コートジボアール ~コロゴの里の村おこし~

コロゴ市はコートジボアールの北部の中心地、セヌフォ族の町だ。
マリとの国境も近い。
ホテルの前の歩道で「コロゴ・ペイント」を専門に扱うザナ青年と親しくなり、
彼の村を案内してもらえることになった。

ファカハ村は市の中心から南東40kmのところにある。
およそ1時間で30世帯ほどの小さな集落に着いた。
壁といわず地面といわず、いたるところに「コロゴ・ペイント」が洗濯物のように干されている。
そしてどの家でも中庭で男たちが絵筆を握っている。
年老いた熟練者もいれば、習作段階の子供もいた。

ザナ君の家の中庭では、ちょうど弟が「コロゴ・ペイント」を描いていた。
かたわらに座り込むと、乾いた土の匂いに混ざって熟し過ぎた果実のような匂いがしてくる。
どうやら源は染液にあるらしい。西アフリカの主要穀物、ソルガムの葉や茎を砕き、
水に浸して作ったものだ。「コロゴ・ペイント」は白い木綿地に
黒と赤茶色とベージュで絵を描くが、その赤茶色の部分がこの液で染められている。
スポイトから少しずつ出しては、それを小枝の筆で線にしたり、面に伸ばしていく。

描き手は決して専門の職人ではない。
まずは一家に一人描き手が必要なのだ。
ザナ君は三年前に弟に製作のパートを譲った。
今の担当はコロゴ市での販売。
国内外の商人だけでなく、夏休みやクリスマスシーズンにはヨーロッパから観光客も来るという。

よく描かれるのは、やはり身近な動物が多く、ガゼルとホロホロ鳥が最多出場を競っている。
爬虫類もよく描かれる。
ヘビ、カメ、トカゲ…、一旦描かれれば主役まちがいなし。

人物は宇宙人風、ピエロ風、狼男風など実にユニークで愛嬌たっぷり。
いろいろ推理するに、口のとがった動物の仮面を付けているのは呪術師。
手に穀物の穂を持っているのは農民。
宇宙服を着て魚を持っているのは漁業関係者ということになる。

この村で作られる「コロゴ・ペイント」はテーブルクロスのサイズが中心だが、
中には横幅が10mを超えるような超大作もある。
描かれている動物や人物の数は膨大で、
「鳥獣戯画」のようにストーリーを有する作品もあるという。
コロゴの里でのんびりと作品の出来上がるのを眺めながら、そんな寓話のいくつかを聞けたら楽しいものだ。