午前九時三十四分開議      ――――◇――――― <0001>=杉浦委員長= これより会議を開きます。  第百四十二回国会、内閣提出、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。 <0002>=日野委員= きょうは、二時間時間をちょうだいいたしまして質問をいたします。大臣もお忙しいこともおありのようですから、その間は私も一休みをさせていただくということにしようと思います。よろしくお願いいたします。  ところで、組織犯罪三法と呼びならわしているわけでございますね。組織的な犯罪というものが非常に今重要視されている。そして、それには当然その合理的な理由があることもよく私は理解をいたしております。ただ、私、やはり日本の社会というものはどういうふうにできているかということも同時に十分考えなくちゃいかぬ。日本の社会が成り立っている、このように治安も良好で、そして、世界から見たらうらやましいような状態で存在している、こういう事実、これもまた同時に評価をしなければならないことであろう、こう思っております。  先日、自民党の質問で、山本さんでございましたかね、マフィアの例をお引きになった。私は、非常に説得力のある質問であったなと思うんです。それと同時に、これは語り口が実にうまいな、こうも思ったんでございますね。確かに、ああいう一方の契機があること、これは私否定をいたしません。  それと同時に、マフィアについてちょっと言えば、マフィアというのは、山本さんがマフィアのいろいろな成り立ちからずっと説明されたんですが、あのような存在というものがイタリアの社会のみならず国際社会にも非常に大きな害悪を流した、これはもう私もよく知っているんです。そして、マフィアのことは、山本さんが挙げられたあれは非常に著名な国際的な出来事でありましたし、これはイタリアの歴史の中でも非常に大きな事件であったろうと思います。  私も、山本さんほどではありませんが、興味を持ってずっとこれを見ておりましたので、ある程度のことはわかっていたつもりであります。そして同時に、マフィアに対して徹底的な取り締まりを断行したというあの検察、検事総長ですね。見事な決断だったと私は思うんです。そして、あのような大きな裁判をやってこれの禁圧を行おうとしたということはよくわかっておりますし、非常によくやられたんだと思うんです。  そして、その当時、私こうも思った。イタリアという国で、そして、国際的に非常に影響を及ぼしているこの組織に対しては、ああいうことをやらなければもうどうにもならなかったんだろう、こういうふうに思っているわけです。それと同時に、我が日本と照らし合わせて考えてみて、日本は、イタリアの場合とはいろいろな点で違っている、これも同時に我々認識しなければならないところであろうと思います。  まず、民族性とか文化とか、そういったものも大きく違っているわけですね。それからまた、治安の状態、これも、イタリアには失礼な言い方かもしれませんが、イタリアと日本を比べてみれば雲泥の差が当時ありました。また、経済の状態も違っていたわけですね。経済の状態も違っているわけです。イタリアなんというのは、本当に慢性的な財政赤字に悩んで、こんな国でよくこの国家が破産しないものだなと思うぐらいの財政赤字を続けておりました。  しかし同時に、イタリアに行ってみて非常に奇異の感を覚えた方も多いのではないかと思う。市民生活というのは非常に平穏に、しかも豊かに行われている。何でああいうことになっているのか。結局、地下の経済が非常にあそこは、発達していると言うと変でありますが、地下経済、それが経済を、大体あの当時で六〇%ぐらいといったですかな、支配をしていて、それに支えられた市民生活も一方で行われていた。これは当然、マフィアなんかが地下の経済を取り仕切っていたという側面もないわけではないと思うんですね。  ですから、私は、あのマフィアの例を即日本に持ってくるということには、実は、山本さんには失礼だが、そのまま妥当するものではなかろうと思っているんですが、それを山本さんは引かれた。  大臣なんかはどうお思いでしょうかね。これはちょっと質問通告していなかったので、所感で結構でございます、どうぞおっしゃっていただけますか。 <0003>=陣内国務大臣= 我が国の犯罪発生率は、全体として見れば、今委員おっしゃいましたように諸外国に比べて低いとされております。しかし、最近における犯罪情勢を見ますと、暴力団等による薬物、銃器の取引や、その不正権益の獲得を目的とした各種の犯罪のほか、オウム真理教事件のような組織的な殺人事犯、法人組織を利用した詐欺商法などの経済事犯など組織的な犯罪が少なからず発生しており、我が国の平穏な市民生活を脅かすとともに、健全な社会経済の維持発展に悪影響を及ぼす状況にあると思いまして、予断を許さない状況にあると考えておるわけでございます。  また、近年の国際的な交通通信手段の発達や経済活動の大規模化に伴いまして、犯罪の国際化も進展しております。現実に、国内の暴力団組織と外国の不法集団である蛇頭とが連携しまして、大規模な密入国を敢行するなどの事犯も多発しておりますし、我が国の組織的な犯罪に対する対処が十分でなければ外国の犯罪組織の侵入を許すこととなる懸念も大きくございまして、一たんそういうような組織の定着を許してしまいますと、その排除は極めて困難になることも明らかだろうと思うわけでございます。  マフィアとの対比というのは直接的には難しいかと思いますけれども、現在の状況それからこれからの見通しについて、集団的な犯罪に対して私はそういうふうに受けとめております。  したがいまして、ただいまお願いを申し上げている三法案というのはこの状況に対処するための必要不可欠な整備を図るものである、この問題の重要性、緊急性にかんがみて、できる限りこの法整備を早期に実現させていただきたいという思いを新たにしたところでございます。 <0004>=日野委員= 今大臣のお考えを伺ったわけであります。そういった取り締まりをしていく、これからさらに暴力団等組織的な犯罪が日本に定着をすることを恐れる気持ち、これは私も非常に強く持っております。  しかし、一方で、我々は人権ということを同時に強く考えなければならないのであります。今大臣、ずっと列挙されましたが、犯罪白書なんかでも、日本は安全な国家、治安のよく保たれた国家であるということは指摘しておりますし、これは、外国で暮らして日本に帰ってこられた方は、外国に旅をして日本に帰ってこられた方なんかもほっとするわけですな。日本に帰ってきて、ああ、日本はいい国だ、こう思うわけでございますね。そして同時に、暴力団それから薬物などに対しては、特別法による措置、これも現に行われている。そして、それは取り締まりに当たられる方々の御労苦もあってかなりの程度まで抑えられてきた、そういう方向性を持っていると私は思うんですよ。  しかし、この法律が、私は全くむだなことだというふうには思っておりません。今、この組織三法、全くむだなことをやろうとしているとは思ってはいないんです。それをやれば何がしかの効果というものは必ず出てくるだろう、これも私は認めます。それと同時に、多数人であるとか要人をねらった犯罪類型、これが大きな問題になってきつつあるということも否定するつもりはありません。  しかし、今私も言いましたように、一方では人権を守っていくということが非常に大事なことだ、日本の社会にとって特に大事なことだというふうに私は思っているんです。今、日本の社会がこのように保たれているというのは、憲法に規定する諸人権をきちんと守って、そして民主的にこれが運営されてきたことによって現在の日本の社会の安定、それから日本の社会の発展ということもあったでありましょうし、経済的な発展、文化的な発展、そういったものもあったでありましょう。私は、こういう側面というものは、決して見逃してはいけない大事なことだというふうに思います。いかがですか。 <0005>=陣内国務大臣= 全く委員御指摘のとおりでございまして、憲法の保障する基本的人権及び民主主義の原則を尊重するということは、我が国社会の健全な発展にとって極めて重要であると認識しております。  それだけに、組織的犯罪対策三法は、平穏な市民生活を脅かし、健全な社会経済の維持発展に悪影響を及ぼすような組織的な犯罪に適切に対処するために必要不可欠な措置を定めるものでございますので、組織的な犯罪から国民の基本的人権を守るという観点から、できるだけ法整備を早急に実現する必要があると考えるわけであります。 <0006>=日野委員= 今、二つの対立する観点というものがあるわけです。私は、人権を擁護していく、これの方が大事だ、こう思っているんですね。  といいますのは、あくまでも情報をきちんと公開していく、警察情報それから検察の情報、こういったものをできる限り公開していく、そして、それの上に立って十分な国民の中での意見の交換、そして個人を尊重していく、そして新しい思想、新しい日本人の行動様式、そういったものを建設的に積み上げていく、これこそが私は日本の発展であろうと思うんですよ。  これはもう、どこの国にもアウトローはいます。法を破ろうとする者はどこの国にだっている。そしてまた、それが同時に国際的な影響も非常に強く受けていること、これも私は否定するつもりは全くありません。しかし、そういうものを自分から排除していく力を日本の社会が持つこと、これが大事なんじゃないでしょうか。  法務省が今言っておられる理屈もわからないではない。それは、私は外科手術みたいなものだと思うんですね。憲法の言う人権を中心とした社会秩序を保って社会を強めていく、このことは私は、内科的なというか、漢方的なと言った方がいいかもしれない、そういう効果をもたらすと思いますよ。  しかし、私が今言った外科的な、今法務省がこの法案で実現されようとしている一つの法的な現象、これは、ややもすると陰湿な、情報を押し隠し、そして取り締まり側のひとりよがり、こういったものを必ず生み出すと私は思う。こういうものがどんどん出てくると、それに対抗する勢力というものは必ず生まれます、特に、政治の場、労働運動の場、そういう場で。  それからまた、新しい一つのものをつくり出していこうとする社会の動きというものは、これは必ず現在の秩序の中に安定しているものにとっては不快なものです。そういうものにそういった外科手術を施していくということを私は賛成しない。そういうものが高まっていきますと、それは、権力で抑えようとする。それに反対する一つの運動も、また行動も芽生えてくる。権力は抑えようとする。それがお互いに緊張の度合いを高めていったときに何が起こるか。これを私は非常に憂慮するんですね。  私のこういった考え方について、大臣、どうお思いになりますか。これは大臣の今までの人生の中での諸経験、それから大臣の哲学、そういったものに関係する部分だ、このように思いますが、特に法務の衝に当たる者にとって、ここいらの感覚は非常に大事な点であると思いますので、ひとつ、大臣のお考えを伺いたいと思います。 <0007>=陣内国務大臣= 今委員の御指摘のような考えも、傾聴すべきお話だと思うわけでございます。ただ、社会正義を確立していくためには、やはりそれなりの法秩序を確立して、そしてそれを維持していくような、そういう一方での抑止的なこともあわせ持つことによって、懸念されるようなものが払拭できるのではないかと考えております。 <0008>=日野委員= 私は、国家を統治する側の権力と、それから統治される側との、国民との間に信頼関係がなければならないと常々思っておりますので、その信頼関係が損なわれるということを何よりも恐れるわけです。  我々は日本の憲法というものを非常に、私自身も大事に考えますし、特に人権の部分について、日本の国民もこの部分は非常に大事に考えていると思う。私は、特にいわゆる通信傍受法、盗聴と言うとちょっと言葉がきついのかなと思いますが、私たちはこういうのを盗聴、盗聴とずっと言ってきた。一般的には盗聴なんですよね。通信傍受という言い方になると、なかなか一般の国民もぴんとこない。むしろ盗聴の方がぴんとくるということがあるのでしょう。私は、しようがないから通信傍受と言いますか。通信傍受というのは、実は憲法の二十一条の明文に反するんですわ。  では、公共の福祉を持ち出して、公共の福祉のためにという考え方もございましょう。しかし、公共の福祉によって人権の制限をする場合、幾つかの要件があるなんということをよく憲法学者はおっしゃいます。私は今そんな細かいことは、私も弁護士ですが、もう実務からずっと離れていまして忘れていますからね、余りそういうことは言いません。何分にもこの明文に反するという点について、どのようにお考えになりますか。大臣と、それから局長さんも、言いたいことがあったらどうぞおっしゃってください。 <0009>=陣内国務大臣= 憲法第二十一条第二項には通信の秘密を保障しており、これについては最大限尊重すべきものであることは言うまでもございません。  しかし、憲法が保障する各種の基本的人権は、それぞれに関する条文が制限の可能性を明示していると否とにかかわらず、憲法第十二条、第十三条の規定からしてその濫用が禁止され、公共の福祉の制限のもとに立つものであり、絶対無制限のものではないことは最高裁の判例においても明らかにされているところでございます。  したがって、通信の秘密の保障も、公共の福祉の要請に基づき、必要最小限の範囲でその制約が許され、通信の傍受も、犯罪捜査という公共の福祉の要請に基づき、必要最小限の範囲でこれを行うことは許されるものと考えております。  しかし、本法案に基づく通信傍受は、これを行う要件を厳格なものとするなど、必要やむを得ない範囲に限定されておりますので、御理解を賜りたいと思います。 <0010>=松尾政府委員= ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。憲法の保障する通信の秘密にかかわる事項でございますので、かなり長期間、法制審議会でも議論された中で、そういった憲法の問題にかかわるということで大変慎重な検討がなされたと承知しておりますし、法案を作成する過程におきましても、それを我々としても十分に考慮いたしまして、ぎりぎりのところで法案の内容を確定したということで、ぜひ御理解いただきたいと思います。 <0011>=日野委員= また、この通信傍受法の通信傍受、これは、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」こう十三条に書いてありますね。そしてそれから、思想、言論の自由、こういったものも憲法上の要請であります。これらとやはりぶつかり合っている。  そうすれば、最小限度の公共の福祉によるこれらの人権に対する侵害、人権を侵すという点については最小限度でなければならない。これは、急迫の場合とかいろいろ考えられる点はあるのですが、要するに最小限度のものでなければならない。そして、私もこの法案を読みまして、随分気を使っておられるなということはよくわかるのです。随分気を使っておられる。  ただ、やはりこれらの運用にわたってまで、憲法の条項というものを常に頭に入れながら、法文の上だけではなくて、運用の上でも憲法の基本的人権の尊重を考慮しなければならない。そういう通信傍受、私に言わせてもらえれば盗聴、それがこれらの基本的人権と本来矛盾する。人権と盗聴は矛盾する、こう根本的に考えるべきだと私は思う。いかがですか。どちらでも結構です。 <0012>=松尾政府委員= 電話傍受につきましては、先生御指摘のように、直接的には通信の秘密の憲法上の保障、あるいは、会話の傍受ということが自由な意見について阻害になるという観点からいいますと、思想、信条の自由、そういうことにもかかわる問題である、そういう意味では大変重要な事項であるということは御指摘のとおりだと思います。  したがいまして、そうした通信の秘密等にかかわる法案を作成する際に、その制約がミニマムなものであるということは当然の要請でございまして、その点も先生の御指摘のとおりでございます。また、法文上、そういうミニマムな制約を設けてある。しかし、それが運用する当事者によって濫用されるということになると、またその侵害は非常に大きなものがあるではないかという御指摘も、またそのとおりだと思います。  私どもといたしましても、法案の作成に当たりましては、この二番目の濫用をいかに防止するか、その中で、できる限りの制度的な担保措置を講じたい。そういうことで、法案として、憲法上の権利を制約する内容としてバランスのとれた、調和のとれたものにしなければならぬ。その点については強く意識した上で、この内容の確定に当たった次第でございます。よろしく御理解いただきたいと思います。 <0013>=日野委員= 私が通信傍受を盗聴と呼び、そして私は、通信の秘密を守るということは憲法の中でも最も大事な基本権の一つ、国民の権利の一つ、こう思っていますね、国家から通信の秘密を守り抜くという。しかし、私は、先ほどもお話ししたように、随分気を使っておられるということは認めるのですよ。だが、私としては不信感が絶対に抜けない。まず不信感を持ってこの法律を見る、こういう、私が長年培ってきた経験から私に植えつけられた不信感、これは決して抜けないというふうに思います。  私、実は公安事件というものを随分やってまいりました。警備公安事件と称するものですね。その中で、随分いろいろな警察とのトラブルがありました。  そこで、今度は警察のあり方について伺います。私は、この通信傍受ということを警察にやらせることは絶対できないんじゃないか、実はこう思っているんですよ。  警察は大体、公安警備警察と刑事警察、こう分かれているわけですね。日本の警察は、非常に強く公安警備の方に傾いていると私は思います。公安警備に行った連中は出世をする。そして、一生懸命、警察全部が出世コースに乗ろうとするんですかな、公安の業務に熱中をするわけですな。そして、何か刑事警察の方を公安の人たちが、泥棒警察という意味なんですかな、泥警と称しているんですな。私、いろいろ話をしても、公安警察と警備警察との関係というのはそういう関係になっているようですね。  そして、私は、こういう公安重視、警備重視の姿勢が一般刑事事件についての手抜きになっていやしないかなという、非常に強い危惧を持っています。皆さん、ずっとこのごろ起きた大事件をごらんになってください、刑事事件。未解決の事件というのがいっぱいある。非常に重大な事件で未解決、特に現金輸送車の襲撃だとか、それから誘拐なんかでも、まだこれは未解決でして、もうすぐ時効でございますなんというのが新聞紙面にも躍っているようであります。  私、ここで警備警察というのは一体何をやっているのかということを聞きたいですね。ひとつ教えてください。警備警察の業務というのは何ですか。 <0014>=金重政府委員= 先生、警備警察といいますか、警備公安警察と申しますか、その仕事についてのお尋ねでございますけれども、警察法の二条に定めております公共の安全と秩序の維持という責務を果たすために、暴力主義的破壊活動、集団不法事案等の取り締まり等を行っておるというのが仕事の内容でございます。  例えば、極端な国家主義的主張に基づく暴力主義的活動に関する警備犯罪の取り締まりだとか、極左的主張に基づく暴力主義的破壊活動に関する警備犯罪の取り締まりだとか、テロリズムに係る組織犯罪その他これに類する特殊な組織犯罪に関する警備犯罪の取り締まり、外国人に関する警備犯罪の取り締まり、外国人または活動の本拠が外国にある日本人によるテロリズムに関する警備犯罪の取り締まりなどを行いますとともに、必要な情報収集、分析等を行っておるということでございます。 <0015>=日野委員= 法律的に言うと、そうなりますね。そして、私は、それは必要なことではないなどと決して言いませんからね。非常に立派な、大事な仕事をやっておられるんです。その点はどうぞ誇りを持ってやっていただいていい。  ただ、その手段、方法がかなり行き過ぎている。そしてまた、その手段、方法、こうこうこうやっていますよということを、ちゃんと誇りを持って、我々はこういう手段、方法を使っておりますということを言えばいいんですよね。ところが、隠して隠してそれを明らかにしないものだから、いろいろな憶測が出てくる。  また、特に左翼に対してはかなり厳しくこれをやられたようですな。政治団体、労働組合、それからもちろん新左翼なんかも入っておりますが、そういったところに対してはかなり強い対処をされた。それに対する新左翼の暴走というのは、私、今ここで感想を言わせていただく。これについて、答えてもらおうとかなんとか思いません。余りにも警察が厳しくやり過ぎたために、その反動で新左翼と言われる若者たちも跳びはねた行動をとったという側面は絶対に否定はできないんだろう、私はこう思っておりますが、これについてはお答えは要りません。  ところで、そういう業務をなさるについて、いろいろな手段、方法というものはあるわけですね。情報収集をやられる。特に情報収集のときに、視察を行う、内偵を行う、聞き込みを行う、張り込みを行う、尾行をする。ここいらまでは通常の警察活動として、警察が好きな人は実は余りおりませんから、まあ不愉快だがしようがない、こう思っておるんですが、工作を行う、面接を行う。  面接なんかも、いろいろな面接があるでしょうから、面接はいいとして、それから投入という方法を行う。これは、その団体の中にスパイを送り込む、それから虚偽の情報などを流して誤った行動をその団体にとらせるというような手法、こういうのもやっておられますね。それから、さあここが大事なところですが、盗聴をする。これは、人の話を聞き耳を立てて聞くということではなくて、盗聴器を用いて盗聴をする。このような手段、方法を使っておられるわけですね。いかがでしょう。 <0016>=金重政府委員= 警察の情報収集活動でございますけれども、警察は、警察法に定められました責務を果たすために、国民の皆様から協力を得て、必要な情報を収集しておるということでございます。  もとより、その手段、方法につきましては、法律の範囲内で必要かつ妥当な限度内において行っていると承知いたしております。 <0017>=日野委員= では、盗聴はやっておりますか。やっておりますね。 <0018>=金重政府委員= 今申し上げましたように、私ども、警察活動については適法、妥当に行っておりますので、違法な盗聴行為というようなことは行っておりません。 <0019>=日野委員= これはちょっと古い本で、私も最近不勉強なものですから古い本をちょっと引かせていただきますが、警備警察研究会というのがありますね。そこでつくった本で、「警備警察全書」というのがありました。御承知ですか。 <0020>=金重政府委員= 申しわけございません。ちょっと、突然のお尋ねですので、承知いたしておりません。申しわけございません。 <0021>=日野委員= いや、そういう本があるんです。そこで、いろいろなことが書いてあって非常におもしろい本なんですが、こういったいろいろな方法があるということが書いてあって、特に、秘聴器と書いてある、秘密に聞く器械ですな。盗聴器とは言わない、秘聴器。その秘聴器を使用する場合は特に注意が必要である、こう書いてあるんですな。  この間、保坂委員が、盗聴器についての警察とメーカーとの取引についていろいろ述べておりました。あれは、やっておりませんとあなたは言うし、どこに行ってもそれは判で押したようにやっておりませんと言うけれども、これはもう公然の秘密なんで、だれもあなたの言うことを信じていないんですよ。盗聴をやっているということは、もうこれは事実なんだ。  共産党の、どなたでしたかな、緒方国際部長さんのところを盗聴された。それは、そっちこっちで盗聴器が見つかって、盗聴された人がその盗聴器を外して持っていったら、窃盗だなんといって、今度は検察庁がこれを起訴しまして、そして裁判の結果どうなったかというと、これは違法性阻却事由があるというので無罪になったなんてぶざまなこともあったんですよ。  やはりこういうのは隠れてやることです。それで、さっきも挙げましたね、「警備警察全書」。これには、情報活動が行われているということが判明したときは、既にその警備情報活動は失敗である。つまり、盗聴器が見つかったなんということじゃなくて、ははあ、だれかにおれはつけられているぞとか、だれかに情報収集の対象にされているぞということを対象になった人がわかったときは、その警備情報活動は失敗だ、こう書いているんですな。まあ、それは警備の側からしてみればそうでしょう。  それから、警察大学校、ここでは講習が行われて、住居侵入の仕方、窃盗の仕方、信書開封の仕方、ここには盗聴の仕方の講習があったかどうか、ちょっと私ここのところ今よくあれですが、私は、恐らくしているんだろう、こういうふうに思います。  それで、こうやって、情報収集をいろいろな手段でやるわけだ。私は、盗聴も入っている、これは断言します。今までの情況証拠、それから直接的な証拠、いろいろそろっていますから、これは盗聴をやっているわけですが、まあ、いいや。  こうやって集めた情報、これはどのように整理されるんですか。どこで、だれが、どのように整理するのか。 <0022>=林(則)政府委員= 警察では、犯罪の予防、鎮圧、捜査、交通の取り締まり等の公共の安全と秩序の維持という責務を果たすため、必要な限度で個人に関する情報等も収集し管理をしておるところであります。  そういったものにつきましては、例えば、例を挙げますと、個人情報ファイルとしては、各種警察事務を適正に遂行するなどのために、二輪車防犯登録ファイルとか、家出人ファイルとか、あるいは風俗営業管理者ファイル、あるいは運転者管理者ファイル、そういった形で現在保有をしております。 <0023>=日野委員= いろいろな団体についても個人についても、そういうファイルはあるわけですな。これは当然です。私も、これをしてはいかぬなんて言いません。これは必要です。そして、すぐにでも引き出せるように電子化もしておいて、それは結構だと思うんです。  警備資料整理規定というのがありますな、警備資料整理規定。これは、警備関係の情報を整理しているわけですね。そして、それにはどんな内容の記載がありますか。 <0024>=金重政府委員= 警備資料整理規定なるものがあるかどうかについて、ちょっと今私、承知いたしておらないわけでありますけれども、一般に警察は、先ほど刑事局長も御答弁させていただきましたように、犯罪の予防及び捜査を行うという責務を有しておりますから、その責務を遂行するという立場から、いついかなる場合にも有効、適切な対策を確立する、そのための各種資料を整備しておるということはございます。  したがいまして、私ども警備警察の分野におきましても、その責務を遂行するための資料というのは、収集し、整理、保管しておるということでございます。 <0025>=日野委員= 私、責めているんじゃないんですからね。あくまでも責めているんじゃない。そういう資料をおつくりになることは妥当なことだというふうに考えながらお話ししているんですから、どうぞ、そこは誤解なさらないで。そんなに警戒なさらないで結構でございますよ。  そういうことで、まあいいや。特に、交通事故なんかとは違って、警備資料整理規定、今名称が変わったかどうか知りませんが、こういうのがありました。そこで集まった資料をファイルにつくって、それを保存している。これは団体それから、個人もとさっき刑事局長さんはおっしゃった、個人も含むわけです。その個人の範囲が実は問題なんだね、個人の範囲が。  もちろん、団体の構成員について、特に政党であるとか、それから労働組合であるとか、それからいろいろな文化団体まで入っているんですな。それから、非常にプライバシーにわたること、プライベートな事項にわたること、これについても記載がある、これは間違いないですね。もう警備局長さんなんかは警備畑が長いんだから、御承知でしょう。 <0026>=金重政府委員= 先ほどもお答えいたしましたように、警察の目的を遂行するために、それに必要な資料を妥当、適法な方法で収集しておるということでございますけれども、どういう形でそれを整理、保管しておるのかというような具体的な内容につきましては、警察の犯罪捜査活動に支障を及ぼすおそれがございますので、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。 <0027>=日野委員= このファイルについては、これはよく秘密が保たれている。まあ、これが秘密が保たれないで公にされたら、これはとんでもない騒ぎになるというふうなことがいろいろ書いてあるわけでありまして、絶対に出てこないんですな。絶対に出てこない。裁判所が命令しても出てこない。  私がやった事件で、宮城県のやぐら荘事件というのがありました。これは付審判事件です。そして、その付審判事件で検察官の役割をする弁護士が、ある人に対する個人別整理簿、この者に関するファイルを提出しろ、こう警察に命じたことがあります。そのときの宮城県警本部長からの回答は、「御命令の件は、職務上の秘密に関しますので、貴意にそいかねます。御了承願います。」  大体、付審判事件で、被告人は警察官ですよ。付審判事件で、こうやってそのファイルを出しなさいと。その存在はあると言外に認めて、「御命令の件は、職務上の秘密に関しますので、貴意にそいかねます。」とは一体何事かと私は実はその当時思いましたね。今でもその感想は変わりません。  絶対に出ない。また、出たら大変なことになったと思うのですな。こんなことまで書いてあるのか、そしてその対象はこんなにも広いのかと。政党だって政治家個人だって、自民党の諸君もぼやぼやしていると、皆さんのファイルだって恐らくあるのですよ、私のもあるだろうし。こんなものを放置していていいわけはないのですがね。  私が言いたいのは、事ほどさように日本の警備公安警察というのは非常に熱心に情報を集められて、それを整理して持っておられる。情報の収集には非常に熱心だ。私は、この法律ができないならば、どのような理由があろうとも、盗聴というのは公の機関がやってはいけない、こう思っています。犯罪だと思っています。  しかし、今までそれをやってこられた。やらない、やらないと言ったってだめですよ。私はちゃんと、これはやっていた、やっているということは十分に知っていますから、予断と偏見であろうと言われようとも、私は、やっていると断言します。そういう目で、通信傍受と言われても、これは盗聴でしょうよ、あなた、こういうふうに言わざるを得ないわけですね。  私が今お話ししたことについて、大臣、これは質問通告していなかったから聞かないでおこうと思いますが、大臣もひとつ頭の中に入れておいていただきたい、こんなふうに思います。  それでは、通信傍受法の内容に入ってまいります。  私は、常に今申し上げたような前提で物を見るということですから、そして、このような物の見方をして国会で論戦をするということも一方で非常に大事なことだと思いますので、そういう前提で私は聞かせていただきます。  ちょっときのうも短時間のうちに準備をしましたので、通告しなかった質問も出るかもしれません。しかし、明敏な局長さんのことですから、十分にお答えいただけるものというふうに思います。  傍受の令状をとる要件がございますね。私は、この令状そのものは新しい捜査の形での令状だと思うのですね。今までの裁判所の令状、そして憲法の定めている令状主義、それから刑事訴訟法が定めている令状とは大分趣を異にするものだと私は思います。これは全く新しい一つの捜査の形態なのであって、これについては、憲法の二十一条と新しい形態ということを考えてみると、私はこれは許されないのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょう。 <0028>=松尾政府委員= 先生お尋ねのように、今回の電話傍受の令状でございます。  これは、今までの刑事訴訟法等で規定されております捜索あるいは差し押さえあるいは逮捕令状等ございますが、新しい分野の令状を設けるという意味で新しい制度ということは御指摘のとおりでございますが、憲法との適合性の問題、これまでの答弁でも申し上げましたが、慎重に、憲法上の権利の保障、保護ということも十分考えまして、調和のとれた制度として法案に盛り込んだつもりでございます。したがいまして、憲法違反の問題は生じないというふうに考えております。 <0029>=日野委員= これまでも令状に基づく通信傍受ということはありました。しかし、これは検証なんです。あくまでも検証なんです。既に起きた犯罪についての検証であります。今度、全く新たに、既に起きた犯罪、それから、これから行われるであろう犯罪を予備的に通信傍受をしていくということでありまして、今までとは全く違う形態である。これは憲法が予定していない、予想していない事態なんであって、そうすると、最小限にするからとかどうとか、それから、ある場合は緊急性などということも論じられる場合はあるのでしょう。しかし、これは何といっても憲法二十一条の明文に反するんだな。  私は、過去に起きた犯罪はまあ、いや、それだって私は通信傍受を肯定するものではありませんが、これから起きようとしている犯罪、いかにそれが蓋然性が高かろうとも、そこについてまでこのような令状をとって捜査することが可能なのかどうかということについては非常に強い疑問を呈さざるを得ないのです。この点についてはどのようにお答えになるのでしょう。今までも何度もお答えになっているのですが。  つまり、それが必要だからだというんじゃだめなんですな、これは。何しろ、非常に強い憲法上の要請である通信の秘密を守るということは、これは当然、警察庁、法務省は憲法に従わなければならない。いかがでしょうかね、ここいらは。 <0030>=松尾政府委員= 一点目の憲法との適合性の問題につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げました。  憲法には、基本的人権の保障等を含めて、さまざまな権利保障がなされているわけでございますが、公共の福祉等の制約もあり得るわけでございまして、無制限のものではないということもまた、これまでの判例の集積あるいは憲法理論の集積等で明らかなところだろうと思います。  それから二点目の、これから行われる犯罪ということで委員のお尋ねがございます。  これにつきましても、傍受令状を請求する際の、この法案でいきますと第三条にさまざまな要件が規定されておるわけでございまして、単純に将来の犯罪を傍受するということにはなっておりません。いろいろな限定を加えまして電話傍受の令状を請求するということになっておりますので、そういった点からしましても、憲法上の問題は生じないというふうに考えております。 <0031>=日野委員= 今おっしゃるとおり、第三条には「別表に掲げる罪が犯されたと疑うに足りる十分な理由がある場合において、当該犯罪が数人の共謀」云々、こう書いてありますね。それで、次の号には「別表に掲げる罪が犯され、かつ、引き続き次に掲げる罪が犯されると疑うに足りる十分な理由がある場合」、そしてあとは「数人」と書いてあるわけですね。そして、イの項には「当該犯罪と同様の態様で犯されるこれと同一又は同種の別表に掲げる罪」、「当該犯罪の実行を含む一連の犯行の計画に基づいて犯される別表に掲げる罪」。それから、第三号もございます。「禁錮(こ)以上の刑が定められている罪が別表に掲げる罪の実行に必要な準備のために犯され、かつ、引き続き当該別表に掲げる罪が犯されると疑うに足りる十分な理由がある場合において、」云々、こうあるわけですな。これは将来の犯罪でしょう、二号、三号は、将来の犯罪。  私は、刑事犯罪というのは、やはり行為が行われたときにそれに対する対処を行うべきことが刑罰法令に定められているのであって、将来起きるかもしれないという蓋然性、それがいかに高度なものであろうと、これについて対処すること、これは刑罰の本義にもとる、私はこう思います、それについて事前に、もう既に捜査を行うということは。刑事訴訟法で何かちょこっと一条つけ加えているようですが、そんなことで私は済む問題ではない、こう思っているんですよ。今、これによって日本の捜査のあり方というものが大きく変更するんだ、私はこう思う。そう思いませんか。局長さん、どうですか。 <0032>=松尾政府委員= まず、お答えの冒頭で申し上げておきたいことがございますが、将来行われる犯罪ということを委員が表現されております。これだけの表現ですと、それを聞いております国民にとって、何だかわからないけれども、将来起こるかもしれないという犯罪も想定して非常に幅広く電話傍受がなされるのではないかという誤解が生じることになろうかと思いますが、この法案が考えておりますことは、そうしたこととは全く別意の、質的に違ったことでございます。  それをちょっと例を挙げながら今申し上げたいと思いますが、ただいま先生のお尋ねありますこの法案第三条一項の二号、三号には、二号を見ますと、「別表に掲げる罪が犯され、」これは現実に犯罪があるということであります。「かつ、引き続き次に掲げる罪が犯されると疑うに足りる十分な理由がある場合」ということを要件として掲げているわけでございます。次のところの、二号にはイとロとありまして、「当該犯罪と同様の態様で犯されるこれと同一又は同種の別表に掲げる罪」というようなことがございます。  まず、この点でございますが、例を挙げますと、かなりの量の例えば覚せい剤の密輸事犯が現にありました、これは警察が捜査し、あるいはその他麻薬取締事務所がかかわることもございますが、そういった捜査機関がその犯罪を探知してこれの捜査を開始しております。大量の覚せい剤でございますと、それが死蔵されるということはないのでありまして、当然アンダーグラウンドの市場に出る。つまり、覚せい剤の所持、譲渡あるいは隠匿ということが犯罪として犯されるということは社会的には当然考えられますし、捜査機関としても、そういった犯罪が継続して行われるということについては当然警戒を持ち、それをどう防圧するか、どう抑止するかということも含めて検討、捜査の対象とすることになります。  そういったことになりますと、大量の覚せい剤が密輸入されました、その後のいろいろな想定される行為が、ここに書いております「引き続き次に掲げる罪が犯されると疑うに足りる」という状況でございます。しかも、それは「十分な理由がある」ということでございまして、これも、従来の逮捕状請求ですと「相当な理由」ということでございましたが、これを「十分な」ということでかなり厳格にさらに絞りをかけていくということでございます。  これをもう少し平たく言いますと、密輸入とその後の頒布行為あるいは売買行為というのは、社会的に見れば一連の大量の覚せい剤の密輸、それに伴う販売行為ということで、社会的には一連の行為というふうに見得るのだろうと思います。  つまり、この第三条二号に掲げておりますのは、そういった一連の犯罪行為が現に想定されるということでありますと、確かに先生のおっしゃるように、密輸入後の行為はこれから行われる行為ということでございますが、電話傍受の対象として、それはこれから行われる行為であるから対象にならないというのはいかにも問題があろうかと思います。つまり、憲法上の通信の秘密に対する保障等を考えましても、こういったところの電話傍受を行うということは、やはり全体的な調和の中では許容される捜査手法ということに御理解がいただけるのではないかと思っております。  それから、次に先生の御指摘の、第三条の一項三号でございます。  これは、法文の表現といたしましては、「禁錮(こ)以上の刑が定められている罪が別表に掲げる罪の実行に必要な準備のために犯され、かつ、引き続き当該別表に掲げる罪が犯されると疑うに足りる十分な理由がある場合」だというふうな規定の仕方をしております。  これはどういう問題かといいますと、例えば蛇頭のケースを今度引かせていただきたいと思います。  外国から多数人の集団密航をさせよう、我が国で不法に就労させ、あるいは売春等を行わせることも現実にはあるわけでございますが、そういった計画のもとに、その実行の準備のために、まず多数のパスポートの偽造が行われるというケースもございます。  このケースを考えてみますと、パスポートの偽造ということは、当然外国のパスポートでございますから我が国の公文書ではございませんので、これは私文書の類型の話で、刑法的には有印私文書偽造罪の成立があるということになります。つまり、ここにあります「禁錮(こ)以上の刑が定められている罪が別表に掲げる罪」、つまり蛇頭の集団密航罪の実行に必要な準備のために犯される、この場合でいいますとパスポートの偽造がそれに当たるわけでございます。引き続きその集団密航事案が実行に移されるという「疑うに足りる十分な理由がある場合」でございますので、捜査の実情等を考え、また他方で、確かに憲法上の保障とされています通信の秘密の保障ということとの兼ね合いを考えましても、かかるケースについては、やはり電話傍受は許容されてしかるべきである。それをまた、こういうふうに規定することが全体の調和を乱し、あるいは憲法違反になるものというふうな理解には到底ならないものと考えている次第でございます。 <0033>=日野委員= 局長さん、私に、将来の犯罪だ、将来の犯罪だ、こういうことをおっしゃったけれども、今の局長さんの答弁は、極端な犯罪を言っておられるんですね、あなたは。それは、覚せい剤、蛇頭を挙げればわかりやすい。そういう膨大な、大きな組織でそういった犯罪を犯していく、これはもう目につく。  しかし、私、ここで注意しなくちゃいかぬのは、「当該犯罪が数人の共謀によるものであると疑うに足りる状況があるとき。」これはもう組織犯罪だと。「数人の」というのは、法律で言う概念では二人以上でしょう。 <0034>=松尾政府委員= 数人とおっしゃるのは、二人以上でございます。 <0035>=日野委員= では、一応ここで御休憩いただきます。 <0036>=杉浦委員長= この際、暫時休憩いたします。     午前十時四十一分休憩      ――――◇―――――     午前十一時十分開議 <0037>=杉浦委員長= 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日野市朗君。 <0038>=日野委員= 継続させていただきます。  さっきは、数人というのは二人以上だというところまででしたね。  ところで、蛇頭だのそれから麻薬だの、そういった薬物の販売組織というと、二人なんということはないわけですね。ですから、私はここで何が言いたいかといいますと、細かな、二人なんといった数字までひっかけられる、我々の言葉で言うとひっかけられる可能性があるんだということをひとつ注意を喚起しなくちゃいかぬということが一つであります。  それからもう一つ、別表に掲げる罪ですが、これはかなり広範ですよね。法令名だけでも二十法令、その中には刑法は一つの法令として数えるわけですが、刑法だけでも随分かなりの罪名が並ぶわけです。それを見ますと、こんなものまでと思うようなものも随分ありますよ。特に放火罪なんというのは内気な人が起こす犯罪だなどと言われるわけですが、こんなものまで入れる必要があるのかねと思うようなのもありますね。こういうのを見ますと、これだけ多くの罪名がずらっと並ぶ。そうすると、盗聴の要件を備える範囲というのは非常に広がるのではないか。ここのところを私は非常に心配をいたします。  金重さんにもちょっと御意見を伺うことになりますから、後でいろいろと通信傍受の具体的なやり方について伺いますけれども、これだけ範囲が広がりますと、いろいろな通信傍受による情報というのはどんどん入ってきますよね。そうやって入ってきた情報というのは、通信傍受で録音などにとったもののほかに、それを傍受をしていた人の記憶に残ることなども出てきます。そういったものは、これは警備公安的な観点からいいますと、やはり報告されることになるのでしょうね。これは非常に貴重な情報がそこに詰まっていると思うのですが、当然、そこで傍受をした人の報告を求めるなんというのは非常に有効な情報収集の一つの方法だと思うのですが、ちょっとこれは通告していなくて悪いのだけれども、金重さん、どう思いますか。 <0039>=金重政府委員= 通信傍受をやるには、厳格な要件のもとで必要性があって行われるものだというふうに考えておりますので、その目的に沿って行われた通信傍受の内容については、その目的にのみ厳格に使用されるものであろうというふうに考えております。 <0040>=日野委員= 恐らく刑事裁判なんかで、こういう通信傍受のときに、こういう内容の通信を傍受しておりましたなんということを、これは裁判上では証拠には当然ならない。しかし、警備公安情報としては非常に貴重なものになるだろうというふうに思いますので、これは必ず報告を求める、そして報告書が出て、さっきも言ったファイルの中にこれは登載されていくだろう、私はこう信じております。この疑いは絶対に消えない。  それで私は、通信傍受法の第三条一項に掲げているこれらの要件ですが、これらは広がる可能性が非常に強い。そして、やはりこれは、これから起こり得る、起こる蓋然性の高い犯罪に対する傍受だろう、こう思いますので、私は、通信の秘密を守るという憲法上の要請、これにはどう手直ししてもここのところは触れてくる、こう思います。これ以上伺いましても、局長は同じ答弁を恐らくなさることになると思いますから、私の判断を申し上げておきたい、こういうふうに思います。  あとは、この法律についていろいろ聞きたい点がございます。しかし、二時間という時間はもう実に短いものでして、あと四十五分程度しかありませんから、別の論点に移らせていただきます。  この法律の第三十条、付審判の請求という規定がございますね。これの要件について伺います。「捜査又は調査の権限を有する公務員」、こうなっていますね。その公務員というのは、結局は通信傍受の業務に当たる公務員なのか。それのみに限らず、令状によらない通信傍受、盗聴ですね、それを行った公務員も含むものなのか。いかがですか。 <0041>=松尾政府委員= ただいまの御質問ですが、第三十条はその主体を「捜査又は調査の権限を有する公務員」ということで、それには限定をつけておりません。例えば電話傍受の令状に基づいて傍受を担当することになるとか限定が入りますと、さらにそういう限られた範囲ということになると思いますが、ここはそういう限定が付してございませんので、捜査または調査の権限を有する公務員一般ということになろうかと思います。 <0042>=日野委員= そうすると、私はさっきから、警備公安警察は盗聴していると思う、こう言っておりましたが、いわゆる私が指摘した令状によらない、法に基づかない盗聴行為、ここは盗聴と言いましょうね。その盗聴行為を行った公務員についてもこの三十条の適用がある。間違いありませんね。 <0043>=松尾政府委員= 盗聴というと立案者としては非常に抵抗感が逆にあることでございますが、この法案に規定する手続によらないで違法に電話傍受等をいたしました場合には、第三十条が動けるということでございます。 <0044>=日野委員= では今度は、捜査の令状を持ってやった場合、それについては第十三条に「該当性判断のための傍受」、こういう規定がありますが、これはこの間から木島委員と局長さんとの間でいろいろやりとりがありました。それとできるだけ重複しないように伺いますが、大体、通信傍受をやるのは恐らく警察官になるだろうと思います。警察官になりますね。それで、十三条によりますと、「傍受の実施をしている間に行われた通信であって、傍受令状に記載された傍受すべき通信に該当するかどうか明らかでないものについては、傍受すべき通信に該当するかどうか判断するため」に、必要最小限度の範囲において当該通信の傍受をすることができる、こうありますね。  ところで、実際に通信傍受の行い方について聞きます。これは二十四時間、一番長ければ三十日間傍受できるわけですね。これをやるのは同一人ということはあり得ない。そうですね。かわるがわるやることになるわけです。そして、そこには立会人がつく、こういうことになります。立会人も御苦労なことです。  そこで、私ちょっと教えていただきたいのですが、これは恐らくテープに録音するという形が一番一般的なんでしょう。ここで「必要な最小限度の範囲に限り、」こうなっていますが、実際はどうなんですか。テープをずっと回しながら、電話が来た、そうしたらそれを録音する、それが終わったらテープを切るという形ですか。それとも、ずっとテープは回しっ放しになるのですか。 <0045>=松尾政府委員= ただいまの御質問の点は、大変重要なことであると同時に、若干誤解が広がっているのではないかと私自身も危惧するところがありますので、少し申し上げます。  例えば、我々としても非常に慎重に考えた点でございますが、捜索・差し押さえ令状がありまして、ある捜索箇所に行きます。文書が多数ございます。その文書の中で何を押さえるべきかということは令状に明記されているわけでございまして、その令状に明記されている文書に該当するかどうかについては、必要最小限度でいろいろな文書をチェックする必要がございます。その中で該当するものを押収してくるということになりますので、その際に押収物以外の文書も必要最小限の範囲ではやはりチェックしないと、えり分けができないということになります。つまり、現在あります捜索・差し押さえ令状でも同じ問題が実は内在しているわけでございます。  今回は電話傍受でございます。電話傍受で、いろいろな会話がなされるわけでございますが、その中で何が傍受対象として令状に規定されているものに当たるのか、これをどうえり分けるかという問題でございます。  まず、テープのことから申し上げますと、テープは終始回しておるわけではございません。必要な都度テープが回るということで、まず御理解いただきたいと思います。  では、どういう場合に回すのかということでございますが、対象の電話機につきまして見ておりますと、通話がかかってくるということは、例えばランプが点滅するとかあるいは音が出る、いろいろなことでわかるわけでございます。そうしますと、それが傍受対象の内容なのかどうかは、まず聞かないことにはわからないわけでございますので、これはスポットモニタリングという、外国等ではこういう表現ということでございますが、まず聞いてみるということでございます。  聞いて、例えば覚せい剤の、これこれの密売事犯ということでございますと、覚せい剤のそういう内容が入っているかどうかということを、これは確かにそこまでの判断をするわけでございますから、多少の時間的な継続があってそれを聞くことにはなります。これは関係ないということになりますと切るわけでございます。その段階でテープはとまります。それで、電話のところで捜査員は待機しているわけでございますが、また通話が来ます、また聞きます。今度は、例えば覚せい剤を一パケ売ってくれやというような話になりますと、これは対象の通話になりますので、これはその内容である限りはずっと傍受をしておりまして、それが終わった段階で切ります。こんなことの繰り返しということになります。  その際に、常時立ち会いということでございますから、立会人はそういう行為を見ているということでございます。  それで、これは制度的には、これが大事な点でございますが、そうした聞いたもの、聞いた通話はすべて原記録といいますか、一本のテープには全部入ります。これは、いずれは、テープが終わりますとそのテープは封印されまして、裁判官が保管するということになるわけでございまして、何を捜査官が聞いたかということは、全部原テープの中には入っておるわけでございます。  そのような実際の流れになっていくということでございます。 <0046>=日野委員= ここはほかの委員の方々も関心のおありのところでしょうから、私は、私が特にこれはどうかなと思う点についてだけ、ここで聞きます。  十三条の第二項、これは外国語による通信ですが、これは非常に強いヒントを与えてくれていると思う。これは、外国語による通信または暗号その他内容を即時に復元できない方法を用いた通信とあります。  こういう電話がかかってきたらどうするのでしょうね。「もしもし、きょうはいい天気ですね。奥さんお元気。マリコさんはお元気」「いや、マリコがどうもこのごろ熱が出てぐずぐずしていてね。まあ、そのうちによくなるだろうから、そうしたらまた遊びにやりますよ」こういう通信。マリコというのは、局長御存じかな、日米開戦の前にマリコの健康を語ることによって秘密の通信を行ったというちょっと有名な話がありますが、それを使わせてもらった。  こういうのは、さて、現場で実際に傍受している司法警察員または検察官、これらの人々はどう判断するんでしょうか。これは令状に記載されている事実と関係あると思うかないと思うか、難しいところですな。そういった組織の連中やなんかは傍受されているというのはよくわかっていますから、まともなやりとりなんかはむしろしないだろうと思う。こういうとき、そこの部分はどうなるのですか。ちょっと解説をしてください。 <0047>=松尾政府委員= 大変微妙な、しかし、なおかつ捜査の現場では大変難しい問題であり、かつ重要な問題でございます。  お尋ねのように、暗号あるいは外国語ということになりますと、傍受をしている捜査官の、いわば意味自体が理解不能な場合があるわけでございますから、その場合がこの十三条二項にあります「外国語による通信又は暗号その他その内容を即時に復元することができない方法を用いた通信」ということになりますので、これはある程度、最長の場合にはその全部をとにかく録音して、直ちにそれを言語として理解するということになろうかと思います。  ただ、少し微妙な点は、符牒の場合でございます。今言われましたように「マリコは元気か」ということが現実にはどこどこの家については監視はないかという符牒だったといたしましても、聞いている限りは健康を聞いているだけということでございますが、そういう会話は、一般的には傍受対象からは除外されるということでございます。  ただ、それでありますと、先生がおっしゃるように、薬物等の継続、反復して違法行為を行っている集団が符牒を用いた場合は全部だめじゃないかというふうなことになりかねないわけでございますが、例外的には、捜査の過程でその符牒が解明され、つまり、それが即時にそういう意味が翻訳されるというような状況の中で令状が請求され、それについては傍受対象の会話として裁判官も認めるというような状況もまたあり得るわけでございまして、そういった場合には、これを形式的には時候のあいさつだから即除外するということにはならない。それは極めて例外的な場合だと思いますが、そういった捜査の実情も考えますと、今申し上げたような実態ということになろうかと思います。 <0048>=日野委員= 傍受は、テープはその都度その都度作動するということで伺っておきましょう、あくまでも。真っ正直にここは伺っておきたいと思います。またそうでなければならないと思う。ずっと回しっ放しにしておいて、そして、その中に入ってきたいろいろな情報をとるということは、これは大変なことです。  そこで、あらわれた情報、これは当然、警備警察の情報として収集の対象になるんでしょうな。いかがでしょうね。 <0049>=松尾政府委員= 先ほどから警備警察、刑事警察、こういう分類でお尋ねでございますが、概念は必ずしも明確に区分けされているわけではございません。  今回の令状による電話傍受というのは、目的ははっきり規定しておりますし、その内容、対象、期間等が明確になっておりますので、それをほかの目的に流用するというようなことは傍受の対象とされていないといいますか、ぜひそういうような理解でいただきたいと思います。 <0050>=日野委員= ちょっと後段、講学事例みたいになって恐縮ですが、電話でむつ言を交わす、それから非常に世人の関心を引くような話題について話がある。そうすると、これはテープには載らなくても、それを傍受するということは可能なわけですね。そういう行為は先ほどの付審判請求の対象になりますか。 <0051>=松尾政府委員= まず、誤解が生ずるといけませんので確認をしておきますが、傍受した通話はすべて裁判所に将来保管されることになる、原記録という表現になっておりますが、そこには全部録音されているということになりますので、その傍受自体が令状を請求した際の目的以外のために、つまり、それは単なる名目でありまして、全くほかの目的に使われるということになりますと、まさに先ほどお尋ねになりました三十一条ですか、その問題にはなってくるわけでございます。 <0052>=日野委員= まだまだこの法律で聞きたいことが山のくらいありますが、時間が時間ですから、今度は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案に移ります。  まずその前に、一つ大臣にお伺いしたいことがあります。  さっきの付審判請求については、特別公務員暴行陵虐罪、特別公務員の職権濫用罪と比較して、ちょっと罪が軽過ぎやしませんか。付審判請求の根拠条文である電気通信事業法と有線電気通信法、これの規定の刑が軽過ぎやしないか。もっとこれは重いものにする必要があると私は思います。いかがでしょうか。 <0053>=陣内国務大臣= 通信の秘密の侵害に関する罰則のあり方につきましては、法制審議会答申におきましても、今後、現行法制にも留意しつつ検討されたいという附帯要望事項が付されております。  法務省といたしましては、公務員あるいは捜査機関による通信の秘密の侵害に関する加重罰則規定につきましても、通信の傍受の一般的禁止、処罰規定を設けている電気通信事業法、有線電気通信法との関係を含めまして、関係省庁と協議しつつ、今後とも検討を進めてまいりたいと考えております。 <0054>=日野委員= では、先ほど読み上げた法律に移ります。  私は、略称ではなくて法案の名称を正確に読みました。なぜかというと、本当はこういうような一本の法律で規制すべきではない二つの種類のものが入っているのではないか、こう私は思うのですよ。一つは組織的な犯罪の処罰、それから犯罪収益の規制、こういうことなんでありますね。  そこで、前文を見ていただきたい。第一条、そこには微妙な日本語の言い回しが使われているのですね。「この法律は、組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害し、及び犯罪による収益がこの種の犯罪を助長するとともに、」云々と書いてありまして、後の方に行きますと、「犯罪による収益の隠匿及び収受並びにこれを用いた法人等の事業経営の支配を目的とする行為を処罰するとともに、」で切れて、「犯罪による収益に係る没収及び追徴の特例並びに疑わしい取引の届出等について定めることを目的とする。」こう書いてあるわけですね。  ところで、今審議している法案は組織犯罪対策三法などと呼ばれて、組織犯罪を禁圧するために、こういうふうに出ております。ところが、これを読みますと、後にずっと並んで出てくる各条もそうなんだが、組織的な犯罪とともに、組織的によらなくても犯罪による収益にかかわることが出てくるわけですね。「犯罪による収益に係る没収及び追徴」、こういったものは組織犯罪とは関係なく、個人であっても、こういった収益に係る没収等は単独犯として扱われていく、組織とは関係ない、こういうふうに読んでよろしいわけですね。 <0055>=陣内国務大臣= 大事なところでございますので、詳しく答弁させていただきたいと思います。  本法律案に定める犯罪収益規制は、組織的な犯罪においては不正の利益を得ることを目的として種々の犯罪行為が行われることに着目し、犯罪行為により得られた犯罪収益の保持、運用を規制して、経済的な側面から組織的な犯罪に適切に対処しようとするものであります。  これによって対処しようとするのは、暴力団その他の犯罪組織により、あるいはその周辺で不正な利益獲得のために行われる犯罪でありますが、このような犯罪は実質的には暴力団等の組織との関連で行われるわけですが、実行形態としては単独犯であるものも少なくないなど、さまざまな形態のものがあり得るところであり、必ずしも犯罪行為自体が組織的に行われるとは限られません、今委員の御指摘の点がそうでございますが。  ところが、これにより得られた犯罪収益は、犯罪組織の維持拡大に利用されたり、将来の犯罪活動に再投資されたり、事業活動に投資されて、合法的な経済活動に悪影響を与えるものでありますので、その保持、運用を規制する必要があると考えております。そこで、犯罪収益規制におきましては、前提犯罪が実行された具体的な態様によって犯罪収益か否かを区別することは適当ではありませんので、その前提犯罪が組織的な形態で行われることを要件としていないのであります。  既に犯罪収益規制の法整備を行っている他の主要国におきましても、同様の観点から、前提犯罪が組織的な形態で行われた場合に限定している例はございません。 <0056>=日野委員= 結局は限定なしだと。犯罪によって得られた収益は、個人が犯した犯罪であって、そこから利益を収受しても、これは本法によって禁圧するという趣旨でございますね。局長、いかがですか、大臣の御答弁について。 <0057>=松尾政府委員= ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。  ただ、犯罪収益規制によりまして対処しようといたしますのは、暴力団その他の組織犯罪によりまして、あるいはその周辺で不正な利益獲得のために行われる犯罪でございます。  その犯罪行為自体は、大臣も今いろいろな角度から申し上げましたが、実質的には暴力団等の組織との関連で行われますが、実行の形態といたしましては、単独犯であるものも少なくないことがございます。必ずしも組織的に行われるとは限らないということから、組織的な形態で行われる犯罪に限定することはしていないのでありまして、諸外国も同様の法制になっております。  犯罪収益の規制でございますが、簡単に言いますと、経済的な側面から組織的な犯罪に対処しようとするものでありますので、この法律案に定める犯罪収益規制の趣旨、目的に照らしまして、具体的な適用の段階におきましては適正に運用されるものと考えている次第でございます。 <0058>=日野委員= どうも私は、何でこれを一本の法律でと、こう思うのですよ。  言うなれば、犯罪収益の没収、追徴、さらにこれには保全手続まであるわけでして、これは今までの刑法の刑罰の体系からいうと、全く別個の新しい概念を持ち込んだというふうに私は思うのです。それならそれで、これは別の法律でやはり出すべきだ。組織犯罪という名目を掲げて、この法律のタイトルを見てもそうでしょう、組織的なというのがまずばんと出てくる。しかし、調べていくと、組織と全く関係のない犯罪にまでこれは適用されていくのですよというようなことになっては、それなりに一つの大きな論議を巻き起こすはずの事柄を、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる式にばんばん組織犯罪、組織犯罪と言い立てておいて、その中にひっそりと潜り込ませてきた、そんな印象を私は感ずるのですが、本当は別法でやった方がいい、それがフェアだ、そしてそれはそれなりに国民的な論議にまった方がいい、私はこう思います。  いかがでしょう。大臣にもそこいら考えていただきたいのですがね。 <0059>=松尾政府委員= 今お尋ねの法案自体でございますが、組織的な犯罪におきましては、不正の利益を得ることを目的としたいろいろな犯罪行為が行われるということでございまして、それに着目して、それを抑圧するための加重規定、あるいはその犯罪行為によって得られました犯罪収益の保持、運用等を規制することによりまして経済的な側面から組織犯罪に対処する、そういう意味で、組織犯罪対策という意味で本質的に同一のものでございます。  これを単一の法案に盛り込むのか、あるいは二本にするのかという法技術的な問題がございますが、今回は、同一の目的、趣旨ということでございますので、単一の法案の中に盛り込みまして、内容としての理解の明確性という点ではそれの方がプラスであると我々は判断いたした次第でございます。 <0060>=日野委員= 私も、一応、これを見たときは、最初のタイトルを眺めて全文を読んでみて、そして最初これは組織犯罪についての法律だと思っていたのですよ、不明にしてね。ところが、読んでみたら違うんだな。  こういうことは、それは法律の技術の問題は私は言わない、ここでは。しかし、やはり法律というのは国民的な意識にしっかりと支えられなければ妥当性は得られないわけですから、私はそういった意味からすれば、これは違うのですよということをはっきり言って、そしてその犯罪収益についてはこうこうこう決めますよというのがフェアだと思うのです。ここのところは恐らく、いろいろ論議してもあれでしょうから、水かけ論になってしまうだろうから、私はこれ以上論議しません。もっと明敏な委員の諸君がいっぱいおられますから、その方々の論議にもまちたいというふうに思います。  それで、別の論点に移らせてもらいますが、この法律もやはり別表方式をとっているわけです。第二条第二項第二号の「次に掲げる罪」、それからあとは別表がございますね。この別表についてちょっと伺います。  この別表は、法制審議会では別表を掲げて議論をしたのではないのだというふうにも私伺っておるのですが、どうなのでしょう、法制審にこれはちゃんとかけたのですか、かかっているのですか。 <0061>=松尾政府委員= 法制審議会におきましても別表を資料といたしまして議論が行われております。 <0062>=日野委員= それでこの別表ですが、実にこれは範囲が広いですね。別表によりますと、刑法犯だけでも何罪あるのですか。これはもうかなり、ちょっとした犯罪は全部引っかかってくるという感じですね。そして、これで対象になっている罪を規定する法令、その法令数だけでも無慮五十七件に上る。これは一般の市民生活、いろいろなところでこれにちょこちょこ触れるということは随分あると思うのですよ。こういう別表、こんなにも膨大な罪を用意した。しかも、これは組織的に行われることを要しない。普通の一市民がたまたまこれに触れる行為をする、そしてそこで得た収益を、第三者が情を知っていますというか、その事情、ちょっと危ないなこれはと思うくらいのことはいっぱいあるのでしょう、そうやって犯罪の収益を受ける、これだけでこんなに罪になる。この別表をつくった、その罪名をこれだけ列挙した何か基準があったのでしょう。どういう基準でしょう。 <0063>=松尾政府委員= 前提犯罪、確かに多数ございます。ただ、この選択につきましては、犯罪収益の運用等の行為を規制するとともに、その的確な剥奪措置を講ずることが犯罪収益の規制の趣旨、目的に照らして有効かどうか、必要かどうかという観点から、犯罪の重大性あるいは多額の犯罪収益に結びつくものであるかどうかということ、あるいは組織犯罪対策として緊急に対処する現実的な必要性があるかないか、国際的な協調の必要性の観点からいかがか、いろいろな観点で選択しておりますが、大きく分けますと五つの山に分かれるということが言えるかと思います。  その第一は、極めて重大な犯罪という類型でございます。ここでは殺人だとかあるいは爆発物使用等の罪等がこれに該当するかと思います。  それから二番目の山は、暴力団等の資金源犯罪など、犯罪組織によって多額の収益を獲得するために、職業的、反復的に実行されると認められる犯罪でございます。  この類型に属するものといたしましては、財産犯のほか売春防止法違反の罪とか、あるいはのみ行為ですね。競馬法違反とかいろいろな罪が出ておりますが、いわゆるのみ行為関連を含む賭博関係の罪、あるいは出入国管理及び難民認定法違反の罪、これは蛇頭等が顕著な例でございます。それから各種の偽造罪。このほかに、放火、逮捕監禁、建造物損壊あるいは財産犯等も、暴力団等が報酬目的で職業的、反復的に犯すことがあるという意味でこの二つ目の山に入れているわけでございます。  次に、三つ目でございますが、合法的な経済活動の周辺にありまして、こういう暴力団等の組織に多額の犯罪収益をもたらすというもののまた類型がございます。これは、詐欺破産でございますとか背任罪等財産犯の一群がこれに当たるわけでございます。  それから、諸外国において広くマネーロンダリング罪の前提犯罪とされている犯罪と同種のものです。これは、公務員による収賄の罪とか航空機に関するテロ犯罪等がこの類型でございます。  それから、先ほど、さほど法定刑が重いということではございませんが、現実に暴力団等が多額の収益を獲得していると認められる資金源犯罪といいますか、これが五つ目の山でございまして、これは例えば、わいせつ物頒布に関連する罪、あるいは不法就労助長罪等密入国事犯に関連して暴力団等によって犯される罪等がこの五番目の山には入るということです。  大きく分けますと五つの観点から、それぞれの罪種を拾い上げて列記したということでございます。 <0064>=日野委員= これは、暴力団が実際絡んでいるということであれば、それはある程度なるほどなと思われる節もないわけではありません。しかし、暴力団絡み、そして収益絡みということになると、一つ一つばらして、一つ一つ点検をしていくということは私は必要だなと思いますね。きょうは時間がありませんから、それはやりません。これをやるだけで相当の時間数審議しなければならないと私は思いますよ。これをやるだけで恐らく数十時間かかるというふうに思いますね。  そして、特に、国際的にこういうことをやりましょうやという取り決め、これがあることも私は知っております。こういうマネーロンダリングとかそれから犯罪収益、これを締めつけていくことによって暴力犯罪等を一掃していきたいという国際社会の意思があることもよくわかる。しかし、それを盾にとって、ここまで広げることはなかろうというふうに私は思っているのでございます。  よくこの間から問題にされておりましたが、FATFですか、このFATFの決めている内容も、この前提犯罪の範囲はその国の実情に応じて決めるということになっているようですね。つまり、こんなふうに言っているわけですね。その勧告は、各国がそれぞれの状況及び憲法の枠組みに従って実施すべきものである、こういうふうに決めているのであって、FATFの勧告、これを金科玉条のように扱うのは間違いだというふうに私は思いますね。  そして、日本における治安の状況、それから、さっきからも言っていますが、日本の国というのはお互いの信頼関係によって成り立っているわけですね。  そういう点を考えると、こんなに前提犯罪のリストを見せられただけで、一般庶民はどきっとしてしまうのではないですかな。たたけば多少はほこりが出るという人たちは、特に商売なんかをやっていると、これはいっぱいあるわけであります。まず、罪なき者石を投げ打てという言葉がありますけれども、私は、官憲と言われる人たちだって、どうかなと思う節がないわけではありませんよ。  そこで、これを一つ一つチェックしていくということも必要である。ただ、これに時間を割き過ぎると、きょう、私が非常に強い関心を持っている事柄がちょっと消えてしまいますので。  没収のための保全手続をつくりましたね。民法ではよく、仮差し押さえそれから仮処分ということをやりますが、今度は刑法にもその保全手続が誕生したというわけであります。それで、保全手続について若干伺っておきます。  これは、犯罪収益を保全することができるわけですね。裁判所がこれについて保全手続をすることができる。  さてそこで、私、余り時間がなくなってきましたので、具体的な例についてちょっと聞いておきたいのです。金融監督庁、きょうはお見えになっておられますね。  まず、保全手続をする前に、金融機関が金を受け入れるときに、これが犯罪収益かどうかを判断するわけですね、判断しなければならない。これは危ないなと思ったら、これを受け入れると今度は収受罪になるわけです。犯罪収益を受け取ったということで、それ自体で罪になる。  さて、こういうことをやっていますと、金融の流れというのは大きく乱れると私は思う。そして、金融の流れが乱れるということはどういうことかといえば、経済の停滞を招く、こういうことになってきますね。この点について、金融監督庁はどういうふうにお考えになりますか。これから銀行なんかに対して、こういうときは受け取っていい、こういうときは受け取ってはいけませんなんという、そういう基準でもつくって示さなければ、銀行はやっていられないやということになってしまいます。この点について、どうお考えになりますか。まずそこから聞きましょう。 <0065>=本田説明員= 先生御質問の点につきましてお答え申し上げます。  従来より、前提犯罪は麻薬関連事犯ということに限られておりましたが、マネーロンダリング対策というのは現在既に存在しております。今回のマネーロンダリング規制の見直しによりまして、金融機関等の疑わしい取引の届け出義務につきましては、疑わしい取引の前提犯罪が拡大されるということでございます。  したがいまして、金融機関等にとってみますと、既にそういう制度が存在しておりまして、その前提犯罪が拡大されるということでございますので、今回の対策によりまして、殊さら金融機関にとって大きな事務負担増には必ずしもならないのではないかというふうに考えております。  また、金融機関等の事務負担に当方といたしましても配慮するとともに、効果的なFIUの、FIUというのは、ファイナンシャル・インテリジェンス・ユニットということで、今後この法律に基づきまして設けられる情報分析機関でございますが、そういうふうな観点から、例えば、従来、文書によって情報を届け出ていただいておりましたけれども、将来的には電磁的な方法による届け出を認めることも検討をいたしております。  いずれにいたしましても、マネーロンダリング対策を実効性あるものにするためには、疑わしい取引の届け出制度が金融機関等の理解と協力を得つつ効率的に運用されていくことが極めて肝要というふうに考えておりまして、そのような観点から、本制度の運用上、金融機関等の事務負担が余りにも過大にならないように配慮しつつ実施してまいりたいというふうに考えております。  また、そういった中で、あらかじめ金融機関等に対して提示いたします疑わしい取引に係る参考事例、これは、どういう場合に疑わしいと判断するか、まさに、金融機関の現場の方が判断する、その判断の目安となるようないわばガイドラインでございますけれども、それを現在でもお示ししておりますが、さらに明確でわかりやすいものにしていく等々の改善策を講じることを予定しておりまして、金融機関等においても、その疑わしい取引を的確に識別できるように努めてまいりたいというふうに考えております。 <0066>=日野委員= 今の答弁にもちょっと食いつきたいところがありますけれども、しかし、きょうは時間がないから、きょうは食いつかないでおきます。  それで、今度は、保全をするということですね。民法の場合は、民事の保全手続ということになりますと、これは差し押さえ、または仮処分、そういったもの、対象額の大体三分の一を保証金として納めなくてはいかぬ、こうなっていますが、そこは親方日の丸で保証金なし、こういうことなんでしょう。  それでは、こんな場合はどうなんでしょう。一つの例を挙げますね。犯人が当座を開設した。当座を開設して、それが保全を食ってしまった、こういうふうになります。そして、その犯人が手形を振り出しました。そして、まともな商売をやっている相手にその手形が回りました。その手形の受取人がそれを期日に提示した。払ってもらえますか、もらえませんか。 <0067>=松尾政府委員= 預金の場合は、保全されるのは預金債権ということでございまして、その払い出しに係るような行為については凍結されるということでございます。 <0068>=日野委員= その手形をもらって払ってもらえない、資金繰りに困ってしまってその会社がパンクしてしまった。さあ、えらい騒ぎですね。会社は倒産です。ところが、裁判をやったら当座を開設した犯人と思われていた者が無罪になった。さて、その損害はだれがどうやっててん補するんですか。 <0069>=松尾政府委員= 想定された事例について、なかなかお答えするのは難しいわけでございますが、この保全措置等によりまして結果的に損害が生じたということでございますと、従来の刑事手続全般でも、強制手続で損害をこうむったということになりますと、これは国家賠償の守備範囲ということになりますので、それぞれの要件が検討されているということになろうかと思います。 <0070>=日野委員= 国賠法ということで今お答えがありました。だれでも考えるとそうなるのかなという感じなんですが、ちょっとここで、刑事裁判なんかになりますと微妙なんですね、これは。国賠法は、公務員が権力の行使をして故意過失があった場合に、国家賠償の対象になる。さて、裁判で無罪になってしまった、これはどこに故意過失があるのですか。 <0071>=松尾政府委員= 過去にもいろいろ、刑事手続の各段階に応じて、それを担当した公務員に対して国家賠償を起こされるというケースがあるわけでございますが、極端な例を言いますと、故意過失でございますので、通常の職務行為あるいはそれを誠実に執行している過程で、結果的に無罪になったというケースについては、なかなか国賠は考えにくいと思いますが、例外的にやはり故意過失が認められるようなケースが理念的には想定されるかもしれません。そういった場合に動くということになろうかと思います。 <0072>=日野委員= これは困ったことなんですよね。一つの企業が倒産をして、そこからどういう損害が生じたか、これは、我々も民事で依頼を受けても、なかなか難しい。しかも、特定の計算上できる損害の算定はいいですよ。それ以外に、のれん代だとか信用だとか、いろいろなものが企業というものはここに一つになっているわけですね。それの損害を算定しろといったら、これは本当に難しい。私は、この保全手続というのはそういう嫌らしさを秘めているというふうに思いますね。いかがなものかと実は思うのですよ。 <0073>=松尾政府委員= 先生お尋ねの問題、現実にそういうことが起こりますと大変深刻な問題だなということは私も理解いたします。ただ、現在の刑事訴訟法におきましても、例えば、一番強い手法としては逮捕するということがございます。それによりましてこれも観念的には想定されるかもわかりません。その方の経営されている会社が倒産するかもわからないというようなこともございます。あるいは、その関係の方がそれによりまして債権の支払いが受けられないという事態も、それは現在でもいろいろな手続の過程で観念的には想定されているわけでございまして、この法案ができまして新たにそういう問題が発生するというわけでは必ずしもないわけでございます。  そうした事態については、今までいろいろな法律の分野で手当てがされてきている、あるいは、解決がされてきている、あるいは、解決を図るべく努力がされてきているということだろうと思いますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。 <0074>=日野委員= それは従来の犯罪でいろいろなことがあった。それにまた一つ大きい枠ををどんと上乗せすることになるのですよ、これは。私は、そういうことは避けてもらいたい、こう思いますね。  時間が参りました。まだまだいっぱい聞きたいことがあります。本当に断片を聞いただけですからね。あと何日もかかりますよ、これは。  そして、最後に一言、やはり、こういう重大な法案でありますから、十分な時間が必要だということを私申し上げて、終わります。 <0075>=杉浦委員長= 午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議 <0076>=杉浦委員長= 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。漆原良夫君。 <0077>=漆原委員= 公明党・改革クラブの漆原でございます。私の方からは、三条一項三号についてまずお尋ねしたいと思います。  本号は、通信傍受の要件として犯罪の高度の嫌疑の存在を要件とした規定と説明されております。しかし、傍受の対象犯罪となっていない禁錮以上の刑が定められている罪全般に対して、対象犯罪の観点からすれば、広く通信傍受の道を開いた規定と見ることができます。  対象犯罪を明記する場合にはできるだけ客観的、一律であるべきであって、そこに主観的判断の介入する余地はなるべく少なくする方が立法方法としては正しかろうと思います。しかし、本法案のように、一方で対象犯罪を別表の罪に限定しておきながら、他方で、本号を設けることによってその範囲を禁錮以上の刑全般に拡大し、しかも通信傍受を許すか否かの判断を、引き続き当該別表に掲げる罪が犯されると疑うに足りる十分な理由の存否という、裁判官の自由な心証形成にゆだねております。通信の傍受をされる国民の側から見た場合に、自分のどのような行為が通信傍受の対象とされるのか、まことに不明瞭でございます。  対象犯罪を決めるに当たって、いわゆる対象犯罪を列挙するということではなくて、本号のような、ある意味では不明瞭な立法例を採用されたその理由をまずお尋ねしたいと思います。 <0078>=松尾政府委員= 本案第三条第一項第三号でございますが、これは二号とともに、傍受しようとする通信が、既に行われた犯罪行為とこれから行われる犯罪行為の双方に共通して証拠となる関係がある場合、換言しますと、それらの行為全体が、先ほど申し上げましたが、社会的に見れば一個の犯罪現象と認められる関係にある場合に、既に行われた犯罪とこれから行われる犯罪から成る一連の犯罪行為全体を傍受の対象として令状審査を得よう、こういうものでございます。例えば、先ほども挙げましたが、無差別大量殺人のための毒物の製造行為が行われた、あるいは薬物等の密輸入の準備のために船舶の調達が行われた、これは輸入罪の予備罪ということですが、犯された場合などがこれに当たるわけでございます。  別表に掲げる罪の実行に必要な準備のために犯される犯罪というのは、これは多種多様、多岐にわたることは委員御指摘のとおりでございます。ただ、これをすべて列挙することというのはなかなか法技術的にも困難でありますし、法案を見た場合、あるいは法の条項を見た場合に、非常に煩瑣、複雑になるという問題点もございます。傍受の対象犯罪としては限定的に列挙しておりますので、傍受の範囲が無限定に広がるおそれはないものということで、個別の列挙を避けたという事情でございます。 <0079>=漆原委員= 「実行に必要な準備のために」行われたという、このことなんですけれども、私、この文章も非常に不明瞭ではないのかな。実行行為よりも広い範囲であることは間違いないんでしょうけれども、例えば、殺人をするために車を窃取した、車の窃盗。車の窃盗と殺人罪というのは、犯罪そのものとしては一般的にはつながらない。しかし、殺人のための準備として車を窃盗したという場合も、因果関係、準備関係があれば、それはもう本条によって認められることになるわけですが、例えば、準備のための行為といっても、いろいろなケースが考えられます。  一つは、その車を利用して襲撃する現場を偵察行為をするために盗んだという場合、それから、車を実行行為の凶器に使う、ひき殺すつもりで盗んだ、あるいは車中から狙撃するつもりで車を窃取した、あるいはその車で凶器、有毒ガスとか刀とか鉄砲とかを運搬するために車を窃取した、あるいは犯行後に逃走するために車を窃取した。今私、五つ申し上げたんですが、この五つの中で、当てはまらないものはどこでしょうか。全部当てはまりますか。 <0080>=松尾政府委員= 具体的事例でもう少しいろいろな周辺の状況、証拠等が必要かと思いますが、例えば殺人の目的のために今言ったような行為が行われているということが、例えば捜査の過程で、その片割れがたまたま何らかの犯罪で捕まりました、それによりまして、今挙げられた五つの類型それぞれ、一緒に行われることはないと思いますが、実はこういう目的で車を窃取して、あるいは中を改造して毒物を散布しやすくしたとか、いろいろな供述が得られたとします。そうでありますと、今挙げられましたような類型を想定しますと、五つの類型は、すべてここに言う準備のための行為ということには該当しようかと思います。 <0081>=漆原委員= 私、この五つは別々の、このための用途にだけ使うという前提で申し上げたんですが、一番軽いのは偵察のためだけに使う、襲撃現場を偵察、見回りに行くためだけに使うという使用方法で車を窃取した、一番最後は逃走するだけのために車を窃取した、こういう場合でも、本条に言う、「実行に必要な準備のために犯され」た窃盗、こういうふうになるんでしょうか。 <0082>=松尾政府委員= 具体的なケースにおきまして、証拠上認定されるいろいろな事実によりまして最終的には判断されるべきことになるわけでございます。  ただいま問題になっております第三条一項三号では、「禁錮(こ)以上の刑が定められている罪」、その類型に入ることは必要ですが、「別表に掲げる罪の実行に必要な」と、今先生が対象としておりますのは、殺人という例で引かれております。これが別表に掲げられておりますので、この罪ということになりますが、その「準備のために犯され、」と、該当するかどうかということがまず一つあります。「かつ、引き続き当該別表に掲げる罪が犯されると疑うに足りる十分な理由がある場合」で、なおかつ、その「犯罪が数人の共謀のものであると疑うに足りる状況」、これらそれぞれが十分に疎明されますと、これはここに言う「禁錮(こ)以上の刑が定められている罪」のものが既に存在するということで該当するということになろうかと思います。 <0083>=漆原委員= まず最初に判断しなければならないのは、実行に必要な準備のために犯されたかどうかというところをまず第一関門として判断しなきゃならぬわけですね。その第一関門を突破しなければ、第二、第三の関門は要らぬわけですから。そうすると、専ら盗んだ車で襲撃現場を偵察に行くための行為、ここまで殺人の準備のための行為に含めるのかどうか。それから、襲撃してから専ら逃げるだけのために車を窃取した行為、もう終わってしまった場合までも殺人の実行に必要な準備のために犯された窃取と言えるのかどうか。いかがでしょうか。 <0084>=松尾政府委員= 委員御指摘のとおり、非常に微妙な事案としては、逃走の運搬手段として車を窃取したということがあろうかと思います。ただ、犯行が終わった後で、逃げるためにばたばたと車を使うというのは、これは対象外であることは先生も御理解いただけると思います。  問題は、殺人の実行行為に着手する前に、数人で、当然、ここで要件にありますように、共謀しているという前提でございますが、これが終わったら逃走手段が要るな、どうする、列車等で行くと足がつくというので、一番有効な方法は車だ、数人なので少なくとも二台は要るなということで、そういう周到な謀議の中に組み込まれた形での逃走手段の計画、そのための自動車の窃取ということでありますと、この逆の方向から言いますと、逃げる手段が確保されないとなかなか実行に及べないというような状況が一方にまた考えられるわけでございます。そのような場合は、全体として、窃取行為自体が、三条一項三号の禁錮以上の刑が定められているここに掲げる罪で、準備のために犯されたというふうに該当する可能性は十分にあると思います。 <0085>=漆原委員= なかなか局長の御答弁でもまだはっきりわからない。なる場合もあるかもしらぬし、ならぬ場合もあるかもしれないということで、本当に私、この条文の第一関門そのものが不明確じゃないのかなという気がしてなりません。  次に、これはもう時間がないからやめますが、「実行に必要な準備のために犯され」たこと、そして、「引き続き当該別表に掲げる罪が犯されると疑うに足りる十分な理由」の疎明の方法なんですが、どんなふうな疎明方法を予定されているんでしょうか。「十分な理由」というぐらいの疎明方法として。 <0086>=松尾政府委員= 疎明の方法は具体的事案によって千差万別ということが言えるかと思うんですが、例えば、先ほども挙げましたが、大量の毒物による殺人計画ということを例にとりますと、有毒物質の製造ということがありますと、この場合は、禁錮以上の刑に当たる罪が準備のために犯されたということにとりあえず外形的には当たるわけでございます。  問題は、その疎明を裁判官にどうするんだということになるかと思うんですが、この無差別大量殺人の計画は現在進行中であるということが明らかになったような場合の例ですと、この場合は、例えば有毒物質の製造に関与した共犯の一人がたまたま逮捕される。これは、ほかの罪名であるかもしれません。あるいは、その製造自体が発覚した場合も考えられます。いろいろなケースがありますが、逮捕されまして、その者が観念をしまして、有毒物質の製造をしました、これは目的はこうでございます、少なくとも複数名がこれに関与し、殺人計画が練られております、現実にこれはこのままいきますと実行に移されますというような供述があった場合でございます。この場合は、その者の供述調書等が疎明資料には有力な証拠として入ります。  そのほかに、現に製造されている有毒物質が入手されれば、もちろんそれも疎明資料に入ります。そのほかに、これ自体は、直ちにそれに着手するとばれてしまう可能性もありますので、その場合には、その有毒物質を製造するのに必要な薬物の購入の周辺事情を洗いまして、必要なものは全部そこの工場にというか家に届いたというようなこととか、具体的にはそんなことが疎明されますと、その製造とその後に引き続き予定されている、ここのところでは「別表に掲げる罪が犯されると疑うに足りる」状況が十分にある疎明ということになると思います。  細かい疎明資料もいっぱいくっつくことと思いますが、想定される一つとしては、そんなケースをお考えいただければ十分かと思います。 <0087>=漆原委員= 私も、これは多分、共犯の一人が何らかの理由でやめて自供した場合と、もう一つはいわゆる情報の、俗な言葉で言うと垂れ込みというんでしょうか、どこかで不法入国しそうだとか、どこかで密輸の取引やるよというか、そういう通報、そういうものが非常に大きな疎明資料になるんじゃないのかなというふうに思います。  例えば、麻薬の密輸の現場、どこどこでやるよというふうな通報が入った場合に、その通報だけで、電話の聞き取り書とかそういうものだけで証拠にするのか。警察に来ていただいて調書をとるのか。そして、その通報内容の信憑性はどのぐらいまで、どんな方法でお考えになっているのか。お答えいただきたいと思います。 <0088>=松尾政府委員= この電話傍受は、午前中の委員会からさまざまな形で御議論がありますが、やはり憲法に規定しております通信の秘密にかかわることでございますので、要件自体はこの法案にもさまざまな形で絞りがかけられております。  その中の一つが、今ごらんいただいております三条一項三号にあります「十分な理由」という表現がございます。これは、昨日の委員会でも申し上げましたが、逮捕状が請求されるに際して必要とされる相当な理由よりももう少し疎明を十分にしなさいということになっております。ただ、有罪の心証を得るというところまでの十分性は必要ないけれども、いずれにしても、相当な理由以上のいろいろな資料が要りますということが、抽象的に申し上げるとそういうことです。  今委員お尋ねのケースでいきますと、やはり電話の聞き取り書き一本ではとても十分だとは言えないと思います。さらに、例えば、通告してきた者を特定してその者から先ほど言ったような供述を得るとか、あるいは情況証拠によりましてその通告内容が非常に信憑性が高い、現に周辺事情では客観的なブツがある、あるいは周辺事情に関連する者からの供述がある、それから客観的に考えまして非常に蓋然性が高いとか、そういうようなかなりの疎明資料がないとここに言う「十分な理由」には当たらないわけでございまして、その点は、我々としても、運用の際にも、この趣旨は十分に生かして慎重に運用されるということで、捜査機関全般の理解を深めたいと思っている次第でございます。 <0089>=漆原委員= その辺はケース、ケースの積み重ねによって自然とできてくるんだろうなと思うんですが、供述調書だけではだめだ、これも当たり前だと思いますね。ぜひそれは、周辺事情をきちっと捜査して、それを補強していかなければならない、こう思っています。  ところで、我々公明党・改革クラブの法務部会として、きのう、実は本法について対象犯罪を四つぐらいに限定すべきではないのかという大胆な結論をお出ししたんですが、薬物関連、銃器関連、集団密航、組織的な殺人という四種類。この薬物、銃器、集団密航の罪について、その実行に必要な準備のために犯された犯罪というのは、典型的な例、どのような犯罪を予想しておられますか。 <0090>=松尾政府委員= 薬物事犯でいいますと、例えば大量の薬物の密輸入事案などがございます。これは従来からかなり広範囲にいろいろな行為が処罰対象とされておりますが、典型的に考えられますのは、薬物は諸外国から原材料あるいは現物そのものを輸入するというケースがほとんどでございます。その輸入のためのいろいろな資材、機材あるいは運搬手段、船である場合がありますが、その船を借りる、買い入れるというような行為は、ここにあります準備のための典型的な行為に当たろうかと思います。  それから、蛇頭のケース等、今度は人の密輸のような態様でございますが、この場合は、先ほども例に挙げましたが、一番わかりやすいのはやはり人数分のパスポートを偽造するということがございます。上陸して間もなく誰何されたような場合にはそれを提示できるようにとか、いろいろな配慮があると思いますが、あるいは稼働する際に提示するとか、そのことのためにどうしてもパスポートが必要でございますので、これを大量に偽造する、あるいはそのための資材、機材を購入する、こういうことは準備行為に当たろうかと思います。  けん銃の場合も、先ほどの薬物と同様とお考えいただいて構わないと思います。  ただ、殺人の場合でございますが、これはかなり準備行為としては多種多様にわたります。先ほどの自動車を購入する行為も、いろいろな状況いかんによってはその準備行為に当たるということは申し上げた次第でございます。 <0091>=漆原委員= 我々の間では、四つに限定した上でさらに本号も削除すべきではないか、第三条一項の三号、この条文も削除すべきではないかという意見が多かったのです。  これに対して、法務省のある人の方から、本号を削除したのでは四種類の犯罪捜査の実効性を欠くという話がありました。せっかく四種類に限定しても、犯罪捜査の役に立たない法律をつくったのでは意味がないという我々の内部の意見もありまして、本当に捜査の実効性を欠くことになるのか、なるとしたらどういうふうになるのか、その辺を教えていただきたいと思います。 <0092>=松尾政府委員= 立案に当たりました我々としても、この三条一項三号が、禁錮以上の刑が定められている罪ということで大変広いものでございますから、しかも別表に掲げる罪の準備行為ということで、これが対象を広げる、無制約に広げるということにつながらないかという不安があるという御指摘は、御指摘としては理解できる範囲でございます。  それで、かなりシビアなケースを申し上げまして、これが必要だということをぜひ御理解いただきたいと思うのですが、一つには、先ほどから申し上げております大量犯罪、大量殺人のケースがございます。現実に、オウムの事件でサリンによる大量殺人が日本であったわけでございます。(漆原委員「うちの党のものに限って」と呼ぶ)はい、わかりました。  まず、蛇頭のケースから申し上げますと、先ほど言いましたような、蛇頭の場合は非常に国際的な色彩が強い犯罪でございます。情報が、例えば密入国する人たちの集団が属する国から寄せられる場合もかなりあります。大体このぐらいの日時で、こういうグループが日本に行くことになっておる、それに対して日本の関係者は大体こういうところだという垂れ込みといいますか、そういう情報がある。あるいは、向こうの捜査当局から電話傍受等によりました情報が回されてくることももちろんあるわけでございます。  そういたしますと、それによって、この集団が既に船を購入しているという外形的な事実があります。そういったことがあったときに、これが傍受できませんと、その後の大量密入の実行に移された場合の的確な捜査が非常に難しくなります。どういう集団が、どういう形で、どこの港に、いつかということは、その電話傍受をして、それによって逐一把握していくということ。もちろん、これは補充性が要求されますので、ほかにそれが特定できれば電話傍受は必要ない。いろいろな意味で、最終手段としてそれがないと密入国自体が防げないという事態もまた考えられるわけでございまして、密入事案ではまさにそういうケースがかなりあるわけでございます。  そこまでの情報が寄せられ、現にそれに見合う船が購入される。ウオッチしていますと、暴力団の関係者がそれらしき動きをしている、あるいはトラックも調達して用意している、さらにいろいろな事実が疎明資料として集まってきます。では、この先、どこの港でどうするか、どこでドッキングするかという話になりますと、これがないとわからない。あらゆる方法をやってみてもわからない。それ以上やると、探知していることが逆に察知されて、全く犯行形態を変えられてしまうというようなことも当然あるわけでございます。  その場合の一番有効な方法が電話傍受になるわけでございます。その場合に、電話傍受をしまして、その指令の中核はどこか、関与しているものはどの範囲か、具体的な実行はどこかということでございます。  なおかつ、これで電話傍受が有効なのは、これだけ大がかりな組織形態で行いますから、いろいろなところで捜査側の態勢もまた漏れることがあるわけです。ある港に行ったら日ごろいない数の警察官がいたとなると、直ちにドッキングの場所、上陸の場所を変えます。その際の連絡は電話しかないのです。その電話を傍受することによりまして、変更されても的確にそこで待ち伏せできるようにとか、検挙態勢がしけるようにということがありますので、この事案一つごらんいただいても、やはりこの第三条一項三号がないとこんな場合にただ手をこまねいていざるを得ない。  国際的に見ますと、せっかく情報を寄せてくれた諸外国から見ますと、日本は何をやっているのかというようなことで、以降相手にされなくなることも考えられますし、結果的には大量の密入国事案が発生して、イリーガルに入国している者が日本に長期滞在するということを招くことにもなるわけでございます。  そんなこともありますので、実際の捜査を担当している第一線の捜査機関あるいは検察庁からいいますと、この一項三号はまさに捜査の死命を制するほど重要な条文でございますので、ぜひこれは御理解いただきたいと思っております。 <0093>=漆原委員= 詳しい説明をしていただきまして、ありがとうございました。  ただ、そもそも本号は、犯人がたまたま準備のための犯罪を実行してしまったという、ある意味ではこれは相手方のエラーなわけですね。エラーを的確につかまえて、うまく利用して捜査の方法として使う。犯人は必ずエラーをするとは限らぬわけですから、エラーしなかった場合には、別表の罪が犯されない限り通信傍受はできない、こういうわけですね。したがって、今一生懸命おっしゃったけれども、この条文がなければ、本号がなければ実効性は半減するという言い方は、理屈として僕は成り立たないんじゃないかな。これはエラーしなければ使えないわけですから。  たまたま集団密航の情報が入った。どうしても上陸地点がわからない。あるいは、麻薬、銃器の密輸入の情報が入ったけれども、受け渡しの現場がわからない。確かに、電話の傍受さえできれば上陸地点や受け渡しの場所がわかるという場合がいっぱいあると思います。しかし、犯人がエラーしてくれれば本号は使えるけれども、犯人も慎重でエラーもしなかった、この場合には全く本号は使えない。こういう場合にはどういうふうな捜査になるのでしょうか。 <0094>=松尾政府委員= 二点申し上げたいと思いますが、第一点は、ここの想定されておりますような組織犯罪といいますのは、かなりの準備行為がなされる場合が多いわけでございます。  捜査の着眼点としては、やはり準備から始まりまして、実行の着手があり、犯罪が既遂に達するまでの一連の経過を、どこかで証拠をつかまえて解明の突破口にするということでございますので、まず第一に御理解いただきたいのは、エラーというとたまたまという感じがどうしても出てしまうわけでござますが、類型的に実行の準備のためにいろいろな行為が先行するというのが一つの組織犯罪の特徴にもなるわけでございまして、そういう意味では、ここの規定というのは、たまたまの場合を想定しているわけではなくて、類型に着目した一つの捜査上のポイントとして重要性があるということで規定しているということをまず御理解いただきたいと思います。  それからもう一点は、この三号が働かない場合には、当然その前の別表に掲げてあります犯罪の実行の着手、あるいはその実行の過程といいますか、そういったものを捜査によりまして何らかの形で解明をして、傍受というものがぎりぎりのところどうしても必要だという状況になっていて、なおかつ疎明資料が十分に整った場合に請求できるということで、大変厳しい条件が課されております。  ですから、この電話傍受というのは、あらゆるところに安易にどんどん使われるということではなくて、あくまで明白性あるいは補充性それから重大性というようなことがすべて満足された場合で、かつ十分な疎明資料があるというところでぎりぎり働いてくる捜査手法だということで御理解いただきたいと思います。 <0095>=漆原委員= 時間がなくなりましたので、私の意見を最後に申し上げますが、組織の大物を捕まえたい、組織を壊滅したい、これは捜査官の執念であろうかと思っております。しかし、情報はあったんだけれども、具体的なことがわからない。上陸地点もわからない、受け渡し場所もわからない。何とか組織の小物を捕まえて、それを捜し出して、それに吐かせて傍受をしよう、傍受のために犯罪を捜し出すというふうな方向になりやしないかという心配があります。  また、どうしてもそういうエラーというか、そういうものが見つからない場合には、何とかやはり小物を捕まえて、言い方は大変悪くて恐縮ですが、禁錮以上の刑に外形上何とか仕立てて通信傍受をしよう、そんなふうに捜査が発展していく危険性がないのかなということを、私の気持ちを申し上げて、そういうことのないようにということを、また懸念しているということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 <0096>=杉浦委員長= 次に、上田勇君。 <0097>=上田(勇)委員= 先日に引き続きまして、通信傍受法案につきまして、まず何点かお伺いをしたいと思います。  今、漆原委員からも、三条一項三号の話について御質問がありましたが、私の方からは、ぜひ第十四条の「他の犯罪の実行を内容とする通信の傍受」、ここのところにつきまして何点かお伺いをしたいというふうに思います。  ここの部分が、先ほどございました準備行為のための傍受と同様に、この二つがあるがゆえに、対象犯罪が限定されたとしても傍受が際限なく広がってしまうのではないかというような懸念がいろいろなところから言われているところでございます。もちろん、この十四条について法務省の方は、これは令状をとった対象犯罪についての傍受を行っているときに、しかもそれは最小限に限るという原則に基づいて行っているというときに、たまたま飛び込んでくる、他の犯罪がまさに実行されようとしているというものであって、そう多いことでもないし、広がることでもないというような御説明をいただいておりますけれども、その辺の根拠についてお伺いをしていきたいというふうに思うのです。  この第十四条で傍受できる通信というのは、一つは、犯罪の刑罰、「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮」以上の罪に当たる犯罪だという要件があります。もう一つは、その犯罪を「実行したこと、実行していること又は実行することを内容とするものと明らかに認められる通信」という二つの条件がかけられているわけであります。  私は一つお伺いをしたいのは、果たして、この傍受を行っている現場において、捜査員が聞いた会話、これは多分非常に短い時間聞いた会話で、それはもちろん犯罪に関するということはわかったとしても、上のこの二つの要件、特に犯罪の刑罰のところまで瞬時に、もちろんそれは第十三条で必要最小限の範囲の限りにおいてしか傍受できないわけでありますので、その限られた条件の中で、この二つの要件に該当するのだということを果たして判断できるものなのでしょうか。その辺のお考えを伺いたいというふうに思います。 <0098>=松尾政府委員= 電話を傍受いたしておりまして、ある犯罪行為についての全然対象外のやりとりが始まったということを想定いたしますと、確かに、警察官が傍受している場合を想定しますと、これは何罪かなと考えます。その場合に、おおよその法定刑というものは、個々細かくはわからないかもしれませんが、大体のところは、特に刑事課の担当捜査官というのは毎日毎日犯罪捜査なりなんなりに当たっておりますので、長期三年以上の懲役に当たりそうな犯罪だなということについては、瞬時といいますか、大体頭の中に入っているものと我々は状況的には想定しております。  それから、もう一つの要件であります「実行したこと」というのは、これはもう犯罪の一連の実行行為のどの段階にあるのかというのも、聞けばこれは事実行為の経過の中の話でございますので、これもおおよそのところはすぐ推測がつくということだろうと思います。 <0099>=上田(勇)委員= 大体判断できるということでありましたけれども、もちろん、これは令状に記載されている犯罪についての会話が行われた。その途中で非常に重大な、中でも特に重大な犯罪を実行しているというような会話が出てきたときというのは、確かにそれですぐ判断できることなのだと思います。  ただ、やはり判断に迷うようなときがあるのではないかと思うのですね。そうしたときに、やはりどうしても判断に迷えば、必要最小限といっても、それよりも多くの会話を、これは捜査に携わっている警察官、悪意がある場合もありますし、熱意の余りということもあると思います。多くのものを傍受してしまうという結果にはならないのか、そういう懸念が持たれるのです。  そこで、そういうことを想定して、本来傍受してはならない会話に当たるものを第十四条に該当するというふうに思って傍受した場合、その後、その記録の扱い、あるいは第十四条に該当すると思っていたけれども、実はちょっと善意に考えれば熱心さの余り余計なところまで聞いてしまった、記録してしまったといった場合には、その後の傍受記録の取り扱いや通信当事者への通知、あるいは傍受の原記録における取り扱いなど、そういったものはどういうように規定されているのでしょうか。 <0100>=松尾政府委員= まず、傍受すべき通信かどうかの判断。確かに、仮に私がその傍受の担当者としてその電話を傍受している場合を想定しましても、瞬時にぱっと判断ができる場合もあるかと思いますが、場合によるとこれはどうかなと迷うところも確かにあると思います。その場合に考えるべきことは、電話傍受、これは非常に重要な通信の秘密を侵害するということに客観的にはなるわけでございますので、やはり謙抑的にといいますか、最小限の傍受ということで運用すべきである。あるいは、法の趣旨はそういうことだというようなことで、迷った場合にはむしろ切るのだろうと思います。そういうような姿勢というものをこの法律は要求しているというふうに理解していただきたいと思います。  ただ、そうはいいましても、本来、それであれば十秒なり十五秒のサンプリングで切るべきところを、迷い迷いつつ一分、二分と聞いてしまったということが確かに抽象的には想定されるわけでございますが、その場合にはもう一つの防御措置といいますか担保措置、これは傍受した会話すべて原記録に録音されまして、これはカセットが取り出された段階ですぐに封印されます。それで裁判官の手元に保管される。  これは事後的なチェックを受けるわけでございますので、当事者が仮に聞いて、この点は問題だということで不服申し立てをする、そんなことがありますと、そこのところは厳密に審査されることになりますので、これはいかにも聞き過ぎじゃないか、おかしいということになれば、これはやはり不当な電話傍受ということになりまして、捜査方法としてやはり指弾されるということはやむを得ない。場合によりますと、懲戒処分の対象等、処分も検討されることもあり得るということであろうかと思います。  したがいまして、事後のチェックをするためのシステム、またその物理的な保証がこの法案の中に盛り込まれているという点も、また重要だろうと思っております。 <0101>=上田(勇)委員= 今おっしゃったように、疑わしいときは切るのだ、多分立法の精神はそういうことだと思うのですね。であるからこそ、ここには「明らかに認められる」と、だれが見てもそういうふうに認められなければいけないという趣旨でここまで限定したんだというふうに思いますし、なおかつ、それが「実行したこと、実行していること又は実行すること」というふうにさらに限定をしているということで、非常に限定を加えているというのはよくわかるのです。  でも、これはやはりどうなんでしょうか。その捜査官、ずっとこの対象としている犯罪組織を捜査している。当然これは、薬物事件で捜査しているのかもしれません、いろいろな事件で捜査しているのかもしれませんが、やはりそういう犯罪組織であれば、一種類の犯罪だけを犯しているわけじゃなくて、いろいろな犯罪を犯しているわけでありまして、捜査官の気持ちとしては、熱意の余りこういうこともというところで聞いてしまうというような懸念があるんじゃないかというふうに私は思います。  そういう意味で、これは、法の精神としてやはり必要最小限にするというようなことが必要であるので、それのための何らかの方法による裁判所のチェックだとか、あるいは傍受できる犯罪をもっと本当に重大なものだけに限定するとか、そういったことも含めて見直す必要があるのではないか。この点はちょっと意見として申し上げておきたいというふうに思います。  それで、順番に行きますが、次に、第十五条がございます。「医師等の業務に関する通信の傍受の禁止」ということであります。  ここで、医師、弁護士など八種類の「職にある者との間の通信については、他人の依頼を受けて行うその業務に関するものと認められるときは、傍受をしてはならない。」というふうに定められております。  まず、こうした規定を設けた理由、それから、この八種類の職を選んだ理由をお尋ねいたします。     〔委員長退席、橘委員長代理着席〕 <0102>=松尾政府委員= 現在の法律で、刑事訴訟法第百五条というのが、押収拒絶権の規定がございますが、そこでも同じような規定がございます。  その趣旨は、依頼者との個人的な信頼関係に基づいて個人の秘密を委託されるという社会生活上不可欠な職業ということが、そこに列記してある職業の一つの共通項ということになります。その社会的な信頼の保護を図る必要があるということで現在の刑事訴訟法百五条があるわけでございますが、本案の第十五条についても同じ趣旨でこの規定を設けたものでございます。 <0103>=上田(勇)委員= これらの種類の職業のほかに、報道の自由や取材の自由という観点から、新聞記者などジャーナリストも除外するべきであるというような意見もございます。諸外国も、ドイツではジャーナリストが除外されているということですし、また、その他の例を見てみましても、中には、報道機関等について一定の特別の配慮が設けられているようなケースもあると承知しております。こうした意見については、どのようにお考えでしょうか。 <0104>=松尾政府委員= 前問でお答えいたしましたが、この規定は、依頼者との個人的な信頼関係に基づいて個人の秘密を委託されるという社会生活上不可欠な職業を選び出したものでございまして、この報道関係者についてその範疇に入れるということについては、なお慎重な検討を要するだろうというふうに思います。 <0105>=上田(勇)委員= ただ、どうしても報道関係者の場合には、事件の取材をしているときに、犯人とかその周辺の人たちと接触するというようなことも職務上避けられないことなのではないかというふうに思います。  それが、そこで交わされる会話が傍受されているということになりますと、やはり取材源の秘密の問題であるとか、取材の自由について考えなければいけない、特別な配慮が必要なこともこれから考えていかなければいけないのではないかというふうに思われます。ちょっと、この点は引き続き検討をさせていただきたいというふうに思います。  次に、順番に行かせていただきますが、一番最後の二十九条におきまして「国会への報告等」という項目が定められております。  報告内容はこの条文で項目が示されておりますけれども、国会へなぜ報告するかといえば、傍受捜査の実効性というのがどれだけ上がっているのか、あるいは捜査に伴う問題点があるとすればどういう問題点があるのか、そういったことを公にして、今後、通信傍受による捜査のあり方の是非も含めますいろいろな改善点、どういった点を改善しなければいけないのか等々を判断するために報告をするものだというふうに思います。したがいまして、そういった点が判断できるような内容でなければならない。また、それだけ詳しいものでなければならないというふうに思います。  法務省からいただいた資料の中には、アメリカの裁判所がつくっておりますワイヤータップ・レポートの例が載せられておるのですが、これはかなり詳細な内容に及んでおります。私は、少なくともこの程度の内容はこの国会に、もちろん分量で判断するわけではございませんけれども、報告をしていただかなければならないというふうに思うのです。  そこで、ちょっとまとめてお聞きしたいのですが、アメリカのワイヤータップ・レポートでも、報告の仕方はいわゆる統計処理されたものであります、一件一件ごとの報告というよりも、合わせてこういったものが何件というような形での報告になっております。基本的には多分そういうような報告書の書式になってくるんだと思うのですけれども、その辺を含めまして、この国会に提出される報告書はどういうようなものを想定されているのか、あわせてで恐縮ですけれども、御説明をいただきたいというふうに思います。 <0106>=松尾政府委員= この法案の第二十九条の国会へのレポートでございますが、これは、制度のあり方あるいは現実の運用状況についての検討資料とするために運用状況全般について国会に報告する、これを公表することを政府に義務づけたものでございます。  その報告及び公表でございますが、この二十九条に少なくとも書いてある項目につきましては、これを集計いたしまして、その報告の中に盛り込むということは当然要請しております。  そのほか、委員がお尋ねのアメリカのワイヤータップ・レポートというもの、これは詳細な報告がなされているわけでございますが、これは大変参考になる事項等も含んでおります。こうしたアメリカでの報告とそれぞれの項目の置かれた趣旨等も踏まえまして、日本における電話傍受の報告についても参考に生かしていきたいと思っておる次第でございます。 <0107>=上田(勇)委員= ぜひ、この国会への報告、これは、今回いろいろな懸念がある中で、新しい手法としてこの通信傍受が導入されるわけでありまして、どういうふうに使われるのか、いろいろな懸念がある中で実施されるからには、それを補うだけの効果が上がらなければいけないというふうに思いますし、その辺がよく明らかになって、今後、通信傍受という方法が捜査の手法として適切なのかどうかといったことが判断できる内容になっていなければ、意味がないのじゃないかというふうに思います。その点、今かなり詳しくということで御答弁をいただきましたので、それはひとつよろしくお願いしたいというふうに思います。  次に、今回、法案があと二本ありますけれども、もう一つの方のマネーロンダリングの箇所につきまして、一カ所だけお聞きをしたいというふうに思います。  この中の第五章で、金融機関による疑わしき取引の届け出という項目がございます。これは九六年の資金洗浄に関する金融活動作業部会の勧告の中に二カ所出ておるところで、それを履行するために今回、今まで麻薬特例法のみに認められていた部分を拡大するということだと理解しております。  もちろん、これは国際的な作業部会の勧告に基づいて行われていることでありますので、当然これに参加している諸外国においても同様な措置がとられているのか、これからとられるのか、いずれかだというふうに思いますけれども、この金融機関による疑わしき取引の届け出というのが、じゃ、何が疑わしい取引なのか。過度にそういうような嫌疑をかけて、何でもかんでも届け出るようになってしまえば正常な経済活動や商取引にも影響を与えるのではないかとか、あと、個人の財産でありますのでプライバシーを侵害しかねないというようなことで、これは、外国においてもそういった懸念はあるというふうには承知しておりますし、今回これが拡大されることによって、疑わしい取引ということで、世間においても大変いろいろと懸念を生じているわけでございます。  そこで一つお伺いしたいのは、まず、こうした届け出の制度というのは、主要な外国においてはどういうような制度をとられているのか、どういうような基準で疑わしい取引というのを判断しているのか、その辺、まとめてで申しわけありませんが、御説明をいただければというふうに思います。 <0108>=松尾政府委員= 委員御指摘のとおり、このFATFは、一九九六年、平成八年ですが、勧告におきまして、金融機関から権限のある当局への疑わしい取引の報告を義務的なものとするということを諸国に勧告したわけでございます。これを含めて、FATFの活動というのは、国連やサミット等の会議においてこれを支持するとも、またその表現の中にうたわれているわけでございます。主要国、特にG8を中心としまして、疑わしい取引の届け出制度は既に法整備がなされているところでございます。日本は、薬物を除きますとこの整備がございませんので、こういう規制については、世界にかけた網の中で唯一破れた網の目であるというふうに指摘されているところでございます。  例えば、アメリカ合衆国におきますと、国内の金融機関が合衆国の貨幣または通貨の支払い等のために一万ドルを超える取引に関係したとき、これは一万ドルですから、現在の日本円に直すと百二十万円前後ということになろうかと思いますが、一度に一万ドルを超える支払い手段を、外国へ移送したりまたは外国から受領するとき、当該取引の報告を財務長官にしなければならないということになっております。また、財務長官は、金融機関またはその取締役等に、法律に違反している可能性がある行為に関する疑わしい取引の報告を求めることができるという制度になっております。  ドイツでは、あそこはカジノがございますが、金融機関等またはカジノは、資金洗浄に役立ち、またその実施の場において役立つであろうということが推論されるような事実が認められる場合、これらを権限のある刑事訴追官庁に遅滞なく届けること、こうされております。  フランスでも、金融機関は、薬物取引または組織犯罪により生じた資金と思われる場合には届け出をしなさいということが規定されております。  一九九五年、平成七年ですが、欧米諸国が中心となりまして始まりましたエグモント・グループというのがございます。これは、FIU、フィナンシャル・インテリジェンス・ユニットと呼ばれる、疑わしい取引に関する情報を受理、分析それから捜査機関に回付する単一の中央政府機関を設置しまして、国際的な情報交換を推進する方策が検討されております。アメリカ合衆国、フランス等の主要国におきまして、既にこのFIUは設置されているところでございます。昨年のバーミンガム・サミットにおきましても、まだFIUを設置していない国に対してはその設置が強く求められている。国際的にはこんな状況でございます。 <0109>=上田(勇)委員= 今のお話では、それぞれG8の国々でそういう制度が設けられているのだけれども、基準というのは、やはりそれぞれの国の事情もあるのでしょう、かなり違うようであります。  今のお話では、ある一定の金額、取引の金額に着目しているというような国もあります。また、組織犯罪というか、いわゆる取引の当事者の性格に着目して基準を設けているというような国もあったように伺いました。また、もっと主観的な表現のところもございました。  そういう意味で、非常にこれは難しいことなのかもしれませんが、我が国において、今回、疑わしい取引というものの届け出を拡大するわけであります。今、諸外国でもいろいろな例があったのですが、我が国においては、どういうような判断基準、これはかなり明確でわかりやすいものでなければいけないというふうに思うのですけれども、どういうような物差しを使ってこれを判断する方向でお考えなのか、その辺をお伺いしたいというふうに思います。 <0110>=松尾政府委員= 疑わしい取引に該当するかどうか、これは各事案ごとに判断するということになるわけでございまして、なかなか単一の基準というのが設けにくいということでございます。  さっき、午前中も金融監督庁の担当者の方から、この疑わしい取引についての基準あるいはその指導の実際等について御説明がございました。これにつきましては、疑わしい取引について例えば参考事例等を作成いたしまして、これを集積していく、それを金融機関に提示するということ、あるいは、現在、薬物事犯では疑わしい取引の届け出制度があるわけでございまして、金融監督庁のガイドラインというものがある程度金融機関等へ示されて、その指導に使用されているということもございます。  それから、届け出の方法とか内容につきましては、政省令等におきまして具体的に規定することを予定しております。その際には、金融機関等の業務の実情がありますので、金融機関等の意見も参考にしてその内容を確定していきたいというふうに考えております。  それから、疑わしい取引の判断基準ということで、金融機関が届け出義務を適切に履行できますように、今申し上げた届け出の方法であるとか内容とか、及び疑わしい取引の判断基準という、おおよそのガイドラインといいますか、こんなものも提示できればというふうに考えておる次第でございます。 <0111>=上田(勇)委員= 時間なのでこれで終わりますが、今の答弁の中で一点確認したいのですが、アメリカでは一定額以上のものは全部届け出るということでありましたが、そういうような一定の額を決めてそれを基準にするというようなお考えはないというふうに考えてよろしいのでしょうか。 <0112>=松尾政府委員= その点も法制審議会等含めましていろいろ議論があったところでございますが、一律に金額を決めるということのプラスマイナスがございまして、現在のところは金額を決めるという考えはございません。 <0113>=上田(勇)委員= これで終わります。 <0114>=橘委員長代理= 達増拓也君。 <0115>=達増委員= 自由党の達増拓也でございます。  まず最初に、オウム真理教と破防法適用の問題について質問をさせていただきたいと思います。  先日も自由党安倍委員からこのテーマについて質問がありましたけれども、我が党といたしまして、今、全国的に問題になっているオウム真理教と住民との間のトラブルは、我が国で国民的関心が最も高い社会問題の一つではないかということで、そもそも何でこうなってしまったのか、どうすべきかということについて、今党内でも検討しておりまして、来週中にも党としての考え方、政策等を発表する、そういう姿勢で取り組んでいるところであります。  今展開しているこのトラブル、非常に問題だと思いますのは、住民の側が殊さら何か悪いことをしようとしているわけではなく、むしろ、そういった予想される悪から自分たちを守るためにどうも違法な振る舞いに及ばなければならなくなってきている。住民ばかりではなく、住民を代表、住民に奉仕する地方公共団体でもどうも違法な措置をせざるを得ないような状況になってきている。  法の支配と民主主義が相対立するような状況になってきておりまして、そもそも法の支配と民主主義というのは一体となって機能するものでありますから、日本のデモクラシーというものが今危機に陥っている、そういう国の根幹にかかわる問題だということで、ゆゆしい事態だと思っているわけであります。  我が党として、今議論しておりますのは、やはり破防法を適用してオウム真理教を解散しないでしまったことが諸悪の根源、今日のトラブルの原因であるというふうに考えております。  平成九年一月三十一日でありましたが、公安審査委員会が破防法を適用しないという決定をしているわけでありますけれども、その理由の中で、一方では、「本団体が、」オウム真理教ですけれども、「教義の危険な部分を破棄したとは認めがたく、」「現時点でも、」開祖麻原への帰依を中心として、「団体の存続を目指して組織の維持に腐心していることが認められ、危険性が消失したということは到底できない。」「危険性が消失したということは到底できない。」わけでありますから、地域住民が不安になるのは当たり前であります。危険だというお墨つきがあるわけでありますから。  一方で、同決定理由によりますと、「しかし、本団体は信徒数の減少や破産宣告によって規模・機能を大幅に縮小し、現在の組織としての人的、物的、資金的能力は、松本サリン事件や地下鉄サリン事件等を敢行した当時と比較すると格段に低下しており、本団体が破壊活動を行うに足りる能力を有していると認めることは極めて困難である。」能力的に破壊活動ができっこないので、破防法適用の要件であります将来そういう暴力主義的破壊活動に及ぶ明らかなおそれがあるとは言えない、そういう将来の危険性の明らかなおそれはないと判断されたわけであります。  しかしながら、この能力の部分については、おととしの一月、平成九年一月三十一日の判断でございます。その後、オウム真理教は、もう報道されたりしておりますとおり、人的、物的、資金的能力をどんどん高めております。パソコンショップ等によって資金もどんどんたまってきておりますし、この間ゴールデンウイークも各地でセミナーを開いて人的にも充実してきている。そういう状況でありますから、住民が不安に思うのは当然なわけであります。  今の能力の点について、平成九年一月三十一日に比べると状況が大きく変わってきております。したがって、今また公安審査委員会に破防法適用申請をした場合に、この能力だけの問題ではないのでしょうけれども、非常に厳格な規定ではありますが、将来の危険性、明らかなおそれがあるというその要件が満たされれば、まあ、政府として答えられるのは再請求することになるかどうかというところだと思いますけれども、まずこの点を確認させていただきたいと思います。 <0116>=木藤政府委員= お答え申し上げます。  オウム真理教の現状は、委員御指摘のとおりでございまして、今なお危険な体質を維持したまま豊富な資金を背景にいたしまして新たな拠点を獲得するなど活動を活発化させておるわけでございます。  しかしながら、信徒の獲得活動その他いろいろな活動を見ましても、それらの活動は基本的には合法的な性格にとどまっておるというふうに認められるわけでございまして、御指摘のような、明らかなおそれが認められる十分な理由という現在の破防法の厳しい要件を考慮いたしますと、現時点においてはその厳しい要件を充足するに足る危険性があらわれていると認めることは困難ではなかろうかと考えておるわけでございます。  しかしながら、委員の御質問のように、現在の破防法の要件を充足するような状況があるということでありますと、破壊活動防止法に基づく規制処分を再度請求するということも当然考慮すべきであると思いますので、私どももその点を念頭に置きまして厳重な調査、監視活動を行っておるところでございます。 <0117>=達増委員= 要件が満たされれば当然再請求はあり得るということでございますが、その要件について、やはりこれでは厳し過ぎるのではないか、破防法の趣旨が全うされないのではないかという指摘がありまして、要件を緩和する改正をした方がいいのではないかという意見がございます。  確かに、将来の危険性、破壊活動の明らかなおそれがあるということについて、顕著な蓋然性をもって客観的、合理的に認められることを必要なものとすると解されるということが、引用しております公安審査委員会の決定理由要旨にあるわけでありますけれども、これでは本当によほどの状態でない限り、ガイドラインの自衛権とかの議論ではないですけれども、明白で差し迫った危険とかそういうところまでいかなければ破防法というものが適用されないのであれば、住民にとってもまた国にとっても甚大な被害をみすみす引き起こしてしまうのではないかという懸念が持たれるわけであります。  それで、これも確認したいことなのですけれども、仮に、要件を緩和する法の修正が行われたといたします。オウム真理教のケースですけれども、組織の存在は現行法のときから存在しているわけでありますけれども、要件緩和の法修正がなされた後に新しい緩和された破防法の要件を満たせば、それはその時点で破防法適用の申請ということで、これはいわゆる刑事罰の遡及適用とかそういう話とは別で、それは法改正の後、要件を満たすことがあれば適用ということになるということでよろしいのでしょうか。 <0118>=木藤政府委員= 法改正の後にオウム真理教に対してどのような規制処分の請求をなし得るか、その際に、遡及の問題が起きるかどうか、こういう問題であると思いますけれども、現在、公安調査庁といたしましては、オウム真理教に対する規制処分を当然視野に入れまして法の改正の検討作業を急いでおるところでございます。  しかしながら、どのような規制処分の請求をなし得るのか、また何を根拠にして規制処分を請求するのかということも、まず第一に法改正の内容いかんによることであると思いますし、また、その時点におけるオウム真理教の活動の状況、特に将来に対する危険性がどの程度認められるのかということにもよるわけでございますので、法改正などがこれからという段階におきましては、そういった問題が起きるかどうかの点もちょっとお答えいたしかねるということでございます。 <0119>=達増委員= 現行法を前提に質問いたしますけれども、この将来の危険性ということが破防法適用の最後の関門というふうになるのだと思うのです。昔の暴力主義的破壊活動であれば、武器を集めたり人を集めたり、それには手間暇もかかるし、目立つし、事前に察知することはかなり可能だったと思うのですけれども、今やいろいろな技術、交通、通信その他発達しまして、例えばサリンのケースでも、農薬だとか全然違うものの材料という名目で、違ったところにあるものをさっと一カ所に集めてそこでサリンにしてしまい、さっと地下鉄の中に持ち込むというようなことが今可能になっているわけであります。  そういう中で、この破防法の趣旨を貫いて暴力主義的破壊活動から国民、市民、住民を守ろうとすれば、早目早目にこの将来の危険性というものを認定し得るような解釈をしていかなければならないと思うのですけれども、この点、いかがでしょうか。 <0120>=木藤政府委員= 御指摘のように、破防法の適用要件を考慮する場合、将来の危険性につきましては、できるだけ早目早目に判断していく必要性があるものと考えております。従来と違ったような態様の、サリン等のものが使われるとか、あるいはそうでないものも使われるかもしれない、いろいろな状況を考慮しながらその危険性というものを早目に判断していくべきものと考えております。 <0121>=達増委員= このオウム真理教をめぐるトラブルというのは、組織犯罪というものの本質を考えるにも非常にいいケースだと思うのです。  そもそも破防法の対象になるような暴力主義的破壊活動というのは、組織的犯罪として行われるような性質のものだと思うのです。今問題になっている住民とのトラブル、個人の住居、どこに住もうがどこに引っ越そうがそれは自由であって、むしろそれをとめる方が違法なのでしょうけれども、事が組織として、集団として引っ越すとか同じところに集まってくるとか、そこが今トラブルの原因でありまして、一般の個人というものは、やはり組織が相手になると、個人ではかなわないと思うわけですね。  組織が犯罪をいざ個人に対して行えば、それは不幸な坂本一家事件もそうなのですけれども、そういう組織的犯罪の前にあっては個人というものがいかに無力か。そういう個人が真剣に身を守ろうとすれば、まさに今オウム真理教との関係で住民がやっているように、集団をつくって組織として対抗していく、そういう組織対組織の戦いということになってしまうと思うのですね。  本来は、国家がきちんとそういう組織と個人の間に入って、個人を守るということをしなければならないのに、国家がそういう責任を放棄していれば、身を守るためには何でもせざるを得ない状況になってくると思うのです。今まさに違法すれすれ、あるいはもう違法になっているかもしれない、そういうことを住民に強いている状況です。  これで、オウムのグループが村の中なり町の中なりに入ってきて建物の中にこもり、わからないいろいろなドラム缶とか袋とかが出入りするようになれば、本気で住民が身を守ろうとすれば、これは通信傍受もやらざるを得ないということになるのだと思います。一体どこに何を発注して買っているのかということを、国家がやってくれないのであれば自分たちでやらないと安心できない。実際、個人でもそういうものを秋葉原に行けばかなり必要なものは買えます。  ですから、そうした組織犯罪に対して、国が必要な措置をいつまでもとらないでいるということは、個人が身を守るために逆に組織犯罪をしなければならないような、国全体が無法地帯になってしまう。そういう意味で、本当に真剣に法の支配と民主主義のあり方を考えた場合に、やはり組織犯罪対策の法整備というものは急がれるんじゃないかと思うわけであります。  今審議されている法案の関連の質問に入りますけれども、通信傍受の関係であります。  組織的な犯罪に対処するために、まず、組織的犯罪の重罰化や、またマネーロンダリング行為等の処罰といった、そういう実体法の整備と並んで、手続法の整備として、通信傍受等捜査のあり方について、新しい規定をつくっていくということがこの法案の中にあるわけでありますけれども、まず、組織犯罪対策をめぐる国際的な捜査協力の枠組み、これが今どうなっているか、伺いたいと思います。 <0122>=松尾政府委員= その点につきましては、比較的長い経緯がございます。  組織的な犯罪対策に有効な国際的捜査協力ということで、まず注目されるのは、十年前の一九八九年、平成元年になりますが、アルシュ・サミット経済宣言におきまして、このときは、薬物犯罪の収益没収等の協力を含めた国際的な取り組みが合意されました。顕著な動きとしては、ここに端を発するということが言えるかと思います。  そのときに、その推進を図るために、金融活動作業部会、これは、先日来いろいろ名前が出ておりますが、FATFというものでございます。これが設置されまして、二十六の国と地域、これは香港等が入っておりますので地域が入るわけでございますが、及び二つの機関が参加しまして、資金洗浄に関する包括的な検討がなされました。  その成果は、一九九六年、平成八年でございますが、資金洗浄罪の前提犯罪を、薬物犯罪に加えてその他の重大犯罪に拡大すべきである、これを各国に義務づけるということなどを盛り込みました四十の勧告、これがその後のこういう国際協力の一つのキーワードになるわけですが、四十の勧告が出されました。これがその後のサミットあるいは国連の会議等において支持されるに至っているわけでございます。  他方、一九九四年、平成六年のナポリ・サミットの経済宣言におきましても、資金洗浄を含む国際組織犯罪の増加、合法的な経済活動を支配するための犯罪収益の使用に対抗する国際協力の強化が合意されております。  また、同じ年、ナポリで開催されました、これは国連主催の国際組織犯罪に関する世界閣僚会議でございますが、ここで、国際組織犯罪を防止し、これと戦うことを宣言し、通信傍受等の電子的監視、証人保護等の措置の検討を含む立法その他の措置のガイドライン、それから、国際協力、資金洗浄及び犯罪収益の防止及び規制等についての世界行動計画というものが提唱されまして、これは、その年の国連総会で承認されております。  さらに、一九九五年、平成七年のハリファックス・サミットの議長声明におきまして、同様に国際協力の強化が盛り込まれました。このハリファックス・サミットでは、国際組織犯罪対策を検討するための上級専門家グループというものが設置されまして、組織的犯罪対策についての検討を重ねた結果、国際組織犯罪に対抗するために、各国の法制の改善、国際協力、通信傍受等の手法の効果の強調等を盛り込んだ立法措置の考慮等に関する四十項目の勧告が出され、また現在、国際連合におきまして、組織的犯罪に対処するための国際犯罪条約の起草作業が進められております。その中におきましても、国際的な捜査協力が重要な条項として検討されております。  国際犯罪条約は、翌年度、二〇〇〇年にその成立を企図されておりまして、その中では、実体法、手続法の整備等、多岐にわたる項目が参加各国に義務づけられる、その中には、現在法案の審査をいただいております電話傍受等も、当然整備さるべき法制度として、勧告の中に盛り込まれるということでございます。     〔橘委員長代理退席、委員長着席〕 <0123>=達増委員= 通信傍受の制度について、国連総会やサミットの場でも、その体制を充実させていかきゃならないということが国際的に認められ、かつ、求められているということがわかりました。  まさに、普通の国であれば当然そういう体制を持っていて、国際協力も展開していくということなんでしょうけれども、改めて、諸外国における通信傍受制度の整備の状況、現状について伺いたいと思います。 <0124>=松尾政府委員= これは本委員会でさまざまな形で言及されているところでございますが、組織犯罪というものは、その組織性という、非常に継続性のある、あるいは連続性のある一つの形態ゆえに、大変検挙が困難な犯罪、立証活動あるいは証拠収集が非常に困難な犯罪ということ、これは世界各国共通して認識されているところでございます。  他方で、電話等の電気通信でございますが、これを利用すれば、お互いに行き来することなく、また第三者に知られずに、簡易迅速に連絡をとることができるということから、殺人だとか麻薬あるいは銃器あるいは蛇頭等の密入国事犯等に係る重大な犯罪の実行に関しまして、組織的、密行的に犯罪を実行するための手段としてしばしば利用、悪用といいますか、されてきているところでございます。  このようなことから、これらの組織犯罪の全容を解明しまして、犯行に真に責任を有する者を検挙するためには、犯罪捜査のための通信傍受の制度を導入することが必要である。諸外国においても、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ、イタリアなど、いわゆる主要先進国のすべてにおきまして、傍受の対象とすることができる犯罪、傍受の要件、傍受を行うことを許可あるいは命令する権限を有する者、傍受の期間等を定めた犯罪捜査のための通信傍受の制度に関する法律が整備されております。現在、そうした法制度を持っていない国は先進諸国の中では日本ということになっている次第でございます。 <0125>=達増委員= 通信傍受制度、体制をつくって充実させていくことは、これはいかなる国でも当然やっていかなければならない課題と国際的に認知されているわけでありますけれども、法整備、立法化に当たっては、その国その国の実情に応じた法律というものが考えられて、その国々の社会情勢や歴史等を踏まえた上で、最も効率的にきちんとした形で通信傍受ができるような、そういう工夫が求められ、その結果、こうした今審議されている法案となったと思うわけであります。諸外国の通信傍受体制に比べると、対象犯罪や要件等についてかなり限定的にしていると見受けられますけれども、この点についていかがでしょうか。 <0126>=松尾政府委員= お尋ねの点につきましては、全体として、今政府が提案しているこの電話傍受につきましては、先進諸国における同制度に比較しますと、大変謙抑的だといいますか、捜査機関にとって厳しい制約を付した制度になっております。  それで、簡単に、傍受が許される犯罪をどうしているか、あるいは令状を要求する要件というのは各国どういうふうに考えているのか、あるいは傍受できる期間はどうか、こういったことにつきまして概略を申し上げますと、傍受が許される犯罪につきましては、今回の法案において対象としている犯罪、これはおおむね諸外国の制度では対象犯罪になっております。  これに加えまして、アメリカの連邦法では、電話等と口頭会話、電気通信に限らず口頭会話も傍受の対象となっているわけでございますが、電話等と口頭会話に関して、恐喝、郵便を用いた詐欺、盗品の輸送、マネーロンダリングなど、幅広い犯罪を挙げております。コンピューター通信等については、長期一年を超える拘禁刑が定められた罪を一般に対象としているということでございます。ドイツではどうかといいますと、有価証券の偽造、恐喝、集団窃盗等が、今我が国の法案の対象犯罪にさらに加えてもう少し幅広く対象犯罪になっております。フランスでは、短期十年以上の懲役または禁錮刑で罰せられる罪である重罪のほか、長期十年以下の拘禁刑が法定刑とされるもののうち、二年以上の拘禁刑の軽罪について一般に傍受を行い得るものとしております。  それから、犯罪の嫌疑の要件でございますが、アメリカの連邦法では、傍受を行うことができる犯罪が行われた、行われつつある、または行われようとしている、これは先ほどから、これからの犯罪、将来の犯罪、そういう表現でも言えるかと思いますが、と信ずるに足りる相当な理由ということで、逮捕の要件と同程度ということでございます。ドイツでは、傍受を行うことができる罪を犯し、または犯罪行為によってその罪を準備した者があるという疑いが、ある事実により根拠づけられることが要件とされるということでございます。それからフランスでは、予審判事が予審手続上必要と認める、これは非常に漠然とした、ある意味じゃ広範囲といいますか、それが要件ということになっております。  今回の法案の犯罪の嫌疑に関する要件としては、今御審議いただいている法案では、十分な理由を要するものとしまして、逮捕の要件である相当な理由よりも厳格なものとこの法案ではしておりまして、諸外国と比べても十分に厳しい要件を課しているということが比較的にも言えるかと思います。  次に、傍受のできる期間でございますが、アメリカでは連邦法で三十日以内、イギリスでは二カ月以内、ドイツでは三カ月以内、フランスでは四カ月以内とされております。  また、傍受ができる期間の延長あるいは更新の問題でございますが、アメリカの連邦法では、延長の期間は三十日以内でございますが、延長の回数には制限がございません。イギリスでは、国家の利益のためまたは連合王国の経済の安定のため必要があるとされるときは、六カ月の範囲内で延長できる、それ以外のときは、一カ月の期間、令状の更新が可能でございます。ドイツでは、延長の期間は三カ月以内でございますが、延長の回数には制限がございません。フランスでは、四カ月を限度として、更新ができ、更新回数にはやはり制限はございません。  これに対しまして、今回の法案においては、傍受ができる期間を十日以内とされております。十日以内の期間で延長ができるものとしておりますが、最初の期間も含めて最大限で三十日を超えることはできないものとしております。同一の事実に関する同一通信手段について、傍受令状は、さらに傍受を必要とする特段の事情があるときに限り発付することができるということで、ここにももう一つ要件を課しているということでございます。  このように、今回の法案においては、諸外国の立法例と比べて、対象犯罪や期間を限定し、かつ犯罪の嫌疑が十分な場合に限って通信傍受を行えることとするなど、傍受の要件を厳格に定めることによりまして、通信の秘密の制約を必要最小限の範囲に限定しているものというふうに御理解いただきたいと思います。 <0127>=達増委員= 国際社会で失敗しない秘訣、通俗的な表現になりますけれども、特段の理由、事情がない限り、ほかの国がやっているようにやるということが言えるんだと思うのです。過去の日本の歴史の失敗例、あの悲惨な戦争等を思い返しましても、日本だけが特別で、ほかの国がやらないようなことをやらなきゃとか、そういうところに日本が国際的に失敗した原因があると思います。  日本人だけが特段に警察というものを信頼できないようにしているとか、あるいは日本人だけが特段に通信傍受なしでも、組織犯罪がそんなに蔓延しないで平和に暮らしていけるとか、そういう極端な考えを排し、やはり諸外国並みに、警察というもの、一〇〇%誤りがないとか、たまには悪い警察の人というのもいるかもしれませんけれども、それはあってはならないことなのですが、だからといって、警察というものをおよそ頼らずにやっていても、日本人はお互い仲よくするのが本質だから、世の中大丈夫だろうという極端な考えで、何もしないでほうっておくというのも、これは非現実的。  どの国も、国家権力、警察というものと庶民というものがそれなりの折り合いをやって、その中で工夫と努力を重ねながら、治安、安全といったものをつくってきているわけでありますから、この際我が国も、今までやったことのない通信傍受ではありますけれども、恐れずにその世界に飛び込んで、国家、警察と庶民の間で新しい信頼関係をつくっていく、そういうときなのだと思います。  以上で私の質問を終わります。 <0128>=杉浦委員長= 次に、菅義偉君。 <0129>=菅(義)委員= 自由民主党の菅であります。  早速質問をいたします。  私は、本予算案が成立をすると、いつも地元で国政報告会というのを実はやっております。月曜日と金曜日の夜、私が約一時間国会の情勢を報告して、三十分質疑応答に充てている。町内会館でありますけれども、約五十人ほど集まった中で行います。実は、一昨年、一番質問の多かったのは郵政三事業の民営化でした。そして昨年は、この銀行は大丈夫かどうかという、金融システムに関する問題でありました。私、ことしはガイドライン法案、これは国会の審議中でありますから、当然防衛問題が中心であろうと実は思っておりましたけれども、大臣、一番質問があったのはオウム真理教の問題なのです。多くの国民がこの教団に対してかなりの関心を持っている、私自身、これを痛切に感じたわけであります。  確かに、この教団は、地下鉄サリン事件を初め、数々の事件を起こしています。にもかかわらず、全く反省も謝罪もいたしておりません。そして、麻原が勾留されているあの東京拘置所を聖地として信者が参拝をする、周辺に数多くの信者が住んでいるということも伺っております。そして、当局の資料によれば、出家信者が五百人以上、在家が千人以上おって、活発に活動をし始めています。そして、関東近県においては、地域の住民とトラブルを数多く起こしております。住民の皆さんや地方自治体は、自分たちの平穏な生活を守るために、オウム真理教と全面的に、矢面に立って対決をしておるわけであります。  そうした中で、なぜ国が何もやらないのだ、国は早く何らかの手だてを打つべきではないか、これが多くの国民の声であると私は思いますけれども、このことについて大臣はどのような見解をお持ちであるのか、お尋ねをします。 <0130>=陣内国務大臣= オウム真理教が、危険な体質を今なお維持したまま、豊富な資金を背景に新たな拠点を獲得するなど活動を活発化させており、同教団に対する国民の不安や危惧の念は依然として払拭されていないため、その活動拠点の周辺住民とのトラブルも絶えない状況にあると認識しております。これまでにも、多くの自治体の方々、国会議員の方々、地方議会の皆様方、このようなことで大変御苦労、御心配なさっておられる皆様方がおいでになりまして、その状況をつぶさに伺ったわけでございますが、まさに委員の御指摘のようなお気持ちで皆様いらっしゃったわけでございます。  そこで、オウム真理教への対応措置につきましては、法務省を含め、関係各機関が連携をとりつつ、それぞれの立場から問題解決に向けて対処していく必要があるというふうに考えておりまして、今後のオウム真理教の教団の動向いかんによっては、破壊活動防止法に基づく規制処分を再度請求することも念頭に置いて、公安調査庁に厳重な調査、監視活動を行わせておるところでございますし、また、破防法の改正についても真剣に検討をさせているところでございます。 <0131>=菅(義)委員= 私も先ほどの達増議員と同じように、今日の事態を招いたのは破防法の適用が見送られた、そういうことであると思っています。しかし、現在の法律でオウムの活動を規制していくというのは極めて難しいことであると思います。  そういう中で、住民は二十四時間の監視体制をしく、あるいは地方自治体は住民登録を拒否する、裁判をすれば負けるかもしれない、そういう中で皆さんは戦っておるわけであります。そういう中に、今大臣が、関係省庁が緊密な連絡をとる、そういう答弁がありましたけれども、やはりそのことが今できることとして一番大切なことであると私は思っています。  例えば、警察は監視体制を強める、そして税法や破産法や労基法、この三種の網をかける。税法では、関連会社を含めた教団の金の動きを押さえることができます。あるいはまた破産法では、徹底して隠し財産を調査してほしい。そして労基法では、劣悪な条件下で働いていると言われています労働問題、このことに対して問うことは可能であると私は思っています。特に、去る十八日に、長野県警が強制捜査に踏み切りました。どんな小さいことであっても、法律に違反をするならば必ず強制的な捜査をする、警察の強い意思表示であったと思っていまして、私はこのことに深く敬意を表するものであります。  そこで質問をいたしますけれども、一連のオウム真理教の事件の反省から、警察法の一部を改正して、他県にまたがる広域捜査が可能になったと思いますけれども、現在はどのようになっているのか、お尋ねをします。 <0132>=林(則)政府委員= 御指摘のとおり、オウム真理教関連事件のような広域組織犯罪等に迅速かつ適切に対応するために、平成八年に警察法を改正いたしまして、都道府県警察の管轄区域外における権限行使に関する規定や国家公安委員会等の権限に関する規定の整備を行ったところであります。また、それに先立つ平成六年におきましても警察法を改正しまして、犯罪の広域化等に効果的に対応するための都道府県警察相互間の関係等に関する規定の整備を行っております。  こうした法制面の措置を踏まえて、警察におきましては、必要に応じ、関係都道府県警察間の合同捜査本部を設置して事件捜査に当たっており、この合同捜査本部の運営は、事案の共同処理に係る指揮の一元化というようなことによって、効率的に実施されておるのが現状でございます。  これらの措置によりまして、警察といたしましては、広域組織犯罪等に有効に対応し得るものと考えておりますけれども、今後とも、不断に変化する、オウムをも含めたこういった諸情勢に的確に対処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。 <0133>=菅(義)委員= いずれにしろ、警察庁が中心となって、他の省庁との連携を深めていく、そう思いますけれども、これについても、具体的にどのように行っておるのか、お尋ねをしておきます。 <0134>=瀬川説明員= オウム真理教に対しまして、警察といたしましては、住民の平穏な生活を守り、公共の安全を確保するという立場から、警戒警備を強化しておりますほか、教団の違法行為については厳正に対処するなど所要の措置を講じ、地域の方々の不安感の除去に努めているところでございます。  お尋ねの関係省庁との連携でございますが、内閣官房を中心に警察庁、公安調査庁、国税庁、労働省、自治省等の関係省庁がそれぞれ連携を密にいたしまして協議を進めているところでございます。警察庁といたしましては、オウム真理教の現状等に関する情報をこれらの関係省庁にできるだけ提供いたしまして、オウム真理教に対する共通認識をそれぞれが持つように努めているというところでございます。 <0135>=菅(義)委員= 労働省にお尋ねをしますけれども、オウム関連企業の労働環境の実態について調査をされているのかどうか、お尋ねします。 <0136>=伊藤(庄)政府委員= お尋ねのございました労働基準法上の問題でございますが、私ども、労働基準法は、いわば労働契約を結んで働いておられる方についての保護を図る法律でございまして、宗教上の信仰等に基づく奉仕活動等の場合には一般にそういった労働関係が認められない、こういった問題もございます。  私ども、警察等からいただいた情報をもとに、その辺の問題について検討また情報の収集等に当たっているところでございます。その辺をまず詰めてみないと、労働基準法上与えられている労働基準監督官の権限等の範囲を超えてしまうこともありますので、まずその辺につきまして、私ども急ぎ検討し詰めさせていただいて、先生御指摘のようなことも念頭に置いて、今後の対応を検討させていただきたいと思っております。 <0137>=菅(義)委員= オウムのパソコン工場で働いている信者の月給というのは八千円程度である、こういうケースも実はあるようであります。最低賃金や労働管理の面からも私は調査してもおかしくない、こう思っておりますので、強く要望いたします。  次に、国税庁にお尋ねしますけれども、オウムの関連会社というのは四十社ある、こう言われております。関連企業の不透明な財務状況を徹底して追及す