名張事件再審へ、だが検察が異議申し立て

 「名張が再審へ」、4月5日午前11時過ぎ名張事件の再審請求についての高裁の判断を伝えるニュースは、メールを使い全国の仲間の元へ伝えられました。再審はラクダが針の穴を通るほど難しいと評されていて、法の定めはあるものの、制度そのものが存在しないかのような印象でした。島田事件の赤堀さん以降15年間再審の門が開かれることはなかったのです。赤堀さんまでの4人は「戦後の混乱期だったこともあり、捜査が誤った」のであり、以降は間違はない。もうこれ以上の再審無罪は出さない、というのが検察・法務省の方針であるかのようにさえみえました。
 それだけに今回の名張のケースは実に大きな意味があると思います。一つの冤罪事件の存在は、司法制度全体の根幹に関わることであり、「反省」しても許されるものではない。とりわけ命を奪う刑に処す場合は、絶対に誤りがないということが大前提であるはずです。
 今回検察は「異議の申し立て」を行い、奥西さんへの侵害を続けようとしています。97年ころ検察が行った「検事上告」についても「侵害するな」ということを強く訴えてきましたが、今回も決定を先延ばしにする「異議の申し立て」は到底許されるものではありません。
 私たちは冤罪を訴え続け、果たすことなく「獄死」させられた多くの無念さを知っています。免田栄さんからは、冤罪でありながら処刑されてしまった死刑囚が多く存在しているとの証言もあります。日弁連により過去の死刑事件を洗い直す 「イノセントプロジェクト」もスタートしようとしています。死刑廃止の大きな理由の一つである「誤判の存在」のことを今一度捉えなおしてみて下さい。冤罪死刑囚の問題については、昨年発行した「年報死刑廃止2004・無実の死刑囚たち(インパクト出版会2200円+税)」で詳しく報告しています。是非お買い求め下さい。
 韓国のこの間の状況はこの号に掲載している朴教授の報告に詳しいです。ご存じの方も多いと思いますが、朴教授はかつて日本に留学されていて、というより、明大菊田研究室で貧乏学生をしていて、私たちとはそのころ出会いました。まだフォーラムが形もなかったころから発送作業などを手伝っていただいていた仲間です。
 今回のシンポは「死刑廃止を推進する議員連盟」の協賛を得ています。韓国議案の提案者である柳議員にも報告をお願いしています。死刑廃止については韓国の方が一歩も二歩も先を歩んでいるような、そんな気がしてならないのです。韓日議員の経験交流の場ともなり得るような、お二人の今回の来日をそのような場に出来ればとも考えています。
 急遽名張事件関係の記事を入れました。会計報告は次号に掲載します。
             文責:えがしら

死刑廃止を推進する議員連盟協賛
2005年フォーラムシンポ第二回
死刑廃止の実現はなるのか
韓国の挑戦
・・三度目の法案提出・・
報告 柳寅泰議員(交渉中)
朴秉植教授(竜仁大学)

 時:2005年6月04日(13時30〜
 所:東京都文京区文京区民センター2A
 交通:東京メトロ・後楽園:都営地下鉄・春日
参加費:500円+資料代

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