− 現地をより身近なものにするために −
わかりにくい現地活動
会員の方々から「サヘルの森の活動は何をやっているのか分かりにくい」との声を耳にする。そこまででなくても、現地活動をあまり身近に感じられていないように思うのは、マリの現場を担っている者の思い過ごしでしょうか?
今の日本では、木を植えて樹林をつくり、育った森や林をいろいろ生活に利用するといったことが、もはや身近なものでなくなっていることに由来する気もします。しかし、「活動の目的・目標が明確でなく、やり方もさまざまで何だか分かりづらい!」という批判は、我々現場担当者の説明不足が大きな理由かもしれません。そこでもう一度、サヘルの森のやり方について、まとめてみました。
あちこちで、少しずつ
サヘルの森のやり方は、確かに、ある特定の場所で防風林帯造成とか薪炭材生産といった、一つの目的でモデル的プロジェクトをする、あるいはいくつかの目的・施設を組み合わせた総合的プロジェクトを展開する、といった手法に比べスッキリしていないように見えます。我々が進めているのは、数多くの村で現場の自然条件、人々の意欲等に応じ、そこに合ったやり方で少しずつ樹を植えようとしていることです。考えてみてください、今、それぞれが樹を植えようとする目的・目標はいろいろあるでしょうし、次に来年もその同じ目的・目標で彼等が植え続けようとするかどうかは分かりません。また、何年後かに樹がどう使われ、役立つかは、さらに分からないはずです。
次にやり方、植え方についても、村人にまず樹を植えることに自信を持ってもらう、誇りを持ってもらう、それが次なる展開を導くと考えて取り組んでいます。従って、最初は確実に成功する難しくないやり方で、比較的条件の良い所へ、準備した苗を将来のメリットがなるべく早く予見できるよう植える。次にその場に合った実際的な苗作りや植え方で本格的展開につなげていこうとしています。それぞれの場所に合ったやり方が違うだけでなく、上に述べたように、最初に示すやり方と、次の本格的な展開のやり方も異なってきます。我々も彼等と共に学びながら工夫を積み重ねていかねばなりません。
少数のやる気ある人から
次々と多くの場所で、ほぼ同時的に活動を始めるのは、中途半端に見えるかもしれません。しかしどこの村でも、最初から食らいついてくる、意欲のある村人はごく少数です。やる気のある村人が全くいないという村もないですが、全員そろって「さあ、やろう!」などという村もまた、ありません。少数の意欲ある村人をどう見つけ、彼等をそれぞれのペースで育て、その仲間をどう増やしていくかが重要となります。少しずつ植林が進んでくると、近隣の村間の情報交換とか、競争的な刺激作用も出てきます。最終的には、これがより広範・数多くの村々での普及・推進につながると考えています。
樹木と生活の安定化
上記のような方針で1988年以来植え続けてきた甲斐あって、いろいろな所に種々な森や林が、延々と続く大きな森から何本かの小さな木陰程度のものまでできています。その使われ方、役立ち方もいろいろですが、人々の生活に結びつき有効に生かされています。樹木は一旦うまく根付かせれば、農作物等に比べ、気象の変動に耐性があります。これを植え続けることは、変動の激しいサヘル地域の生活・生産基盤のサステナビリティーを少しでも高め、生活の安定化を計るためには必須のことと思われます。