2004/5/25〜6/20の現地活動報告から
苗畑・植林地の現状報告をしてもらいます
トミニアン
トミニアンはマリの中央南部セグー州に位置する農業地帯である。バマコから東へ直線距離で約400kmの位置にある。主要都市の一つであるサンから自動車で1時間ほどである。年間降水量は400〜800mmのエリアで、バマコよりやや少ない。この地域の村は比較的まとまって住居集落が作られており、その周辺に平坦な耕作地が広がる。人々は定着農耕民で、ヤギやブタ、ウシなどの家畜も飼育されている。集落周辺や耕作地にはバオバブやアカシアアルビダなどの大木が点在している。耕作地は天水による畑作で、5〜6月ではまだ栽培が始まらず、裸地のままで堆肥などが運搬されて準備されている。畑地の表面は乾燥して硬い土壌であり、耕作放棄地では無植生の裸地、密度の低い低木疎林となっている場所も少なくない。これは大きな植生の劣化で、砂漠化のひとつである。炭材のための伐採も続いている。薪炭材は自家消費ばかりでなく、幹線道路沿いなどでも売られている。
ここには昨年12月に設置した植栽試験場所がある。耕作放棄地の固い土壌に植生の回復を目指して、試験植栽が行われている。日干しレンガや砂岩ブロックでの囲い、さまざまな家畜除け柵を試している。苗木も通常の大きさのものばかりでなく、小さなもので手間を省くような試験を試みているが、枯れも見られ、その補植と新たな柵づくりを実施した。また、前回試験植栽を行った場所の視察を行った。
早生樹種による緑化啓蒙のためにモリンガ、アカシアマンギウム、バイテックスなどの苗木の配布を行った。自動車で村に行くと子供ばかりでなく、大人もたくさん集まってくる。苗木の要望は大きく、さらに苗木の配布とともに苗木づくりのワークショップの開催を継続することが考えられる。アカシアセネガルの苗木を大量に生産し始めている人もいる。苗木はまだ10cmほどで小さい。大粒ジジファスの接木苗の生産もわずかに行われていた。
トンブクトゥ
トンブクトゥ州の中心地で、周辺の村や市街の住宅地を対象に以前より苗木の配布・植林を実施している。降水量は200mm以下で、5月は気温40℃を越える日も多く最も高温になる。この地域は砂丘の砂質土ばかりでなく、ニジェール川氾濫原にはシルト質の乾燥するとカチカチになる土壌が分布する。
テデイニ、アルファコム、テリケン、ティンテール、イナリ、テーシャック、ブキヤット、ベイドウ、トンブクトゥ市街などに苗木の配布を行った(430本)。イナリ、ベイドウは初めての村であるが、他の地域はこれまでにも何度も苗木配布や植林を行ってきた場所である。また、井戸の調査を行ない、砂が出て水がほとんど汲めないベイドウでは、緊急に井戸の砂上げを実施した。
トンブクトゥの苗木状況
今回はトンブクトゥの苗木生産状況が不明だったので、バマコからアルヘンナなどを持参したが、主要な種類は現地調達が可能である。いろいろな樹種の可能性を探るためには種子採取から苗木作りまでの実施体制が必要である。
カバラのオーゼフォレ(森林局)はなくなっていたが、その場所で個人的な苗づくりが行われていた。プロソピス、アカシアセネガル、ユーカリ、パーキンソニアは千本以上の単位で、ニーム、アルヘンナなども百本単位でつくられていた。
ダンダラ家の息子がプロソピスを作っており、今回購入した。またつくりたいということでポットを提供した。ダンダラ井戸の近くで野菜を作っている人は苗木を作りたいが、ポットがないということであった。
ドウヤのプチモハメッドのユーカリ苗木生産はわずかであった。
ティンテールのハッタイ氏からはユーカリ苗木を作るためにポットの要望があった。
各村での概況
| 村・地域 | 概 況 |
| テデイニ | 立派な学校になって稼動しており、20ほど人の生徒がいた。若い先生も3人いた。柵もコンクリート柱と金網でしっかりできており、ソーラーポンプもある。植栽は進んでいないがわずかに苗木を作っていた。苗木を配布。 |
| アルファコム | ここは苗畑というより樹林地になっている。管理者であるインスブタ氏は仕事をくれ、金をくれ、井戸を直せ、苗木は誰が植えるんだというようなことをいっていた。一方では大きくなったユーカリは伐採利用されており、萌芽更新している。苗木を配布。 |
| テリケン | このトンブクトゥ北西の村はタガシャントが増えている。金網柵の中の樹木も3m以上に生育している種もある。柵の中にはソーラーポンプから汲み上げられる小さな貯水池がある。ここには若い人手も多く、持っていった苗木はすぐさま一緒に植林した(約50本)。 |
| ティンテール | 家の脇の植林木はかなり勢いが衰えており、樹下に植えたシトロンも枯れてしまったようである。南の氾濫現のユーカリは大きく育って伐採出荷している。ユーカリの天然更新木を育苗するためにポットの要求があった。井戸の補修、材の出荷のためのロバ車の要求もある。 |
| イナリ | トンブクトゥから東へ26kmの川沿いの大きな村である。川沿いではユーカリの植林が行われており、大きく生育したものは伐採、更新がなされていた。プロソピスの苗を持参したが、ユーカリのほうがよいといわれた。村内にはニームも植えられており、アルビダの大木もある。全体をみれば、さまざまな植林の可能性がある。 |
| テーシャック | 4年前に砂丘に植林した苗木が3mほどに生育していた。ヤギに食われて小さいままの木も半分ぐらいある。小さなものは柵により動物からの保護を行えば大きく生育する可能性がある。 |
| ブキヤット |
4年前に配った苗が大きくなっている家もあれば、たくさん苗を植えた割にはあまり育っていない家もある。生活に追われているせいか、周りの囲いのない家、壊れたままの家も見られ、苗を植えられないような家もある。 ポンプ井戸が3ヶ所ある。西側のコンクリート井戸は砂が出て使えない。井戸作りのアルミルードに中に入って調べてもらい、砂上げで利用できるようになるとの調査結果を得た。 個人(スーレイマン)の砂に埋もれた井戸の回復も頼まれたが、個人の囲った敷地内であり、125万CFAもかかること、井戸直し屋ではなく植林NGOであることを説明した。 |
| ベイドウ | トンブクトゥから南のテデイニの手前右にある大きな集落(300人)である。井戸の周辺を中心にかなりの裸地、砂丘が広がる。井戸が一箇所で汲み上げられる水量がわずかであったので、苗木の配布とともに、井戸に入っての調査を行ない、井戸の砂上げを実施した。さらに中に沈める井戸枠が必要といっている。 |
| トンブクトゥ市街 | 街の西側に住宅地が広がっており、日干しレンガのタガシャントが増えている。街外れ近くで植林を始めると、方々から声がかかり、苗木を配布した。後から近くのある家を訪ねてみると、家の前にポットのまま植えていたので、掘り起こさせて、ロバフン、ヤギフンをいれて植栽し、家畜除けの柵を作るように協力した。苗木の要求はまだまだ多い。4年前の配布植栽木もよく生育している。 |
| ドウヤ | 苗木を作っているかもと聞いていたので、様子を見に行くと、苗木の数はわずかであった。自力で苗を作って植林を始めている。ヤギの食害があり、植林した小さな苗木が食われていた。近くの以前に高津氏が配布した場所ではユーカリが大きく生育していた、 |
| トラリビラ | ベイドウから南へ3kmほどの村である。ベイドウでの砂上げの話を聞いて、同様の依頼があった。直径2mほどの大きな井戸で砂が出て浅くなっているものの、アジャー(水汲み容器)がいっぱいになるくらいは汲み上げられていた。若者も多く、道具があれば、自力でできるのではと思えるような村であった。 |
マリ北部ファギビンヌ湖畔のムブナの町では、かつて砂丘に植えた樹が天然更新して広がった結果、北と東側からの砂が止まり、なんと宅地として使えるようになりました。そこを町が分譲、かつての現地スタッフ達も購入しました!
植えた樹が少しだけですが、砂漠化を押し戻したといえましょうか。