米国でも大手企業は”ダウンサイジング”を続けており、リストラに成功した会社は株価を上げ続けています。能力が衰えた人に退職を迫ることは米国も日本と変わりありませんが、異なるのはリストラの受け皿です。
米国には高齢者に対するいわれない偏見に対して使用者の意識を変え、議会に働きかけて法律を制定させ、裁判でたたかい、高齢者のための仕事づくりに奔走しているNPO(非営利組織)があります。
それは米国退職者協会(AARP=American Association of Retired Persons)です。AARPは3000万人の会員を擁し、ローマ・カトリック教会に次ぐ米国第2の巨大組織です。事業は機関紙の発行、グループ医療保険、医薬品の通信販売を行う他、さまざまのボランティアを組織し、中高年のニーズに応えています。
1970年代、欧米の多くの政府は失業率を減らす手段として早期退職制度を利用してきましたが、雇用危機解消には全く役に立たなかったばかりでなく、年金をつけて早期退職させる制度が年金危機を招くことになりました。欧米諸国は公的年金制度と定年制度ががっちり結びついており人々は就業より年金を選ぶケースが多いからです。各国政府は早期退職の社会的費用に気づき、年金費用を削減するため公的退職年齢は後方へ延長されつつあります。
カナダでは1978年、ニュージランドでは1992年から年齢差別を禁止しました。
イギリスでも1996年ローソサエテイーの雇用法委員会は年齢差別禁止法の立法化は可能かつ効果的であるとの結論を下しています。
1998年、OECDは世界的高齢化に関する本格的調査を行い、高齢化する人口に課せられた経済的負担に対処するには定年退職の実効年齢を70歳にしなければならないとの計算を示しています。少子高齢化対策は先進諸国に共通の課題であり、年金崩壊を避けるために高齢者の就業と自立が求められているのです。
わが国では平成13年10月から改正雇用対策法が施行され、新産業への「労働移動」と「円滑な再就職促進」が期待されていました。改正法には労働者の募集及び採用について、「年齢にかかわりなく均等な機会を与えるように努めなければならない」と明記されており、労働移動の促進、少子化対策、雇用のミスマッチ解消のために、雇用の年齢制限を撤廃し中高年の雇用機会を文字通り拡大できれば、高齢社会の年金崩壊を阻止し、生活不安を解消して日本再生の起爆剤とすることも出来るでしょう。
しかし、現状は国(法務省・人事院・厚生労働省等)の「合理的理由さえあれば年齢制限を設けてもよい」との認識のもとで、改正法の条文は完全に骨抜きにされています。