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この原稿は、(財)日本緑化センター発行の「グリーン・エージ」2004年1・3月に掲載された原稿と武相友の会「地球に未来を」に2004年3月に提出した原稿を編集し、加筆したものです。
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3.活動の方向性サヘルの会は1987年1月の設立であるが、設立前から実施にあたってどのような方向性を持って実施するかの議論が行われた。さまざまな背景を持つ人々のいろいろな意見が交わされた。 1)基本的な考え方住民とコミュニケーションをとりながら、顔のわかる関係をつくりながら、現地での活動を進めてきている。 事業は、大量、大規模にではなく、住民が手がけられる小規模、分散型で、創意と工夫による適正技術を活用しながら行っている。作業効率は求めるが、それ一辺倒にならない余裕を持ち、常に人間と環境から学ぶ姿勢を持ちたいと考えている。また、援助としてのものを与えるだけではなく、人の育成を考えながら、融通性のあるNGOの特性を活かし、基本的に弱者の立場に立ち、共に汗を流して活動したいと思っている。 農業や植林、その他さまざまな生産活動で利用可能な生産物を育成・創出し、できるだけ環境の許容量を広げ、自給と自立を高めていきたい。 現地では牧畜、農耕、漁労、交易などの生業で多様な人々が生活しており、その生活様式も様々である。ひとつに偏ることなく、多くの地域の人々、多くのグループに接して、活動を広げてきている。このような活動姿勢が広く住民に浸透していたため、民族紛争時の混乱にも対応できたと考えている。 2)活動方法現地に入り込んで、住民とともに現地を理解しながら、自らがやってみることから始めている。植林や農業支援を通して、地域の把握や人間関係を作り出し、村人が関われる規模で活動を進めている。住民の住み方や生活状況をみながら、必要に応じて施設(コンクリート井戸、日干しレンガ塀の苗畑、柵付き菜園等)もつくることがある。 植林等の活動資材もできるだけ現地のものを用い、持続可能な技術で対応できるような仕組みづくりを行っている。もちろん、苗木を保護する柵用の樹木が得られないような場所では、金網などの資材を購入する場合がある。いろいろな試行錯誤は必要である。 活動計画の方向性は総会で決められるが、現場では臨機応変に対応しなければならない。現場担当者は住民の意向も勘案しながら、的確な判断、裁量を行っていく必要がある。 この十年余の活動の結果、現地にも民間の植林技術者が育ってきており、対等な信頼関係が作られてきている。ただ、金銭的な援助をしつづけることは、それに依存して自立の機会を失わせることになり、一時的なプロジェクト中断というような形で当初の村では活動を中止し、別の地域、村での活動を始めるというような方法で援助漬けにならないような配慮をしている。 3)カウンターパート海外での活動の場合、カウンターパート(現地での受入れ先・協力機関)をどのようにするかが活動に大きく影響する。 多くの海外協力では、現地政府や地方行政機関、国際連合の諸機関等がカウンターパートとなって、調査や各種事業、人材派遣等が実施されてきている。 この方法では、現地政府の要請や住民の要望を受けて、大規模な事業形態が多く、多額の資金が投入されている。最近になって、小さな規模の事業も行われるようになってきた。 現地政府や行政機関の関与で、多くの有効な事業がたくさん行われてきたと思われるが、さまざまな問題も挙げられている。実態に合わない事業が行われたり、最も必要とされている地方の人々に行き届かなかったりすることもあるようだ。 ダム建設の例では環境への大きな影響が考えられるはずなのに、調査、計画が十分でなく、悪影響がでたり、その必要性が問われたりすることも聞かれる。建設費はODAの大きな資金で無償や貸付の形態で実施されており、不適切な事業は税金の無駄遣いにもつながる。 現地活動を始めた際に、首都から遠く離れた辺境部では、行政システムが整備途中であり、多民族国家、部族社会、移動生活などのために調査不足、理解不足な点が多く、直接村に住み込んで、村人に教わりながら、共に生活する中から、事業を進めてきた。 手続き的には村長や党委員会などの許可をとるが、契約書を交わすわけではない。実際の活動では、村人を相手に苗木の配布や苗づくり、植林等を行ってきた。 最近ではマリ現地で活動しているNGOを協力機関として、一緒に植林のワークショップ(講習会)などを開催している。 4)土地利用と植林樹を植え、森をつくろうとしたとき、土が深く、家畜が食べに来ないような場所なら、植林はかなり乾燥した地域でも技術的には難しいいことではない。しかし、土が深く、土壌条件の恵まれている場所は、ほとんど全て農地として利用されており、食糧生産のために貴重な土地である。トンブクトゥの町の周辺では砂丘で天水利用のスイカが栽培されている。 そのような場所で、地力を維持し持続的な生産を図るために、大きな樹木を生育させて耕作する方法(アグロフォレストリーの1タイプ)を目指して木を植えることであれば別であるが、薪炭や柵等の資材、家畜の飼料確保のために良好な土地に樹を植えることは好ましくない。土地利用の優先順位を考えて、土地利用を考える必要がある。農業生産の高い場所は農業に、草が生えやすい場所は遊牧民というようにそれまで利用してきた土地利用のスタイルを保全すべきである。そのため植林は、利用しにくい岩礫地、粘質土の硬い乾燥した土地、移動しやすい砂丘など植える場所の厳しい条件に合わせての技術開発も必要となる。 |