2001年11月30日(政審全体会議)

国民生活の視点に立った特殊法人の見直しを
〜社民党の特殊法人改革の5原則〜

社会民主党

1.小泉特殊法人「改革」の問題点

現在の特殊法人「改革」論議は、組織論・経営形態論だけが先行している。しかし、特殊法人が担っている業務が、国民にとって必要かどうか、廃止・縮小した方が本当によいのか、あるいは廃止・民営化して国民生活にとって問題はないのかといった政策議論が並行して行われるべきである。

特殊法人は、経営の自律性の欠如、天下りの固定化、情報開示の不徹底と運営実態の不透明さ、組織・業務の自己増殖及びファミリー企業などの子会社のあり方、巨額の債務による財務の悪化をはじめとする多くの問題を抱えている。しかし、その背景には、政・官・業の癒着構造、自民党の利権支配がある。

特殊法人の経営破綻や行き詰まりは、歴代自民党政権の政策破綻にほかならない。小泉内閣の主導する特殊法人「改革」は、大臣が任命したトップや天下った役員の責任をも不問に付し、すべての責任を特殊法人の労働者と利用者・国民に押しつけるものである。これらの問題を生みだした原因と温床にもあわせてメスを入れなければ真の改革にはならない。

威勢よく「廃止」・「民営化」と打ち上げても、特殊会社化にすぎなかったり、法人を分割したりで、その本質は、「儲かるところは民営化」という名で資産を資本へ売り渡し、債務・負債は国民へ負担転嫁するという「改革」にほかならない。

「改革派」対「抵抗勢力」という構図は、政治家・官僚・財界内の利権・権益の争奪戦にすぎない。今回の道路公団等をめぐる小泉首相と自民党との駆け引きも、それもかつて「4人組」といわれた森前首相、青木参議院議員会長らとの手打ちで終わらせたやり方は、今までの自民党的密室談合での決着と何らかわるものではない。

組織は、存在それ自体が悪いのではない。ガバナンスや運営の仕方を常にチェックしながら問題を事前に回避させるようにすればよい。民間組織が常に間違いを起こさない仕組みという訳でもない。政策実施機関に対しては、政府のガバナンスを利かせうる組織とするのは、当然であり、アメリカでさえ住宅金融や奨学金を助成する機関は存在するし、ヨーロッパは日本と同様、様々な分野で融資を行う機関が存在し、有効な活用が図られている。政策手段はより多い方がよいので、組織はいかに効率的に運営するかということにいきつく。

2.社民党の「特殊法人改革5原則」

社民党は、政策的必要性の是非を考えた上で、特殊法人の抱える諸問題にメスを入れるとともに、当該特殊法人が本当に国民のためになっているのかという国民生活向上及び利用者の視点で真の改革を行う。

1 情報開示の徹底と運営実態の透明化

改革の前提は、事業内容や財務・経営の状況等の徹底的なディスクロージャーである。独立行政法人等情報公開法では、まだまだ不十分であり、情報開示の徹底と運営実態の透明化を図る。特に、子会社・ファミリー企業の情報開示も進める。

2 事業内容及び政策目的の精査

組織形態の変更や事業削減をすることだけが改革ではない。まず事業内容及び政策目的を精査し、その上でどのような組織形態で実施するのがよいのかということが問われなければならない。事業の意義や実績が乏しくなったもの、費用対効果の観点で大きな無駄を生むもの、類似の事業を行っているものについては、大胆に整理する。

一方、国民生活にとっての必要性を勘案し、民間だけでは望めない分野や「市場の失敗」が生まれる分野、社会的波及効果が高く民需の活性化や掘り起こしに寄与できる分野、公的に積極的に関与・誘導すべき分野の事業は、ディスクロージャーの徹底や効率化を図りつつ充実・重点化する。

3 政策・事業決定システムの見直しと政官業癒着の追及

道路やダム・空港、橋などの公共事業の実施機関については、もともとの公共事業自体のあり方や必要性、目的の妥当性等を見直すことによって、当該法人のあり方を検討すべきである。また、特殊法人を「カネのなる木」、利権の隠れ蓑としてきた行政と政治の責任及び政官業の癒着構造を徹底追及する。また、予算などは国会で十分に論議し、利用者の意見を反映する仕組みを整備する。

4 子会社・ファミリー企業の規制

本体は赤字であるにもかかわらず、子会社・ファミリー企業が黒字の企業が多い。形だけの入札で高コストのファミリー企業が受託するシステムが温存されてきている。また、逆に赤字の垂れ流し法人となっているものもある。ファミリー企業についての情報公開が不十分である。特殊法人の関連企業のあり方を徹底的に見直す。

5 「天下り」、「渡り鳥」の規制

政府の進める「公務員制度改革」では、「天下り」について、大臣承認制による事実上の解禁を提起している。しかし、「天下り」は事実上高級官僚の特権と化し、内部の士気を低めるとともに、特殊法人の経営の自主性を阻害している。また、主な特殊法人の総裁、理事長などの年間報酬は2300〜2600万円の範囲にほぼ集中し、これらのポストを歴任し、高額退職金も受け取る高級官僚への国民の批判も強い。したがって、これら「天下り」と高額報酬・退職金について、特殊法人役職員に占める国の行政機関出身者の比率の制限、内部からの幹部登用の推進、特殊法人役員への高額報酬・退職金の規制、特殊法人の役員の「渡り鳥」の禁止などの実効ある天下り規制に取り組むことで、特殊法人の責任体制の確立と経営の自主性の確保を図る。なお、改革を円滑に進めるためにも、特殊法人労働者の雇用問題に万全を期すのは当然であり、横断的雇用保障制度の確立を目指す。