[解説]
燃料気化爆弾(FAE Fuel / Air Explosive)



 アメリカは、燃料気化爆弾と呼ばれる、恐るべき破壊力を持った大量殺戮兵器を開発・配備している。燃焼性の非常に高い液体状態の燃料を詰めた容器を投下し、目標近くで破裂させ、広域に液体燃料をばらまく。この燃料のミストが空気と混合された時点で、時間差で点火、爆発的な燃焼を起こさせるというものである。その延焼効果を伴った破壊力はすさまじく、TNT等を使った通常の炸薬よりもはるかに大きい。核兵器に次いで威力のある兵器とされている。


■  気化爆弾CBU-72 (写真:Federation of American Scientists)

 この爆弾が爆発すると、衝撃波によって地上の構造物はことごとく破壊され、数km四方が火の海となる。さらにその激しい燃焼によって周辺地域では急激に酸素が奪われる。たとえ、塹壕や地下に隠れていたとしても、数km以内に存在する人間は高温の炎と窒息効果によってことごとく死に至る。また、酸素の減少と凄まじい上昇気流によって生じた急激な気圧低下は、内臓破裂等を引き起こす効果があるとも言われている。気化爆弾には、いくつかのタイプがあるが、最大のものでは、その効果範囲は半径8kmである。


■  小型の気化爆弾の爆発 (写真:Federation of American Scientists)

 その破壊力、殺傷力の大きさは焼夷弾や、ベトナムで多用されたナパーム弾の比ではない。明らかな無差別大量殺戮兵器である。大型の気化爆弾についての公式の使用記録は、湾岸戦争後、地雷原の除去のためにのみ使われたとされている。この時、気化爆弾の爆発を見た米軍兵士は、戦術核が使用されたのかと思ったという。また湾岸戦争では、バスラに向かって逃げるイラク軍兵士に対して、この爆弾が使用されたとも言われているが真偽は不明である(よく写真に出てくる焼けこげた車両と死体の列−いわゆる死のハイウェイ)。


■  死のハイウェイ (写真:中国新聞)

 その破壊力の大きさと殺傷効果の非人道性から、核と同じく使用を禁ずべきだとの国際世論がある。これに対してアメリカは、地雷原除去や陣地構築のための兵器であり、対人兵器ではないとしている。しかし広範な地域の殲滅戦や塹壕の攻略に絶大な効果を発揮する兵器であり、戦局の行き詰まりの中で、タリバンのキャンプや拠点地域を一掃するために、アメリカが気化爆弾を使用する可能性は十分にある。



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