トミニアン報告(2005) 3/5

執筆:小島通雅
2005年6月26日発行

昨年度、試験地でやってみた事−若い小苗を植える

種々考えた末、この試験地1年目(2004年)は次のようなやり方で試みることとした。かん水を必要とする育苗期間を短縮し、播種後2〜3週間の小苗を現場に定植、そこで育苗兼活着のための最小限のかん水を2〜3カ月する。植え穴も最小限の大きさで。軟岩のブロックが、現場で手軽に入手出来るので、少ないかん水の保水マルチ兼乾燥した風砂から小苗を保護し、家畜の食害を防ぐために使うこと。これで全体を金網で囲うことなく、苗畑も作らず、井戸も掘らず、手間・資金共最低限の植栽方法を工夫してみることとした(2004年1月)

以下は1年後(2005年1月)の結果と考察。生存率は2/3程度、そんなに悪くはない。小さな苗を最小限の植穴で植えたので、予想していたとはいえ、あまり育っていない。普通の大きな苗で、ちゃんと穴を掘り、牛ふんも入れて植え、しっかり保護しておいたものは大きく育っている。枯れているものの内、最初から殆ど育たず枯れているのは、昨年雨期に入る前(2004年5〜6月頃迄)に水分不足で枯れたか。根も張ってかなり育った後枯れたものは、今度の乾期に入ってしばらくして(2004年11〜12月頃)枯れたのだろうか。或いは白アリにやられて(弱ったり、枯れたりしてからかも)枯れたようなものもある。総じて水やりが上手くいっていなかった。かん水量に余裕があれば少し位下手な乱暴な水やりでも大丈夫だが、ギリギリのかん水量だと、目的の場所にキチンとやらなければダメだということだろう。

試験地は、管理人も置かず、植付け後8〜12ヶ月我々も見に来られないことを前提としていたので、その間こわれないようなしっかりした保護柵をしたかった。植付けた小苗が小さい間は、マルチの石ブロックと上部に組込んだ有刺鉄線で充分だが、少し大きくなった時の事を考え、枯枝を使って囲むこととした。地面に穴を掘って枯れ枝を差込むのでは、家畜に体で押されたり、地際を白アリにやられたりしてこわれ易く、長い期間メンテナンスフリーとはいかない。周囲に立てた枯枝の下部をバンドで石ブロックと一体化、その重量で動かないよう工夫したが、それでも写真に見るような状態であった。一般にはそんな長い間、放置しっぱなしということはないが。

ここでもう一つの問題は、ガッチリ保護柵をすれば、小さな苗への的確な水やりがやりにくくなるというジレンマだ。取敢えずは、細い首を伸ばしたジョウロを使ったかん水で切り抜けることは出来る。

又、小苗を石ブロック、枯枝でガッチリ囲んだことは、水やりの不便さだけでなく、植えた小苗の日照条件も悪くしていたことが考えられる。地上部に対する日照不足、根に対する水分供給不足、それに最小限の鉢土しか入っていない細いポット使用からの養分不足等が今回の初期成育の悪さをきたしたように思う。

しかしその後、雨期を経過し半年近い月日も過ぎている。余り育っていない現在の姿は、初期の成育不良が尾を引いているせいもあろうが、次のような理由から水平根が充分に伸びられなかったことが大きな原因であったとも考えられる。それは少ないかん水量が植付けた苗の下部の根の所に的確に届くよう、ポットは底の部分を切り開いただけで、周囲を残し、ポットの上1/3は地上に出る程度の浅植えとした。そのため写真に見るように、地表近くの側根が伸びられなかった。それに対し試験地は表土は浅く、養分はその浅い部分にしかないとすれば、そこへの側根なしで上手く成育できる訳はない。

それでも、切開いたポットの底から伸びた根が、養分のある土壌を把めれば、もう少し成育出来ただろう。写真は、試験地でなくバマコ宿舎の裏庭だが、ポットを耕しもせず、堆肥を加えることもしないそのままの地表に並べて、ポットの転倒防止と地表が乾燥するのを防ぐ意味で、小砂利をポットの間に敷きつめた、その後1年の様子。播種してあったモリンガが特殊な根系を持つ樹種であったせいもあるかも知れないが、ポットの底から伸びた根がしっかりと大地に割り込み養分を吸収し、大きく育っていた。