共に『いのち』を考える 死刑執行停止法の制定に向けて

日本弁護士連合会 死刑執行停止実現委員会 事務局長代行 小川原優之


1 日弁連の立場
 日弁連は、死刑の廃止や存置ではなく、死刑の執行停止を求めています。わが国の死刑制度は、死刑に直面する者に対する権利保障が不十分で、誤判防止のための制度も欠如しており、死刑の適用基準も不明確ですし、死刑確定者の処遇が非人道的であるなど、制度上、運用上根本的な問題をかかえています。日弁連は、このような状況下において、死刑の執行はもはや許されないと考え、死刑の執行停止を求めているのです。また日弁連の提唱する死刑の執行停止は、死刑を停止して、衆参両院に死刑問題に関する調査会を設置して、十分な情報のもとに、終身刑などの死刑に代わる最高刑を含めて広範に議論を展開し、合意形成を図ろうというものなのです。

2 名張毒ぶどう酒事件 再審開始決定
 名古屋高等裁判所は、4月5日、再審請求人奥西勝氏に係る再審請求事件、名張毒ぶどう酒事件について、再審を開始し、奥西氏に対する死刑の執行を停止する旨の決定を下しました。これは、奥西氏の不屈の闘いとこれを支えてきた再審弁護団の献身的な努力によるものですが、死刑確定から33年を要したのです。まさに日弁連の指摘してきた、死刑に直面する者に対する権利保障が不十分であり、誤判防止のための制度も欠如していることが、はっきりしたのです。日弁連の梶谷剛会長は、同日、「当連合会は、死刑冤罪事件の存在などから、死刑執行停止法の制定も提言している。本日の決定は、今なお粘り強く続けられている多くの再審事件の関係者に大きな励ましとなることはもちろん、当連合会が取り組んでいるこのような提言が一刻も早く実現されることの必要性を示したものである。」との会長声明を出しました。今後、日弁連としては、この再審開始決定を、死刑執行停止につなげるための様々な活動を行うことになります。

3 出版
 これは、昨年第47回日弁連人権擁護大会において、「21世紀日本に死刑は必要か─死刑執行停止法の制定と死刑制度の未来をめぐって─」と題するシンポジウムが開催された趣旨を踏まえ、死刑問題に関する日弁連の方針を明らかにして、かつ、市民を含めた読者に問題提起を行い、更なる議論の深化に役立てる出版を企画しようとするものです。5月に日本評論社から出版する予定です。

4 死刑執行停止に関する全国公聴会
 最初の公聴会は、5月28日に、東京で「共に『いのち』を考える 死刑執行停止法の制定に向けて」を弁護士会館2階クレオで開催します。主催は日弁連、共催は「死刑を止めよう」宗教者ネットワークです。映画「デッドマン・ウォーキング」を上映し、原作者のシスター・プレジャンに講演していただきます。
 次の公聴会は、9月に岡山で、その次は来年横浜で開催を予定していますが、具体的な内容はまだ決まっていません。

5 国際セミナー「死刑・人権・民主主義」
 これは日弁連とアメリカ法曹協会(ABA)及び欧州委員会(EC)の共催により、12月6日、7日の2日間、弁護士会館2階クレオで行う予定の企画で、死刑執行停止の必要性を広く国会議員やマスコミなどに訴える(1日目)と同時に、国内外の法律実務家・ロースクール関係者などを対象に、死刑執行停止の実現に向けた法律実務家の役割について、専門的・実践的な見地から講義を行う(2日目)ものです。

6 ほかにも
  日弁連として、様々な活動計画(恩赦法の勉強会、死刑事件弁護団経験交流会、政党への意見交換申し入れなど)があります。これからもフォーラムの皆さんや多くの市民の皆さんと協力しあいながら、一日もはやく、死刑の執行停止を実現していきたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。

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