第145回国会 法務委員会 第22号 1999年07月27日       (1999年08月18日 08:00 登録) 平成十一年七月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  七月二十二日     辞任         補欠選任      佐々木知子君     井上  裕君  七月二十三日     辞任         補欠選任      亀井 郁夫君     有馬 朗人君  七月二十六日     辞任         補欠選任      有馬 朗人君     斉藤 滋宣君      井上  裕君     脇  雅史君      角田 義一君     内藤 正光君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         荒木 清寛君     理 事                 鈴木 正孝君                 服部三男雄君                 円 より子君                 大森 礼子君                 平野 貞夫君     委 員                 阿部 正俊君                 斉藤 滋宣君                 世耕 弘成君                 竹山  裕君                 仲道 俊哉君                 脇  雅史君                 海野  徹君                 小川 敏夫君                 千葉 景子君                 内藤 正光君                 橋本  敦君                 福島 瑞穂君                 中村 敦夫君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 恒男君    参考人        株式会社東京デ        ジタルホン専務        取締役技術本部        長        桑折恭一郎君        東日本電信電話        株式会社常務取        締役技術部長   森下 俊三君        東京インターネ        ット株式会社上        級顧問      高橋  徹君        ニフティ株式会        社取締役サービ        ス企画統括部長        代理       本名 信雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関  する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百  四十五回国会衆議院送付) ○犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案(第  百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆  議院送付) ○刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百四十  二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送  付) 平成十一年七月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  七月二十二日     辞任         補欠選任      佐々木知子君     井上  裕君  七月二十三日     辞任         補欠選任      亀井 郁夫君     有馬 朗人君  七月二十六日     辞任         補欠選任      有馬 朗人君     斉藤 滋宣君      井上  裕君     脇  雅史君      角田 義一君     内藤 正光君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         荒木 清寛君     理 事                 鈴木 正孝君                 服部三男雄君                 円 より子君                 大森 礼子君                 平野 貞夫君     委 員                 阿部 正俊君                 斉藤 滋宣君                 世耕 弘成君                 竹山  裕君                 仲道 俊哉君                 脇  雅史君                 海野  徹君                 小川 敏夫君                 千葉 景子君                 内藤 正光君                 橋本  敦君                 福島 瑞穂君                 中村 敦夫君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 恒男君    参考人        株式会社東京デ        ジタルホン専務        取締役技術本部        長        桑折恭一郎君        東日本電信電話        株式会社常務取        締役技術部長   森下 俊三君        東京インターネ        ット株式会社上        級顧問      高橋  徹君        ニフティ株式会        社取締役サービ        ス企画統括部長        代理       本名 信雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関  する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百  四十五回国会衆議院送付) ○犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案(第  百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆  議院送付) ○刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百四十  二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送  付)     ───────────── <0001>=委員長(荒木清寛君)= ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る二十二日、佐々木知子君が委員を辞任され、その補欠として井上裕君が選任されました。  また、去る二十三日、亀井郁夫君が委員を辞任され、その補欠として有馬朗人君が選任されました。  また、昨二十六日、有馬朗人君、井上裕君及び角田義一君が委員を辞任され、その補欠として斉藤滋宣君、脇雅史君及び内藤正光君が選任されました。     ───────────── <0002>=委員長(荒木清寛君)= 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として株式会社東京デジタルホン専務取締役技術本部長桑折恭一郎君、東日本電信電話株式会社常務取締役技術部長森下俊三君、東京インターネット株式会社上級顧問高橋徹君及びニフティ株式会社取締役サービス企画統括部長代理本名信雄君の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 <0003>=委員長(荒木清寛君)= 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── <0004>=委員長(荒木清寛君)= 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、三案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、四名の参考人から御意見を伺います。  まず、午前中御出席をいただいております参考人は、株式会社東京デジタルホン専務取締役技術本部長桑折恭一郎君及び東日本電信電話株式会社常務取締役技術部長森下俊三君でございます。  この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  両参考人から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方でございますが、まず桑折参考人、森下参考人の順にお一人二十分程度ずつ御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたしたいと存じます。  なお、参考人の意見陳述、各委員からの質疑並びにこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、桑折参考人からお願いいたします。桑折参考人。 <0005>=参考人(桑折恭一郎君)= 東京デジタルホンの桑折でございます。よろしくお願いいたします。  それでは、お手元に「PDC携帯電話の概要」という資料があるかと思いますが、その資料に沿って説明をさせていただきます。  御承知のとおり、携帯電話というのは世界的には幾つかの方式がございますが、PDCというのはその中で主としてドコモさんが中心として開発されました日本独自の方式でございます。日本の特徴を生かしておりまして、周波数の使用効率が非常にいいというところが特徴になってございます。それの概要を説明させていただきます。  まず第一ページでございますが、システム構成といたしましては、ここの図に書いてございますように、各基地局というのを都心でいきますと主としてビルの屋上等に設置しておりますが、郊外に行きますと、鉄塔を建ててそこに基地局があります。それを伝送集約局というところまで有線でつなぎまして、あと私どものネットワークセンターというところまで結ばれております。こちらのネットワークセンターの中に、後ほど説明させていただきます交換機なりその他各システム等が入ってございます。  それでは、二ページ目をごらんいただきたいと思います。  ネットワーク構成でございますけれども、下の方から説明させていただきますと、移動機、これがいわゆる携帯電話と言われている電話機でございます。それからあと、基地局がありまして、基地局から先が有線で持ちまして、その上に書いてあります移動体用交換機という交換機につながれております。移動体用交換機と基地局の間は光ファイバーその他で結ばれております。  それから、その上にゲートウェイ交換機というのがございますが、直接そのゲートウェイ交換機には基地局は接続されておりませんで、NTTさんなりそれから他の携帯電話事業者さんとの間をPOIという事業者間の接続点を経由いたしまして接続をしております。  あと、その右側にホームロケーションレジスタというのがございますが、これは各移動機の、東京デジタルホンでいきますと東京デジタルホンに加入されているすべてのお客様に対する電話機の情報が入っておる。特に、一番その情報の中でも重要なのが今各電話機がどの場所にいるのかということを特定するための情報等が入ってございます。  あと、その上に留守番電話センターというのがございますが、これは今東京デジタルホンの場合ですと、加入していただいたお客様につきましては、基本的にはすべて無料で、かけた相手の移動機につながらない場合に留守番電話にお客様のメッセージを入れるというサービスをしておりますが、そういったシステムでございます。  それからあと、最近、私どもは商品名でスカイウォーカーという名前で言っておりますが、いわゆるデータ系のメールサービス、それをとり行いますための文字通信センターというようなシステムでございますが、そういったものを持っております。  それから、三ページ目をごらんいただきたいと思います。  いわゆる移動体通信というのは、セルラーという会社名がございますけれども、この方式そのものがセルラー方式という名前で、これは総称の名前で言っております。ここの三ページ目の一番下に六角形の図が幾つか書いてあるかと思います。それで、こちらの基地局一つについて、私どもの会社でいきますと六角形の単位というもの三つを持つことを基本としております。この一つをセルという名前で呼んでおります。このセル単位にある数だけお客様が同時に通話できるというための無線機を持っております。  事業者さんによりましては、これが一つの基地局で三つではなくて六つのセルを持つという方式を使われているケースもございます。基本的に考え方としては同じものでございます。  それで、私どものTDPの例でいきますと、これらの移動体通信を行うために十メガヘルツという帯域の電波を私どもは使わせていただいていまして、全部で三百九十八種類の周波数を使うことができます。この周波数一つ一つに無線機が一つつきまして、私どものシステムでは一つのセルに最大十五の無線機を積むことが可能になっております。すなわち、十五の周波数を使って十五の無線機を使うことができます。それで、一つの無線機では時分割多重といいまして、一つの無線機ではフルレートという音質のいい、伝送方式でいきますと三つの音声を同時に接続することが可能になります。それから、ハーフレートというのはその倍の容量を持っておりまして、音質は多少落ちますが、一つの無線装置で六チャンネルつくることが可能です。ですから、最大のセルの大きさでいきますと十五掛ける三の四十五チャンネルということになりますが、そのうちの最低一チャンネルは制御用として使いますので、一つのセルで同時に話ができるお客様の数というのは四十四人までが最高の場合でございます。郊外等に行きますとフル実装しておりませんので当然これより下がりますが、セルの最大のキャパシティーとしては四十四チャンネルというふうになってございます。  それでは、四ページ目をお願いしたいと思います。  移動体と固定電話の一番の違いは何かということでございますが、移動体の場合は一台一台の電話機というのが電話番号を持ってございますけれども、これは絶えずお客様が電話機を持って移動されるわけです。ですから、固定電話ですと、交換機から回線が出ておりますが、その先につながっている電話機というのは全部固定的につながれておりまして、交換機は交換機側の出回線の番号でもってその先につながれている電話番号というものをつかむことができるわけです。  ただ、移動体の場合ですと、交換機から出ておる出回線というのは、どの基地局のどのセルの何番目の無線機の、先ほど申し上げましたように、一台の無線機で三チャンネルあったとしますと何チャンネル目かと、それについては全部固定的にそこまでは線がつながれております。その先、どのお客様がそのチャンネルを使うかというのはその都度変わってきておりまして、固定的に電話番号と交換機の間の対応というのができないわけで、実際に通話する場合には電話機と交換機から出て最後に無線装置の出口のところに行く回線までを結びつけるという作業が必要になります。  その結びつける仕事のためにどういうことをやるかというと、まず位置の登録という仕事がございます。電話機を持って移動しますと、位置登録エリア、これは一般的に複数のセル、十とか二十とかというセルをまとめて一つの位置登録エリアとしておりますが、そこの中で今どこの位置登録エリアにいるのかということを各端末は中央側に登録するという作業が入ります。この図でいきますと、左側の位置登録エリアにいました移動機Aが位置登録エリアのAダッシュという方に移った場合には、そのタイミングで交換機に向かって位置登録要求というものをしまして、その位置登録要求の結果が先ほど申し上げましたホームロケーションレジスタというところに位置登録エリアのエリア番号というもので登録されます。これによって複数のセルのあるグループの中のどこに今この電話機がいるのかということをネットワークとして把握することができるわけです。これが一番最初に接続のためにやる仕事でございます。  それから、五ページ目をごらんいただきたいと思います。  電話機を持って移動した場合にどういうことが起きるかということでございますが、あるセルから隣のセルに移ってまいりますと、もとのセルの電波が距離が離れるに従ってだんだんと弱くなってまいります。逆に、隣のセルに近づいていくと隣のセルの電波がだんだん強くなっていく。それがある一定の差になりますと、電波の強い新しいセルにチャンネルを切りかえるという仕事が必要となってまいります。それが、ここに書いてありますように、ある左側のセルから右側の方のセルに移動した場合のチャンネルの切りかえという事柄でございます。これが起きた場合には、先ほど言いましたように、ホームロケーションレジスタに新しいエリアに移動したという情報が更新されるわけでございます。これは、俗にセルの間を移動する言葉としてハンドオーバーという用語を使っております。  それから、六ページ目の説明をさせていただきます。  まず、先ほど申し上げましたように、移動機というものが大体どこにいるのかということは、位置登録要求ということでホームロケーションレジスタというところに登録されているわけですけれども、左側のAという端末からBという端末に通話をしようといったときにどういう制御の流れになるかというのがこの六ページ目の図でございます。これにつきましては、Aの端末は発信する側、それからBの端末はAの端末から呼ばれる受信側ということでございまして、発信側の制御と受信側の制御が若干違いますので、それぞれについて説明をさせていただきます。  発信側の方が一般的にはコントロールとしては簡単でございまして、端末から相手番号をセットしまして発信ボタンを押しますと、その端末から基地局に対して発信要求がなされるわけでございます。そうしますと、基地局はセルの中のあいているチャンネルというものを探しまして、それとAの端末機を結びつけます。それによって、基地局の何番目の無線機の何チャンネルの通話チャンネルがこの無線機で使われたのかということが初めて対応づけができまして、その情報は左側の移動機用交換機1というところにも情報が通報されまして、このとき初めてこの交換機からの出線に対して〇九〇の何番という端末がつながっているということを移動機用交換機1でつかむことが可能になっております。  それで、接続の問題でございますが、下の枠の@に「Aの認証」という言葉が書いてございます。これはどういうことかと申しますと、移動機の〇九〇の番号というのが仮に解約されたといった場合には、基本的に私どもは最低六カ月間の期間をもって同じ番号を再度使うということになります。そうしますと、また同じ番号が使えてしまうわけですけれども、もしそのときに前のお客様が持っていた端末で同じ番号だったといったときに使えてしまうと請求がおかしなことになってしまう。それから、もっと言いますと、クローン端末という同じ番号を持った端末をだれかがつくってしまうと、〇九〇の何番といいますともうほとんど番号はいっぱいになっていますので、大体どこかの番号に当たることができる。  そういうことができますと非常に不正のもとになりますので、新しいお客様に端末をお渡しするに当たりましては、電話機の番号とともに認証の番号というものを端末機とホームロケーションレジスタの両方にセットしておきます。ですから、接続の段階で、端末の電話番号だけでなくて認証番号も一致したときに初めてその電話機が使える状態になります。ですから、先ほども言いましたように、仮に六カ月前に持っていた同じ番号があった場合には、その認証番号が違いますのでその端末から発信しても接続はできない、不正の状態にはならないということでございます。これが発側の接続の問題でございます。  着側はどうかといいますと、先ほど申しましたように、Bの端末というのはあらかじめ位置登録というものをホームロケーションレジスタなり交換機の2というのに登録がされております。それで、Aの端末から着側の電話番号をホームロケーションレジスタに聞きに行きますと、これがどの交換機のどのロケーションエリアの中にあるのかということがわかりまして、該当する交換機に対して接続の要求を出します。それから後、基地局は複数のあるグルーピングされたセルに対して、この着側の番号がいたら応答しろという命令を一斉に出します。  違った電話機でもそれを受けますが、それは自分の番号と違うということがわかりますから、その電話番号は無視しますけれども、たまたま呼ばれた電話機だけがこれは自分の番号だということがわかりまして、基地局に対して今呼ばれた番号は自分の番号だという形の信号を返します。それを基地局から交換機の2の方に返しまして、それによって初めて電話機のAとBというものが接続されるという形になります。これが接続の概要でございます。  あと、最後の三枚は接続の問題ではなくて、音声というものがどういうふうに運ばれるのかということでございます。  一般的に、これは固定電話でもそうなんですが、電話というのは三・四キロヘルツという幅までのアナログ信号で行きますと人間の声を明瞭に聞くことができるということで、固定電話も全部これだけの帯域のアナログの信号をやりとりしているわけです。それをデジタル化する場合は、一応四キロという幅でもちまして、一秒間に六十四キロビットという信号に変換します。一般的な交換機は全部六十四キロビットで回線の交換をやるということでございます。  ところが、移動体通信の場合、その六十四キロビットで端末とやりとりをしようとしますと、音質的には非常にいいんですが、無線の波を非常にいっぱい使わないといけないということで、そのために六十四キロビットを聞き取れる範囲内で圧縮という形の処理をかけます。現在、PDCの場合ですとフルレートで六・七キロビット・パー・セカンドという形まで圧縮をかけます。それから、ハーフレートで行きますと三・四五キロビット・パー・セカンドに圧縮をかけます。それによって電波を非常に有効に利用しようということでございます。  この端末の中には、ですから、きょう時点でいきますと、フルレートの圧縮変換のソフトとハーフレートの圧縮変換のソフトの二つが入っております。移動機から交換機のところまではその信号でフルレートもしくはハーフレートで行きまして、これが例えばNTTさんの固定網なんかと接続する場合には、そこで六十四キロビットに変換する、それを、左方にコーディック変換と書いてありますが、それによって六十四キロビットに直してNTTさんの方に接続するという方式をとってございます。  それから、八ページ目でございますが、これは移動体事業者をまたがる場合でございますが、この場合は二つケースがございまして、先ほど言いましたように、例えばフルレートなりハーフレートなりがどちらも同じチャンネルをつかんだ場合には、この左側の音声圧縮方式Aという形でその信号を六十四キロビットに途中で直さずに、そのまま相手側の端末にまで六・七キロビットなり三・四五キロビットで移動機のところまで届けて、その移動機側で音声に変換するという方式をとります。これが圧縮方式が同じ場合でございます。  それから九ページ目の場合は、例えば片側がフルレートのチャンネルをつかんだ、それから片側がハーフレートのチャンネルをつかんだといった場合には、そのままで相手側の端末に届けることができませんので、左側の音声圧縮方式Aというのが仮にフルレートといたしますと、相手側はこれはフルレートの圧縮をしていないなということがわかりますと、移動体通信事業者Aのところで六十四キロビットという基本的なデジタル信号に一たん戻しまして、それからさらに移動体通信事業者C側の交換機で今度はハーフレートだということで三・四五キロビットにまた再度変換して移動機の方にハーフレートで出していくというような方式になります。  これらはいろいろな組み合わせがございますし、これはちょっと静的に書きましたけれども、先ほど言いましたように、移動機を持って移動した場合に、今までフルレートでつかめた場合は、隣のセルに行った途端にフルレートではなくてハーフレートしかなかったといった場合には、途中からフルレートからハーフレートに変えるというようなケースもございます。  いずれにしても、こういうことで発側から着側までの接続ということができますし、特に音声方式の圧縮というものは、これはフルレート、ハーフレートについては日本の場合、PDCでは全部統一されておりますので方式は同じでございますが、基地局から移動機の間につきましては圧縮した信号をさらにスクランブルという形で一般の人に盗聴が簡単にできないようなランダマイズをして送っておりますので、デジタルの場合は非常に盗聴等について信頼性が高いというところがここにあるわけでございます。  以上、PDCの原理というのを簡単に説明させていただきました。 <0006>=委員長(荒木清寛君)= ありがとうございました。  次に、森下参考人にお願いいたします。森下参考人。 <0007>=参考人(森下俊三君)= ただいま御紹介いただきました東日本電信電話株式会社の森下でございます。  本日は、通信傍受法案が成立した場合に通信傍受を行うことが可能なのはどこか、技術的にどういったところが可能なのかということを中心に御説明させていただきたいと思います。座って御説明いたします。  御承知のとおり、弊社ではいわゆる固定電話サービスを御提供いたしておりまして、そのためにさまざまな電気通信設備を設置しております。弊社の電気通信設備のうちで通信傍受を行うことが可能な場所、これは何カ所かに限定されますので、その部分につきまして技術的な側面から御説明を申し上げたいというふうに思っております。  お手元にあらかじめ「電話回線における通信傍受について」という一枚紙の資料をお配りしてございます。この資料は上段と下段に分かれておりますが、上段がアナログ回線、これは電気通信サービスのうちで従来の一般の電話サービスというものでありますが、資料上はアナログ回線と表現いたしております。下段は総合デジタル通信サービス、私どもがISDNと称しているものでありますが、資料上はデジタル回線と表現いたしております。  この資料では、説明上、一般的な設備の形で表現してありますので、実際はお客様の建物の状況、一戸建て、マンションあるいはオフィスビル等によって若干形態が異なっております。ただ、原理的にはすべて同じでございますので、代表的なケースで御説明させていただくということをあらかじめ御承知おき願いたいというふうに思います。  まず、設備の状況でございますが、お客様宅のところに電話機がございまして、それから引き込み柱と書いてありますところ、これがNTTのケーブルに接続する引き込み線と言われているものであります。引き込み柱から、電柱の絵がかいてありますが、これは架空のケーブルでありまして、それを経由いたしまして地下の太いケーブルの方へ接続されていく。最終的にはNTTのビルのところで地下のケーブルがビルの中で立ち上がりまして、主配線盤というところでケーブルが全部終端される。ここは端子板がありまして、全部一本一本のケーブルがここで接続されるわけであります。片一方、NTTビルの中には交換機というのが設置してありますが、交換機の方から交換機の回線が同じようにこの主配線盤のところに全部終端されまして、ここを接続することによりまして電話機が交換機に接続されるということでございます。交換機から右側のところはNTT中継網とありますが、中継伝送路を経由いたしまして中継交換機に接続されていく、あるいは他事業者へと書いてありますところは、ここにPOI、他の事業者との接続場所、ポイント・オブ・インターフェースと言っておりますが、POIを経由いたしまして他の電気通信事業者のネットワークにつながっていく、移動体ネットワーク等へつながるという形でございます。  それでは、まず初めに資料上段のアナログ回線の部分について御説明を申し上げます。  一つ目は、資料上で@の引き込み柱と書いたところであります。この引き込み柱と申しますのは、先ほど御説明いたしましたケーブルとお客様の家にあります電話機をつなぐところに設置してある電柱でございまして、引き込み線は二本の導線でもって接続されておるわけでありますが、引き込み柱のところにはケーブルと申しまして、平均的には百台の電話が接続されるケーブル、ですからこれは二百本の電線、導線が束になっておるわけでありますが、そういったものと接続する場所であります。  ここのところに黒く四角の記号がつけてありますが、これは端子函と申しております。これは何かと申しますと、先ほど御説明いたしましたように、このケーブルの方は二百本あるいは四百本という電線がずっと延びてきておりますので、その中からお客様のところへつなぐというために端子板で接続するようにしておりまして、その端子板を入れる函でございます。電柱の上に長方形の黒い函があるのをよくごらんになると思いますが、その部分でございます。  通信傍受を行う方法といたしましては、この端子函の中の通信傍受の対象となる回線の端子、これにクリップなどを用いまして物理的に捕捉するという方法がございます。しかしながら、この引き込み柱というのは一般的には道路の上にあったり、あるいはお客様の敷地内に設置されているということでございますので、そういったことを考慮いたしますと、本法案にございます通信傍受を行う箇所としてふさわしいかどうかという面では疑問であると考えております。  それから、先ほどの引き込み柱から電話ケーブルと書いてある部分、主配線盤までの部分につきましては、たくさんの電線が一本のケーブルにまとめてありますので、基本的には通信傍受を行うためにその当該の回線に割り込むということは極めて困難であるというように考えております。  二つ目の場所は、この図のAの主配線盤、MDFと記載してある部分でございます。このMDFと書いてあります部分は、先ほど御説明いたしましたように、お客様のところからのケーブルが全部集まってまいりますので、普通の局ですとここに何万本あるいは何十万本の電話線が全部立ち上がってまいりまして、それが端子板で全部終端をいたします。一本一本の導線が全部そこに接続されるということでございます。そういったことで、この主配線盤におきましては一対一で電話と対応しておりますので、通信傍受の対象となる回線の端子を物理的に捕捉して通信傍受を行うことは可能でございます。後ほど御説明いたしますが、アナログ回線を対象とした通信傍受はこのAの主配線盤で行うのが妥当ではないかというふうに私どもは考えております。  三番目は、資料上のB、試験制御装置と記載してある箇所についてでございます。試験制御装置と申しますのは、電話を利用していただいておりますお客様から、利用している回線のぐあいがよくない、ダイヤルをしてもうまくつながらないとか、故障しているんではないか、そういったことでお申し出をいただいた場合に、故障調べということを行います。あるいはお客様から電話設置の御要望をいただいた場合に、その設置の工事を行った後で、ちゃんとその電話がきちんと使えるかどうかを試験するための装置でございます。  故障調べといいますのは、通常、お客様が故障のときには一一三番をダイヤルしていただきますと私どもの試験センターの方に接続されまして、そこでお客様の電話機が故障しているのか、電話機からNTTのビルに入ってきている途中のケーブルのところで故障が起こっているのか、あるいはケーブルではなくてNTTビルの中の交換機等が故障しているのか、それを切り分けることでありまして、そういった試験機能を持っているものがこの試験制御装置というものでございます。  資料上ではパソコンの図柄でかいてございますが、試験制御装置そのものは実は交換機と同じような装置になっておりまして、試験制御装置を操作するための端末がこのディスプレーのような絵でかいてあるということでございますので、そういうふうに御理解いただければ結構です。ちなみに、下段のデジタル回線のところの試験制御装置につきましても同じような装置のつくり方になってございます。  それでは、この試験制御装置を用いて通信傍受を行うことができるかどうかということの御説明をいたしますと、私どもでは、先ほど申しましたように、故障調べの場合に行う試験の方法として、これは幾つかの方法があるわけでありますが、お客様が一一三にお電話をしていただきまして、そこでその通話の状態がいいかどうかというのを見ないといけませんので、そういった意味で通話状態をモニターすることができるようになっています。  それはどうやってやるかといいますと、この端末装置から該当の回線に番号をダイヤルして割り込みますと、その状態でお客様の通話をモニターするということができるわけであります。もちろんこれは一一三をかけてきたときに試験いたしますが、一般にお客様が電話をしていただいているときに割り込むこともできるということでございます。  この方法をとって通話のモニターを行っておりますと、これは試験を行うことが目的でございますので、お客様が外部に電話をおかけになる、電話発信するということが可能になっております。そういう発信状態で試験をしないといけませんので、外部へ発信することが可能でございますが、その状態では逆に今度は当該回線にほかの方、第三者の方が電話をかけてきた場合にはこれは待ち受け状態ということですが、接続することができない仕組みになっております。これはもともと試験機能ということでそういうふうになっておりますので、あらかじめその回線に割り込んでおりますと、その回線には着信ができないということでございます。そういったことで、この資料の上の方に吹き出しで、「通話中に割込むことは可能。待ち受けは不可能」と書いてあるのはそういうことでございます。  したがいまして、参考までに申し上げますと、本法案にございます通信傍受を行うためにこの試験制御装置を利用するということは現実的ではないというふうに考えております。  次に、資料下段のデジタル回線の場合について御説明申し上げます。  まず、既に御案内のとおりでございますが、アナログ回線とデジタル回線では回線の中を流れる信号が全く異なっております。具体的に申し上げますと、デジタル回線の場合には、NTTの交換機のところからお客様宅内に設置してありますDSU、これは下に訳語が書いてありますが、デジタル回線終端装置というものでございますが、この間はすべてデジタル信号になっております。このため、この@の引き込み柱あるいはAの主配線盤といったところで通話のモニターを行いましても、アナログ回線のように音声として認識することはできません。デジタル信号ですので、傍受をしても一般にはブーンといった雑音のような音しか聞こえないということでございます。  したがいまして、資料下段の@の引き込み柱あるいはAの主配線盤と記載してある箇所で通信傍受を行うということは通常できないと考えております。  次に、Bの試験制御装置というところでございますが、デジタル回線用の試験制御装置につきましては、デジタル信号を試験するということから、お客様が通話しているときに当該回線に割り込んで通話のモニターを行うことが可能であります。これはアナログと同じでございますが、さらに通話のモニターを行うために対象回線を捕捉している、あらかじめその回線を捕捉している状態でお客様が外部に発信することも可能でございますし、それから着信も可能になります。  アナログ回線の場合ですと、あらかじめ捕捉していると着信が不可能だという御説明をいたしましたが、デジタル回線の場合にはデジタル信号というのが、上り信号、あるいは下り信号といいますか受ける信号、こういった両方のデジタル信号を試験しないといけない。データが誤っているかどうかをチェックするということが必要になりますので、通話に影響しないようモニターしているため、発信、着信とも可能な形になっております。そういったことで、この資料上では吹き出しが書いてありますが、「通信中に割込むことは可能。待ち受けは可能」、こう書いてあるのはそういう意味でございます。  このようなことから、御参考までに申し上げますと、デジタル回線の通信傍受を行おうとする際にはこの試験制御装置を利用することが現実的であるというように考えております。  以上、アナログ回線とデジタル回線、それぞれにつきまして技術的側面から御説明申し上げました。これら以外に交換機など各種の電気通信設備がありますが、それにつきましてはすべてデジタル化されておりますので、個々の回線ごとに通信傍受を行うということは実質的に不可能であるということを申し添えさせていただきたいというように思います。  御説明は以上です。  どうもありがとうございました。 <0008>=委員長(荒木清寛君)= ありがとうございました。  以上で参考人の意見陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 <0009>=世耕弘成君= 自由民主党の世耕弘成でございます。  御指示でございますので、座ったまま発言をさせていただきます。  本日は、両参考人、本当に御多忙のところお運びをいただきまして、ありがとうございました。  前回、実は私はこの委員会で質疑に立ちまして、電話のネットワークですとかあるいはインターネットのネットワークの図を示しながら技術的な検証をこの委員会の中で行わせていただいて、そして技術的には傍受できる場所が相当限定されているんだということを明らかにさせていただきました。また、法務省の側も、当然技術的にできないところはもちろんのこと、法律的にも、通信傍受法の考え方の上でも、個人の電話番号やメールアドレスが特定されない限りは傍受を行わないということを言明された。これが私の前回の質疑のやりとりでございました。  そういうことから、技術的あるいは通信傍受法上的に傍受というものは極めて限定的に行われるということを私は前回の質疑で相当明快に整理したつもりであります。また、本日のNTT東日本の森下参考人の陳述によっても私の整理は間違っていなかったんだなということが明らかになったのではないかというふうに思っております。  また、桑折参考人の意見を聞かせていただきますと、携帯電話、特にデジタル化されている携帯電話の仕組みの複雑さというのが私はよく理解できました。これは後で質問をしていきたいと思いますけれども、傍受ができる範囲、これも移動体の場合も相当限られているんではないかなという感触を今持たせていただきました。  さて、先日の私の質疑をいろいろ技術の専門家の方ですとか地元のこういう問題に関心を持っている人たちに、今インターネットで参議院の審議は中継されていますので、見てもらいました。よくわかったという反応も非常に多かったですけれども、一方で、一部の私の発言に対する他の委員のコメントについて、皆さんから、参議院の議論というのはそんなに言いっ放しでかみ合わないまま行われているのかと。中には、世耕さん、このまま黙っていていいのかというような声もございました。きょうは技術の専門家もおいでですから、あえてそこを取り上げさせていただきます。  その箇所というのは、この間資料も配らせていただきましたけれども、五月三十日付の朝日新聞記事について私が言及した部分であります。  この記事をもう一回要約しますと、見出しはNTTの外でも電話傍受が可能という記事でございます。趣旨としては、PTTという装置を用いて、きょうの森下参考人の絵の中にも出てきます試験制御装置にアクセスをすれば、NTTの外、場合によっては警察署の中でも通信の傍受ができるという趣旨の記事でございました。  この記事に関して私は私なりにいろいろ調査検証をして、前回の質疑の中で、そもそもこのPTTというシステムがどういう背景で導入されたのかという理由を説明して、決してNTTのビルの外で聞くことを目的にしたものではないということを明らかにさせていただきました。  さらに、これは記事中にも述べられていますけれども、大前提としてNTTが全面的に協力しなければならないけれども、そんなことをNTTは絶対にやるわけがないということも指摘をさせていただきました。  そして、さらにさらにその上で、ここは非常に重要ですので私はビデオから起こした発言のとおり読みますけれども、こう私は申し上げました。  技術的にもこの記事は致命的なんです。というのは、先ほど申し上げましたように、試験制御装置というのはアナログ電話の場合は待ち受けて聞くことはできないんです。既にできている通話を聞くことしかできないんです。ずっと待っていたら話し中になっちゃうんです。このPTTというのは試験制御装置を延長して出ている無人交換局でチェックするための装置ですから、これを幾らつないだって技術的にそもそも傍受そのものができないということで、この記事は前提が大きく間違っているということを一つここで指摘させておいていただきたいと思います、こういうふうに私は申し上げました。  それに対して、後で質問に立たれたほかの議員の方、具体的には中村敦夫議員ですけれども、御自分の質疑の中で、これも重要なところですのでビデオから起こした原稿どおりに読みますけれども、これまでの政府答弁では通信傍受基地は通信事業者等の場所に限ると言明してきました。しかし一方では、やろうと思えば通信事業者の機能がある以外の別の場所でも傍受基地を設定することができるという技術的環境があるわけなんですね。先ほど世耕さんから例にも引かれました五月三十日の朝日新聞朝刊の問題ですが、これはノートパソコン型ポータブル試験端末、PTTを設置すれば通信事業者の場所の外でも盗聴できるではないかという趣旨の疑問が出ました。それに対して、法務省談話として、そういう方法は聞いたことがないし、警察署で聞けるというのは全然考えていない。令状は実際に傍受する場所を書くのであって、電話局しかあり得ない。まあ、この電話局とは広い意味で通信事業者等の場所だというふうに理解しますね。世耕さんからいろいろとNTT内部の運営事情などの説明もありましたが、結局のところですね、技術的な問題としてはNTTの協力さえあれば可能だという証言になっていたわけだと私は受け取っていますと、こういう形がありました。  もう一度重要なところだけ繰り返しますが、私は、このPTTというのは試験制御装置を延長して出している無人交換局でチェックするための装置ですから、これを幾らつないだって技術的にそもそも傍受そのものができない。こう発言をしているのに対して、世耕さんからいろいろとNTT内部の運営事情などの説明もありましたが、結局のところですね、技術的な問題としてはNTTの協力さえあれば可能だという証言になっていたわけだと私は受け取っておる。こういうふうな発言をされました。  皆さん、よく今聞いていただければわかっていただけるように、私の言っていることとは百八十度違う整理をされています。これでは、私が貴重な自分の質疑の時間を割いて何のためにこの朝日新聞の記事に言及したのかわからなくなる、そう思っております。  通信傍受法案には賛成、反対意見、いろいろあると思います。私も反対の立場に立つ方の御心配の点というのも非常に理解できる部分がありますから、私の質疑の中では、運用上の配慮が必要だと思う部分もあることから、相当厳しく法務省をただして、傍受できる範囲なんかを限定したつもりであります。やはり相手の言ったことにも耳を傾けて討論を進めていくのが民主的なやり方ではないかと思います。  前回質疑したところを焼き直すのは余りやりたくはないんですけれども、本日は技術の専門家も見えておりますので、再整理をするいい機会だと思います。  またさらに、この記事が非常に重要なのは、前々回の質疑で福島瑞穂議員がこの記事を一つのよりどころとして通信傍受法に問題ありという指摘をされているわけです。朝日新聞というのは購読者も非常に多い、影響力のある新聞であります。また、その後、訂正記事が載せられたということも全然ございません。誤解をされたまま審議が進むと私はまずいと思いますので、この記事が正しいのか誤っているのかというのは審議を進めていく上で非常に重要だと思います。  この記事では匿名のNTT職員なる人物が出てきて証言をしておりますけれども、本日まさにNTTの技術部門の最高幹部がお見えになっているわけですから、その辺をきっちり整理しておくいいチャンスだと思っております。  まず、森下参考人にお伺いいたしますけれども、アナログの試験制御装置でそもそも待ち受けができなくなっている理由は何なんでしょうか。 <0010>=参考人(森下俊三君)= お答えさせていただきます。  先ほどのPTTと試験制御装置というのと二つあるわけでありますが、試験制御装置もPTTも物理的に加入者のお客様の線がどうなっているか、この絵でいきますと、基本的にはAの配線盤のところからお客様の電話機のところまで二本の線が延びていっているわけですけれども、その線が劣化して故障しているかどうか、あるいは電話機が故障してダイヤルがちゃんと出ないのかどうかとか、それを試験するための装置なんです、もともとは。  ですから、試験をしようと思ったときに、たまたまその回線に割り込んだときにもし通話中ですと通話の邪魔になりますからじっとそれを待っていて、通話が終わったら試験をすると。試験するのは当然お客様の線の方で、反対側の方は試験する必要がありませんから、そこを全部切り離してしまうわけですね。ですから、必ずその試験する線の方しかつながらないようになっているということなんです。  ただし、その電話機のダイヤルがいいか悪いかというのはダイヤルをしてみないとわかりません。それを試験装置でもってその電話機のダイヤル信号がきちんとつながるかどうかを受信する試験装置があるわけですから、そういう試験のときにもお客様の方からは発信できるようにしておかないと試験ができません。ですから、先ほどお話ししましたように、発信の試験ができるような機能は持っています、ですけれども着信ができないというのは、もともとこの装置はそういうように試験用の装置でありますから、相手側は切り離してあるということです。  それから、PTTといいますのは、基本的にこういう工事を行う、お客様から注文を受けて工事を行うときにその工事をする場所まで出かけていかないといけません。通常、試験をする場所というのはかなり集約してありますので、場所は限定されているわけでありますが、こういった交換機を置いてありますNTTビルというのはたくさんあるわけでありまして、実際そこで工事を行わないといけませんので、工事をする人はそこへ行って、そこで工事の結果がちゃんとできているかどうかを試験する、そのためのものがこのPTTでございますので、PTTというのはもう本来試験機能しかないということなんですね。ですから、今の試験制御装置よりももっと機能が限定されたものがPTTでありますので、デジタル電話も全く通話はわかりませんし、アナログの場合も全く発着信はできない。もう単にそこに割り込んで、通話が終われば試験をするという機能しかないということですので、そこのところがこの記事には相当誤解があるのではないか。  ですから、たまたま通話しているところにぱっと入れば通話がモニターできるということは機能としてはありますので、そういう一部のところを非常に拡大して、そこだけをあたかも誤解を与えるかのように書かれているのではないかというのが私どもの解釈でございまして、基本的にはこれはもう試験機能しかありませんので、そういった意味では非常に誤解を与える記事だというふうに理解しております。 <0011>=世耕弘成君= 非常に明快な整理で、よくわかりました。そもそも試験制御装置もPTTも目的は全然違うし、そういう通信を待ち受けて傍受する機能そのものを全然持っていないということが前提になると思います。  このPTT端末で試験制御装置へのアクセスというのは、これは当然電話回線を使ってやっておられるという理解でよろしいですね。 <0012>=参考人(森下俊三君)= はい。 <0013>=世耕弘成君= ということは、電話回線ということは、ある意味でだれでも電話でとりあえずアクセスはすることができる。要するに、これはハッカーですとかあるいはセキュリティーシステム上、非常に脆弱な部分もあるんじゃないかという心配があると思うんですけれども、そういうことにならないためにNTTとしてどういう対策を打たれているんでしょうか。 <0014>=参考人(森下俊三君)= 基本的には、こういう試験装置につきましては、操作できる人のパスワードもありますが、それ以上に、その端末等がすべて登録されているとか、あるいはコールバック方式と言っておりますが、一遍つないだ後で試験装置の方から決まった電話機にしかつなげないという機能を持たせること、それからもともとこのNTTのビルにつきましては、ビルの入退室の管理、これはすべてシステムで管理しておりますので、ビルのセキュリティーを含めてそういう試験装置のアクセスにつきましても相当の範囲でセキュリティーの機能を持たせているというふうに考えております。 <0015>=世耕弘成君= 今の御発言ですと、まずパスワード、さらに端末のパスワードを知らなきゃいけない、さらに端末が登録されていなきゃいけない、そしてさらに電話回線も試験装置の方からかけ直すわけですから、もう極めて指定された、限定された電話回線からしかアクセスができない、そういうことだと思うんです。  ということは、この記事にも書いてありますが、NTTが警察に協力をしない限りはまず絶対にTWSに、試験制御装置にPTT端末でアクセスすることはできないということになると思うんですけれども、NTTが警察に協力をする、パスワードを教え警察の端末を登録し、警察の電話回線に対してコールバックするような設定をする、そういうような可能性はあるんでしょうか。 <0016>=参考人(森下俊三君)= 基本的には、私どもはもともと通信の秘密を守るということが使命でありますし、社員にもそういうことは教育を徹底してきております。  それから、特定の社員が万が一そういうことをやったといたしましても、多分それはシステムの方でチェックをしておりますし、それからシステムの管理も特定の人間だけでやっているわけではございませんので、複数の組織でいろんなチェックがかかるようにしております。ですから、特定の状態で、先ほどお話しになったようなことはまず起こり得ないというように考えております。 <0017>=世耕弘成君= このお配りの絵では、上段がアナログ、下段がデジタルという形になっておりますが、今このアナログとデジタルの比率というのは大体どれぐらいになるんでしょうか。 <0018>=参考人(森下俊三君)= 現状では、毎年二百数十万のISDNのお客様がふえておりますが、十年度末ではアナログが大体九三%ぐらい、デジタルが七%ぐらいのお客様ということでございます。 <0019>=世耕弘成君= もう一度今の森下参考人のお話を整理しますと、試験制御装置へのアクセスに関しては非常に厳重なセキュリティーシステムをとっておって、NTTが協力しない限りシステム自体にアクセスすることは不可能、そしてNTTが協力することはあり得ない、そして電話の九三%を占めるアナログ電話についてはそもそも技術的に傍受そのものができないという整理になると思います。  ということで、この五月三十日付の朝日新聞の記事は、今、森下参考人の御答弁の中にもありましたけれども、非常に誤解に基づいた記事だということを、これ実は前回明確にしたのでもう一回やるのは非常に残念なんですけれども、もう一度明確にさせておいていただきたい、そういうふうに思います。  それでは、今度は桑折参考人の方にお伺いをしたいと思います。  先ほどの携帯電話のつながる仕組みというのは、私も余り詳しくない部分ではあるんですけれども、御説明を聞いて非常に明快に整理をされたと思います。端的にお伺いいたしますが、携帯電話の中で通信を傍受するとした場合に、一体このネットワーク構成の中のどこで傍受をすることになるんでしょうか。 <0020>=参考人(桑折恭一郎君)= お答えさせていただきます。  先ほど申し上げましたように、携帯電話の場合に、発側の移動機、それから着側の移動機がある基地局の通話チャンネルとつながって初めて通話が成立するわけですけれども、それがどこかということをあらかじめ特定するというのはちょっとできない。その都度その都度非常にもうあいているところを次々とつながっていくという問題が一つと、それから先ほど申し上げましたように、通話中にも場所が移動するなり、同じ場所でも非常に微妙な場合ですと隣のセルに移動してしまうというようなケースがございまして、その場合にはまた回線を全部再設定し直してしまうというようなケースがございます。  ですから、一番の問題点は、このネットワークの中のどこでその目的とする通話が流れているのかということを知ることが非常に難しいというところにあるかと思います。  以上でございます。 <0021>=世耕弘成君= そうすると、その難しい中で、そもそも傍受ができるんでしょうか、できないんでしょうか。 <0022>=参考人(桑折恭一郎君)= 基本的には、全くできないかどうかということは別としまして、まず、ある発側からある着側の呼というのが出た場合に、それを私どものネットワークの中でどの基地局の何番目の回線かということをまず知るという手段だけはございます。それを知った後、初めてその回線がフルレートなのかハーフレートなのかということを調べて、それからそれに対してのモニターをかけるということはございますけれども、その場合も、それでやったときに果たしてそのまま同じ通話がその回線上に乗っているかという保証は非常に難しいということで、現実的には、まず回線の特定からモニターを入れるまでということが非常に時間的にかかるということと、それからやってみたらまた別の回線設定に変わっていたというような可能性も非常にあるということで、現実的には非常に難しい問題だと考えております。 <0023>=世耕弘成君= 残念ながら時間がなくなってきましたので、最後にもう一度、五月三十日の朝日新聞の記事については、私の発言内容を一方的に誤った形で解釈し発言されたことについて、本日発言の時間をお持ちのようですから何らかの誠意ある御発言があるのではないかなと信じたいということを申し上げて、質問を締めくくらせていただきます。  ありがとうございました。 <0024>=内藤正光君= 民主党の内藤正光でございます。  両参考人におかれましては、本日お忙しい中、こうしてお越しをいただきまして、本当にありがとうございます。  まず、通信手段として何が考えられるか大別をいたしますと、従来の一般電話、これが一つ、二つ目としてインターネット、そして三つ目として携帯電話などが考えられるんではないかと思います。  ところが、犯罪目的の使用を考えた場合、それぞれの通信手段はどうなんだろうか。まず、従来の一般電話というのはやはり足がつきやすいんであろう。そしてまた、インターネットというものもまさに証拠そのものをネット上に残すわけで、果たして犯罪に多用するだろうか。こんな疑問を私は持ちます。犯罪目的ということを考えた場合、携帯電話を使うというふうに考えるのが妥当なんだろうと私は思います。  ところが、残念なことに、この携帯電話について今まで余り審議されてきませんでした。私は、携帯電話について、本法案、通信傍受法案の実効性を検討するのはそういった意味では大変重要な意味を持つものだろうと思います。  そこで、私は、携帯電話について、専ら技術的な項目について質問をさせていただきたいと思います。  参考に私もこのように皆様のところへシステム構成図をお配りさせていただきましたので、こちらを使いながらいろいろ議論をさせていただきたいと思います。  まず、端末と基地局との間は無線でやりとりが行われております。桑折参考人にお伺いしますが、この無線を傍受することで特定の通話をモニターすることは可能なんでしょうか。不可能であればなぜなのか御説明いただけますでしょうか。 <0025>=参考人(桑折恭一郎君)= お答えさせていただきます。  無線区間で傍受することにつきましては、私としては全く不可能だと考えております。その理由としては二点ございまして、一つは先ほど申し上げましたように、一つのセルに対してある電話機がつかむチャンネルの最大数というのは四十四回線、ハーフレートですとその倍ぐらいございますけれども、そのうちのどの回線をつかむのかというのがそのときそのときで変わってしまう。  それともう一つは、同じ端末から同じ発信をしたとしても、フルレートかハーフレートかということはそのときそのときで違ってしまうという形で、そこのところの特定がまずできないということが一つ。  それともう一つの点は、アナログの携帯電話と根本的に違うところは、アナログの場合ですと音声を基本的にはある特定のキャリアという周波数で変調して、それをエアの部分に出しているわけですけれども、デジタルの場合は、先ほど言った特殊な圧縮方式を使っているということと、それの解読が難しいことと、さらにエア部分につきましては、傍受されないセキュリティーを保つという逆の面の目的からスクランブルというものをかけておりまして、一般的にエアの部分でそれを解くということはできないようになっております。  そういったことで、この無線区間で特定の回線をつかむことが難しいことと、つかんだとしてもその中身の声がどうなのかということを解読することについては全く不可能だというふうに考えております。 <0026>=内藤正光君= アナログの時代はそれこそ秋葉原に行って受信機を買ってモニターできたかと思いますけれども、念を押してお伺いするんですが、デジタルの場合はそんなぐあいにはいかないというふうに理解してよろしいんですね。 <0027>=参考人(桑折恭一郎君)= はい、そのように考えております。 <0028>=内藤正光君= 次に、携帯電話のつながるプロセスなんですが、先ほどの桑折さんの御説明でよくわかりました。  私は携帯電話と一般電話というのはやはりちゃんと分けて考えるべきなんだろうと思います。一般電話の場合は、それこそ加入者回線といって電話局から各家庭へ延びている回線と電話番号とはくくりつけ、一対一の関係にあるわけです。だから、これが容疑者の電話につながる回線なんだということで最初から事前に目星をつけて待ち受けることが可能なわけです。ところが、携帯電話の場合は通話のたびごとに、こちらの図にもありますように、交換局から基地局との回線並びに無線が割り当てられる。つまり、事前にこれが容疑者の回線だということで特定をして待ち受けることができないわけですね。  そこで質問なんですが、着信の場合と発信の場合とに分けて質問をさせていただきたいと思います。  まず、着信の場合です。六ページの図を参考にさせていただいておりますが、右側、着信の場合、これはどの回線が割り当てられたのかというのはシステム上で管理されているんですか。 <0029>=参考人(桑折恭一郎君)= 着信につきましては、ある電話番号がどの回線に割り当てられるかということについてはあらかじめこの回線だということは特定できませんけれども、接続された後に、今この何番目の無線機の何チャンネルにこの電話機がつながっているということを知る手段だけはございます。 <0030>=内藤正光君= では、発信の場合についてはいかがでしょうか。 <0031>=参考人(桑折恭一郎君)= 発信につきましては、たまたまこれは私どものシステムの問題かもしれませんけれども、今言ったような事柄を、あらかじめこの番号がという形で見た上で、それを知るという手段については、きょう時点のシステムではできておりません。 <0032>=内藤正光君= それは、そういう機能はお客様にサービスを提供する上では何ら必要のないものということだからなんですね。 <0033>=参考人(桑折恭一郎君)= 基本的には今おっしゃったとおりでございます。 <0034>=内藤正光君= では、私の図の右上のところに監視センターがございますが、監視センターから特定の通話をモニターすることは可能なんでしょうか。 <0035>=参考人(桑折恭一郎君)= 先ほど申し上げましたように、ある着信の番号に対しまして交換機がどのように回線設定されたかということがわかった上で、その回線設定をしたところにモニターをつくるということをやりますと可能です。  ただし、先ほど言いましたように、その間に発側も着側も移動していた場合にはその作業は全くむだになってしまうということでございまして、現実的には非常に時間もかかりますし、それに対する信頼性といいますか、そういったものについては非常に疑問な点はあるかと思います。 <0036>=内藤正光君= では、通話モニターが可能な条件をちょっとここで整理させていただきますと、まず、通話者のうちの少なくとも一方、これは実質的には容疑者が御社のデジタルホンの端末を持っていることが最低条件としてあるわけですね。そしてその次に、かつ容疑者が他の人から着信を受ける場合でなければならないということですね。  逆に言えば、幾ら御社の端末を使っていても、容疑者が発信をした場合は全く通話モニターできる可能性はないというふうに考えてよろしいですね。 <0037>=参考人(桑折恭一郎君)= 今おっしゃったとおりでございまして、発信をした場合に今すぐモニターをするという機能は今の私どものシステムでは持っておりません。ということは、不可能だというふうに考えていただければいいかと思います。 <0038>=内藤正光君= 同じような質問になるかと思いますが、念押しさせていただきます。  つまり、御社の現行システムでは、通信傍受の捜査協力をするにはかなり限界があるというふうに考えてよろしいわけですね。 <0039>=参考人(桑折恭一郎君)= 今おっしゃったとおりで、傍受を始める条件というのが今言った着信側であるということが一つと、それから傍受をし始めるまでの時間が非常にかかるという問題が第二点でございます。それからもう一つは、仮にそれをモニターで聞き始めた段階で移動その他が起きた場合には処理そのものがむだになってしまうということで、確実性というものについては非常に難しい問題があると考えております。 <0040>=内藤正光君= 着信の場合であってもかなり時間がかかるということなんですが、具体的にはどういうプロセスを経てどれぐらいの時間がかかるというふうに考えればよろしいんでしょうか。 <0041>=参考人(桑折恭一郎君)= まず、センターの方でどこの場所にいるかということがわからないというところから事が始まるわけです。ですから、仮に東京デジタルホンの管内にいるということがまず第一の条件でございまして、これが他社のところに行ったときにはうちのシステムでつかむことはまず不可能だということが第一点ございます。  それから、私どもとしては、基地局で使用している交換機というのは現在九台ございますし、これからまたかなり数がふえてまいりますけれども、その中のどの基地局の交換機に入るのかということをまず知らないといけない。それがわかった上で、基地局交換機から各基地局の、先ほど言いました何番目の無線機の何チャンネルかということを特定するという調査がかなりかかります。それがわかった段階でフルレートかハーフレートかということを確かめまして、それに必要なモニターをするということで、時間的にはかなりかかると思いますし、今までそういったものの具体的な処理をやった実例がございませんので、どの程度でできるのかということもちょっと今のところははっきりしないという状況でございます。 <0042>=内藤正光君= ちなみに私が調べたところでは、シェアの六割近くを握るNTTドコモさんに関しても事情は同じだというふうに聞いております。  簡単に説明をさせていただきますと、通話が開始したことは事前設定しておけばわかる。しかし、固定電話ならば通話が開始したということでこの回線だということがわかるわけですが、回線特定は数百本単位でしか特定できない。つまり、この交換機から出ている回線のいずれかが容疑者の使われている回線なんだと、だからそこから一本一本回線探索が始まる。正確な時間はやったことがないということで教えてもらえなかったんですが、仮に一本当たり十秒かかったとして百本目に当たったとしても一千秒、およそ二十分近くかかるわけです。この手の通信傍受の対象になるような通話はそんな二十分も長話しているとは到底考えられない。一分近くで探索ができなければ実行上通話モニターは不可能であるというふうに言えるのではないかなと思います。  では、最後の質問をさせていただきたいと思います。  さきの郵政省と法務省の取り決めが新聞に出まして、システム開発は通信事業者が負うべき協力事項には含まれないというふうになっていました。しかし、御社の場合、仮に発信の場合にも通話モニターができるような仕様設計、仕様変更をしてくださいと言われた場合、それにかかるコストはいかほどか教えていただけますか、本当にざっくりで結構でございますので。 <0043>=参考人(桑折恭一郎君)= 大変申しわけないんですけれども、交換機のソフトというのは一般のシステムのソフトウエアに比べまして時間とコストが非常にかかるということでございまして、今のお話を実現するためには、まずどのような仕様でどのような条件のときにどういう交換機のソフトを直すのかという検討から始めていかないといけないわけですけれども、その検討を詰めるまでにもかなり時間を要するのではなかろうかというふうに思っています。  一般的に、交換機のソフトだけで解決するかどうかというのも今後の検討でございますけれども、仮にうまくいったとしましても、交換機のソフトだけで見ますとやっぱり何億というオーダーには最低限でもなろうかと思います。 <0044>=内藤正光君= 今回の通信傍受法案は携帯電話についてその実効性が今までほとんど審議されてきませんでした。ところが、今私がこうやって専門家の方々にその実効性についてお尋ねしたところ、かなりの問題がある、実行上不可能であるということがわかったわけでございます。  そこで、一つ質問をさせていただきたいと思いますが、例えば着信の際、その回線探索を始めるわけですけれども、この回線探索というプロセスの中で不特定多数の他人の通話も聞かざるを得ないということですね。 <0045>=参考人(桑折恭一郎君)= まだ具体的に対策の方法の細部というのは詰めておりませんのではっきり申し上げられませんけれども、先ほど申し上げましたように、回線を一つ一つ見るという中では当然そういう事態が起こるおそれもありますし、それから仮に目的の回線にぶつかった場合でも、果たしてそれが正しい発信、着信の会話であるかということ自体の特定も非常に難しい問題があろうかと考えております。 <0046>=内藤正光君= これで私の質問を終えますが、この通信傍受法案を審議するに当たって、携帯端末が全くと言っていいほど今まで審議されてきませんでした。私はこれは大変大きな問題ではないだろうかと思っております。私は、携帯端末で通信傍受ができなければ、この通信傍受法案を何のためにつくるんだろうか甚だ疑問を感じざるを得ません。そのことを一言申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。 <0047>=大森礼子君= 公明党の大森礼子です。  参考人の方、きょうは大変にありがとうございます。  今、携帯電話の複雑な仕組みを御説明いただいたのですが、携帯電話については、傍受の実効性と言ったらいいんですか、これは不可能であるというふうに結論づけられたわけなのですが、桑折参考人の結論はそのようになっていたのでしょうか。携帯電話については通信傍受ということは不可能に近い、そういうお考えをお持ちなのでしょうか。 <0048>=参考人(桑折恭一郎君)= 先ほど幾つか御説明申し上げましたように、非常に難しいという点が一つと、それを仮にやったとしましても、通話中にもまた回線の設定が変わってしまうとかいろんなダイナミックに移動する要素というのが入っておりまして、それでもってこの会話の傍受であると保証することが非常に難しいというふうに御理解いただきたいと思います。 <0049>=大森礼子君= 技術的な問題点というのはあろうかと思います。それから、固定電話の場合と携帯電話と同様に考えることができない。携帯電話の方が非常に技術的に複雑といいますか、ですから難しいだろうというのはわかりました。  ただ、今、桑折参考人もおっしゃったんですが、例えば一つの問題点として、どこにいるのかわからない、つまりその携帯を持った人がどこにいるのかわからない。例えば、管内にいるのであれば非常に捕捉しやすいが、非常に移動するわけですから、その持っている本人はどこにいるかをつかむことが困難であるとおっしゃいました。逆に言いますと、大体ここら辺のこのあたりにいるだろうということがわかれば、これは非常に捕捉しやすくなるとも言えると思うのですが、そのように考えてよろしいでしょうか。 <0050>=参考人(桑折恭一郎君)= 今までの御質問というのは、傍受ということで会話の中身はどうなのかという御質問を受けていたと理解しておりまして、それについては先ほど申し上げましたように非常に難しいということがございます。  大体どの辺にいるかどうかという事柄につきましては、先ほどの複数のセル、これは半径何キロぐらいになるかわかりませんけれども、そういった中のどの辺にいるかということについては、会話の傍受ということに要する時間なり信頼性に比べれば、比較的場所の特定だけはしやすい。ただ、郊外に行けば行くほどセルの半径というのは大きくなっておりまして、それがまた一つのセルに特定できませんので、そういったことで、ある程度その目的は達成されるのかどうかということについてはちょっと私としてもわからないところであります。  ある程度の場所にいる、例えば東京都にいるのか何とか県にいるのかという程度のことであれば、傍受という観点よりは比較的つかみやすいというふうに考えております。 <0051>=大森礼子君= わかりました。場所とかにつきましては特定する方法もあるし、またいろんな情報もあるだろうと思います。  いずれにしましても、大事なことは、この通信傍受法というのがなぜ必要となったかといいますと、電気通信分野における技術が非常に速いスピードで発展を遂げていきますと非常に通信手段が便利になります。そして、国民にとって非常に便利な通信手段が生まれますと、他方でその便利な手段を犯罪の用にも供するということで、犯罪捜査の面から見ますと便利さというのは常に悪用の危険も伴っております。例えばクレジットカードというのができたときに、ああ、これは詐欺がふえるなと思ったらもうクレジットカード詐欺がふえる、こういう形になっていると思うのです。  ですから、現在非常に困難な部分があるからといって、では携帯電話だけは除きますということになりますと、みんな携帯電話を使うわけでございます。これは一つの課題としてこれから研究、検討していかなくてはいけないと思いますし、また捜査側の方と通信事業者の方ともいろんな検討をしていただくことになるだろうというふうに考えます。  それから、先ほど世耕委員がもう既に聞かれたのですが、五月三十日付の朝日新聞の記事ですね。「電話傍受 NTTの外でも可能」、これをNTTの職員が指摘ということで、これ私も読みました。  それで、いろんな議論をする中でやはり正しいところに到達しないといけないわけであって、こっちはああ言い、こっちはこう言いということではいつまでたっても結論がつかない。きょうは一つの結論を出していただいたのかなという気がいたします。  それで、例えば警察の方がパスワードをよこせと言ったら、世耕委員がそういうPTT端末を使っての傍受についてNTT側は協力することなんかはあり得ないと言いましたら、どこかで協力義務が書いてあるじゃないかというふうに声が飛んだわけですけれども、この協力義務は「通信事業者等は、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。」というわけでありますから、正当な理由があれば拒んでもいいわけでありまして、まさにこれは正当な理由に当たるだろうと私は思いますし、また裁判官がNTTの建物の外でやれなんという令状を書くこともないのではないかなという気もします。  私はこの記事を読んだときに、この記事は警察がパスワードをよこせと言ったらどうなるんだ、危険なことになるんだと、こういうような書き方をしているわけですが、私は逆に、変なことをする人は警察だけとは限りませんで、先ほど世耕委員もセキュリティーの問題をおっしゃいましたけれども、実はこの前、電話番号情報が漏れたというのがありましたので、そんなこともあって、私人による悪用とか乱用とかも同時に我々は危機感を持って考えなきゃいけないことではないかなと思うわけです。  それで、いろんな情報というのが多く蓄積される、それから非常に有効な機能を持ってくるということになりますと、その情報というのは一つの財産にもなるわけですから、必ずこれを悪用する人がいるのではないか。そして、一人だれか変な人がいますと組織全体がおかしいという言い方をよくするんですが、私はそうは思わないんです。一定の人数がいれば必ずその一定の割合で変な人はいると思うわけです。  こういったことから、通信事業者内部ではセキュリティーの問題についてどのようにお考えか、両参考人に簡単で結構ですからお答えいただきたいと思います。 <0052>=参考人(森下俊三君)= まず基本的には、私どもは電気通信のサービスを提供するということですので、通信の秘密を守ることが第一だということは社員に対して教育しておりますし、それから就業規則、社員の規則等でも規定しております。  そのほか、例えばこのシステムにつきましては、先ほどお話ししましたように、パスワードの管理、あるいはシステム上でサーバーから登録されている電話しかつながらないようにするとか、あるいはそのサーバーの管理はまた別の組織で管理している。要するに、一人の人がすべてのことができるようにはなっていないということなんです。だから、そういうように組織的に幾つかの組織で管理をしているということですから、特定の人が何かをやろうとしてもどこかで必ずそれが牽制できるというように考えております。  それからもう一つ、傍受ということになりますと、たまたま今通話しているものにぱっと割り込んでしまうということは、それは先ほどのPTTでも可能になるわけですけれども、ただ、今それが通話しているかどうかをどうやって知るかという問題があるわけであります。あらかじめずっと監視しているということになりますと、社員もずっとそこの席にいるわけじゃありませんし、勤務時間も交代いたします。そういった意味で、特定の人がそういうことを同じ職場の中でやっているということは、基本的にはほかの社員の目もありますので、まずそういうことも実行的にはあり得ないのではないかというように考えております。 <0053>=参考人(桑折恭一郎君)= 私どもとしても、第一種通信事業者として、今のお話と同様にまず通信の秘密というものの重要性ということについては十分認識して、また社員に徹底しているつもりでございます。  具体的に申しますと、一つはネットワークの観点から、それからもう一つは社員のモラルというかそういった面、あとシステム的な裏づけとに分けられるかと思います。  まず、ネットワーク上PDCというものは、先ほどもちょっと申し上げたかと思いますけれども、やはりアナログに比べての大きなねらいの一つに、簡単に他人が通話内容を聞けないようにする、そのためにデジタルで特殊なコード変換をしたにもかかわらずさらにそれにスクランブルをかける、そういうことで万全を期すというシステムにしておりまして、今の段階では少なくとも第三者が無線区間でもって通話の中身を知るということは全く皆無であるというふうに私は考えております。それだけのシステムをつくってあるというふうに認識しております。  それから、第二点の社内のモラルその他についてでございますけれども、これももう開業以来、社員の教育の中で、十分通信の秘密というものがどういうものなのかということは再三にわたって講習なり文書なりで指導しておりますし、それからシステムに対する端末も当然パスワードというものの管理その他については万全を期しているということでございまして、その辺についても今までのところは私どもの会社として特に問題を起こしたケースはないというふうに思っております。ただ、これは今後また新しい社員が入ってくるとかそういう形でいろいろ問題もあるかと思いますが、今後も継続して念には念を入れながら徹底していくつもりでございます。 <0054>=大森礼子君= プライバシーの侵害というのは、それが権力者によってなされようが私人によってなされようがもしかしたら余り差がないものかもしれないという気がいたしますので、ぜひセキュリティーの面でも十分考えていっていただきたいと思います。  それから、通信事業者の方の協力義務で立ち会いというのを定めてございます。それで、通信事業者みずからの施設とか機器の保守管理が必要である上に、利用者の通信の秘密を預かりこれを守るべき立場にもあることから、立会人としてその傍受の実施場所において常時立ち会っていただくということになっております、場合によっては地方公共団体の職員となっておりますけれども。  この立会人としての役割につきましては、この修正案では、原案もそうですけれども、外形的な事柄についてのチェックとか記録の封印と考えておるのですが、通信事業者のお立場から見て立会人としての役割についてどのようにお考えでしょうか。桑折参考人、それから森下参考人の順でお尋ねいたします。それで、もしよろしければ切断権云々という問題も。例えば立会人が通信の内容を聞くということについてはどのようなお考えを持たれているか、これを順次お尋ねいたします。 <0055>=参考人(桑折恭一郎君)= 先ほどから申し上げておりますように、傍受という問題につきましては、携帯電話の特殊性から見ての難しさということを御説明させていただきまして、それはある程度御理解いただけたかと思います。ただ、やはり今回の法案そのものについての重要性なり、それから決定がされた上での通信事業者の役割ということにつきましては、そちらも私としては尊重しなければいけない問題だと考えております。  ただ、立ち会いの具体的な形とか、それからまた切断権というお話が今ございましたけれども、この辺につきましてはまだ私どもはそれ以前の段階の技術的な問題をどういうふうに考えていくべきかという段階でございまして、正直なところまだ社内でも余り細かい議論にまで至っておりませんので、この辺がはっきりして、またいろいろ御指導いただいた中で私どもの会社としての考え方というものをまとめていきたいと考えております。 <0056>=参考人(森下俊三君)= 今回の法案におきましては、電気通信事業者に対する義務といいますのは傍受のための機器類の接続など主に技術的な協力であると理解しております。  また、立ち会いに関しましては、直接的には電気通信事業者ではなくて捜査機関に義務を課しているものでありまして、通信事業者の社員等の立ち会いが困難な場合には地方公共団体の職員に立ち会っていただくようになるものと理解しております。ですから、電気通信事業者の社員が立ち会う場合におきましても、立会人は傍受すべき通信の該当性の判断だとか内容に立ち入って関与するという立場にはないというように理解しております。また、通信傍受の際に立ち会うということは、通信事業者の立場からいたしますと、みずからの設備を保全するという目的にもかなうということもありますので、そういう面では立ち会うということでございますが、基本的には内容には立ち入らない。  なお、そういった場合でも、運用の問題といたしましては、電気通信事業者にコスト面とか稼働面で過度な負担がかからないように運用ではお願いしたいというように考えております。 <0057>=大森礼子君= 通信傍受法に基づく通信傍受を円滑、適正に実施するためには、この法律が成立した後、捜査機関と通信事業者との間で事前に協議を行うことが大事ではないか。これは実施前にも必要だと思いますし、また実施後も技術の進歩等によりましていろいろ協議が必要であろうと思います。  それから、立ち会い等につきましても、民間会社の方に、やっぱり社員がいるということはコストもかかっているわけですから、余り過度な負担をかけてはいけないという、いろんな問題があると思います。  ですから、通信傍受の具体的な実施方法とか標準的な実施手順等について捜査機関とあらかじめ協議をしておいて、そういうことを定めておくことが望ましいのではないかと考えるんですけれども、通信事業者のお立場としてそのような協議を捜査側と行うことについてはどのようにお考えでしょうか。桑折参考人、森下参考人に順次お尋ねいたします。 <0058>=参考人(桑折恭一郎君)= 今おっしゃったように、私どもとの協議という問題でございますけれども、これにつきましては、私としても、法案の趣旨にのっとって正しい判断を事業者としてもやりたいというふうに考えておりまして、協議といいますか、いろいろ御指導いただく絶好のチャンスでもあろうかというふうに考えておりますので、前向きにそういった形の場が持てればというふうには考えております。 <0059>=参考人(森下俊三君)= 法案が成立いたしましたら、明確になりましたルールにのっとった対応を行わないといけないと思っておりますが、その際には関係方面と具体的な運用のやり方等については協議をさせていただきたいというように思っております。 <0060>=大森礼子君= 終わります。  ありがとうございました。 <0061>=橋本敦君= 携帯電話間の通信の傍受、いわゆる盗聴の問題ですが、これは大変困難だというお話は桑折さんからも伺いました。しかし、困難という事情はあるけれども、傍受はそれ自体不可能ではないということは、一面で、やり方によって、あるいは新しい技術の開発によって傍受自体、盗聴すること自体が可能になるということは言えるのではないでしょうか。その点はいかがお考えですか。 <0062>=参考人(桑折恭一郎君)= 今回の法案自体の状況につきましては、会社の中でもこれが実際に成立した場合にどういう形でいくべきかという議論は既に始めておりまして、その場合に、当然、法案の趣旨にのっとった対策なり技術的な問題での解決ということについて積極的に検討していくという気持ちだけは十分あるつもりでございます。  ただ、まだ検討段階として非常に初期段階の議論になっておりまして、考えれば考えるほどいろいろあっちこっちに難しい問題があるなというようなことがございます。きょう時点で大体詰まったからこれで大丈夫だということの技術的な面でのまだ詰めも終わった段階ではございませんので、今後また引き続き私どもとしてはどういう形で解決策があるのかということについては検討していく用意はございます。 <0063>=橋本敦君= 衆議院の法務委員会でもその問題が議論されました。携帯電話を聞くというのは技術的にどうなのかという議論がなされまして、それに関して郵政省の天野政府委員は、お尋ねの問題については、携帯電話を聞くということについてはかなり困難であるとおっしゃっておるんですね。  しかし、今後は機能としてオペレーションセンターなどの監視制御の問題を含めて、不特定の通話を通信信号としてモニターするということは可能であるにしても、その通信信号を音声として聞くためには特別な新たな装置を準備しなければならないということも一方でおっしゃっているんですね。  ですから、現状では直ちに聞くのは困難だとはいうものの、将来そういった技術の開発があれば可能になるのではないかという意見も当然この中には含まれていると思うんですね。だから、そういう意味で携帯電話同士の傍受が絶対に不可能だとは言えない、今後の課題としてあるというように私は見ざるを得ないと思うんですね。そうしませんと、この通信傍受法ができても、それこそ犯罪者グループは携帯電話同士でやればいいんだということになれば、せっかく法をつくっても意味を持たないことになりますからね。  そういう問題であるわけですが、一面でまた、この携帯電話同士の傍受を可能にする方法として、先ほどおっしゃいました問題に対して法務省の一部の考え方としては、事前にその特定した携帯電話を持った被疑者の立ち回り先を調べておいて、そして複数の交換局を傍受場所に指定して交換局ごとに傍受令状を請求するという方法もあるではないか、そういう意見が刑事局の中にあるという報道もあるんですね。そういうように押さえていけば、これはできるということになりますか。 <0064>=参考人(桑折恭一郎君)= 私どもの例を申し上げますと、交換機の設置箇所というのは二カ所しかございませんで、その交換機の場所を押さえるというところについては、その二カ所の交換機のところで対応するということまでは可能でございます。  私どもが一番懸念しておりますのは、先ほどから申し上げますように、果たしてそれが正しい、本当に今回の目的に合った通話なのかどうかを特定することに非常に手間がかかるということと、それから一たんそれが目的の通話だったと仮にいたしましたときに、またそれが絶えず交換機の中で移動してしまう。あるルートでやっと回線構成がされた場合に、それが通話が始まってから終わるまで同じ回線構成でずっと続くという保証はなくて、ここまでできますと申し上げたときに、途中でまた別の通話になってしまうとか途中で会話が切れてしまうとか、そういう可能性があるので、どこまでこれが携帯として可能であると申し上げていいのかというのに非常に難しい問題があるということでございます。 <0065>=橋本敦君= そういう難しい問題を解決するということのためにいろんな手を打って網を広げていくということが捜査の方法として考えられる、このことがむしろ通信の秘密を侵す可能性が広まる問題として私は心配をしているんです。  その問題について、NTTドコモ関係のお話が載っている新聞で拝見をしたんですけれども、現在の通信事業者がお持ちになっている設備ではなるほど難しいと。しかし、そういう傍受ができるようにするために新たな開発ということになりますと、これは投資も要るし技術も要るし資金も要る、こうなってくるだろう。そういったことに対して、この法律ができてから以後、協力を要請されるということになって、政府からぜひそういう部門についての開発も検討してほしいというような要請があれば、それはどうなさるのかということが一つあるんですね。  その問題について桑折さんあるいは森下さんはどういうようにお考えなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。 <0066>=参考人(桑折恭一郎君)= この法案成立後に移動体事業者としてここまでやるべきであるということの御指導をいただいた段階で、それに向けて私どもとしての技術検討を積極的にやっていく必要は事業者の義務として当然あるというふうに考えております。  ただ、先ほど申し上げましたように、まず技術的にどこまで可能なのかというようなこととか、それに対する問題点というのを関係の方とよく議論して、お互いに理解していただいた上で初めて、どういう設備でやった場合にこの目的が達成されるのかという結論まで行くと思います。そのために、私どもの中で一方的にこの程度でいいだろうというような形のものがきょう時点でまだつくれているわけではないということで、引き続きそういった法案の趣旨なり私どもの技術的な問題をお互いに理解し合いながら、そちらの方向に進んでいくということが必要かと思います。  それと、それに対する費用の問題がどの程度かということも、ある程度結論が出ない限りはちょっと算定自体が非常に難しいという面もございます。私どもとしても、片方ではできるだけお客様に安いサービスを提供したいという気持ちもございますので、その辺との兼ね合いでどういう形で御理解いただけるのかというのを今後考えていく必要があろうかと思っております。 <0067>=参考人(森下俊三君)= 固定電話の場合は、先ほど御説明いたしましたように、アナログ電話の場合はMDFでやるのが一番きちんとした傍受ができる、それからISDN、デジタル回線につきましては試験制御装置でそれが可能になるということですので、それを使っていただけば余計な開発等は不必要だと思っておりまして、関係機関にはぜひそれを使っていただきたいというように私どもはお願いしたいと思っております。  なお、今後どんどん技術が進歩してまいりまして新しいサービスが入ってまいりますと、そのときには当然また検討しないといけないかもわかりませんが、現状ではアナログ電話の場合はMDF、ISDNの場合は試験制御装置で試験すれば大体目的は達成できるのではないかというのが私どもの考えでございます。 <0068>=橋本敦君= そうしますと、NTTとしては、お話がありましたいわゆるアナログ回線、それからデジタル回線、いずれについても新しい開発というようなことなしに通信傍受、つまり盗聴を令状によってやる場合は、今はそれ自体は可能になっているというお話ですね。 <0069>=参考人(森下俊三君)= そのとおりです。 <0070>=橋本敦君= そうしますと、もう一つの問題として、先ほど桑折さんから、法案ができてから後の協力義務の関係ではいろいろ検討しなくちゃならぬというお話がございましたが、その場合、先ほどもお話がありましたけれども、通信事業者として通信の秘密を守るという国民的な要請、憲法上の要請がございます。それと、政府からこの法案の実効性を確保するために新たなソフトの開発あるいは技術の開発の要請があった場合どう対応するかということで、これは非常に難しい問題になるんではないかと思うんです。そこらあたり、もう一遍お考えを聞かせていただけますか。 <0071>=参考人(桑折恭一郎君)= 今お話がございましたように、少なくともきょうまでの第一種通信事業者としての私の立場から言わせていただきますと、やはり通信の秘密の重要性ということが私としては一番重要な問題でございまして、これは先ほどの社員のモラルの問題だけではなくて、システム的な面、ネットワーク的な面から、まず今まで一番検討の重要性を置いてきたのはその点でございます。  ただ、それと今回の法案との関係がどうなのかということでございますけれども、いずれにしましてもこの法案が具体的な段階に入った段階では私どもとしても尊重する義務があるかと思いますので、その辺は確かに通信の秘密との関係がどうなんだということについては、きょう時点、私としては本当にどちらを重要視するのか、それとも両方ある程度満足する解があるのかということについては非常に難しい問題だと考えております。  これにつきましても、具体的に私どもの事情、お話を聞いていただくなり、また法案の趣旨なり、それから通信の秘密との関係なりの御指導をいただきながら最善の解を見つけていくしかないというふうに考えております。 <0072>=橋本敦君= お立場はよくわかりました。ですから、この法案ができた以後どう対応するかは難しい問題だ、一概に政府の要請があってそれを拒否できるかというと、それはやっぱり検討しなきゃならぬということも考えざるを得ない、こういうことですね。  そういう意味で、今後この法案ができた以後、携帯電話間の通信傍受を一層可能にするためのシステムなり、あるいは技術的な開発なりという問題で政府から要請があった場合の事業者の皆さんの御負担というものについて私も実際は心配をしているわけです。  その点について、郵政省と法務省が交わした覚書が資料として出されているんですが、その中では、新たな投資やシステムの開発が必要となるものについては協力義務には含まれないという確認があるんですね。協力義務には含まれないけれども、しかし政府の方は協力の要請はできるという立場のようなんです。だから、協力義務には含まれないと書いていますが、協力は要請する。そうすると、任意に協力するということになってくると実際はこの覚書は生きてこない、こういうことになりますので、そういう意味で通信業者なりNTTさんなりのこれからの立場というのは非常に大事じゃないか、私はこう思うんです。  それから、私は新聞で見たんですけれども、福島委員とも話し合っていたんですが、衛星携帯電話というのがあるんですね。この衛星携帯電話については通信傍受が困難だというふうに報道されているんですが、そうなりますと、この法案が通れば悪い連中はみんな衛星携帯電話を使うということも可能になってくるわけでしょう。これも技術的に困難だということは新聞に書いてあるんですが、これは技術的に通信傍受が可能になる技術の開発もこれまた可能ではないかと私は思うんですけれども、技術的な面としての御意見はいかがでしょうか。 <0073>=参考人(桑折恭一郎君)= 衛星のシステムにつきましては、大変申しわけないんですけれども、私自身ほとんど知識を持ち合わせておりませんので、その辺の可能性の可否ということについては何とも申しかねるという点でございます。 <0074>=橋本敦君= 森下参考人にお伺いしたいんですけれども、今、NTTでお役目をなさっているんですが、以前には電電公社にいらっしゃったということでございますか。 <0075>=参考人(森下俊三君)= はい、そのとおりです。 <0076>=橋本敦君= 一九六四年に「通信の秘密」と題する文書がつくられておりまして、これはNTTになってからも引き継がれておると思うんですが、この電電公社時代の文書によりますと、通信の秘密を守るということの立場から、現行犯逮捕に対する協力要請及び捜査機関等からの照会に対する措置として、そういう照会に応ずる場合には、一つは、通信の当事者の同意がある場合のほか、被害者の生命、身体、自由に重大な危害が迫っておって、他の方法ではこれを救うことが困難であると認められ、かつ通信の一方の当事者の同意がある場合は照会に応じる、こういう規定があるんですね。非常に厳しく制限をしている。そういう意味で、捜査の要請があっても通信の秘密はもうぎりぎりのところまで守りますよという建前が貫かれているんですね。  私はこれ自体はいいことだと思うんですが、こういう立場が今も貫かれているのか。それからまた、今度は通信傍受法、いわゆる盗聴法ができた場合にはこの覚書はいわゆる協力義務ということで大きく変わってこざるを得ないのではないか、守り切れないのではないかというように考えておるんですけれども、そこらの点について参考人の御意見はどうですか。 <0077>=参考人(森下俊三君)= 先ほどの「通信の秘密」につきましては、特に逆探知等で厳しい条件のもとでしか行っていないということだと思いますが、これにつきましては現行NTTになりましても現在でも同様でございます。ですから、運用につきましては、そういった意味では手続もかなり厳しく行ってきておるところであります。  今回の通信傍受法案が成立いたしました場合でも、これは成立後、関係機関と十分運用の方法については協議、お話し合いをさせていただくということになると思いますが、運用上は通信の秘密をきちんと守れるようにかなり厳しい手続をすることになるのではないかというように思っております。いずれにいたしましても、これは法案成立後、関係機関とお話をさせていただこうというように思っております。 <0078>=橋本敦君= 今おっしゃったように、法案が成立すれば、せっかく電電公社時代に通信の秘密を守るということで自主的におつくりになった原則、今言ったように片方の当事者の同意がなければ緊急の場合でも捜査の照会で協力できないよとか、あるいは両当事者の合意がない場合は通信の照会に応じられないよと、こういう大事な原則は今度の法案でなくなっちゃうわけですよ。当事者の了解とか当事者の同意なしに通信傍受をする、いわゆる盗聴するというのがこの法案ですから。だから、そういう意味では基本的に今まで電電公社として通信の秘密を守るという立場で守ってこられた、そういうことが実際はこの法律によってできなくなる、そういう重大な問題でありますよということも私は指摘を申し上げて御意見を聞いたわけですけれども、その点、御意見があれば。 <0079>=参考人(森下俊三君)= 本日は技術的な説明ということで参っておりますので、法律の解釈についてはちょっと御勘弁願いたいんですが、基本的には私どもは今回の通信傍受法案が成立いたしましてもそのあたりの条件は変わらないというように理解しております。  なお、法案の解釈につきましてはちょっと今回は御遠慮させていただきたいと思っております。 <0080>=橋本敦君= わかりました。変わらないというお考えは御意見としてはわかりましたが、法律は変えてしまうという重大な問題であるということを指摘して、質問を終わります。  ありがとうございました。 <0081>=委員長(荒木清寛君)= 速記をとめてください。    〔速記中止〕 <0082>=委員長(荒木清寛君)= 速記を起こしてください。 <0083>=福島瑞穂君= 社民党の福島瑞穂です。  どうもお待たせして済みませんでした。  森下参考人にお聞きいたします。  先ほどアナログ回線、デジタル回線の比率をおっしゃいましたけれども、例えば来年あるいは三年後、五年後、十年後、この回線の割合はどういうふうになる予定でしょうか。 <0084>=参考人(森下俊三君)= 基本的に言えば、これは私どもだけでサービスをやっているわけではありません、今後はCATV事業者の方のお客様もふえる、あるいはTTNet等の事業者もふえてまいりますので、五年後、十年後どうなるのかというのは予測がつかないところがありますが、現状では、先ほど御説明いたしましたように、アナログからISDNに毎年五千万のうちで大体二百数十万というお客様が移ってきているということですから、比率はかなり上がっていくだろうと思います。  それから、今後マルチメディア等のいろんなサービスがふえてまいりますし、インターネットがふえてまいりますので、かなり早い時期にISDNのお客様がアナログの数を上回る時期が来るのではないかというふうな予想はしておりますが、いずれにいたしましてもこれはもうこれからの市場の状況によりますので何とも言えないところであります。 <0085>=福島瑞穂君= 衆議院の法務委員に対してNTTが「電話及びISDN回線における通信傍受」という資料をNTTの見学のときに提示していらっしゃいます。  その中の電話回線、それからISDN回線のところに、傍受ポイントcとしまして、電話回線のところは「試験制御装置の操作を行い、交換機の回線対応部に割り込み接続し、傍受用機器により通信内容まで識別可能。(但し、通話切断後は割り込んだ回線からの発信は不可)」、それからISDN回線のところも「試験制御装置や測定器の操作を行い、交換機の回線対応部に割り込み接続し、傍受用機器により通信内容まで識別可能。(割り込み中も発信可)」というふうになっております。  これは私たち参議院の調査室がつくってくださった資料にも入っているものですが、先ほど世耕委員の質問にお答えがありましたけれども、電話回線、ISDN回線において試験制御装置の操作を行い盗聴するということをNTT自身が提示していらっしゃるんです。  ですから、例えば電話回線の方がISDN回線よりも難しいところもあるかもしれませんけれども、電話回線、ISDN回線ともに盗聴が可能であると考えますが、いかがでしょうか。 <0086>=参考人(森下俊三君)= 先ほど御説明しましたように、アナログ電話の場合は試験制御装置から故障のときに割り込むということであります。ですから、たまたま故障で割り込んだときにお話し中かもわからない、試験するわけですから。ですから、その割り込んだときにお客様が電話中ですと、モニターをしておりまして、それが終わってから試験をする。あるいはその試験のときにちゃんと通話できるかどうかがありますから、特別の機能を操作すればアナログの場合も発信だけはモニターしながらできます、だけれども着信はできませんということで、これはいずれも基本的に試験のためにそういうものを設けているということでございます。  それから、デジタルは基本的にどちらもできるようにしてありますが、これは先ほど御説明しましたように、デジタル信号がちゃんと通っているかを見るためにやるわけですから、どちらもできるということでございまして、盗聴云々という話がありましたが、私どもは電気通信のサービスを扱っている限りは、その作業の中で当然結果的に通信を聞くということは生じるわけであります。ですから、それは従業員規則等でそういう業務上で知ったものについてはきちんと通信の秘密を守りなさいという規則があるわけでありまして、先ほど言いました工事を行うあるいは故障作業を行うといったときに偶然知ってしまうということはあり得るということです。  今回の通信傍受法案につきましては、ですからこの法案が通りましたら、その機能を使っていただければ傍受ができますということをお話ししているところでございます。 <0087>=福島瑞穂君= でも、結局、試験制御装置の操作を行って盗聴することはできるわけですし、盗聴する場合にこの試験制御装置の操作を行うということも傍受としてNTTは出していらっしゃるわけです。ということは、今回この盗聴法が実現した場合にはこの制御装置の操作を行って盗聴するということになると思いますけれども。 <0088>=参考人(森下俊三君)= 先ほどお話ししましたように、試験をするということは私どもは盗聴とは考えておりません、盗聴というのは盗み聞くわけですから。基本的に試験をする、お客様からこの回線は故障ではないかということがありますから、そのために割り込んで試験をする。たまたまそれが電話中であれば電話をモニターする。その電話がちゃんと声が聞こえているかどうかも試験の範囲であるわけでありますから、あくまでも試験の範囲だというように考えております。 <0089>=福島瑞穂君= 技術的に可能かどうかという問題と、これは試験の制度であるから盗聴法が実現しても使わないという問題がちょっと混同されているというふうに思うんです。技術的にこれは可能です。  それから、フラッシュの記事に石川県のNTTが警察に協力して逆探知をしたというケースが載っておりますけれども、あれはPTTを使って盗聴し逆探知もしたというケースなんですね。現に今、試験制御装置やその捜査を行っているわけです。  私たちが聞きたいのは、そういうことに使うかどうか、使えるかどうかということなんですけれども。 <0090>=参考人(森下俊三君)= 先ほど御説明しましたように、PTTで待ち受けはできません。ですから、PTTをセットして待ち受けすると発着信が不可能になりますので、それで傍受はできないということをお話ししているわけです。だから、アナログの場合に、この試験制御装置というのをセットいたしますと、試験制御装置とPTTは別ですから、発信はできても着信はできませんから、ですから傍受はできませんよということを先ほどお話ししたはずです。 <0091>=福島瑞穂君= ただ、電話回線とISDN回線の場合は、難度の違いはあるけれども盗聴は可能なのではないんですか。 <0092>=参考人(森下俊三君)= 何度もお話ししていますが、今の装置にはそういう機能はありませんということを言っております。  デジタルの場合はなぜそういうことが必要かといいますと、中を通っているデータが高速のデータになっていますから、データがビット誤りを起こしているかどうかということは調べないといけません。ですから、そういうことを調べるために、上りのデータとか下りのデータが全部見れるようにしてあるということです。  アナログの場合はそういう必要性がありませんので、物理的なものを試験するようになっていますから、アナログの試験装置でやりますと着信はできなくなる。  それから、PTTの場合はあらかじめセットしておきますと発信も着信もできません。これはもともとそういう機能は必要ありませんから、工事用の試験用装置としてつくってありますので、ですから基本的にそういったものであらかじめセットして傍受するということは不可能であります。 <0093>=福島瑞穂君= 確認ですが、デジタル回線の場合はこの試験制御装置を使って盗聴することは技術的には何ら問題はないんですね。 <0094>=参考人(森下俊三君)= 先ほど御説明しましたように、この番号にセットいたしますと、発信、着信、両方とも傍受はできます。 <0095>=福島瑞穂君= それが確認できれば結構です。  次に、法務省は内線電話を使った盗聴についてホテルなどを例にとって説明をされております。例えばホテルと外部を結ぶ線は不特定多数の通信が行われるので盗聴はできない、そのためホテル内の交換機で盗聴するというふうにおっしゃっているんですが、内線用の交換機で盗聴は可能なんでしょうか。数千室もあるホテルの場合ではなくて、数十室のような小規模なホテルで使用される交換機でも盗聴は可能なのでしょうか。 <0096>=参考人(森下俊三君)= PBXの場合ですと、先ほどの絵でいきますと、お客様宅のところに電話機がたくさんあるわけです。ですから、NTTから行っている回線が例えば十本、十回線あるとしますと、そのホテルですとそこには百回線だったら百回線電話がある。先ほど御説明しました引き込み線の一だとか二のところで私どもが見れるというのは、その十本の線しかわかりません。それから、そこはPBXから発信しますとどの回線をつかむかはわからないわけです。ですから、内線のどの番号が私どもで言う私どものケーブルのどの線を捕捉したのかはわかりませんので、そういった意味ではNTTのビルの方では傍受はできないということです。  ですから、今度はお客様宅のところ、要するにPBXのところに同じように今度は配線盤というのがありまして、そこから電話線がずっと電話機のところまで延びていっておりますから、そこのPBXの内線の配線盤のところで多分傍受をするのではないかというように思います。 <0097>=福島瑞穂君= 一般企業の場合、ビジネスホンなどがたくさんありますけれども、容疑者がどの電話を使用するかわからない場合、交換機でどのように特定して盗聴するのでしょうか。 <0098>=参考人(森下俊三君)= ビジネスホンでも、私どもの線が一回線しかなくてお客様のところに何台かの電話機があった場合はすべて私どもの一回線に入ってきますから、そこを傍受することになります。ですから、どの電話から発信しているかはすべてこの一本の線で見てしまうというか、そういうことになるわけです。  それから、ここの線が複数回線ある、三回線とか四回線あって、しかもお客様のところにビジネスホンが十台とか二十台あった場合には、先ほどのPBXと同様でございまして、どの回線をつかむかというのは代表を組んであったりしますと変わりますので、ですからNTT側の線、これは局線と言っていますが、その線を指定しただけではどの電話ということは決まらないということです。 <0099>=福島瑞穂君= そうしますと、同じ番号をみんなが使っているというような場合にはどれかわからないわけですね。そうしますと、結局、全部聞いてしまうことになるんですか。全部聞かないとわからないんでしょうか。 <0100>=参考人(森下俊三君)= 基本的にはその線を指定していただくということ以外はできないと思います。 <0101>=福島瑞穂君= どうやって指定をするんですか。 <0102>=参考人(森下俊三君)= 一応、代表電話が組んである場合でも、十本の線だったら十本の線に電話番号がついているわけです。ですから、その番号を指定していただく、そこを指定するということしかできない。だから、内線電話につきましては、あるいはビジネスホンでも、先ほどお話ししましたように内線はどの線をつかむかはわかりませんから、自動的に発信しますので、お客様のところの端子盤なり接続しているところで見ないとわからないということです。 <0103>=福島瑞穂君= しつこくて済みませんが、ビジネスホンだと、結局、複数をみんなが使っているわけですね。そうしますと、容疑者がこれを使うという特定はできないわけですね。その人は気分によって十番を押すかもしれないし八番を押すかもしれない。ほかの人の通話が同時に進行しているわけです。とすれば、どうやって特定するのか。いかがですか。 <0104>=参考人(森下俊三君)= 先ほどお話ししましたように、複数の電話機、内線電話機をお使いになりますから特定できないということになります、それは。 <0105>=福島瑞穂君= ビジネスホンなどの場合は特定できないということを確認させていただきました。  先ほど協力義務のことで、パスワードなどを渡さない、世耕委員の質問に対してパスワードを渡さないと。もし誤読、ミスリードだったらごめんなさい。十一条の通信事業者等の協力義務に関してパスワードなどを渡さないという旨発言されたような気がするんですけれども、その協力義務の中身で、法務省と郵政省の覚書の中に「法案第十一条について」というのがあるのですが、パスワードを渡さないとかそういうことは一切盛られていないんですね。ですから、NTTは現在十一条の協力義務についてどういう理解に立っているか教えてください。 <0106>=参考人(森下俊三君)= 先ほど私はパスワードを渡さないという発言はいたしておりません。  それからもう一つは、先ほどの件につきましては、この新聞記事にありますようにPTTを張り出してみても傍受はできないわけです。ですから、こういう不完全なものをやるということ自身は、もし関係当局が御要望された場合には、これは傍受は不完全だし、基本的には私どものビルの中でやっていただきたいということと、先ほどお話ししましたように、まずMDFでやっていただけばそれできちんとできるわけですから、もともと不完全なものをもしお使いになるということであれば、それについては私どもはそういうことですよということをお話しさせていただこうというようには思っております。ですから、渡す、渡さないという議論は一切しておりません。 <0107>=福島瑞穂君= 仮定の話で申しわけありませんが、もし警察の側がこれを使ってぜひ協力をしてくれと言った場合はどうなりますか。 <0108>=参考人(森下俊三君)= 仮定の話は難しいんですけれども、先ほどお話ししましたように、これは傍受ができない装置ですから、たまたま割り込んだときに通話しておればモニターできますけれども、それ以外はできませんので、そこら辺を十分御説明して、何のためにお使いになるのか、むしろ傍受のためであればMDFでやっていただければそれは私どもとしては協力をするわけでございますので、そういうお話をさせていただくつもりです。 <0109>=福島瑞穂君= デジタル回線の場合は試験制御装置を使って傍受をすることは可能なわけですね。それで、それに対して警察がNTTに協力をしてくれと言うことは十分あり得ると思います。そして、協力義務の中では、こういうことは協力しないということの中には今まで出てきておりませんので、NTT側は盗聴に関して全面的に協力をしてくれと言われた場合に拒否できる理由になるのかどうかという点についてはいかがですか。 <0110>=参考人(森下俊三君)= 先ほど御説明いたしましたように、アナログの場合はMDFでやっていただけば傍受の目的は達成できます、デジタルの場合は試験制御装置を使っていただけば傍受はできますというお話をしております。ですから、デジタルの場合はそれを使っていただくということになると思いますが、運用につきましては基本的には私どものビルの中でやっていただくということで関係機関には御相談をしたいというように思っております。 <0111>=福島瑞穂君= 令状が出た場合はどうですか。 <0112>=参考人(森下俊三君)= 先ほどお話ししましたように、目的は何かということであれば、私どものビルの中にある装置を、私どもの装置を傍受に利用していただいているということでございますから、そういった意味では私どものビルの中で使っていただくというのが原則でございます。ですから、そういうことを関係機関にお話をさせていただくということで私は関係機関の理解が得られるものだというふうに思っております。こういったものは外へ持ち出すものではないというのが私どもの解釈でございます。 <0113>=福島瑞穂君= 条文上は傍受場所については特に限定はつけていないのですが、ちょっと時間がなくなりましたので、最後に御両者にお聞きしたいのは、立会人の問題です。  立会人が常時必要であるとなった場合に、アメリカの場合は例えばワイヤータップ・レポートによりますと一件について七百五十万ぐらいかかったというデータもあります。ですから、立会人をつけるという場合の費用などがどうなるのか。常時となりますと三交代になるのか、どうするのか。立会人についての御意見を御両者から、簡単で結構ですので、お聞かせ願えればと思います。 <0114>=参考人(森下俊三君)= この立ち会いにつきましては、運用の問題といたしまして、結構長時間になる場合もあると思いますし、件数がどの程度になるかもわかりません。場所的にも、先ほど御説明いたしましたように、MDFということになりますと、ビルがたくさんありまして無人の場所だとかそういったこともありますので、そういった意味で立ち会いにつきましては、コスト面、それから稼働面で当然負担が出てくるだろうと思っております。  ですから、これはどういう状況になるか今はわかりませんが、電気通信事業者にとりましてコスト面や稼働面で過度の負担にならないような運営をしていただくように、法案が成立いたしましたら関係機関にお願いしたいというように思っております。 <0115>=参考人(桑折恭一郎君)= 先ほどから移動体の事柄について申し上げておりますけれども、私どもとしては、まず今回の法案が成立した段階でその趣旨にこたえる技術的な問題がどういう形で解が出るのかということをまず検討するということが第一だと考えておりまして、立ち会いというのはある程度その辺のめどがついた上での事柄だと思っております。  正直申し上げまして、きょう時点では立ち会いに関してどういう見解かというところまではまだ私どもとしては考える段階になっていないというふうに考えております。 <0116>=福島瑞穂君= どうもありがとうございました。 <0117>=中村敦夫君= 中村敦夫でございます。  参考人に質問する前に、先ほど世耕議員から、先日の法務委員会で述べた私の発言及び朝日新聞の記事が間違いであるから世耕議員に対するあいさつが一言欲しい、そういう御発言がありましたので、御希望どおりあいさつします。  世耕議員の先日の発言の内容を考えますと、まず一つは、アナログ回線の場合は実際上PTTは難しいということを言っているんですね。これは困難だということを言っています。実施するにしてもNTTの全面協力が必要だと。しかも、そういう場合NTTの協力はあり得ないんだというふうな文脈のお話だったと私は受け取っています。  ということは、私は道義的な問題ということを言っているのではなくて、やる気になれば技術的にそれが可能かどうかという問題を言っていたわけです。困難である、不可能であるということとはまた違うわけでございます。そういう意味では、NTT自身が法務委員会に提出した「電話及びISDN回線における通信傍受」というところで技術的には可能だということをはっきり言っていますし、今の福島議員の質問に対しても、純技術的には可能だけれどもさまざまな事情とか困難さでできないというふうにお答えになっているんだと私は思います。ですから、問題のとらえ方が違うというふうに私は感じております。これがごあいさつです。  それで、早速質問に移りますが、お二人に同じ質問をしたいと思います。  さきの法務委員会で、私の質問に対して、法務省は警察施設での盗聴は法的にはできないんだというふうに答えておるわけですね。一〇〇%できないというふうな答えなんですね。ですから、わかりました、これは法的にはできないとして、また純粋に技術的なことをお聞きしたいと思うんです。  協力義務が法案の第十一条にありますけれども、そういう形で全面協力するという、例えばそういう形になった場合の技術協力の面についてなんですけれども、通信事業者の施設と外部の施設などをケーブルなどの専用回線でつなぐというケースですね。そうした場合、施設の外部から電気通信設備をモニタリングするということは技術的に可能なんでしょうか。専用回線の場合をお答えいただきたいんですが。 <0118>=参考人(森下俊三君)= 先ほど御説明いたしましたが、アナログ電話の場合は、この試験制御装置を専用線で引っ張り出しても、要するにモニター状態にいたしますと着信ができない、技術的にできないということをお話ししております。  それから、先ほどごあいさつのときにありましたが、朝日新聞の記事にPTTと書いてありますが、これは技術的にできないということでありまして、全面的協力が得られればできるということは全くの誤解だというように思います。技術的にPTTそのものがモニターできないのでありまして、そこはこの書いてある内容が間違っているということを言っているわけです。  ただし、ごく例外で、たまたまそのPTTから割り込んだときに通話をしておればモニターできる。だけれども、それは偶然割り込んだときに、通話していない限りはモニターできない。あらかじめセットしておいて待ち受けても通話はもうかからないということを何度も言っているわけです。基本的に何回やるといっても、それはどうやってやるのかということです。要するに、もう交換機の方でここは使っているという状態になっているわけですから接続できないわけです。 <0119>=中村敦夫君= そうなりますと、この法務委員会に提出した資料、これはなぜ識別可能というふうに断言しているんですか。 <0120>=参考人(森下俊三君)= いや、間違っておりません。そこはよく読んでいただくと、デジタルの場合とアナログと分けてあると思います。アナログは発信はできますけれども着信はできませんと書いてあるはずです。PTTのことではないんです、それは。試験制御装置のことです。 <0121>=中村敦夫君= はい、わかりました。  Jフォンの場合は今の質問はいかがですか、専用回線という。 <0122>=参考人(桑折恭一郎君)= 今の法案にのっとって、どういう形での傍受が技術的に可能かということがある程度詰まった段階で、それがまたうまくシステム上、こういう形でやればできるという回答ができた段階では基本的に専用線でやるという解はあるかもしれませんけれども、私どもとしては、まずそれ以前の段階として、どういう形でそういう情報がとれるかということと、その情報が本当に目的とされる情報であるかどうかということをどこまで私どものネットワークとして保証できるのかということの面で非常に難しさがあるかと思います。  それと、先ほど言いましたように、数百回線の中から特定していくという作業自体は、これは私どもの専門家でも本当にうまくできるのかどうかという非常に不確定要素もございますので、専用線をやったことですぐ目的に沿うような形のものができるかどうかということについては非常に疑問な点があるかと思います。 <0123>=中村敦夫君= それでは、同じようなケースですが、通信事業者の施設と外部の施設などをケーブルなどではなくて携帯電話でつなぎ、施設の外部から電気通信設備をモニタリングするということは技術的に可能なんでしょうか。お二人にお聞きしたいんですけれども。 <0124>=参考人(森下俊三君)= ちょっとイメージがわかないんですが、今の御質問は試験制御装置の内容を無線回線といいますか携帯電話の回線につないで携帯電話で受けるというお話でよろしいんでしょうか。 <0125>=中村敦夫君= はい、ケーブルじゃなくて携帯電話で。 <0126>=参考人(森下俊三君)= 原理的に考えますと、その回線を携帯電話の回線に乗せてやるということは可能だとは思います。原理的には可能だと思います。 <0127>=参考人(桑折恭一郎君)= もし専用線で結んで意味のあるまたは技術的にも問題ないということがある程度答えとして出た段階では、携帯か専用線かということについては技術的には全く差異はないと考えておりますので、そういう形ができたとした場合には携帯でデータ伝送をやるという方式も専用線と同様だと考えていただいていいかと思います。 <0128>=中村敦夫君= そうすると、純技術的には可能性があるというお話だと受け取ります。  森下参考人にお聞きしますけれども、けさの日経新聞なんかでも、日本でもやっとインターネット銀行を開始するという趣旨の記事が出ておりました。こういう状況の中で、NTTでは、例えば暗号技術に関して捜査のために必要であれば当局にすべての開発情報を提供するというふうな形になるとお考えでしょうか。 <0129>=参考人(森下俊三君)= 先ほどISDNの回線でお話ししましたが、傍受をするところでデジタルの信号ですからブーンという音しか聞こえないというお話をいたしました。基本的には今回の傍受という意味での協力は私どもはそこまでだろうと思っておりまして、中身は私どもの義務には入っていないというように解釈しておりますので、どういう信号、中身なのかは私どもは関与しておりませんし、それを解明するようなものを私どもがつくるという考えも今のところはございません。 <0130>=中村敦夫君= そうすると、例えば暗号技術に関しては協力を求められてもできないということなんでしょうか。 <0131>=参考人(森下俊三君)= ちょっとよくわからないところがあるんですが、暗号技術そのものはいろんな暗号技術があって、NTTが開発したものについてはこういったものだという技術的な説明はできると思うんですが、ただ実際の回線でどういう形でそれが使われるか。実際は暗号といいましても暗号は多分その発信した一つの通話ごとに変わっていくわけでしょうから、そういった意味では原理はわかってもそれをどうやって傍受するか、傍受したものを暗号解読するかということは、またそういうものを開発しないといけないということになると思いますので、そういった意味では私どもの傍受というのはそこまで含まれていないというふうに理解しております。 <0132>=中村敦夫君= 質問を終わります。 <0133>=委員長(荒木清寛君)= 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。  両参考人に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  午前の審査はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後零時四十分休憩      ─────・─────    午後二時開会 <0134>=委員長(荒木清寛君)= ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を議題とし、参考人から御意見を伺います。  午後御出席をいただいております参考人は、東京インターネット株式会社上級顧問高橋徹君及びニフティ株式会社取締役サービス企画統括部長代理本名信雄君でございます。  この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  両参考人から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方でございますが、まず高橋参考人、本名参考人の順にお一人二十分程度ずつ御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたしたいと存じます。  なお、参考人の意見陳述、各委員からの質疑並びにこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、高橋参考人からお願いいたします。高橋参考人。 <0135>=参考人(高橋徹君)= 高橋でございます。  それでは、私は、インターネットから見た通信傍受法の問題ということをお話しさせていただきたいと思います。  私自身のことを申し上げますと、十五年前からインターネットのユーザーでございまして、一九八七年、十二年前には日本で最初のインターネットのための機器を扱うようなビジネスをしてございます。  それから、インターネットの調査研究をずっと年ごとに行ってまいりまして、その結果を通産省に提供したりしておりますが、九四年には東京インターネットという会社を設立しまして、これが大手のプロバイダーになった、インターネットサービスの提供者として、特に専用線のユーザー、企業ユーザーに対するサービス提供会社としては最大のものになったことがございます。その資格としてございますのは、特別第二種の電気通信事業者という資格でございます。  その間、ずっとインターネットの普及発展に貢献してまいりまして、九七年に日本インターネット協会の会長を務め、現在でもそれを務めておりますが、九八年にはアジア・パシフィックのネットワークインフォメーションセンターの議長を務めております。そのほか、国際のさまざまな役割を負っているという状態です。  改めてインターネットとはということを申し上げますと、世界じゅうのコンピューターネットワークがたくさんございますが、これが相互に接続された世界大、要するにグローバルスケールのネットワークとしては唯一のものである。ア・ネットワーク・オブ・ネットワークスというふうに言いならされております。  相互に接続されたという意味合いは、それぞれの単位のネットワークというのがございまして、それぞれが接続の責任を負うという形で、自律統治、セルフガバナンスというのがインターネットの成り立つための原則となっております。あくまでもインターネットはセルフガバナンスということによって成り立つものであるというのが原則的な考え方としてございまして、そのためには、世界じゅうで共通の通信手順を使う、これをTCP/IPというふうに言っております。  ちょうど三十年前、一九六九年に米国の国防総省のお金をつけたプロジェクトで学術研究用のネットワークが始まりまして、それから三十年たちました。その間、学術用から商用への展開というのがございまして、商用のインターネットというのが米国では十年間の歴史を持っているわけです。日本ではまだ、九二年の末から商用のインターネットが始まったということで、それでも七年になるということになります。  インターネットの技術といいますのは、情報を小包、パケットにして送受信するコンピューター制御の技術というふうに言ってしまえば非常に単純ですが、これをパケット通信技術というふうに呼んでおります。情報を蓄積するコンピューターをサーバーと言いまして、サーバーにユーザー側のコンピューター、これをクライアントというふうに言ったりしますが、ユーザー側のコンピューターからサーバーにある情報をアクセスして情報の送受信を行うということになります。  住所、氏名がないと送ったり受け取ったりはできないわけで、住所がアドレスという番号になっておりますし、氏名の方はドメイン名ということで、これははっきり名前をつけるということになっております。住所、氏名をつけることによってインターネットも初めて情報の送受信ができるということになります。  送受信のための通信回線というのはもともと専用線、つまり電話線ではない、インターネットのためだけに使われる、データ通信のためだけに使われる専用線というのが主でありまして、それがなかなか高い、それによってなかなか普及が阻まれているということがあるために、電話線が補助として使われているというのがもともとの考え方です。インターネットの発展というのは専用線をベースにして発展してまいりました。個人ユーザーは大体電話線を使って成り立っているというのが現状です。  そういう中で、セキュリティー技術というのが非常に発達してきまして、これは軍事技術としてのセキュリティー技術も含めまして、特に商用化の発展する中でセキュリティー技術がそれぞれの企業に必要になったということで非常に発達を遂げてきております。  インターネットのメディア特性ということを申し上げますと、今申し上げたサーバー・クライアント型といいますか、大きなコンピューターとそれにアクセスするユーザー側のコンピューター、その対応関係が世界じゅうに散らばっているんだということで、サーバー・クライアントの自律分散環境というふうに申しております。  そういう中で、クライアントとクライアント、つまりエンドユーザーとエンドユーザーが相互に通信できるということを保証しているのがインターネットの仕組みでございます。これがグローバル、つまり世界大という形で発展しているわけなので、どうしても国権の範囲を越えるような越境する性格というのがあります。ボーダーレスの世界というのがそこで生まれてまいります。そうすると、さまざまな問題がそこで出てまいりますが、国権の範囲を越える国際協調というのが非常に重要な問題になってまいります。  それから、一対一だけでなくて、特定多数への通信が同時に可能になっております。これをマルチキャスティングというふうな言葉で呼んでおりますが、一対一の通信だけにとどまるものではないということです。そういう意味では、インターネットプロトコル、IPというふうに言っておりますが、この上で音声、動画、静止画を扱えるようなマルチメディア通信が可能であるというふうになっております。今後、このマルチメディア通信がどんどんインターネット上で発展するものだというふうに考えられております。  それで、インターネットのシステム管理というものの特性を申し上げますと、サーバーの管理者の権限が非常に大きい。これをルート、一番根っこという意味でルートというふうに言っております。ルートの管理者になりますと、ユーザーに関する情報がある程度まで把握できる。これは、暗号化などがかかっていないような場合には細かな情報までほとんど見ようと思えば見られるようなぐあいになっています。ですから、非常に責任が重たいのがサーバーの管理者ということになります。  こういうネットワークの運用管理者というのは、現在、日本ネットワークインフォメーションセンター、JPNICという社団法人のもとで管理されておりますが、ネットワークの運用管理者は必ずJPNICのデータベースに登録しなければならないということになっております。そういう意味では、運用管理者相互の協力というのが発達せざるを得ない。ますますインターネットが発展するのに対して、運用のための技術者というのが不足してまいります。大手のネットワーク企業の技術者というのはほぼどこにだれがいるかということはわかっているわけです。だから、ますます相互協力が発達するということになります。  それから、インターネットカルチャーということを申し上げますと、非常に特徴がございますのは、多数決原理で物事を進めていくわけではない。つまり、どの技術がすぐれているかということを多数決で決めたりはしないということがあります。技術を多数決で決めるなんというようなことは考えられもしないことですが、まず実質を重視するということです。  それから、ラフコンセンサス・アンド・ランニングコードという考え方がありまして、要するにラフな、大ざっぱなコンセンサスがあればあとは現場でもってどんどん詰めていくべきであるというふうな考え方です。それから、ランニングコードというのは、現実に動いているプログラムを重視しましょう、こうあるべきだ、あああるべきだという議論が重要なんじゃなくて、実際に動くものが必要なんだと。実際に動いて役に立つものということです。細部まで決めないで実態に即した考え方というのがインターネットの考え方になります。  さらに、オープンシステム、オープンリソースということを言っておりまして、一企業がつくり出したものに取り囲まれるということが全く必要ない。どの企業もみんな同じシステムを持っていて、それが相互に運用できるような、そういうものとして存在するというのがオープンシステムですが、そういうオープンシステムの原理というものを守っておりまして、それからオープンリソースという一番もとになるプログラムであるとかソフトウエアというものをどんどん公開していくという考え方があります。よいものはみんなが使っていけばもっとよいものになっていくというそういう考え方です。  この辺が、非常に新しい文化、カルチャーの問題を出していると思いますが、さらに、トップダウンよりもボトムアップが主流であるということになります。  それから、分散環境、さまざまなところにあるネットワークがそれぞれの危険負担というものをやらなければならない。そういう分散環境のもとで危険負担を行うために、それぞれのリスクというのは非常に少なくて済む、人に迷惑をかけないで済むようにしようというのが一番の考え方です。  それから、最近、インターネットソサエティーの方は、インターネットコミュニティーの標語としまして「インターネットは万人のために」、インターネット・イズ・フォー・エブリワンということを言っております。エブリワンということを言うと、老若男女あるいはディスエーブルの方々やいろんな人たちにインターネットは使えるようにならなければならないというそういう考え方が非常に強く押し出されてまいりまして、現在二億人のユーザーがいる世界のインターネットが、本当に六十億のみんなの手に渡るということを目標としております。  片や、商用インターネットというのがどんどん発達してきまして、郵政省の発表ですと国内で千七百万人がユーザーになったということでありますが、一九九四年からの発展が非常に急激です。これは本当に急激過ぎるほどの発展を遂げていまして、その中で、学術用途や商業用途というふうなことを限定しない、何でも使っていいんだというふうなことがどんどん言われて、そういうビジネスが発達してまいりました。そういう中では、誤用、悪用、アビューズというふうに言ったりしますが、そういうものも生まれてきております。  それから、その悪用の中には、この世に存在するさまざまな犯罪の要素がインターネット上に入ってくるということもございます。商用のインターネットは非常に急激なスケールの拡大を必要としておりまして、ネットワークのスケールも拡大しているし、トラフィックもどんどん伸びているということに対して対応しなければならないという、いつも追いかけられている状態です。  それから、商用のインターネットの時代になって初めて自律統治をさらに拡大しなければならないというインターネット全体の管理組織の問題が非常に大きく浮かび上がってまいりました。現在、国際インターネットの世界ではICANN、インターネット・コーポレーション・フォー・アサインド・ネームズ・アンド・ナンバーズという非営利の民間の組織、これをインターネットの管理組織として成立すべきであるという議論がこの三年間ほどずっと続いてまいりまして、ことしの秋にはこれが成り立つということになってまいります。日本の政府からもここには代表が出ていたり、日本全体の代表というのもボードメンバーに入っております。そういうことをつくっていく過程に現在我々は直面しているという状況があります。  さて、インターネットの犯罪というのも、これもいろいろございますが、これに対する対応というのをインターネットのコミュニティーはずっとやってきております。  まず、不正アクセスに対応することというのは、不正アクセス防止法というのも検討していただいておりますけれども、要するに迷惑な通信を防止しようということから始まっております。スパムメールであるとかメール爆弾であるとか、いろいろ悪さを仕掛けてくるようなことがありますが、そういうことをまず防止しよう。  そのときに我々はどういうふうにやるかといいますと、まず通信の経路、どういう道筋をたどって通信がやってくるのか。それと、あて名、差出人というものを調べます。また、通信の経歴というのがサーバーに保存されている場合がございますので、通信の経歴を記録したものを調べる。その結果、この不正なアクセスがどこから来たかということを管理運用の担当者の間でもって連絡をとり合って、おたくのユーザーにこういうのはいないだろうかということを打診していって相手を特定することがあるいは可能になるということがあります。  そういうことを自律的に常時行っておりますが、それがはっきりした場合にはユーザーに警告をする。もともとインターネットのプロバイダーとユーザーとの間には、公序良俗に反することを犯したようなユーザーに対しては使用停止処分を加えるというふうなことが最初の約款に明記されております。その約款に従ってそういうことを排除していくということをやってきています。  この間、商用のインターネットがどんどん発展して以来、この五年間にわたって警察には随分協力をしてきておりまして、その結果、非常に高い検挙率であるということが語られております。  さて、現在問題の大規模組織犯罪となりますと様相は多少違っておりまして、犯罪組織がインターネットを使うということになりますと、これはもうはっきり意図した形で名前を偽ったり匿名性ということを駆使したり、それからさらには暗号化を駆使するということが考えられます。そうなりますと、一般の傍受では解けないメッセージがふえてくるだろう。これを防止するためには非常に高度な技術力を要することになります。それからさらに、OECDやG7などで議論されているような形で国際協力が必須になってまいります。  現在の法案の問題点というのを簡単に申し上げますと、一般に現在の電気通信事業者としてインターネットのサービスを提供している者にとっては、通信の秘密を保持しなければ事業が成り立ちません。これがユーザーとプロバイダーとの間の契約の関係になっているわけです。それは、電気通信事業法によって絶対的な前提としてこれを与えられている。  これを覆すということになりますと、電気通信事業法の建前というものが全く違ってしまうんじゃなかろうか。通信の秘密を保持しなければならないということを非常に強く、これは憲法でも電気通信事業法でも言われておりますが、その前提を覆すということがどういう影響を与えていくのかということがよく見えない。その前提を覆すおそれというのがあるということです。  それから、ユーザーのプライバシーを侵すというおそれがあります。これは、特定の犯罪組織が特定のメールアドレスでもって電子メールのやりとりをしているということが確定していれば、そのファイルだけを抜き出すということは可能かもしれませんが、リアルタイムあるいはそれに近いような形でもってファイルを見ていくということは非常に難しい。そのほかのユーザーに対する迷惑が非常にかかりやすい形になります。迷惑がかかるということは、要するにほかのユーザーのプライバシーを侵すおそれがある。  犯罪者同士の通信ということを確定することは難しいわけですから、ほかの人たちのプライバシーを侵すような形で相互の通信を見ないとこれはわからない。その結果としてユーザーとの信頼関係を損ねるおそれがありますし、一たん信頼関係を損ねた場合にどういうふうにしてこれを修復できるのかという、修復の保証をだれもしてくれないんじゃないかということがあります。  それから、プロバイダーが立ち会うということにも問題がありまして、技術者が機密事項に関与せざるを得なくなってまいります。これは技術の人たちが一番嫌っている、技術者のカルチャーにとって一番嫌なことだということがよく言われます。  それから、三年ほど前にテレコムサービス協会から大規模組織犯罪の防止についての傍受について意見を求められまして意見書を出しておりますが、これがうまく今回の場合に反映されているんだろうかということが改めて問題になります。  その三年前の時点と今の時点というのは、また運用技術のレベルが上がってきておりまして、通信の傍受ということをする上での運用技術の発展というのが、傍受のための運用技術じゃなくて運用技術一般の発展があって、そのことを十分に検討しなければ通信の傍受ということもなかなか難しいんじゃなかろうかと思います。  今までいろんな形でプロバイダーとかインターネットコミュニティー全体が犯罪捜査に協力してきているというふうに私は考えておりますが、現在の運用技術のレベルから見て十分な検討がないままに進めるということがなぜ行えるのか、これが非常に疑問でございます。  警察の捜査技術というのは、そういう意味では信頼し得るものでないといけない。信頼し得るものではないということを言うインターネットコミュニティーの人々も多々ございます。それが信頼し得るものであるためには、インターネットコミュニティーと捜査技術に関する協議機関というのが必須ではなかろうか。外国ではCERT、コンピューター・エマージェンシー・レスポンス・チームとか、それからFIRST、FIRSTというのはフェデレーション・オブ何とかという、いろんな産業界、いわゆる各企業と学術、それから政府の機関も入ったようなそういうコンピューターネットワーク上の事件に対する協議機関というのがあります。そういうことが既に持たれている国々というのがあるのに対して、現在の日本には何もございません。一度、ネット上の犯罪の未然防止のための技術フォーラムというのを警察庁が二年間ぐらいにわたって開いてくれたわけですが、それは現在はもう存在していないということがあります。  本当にその技術検討をやらないままに進んでいきますといろんな間違いが起きそうな感じがしますので、ここで十分な御検討をいただきたいというのが私たちの願いでございます。  以上、私の見解です。 <0136>=委員長(荒木清寛君)= ありがとうございました。  次に、本名参考人にお願いいたします。本名参考人。 <0137>=参考人(本名信雄君)= ニフティの本名と申します。  それでは、通信傍受に関する法律について、私ども商用プロバイダーとしての対顧客に対する役務の提供ということを大前提とした形でもって、今回の傍受法の施行についての問題ということで述べさせていただきます。  私ども、商用サービスというのは、あくまでも利用者が日々使うサービスを円滑に、またトラブルなく提供する環境を第一の役務として考えております。こういった観点から、こういった法律が施行されて、実際、傍受という形でもってそれが実行されるときに起こり得る問題点という形でもって、まず最初に通信傍受のための機器の接続等に協力することによって我々が提供しているサービスのパフォーマンスの低下、それからあってはならない障害が発生する、こういったことは絶対許されない。特に、大規模なデータの流れの中から送信あるいは受信されるメール等の通信内容をリアルタイムに取り出して、それをチェックするということ自体は現在の技術からすると非常に非現実的と言わざるを得ません。  傍受というその行為自体をリアルタイムモニタリングという形でとらえるならば、実際こういった電子メールサービスと記録通信、蓄積された文書をある時点でもってほかへ流す、こういった形でのサービスの中では、傍受という概念よりも、従来その文書ないしはそのサーバー自体を差し押さえるといった形での運用の方が現実的ではないかというふうに思われます。  今言ったリアルタイムモニタリングというのは、システム的な負荷が非常にかかりまして、そこの対象となるものをスポット的に取り出すというのが非常に難しくて、そのサーバーに流れ込んでくるすべての通信をくまなくウオッチしなければいけない、それは人間の目では到底できるようなことではありませんので、当然何らかのプログラムを組み込んだ形でもってそこを抽出しなければならない、そういったような構成が考えられます。そうすると、必然的にその作業をするためにのべつ幕なしにそのプログラムが動いているというところでもって、実際サービスを展開していくサーバーなのかモニタリングをするサーバーなのか、本末転倒という形になってしまいます。  こういった流れの中でもって、プロバイダーといえども大きなものから小さなものまで、極端に言いますとインターネットプロバイダーのビジネスというのはそれこそ数人規模で行える事業です。そういった大小のプロバイダーの格差、そういったものと、それから捜査対象範囲、こういったものを勘案しながら実行しないと、私ども大規模なプロバイダーほどそれに注力する部分が大きくなってきて、それでもって必要以上の費用、それから必要以上の労力の負担をしなければならない可能性が出てくるというふうに考えます。  それから二番目に、この法律の目的、趣旨を逸脱した通信傍受が行われた場合のことなんですが、利用者の通信の秘密及びプライバシーの侵害のみならず、インターネット自体、一くくりに言うとコンピューター通信、データ通信という流れの中でもって行われている行為なんですが、単なる通信という手段だけではなくて、インターネットの中ではこういったデータ通信という方法を通じて個々の表現ないしは思想をその中でもって主張していく、そういった傾向が非常に強くなっております。  こういった環境の中でもって、いろいろ使っていただいている利用者にとってインターネットが非常に住みにくくなる環境になるような、こういったことはぜひとも避けなければならない。インターネットの健全な発展が阻害されるおそれのあるような運用自体は望ましくないというふうに言えます。  次に、実際、傍受という作業をやるに際しての運用上の要望事項ということでもって、プロバイダーとしての意見を述べさせていただきます。  従来、インターネットのみならず、こういった電気通信、パソコン通信という形でもってデータ通信を提供している中で、さまざまな形でもって犯罪の捜査に絡むようなケースがございました。それを通じて見ますと、特に被害者が出たところが基本的にその捜査の窓口という形でもって、私どもプロバイダー事業を東京でもって展開しておりますが、全国からそういった捜査照会という形での照会がございます。今回のこの傍受という行為の施行に関してもさまざまな地域からそういった要請が出てくると思いますが、その際についても、全国で均一的な運用方針というものをぜひ確立していただいて、でき得れば運用マニュアル的なところをきちんと策定していただいた上で、それにのっとった形でもって運用していく。  それから、実際プロバイダーでいろいろな形でもって電気通信のサービスを行っておりますが、基本的にはインターネットというスタンダードの世界でもってその技術をベースにして行われているケースが多いのですが、個々のプロバイダーによってはいろいろな形でもってそれをアレンジしているケースがございます。そういった個々の事情を勘案した上でもし傍受という行為をするのであれば、事前に技術的な可能性とそれに対する手順について十分詰めた上でその実施が必要になってくると思います。  それから、実際、傍受に関連する捜査員の方が、極端に言うとこういったサービス運用ないしはメールサーバーの運用に熟知しているとは到底思えません。そういった方々がどういう形でもって我々サイドに関与してくるかというのが全く今見えていない状況です。我々は、一体だれを相手にしてこういった技術的なディスカッションをすればいいのか、そういったところの組織的な受け皿というものがぜひ必要ではないかというふうに思っております。  それから、警察や検察サイドと同じように、実際、傍受を許可する裁判所の運用方針についても、徹底してそれをマニュアル化していく必要があるのではないかというふうに思っております。  それから、先ほども申しましたように、傍受の対象はデータ通信の中ではいろいろございますが、例えばリアルタイムに会話を交わすチャットというサービスもございますし、電子メールのように一たん蓄積されてからおのおののメールボックスないしは次のメールサーバーへ転送するようなそういったサービスもございます。ですから、そういったサービスの特徴をとらえて、何に対して傍受をするのか、その辺はきちんと押さえていただく必要があると思います。  傍受という行為自体がなじまないものに対しても傍受法案を適用すること自体が妥当かどうか。その辺は、従来やっている差し押さえによる捜査が可能な事案については極力差し押さえという形でもって対応していただいて、余分なシステム負荷をかけないような形での協力というのを我々としては望むところでございます。  それから、三点目にプロバイダーの協力義務についてなんですが、実際、傍受に対して協力を要請された場合、どういう協力まで踏み込んでやらなきゃいけないのかというのがよくわからないところでございます。  現段階で伺っている情報の中では、通信傍受用のソフトウエアの開発ないしはそれに必要な新たな設備投資はその協力義務のうちに含まないということですが、実際その傍受が可能かどうかは、使おうとしているソフトウエアがその中において適切に稼働できるかどうかの確認をしなければなりません。これは先ほども申しましたように、各プロバイダーごとにそういったサービスの提供形式というのは違っておりますので、汎用的な形でもって傍受に必要なソフトウエアをたとえつくったとしても、それが一〇〇%稼働する保証はございません。  したがって、プロバイダーにとってそういったソフトウエアが仮に傍受に必要な形でもってそこに設置されなければいけないという状況であるならば、やろうとしているそのソフトウエアがどういう性質を持っているものなのか、どういう環境で動くものなのか、それをちゃんと事前にその仕様を公開して、それに対応できるかどうかの判断が下せるような情報を与えてもらわなければいけないというふうに思います。  それから、実際それを我々のシステムの中に組み込む場合なんですが、そのソフトウエアを組み込むために、組み込むための権利を傍受者側、この場合は捜査側に与えることはできないというふうに考えております。  これは先ほど高橋さんの説明の中でも、そういったシステム設定をできる権限というのは、逆に言えばそのシステム全体をクラッシュさせることもできる権限というふうにとられます。ですから、そういった技術が伴わない捜査側にこういった権限を与えること自体、私どものサービスを継続していく上で非常にリスキーな形になっております。したがって、仮にこの傍受という形でもって捜査協力を依頼された場合には、必然的に我々プロバイダーの技術者サイドがこれに関与していかなければならないというふうに考えます。  こういったプロバイダーとして傍受に協力するための設定行為やその他運用に関する形での協力行為が、先ほど申されたように、電気通信事業法に照らし合わせてちゃんとその免責が担保されるような形での表記が望ましいというふうに考えております。  それから、仮に捜査当局が持ち込んだソフトウエアを私どものシステムにインストールしてそれを動作させた場合、それが原因でもってサービス等に重大な影響が出た場合、その補償についてどういうふうに国家が負担するのか、その点も明確にしてほしいというふうに思っております。  以上、私どもの陳述でございます。 <0138>=委員長(荒木清寛君)= ありがとうございました。  以上で参考人の意見陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 <0139>=仲道俊哉君= 自由民主党の仲道でございます。  参考人のお二人にはお忙しい中御出席いただきまして、大変ありがとうございました。また、直接関係のあります通信事業者の立場から専門的な立場で問題点等も指摘をしていただき、そしてまた非常に前向きな考え方の御発言をいただきましたことに、まず冒頭感謝を申し上げたいというふうに思います。  御承知のように、今回の組織的犯罪対策三法案は、これまで随分この場でも審議をし、約三十時間を超える審議をしているわけでございますが、この審議の中で明確になったのは、通信傍受法についての問題をどうとらえるかということ。  一つには、この通信傍受法案は盗聴法であるということで、通信の秘密が侵害されるんだという立場で最初から反対をされておるいろいろな意見の方もあるわけでございますが、今の発言のように、絶対に通信の秘密は守らなければならない、侵害されてはいけないんだという立場で、では、どのような方法なり、またどのように実際に通信事業者の皆様方との話し合いをするのかということで、私はきょうの参考人の先生方の意見は大変参考になったと思うわけでございます。  これまでの問題点の中で大体はっきりしてきたことは、通信の秘密は侵害されてはならないけれども、一つには憲法第十二条及び十三条に公共の福祉による制約を規定していることから、通信の秘密の保障も絶対に無制限ではないという、ここのところをどのようにとらえるか。すなわち、公共の福祉の要請に基づく場合には必要最小限の範囲でその制約は許されるのではないかという意見も今回の通信傍受法の中には大きなウエートを占めておるというように私は思うわけでございます。  ただし、この意見の前提は、警察官や立会人や裁判官等、この法案に関係する人たちをどう信用するかという、まずその前提に立っておるというふうに私は思います。過去の事例から、日本の警察官に対しては信用できないんだ、立会人が信用を置けないという前提に立てば、何一つこの法案は成立をしないわけでございます。  そういうことで、問題はどう信用するかということでございます。これは余談でございますけれども、警察官に対して一般的な人たちとしては余りいい感情を持っておる人はいないと思いますし、特に交通違反なんかを起こして切符を切られた人たちはこのやろうというような感情を持っておる人も多いわけでございますが、しかし私は、そういう個人的な感情でなくて、今この世の中の治安をどう守ってくれるのか、日本の警察組織の信頼感というのと個人的な感情とは別であるというように思うわけでございます。  いま一つ、基本的な人権、今このことを叫び、通信の秘密を守り基本的な人権が侵害されてはならないんだと言う人たち、そういう人たちも組織暴力や世の中の治安のためにすべて人権が優先するとは考えていないと思います。ここが今度のこの法案を考える場合に非常に大事なところです。  その証拠には、例えば今問題になっておりますオウムの問題です。オウム関連での地域住民の反対運動や、または麻原彰晃の子供が学校に転入する、この問題については実際には私はこれほど人権を侵しておることはないと思う。しかし、そういう人権の問題に対しても、やはり社会秩序を守り、そしてどう世の中の治安を守っていくかということについては、そういう