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この原稿は、(財)日本緑化センター発行の「グリーン・エージ」2004年1・3月に掲載された原稿と武相友の会「地球に未来を」に2004年3月に提出した原稿を編集し、加筆したものです。
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5.植林と炭焼きの活動内容1) 植林サヘルの森が植林を行う際の苗木は、森林局や町での購入もあるが、一部は種子から生産している。水が確保できれば、育苗は比較的容易である。しかし、これまでに植林を行ったことがない人々が、苗木づくりから植林までを行うのであるから、問題は多い。 苗づくりの水のやり方にしても、バケツとジョウロで苗木の上からかければよいというような形だけになりがちである。ジョウロよりも空き缶で一つづつ行うほうが確実で、節水にもなる。 植林苗木の植え場所選定も同じで、どこでも植えればよいというのではなく,いかに少ない水で生育させるかということを理解して行う必要がある。 言われたことをやるだけから、周辺の条件を考えての苗木づくり・植林ということになる。これは現実にはなかなか至難である。マリ人スタッフは、日本人と一緒に作業を行うことによって、細かなことが理解されるようになった。これは、結果だけではなく,途中の経過が重要であることを示している。 適正技術という言葉がある。技術の摘要にはいろいろな段階がある。何もない段階から、多少の資材がある段階、住民参加と意欲の問題、資金の問題、技術者の育成など技術の導入状態も様々である。適正技術というとたいそうなものに聞こえるが、資金も資材もないマリの現状では、現地で使えるものは何でも使って実施するしかない。肥料は周辺にいる家畜の糞、家畜除け柵の資材はトゲのある自然植生の枝、日干しレンガなどである。 移動砂丘では砂丘中の水を探し、長根苗での植林を試みて生育している。岩礫地では岩の下に根を張らせるような植林を試みている。 樹種は、さまざまな種類の育成を試みた。マメ科の植物や食用となるバラニテス、ジジファスなどは比較的種子が集めやすいが、ガガイモ科(レプタデニア、カロトロピス)の種子は小さく、熟したものから風に飛ばされるので集めにくく、たくさんの苗づくりにはむいていない。 モプチ州やセグー州では、マンゴーやパパイヤの生育も可能であり、植林用の樹種とあわせて植栽されている。 育苗から森林管理までの作業の流れは表の通りである。
主な樹種と特性
2)炭焼きを通して(1)ファギビンヌの炭流通ファギビンヌ湖は東西75km、南北10kmあまりの規模で、定期的に増水するニジェール川から溢水が流入して形成される湖水であった。近年は上流部での水利用開発や途中水路の堆砂等により、全域に流入することはなく、東部の一部に流入する程度になっている。このためシルト質土壌の湖底が干しあがった状態で、カロトロプスという低木が群生あるいは散在している。 この湖の周辺には多くの集落が点在しており、週単位で順に市場が開催される。この中で、炭が商人の手による流通で市場を巡る量は少なく、村人達は日常の薪での炊事や焚き火で「消し炭」をつくり、お茶や料理に利用している。このため、自家生産−自家消費であり、村の生活で換金商品としての炭の流通は非常に少ない。 しかし、ファギビンヌ湖西端のラゼルマ地域では、天然林が枯渇しているため、日常生活で薪を使用することが難しく、他の村に比べて燃料として炭を使用する比重が大きくなっている。ラゼルマ以外でも南のニジェール川に近いディレ、トンカ、ニアフンケなどの大きな町では、薪の枯渇と炭の運搬しやすさ、また薪の煙を嫌うこともあるためか、日常の燃料として炭に依存している。このため、南部の都市モプチ周辺で生産された炭が船でディレに運ばれ、その後、トンカ−ガルガンドゥと市場を巡る商人の手によって運搬される。さらにガルガンドゥ村の市場を経てラゼルマへ炭が供給されている。 (2)村での炭焼き都市から離れた地域の村内での炭の流通は少ないが、定期的に開催される市場で、必ず炭を売っている人の姿を目にする。多くの場合、市場に集まった人々がお茶を飲む場合に、一山25CFの炭を購入する程度の消費であると推測される。このような市場の炭は、各家庭で炊事の度に消し炭を作り貯めておき、市場で直接販売するのが一般的で、製炭業という形で炭を生産することは少ない。 ティンナイシャ村では、炭焼きをして市場で販売している人は、数名しかいないと聞いた。ここでの炭焼きは、積極的な消し炭づくりという方法であり、炭材を効率的に炭化させるような炭焼きの方法とはかけ離れている。 ティンナイシャ村での方法は次のとおりである。
この方法は製炭というより、「消し炭」をつくるという程度のもので、良質の炭はできない。また、炭材は十分に乾燥させておく必要があり、細い材では燃えて灰になってしまうため、太い材でしか炭を焼くことが出来ない。 写真 ティンナイシャの炭焼き
![]() (3)マリの他の地域での炭焼きマリ国内ではマイラー製炭法(ヨーロッパ式伏せ焼き)の変形した手法で、良質の炭を焼いている地域もある。それは炭材を円筒形に積み上げ、ワラで通気口を作りながら、土をかけて炭窯を作る方法である。 バマコから100kmほど東にあるディンゴレ村の例では、家族労働で製炭業が営まれている。家長と息子で炭材を切り出し、女性たちが炭を焼き、長男が幹線道路の道端で販売している。常に1〜2窯から煙が出ており、定常的に炭焼きが行われている。 同様の炭焼きは、首都バマコとモプチなど地方都市を結ぶ舗装された幹線道路周辺で多数目にすることができる。ただ、かつて炭焼きで潤っていた村も、炭材を切り尽くして炭焼きが出来なくなり、他の村がそれに代わって製炭の中心になっていく。その中心地は徐々にバマコから遠ざかっていると聞いている。 このような村で焼かれた炭のほとんどは、個人、業者などが購入して大消費地であるバマコへと運ばれている。 写真 マリのマイラー製炭法
![]() (4)炭に対する住民の関心炭は日常生活で消費される中心のエネルギー源である。薪など調達が容易な地方の村落部より都市部での需要が大きい。これは運搬の面で薪より容積が小さく軽量で安定した火力が得られ、煙も出ない利用しやすさによると思われる。 村落部で必要とされる炭は自家生産でほとんど賄えることから、商品としての流通はわずかである。ティンナイシャ村でも例外ではなく、植林木を利用して炭を焼き、市場で販売している人は、村の中でも比較的貧しく、他に現金収入を得る術を持たない人のようである。市場での販売収入は、市場に集まる人々が茶を飲むときに消費される程度の使用量で、多くて500CFほどである(週1回)。 また、植林した森林の管理主体がクミンとなっていることから、定常的な製炭で生活の糧を得るための商売として取り組む場合、コミュニティーフォレストとの整合性を取るためには、クミン内部の合意を得る必要がある。 これらのことから、商業的な炭焼きは、村落内での優先順位が低く、コミュニティーフォレストの商業利用の手続きもあり、積極的に炭焼きに取り組む姿勢は見られない。 都市部では、日々購入する必要のある炭に対する関心が高く、供給側である都市周辺の村落では製炭業に対する関心は非常に高い。これは、1サック(穀物袋)あたりの炭の単価を見てみると、炭の生産地と都市部の消費地での価格の差が大きくなっていることでも、炭への関心の違いが理解できよう。
1サックあたりの炭の価格
(2003.12調査)
(5)コミュニティーフォレストと民有林ティンナイシャの森林のようなコミュニティーフォレストのような利用形態の場合、炭焼きを仕事としての製炭業に育成し、森を再生産(再植林)しながら現金収入を得ることを想定してみると、森の位置付けから行政上の森の管理者(クミンの上層部)との管理を巡る調整が容易ではない。 また、村人であれば、自由に森林から薪や建材を取ることが認められているため、製炭しながら、除伐、間伐の作業で優良木を残すような森林管理を行っても、他の村人が容易にその優良木を伐採利用できるため、実質的な管理が出来ない状況にある。 トンブクトゥ周辺の氾濫原に点在するユーカリの植林地は家族(親族)単位で植林、育成管理を行ってきた民有林である。ここでは材木を建材として販売し、その収入が生活の糧の一部になっている。このような形態では、製炭技術を供与することにより、製炭業も可能になる。さらに伐採、再造林という森の管理も明確となる。さらに林間を利用した果樹(シトロン)の植付けもなされており、複合経営管理につなげられる。 森の利用についても、一方のティンナイシャ村では、薪を得るために粗放な火入れなどが行われているが、他方民有のユーカリの林では、建材として切りそろえられた材とは別に、小枝なども薪として販売するために、太さごとにまとめられている。トゲの有無や材の形状特性の違いもあるが、森を利用していく姿勢にも大きな差異があるように思われる。 |

