「捕虜ではない。ジュネーブ条約適用せず」
捕虜の虐待を居直るラムズフェルド(米国防長官)


 ラムズフェルド米国防長官は11日、アフガニスタンで拘束したアルカイダやタリバン兵について「捕虜ではない。不法な戦闘員であり、ジュネーブ条約に基づく権利はない」と述べ、戦争や武力紛争の捕虜の人道的待遇を定めた1949年のジュネーブ条約を適用しないことを公言した。
 10日アフガニスタンからキューバのグアンタナモの米軍基地に移送されたが、捕虜の移送に際して20時間に及ぶ航空機移送の間中、20人の捕虜全員が手錠を嵌められ座席に縛り付けられ、頭巾をかぶせられ、さらには1人に鎮静剤が打たれたという。暴れた場合に備えて高圧電流銃も準備されていた。アムネスティ・インターナショナルは、これに対しジュネーブ協定違反の疑いがあると批判し、ラムズフェルド宛書簡で人道的な処遇を要求していた。国際協定は、脱走、損傷、傷害の怖れがある場合に限り手錠をかける事を認めているが、手足を動かす事ができ、入浴や飲食ができることを要求している。視覚、聴覚などを一時的にせよ奪うことを禁止している。薬物使用は、厳格に医療目的に限定されている。
 捕虜が輸送機に乗るところまでは、米メディアの取材が許され、そこで目隠しされた捕虜の状況が映し出されたわけだが、それも米軍当局の許可が下りるまで配信しないことを同意させられた上での事だったと言う。輸送機の中での状況は全くわからない。13日にさらに30人の捕虜が移送された。今後、現在までにアフガンで拘束されている約400人が順次移送される。米軍はグアンタナモに最大2000人を収容できる施設の建設を進めている。
 アムネスティはまた、収容所の独房の広さが6×8フィート(1・8×2・4メートル)と狭く、鎖でつながれ、しかも部分的に風雨にさらされ状態であることについても、最低限の国際的基準を満たしていないと批判している。
 こうした批判に対して、ラムズフェルドは、冒頭のように公然と居直ったのだ。もともと戦争でないものを「戦争」だと言って、国際法をも無視してアフガン攻撃を始めたのはブッシュ政権ではないか。ところが今度は、その戦争捕虜を「捕虜ではない」と言う。しかし犯罪者として裁判で裁くことも拒否している。彼らはアルカイダを軍事法廷で処分しようとしている。テロ捜査において拷問を合法化するとも言っている。ここには正義のかけらもない。この先にあり得るのはリンチとでっち上げ、あるいはマザリシャリフのような虐殺だけである。(2002年1月13日 K.TJ)

日本語参照記事:
 http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/nybomb/afghan/200201/13-01.html
 http://www.kyodo.co.jp/kyodonews/2001/revenge/news/20020111-690.html
 http://www.asahi.com/international/update/0112/005.html

アムネスティ・インターナショナルの批判(英文):
 「捕虜は人道的に扱われなければならない(Prisoners must be treated humanely)」
 「ドナルド・ラムズフェルドへの書簡(Letter to Donald Rumsfeld)」

  



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