欧州評議会の日本への決議削除報告についてのお詫び

菊田幸一

 本年1月24日ブリュッセルで開かれた「死刑廃止第1回聯合会議」に出席した私は、帰国後の同月28日に東京で開かれた死刑執行抗議集会において、昨年6月25日の欧州評議会の死刑に関する決議のうち、「日本とアメリカへの2003年までの死刑へのモラトリアム実現」の部分が削除されたことを報告しました。ところがその事実のなかったことが判明しました。このことで関係者に多大のご迷惑をおかけしたことを衷心よりお詫びします。
 この件は、ひとえに死刑廃止会議(ECPM)議長・Michel Taube氏の責任であり、そのことを確認するため、同氏に対し再三にわたり釈明を要求しました。しかしTaube氏からは何の返事もないので、私は「このまま放置するのであれば公開質問状を世界の死刑廃止グループに発信する。」ことも止むを得ないと判断し、その旨をフォーラムの身近な方には要旨を伝え、Taube氏には英文で4月3日付で発信し、彼からの誠意ある返事を待ちました。その結果4月3日付で返信がきましたが、「われわれが誤解したことをお詫びします。詳細は明日報告します」との短文のみでした。その詳細の釈明は4月10日にTaube氏から受理しました。
 4月10日付の弁明の要旨は、1月24日の会議の休息中にECPMの女性が菊田に話したことについては、「削除されたと言っていない。決議が実行されない可能性があるとの噂がある」と言った。私がパリに立ち寄りこの件で確認したことについては、「欧州評議会の総会は通常かなりソフトなものであり、強制力がなくとも、その採決は強いものである」といったことなど周辺のことに終始し、直接に弁明した明確なものではありません。(必要の節は原文お届けします)。ここで具体的な弁明の紹介ができなことは残念であります。
 ただし、私のこれまでの再三の要請に対し返事をよこさないので、「公開質問」の提示も効果がないと予想していましたが、4月3日付の「詫び状」は、ヨーロッパ人(とくに誇り高いフランス人)にとっては、異例のことでありあり、この件についてこれ以上の追及しないものと判断しました。この経過をご了解いただき、私への不信の信頼回復の判断としていただきたくお願いするものです。
 なお1月24日のブリュッセル会議で「日米がモナトリアムを怠った場合、欧州評議会に圧力をかける」の決議がなされたことは、私はその会場に出席し、日本の立場も表明していたので(そのスピーチはフランス語となって記録されています)、当然に知っておりました。それ故に決議と異なる削除のニュースが重大と判断し、帰路パリのECPMの事務所を訪問し、時間をかけて、その確認作業をしたものであったことも付加させていただきます。またECPMとは今後も良好な関係を維持することをTaube氏には伝達してあります。(2002年4月29日記)

もどる
表紙