

 さらに、カリフォルニア州のノース・カウンティ・タイムズの記事が発見された。2004年4月のファルージャ攻撃のときに海兵隊に従軍していた記者の書いたものだ。「数秒で準備が完了すると、近くにある弾薬の缶から白リン砲弾をつかみ、ミリキンが『砲身を上げろ』と叫んだ。ミリキンが砲弾を落とすと、ボガート伍長が『発射!』と叫んだ。連続して何発も発射され、衝撃でピットの周りに砂埃が立つ。彼らは発火した白リンと榴弾の混合したものを『シェイク&ベイク』と呼んでいる。それが一群の建物の中に送られる。反乱勢力がそこにこもっていることが突き止められていたのだ」
※Violence subsides for Marines in Fallujah http://www.nctimes.com/articles/2004/04/11/military/iraq/19_30_504_10_04.txt

 ここでは、敵を照らすための「照明」や、自軍を敵から防衛するための「煙幕」ではなく、陣地に打ち込みいぶり出すための燻煙材として使用したことを国防総省自身が認めているのだいる。白リン弾によって燻煙された住民はどうなるのか。敵性戦闘員であろうと住民であろうと、化学兵器、焼夷兵器を殺戮のために用いることは重大な戦争犯罪である。
※The US used chemical weapons in Iraq - and then lied about it
http://www.guardian.co.uk/comment/story/0,3604,1642575,00.html


(4)軍事的包囲下のファルージャで「人道兵器」があるのか!?
 米政府は、「白リン弾は化学兵器ではない」、「白リン弾は焼夷兵器ではないし、たとえ焼夷兵器であったも軍事拠点に対する使用は認められている」と主張する。その上、厚かましくも、アメリカは焼夷兵器を禁止した国際条約には批准していないから、その使用は合法的であると開き直っている。この態度こそ、米政府がイラクに植え付けようとしている「民主主義や自由、人権」がどんな腐ったものであるかを示している。
 そもそも多数の住民が住んでいる都市部で、軍事目標と市民が全く区別できない状況下で、有毒ガスのような無差別殺戮効果をもつ兵器を用いることそのものが極めて非人道的、残虐であり、いかなる理由があろうとも許されない。ましてやファルージャで米軍が行ったように軍事的包囲によって市民が脱出できないようにしておいて、無差別攻撃を仕掛けるなど大虐殺、なぶり殺し以外の何物でもない。それを平気で「禁止されていない」「我が国は制約されない」と開き直っているのである。こんな傲慢な態度を許すことはできない。
 付け加えて言えば、インディペンデントの記事「米国の情報機関は白リン弾を『化学兵器』として分類していた」では、アメリカの情報機関が湾岸戦争時、「イラク・トルコ・イランの国境に沿ったクルド人居住区でイラクが白リンの化学兵器を使用した可能性がある」と報告し、明確に白リン弾を化学兵器と規定した上で、フセイン非難のプロパガンダの材料にしていたという。記者は、アメリカのダブルスタンダードを批判している。
※US intelligence classified white phosphorus as 'chemical weapon'
http://news.independent.co.uk/world/americas/article328703.ece


(5)白リン弾はジュネーブ条約にも、化学兵器禁止条約にも違反する
 確かに白リン弾は1993年に作られた化学兵器禁止条約(CWC)で禁止される化学物質の一覧には載っていない。白リンおよびその燃焼で生じる五酸化二リンの有毒ガスは化学兵器禁止条約で名指しにされるサリンやタブン、VXなどの毒ガスほどの致死性、即効性はない。この条約が直接名指しで禁止したのはこれら最も危険な毒ガス兵器である。
 しかし、化学兵器禁止条約の基本となり、化学兵器の使用禁止を定めた「1925年のジュネーブ議定書」は「窒息性ガス、毒性ガス又はこれらに類するガス及びこれらと類似のすべての液体、物質又は考案を戦争に使用すること」を細菌兵器使用などと合わせて禁じている。白リン弾を多数の市民に対して用いることが上記のような兵器として、つまり化学兵器として用いていることは明白である。
 さらに、化学兵器禁止条約そのものが第1条の5で「暴動鎮圧剤を戦争の方法として使用しないことを約束する」としている。護身用スプレーに用いられるカプサイシン(トウガラシエキス)など刺激剤(催涙剤)や嘔吐剤などでさえ戦争での使用が禁止されているのだ。白リン弾がこれらと同等の効果を持つものであることは言うまでもない。

 化学兵器禁止条約の監視をしている化学兵器禁止機構のスポークスマンであるピーター・カイザー氏自身が、白リン弾について次のように述べている。「もし、その目的(発煙)のために白リンが使われたのならば、それは条約の下で合法的な使用と見なされます。」「他方で、白リンの毒性、腐食性が明確に意図されて兵器として使われるときには、白リンは禁止される。なぜなら、化学兵器禁止条約が構築した方法、あるいは事実上適用されている方法は、人間あるいは動物に対して使われ、その化学的毒性によって危害を加えあるいは死をもたらすいかなる化学物質も、化学兵器と見なされるというものであるからです」
※BBC White phosphorus weapon on the edge http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/americas/4442988.stm


(6)白リン弾は特定通常兵器使用禁止制限条約にも違反。二重三重の国際法違反
 白リン弾の使用は化学兵器禁止条約を蹂躙しているだけではない。上で述べたように米軍(砲兵隊)自身がが白リン弾を「煙幕」として、さらに「心理兵器」として用いたと認めている。更にRAI・TVのドキュメントは白リン弾を夜間に使用している事を示している。「煙幕」のためであるはずがない。そして燃えた白リンが雨あられと降り注ぐ焼夷兵器としての利用を示している。そして前述のように国防総省のスポースマンも白リン弾の焼夷兵器としての使用を認めざるを得ないのである。しかし、これは「焼夷兵器の使用禁止、制限」を定めた特定通常兵器使用禁止制限条約(過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約)に明らかに違反している。米軍の行為は二重に国際条約を踏みにじるものなのである。

 この条約の議定書V(1980年)は、「いかなる状況の下においても、文民たる住民全体、個々の文民又は民用物を焼夷兵器による攻撃の対象とすることは禁止する」「いかなる状況の下においても、人口周密の地域内に位置する軍事目標を焼夷兵器による攻撃の対象とすることは禁止する」とはっきり明記している。ファルージャは30万人の人口を持つ都市であった。攻撃時点で少なくとも5万から10万人が市内に閉じこめられていた。つまり市内に居た人々の圧倒的多数は武装勢力ではなく市民であった。米軍はその頭の上から燃える白リンを浴びせかけた。155ミリ砲で打ち出され空中で点火された白リンは800度で燃えながら細かい破片(燃える雨)となって落ちてくる。それが人体にあたれば、燃え尽きるまで消せない。肉を焼き骨に達するのである。白リンが燃えてできる五酸化リンは有毒ガスであり、落下ともに有毒ガスが一帯を覆う。呼吸ができなくなって、煙の中から出てくるしか道がない。市民は、煙の中から飛び出して米兵に狙撃されるか、白煙の中で白リン弾と一緒に打ち込まれる榴弾の爆発で吹き飛ばされるしかなかったのだ。これが米軍の言う「シェイク・アンド・ベイク」作戦であった。白煙の中で市民もゲリラも区別なく殺されたのである。

 米政府は条約で言う「『焼夷兵器』とは、・・・物に火炎を生じさせ又は人に火傷を負わせることを第一義的な目的として設計された武器又は弾薬類」であり「焼夷効果が付随的である弾薬類、発煙弾又は信号弾」である白リン弾は含まれないと主張する。戦場で、自分たちの姿を隠す煙幕のために自分の周囲に白リン弾を発射したのならその屁理屈も通用するかもしれない。しかし、住民のいるところに煙幕を作るためでなく、焼夷作用と有毒ガスで相手を燻りだし殺すために白リン弾を使ったのだから、米政府が条約を(批准していようがいまいが)蹂躙していることは明白である。



[4]小泉政権と自衛隊の米軍加担の重大な責任。ファルージャ大虐殺と白リン弾使用の戦争犯罪を徹底して追及しよう!

(1)イタリアのドキュメンタリーに触発されて新たに暴露される化学兵器使用の事実。
 イタリアのドキュメンタリーに触発されて新たに化学兵器使用の事実が報告されるようになっている。ダール・ジャマイル氏は、レポート『私は、皮膚が溶けた人々を手当てした』で、ファルージャで得た、白リン弾の使用に関する多くの証言を記述している。水をかぶっても皮膚が溶け続ける異常な犠牲者を見たという人たちを取材し、またユーフラテス川に米軍が遺体を捨てていたのは、秘密を覆い隠すためであったという住民の言葉を伝えている。
※最も抵抗の強かったジョラン地区の住民アブ・サバは、異常なものを目撃したという。サバは言った、「米軍は、きのこ雲のように煙を上げる不思議な爆弾を使用しました。」「数個の爆弾が爆発し巨大な火となりました。人々はやけどをして水の中に飛び込んだあとでも、皮膚の上で燃え続けました。」ファルージャから来たある医者は、犠牲者について「爆弾は彼らの皮膚を溶かした。」と記述した。「私が会った人々や遺体は、明らかに火器によって攻撃されており、他の榴散弾傷を持っていませんでした」。フリー・カメラマンのバーハン・ファサは、戦いの最初の8日間を目撃した。「私はクラスター爆弾をどこでも見ました、そしてそれらの中で、弾丸なしで死んでいた焼けた多くの遺体がありました。」またある住民は「米軍は、ファルージャの近くのユーフラテス川に犠牲者の遺体を落としていました」と語り、米軍が秘密を闇に葬ろうとしたのではないかと言っている。
※「私は、皮膚が溶けた人々を手当てした」('I treated people who had their skin melted')(ダール・ジャマイル)
http://www.dahrjamailiraq.com/hard_news/archives/hard_news/000318.php

 イタリアのドキュメンタリーで証言した元海兵隊員ジェフ、イラク人権研究センターのモハメッド・デラージ、イラク人医師モハメッド・ハディード、マニフェスト紙の女性記者ジュリアナ、ニューステレグラフ紙のトビー・ハーンデン、そしてダール・ジャマイルの取材など、白リン弾の犠牲に関するおびただしい数の証言は、「シェイク・アンド・ベイク」、白リン弾による攻撃が掃討作戦の主要な形態として行われていたことを示している。
※サーモバリック弾の可能性も浮上。
 さらにもうひとつ重要な指摘がある。ジョージ・モビオットは「白リン雲の背後にあるもの、戦争犯罪の中にある戦争犯罪」のなかで、イタリアドキュメンタリーの映像は、米軍がサーモバリック爆弾を使用したことを示しているのではないかという見解を出している。
 すなわち、@イタリアドキュメンタリーは、遺体写真を白リン兵器使用の証拠=状況証拠としているが、生物学の学位をもち検死の資格をもつ筆者がみたところ、それらすべてが白リン弾使用による燃焼を表しているとはいえない。シェフィールドの大学の病理学の教授クリス・ミルロイに確認したところでも、身体が燃えたという証拠はない。Aしかし、米軍は白リン弾を使用したことを自ら認めている。この国際法違反の化学兵器を使用したことは間違いない。B国防総省は、「白リン弾を民間人ではなく、反乱兵士殺戮のために使用した、反乱兵士=軍事目標に対する化学兵器の使用は国際法違反ではない」と主張していが、これは大きな間違いである。目標が誰であろうと、人体に対して化学的影響をもたらす兵器は国際法違反である。C現に米は、第一次湾岸戦争時、サダムによるクルド人への白リン弾使用を国際法違反と非難していた。
 以上を確認した上で筆者は、遺体写真をみて分かるのは、使われたのは白リン弾とは別の兵器、すなわちサーモバリック爆弾による犠牲者ではないかと推測している。サーモバリック爆弾は、巨大な火の玉とキノコ雲になって膨大な量の酸素を消費し、人々は焼かれるとともに、窒息して殺される残忍な兵器である。筆者は、「家をクリーンアップする爆発物の消費は巨大であった」としてサーモバリック爆弾の使用も重要な作戦の一つであったと結論づけている。
 いずれにしても筆者の言うように、有志連合軍がイラクで犯していない罪があるのだろうか。
※Behind the Phosphorus Clouds are War Crimes Within War Crimes
http://www.guardian.co.uk/Columnists/Column/0,5673,1647998,00.html


(2)沖縄の海兵隊がファルージャ大虐殺で重要な役割果たす。日本の自衛隊もまた米軍のこの戦争犯罪の加担者である。
 国際法違反の白リン弾をファルージャとイラク戦争で使用した事実の発覚は、中東をはじめ世界中の人々に米国と米軍の犯罪的行為に対する怒りをかき立て、レイムダック化したブッシュ政権をさらに孤立化させ追い詰めるだろう。大量破壊兵器と「大義名分」の捏造とCIA情報漏洩、息子を戦争で失ったシンディ・シーハンさんによるブッシュ追及、2000人を超して増え続ける米兵犠牲者、新たなイラク人の拘束と拷問の発覚、拘留施設の暴露、イラク戦費と財政赤字の問題、カトリーナ被災者放置と人種差別問題等々、ここへきてブッシュのイラクに対する“汚い戦争の恥部”が一気に噴出している。
 ブッシュ政権はイラクからの撤退を口にし始めたが、主要な軍事拠点を残しての部分撤退でしかない。米の反戦運動センターUFPJやANSWER、そしてシーハンさんら米兵犠牲者遺族や家族などが主張する即時全面撤退とはほど遠い。発足以来最大の危機に陥っているブッシュ政権を徹底して追い詰めていかなければならない。

 私たちが忘れてならないのは、ファルージャ大虐殺に在沖米軍の海兵隊が参加しているという事実である。また、多国籍軍の今や数少なくなった一員として日本の自衛隊もまた米軍のこの戦争犯罪の加担者であるということである。まずもってこの事実そのものを日本で知らせていかねばならない。停滞する私たち日本のイラク反戦運動がブッシュ追及の新たな動きにどのようにして連帯できるのか、小泉政権の自衛隊イラク居座りをどのようにすれば撤退に持ち込めるのか、手立てを探っていきたい。