炭焼報告(2002/11-2003/01)

炭焼技術

1)炭焼


窯の準備


窯の準備


カマダキ


カマダキ

(1)炭材集め

基本的には、除伐間伐で炭材を集める。多くのプロソピスはヒコバエや下枝が多く、細い枝を切除し、真直ぐな優良木を残し、また、密度の高いところでは優良木が生育に支障をきたさないように周りの若木を間伐するなどで森林の管理の一環として炭材を集めた。

まず、下枝を切除しなければ幹に近づくことも難しく、この作業が管理作業の多くの時間を費やすことになる。プロソピス林の管理では、刺のある枝を片付けることが第一で、切った枝も片付けなければ、刺を踏むなど、作業は刺との戦いとなる。

集められた炭材は、窯のサイズに合わせて65cmに切りそろえる。この時に、幹の刺も削り落として、窯に隙間なく炭材が入れられるようにする。

窯での製炭は、細い材でも可能となるなどの直径1cm程の小枝まで用意する。

ティンナイシャ滞在中に、4日間ほどトンブクトゥに出かけた際、その留守中に除伐間伐で手入れしたプロソピス林で残しておいた優良木の殆どを伐採され持ち去られていた。ティンナイシャの場合、クミンに登録されている全ての住民が森を利用できるため、炭焼の過程で森林を手入れして優良木を選別しても他の住民は、こちらの意図と関係なく伐採できるという状況がある。

(2)カマの準備

窯に炭材をつめるとき、日本の炭窯のように炭材を立てて積むのではなく、窯床に枕になる材を置き、そこに寝かせるように炭材を積み上げていく。枕で炭材を窯床から浮かせるのは、窯内の温度が、窯床まで熱が掛かりにくいので、煙道の上10cm程浮くように炭材を詰める。

炭材を詰め終えると、半割のドラム缶で蓋をして、窯とドラム缶の隙間を土で塞ぎ、窯を密閉する。当初は、水で練った粘土をパテのようにして隙間を塞いでいたが、ドラム缶の周りを塞ぐだけで、約20gの水を使う。炭焼は、井戸のそばで行なうものではなく、林内に窯をつくり製炭することを考えると、毎回、多量の水を使用する粘土でのコーティングでは炭窯の条件が限定さてしまう。そこで、ドラム缶の隙間を乾いた土で塞ぐ方法を取った。風で土が飛ばされると言う意見もあったが、ティンナイシャでの1ヶ月の炭焼(8回)では問題にならなかった。

(3)製炭(カマダキ)

前日に窯の準備をしておき、当日は早朝から火入れをして窯をたく。第1回目のカマダキは、完成してから中1日乾燥させたが、それでも粘土が乾ききってなかったと思われ、窯の温度も上がらず、時間も12時間たっても十分に炭化が進まなかったが時間切れで窯を閉じた。(9時40分〜21時40分)

炭の出来は、2/3が炭となったが、タール分が抜けきらず、少し煙の出る炭となった。

村での評判は、硬く火持ちがよいことなど高品質の炭で、多少の煙は問題ないとの評価を受けた。

これ以降、6時間〜8時間ほどで製炭でき、煙の出る炭もなくなり、満足の行く炭を焼き上げることが出来た。製炭量も1窯で丁度100`入りの穀物サック1杯が出来上がる。

製炭具合の判断は、煙の色、タール分などを見ながら判断する。しかし、基本的に風が強い地域では煙が風に流され、煙が薄められその色を判断するの難しく、最終的にはタール分を確認して窯を閉じることになる。

この時は、水で練った粘土で蓋をすることになる。そして炭は翌朝に取り出すことになる。

(4)窯の改良

順調に炭焼ができるようになったが、問題点として、カマダキを始めて2時間ほどで、排煙温度の上昇が鈍り、この時に、うまく温度上昇が進むと製炭時間は少なくて済むが、排煙温度が横這い、或いは下がると、その後の製炭時間に影響して長くなる傾向がある。

1つの理由として、焚き口が小さく、窯で火を焚く経験が無いマリ人の場合、窯の温度を上げたい一心で焚き口に薪を詰めすぎて、結果的に焚き口を塞ぎ、炎が窯の中に入らなくなるのが、火を点けて2時間あたりとなる。このため、焚き口を大きくしてつまりの解消を試みる。しかし、温度上昇の鈍りは解消されたと言えなかった。

そこで、排煙の温度が60度〜80度で停滞するのは、プロソピス特有の特性ということも考えられる。

(5)炭の品質)


窯出し


出来上がった炭

窯の焚き方で出来上がる炭の品質が異なり、高温で短時間に焼かれた炭は窯の中で細かく割れたりして比較的に柔らかい炭が出来上がる。柔らかいといっても現地で流通している炭に比べればかなり硬いといえる。

製炭時間を短くするために、ダンボールなどで扇いで窯の温度を上げる。しかし、硬い炭を焼くためには、排煙温度は120度前後を限度にして時間をかけた製炭となる(上記のグラフ参照)。この場合、焚き口で扇ぎつづけるのではなく、自然対流で窯の温度を維持し、窯の温度を下げないようにしながら焚き口を徐々に閉めてゆくことになるが、自然対流で窯の温度を保ちながら維持する場合、窯の温度が下がったとき、再度、焚き口で火を燃やすことになり、薪の消費量が多くなる。

結果的に、焚き口を扇いで窯の温度を上げて、短い製炭時間で炭を焼く方法が、焚き口で燃やす薪の量も少なく、安定して短時間で品質の良い炭が焼ける。