2001年11月29日
社民党幹事長 福島瑞穂
一 本日、政府・与党は来年度の医療制度改革案について合意した。改革案では2003年から保険料引き上げなどを行うとしてる。患者負担増ばかりが強調される内容であり、到底容認できない。
一 求められていた抜本改革とはほど遠いものである。医療保険制度については、2000年度を目途に抜本改革を実施することが、国民への約束であった。1997年9月、当時の社民、自民、さきがけの連立政権は、医療制度の「抜本改革なくして負担増なし」と合意、確認している。
またも、関係者の利害調整に終始し「玉虫色・先送り」の改革となった。国民不在の制度いじりとしか言いようがない。
一 小泉首相は「三方一両損」といってきたが、「一方(国民)三両損」の改悪と言わざるをえない。今回の改革案では国の公費割合が削減されることとなり、国は一両も損をしないのであり、まったく「大岡裁き」とは言えない。弱い者いじめである。そのしわ寄せを受けるのは、高齢者やサラリーマンなどまじめな国民である。
一 「安心して医者にかかれない」という不安が増幅され、医療制度、ひいては社会保障制度への信頼を失われようとしている。1997年の医療費上げが受診抑制と深刻な消費減退を招いたことを忘れてはならない。
一 高齢者や難病患者、障害者、低所得者などに対して公正・公平の原則を貫く国民本位で、患者の側に立った抜本的な医療改革の実現に向けて、社民党は全力で取り組む決意である。
信頼される医療制度を確立し、国民本位・患者本位の抜本改革を実現します
患者本位の医療を確立するため、「患者の権利基本法」(仮称)を制定します。
患者や家族が、(1)医療行為に関し医療従事者から十分な説明と報告を受ける権利であるインフォームド・コンセント、(2)カルテなど医療情報の閲覧や謄写請求、医療費明細書などの交付請求権、(3)医療行為について選択し、同意し、拒否することができる自己決定権、といった患者の権利を基本法に明記するとともに、患者の権利擁護について、国や自治体、医療機関や医療従事者の責務を明らかにします。 特に、カルテ開示の法制化を早急に進めるため、「医療記録法」(仮称)を制定して、医療機関に対してカルテなどの作成や保管、開示等を義務づけます。
患者の諸権利を実現し擁護に資するため、保険者機能を抜本的に強化し、患者や被保険者代表を加え、広域的な再編と独立性確保で患者・被保険者の代理人機能を確立します。
また、保健所や医療機関などに相談窓口を設置するとともに、都道府県単位にオンブスパーソンを配置するなど、医療機関に対する評価機能、調査権、勧告改善権などを付与した第三者機関としての苦情処理制度を整備します。
患者が十分な情報に基づいて医療機関の選択ができるよう、医療機関における治療や成果についての情報公開や実績に応じた質の評価システムの確立を進めます。
続発する医療ミスや事故を防止する安全対策やチェック体制を徹底するとともに、医薬品被害を未然に防止するため、審査・承認制度の透明化や医薬分業の推進、情報提供システムの構築、コメディカル・スタッフの十分な配置と過密労働の解消などを進めます。また、患者と医療従事者双方の意識改革を進めるための権利教育を確立します。
薬害ヤコブ病問題などでの政府の責任を追及するとともに、医療被害を受けた患者の迅速かつ円滑な救済を図り、薬害や副作用の被害者救済制度を確立するため、「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法」を改正します。
高齢化などに伴う医療費の当然増は不可避です。しかし、「薬漬け・検査漬け」や「乱診乱療」といったムダで危険な医療を是正し、医療の質を重視した効率化を進め、青天井といわれる医療費に徹底的にメスをいれます。
ムダな薬剤や高価な薬剤が使用されがちな現在の薬価基準制度を見直し、公設の医薬品市場で公開競争入札による価格形成システムを導入します。
また、過剰な診療を招く誘因となっている出来高払い中心の診療報酬制度を見直し、慢性疾患などに対して定額払いを導入して、不必要な入院期間の短縮や社会的入院を解消するとともに、「もの」より「技術」を重視します。
高齢者医療制度の改革は、公費負担の拡充により患者負担増を回避し、低所得者へ徹底した配慮を行います。将来的には、高齢者の疾病リスク(若年者の5倍)にかんがみ、介護保険制度との連携や地域ごとの全保険者統合による地域保険制度、税方式化などを検討します。
生涯を通じた健康づくりを目指し、がんや心臓病、脳卒中、糖尿病など生活習慣病の原因となる生活習慣の改善や早期発見・根絶を図るため、予防医療を確立します。予防医療への保険適用を進めるとともに、看護婦や保健婦などを欧米並みに配置基準を引き上げて、十分に配置しながら、医療・保健・福祉の連携によりきめ細かな体制を整備します。
高度先端医療を拡充し、ゲノム技術等を用いた画期的な治療技術や医薬品、医療機器の研究開発・普及への圧倒的に少ない予算を増額し、基盤を整備します。
また、難病に苦しむ方々への対策を充実し、治療法の確立を図るため調査研究費を増やすとともに、療養環境を向上させ、特定疾患の対象を拡大して患者の負担軽減を図ります。