トミニアン報告(2005) 5/5

執筆:小島通雅
2005年6月26日発行

本年度は次のような試みを−雨期・乾期を上手く利用して、側根の多いガッチリした苗を植える

当面、低木疎林状の植生復元を目指すとして、一寸掘ると岩石まじりの堅い層にあたる、表土も浅く養分的にも乏しい所で、より早く確実に成育させるには、どうゆう植え方をとれば良いか。大きな穴/客土施肥/多量のかん水をする方式でなくどうゆう植え方があるか。

地表近くにしかない養分を水平に伸びる放射状の側根に如何に把えさせ、成長へつなげるかが一つのカギ。

水平放射状の根を早く広く伸ばし、地上部と根系両者の充実をはかる。それには地表近くが雨で湿る雨期を上手く使うのがよかろう。側根を数多く早く伸ばせるポテンシャルのある苗を乾期に植える。或いは側根を雨期前にある程度伸ばした状態に迄もっていっておく等が考えられる。そして雨期の雨で一気に成育をはかってやる。

雨期の終り或いは乾期に入って、しばらくしたところで、地上部枝葉の一部を切って縮め、かん水なしで乾期を生きられるよう、根系とのバランスをとる。乾期に水分を吸収し続けられる深い所の根が少なく、もし大きく育っている地上部を切らずにそのまま放置したのでは、次の雨期迄に苦しくなる。切って減らさずに、深い所の根を充実させるべく、乾期に地下深くへ給水する等も考えられる。

いずれにしても、雨期、乾期を上手く使って、地上部と地下の根系の充実を綜合的に管理、調整しつつ自然の中へ馴化させるというのはどうだろう。

今年はこれを試してみよう。植え穴は無理してそう深く掘る必要はない。その代わり、穴の側壁になるべく多くのクラックを入れて、ゆっくり給水。横方向の割れ目に水が充分しみこみ、広がるようにする。牛・ロバふんを入れる場合は、穴の底に広げて。植込む苗は、若い苗よりも、地上部、根端とも切り戻してあるズングリ、ガッシリ型の側根が多いものが良かろう。苗の根が直根で長ければ、斜め横にねかせて植える。埋戻しは通常でよいが、どこかにかん水が植え穴の底のほうへスムースに入っていくような小石、砂利の縦列層を設けておく。最後に周囲を石ブロックで囲む。今年、試験地で試みている植え方は、簡単に書けば上に述べたようなものです。

以下、自然の助けを上手く引出すための、ニ、三の注意。

まず、植穴を掘る位置について、今のところ植栽方法の試験ですので、列間何米、株間幾らといった事で位置を決めていません。どんな微細地形の所が良さそうか、残っている自然の植生等を参考に判断する。

一般に凸の所より凹の所が。但し、何か障害物があって、土砂が吹き寄せられ柔らかく盛上がっているような所は、この限りにあらず。吹き寄せられている土砂には、養分となる有機物も豊富にまじっているし、降雨時には雨水をたっぷり吸収し、その後ゆっくり下にリリース、表面が乾けばマルチの機能も期待出来る。

植穴を掘る前に周囲を軽く引っかくようにして、若干窪み加減に、雨期の地表水が集まってくるようにするのも良いかも。その際集めた土砂その他、又植穴を掘って出た土砂も小石や砂利、養分のありそうな或いは養分保持力のある細かい土壌、未分解に近い有機物等、幾つかに分けて置き、埋戻す際に適宜生かす事。

昨年は、かん水量、期間を最小限にしようと、定植場所で若い小苗を育苗しながら植込む方法を試した。若い苗は、移植先の条件が良ければ、そこへの適合は早いし、その場に合った自然な根系でスクスクと成長する。しかし条件が悪いとそこで持ちこたえる力は小さく枯れ易い。枯れないにしても、なかなか育たない。

今年はより早い成育を目指して水平根を積極的に伸ばそうと側根の多いガッチリした苗を使っている。これだと移植先の条件が少し位悪くとも、持ちこたえる力も強いし、その場への適合はゆっくりだが着実に進む。又家畜その他の食害についても、致命的ダメージで一度にダメとならず、何度かの回復が見込める。

石ブロックで囲むのは、かん水した水の蒸発を防ぎ、その水分を植えた苗の根が有効に利用出来るようにということですが、より長期的にはブロックの下に、微生物や小動物の快適な生息環境−温湿度変化の小さい、強風等からも護られた安全な場を確保し、植えた樹の根元にも先程の倒れた大木の根株の中で起こっていたような変化を呼び寄せる効果があると考えています。

試験地での作業は、今のところここまで。6〜9月の雨期にどの位育つか。それによって来たる秋に地上部を切って根系とのバランスをとり、今冬から来春にかけての乾期をかん水なしで生きられるようにと考えています。