145回-衆-本会議-34号 1999/06/01 平成十一年六月一日(火曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第二十五号   平成十一年六月一日     午後一時開議  第一 拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の締結について承認を求めるの件  第二 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の条約の締結について承認を求めるの件  第三 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  第四 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  第五 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  第六 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案(第百四十二回国会、内閣提出)  第七 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案(第百四十二回国会、内閣提出)  第八 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会、内閣提出)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  法務委員長杉浦正健君解任決議案(鹿野道彦君外四名提出)  日程第一 拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の締結について承認を求めるの件  日程第二 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の条約の締結について承認を求めるの件  日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第四 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第五 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第六 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案(第百四十二回国会、内閣提出)  日程第七 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案(第百四十二回国会、内閣提出)  日程第八 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会、内閣提出)     午後一時二分開議 <0001>=議長(伊藤宗一郎君)= これより会議を開きます。      ――――◇――――― <0002>=岸田文雄君= 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  鹿野道彦君外四名提出、法務委員長杉浦正健君解任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。 <0003>=議長(伊藤宗一郎君)= 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 <0004>=議長(伊藤宗一郎君)= 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。     ―――――――――――――  法務委員長杉浦正健君解任決議案(鹿野道彦君外四名提出) <0005>=議長(伊藤宗一郎君)= 法務委員長杉浦正健君解任決議案を議題といたします。  提出者の趣旨弁明を許します。坂上富男君。     ―――――――――――――  法務委員長杉浦正健君解任決議案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――     〔坂上富男君登壇〕 <0006>=坂上富男君= 私は、ただいま議題となりました法務委員長杉浦正健君の解任決議案につきまして、民主党及び社会民主党・市民連合を代表して、提案の趣旨を御説明いたします。(拍手)  法務委員会では、先週、組織的犯罪対策三法案の審議を行っておりました。証人の保護を規定する刑事訴訟法改正案、マネーロンダリングを規制する組織的犯罪処罰・犯罪収益規制法案、そして犯罪捜査の手段としての通信傍受法案であります。  このうち、通信傍受法案以外の二法案につきましては、それぞれ問題点もありますが、この立法の趣旨は理解し得ないこともないのであります。それに比べて、通信傍受法案は、憲法の通信の秘密や令状主義を侵害する内容を含む、重大な人権侵害の危険性のあるものであります。この立法の必要性、乱用防止措置、諸外国の運用状況の調査、公聴会の開催等、国民の理解を得るためには特段の慎重な審議が求められるべき法案なのであります。  さらに慎重にならざるを得ないのは、現在、警察に通信傍受といった手段を与えることの危険性であります。警察は、参議院議員の緒方靖夫君の自宅を職務として盗聴したとの判決が確定したにもかかわらず、いまだその事実を国会で認めておりません。また、警察は業者から大量に盗聴機器を購入したことも判明しておるのであります。  したがって、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合の野党三党は、通信傍受法案を他の二法案と切り離して、慎重に審議することを主張し、また委員一人当たり四時間の質疑時間を求めてきたところであります。  しかして、法務委員長杉浦正健君は、就任の際、「法秩序維持と国民の権利の保全を使命とする当委員会の職責はまことに重大でございます。」とし、「公正かつ円満な委員会の運営を誠心誠意図りましてその職責を果たしてまいりたい」と公約しておりました。しかるに、四月二十八日の法務委員会において、参考人質疑の日程を人選まで含めてすべて一任する旨の採決を強行し、委員会の審議に混乱をもたらしたのであります。  仮にかかることが許されるとするならば、予算委員会において、予算案採決前の公聴会開催の法定必要要件を、与党が多数でありさえすれば簡単にクリアでき、予算案の採決はまことに容易となるのであります。これは、まさに議会制民主主義の崩壊そのものなのであります。断じて許すわけにはまいりません。(拍手)  また同君は、五月十四日の同委理事懇談会が紛糾し、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合など野党理事、オブザーバーが反対する中で、翌週十八日の委員会開催を独断で決定し、三野党委員が委員会の正常化を求めて抗議をするも、これを無視して、十八日の委員会開会を強行したのであります。  さらに同君は、五月二十七日の同委理事会において、与党理事の同委員会定例日外である同日と翌二十八日の委員会開会要求に対し、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合などの野党理事、オブザーバーの反対を無視した上、独断で委員会開会を強行し、ついに翌五月二十八日には、同委員会の不成立、不存在を主張して右三野党委員が欠席する中で、同対策三法案の強行採決の暴挙に出たのであります。  委員長たる同君がみずから就任に際して宣言したように、法秩序と国民の基本的人権擁護を使命とする法務委員会の職責はまことに重大なのであります。組織的犯罪対策三法案のうち、特に通信傍受法律案は、憲法二十一条の通信の秘密を侵し、憲法三十五条の令状主義に違反し、もって国民の基本的人権を侵害し、国民のプライバシーも侵害するという、重大な欠陥を持つ法案なのであります。  それゆえに我々は、委員会における十分な審議時間を求めた結果、委員一人当たり四時間の質疑時間の確保について、与野党の間で合意がなされていたのであります。にもかかわらず、いまだ各委員一人当たり一時間程度の質疑にとどまっているのであります。  また、この法案成立の場合、さまざまな影響を受けることが予想される国民各層の率直な意見を聴取する必要から、中央、地方公聴会の開催を求めていたところであります。自民党政調会長代理も、テレビに出演して、公聴会開催に賛同されていたのであります。全国民が注視するテレビで、公聴会と参考人聴取を混同したなどとの弁解は絶対に許されるものではありません。  また、この法案成立の場合通信傍受の実務を行う警察が、これまで法律の根拠もなく違法な盗聴を行っていた非違事実立証のための証人、参考人と、それに関する各種の資料取り寄せを求めていたのであります。しかるに同君は、これらの国民的要求とも言える我々の申し立てを一方的に退け、前記質疑時間の合意もほごにし、かかる暴挙を行うなどは、法務委員長としての職責違背であり、言語道断であります。断じて許しがたい行為であります。(拍手)  右法案強行採決後、次の疑問点が国民の方から指摘されました。  法務省は、傍受はNTT等の通信業者内で行うと説明してきた。しかし、傍受は、NTT等の通信施設外でも技術的に可能である。法案は、NTT等通信業者内施設での通信傍受を義務づけていない。だとすれば、立会人は警察の総務課員でもよいという解釈が成り立つ余地が十分あり、警察署内での傍受は可能となるのではないかという疑問であります。  我々にも思いも寄らなかったことであります。傍受法案からは、このような解釈は可能であります。否定すべき根拠は見当たりません。立法府たる国会は、法律は立法者の意思とは無関係にひとり歩きするということを忘れてはならないのであります。私は、裁判所において、幾たびかひとり歩きする法律とたびたび遭遇してまいりました。  傍受法案は、このような疑問点を解明する機会すら奪われて、強行採決をされたのであります。よって、ここに、同君の法務委員長の解任を強く求める次第であります。議員各位の御賛同を求めて、趣旨説明といたしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)     ――――――――――――― <0007>=議長(伊藤宗一郎君)= 討論の通告があります。順次これを許します。達増拓也君。     〔達増拓也君登壇〕 <0008>=達増拓也君= 私は、ただいま議題となりました民主党、社会民主党提出の杉浦正健法務委員長に対する解任決議案に対し、自由民主党、公明党・改革クラブ及び自由党を代表して、断固反対の討論を行うものであります。(拍手)  今国会の法務委員会は、継続審査とされた法案も含めて多くの重要な法案が付託されており、我々は、従来の慣例にとらわれず、柔軟に委員会を開会して、法案の審査を促進することが国民の負託に誠実にこたえることであると主張してまいりました。  しかし、民主、共産、社民の各党は、昨年の通常国会以来の継続法案の審査を先送りにして、他の法案の審査の優先を強力に主張し、しかも、賛成法案にもかかわらず、より慎重かつ十二分なほどの審議時間の確保を求めるなど、継続案件の審査入りを意図的におくらせる硬直的な姿勢をとり続け、継続法案の審査が遅々として進みませんでした。  組織的犯罪対策三法案の審査につきましても、昨年三月十三日に国会に提出されて以来、二回の臨時国会を経て、継続審査となっておりましたが、昨年五月二十二日以来、本年四月二十八日までの間、法務委員会におけるこの法案の審査が行われていませんでした。我々は、この法案については、組織的な犯罪対策をめぐる国内外の強い要請を踏まえ、今国会における審議の促進を望んでおりましたが、民主、共産、社民各党は、この法案に反対する立場から、その審査を進めること自体に極めて消極的でありました。  先日、法務省官房長の自宅に何者かが弓矢を撃ち込むという、まことに卑劣きわまりない悪質な事件がありました。この事件は、捜査中ということでありますが、組織犯罪対策三法案に関連して、組織的に敢行された可能性が十分考えられるところであります。この法案は、平穏な市民生活を脅かすとともに、健全な社会の維持発展に悪影響を及ぼす組織的な犯罪に適切に対処しようとするものでありますが、この事件からも明らかなように、組織的犯罪の現状はこれほどに深刻なのであり、この法案の審議の促進は法務委員会における重要な問題でありました。  こうした中、杉浦委員長は、今国会においても、延べ二十八回にわたる理事懇談会を開催し、野党の意向をくみ上げるよう懸命に協議を行い、この法案の審査についても、円満な委員会の運営を心がけ、粘り強く与野党の合意形成に努力してまいりました。五月二十八日の採決に当たっても、杉浦委員長は、この法案の審査に費やした合計時間が四十時間を超える長時間に及ぶことを踏まえ、採決に向けて与野党協議を重ねようとして、円満な運営に努力されたのでありますが、他の各党はかたくなにそれを拒否し続け、合意に達することができなかったのであります。  委員長として、審議を促進することが重要な職責であり、意見が対立した場合には、与えられた職権を行使することはやむを得ないことであります。その姿勢は、実に公平中立であり、杉浦委員長が強権的、独断的だとして非難をされるといういわれはみじんもないのであります。(拍手)  むしろ、本年五月二十七日、委員会開会後も委員長席を取り囲み、罵声を浴びせ、騒乱状態をつくり出した上、引き続き行われたこの法案に対する修正案についての質疑に欠席して、審議を拒否した態度こそ、議会制民主主義を冒涜したものであり、非難を浴びせられなければなりません。(拍手)  私は、衆議院の良心にかけて、このような理不尽な解任決議案は断固否決されるべきものであると考えるものであります。杉浦委員長こそ、リーダーシップと民主的配慮をあわせ持った、信頼に値する法務委員長であります。称賛をされこそすれ、不信任に値するという主張は全く理にかないません。  法案に対する賛否が分かれるのは、各党の立場の違いがある以上、これは当然でありましょう。しかし、法案に反対だからといって、これほどまでに公平中立な運営をされてきた杉浦委員長に対して、解任決議を突きつけるなどということは、許しがたき暴挙であり、憤りを禁じ得ないものであります。(拍手)  ここに、正義と良心をもって国民の負託にこたえんとする議員各位とともに、本解任決議案に断固反対の意見を表明し、私の反対討論といたします。(拍手) <0009>=議長(伊藤宗一郎君)= 佐々木秀典君。     〔佐々木秀典君登壇〕 <0010>=佐々木秀典君= 私は、ただいま議題となりました法務委員長杉浦正健君の解任決議案につき、民主党を代表して、賛成の討論を行います。(拍手)  いわゆる組織犯罪対策三法案は、九六年十月、長尾法務大臣が法制審議会に、組織犯罪に対応するための刑事法整備を諮問し、翌九七年九月、同審議会の答申を受けて、法務省が原案を作成したものであります。  この国会提案について、当時の自民、社民、さきがけの与党三党間で二十二回にわたる協議が持たれましたが、社民党の強い反対で協議は決裂したにもかかわらず、九八年三月、政府から第百四十二回通常国会に提出され、同年五月、衆議院本会議での趣旨説明と質疑を経て、法務委員会に付託されたものであります。  しかし、この三法案については、さきに述べた法制審議会や与党間協議での論議、あるいは多くの学者、マスコミも指摘するように、その内容は、憲法、刑法、刑事訴訟法の基本理念にかかわる多くの問題をはらむとともに、国民の基本的人権を脅かすおそれがあることから、国会における慎重な上にも慎重な審議が求められていたのであります。  法務委員会においても、その認識を共通のものにした上、同国会においては三回の各短時間の審議にとどめて、継続審議とされ、その後、第百四十三、第百四十四臨時国会では全く審議がなされませんでした。本通常国会において、去る四月の末審議が再開されることとなりましたが、その際も、法務委員会理事会において慎重審議が申し合わされ、具体的には、委員一人当たり四時間の質疑時間の確保が与野党間で合意されたのであります。  しかるに、二度目の参考人招致日の設定要求以来、与党の態度は一変して、審議促進、早期採決に転じました。加えて、五月二十七日、公明・改革クラブの提案に応じて、自自公共同とした修正案が抜き打ち的に提出される一方、我が党が六月一日に組対法の修正案提出を通告していたにもかかわらず、同日の理事懇談会において、定例日外である同日と翌二十八日委員会を開催し、自自公修正案を審議、採決することが求められたのであります。  その際、私たちが、かねての合意である一人当たり四時間の質疑がまだ各一時間しか行われていないこと、証人、参考人、資料の取り寄せ、自民党政調会長代理もテレビにおいて開催の意向を公約した公聴会で広く国民の意見を聴取すること、我が党の修正案の審議を行うこともあわせて強く求め、正常な委員会審議のため、この異常な提案に応じなかったのはけだし当然のことと言えましょう。(拍手)  しかるに、杉浦委員長は、その後の理事会で、当日の委員会開催につき、私たちが反対の意思を表示しているのに、出席理事による採決も行わないまま委員長席に着き、委員会開会を宣言したもので、この委員会がルールと手続に違反して不成立であったことは明らかだったのであります。  しかるに、杉浦委員長は、さきの理由により私たちが出席しなかったことを奇貨として、翌二十八日の委員会開催を強行し、違法の上に違法を重ねた上、民主党、社民党・市民連合、共産党委員不在のまま、自自公修正案とこれを除く原案の採決に踏み切った経緯と結果は、先ほどの杉浦法務委員長解任決議の趣旨説明において、つぶさに明らかにされたところであります。  私は、法とルールに従って民主的運営のもとに審議が行われるべき国会において、しかも最もそのことに厳格であるべき法務委員会において、それが無視され、法務委員会はもはや無法委員会になったと評される事態が出来したことに、心からの憤りと深い悲しみの念を禁じ得ません。  与党がこのような暴挙をあえてしたのは、ようやく始まった本格的な審議と参考人の供述、質疑、ちなみに十一名の参考人のうち七名が法案に反対し、または慎重な意見を述べておられるのですが、これを通じて、本法案の異常性がマスコミを介して次第に国民の間に認識され、廃案を求める世論の高まりを恐れたからにほかならないと考えます。(拍手)  それは、例えば、組織犯罪処罰と犯罪収益規制法については、特定の犯罪について団体の組織活動として行った者の刑罰が加重される理由が不明確な上に、その団体は犯罪集団に限定されず、労働組合や広く各種の民主団体、あるいは政党もその例外ではないこと。  マネーロンダリングについては、犯罪収益とそれを得る前提となる犯罪は組織犯罪に限られない上、ともに極めて広範囲で、これに対する裁判所の没収保全命令は、前提となる犯罪の有罪確定前にも認められていること。  犯罪収益利用による法人等の事業経営支配行為を犯罪とすることは、一つ間違えば、株主権の行使や適法な経済活動も取り締まりの対象となること。  金融機関に対する疑わしい取引の届け出義務は、市民の金融に対する不信を増幅させ、経済活動を萎縮させることから、さきにこれを制度化したアメリカでは、銀行、産業界のみならず、国民の強い反対で、最近これを取りやめていることなど。  また、通信傍受法は、まさに警察に広い盗聴を許すもので、過去の警察の違法盗聴の実態に照らして、乱用の危険が極めて大きいことであります。  私は、公明党が、こうした国民の権利侵害に思いをいたし、修正案作成に努力されたことには敬意を惜しみませんが、残念ながら、実際につくられ提出されたさきの修正案は、通信傍受法についてのみであり、しかも、通信傍受の対象犯罪を薬物、銃器、集団密航、組織的殺人に限定しても、予備的傍受や別件傍受、犯罪準備での傍受などを認め、常時立ち会いも、立会人が通信内容を聞けない上、切断権限もない以上、捜査当局の乱用防止の歯どめとはなり得ず、国民の不安や懸念を払拭できるものではないのであります。  そうである以上、今深まりつつある審議をさらに進め、公聴会などで広く国民の意見を聞いた上で、真に国民の不安を解消し得る修正を党利党略を離れて追求し、それができなければ、改めてつくり直す決断こそが今国会に求められているのではないでしょうか。(拍手)  私たち国会議員は時に選良と呼ばれます。しかし、個々の議員が良識を失ったとき、もはや選良の名に値するものではありません。  基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士である杉浦正健君が、国家権力による国民の人権侵犯のおそれを限りなく包摂するこの三法案につき、国民の不安を除去する方策を立てるためにもさらに慎重な審議と対応を求める国民世論に背き、中立性、公平性を放てきし、法的手続をも無視して、かかる一方に偏した委員会運営を行うなどは到底許しがたく、同君は法務委員長としての資格を有しないものと断ぜざるを得ません。  私は、議員であるとともに、同じ使命を有する弁護士として、ここに立つことに悲哀の思いを抱きつつ、同君の解任決議に賛意を表して、討論を終わります。(拍手) <0011>=議長(伊藤宗一郎君)= 木島日出夫君。     〔木島日出夫君登壇〕 <0012>=木島日出夫君= 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました法務委員長杉浦正健君解任決議案に対して、賛成の討論を行います。(拍手)  杉浦正健法務委員長は、民事、刑事の基本法についての立法審査、裁判所の司法行政、法務・検察行政、法秩序の維持、基本的人権の擁護などに関して審議するという、重大な任務を負った法務委員会の委員長という重責を担っているにもかかわらず、与野党合意を無視して、委員会を数度にわたって強行開会し、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、いわゆる盗聴法案を初めとする組織犯罪対策三法案の採決を強行したのであります。  杉浦委員長の強権発動と、自由民主党、公明党・改革クラブ、自由党三党による一連の暴挙は、国会の歴史に重大な汚点を残すものであり、この際、委員長を解任して責任の所在を明らかにし、国会としての見識を示すことは当然のことであります。  以下、その賛成の理由を具体的に指摘いたします。  賛成の第一の理由は、杉浦委員長は、五月二十八日午後七時十分過ぎ、開会を強行していた委員会において、三法案に対する質疑を打ち切り、採決を強行したのでありますが、これは、五月十八日午後四時過ぎから開かれた理事懇談会において与野党六会派によってなされた合意、三法案に対する対政府質疑は、従前の分を除き、委員一人当たり四時間を保障するとの合意を一方的に踏み破り、委員の法案に対する審査権、質問権をじゅうりんするという、委員長としてあるまじき、重大な職務違反を行ったということであります。(拍手)  五月十八日の理事懇談会でこの合意が成立したのは、民主、共産、社民の野党三会派が、成年後見制度に関する民法改正法案の審議を優先すべきである等の要求を抑制し、自民党からの三法案の審議再開要求に応ずるという柔軟な態度をとった結果であり、この合意が、法案の重大性から見て、極めて妥当なものであったことも明らかであります。  右合意を満たすためには、民主党五人二十時間、日本共産党一人四時間、社民党一人四時間の対政府質疑が最低でも保障されなければならないところ、これまでの質疑時間は、民主党四時間、日本共産党一時間二十分、社民党一時間のみであり、合意した時間の四分の一前後にすぎません。  その結果、違憲の疑いの強い盗聴法案については、通信傍受の要件、傍受の方法、立会人の職責、当事者への通知、警察の違法盗聴に関する歯どめの有無等、数々の論点について、審議が尽くされたとは到底言えない状況にあるばかりでなく、組織的犯罪処罰法案については、審議らしい審議はほとんどなされておりません。杉浦委員長の質疑打ち切りが、全く道理がない、議会制民主主義に反する暴挙であったことは明白です。(拍手)  賛成の第二の理由は、杉浦委員長が、五月二十七日、二十八日の両日にわたって委員会の開会を強行したことは、事前の与野党の合意がないだけでなく、委員会設定を決めた理事会、理事懇談会の運営についても重大な瑕疵のあるものであり、右両日の委員会は、正規に成立したものとは到底認められないものであり、委員長の職務行使は重大なルール違反であるということであります。  以下、四点指摘します。  第一。右両日委員会を行い、それで法案に対する審議を終局するとの提起が自民党から出されたのは、五月二十六日午後二時半から行われた理事懇談会の場でありましたが、これに対して民主、共産、社民の野党三党は、一、それでは委員一人四時間質疑との合意が守られない、二、明二十七日は木曜日であり、法務委員会の定例の法案審査日ではない、三、野党三会派で要求している中央公聴会、地方公聴会三カ所の開会要求について、いまだ決着を見ていないなどの理由を挙げ、これに反対だとの意思を表明した上、自民党からの提起はこれまでの合意を無視した重大な問題なので、党国対で協議しなければならない、中座したいと申し出、杉浦委員長からの特段の制止もない中、午後四時過ぎに三野党四人の理事、委員は、理事懇談会を中座し、それぞれの党国会対策委員会に戻り、報告と協議をしたのであります。  ところが、杉浦委員長は、民主党の佐々木秀典理事、日本共産党の私、社民党の保坂展人委員に対し、理事懇談会を再開したので戻ってくださいとの呼び出しもしないまま、三野党四人の理事、委員不在のまま、全く一方的に、自民党からの提起である二十七日、二十八日の委員会開催、それぞれ五時間、八時間の対政府質疑、各会派の質疑時間配分等を一方的に決め、その日の衆議院公報に、翌二十七日の法務委員会、法務理事会開催を掲載し、翌二十七日、翌々二十八日の理事会でこれを強行するという暴挙に出たのであります。  第二。五月二十七日は、前日の不正常な理事懇談会を受けて、午後二時から理事懇談会が開催され、野党三会派の理事、委員が公報によって設定された委員会開催に反対する中、杉浦委員長は、二時五十五分ころ急遽理事会に切りかえ、質疑時間配分や質疑者についての協議すら何ら行わず、タイムスケジュール表の民主、共産、社民の野党三党枠を空白にしたまま、全く合意のないまま、三時からの委員会開会を強行したのであります。  第三。翌二十八日午前九時半から開会された委員会において、八時間の審議を行い、質疑を終局し、法案の採決を行うという設定の仕方についても、開会わずか三分前に開始された理事会において、杉浦委員長は、このような暴挙に対する野党三会派の理事、委員の発言をすべて封じて、合意どころか協議すら行うことをせず、自民、自由、公明・改革の三会派の理事の、委員会開催、採決賛成の発言を聴取しただけで、委員会開会を強行したのであります。当然のことながら、その日の八時間質疑の時間配分や具体的な質疑者についての協議など全く存在せず、討論の有無、法案に対する賛否の態度、附帯決議の有無等に関する協議も全くなされませんでした。  第四。以上のとおり、杉浦委員長が進めた委員会、理事会の運営が、「委員長は、委員会の議事を整理し、秩序を保持する。」との国会法第四十八条の規定や、「委員は、議題について、自由に質疑し及び意見を述べることができる。」との衆議院規則第四十五条一項の規定に反し、議会制民主主義のルールを根本からじゅうりんするものであることは明白です。(拍手)  賛成の第三の理由は、本年四月中旬以降の杉浦委員長による、三法案の審議に関する異常きわまりない運営であります。  四月二十八日の委員会での参考人招致の委員長白紙一任決議の強行採決、五月十八日の合意のない委員会の一方的開会強行、公聴会開催や警察による違法盗聴に対する真相解明を求める野党三会派の要求を無視する態度、六月一日までに民主党の修正案ができる予定なので、それまで審議打ち切り、採決は絶対にすべきでないという野党三会派の当然の主張を否定した態度等々は、公正かつ円満な委員会運営を誠心誠意図ることを約した就任時のあいさつを、みずから公然と踏みにじったものであります。  以上のとおり、杉浦委員長の解任は議会制民主主義を守るために当然のことであり、重ねて、全面的な賛成を表明します。  三法案、とりわけ盗聴法案は、国民の基本的人権を侵害する違憲立法であり、法案審議に当たっては、公聴会等国民の意見を聞くことはもとより、徹底した慎重審議を尽くすことが求められていたところであります。このような法案を、五月二十八日、自民、公明・改革、自由三党が問答無用で採決を強行したことは、断じて認められません。日本共産党は、三法案を法務委員会に差し戻すことを求めて、討論を終わります。(拍手) <0013>=議長(伊藤宗一郎君)= 保坂展人君。     〔保坂展人君登壇〕 <0014>=保坂展人君= 私は、社会民主党・市民連合を代表して、杉浦法務委員長の解任決議案に賛成の立場で討論を行います。(拍手)  先週末、いわゆる盗聴法の採決が異常な形で行われたこと、まだその質疑が入り口に立っただけであるにもかかわらず、自自公の枠組みの成立とともに、暴れ馬に身を任せるような委員会運営がなされた、このことに強い不信と怒りを表明します。  さらには、組織犯罪対策法や刑事訴訟法の一部改正案はほとんど審議を経ていないことを、みずから弁護士であり法律家であったはずの杉浦委員長が最もよく知っているはずです。にもかかわらず、採決を強行した罪は、国会の機能放棄であり、自殺行為であると告発しなければなりません。  強権的で問答無用の杉浦委員長の委員会運営に抗議して、社民、民主、共産の野党三党があくまで同意しない日程を、何が何でも押し通すという姿勢は、国会の異常事態を国民に知らしめて、とてつもない議会の堕落が始まっていることを知らしめています。  委員長は、この盗聴法の審議に当たり、前提となる条件を整備する努力をことごとく怠りました。捜査機関が、政府の言うところの通信傍受という権限を行使しようとするときに、過去のうみはしっかりと吐き出してしまう、しっかりと吐き出させるというのが立法府の責務であります。  私は、現参議院議員である日本共産党緒方宅盗聴事件の事実の解明を求めて、質問を重ねてまいりました。しかしながら、日本の警察当局は、緒方事件は反省する、反省するけれども、組織的にも個人的にもやっていない、こういった答弁を今の今まで繰り返しております。  窃盗の容疑で逮捕された者が、やってないけれども反省する、過去も現在も違法なことはやっていない、けれども、いやしくも警察の取り調べを受けたことは遺憾であると主張し続けたら、それで放免されるわけがないではありませんか。  さらに重大な事実が、法務委員会の盗聴法の質疑で浮かび上がってきました。  かつて、警察から盗聴器の開発と製造を依頼され、納入したという経験と技術を証言するエンジニアの丸竹洋三さんという方が、私たち野党の前で証言をいたしました。元職場の同僚もこの証言の信憑性を言い添えるなど、日本の警察に違法盗聴の過去があるならば、その体質を根絶しなければならないということは、だれもが認める前提条件になりました。  しかしながら、この丸竹さんを参考人として招致しようとする野党の要求も頭ごなしに拒否し、各党が推薦する参考人の枠に入れることも、学識経験者、専門的知識を持つ人ではないからなどの理由で拒否、真実を追求し国民の不安を解消する姿勢を一切見せませんでした。  かつて、国会で、自由民主党が野党であった平成五年、一九九三年十月六日、予算委員会で、盗聴問題を、現在の野中官房長官が質問されております。野中官房長官は、当時の神崎郵政大臣に、日本共産党委員長宅盗聴事件と創価学会の関与について、議事録を持ってきましたので、  ○野中委員 盗聴事件に関与したとマスコミに報道されておる方が電話、電波を所管される大臣である。この報道につきまして、恐らくみずから否定をされますならば、神崎大臣は抗議をするなり名誉回復の手だてをされましたか、これをお伺いいたします。  ○神崎国務大臣 この件についてはいろいろな対応があったと思いますけれども、告訴をするあるいは無視をする、いろいろあったと思いますけれども、私は明確に当時から事実を否定し、無視をする、こういう対応をとっております。  ○野中委員 非常に私は疑惑の残る事件だと思います。この事件は、もちろん法律的には既に時効であります。しかし、報道のとおり、現職の所管大臣として、たとえ時効でもそのような盗聴事件に関与があったとすれば、大臣の適格性において非常に問題であります。 として、野中委員は、疑惑が残る、事の真偽は関係者の証人喚問で解明するべきだと。  沖縄特措法で、私たち若い議員に、大政翼賛会にならないように、極めて大所高所に立った、いわば自民党の枢要な方として尊敬もさしあげている野中現官房長官が、かつて、疑惑解明の先頭に立って、野党としてこういう質問をしていたという歴史はわずか六年前のことなんであります。  疑惑解明の決意、そして論戦があったこと、これを振り返るとき、国会議員として、とりわけ野党として、政府・与党の数の力に質疑を通して厳しいチェックを求め、疑惑の解明に全力を尽くすことこそ、国民に対して野党の責務であるということを与党も十分に理解しているはずだと思います。けれども、こうした歴史的事実を忘れ、現在の自自公のいわば問答無用の態勢を見るときに、私は本当に恐ろしい気がしてなりません。(拍手)  五月二十六日に、二十七、二十八日の採決、この採決の抜き打ち提案、これは、四十八時間、二日間がかりのタイマーを採決にセットをして、強行採決をする、議論を封じる行為であります。  そもそも、国会の審議とは、疑問点を明らかにして、疑問点が明らかになればその解消を図るべく真摯に議論する場なのであります。  審議未了の一例を挙げます。例えば、通信傍受の手段を、捜査機関がいつ、どこで、だれと、だれの立ち会いのもとで行うのかという、基本の事実さえ解明をされておりません。  NTTの内部の情報によれば、映画「エネミー・オブ・アメリカ」の中のシーンのように、携帯電話と小型パソコンさえあれば、電話局の外でも車の中でも盗聴、傍受が技術的に可能であります。  法案をよく読んでみても、警察の中に、NTTと接続する通信傍受センターをつくることを、法案は、阻止する条項は一つもありません。逆に、捜査機関がその必要を求めたときに、通信事業者は必要な処分ができるという強制権があり、また、立会人は、これはNTTとは限りません。通信手段の傍受を実施する部分を管理する者、またはそれにかわる者ですから、警察の傍受センターというものがもしできたならば、警察官が立会人になるという可能性さえあります。  違法盗聴、盗聴法の怖さは、ジャーナリストがまさにその危機にさらされることであります。そして、私たち政治家も、与党、野党かかわらず、そのときの政局によって違法盗聴の危惧に立たされる、このことが大変怖い。  そして、この法案がもし成立をしたならば、十年後には、盗聴、傍受のプロが千人単位で育成される。その中には、金銭トラブルや人事に対する怨恨で警察をやめていく人間もいる。元警察官の起こした凶悪事件の実例を挙げるまでもなく、傍受のプロが犯罪組織に雇われたときに、まさに我々の危惧は現実のものとなるのであります。  NTTの中で、通信の秘密を守ることを、プロとして、誇りをかけて守ってきたNTTの職員が、今度は盗聴の手引きをしなくてはならない。高度な倫理観が薄れることを私どもはおそれます。  この法案はざる法であり、むしろ、捜査当局によって自由に解釈できる問題だらけの欠陥法案です。これを審議するのが委員会であり、これらの審議に背を向けて、迷走した法務委員長の責任はまことに重いと思います。(拍手)  公明代表の浜四津敏子さんが、参議院議員が、十一月、社民、民主、共産、公明各党の出席する中で、大変に傾聴に値する御意見を披露しています。  浜四津さんは、盗聴捜査が、通信の自由という憲法上の人権を侵害する可能性が大きいだけではなく、盗聴という手段には歯どめがきかない。国家権力の都合で政治的に利用されてしまう危険性が大きい歴史的な教訓があるからであります。浜四津さんは、特に今回の法案におきまして、対象となる犯罪が組織的犯罪に限定されておらず、また、通信傍受された当事者への事後報告制度がなく、当事者は、自分が盗聴されることを、全く犯罪行為を行っていない場合でも知ることができないという点であります。全く妥当な議論です。  また、浜四津さんは、違法な盗聴を監視することが事実上できず、令状主義に抵触するおそれが大きい。 <0015>=議長(伊藤宗一郎君)= 保坂展人君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。 <0016>=保坂展人君(続)= また、盗聴捜査の期間は一応定められているものの、事実上無限定であるなど、法案に問題が多いと言わざるを得ません。戦前の我が国における特高警察や旧ソ連、あるいはドイツの例に見られるように、一たん秘密警察的な手段を認めてしまえば、これは歯どめがきかなくなるというのが歴史の教訓であることを私たちは知るべきであると思います。少し歴史を振り返ってみたいと思います。戦前の日本は、特高による言論弾圧がありました。 <0017>=議長(伊藤宗一郎君)= 保坂展人君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。 <0018>=保坂展人君(続)= きょうのようなこういう集会には必ず特高警察が監視をしておりました。政治的弁論はもちろん、宗教的信念からの反戦、平和の弁論も検閲され、弾圧されました。そして、多くの人々が投獄され、獄死する者もありました。また、かつてのナチス・ドイツでは、第二次世界大戦中、秘密警察のゲシュタポが猛威を振るいました。この秘密警察の形態というのは、一応、戦後、連合国によって禁止されたわけですが、実は国内情報組織として、連邦憲法保護局あるいは連邦刑事局あるいは軍事保護局というものがつくられて、西ドイツの国家公安システムはつくられました。また、次第に当初の目的から対象は拡大されまして…… <0019>=議長(伊藤宗一郎君)= 申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。 <0020>=保坂展人君(続)= 過激派、テロリストに限らず、学生運動あるいは反核平和運動、また環境保護運動など市民運動まで関心の対象になり、大きな議論となりました。このように、一たん盗聴や秘密的な情報手段を導入いたしますと、その本来の目的を逸脱し、歯どめがきかなくなるというのは、古今東西の歴史が証明をしていると私は思います。  公明党の皆さんが、立党の原点に立ち、基本的人権を保障した憲法に基づく人権の党として、採決の無効と審議をやり直すことを私は強く求めます。  直ちに委員長を解任し、採決無効を確認し…… <0021>=議長(伊藤宗一郎君)= 保坂展人君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。 <0022>=保坂展人君(続)= 審議をやり直すことを強く求めて、私の賛成討論にかえたいと思います。(拍手) <0023>=議長(伊藤宗一郎君)= これにて討論は終局いたしました。     ――――――――――――― <0024>=議長(伊藤宗一郎君)= 採決いたします。  この採決は記名投票をもって行います。  本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕 <0025>=議長(伊藤宗一郎君)= 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。  投票を計算させます。     〔参事投票を計算〕 <0026>=議長(伊藤宗一郎君)= 投票の結果を事務総長から報告させます。     〔事務総長報告〕  投票総数 四百六十六   可とする者(白票)       百三十二   否とする者(青票)      三百三十四     〔拍手〕 <0027>=議長(伊藤宗一郎君)= 右の結果、法務委員長杉浦正健君解任決議案は否決されました。(拍手)      ――――◇―――――  日程第一 拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の締結について承認を求めるの件  日程第二 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の条約の締結について承認を求めるの件  日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第四 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第五 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(参議院送付) <0028>=議長(伊藤宗一郎君)= 日程第一、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の締結について承認を求めるの件、日程第二、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の条約の締結について承認を求めるの件、日程第三、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第四、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、日程第五、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、右五件を一括して議題といたします。  委員長の報告を求めます。外務委員長中馬弘毅君。     ―――――――――――――  拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――     〔中馬弘毅君登壇〕 <0029>=中馬弘毅君= ただいま議題となりました五件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、拷問等禁止条約について申し上げます。  第二次世界大戦後の国際社会において、拷問は人権の重大な侵害行為であるとの認識のもと、世界人権宣言及び市民的及び政治的権利に関する国際規約等において拷問の禁止が規定されました。しかしながら、一九七〇年代に、一部の国の軍事独裁政権による拷問と見られる行為に対する国際的な非難が高まったことを背景に、国連において、拷問を実効的に禁止する新たな国際文書を作成する必要性が強く認識されるようになったことを受け、昭和五十九年の第三十九回国連総会において、本条約が全会一致で採択されました。  本条約は、公務員等による拷問を防止するため、各締約国がこれを刑法上の犯罪とするとともに裁判権を設定すること、同犯罪を締約国間の現行の犯罪人引き渡し条約における引き渡し犯罪とすること、締約国は、拷問の禁止に関する委員会に対し、自国がこの条約に基づく約束を履行するためにとった措置に関する報告を定期的に提出すること等について定めております。  次に、韓国との租税条約及びマレーシアとの租税協定について申し上げます。  現行の租税条約及び協定が締結以来相当年を経ていることから、現行のものにかわる新たな租税条約及び協定を締結するため交渉を行いました結果、合意に至ったので、韓国とは平成十年十月八日東京において、マレーシアとは平成十一年二月十九日クアラルンプールにおいて、それぞれ署名が行われました。  両件は、経済的、人的交流等に伴って発生する国際的な二重課税を可能な限り回避または排除することを目的としたもので、近年我が国が締結した租税条約とほぼ同様のものであり、条約及び協定の対象となる租税、企業の事業所得及び国際運輸業所得に対する課税、配当、利子及び使用料についての源泉地国の税率の制限、並びに自由職業者、芸能人等の人的役務所得に対する課税原則等について定めております。  最後に、カナダとの租税条約改正議定書及びスウェーデンとの租税条約改正議定書について申し上げます。  現行の租税条約に関し、両国より一部規定を改正する提案が行われたことを受け、交渉を行いました結果、合意に達しましたので、カナダとは平成十一年二月十九日オタワにおいて、スウェーデンとは平成十一年二月十九日ストックホルムにおいて、それぞれ署名が行われました。  カナダとの改正議定書の主な内容は、国際運輸業に従事するカナダの企業が、相互主義を条件として、日本国における住民税及び事業税を免除される規定を追加すること、親子関係にある法人の間で支払われる配当の源泉地国における限度税率を引き下げること等であり、スウェーデンとの改正議定書の主な内容は、スウェーデンの対象税目について名称を変更すること、親子関係にある法人の間で支払われる配当の源泉地国における限度税率を引き下げること等であります。  拷問等禁止条約は、去る三月五日本院に提出され、四月二十二日本会議において趣旨の説明及びこれに対する質疑が行われた後、同日外務委員会に付託されたものであり、マレーシアとの租税協定、カナダ、スウェーデンとの両租税条約改正議定書は、四月二十八日参議院から送付され、韓国との租税条約とともに五月二十六日外務委員会に付託されたものであります。  外務委員会におきましては、拷問等禁止条約については五月十九日、租税四案件については五月二十八日高村外務大臣から提案理由の説明を聴取し、五件につき同日質疑を行い、これを終了し、まず拷問等禁止条約について採決を行いました結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。次に、租税四案件について討論を行った後、採決を行いました結果、それぞれ賛成多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ――――――――――――― <0030>=議長(伊藤宗一郎君)= これより採決に入ります。  まず、日程第一につき採決いたします。  本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 <0031>=議長(伊藤宗一郎君)= 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。  次に、日程第二ないし第五の四件を一括して採決いたします。  四件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 <0032>=議長(伊藤宗一郎君)= 起立多数。よって、四件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。      ――――◇―――――  日程第六 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案(第百四十二回国会、内閣提出)  日程第七 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案(第百四十二回国会、内閣提出)  日程第八 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会、内閣提出) <0033>=議長(伊藤宗一郎君)= 日程第六、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、日程第七、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、日程第八、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。(退場する者あり)  委員長の報告を求めます。法務委員長杉浦正健君。     ―――――――――――――  組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案及び同報告書  犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び同報告書  刑事訴訟法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――     〔杉浦正健君登壇〕 <0034>=杉浦正健君= ただいま議題となりました三法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案について申し上げます。  本案は、最近における組織的な犯罪の実情及び犯罪収益の運用等の状況並びにこれらの処罰及び規制に関する国際的な動向にかんがみ、組織的に行われた殺人等の行為に対する処罰を強化し、犯罪収益の隠匿及び収受並びにこれを用いた法人等の事業経営の支配を目的とする行為を処罰するとともに、犯罪収益に係る没収及び追徴の特例並びに疑わしい取引の届け出等について定めようとするものであります。  次に、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案について申し上げます。  本案は、刑事訴訟法に基づく電気通信の傍受を行う強制の処分に関し、傍受令状発付の要件及び手続、傍受の実施の手続、傍受の記録の取り扱い、傍受に関する裁判及び処分についての不服申し立てその他必要な事項を定めようとするものであります。  最後に、刑事訴訟法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、前述の電気通信の傍受を行う強制の処分についてその根拠を定めるとともに、証人等の身体または財産への加害行為等の防止を図るための措置を定めようとするものであります。  以上三法案は、いずれも第百四十二回国会の平成十年三月十三日内閣から提出され、同年五月八日本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されたものであります。  委員会におきましては、同国会の平成十年五月十三日三案を一括して議題として提案理由の説明を聴取し、同月十五日から質疑が行われたのでありますが、結論を得るに至らず、今国会まで継続審査に付されてまいりました。  今国会におきましては、去る四月二十八日及び五月二十五日に参考人から意見を聴取する等、慎重に審査を行いましたところ、去る五月二十六日、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案並びに犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案に対し、上田勇君外九名の共同提案に係る修正案が提出されました。  翌二十七日両修正案について提案理由の説明を聴取した後、同日及び二十八日に三案及び両修正案について質疑を行い、これを終了し、採決いたしましたところ、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案並びに犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案につきまして、各修正案及び修正部分を除く原案はいずれも可決され、修正議決すべきものと決し、刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきましては、原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案並びに犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案に対して附帯決議が付されたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ――――――――――――― <0035>=議長(伊藤宗一郎君)= 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。東中光雄君。     〔東中光雄君登壇〕 <0036>=東中光雄君= 私は、日本共産党を代表して、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、いわゆる盗聴法案外二法案に反対の討論を行います。(拍手)  まず最初に指摘したいのは、本法案が、国民の基本的人権、通信の秘密にかかわる重大法案でありながら、公聴会も開かず、審議も尽くさず、委員会における一人四時間の質疑という与野党の合意をも踏みにじって採決を強行したことであります。これは、断じて許すことができない暴挙であります。委員会に差し戻し、審議をやり直すべきことを強く要求しているものであります。(拍手)  私がいわゆる盗聴法案に反対する第一の理由は、国民の通信の秘密を侵犯する、憲法二十一条違反の違憲立法だからであります。  本法案は、警察官等による通信の傍受を規定しております。法案第二条は、通信の傍受とは、現に行われている他人間の通信、電話その他の電気通信について、その内容を知るため、当該通信の当事者のいずれの同意も得ないで、これを受けることだと定義をしております。警察官が国民の電話通信の内容をひそかにこっそりと盗み聞く、すなわち盗聴することだと定義をしておるのであります。また、提案理由では、通信の傍受は密行的かつ継続的に行われるものであることを明記しております。  通信の傍受が憲法二十一条二項の「通信の秘密は、これを侵してはならない。」という基本的人権の保障規定を真っ正面から侵害するものであることは、この定義自体からも明白であります。犯罪捜査や公共の福祉のためということで合法化できるものではありません。「憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利」と明記した憲法十一条の原則からいっても、警察官等による通信の秘密を侵犯する法案は断じて許されないのであります。  第二の理由は、国民は盗聴された事実そのものを知らされず、警察官等は無制限に盗聴を拡大できる仕組みになっていることであります。  本法案は犯罪捜査のための通信傍受だと言いますが、警察官等は、試し聞きの名によって、犯罪に関係のあるかどうかもわからない電話等の電気通信を無制限に盗聴、傍受することができるのであります。しかも、盗聴の事実そのものを通話当事者に通知しないのであります。  法案では、盗聴が終了した後三十日以内に当事者に書面で通知することになっていますが、それは、傍受した通信の中に被疑事実が含まれ、傍受記録がつくられている場合に限定されているのであって、盗聴した大部分の善良な国民の犯罪に関係のない通話は裁判所に保管された原記録に残されるだけで、盗聴されたことすら一切当事者にも国民にも知らされないままになるのであります。  したがって、警察官等により盗聴され、重大な人権侵害を受けた国民が、盗聴された事実そのものを知ることができない、当然、不服申し立ても損害賠償を求めることもできないのであります。  アメリカの例では、裁判所の許可を得て行った盗聴捜査の八、九割までが刑事事件とは何の関係もない通信であったということが報告されているのであります。まさに重大なプライバシーの侵害が警察官等によってひそかに行われることになるのであります。  国民の知らないところで警察による盗聴が行われ、警察だけが国民の会話や行動を知っているという、恐るべき警察による市民監視社会がつくり出されるのであります。断じて容認することはできません。(拍手)  第三に、自自公三党の修正案についてであります。  修正案は、盗聴の対象とする犯罪を麻薬、銃器、密入国、組織的殺人の四種の犯罪に絞り、盗聴犯罪を限定したと主張しております。しかしながら、修正案は、犯罪に無関係の通信会話の盗聴を防止することには全く無力なのであります。修正案は、政府案にある警察官等の通信傍受の際の試し聞きを認めており、いわゆる予備的盗聴、事前盗聴、別件盗聴を認めているからであります。これでは警察官等の盗聴範囲は何ら限定されず、逆に無制限に広がることとなるのであります。  また、修正案は、通信傍受の際に立会人を常時置くこととしておりますが、立会人は、傍受している捜査官の動作を見守るだけの権限しかありません。実際に傍受をしている内容は何なのか全くわからないのであり、立会人の電話傍受の切断権が全く与えられていないのであります。立会人は、警察官等の、犯罪と関係のない会話の傍受、盗聴を何ら規制することができないのであります。立会人が盗聴の乱用に対する何らの歯どめにならないことは明白であります。  さらに、修正案は、傍受の令状請求権者を検事と警視以上の警察官に限定しましたが、これも何らの歯どめにもなりません。もともと検察・警察機構はいずれも一体の原則のもとに行動する組織であり、我が党の緒方国際部長宅盗聴事件が神奈川県警ぐるみの違法な組織的盗聴であったこと一つを見ても、請求権者を限定する修正は全く無意味だと言って過言ではありません。  以上、三党の修正案は、盗聴法案の人権じゅうりん、プライバシー侵害、憲法違反の基本的性格を何ら変更するものではなく、到底賛成し得るものではありません。修正部分を含め、盗聴法案は廃案にするしかないのであります。  第四は、盗聴捜査の実質上の担い手となる我が国警察の体質問題であります。  政府は、警察官等による通信傍受は厳格な要件を定めており乱用することはあり得ないと言いますが、一九八六年十一月に発覚した我が党の緒方靖夫元国際部長宅電話盗聴事件では、九七年六月の東京高等裁判所が、盗聴行為には神奈川県警の三名の警察官が職務として関与していたことを認定し、警察の組織的な違法・盗聴行為であることを裁判所が断定し、この判決は既に確定しているのであります。  しかしながら、警察は、今なお、その事実を認めない、緒方氏に対して何らの謝罪も行わない。このような警察に盗聴権限を与えることは、国民の自由と権利を脅かすものであり、断じて容認できません。(拍手)  次に、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案について。これは、犯罪の構成要件が極めてあいまいであり、現行刑法の基本的な考え方に重大な変更を加える法案であり、本来慎重に審議を尽くすべきものでありますが、違憲の盗聴法案と一緒に提出され、ほとんど審議が行われないまま採決を強行されたのであります。容認することはできません。  最後に、組織犯罪対策について一言いたします。  麻薬・銃器犯罪、暴力団などの組織的犯罪を厳しく取り締まるのは当然であります。しかし、刑罰の強化が社会の安定をもたらすものではありません。政治、経済、文化のあり方こそが犯罪の少ない社会をつくるかぎであります。 <0037>=議長(伊藤宗一郎君)= 東中光雄君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。 <0038>=東中光雄君(続)= 相次ぐ政治腐敗、官僚組織の腐敗、企業腐敗などのまさしく組織の犯罪行為や、それらと暴力団の癒着こそ問題であります。何よりも警察と暴力団の癒着をきっぱり断ち切ることが求められているのであります。  以上、国民の基本的人権を侵害する違憲の盗聴法案に反対の討論を終わります。(拍手) <0039>=議長(伊藤宗一郎君)= 八代英太君。     〔八代英太君登壇〕 <0040>=八代英太君= 私は、自由民主党、公明党・改革クラブ及び自由党を代表いたしまして、ただいま議題となっております組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案に関する三会派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案に関する三会派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案、並びに刑事訴訟法の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論を行うものであります。(拍手)  我が国におきましては、組織的な犯罪が少なからず発生しており、平穏な市民生活を脅かすとともに、健全な社会の維持発展に悪影響を及ぼす状況にございます。他方、この種の犯罪をめぐる国際的な動向に目を向けますと、最近における国際連合や主要国首脳会議等におきまして、最も重要な課題の一つとして組織的な犯罪の問題が継続的に取り上げられ、国際的に協調した対応が求められており、主要国におきましては既に所要の法整備が進んでおるのであります。  これらの組織的犯罪対策のための三法案は、このような国内外の強い要請を踏まえまして、組織的な犯罪に適切に対処するための必要不可欠な法整備を図るものでありまして、まことに時宜を得たものと考える次第でございます。(拍手)  以下、各法律案に賛成する主な理由を申し述べさせていただきとうございます。  第一に、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案におきましては、組織的に行われた一定の犯罪について、それが類型的に違法性が高いと評価できることから、刑を加重する規定を設けておるのであります。これにより、組織的な犯罪に対する抑止力が期待できるとともに、このような犯罪行為に対しては厳罰をもって臨むことができることとなるのであります。  第二に、この法律案に、一定の重大犯罪を犯罪収益の前提犯罪として定めまして、犯罪収益等の仮装、隠匿等のマネーロンダリング行為の処罰規定を設け、没収、追徴及びそのための保全に関する制度を拡充いたしまして、さらには、疑わしい取引の届け出制度を充実させるなどの措置を定めております。これによりまして、組織的な犯罪に対して経済的な側面から適切に対処することが可能となるのであります。  第三に、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案におきまして、犯罪捜査のための電気通信の傍受制度を設けておるのであります。これは、組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害している現状を思うときに、組織的、密行的に行われる犯罪における犯人の検挙及び真相の解明が非常に困難となっている状況を踏まえまして、これに適切に対処すべく、犯罪捜査のための強制処分として電話等の電気通信を傍受することを認めるものでありまして、この種の犯罪の捜査のために大いに効果的であると考えております。  この法律案におきましては、通信の傍受が憲法の保障する通信の秘密を不当に侵害することとならないように、原案に大幅な、まさに大幅な修正を加えまして、対象犯罪を薬物関連犯罪、銃器関連犯罪、集団密航に関する罪及び組織的な殺人の罪の四類型に限定した上で、厳格な要件及び慎重な手続を定めまして、第三者の常時立ち会い、不服申し立て等、その適正な実施を担保するための措置を定め、違法に通信の秘密を侵害する行為に対する罰則を強化しており、一般市民の通信の秘密が不当に侵害されることは到底あり得ないものと考えておるのであります。  第四に、刑事訴訟法の一部を改正する法律案におきましては、組織的な犯罪に関する刑事手続に協力する証人の保護に関する措置を定めておりまして、極めて有意義であると考えております。  この三法案による法整備は、我が国における組織的な犯罪に適切に対処することによりまして、我が国の平穏な市民生活を確保し、健全な社会の維持発展に資するとともに、この問題に関する国際的な協力体制の中で、我が国が必要な役割を果たすことを可能にするものであります。何とぞ、この三法案の一日も早い成立を願うものであります。  なお、申し添えておきますが、盗聴ではありません。盗聴はあくまでも違法です。犯罪です。これは通信傍受でありますので、どうぞ誤解のないようにお願い申し上げます。(拍手)  議員各位の御賛同を心からお願い申し上げまして、賛成討論とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) <0041>=議長(伊藤宗一郎君)= これにて討論は終局いたしました。     ――――――――――――― <0042>=議長(伊藤宗一郎君)= 三案を一括して採決いたします。  日程第六及び日程第七の両案の委員長の報告はいずれも修正、日程第八の委員長の報告は可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 <0043>=議長(伊藤宗一郎君)= 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり議決いたしました。      ――――◇――――― <0044>=議長(伊藤宗一郎君)= 本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十九分散会