トミニアン報告(2005) 2/5

執筆:小島通雅
2005年6月26日発行

はじめに

ここはトミニアン。マリ共和国の首都バマコから東北東へ450キロ程行った、隣国ブルキナファッソとの国境からそう遠くない所にあります。農業地帯ですが、サヘル地域の常として降雨量は不足気味、且つ不安定です。自然条件や人々の生活の様子はこのホームページの別な箇所に簡単にまとめてありますので参照ください。

トミニアンでは二つの方向から植林を進め、ここのタイトルにあるような「地域の自立安定」の助けとなる「豊かな樹林」の再生をと願っています。

一つ目は、村々へ出向いて、やる気のある人々と実際に穴を掘って土中の水分状態を見たり、持参した苗木を使って植え方や水のやり方等を説明したりするフィールドワークショップ方式(やはりホームページに載せてありますので、興味のある方はそちらを参照して下さい)。

そこでは、苗木の育て方のようなことも説明しますが、同時に樹林からの恵みがいかに自分達の生活に役立っているか、役立っていたかを一緒に考え、又周辺の村々を含めた地域のつながりの中で、そうした樹林からの産物がいかに流れているか聞いたり、話し合ったりします。何人かとこうした樹を植えてみること、周囲の環境と自分達の生活について考えてみることから、何処かの村で村内外の「豊かな樹林」を取り戻そうとの動きが出てくればと願っています。

二つ目が、そうした時迄に、痩地に金をかけず手軽に樹を植える方法を見付けて置こうというのが、ここでその進捗状況を報告するものです。

写真は現地NGOと共同で、トミニアンの町はずれに設けた試験地で、2004年1月の様子です。町や村はずれ、幹線道路沿い等に表土の殆どを失い、極く僅かの低木が生える、こうした荒廃地状の所がかなりの割合で広がっています。

何もこんな表土の無いような条件の悪い所でなく、もっと良い所があるだろうと言われるでしょう。確かに村の内外にもっと良い所は幾らでもあります。しかしそうした所は、不足がちな食糧生産のための畑として使うべきだというのが我々の基本的姿勢です。

こんな所に樹を植えても樹林からの恵みなど遠い遠い先の事と言われるかも知れません。しかしこうした状況の所が多いだけにその植生が少しずつでも改善されれば、他の残されている樹林への負荷は軽くなり、そこからの恵みもより永く継続的な利用が出来るのではないかと考えています。




山羊・羊・牛等の家畜が放されている中で樹を植え、育てる。敷地全体を金網で囲えば、簡単に食害を防いで植え、育てられる。しかしそれでは将来広く一般に普及する時も、「金網が・・・」ということになってしまう。

このような乾燥地に樹を植えようとする時には、通常苗畑で育てた苗を現場に定植するが、その育苗には水が必要だし、それも数ヶ月の期間のかん水が必要とされる。更に現場での定植やその後しばらくのかん水が・・・ということになる。

毎日の生活に使う水も遠くの井戸から運んでくる、乾期の終わり頃にはそれも不足気味といった所で樹を植える。加えて、樹を植えかん水の必要な場所は家から離れた広い荒地、そばに井戸でも掘らなければ長い間の、充分なかん水など望むべくもない。

表土の殆どない荒廃地で植付けた苗木を早く大きくするには、かん水の他、植付け時に出来るだけ大きな植穴を掘って客土や施肥をすることも必要だ。しかし岩石まじりの場所に大きな穴を掘って植えるのは、数本なら或いは数年後に果実でも収穫出来る見込みがあれば、村人もやってみるかも知れない。そうでなければ、そんな手間のかかる、ていねいな植え方をするには、賃金を払ってやって貰うという事になる。