145回-参-予算委員会-18号 1999/07/16 平成十一年七月十六日(金曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  七月十三日     辞任         補欠選任      三浦 一水君     市川 一朗君  七月十五日     辞任         補欠選任      松谷蒼一郎君     脇  雅史君      若林 正俊君     阿南 一成君      海野  徹君     小川 敏夫君      円 より子君     今泉  昭君      高野 博師君     渡辺 孝男君      小池  晃君     八田ひろ子君  七月十六日     辞任         補欠選任      岸  宏一君     森山  裕君      今泉  昭君     海野  徹君      浜田卓二郎君     松 あきら君      八田ひろ子君     小泉 親司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         竹山  裕君     理 事                 鴻池 祥肇君                 長谷川道郎君                 林  芳正君                 矢野 哲朗君                 今井  澄君                 平田 健二君                 山下 栄一君                 笠井  亮君                 大渕 絹子君     委 員                 阿南 一成君                 市川 一朗君                 岩井 國臣君                 大野つや子君                 岡  利定君                 狩野  安君                 金田 勝年君                 岸  宏一君                 斉藤 滋宣君                 常田 享詳君                 溝手 顕正君                 森山  裕君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 脇  雅史君                 今泉  昭君                 海野  徹君                 江田 五月君                 小川 敏夫君                 郡司  彰君                 内藤 正光君                 広中和歌子君                 福山 哲郎君                 簗瀬  進君                 加藤 修一君                 浜田卓二郎君                 松 あきら君                 渡辺 孝男君                 小泉 親司君                 須藤美也子君                 八田ひろ子君                 宮本 岳志君                日下部禧代子君                 照屋 寛徳君                 入澤  肇君                 月原 茂皓君                 奥村 展三君                 菅川 健二君                 西川きよし君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        法務大臣     陣内 孝雄君        外務大臣     高村 正彦君        大蔵大臣     宮澤 喜一君        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       有馬 朗人君        厚生大臣     宮下 創平君        農林水産大臣   中川 昭一君        通商産業大臣   与謝野 馨君        運輸大臣        国務大臣        (北海道開発庁        長官)      川崎 二郎君        郵政大臣     野田 聖子君        労働大臣     甘利  明君        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    野田  毅君        国務大臣        (内閣官房長官)        (沖縄開発庁長        官)       野中 広務君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    柳沢 伯夫君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局次長      松田 隆利君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        人事院事務総局        職員局長     佐藤  信君        内閣総理大臣官        房審議官     佐藤 正紀君        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        防衛施設庁長官  大森 敬治君        防衛施設庁施設        部長       宝槻 吉昭君        経済企画庁調整        局長       河出 英治君        経済企画庁国民        生活局長     金子 孝文君        経済企画庁総合        計画局長     中名生 隆君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        沖縄開発庁総務        局長       玉城 一夫君        国土庁防災局長  生田 長人君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省条約局長  東郷 和彦君        大蔵省主計局長  武藤 敏郎君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        大蔵省金融企画        局長       福田  誠君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省初等中等        教育局長     御手洗 康君        文部省教育助成        局長       矢野 重典君        厚生大臣官房総        務審議官     真野  章君        厚生省保健医療        局長       伊藤 雅治君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省老人保健        福祉局長     近藤純五郎君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        通商産業省通商        政策局長     今野 秀洋君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        通商産業省環境        立地局長     太田信一郎君        通商産業省基礎        産業局長     河野 博文君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        中小企業庁長官  鴇田 勝彦君        運輸省海上交通        局長       高橋 朋敬君        郵政大臣官房長  松井  浩君        郵政省通信政策        局長       有村 正意君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        労働大臣官房長  野寺 康幸君        労働大臣官房政        策調査部長    坂本 哲也君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君        労働省職業能力        開発局長     日比  徹君        建設省都市局長  山本 正堯君        建設省河川局長  竹村公太郎君        建設省道路局長  大石 久和君        自治省行政局長        兼内閣審議官   鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      片木  淳君    事務局側        常任委員会専門        員        宍戸  洋君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○平成十一年度一般会計補正予算(第1号)(内  閣提出、衆議院送付) ○平成十一年度特別会計補正予算(特第1号)(  内閣提出、衆議院送付)     ───────────── <0001>=委員長(竹山裕君)= ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十一年度補正予算二案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  質疑を行う期間は二日間とし、総括質疑方式とすること、質疑割り当て時間の総計は二百七十九分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党六十七分、民主党・新緑風会八十分、公明党三十二分、日本共産党三十二分、社会民主党・護憲連合二十五分、自由党十七分、参議院の会十七分、二院クラブ・自由連合九分とすること、質疑順位につきましてはお手元に配付しておりますとおりでございます。     ───────────── <0002>=委員長(竹山裕君)= 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十一年度補正予算二案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁速水優君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 <0003>=委員長(竹山裕君)= 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── <0004>=委員長(竹山裕君)= 平成十一年度一般会計補正予算(第1号)、平成十一年度特別会計補正予算(特第1号)、以上二案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。今泉昭君。 <0005>=今泉昭君= 民主党・新緑風会の今泉でございます。よろしくひとつお願いしたいと思います。  今国会は、当初六月十七日に閉会をする予定でございましたが、いろいろとマスコミにも報じられておりますように、また我々が肌身で感じておりますように大変厳しい企業情勢を受けて、史上でも珍しいぐらいに長い会期延長を政府はなさいました。私どもは、もともと会期延長というものは参議院で法案処理が滞ってなかなかうまくいかないからそれを処理するために多少の延長をするものだろうというふうに考えていたわけでございますが、政府は五十七日間という大変長い会期延長を行われました。  そのねらいというのは、ここに補正予算が出てまいりましたように、雇用不安に対する大変深刻な認識からそういう会期延長を行われた、こういうふうに思っていたわけでございますが、具体的に出されてまいりました補正予算の内容を見てみますと、果たしてこれが緊急として必要視されている深刻な雇用不安を解消するための補正予算だろうかどうか、大変疑問に思う点が我々としては多いわけでございます。  私がもう申すまでもなく、ここのところ我が国の失業率は四%台の後半、大変高い水準を続けております。たまたま先月の発表は四・六というふうに〇・二ポイントほど落ちましたけれども、これは統計上の問題もあろうと思いますが、実質は大変厳しい現実にあるものと私どもは思っているわけでございまして、衆議院の論議にもございましたように、これが大変な社会不安となって三万人以上の自殺者が出るような状態になっているわけであります。  こういうような深刻の度を深めている雇用情勢に関しまして、総理大臣としてはこの問題をどのようにまず受けとめていらっしゃるか、この考え方をちょっとお聞きしたいと思うわけであります。 <0006>=国務大臣(小渕恵三君)= まず、御指摘のように、通常国会というものは法に定められた百五十日でございます。加えまして、今回、会期延長をさせていただきました。昨年この内閣が出発いたしましたときにも、夏の国会で金融二法をさせていただきました。そういう意味におきましては、引き続いての長期の国会になりましたこと、大変申しわけないとは思っておりますが、今、先生がおっしゃられるように、最近の経済状況の中で、特に雇用問題というものが極めて重要な課題に相なっております。  したがいまして、今冒頭から御批判をちょうだいいたしておりますけれども、この失業対策に対してどのような手を打つかということを考えますと、この夏の暑い時期ではありますけれども、企業、特に中小企業にとりましては、夏といえども汗して働きながらこの困難を乗り越えていこう、こういう時期でございますので、ぜひお許しをいただきまして、先へ先へと手を打っていく必要があるのではないか。そういう意味で、一つは補正予算を出させていただき、近々には、企業の再生のために税制を含めて幾つかの課題につきましてよりスピーディーに事を処していく必要があるのではないか、こういう考え方に基づきまして、今回こうして補正予算並びに法律案の提出をお願いいたしておるところでございます。  現下、今お話しのように、企業におきましても、経済再生、企業の再活性化のために非常に努力をされる、そのことは同時に、一方では雇用の問題にもかかわってくることでございます。お示しいただきましたように、数字的には四・八%から四・六%という失業率になっておりますけれども、依然として厳しい環境にあることは間違いないわけであります。  したがって、非自発的失業者も含めまして、生活を維持していくためにはどのような方策がとり得るかということで、御批判をいただいておりますけれども、政府としては公債発行をせずに何とか精いっぱいの努力をして補正予算を組みまして幾つかの対策を講じよう、こういうことでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。 <0007>=今泉昭君= 政府は、この雇用の困難を乗り切るために、これまでいろいろな対策を打ってまいられました。例えば、昨年の十月には緊急雇用開発プログラムを打ち出す、あるいは十一月には雇用活性化総合プランを打ち出すとか、あるいはまたことしの予算の審議のときには一兆円の雇用対策費を計上して雇用に対する取り組みの姿勢を示された。そしてまた今回は、緊急雇用対策と称して五千二百億円に上る補正予算を組んでいらっしゃるわけでございます。  雇用の実態を見てみますと、いろいろな形の失業があるわけでありまして、例えば景気の変動によって起こる失業も当然あるでしょうし、あるいはまた構造摩擦によって生ずる失業も当然あるわけでございます。政府がとってこられた過去の雇用対策というものがどういうところに重点を置かれて、当面する課題をどのように解決しようかという、その姿が私どもにはよく見えないわけでありまして、したがって、その結果がどう出てきているかということも実は出てきていないわけであります。  そこで、今回のこの雇用対策の重点というものをどこに置かれているのか、総理にお伺いしたいと思うんです。 <0008>=国務大臣(甘利明君)= 今までの雇用対策というのは、どちらかといえば雇用を維持安定させるというところに重点を置いているわけであります。今回は、もちろんそれにも重点は置きますけれども、さらに踏み込んで、雇用機会を創出する、しかも一番深刻である中高年齢者の非自発的失業という部分にさらにフォーカスを合わせて重点的な施策を組んだというところでございます。 <0009>=今泉昭君= これまでの我が国の失業問題、そしてそれに対する雇用対策をいろいろ歴史的に見てみますと、その時代時代によりましていろいろな課題があったと思うわけであります。  例えば、昭和二十年代は戦後の大変な仕事のない状態において緊急雇用対策措置法というのがとられた。すなわち、その時代時代によっていろいろ構造的な問題を抱えておりまして、構造転換を図らなきゃならないという立場から政府はいろいろな形の構造転換に向けた施策をとられてきていると思います。例えば、三十年代にはエネルギー構造の変化があって、石炭産業がだんだんなくなっていって石油産業にかわっていくという中で炭鉱労働者が大変な不安を持った、あるいは駐留軍労働がどんどんなくなっていくというところから、炭鉱並びに駐留軍労働者対策特別措置法みたいなものをつくって我が国の経済構造の転換に正面から取り組んできたという経過がございます。  さらにはまた、大体十年置きに我が国は雇用問題に直面をしておりまして、大体十年置きに雇用構造の変化に直面しなきゃならなかったという歴史的な経過があったと思うのであります。  例えば、昭和三十九年に我が国はIMFの八条国に移行いたしました。そして、OECDにも加盟をいたしました。それに従いまして、第一歩の自由化が我が国で始まったはずであります。そのときに特に製造業を中心とした自由化が始まったわけでございまして、そのために製造業の労働者というのは大変な苦労をしたはずであります。そのための雇用構造の転換というものが図られてきたと私は思っております。  さらにはまた、昭和四十八年の十月に起こりました第一次石油ショックによりまして、重厚長大産業が今までのような右肩上がりに行くわけにはいかない、構造転換をしなきゃならないということで、どちらかといえば情報化産業、軽薄短小の産業にどのように転換をしていくかという苦労をなさったと思うんです。そのときは、これまであった我が国の失業保険制度を抜本的に改革して雇用保険法という現在の姿をつくり上げたという経過があったと思っております。  そしてまた、十年後にはすさまじい勢いで円高が起こってきた。この円高によりまして輸出産業はもう大変な苦労をしたわけであります。大変な失業者が出た。それに対するそれぞれの重点的な対策を雇用構造の転換という意味で打ってきたわけであります。  今回も、どちらかといえば、バブルの崩壊とともに新しい二十一世紀に向けて情報化産業社会に入るんだよ、そういう意味で構造変化がどんどん進んでいる、グローバルスタンダードに基づいて我が国の経済体質を変えていかなきゃならない、そういう命題があったはずでございます。  これに対して今回の補正予算を見てみますと、五千二百億程度でそんなものが打てるはずないと思うのであります。明らかにこれは、景気変動によるところの需給調整によって生じている失業者対策というような印象しか受けないわけであります。抜本的に我が国の雇用構造の変化に対応する雇用対策というものの姿が見えないわけでありますが、この点についていかがでございましょうか。 <0010>=国務大臣(小渕恵三君)= 今泉先生御自身、戦後の労働運動を通じましてこの雇用の問題にも直接お取り組みいただいたわけでございますし、また今お話をお聞きいたしておりましても、戦後の経済の発展の中で、失業が大変多くなったことの原因の中で構造改革が進められ、またエネルギーの変化等々ございましたこと、私も全くそういう認識は同じくしております。  ただ、循環型景気変動という中で当時失業が起こり、それに対していろいろ対策を講じてきたということは事実でございますが、今お話をされましたように、今回の状況というものは、もちろんグローバルないろいろ大きな変化の中で日本経済が迎えておる諸問題がありますし、また大きく、情報通信産業を含めて新しい時代に向けての構造改革の中で乗り越えなければならないある意味の厳しさというものを迎えておる。同時にまた、ここ数年来の景気の停滞の中で雇用問題が起きている、こういうことだろうと思います。  長くなって恐縮ですが、私が実は第三の道を選択すべき日本の今の状況ではないかという認識をしておりますのは、こうした段階におきましては、一つはアメリカ型で、本当にこういった景気が後退いたした場合には、企業も含めましてかなりドラスチックなレイオフをかけまして、雇用について企業体も一遍に、大変なリストラの中で会社経営再建をとるというのが一つの方法ではないかと。しかし、アメリカには同時にある種の雇用の市場というものが存在いたしますから、あるいは解雇ないしレイオフされてもまたその中でみずから職を求めていくという市場があります。  一方、特にヨーロッパ、フランスとかドイツの状態を見ますると、失業対策が非常によく講ぜられておりまして、その施策が大きいがゆえにとは申しませんけれども、今ドイツが失業率一〇・五%、フランスが一一・四%。フランスなどは今ちょうど新しい学生の卒業の時期でございまして、じゃ就職を求めて日本のように会社回りをしているかといったら、そうではないというんです。今、失業をしておっても失業保険で賄えるからそんなにあくせくしなくてもいい、こういう形をとっているわけです。  しかし、日本はいずれの道もとり得ないということは、長年の年功序列型の中で企業経営が行われてきた。けさラジオを聞いておりましたら、中谷巌先生が、日本は年功序列ではないじゃないか、功がないんじゃないか、年齢序列型の企業経営じゃないかと。こういう中で、今の日本の大転換をしなければならない経済の構造改革と同時に、この数年起こってきた、大きな経済の停滞の時期の中で起こってくる雇用失業対策をどうするかというところに実は最大の悩みがありますし、諸先生方のお知恵もかりながらこの難局を乗り越えようというのが今の時期ではないか、こう考えております。  したがいまして、しばしば衆議院でも通産大臣も労働大臣も御答弁されておりますけれども、日本の場合、一遍にアメリカ型に、企業再生のためにという形でのドラスチックな手法をとれない中でどう考えていくかというところに知恵の絞りどころがある、こう考えております。  予算的に大変厳しいものがありますけれども、当初予算におきましても既に一兆円を雇用対策に計上しておりますし、また加えましてというところでこの五千億強のことを申されますと、これですべてかと言われればすべてと言いがたい点がありますけれども、ここはさらにこれを一つ大きく乗せることによりまして当初予算で計上したものがより効果的、相乗的になるのではないか。しかも、やむを得ず失業された方々がこれから次の職場につくその間をどうしていくかという対策のためにということでの緊急性のゆえをもって実は今回こうして補正予算の審議をお願いしている、こういうことでございますので、ぜひ御理解いただきたいと存じます。 <0011>=今泉昭君= 第三の道に関しましては後ほど私も少し総理と意見を交換したいと思いますから、それは別におきます。  振り返ってみますと、実は私どもが、私どもと言ったら言い方が悪いんですが、私が学校を出たころは一%の失業率の時代でございました。失業者の数は百万人を切っておりまして、六、七十万人の時代でございました。それでもなかなかいい就職口が見つからなくて、私ども泣いたものでございます。  この一%時代が二%時代になったのは、実は第一次石油ショックからなのであります。これは大変なことでございました。百万人台の失業者を抱えるようになったのは昭和五十年代なのであります。このときに、時の政府は、大変なことだと。一%から二%に乗った。我が国はもう世界もうらやむような完全雇用で、内容は必ずしもすべて満たされたわけじゃないけれども完全雇用の状態にあったものが、一%から二%に乗った、大変だと。今までの雇用対策では間に合わないということで、失業保険制度を抜本的に組みかえた記憶を私は持っております。この二%時代というものが実は二十年間続いたわけです。二十年間我が国は二%時代が続きまして、百万台の失業時代をずっと続けてきた。円高がありましたし、いろいろと紆余曲折がありました。それでもなおかつ政治の努力によってこれを二%台に抑えることができたわけであります。ところが、これが三%に乗ったのは平成七年からであります。急激に三%になった。三%時代というのは、わずか三年間であります。そして、三年を終えたらこれが四%台にぽんと乗ってしまったわけであります。  かつて、一%時代に、二%台に乗ったというのは大変だということで、あれほど騒いで抜本的な雇用対策を打ったわけであります。ところが、二%が三%になり、倍になる四%になった今日、政府が出してくる雇用対策というものは今までの二%時代のものから抜け切っていないと私は思うのであります。現に、三千五百億程度の雇用対策でもってこの問題が根本的に解決できるというようには思えないのであります。  もう総理も十分御存じのように、特に今の失業の中身を見てみますと、実は百万を上回るような世帯主の方々が失業のちまたに追い出されていってしまって、しかも大学卒業の人たちは七割を切るような就職率だと。これはもうここのところ、いわゆる四十年代以降最低の水準じゃないかと思うんです。こういう状況において今までと同じような対策をとっているということについて、私は非常に不安を禁じ得ないわけであります。少し事態を甘く見ているんじゃないかと思うんです。  聞くところによりますと、それよりも産業競争力を強めなきゃならないということで、後ほど産業活性化法案が出てくるようでございますが、どうも内容を見てみますと、この問題と雇用対策というものが少なくともドッキングして出てこなきゃならないと思うんですけれども、抜本的に雇用対策を考えるとするならば、後から出してこられる産業再生活性化法案ですか、正式な名称はちょっと忘れましたけれども、そのところまで踏み込んで考えていかれるつもりかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。 <0012>=国務大臣(与謝野馨君)= 雇用というのは、結局最後はマクロ経済、日本の経済全体が上昇する局面がないと雇用問題は解決しないだろうと。  いろいろなことをやっております。例えば、雇用保険、失業保険等の充実、これはあくまでも社会的なセーフティーネットとして考えるべきものであって、過渡的な現象に対応したような政策的な措置だろうと私は思っております。結局は、日本の経済が再び力を取り戻し、多くの方に雇用機会を提供する、そういう経済の体質そのものが強くならなければならないということでございまして、雇用対策に関する予算というのは過渡期を乗り切るための予算であって、雇用に関する予算それ自体が雇用を本当にたくさん生むということではないだろうと私は思っております。 <0013>=今泉昭君= 雇用問題が経済の動向と密接不可分な関係にあって、それを無視して語れないというのは私はわかります。しかし、今度の再生化法案は我が国の構造転換をどのように図っていくか、どのように活力をつけていくかということであります。構造転換のときには必ず犠牲者が出るわけです。これが雇用不安というものです。そのためにセーフティーネットをその時期にどのように構えていくかということが一番重要なことであろうと思うんです。これは過渡的な問題というものとはまた別な問題であろうと思うのであります。そういう意味で私は申し上げたわけでございます。  たまたま今、通産大臣が経済問題に踏み込んでこられましたので、加えて総理大臣にお聞きしたいと思うんですが、橋本前内閣の経済運営の姿というのは、どちらかといえば財政再建を中心とした緊縮財政を柱にした経済運営がなされていたと思うわけです。できるだけ赤字財政を避けて、赤字国債を発行しないようにということで、大変な反対を押し切ってまで特別措置法をつくられた。私もたまたまそのときの財政・金融委員会に所属しておりましたが、その経過は十分承知しております。  小渕総理大臣が総理大臣に就任されてからのいろいろな経済に対する発言、そして経済運営の姿を見てみますと、この方針から百八十度転換されて、むしろ需要面に焦点を当てて需要喚起のための経済運営に転換をされたのではないだろうかという一面があるわけであります。もしそういう姿勢があるとするならば、この三千五百億というのは余りにもみみっち過ぎるんじゃないか、こういう気がしてならないんですが、一つはそういうふうに思い切って経済のかじ取りを転換されていくつもりなのか、あるいはどっちつかずの形で、ファジーな形でやるつもりなのか、大変私どもとしては懸念を持っているんですが、その点についてはいかがですか。 <0014>=国務大臣(小渕恵三君)= 橋本内閣が六大改革を提唱され、かつその中で財政再建ということを大きな柱にいたしまして財革法を成立させたわけでございます。まことに残念なことでありましたが、当時の世界経済の中でアジアの金融不安から発しました経済の落ち込みの中で、これを一たん中断してでも経済の再生を図るために、私といたしましては、お許しをいただいて、財政再建はいっときこれは中断するものの、まず日本経済を再生させることが趣旨であるということでこの政策を出させていただいてまいりました。それを称してデマンドプルといいますか、需要の政策を中心と言われましたが、確かに各種の税の減税を行い、また予算におきましてもかなり大型のものを組ませていただいているということは、その趣旨を、何としても短期的にこれを改善していかなきゃならぬ、こう思っております。  しかし一方で、サプライサイドの問題も当然これは相ともにいたしていかなきゃならないので、一方が終わったから一方を進めるというものでないと思います。しかし、ウエートからいえばこれから供給サイドの問題について本格的に取り組みして、両々相まって健全な日本の経済の再生を図っていくということに尽きるんだろうと思います。  通産大臣が申されましたように、この雇用の問題も、究極はやはり日本経済がそれこそ雇用を抱えられるほどの大きな発展をするということができなければならないわけでありますが、そうしたときに当たりまして、今は一方では経済を再生させるための需要サイドの問題にも取り組ませていただくと同時に、これから産業再生という意味合いの供給サイドの問題も取り組まなきゃならぬ。これはどこからどこまでが限界だということでなくて、その効果を十二分に発揮のできるような政策を随時打ち出していかざるを得ない、こう考えておりますので、私といたしましては、これから供給サイドの諸政策につきましても全力を挙げて努力をさせていただきたい、こう考えておるところでございます。 <0015>=今泉昭君= 時間が大分迫っているものですから、先を急がせていただきたいと思います。  冷戦構造崩壊後、アメリカの経済と我が国の経済の実態を見てみますと大変な違いが出てきたわけです。例えば、九〇年代に入ってからのアメリカの経済の中では新しく千四百万人からの雇用労働者を創出しているわけであります。我が国の場合は、最近はむしろ雇用労働者が減ってくるというような状態でありまして、この十年間にふえた労働者の数というのは、雇用者の数はわずか百六十万人にしかすぎないのであります。しかも、この九〇年代の我が国の経済成長というのは、平均しますとわずか〇・七、八%。アメリカはこれに比べまして、マイナス成長がその間にあったにもかかわらず何と二%台、最近はもう三%の後半、四%近くの経済成長を続けている。この差というものは大変大きいと私は思うわけです。一体、この差はどこから出てきたのか、何が問題だったのかということを我々が十分認識しなければ、現下の我が国の経済の危機、雇用の危機というのは解決しないのではないかと思うのです。  いろいろとアメリカの動向を調べてみますと、アメリカは八〇年代に、我が国からの集中豪雨的な輸出にやられたと称していますけれども、御存じのように壊滅的な経済打撃を受けていた時代であります。そのときにアメリカの中では、官民そろって何とかアメリカ経済を立て直さなければならないということで、御存じのように大統領特別委員会をつくって、例のヤング報告を出したり、クモイ報告を出させたりしまして、アメリカ産業をどのように活性化するかという努力を大変されてきた経過がございます。さらに、マサチューセッツ工科大学では三十人からの有名な教授を集めて、いかにしてアメリカの経済を活性化するかという研究をして、「メイド・イン・アメリカ」という本にこれを出した。そのように大変な苦労をしてきたわけですね。そして、それを今度は国全体として経済運営にぶつけてきた。その結果が今のアメリカの姿に出ているのではないか。  それに比べて、我が国の場合は、何とバブル景気に浮かれておりまして、その結果が、お互いに官民の癒着の中で、持たれ合いの構造の中であのバブルの崩壊を生み、そして金融の不祥事、金融の不安というものが大きな事件となってしまった、こういう実態があるわけです。  我が国に今求められているのは、アメリカがかつてやったように、官民を挙げていかにして我が国の経済を再生するのか、その中で雇用を守っていくのかという姿勢がなければならないわけでありますが、そういうものの一環として、恐らく総理大臣のあれは諮問機関かどうか知りませんけれども、いろんな各界の代表者を集めて産業何とか会議をつくられたのではないかと思うのですが、大変これは遅かったんじゃないかと思うくらいであります。  そういう意味で、実は我が国の経済をどのような方向にこれから持っていくかということが我が国の経済を立て直すために大変重要なのでありますが、その方向性が見えない、国全体としての経済再活性化の戦略が一つも見えてこないというところに問題があるんじゃないか。早いところこういうものをつくっていただかなきゃならないと思っているわけであります。  実は、ことしの国会で超党派でできましたものづくり基本法というものがございます。少なくともこれは、つくった議員の間においてはそういうものを心に根差しながらつくったわけでございます。日本のこれからの経済運営をどの方向に持っていくのか、そのためにはどういう部門とどういう部門でどういう計画をつくってもらわなきゃならないかということを少なくともあれは提言をしているはずであります。こういうものを早く計画を立ててもらって動かしてもらうことが我が国の経済を活性化し、今抱えている経済の不安をなくすことになるんじゃないかと私は思っているところであります。  総理大臣はもちろん、ひとつ通産大臣、労働大臣に、できましたらこの問題についてお聞きしたいと思います。 <0016>=国務大臣(小渕恵三君)= 御指摘の点は全く私、感銘してお聞きをいたしておりますし、同時に、私も長い間国会議員をさせていただきまして、反省することやまやまであります。  今お話しのように米国の例が取り上げられましたが、かつて八〇年代は米国といえども大変厳しい経済状況にありまして、現在ひとり勝ちのアメリカ経済がよもやという時代があったと思っておりますが、そうした中でいわゆるレーガン革命といいますか、レーガノミックスそのものについての議論はいろいろあると思いますけれども、双子の赤字を解消して、今や黒字をどのように使うかというのが国会の大きな議論であることを考えますと、いずれ日本も黒字が生じて、それをいかに国民に配分するかという配分方法を考える時代を一日も早く望みたいと思っておりますし、一方、イギリスにおきましても、サッチャー革命というものが行われて今日のイギリスの経済の繁栄がある。  顧みますると、我が国は九〇年代のバブルの後遺症に当たって、私自身も反省を深くしますが、十年間やや手をこまねいてきた感がしないでもありません。  したがって、経済の根本である金融の問題について、昨年初めて国会の御理解を得て金融二法をしてシステムリスクを乗り越えていくというところに世界の信認が得られるようになりつつある今段階でありまして、そういう中で日本の経済を再活性化すると同時に、次の世紀に向かっての新しい産業をいかに起こしていくかという、このことがともどもに今集中的に起こっているということであります。そういった点で、その摩擦のゆえに雇用の問題も失業率が過去最高になっているような事態に対してこれまた対処しなければならないことだろうと思っておるわけでございます。  そういう意味で、政府といたしましては、諸外国の例にも倣い、いわゆる経済戦略会議というものを設けまして、先ほど先生お話しされましたが、既にアメリカが十年前にヤング・レポートを出しまして再生をして、また企業の産業再生競争力会議も既に十年前にやっておるわけでございまして、今日、おくればせであるかもしれませんけれども、スピードアップをしてこうした問題についての答えを出しつつあると思っております。  経済戦略会議の答申については、これは政府部内にもいろいろ議論のあるところです。ありますが、できるものからやろうということでありますし、願わくば、私は各党の党首の皆さんにもレポートをお渡しいたしまして、ともに日本の経済の再生と同時に、これをスピードアップしていくための諸方策について御議論をお願いいたしておるところでございまして、私はこの内閣としては、ぜひそういう意味で、一日も早くこの十年間のおくれを取り戻しつつ、新しい戦略的な日本の将来に向けての構想を描きつつ、かつ現実の問題としての雇用の問題等につきましても対処していく、これが今の段階ではないかと思って努力をさせていただいておる次第でございます。 <0017>=国務大臣(堺屋太一君)= 今、委員から雇用の問題をずっと歴史的にお話しいただきました。私も若いころから産炭地その他の問題を手がけてまいりまして、まことにおっしゃるとおりでございます。  そして、アメリカの例をお引きになりましたが、アメリカも御指摘のとおり八〇年代に日本、アジアからの輸入で大変苦労をして、その中で製造業を縮小しながら新しい産業、情報産業とかサービス業を起こしてまいりまして、そしてヤング・レポートというようなものをつくったわけです。  日本はその間、大変製造業が盛んになりまして、終身雇用が非常に定着しておりました。この雇用形態がずっと続いていたことが日本の製造業の力にもなりましたし、また日本経済の安定にも役立ってきたのであります。ところが、ここへまいりまして世界の流れが変わってまいりまして、規格大量生産の大きな形で製造業をつくっていくだけでは追いつかないという大きな変化があらわれてきた。  これに対応いたしまして、小渕内閣は発足以来直ちに、金融問題、需要問題それから雇用問題の三つが重点事項だというので、まず経済戦略会議を発足し、そしてことしの一月からは経済審議会におきまして二〇一〇年を目途としたあるべき姿を描いて、雇用のあり方、まず金融をとめることによって不況の深化を防ぎました。次に、需要の方では、補正予算その他を組んでいただきまして、今やや改善しているかというような形になってまいりました。  そして、問題の雇用につきまして、従来の年功賃金式のものからどのような移動性をつけていくか。委員御指摘のように失業の形態も変わりまして、昔と違って世帯主、それもホワイトカラーの者が出てくる。これに対応していろいろと労働省の方でも教育訓練の問題もやっていただいておりますし、去年の予算でもその点さまざまな制度をとりました。そして、今回のものはそれに追加するにまさに緊急的な事態を加えている。  経済の健全化と需要の拡大そして雇用形態の変化、そういった三つに備えて手を打っております。十分かどうかということになりますとまた議論はあれでしょうけれども、考え方としては非常に綿密に組み上げているという自負を持っております。 <0018>=国務大臣(与謝野馨君)= 私は、先生のものづくり法案の思想に全面的に賛成でございます。  とかく金融サービス業とかあるいは情報産業というものがもてはやされておりますけれども、やはりそれらはいずれもものづくりやあるいはつくったものの流通を効率的にするためのいわば従属的な産業でございます。必要な産業でございますけれども、やはり日本の産業というのは製造業あるいはものづくりというものが基本でなければならないと思っておりますし、日本人が富を得るためにはそのことを忘れてはならないのだろうと思っております。  しかし、現在の日本は、簡単な品物は発展途上国に追いかけられる、あるいは負ける、あるいは先端的な分野では先進諸国にややおくれをとる、そういう挟み打ちに遭っている状況でございましす。かてて加えまして、バブルのときにいろいろ間違えた方向に経済を進めたというその後遺症も残っております。したがいまして、そういう後遺症を取り除くという作業も必要ですし、やはりどの分野で世界に負けない産業、ものづくりというものを目指すのか。そのために、科学技術の分野やその他の分野で相当大きな努力を払っていかなければ二十一世紀の日本の豊かさというものを確保できないということを実は私は心配しております。  今回の一連のことも、過去の清算を行うと同時に、やはり将来に向けてどう発展していくのかという環境づくり、これはもう官民一体となってやらなければならないことだと思っております。ものづくりということを忘れてはやはり長期的な発展、繁栄というものはないんだろうと私は思っております。 <0019>=国務大臣(甘利明君)= 産業政策と雇用政策の連携と将来ビジョン、これは今回の政策に明確にあらわれていると思います。  雇用失業情勢を抜本的に改善させるためには、雇用の受け皿をつくっていかなければなりません。それは、一つには既存産業を元気にすること、もう一つには新しい受け皿をつくっていくことだと思います。この環境整備は通産大臣を中心にやっていただいておりますし、間もなくお示しができると思います。  しかし、その過程において一時的には痛みを伴うものがあると思います。この痛みを最小限にすることと、最小限にした痛みを受け取る受け皿をつくること、短期臨時的な雇用の場をつくることであります。同時に、成熟産業から新しい日本の次代を担う産業に人材がスムーズに移動することが大事であります。労働力人口がそう多くを将来は望めませんから、この移動をスムーズにする。そして、将来を先取りした職業能力をつけていくために職業訓練をどう緩和するか、しかも労働者の主体性をどう重んじるか。これにこたえた総合的な策となっていると確信をいたしております。 <0020>=今泉昭君= 時間が参りました。用意したいろいろお聞きしたいことの一割ぐらいしか聞けなかったんですけれども、あとは同僚の平田議員に譲りたいと思います。 <0021>=委員長(竹山裕君)= 関連質疑を許します。平田健二君。 <0022>=平田健二君= 民主党・新緑風会の平田健二でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  全般的な政策については今同僚の今泉議員が質問させていただきましたので、私はむしろ今回の施策についてお尋ねをしていきたいと思います。  まず初めに、総理、ことしの四月の訪米時にシカゴでの夕食会でスピーチをされておりますね。その中で、総理は、日本の失業率は今や四・八%、アメリカの失業率を上回る数字だ、日本の経済に活力と競争力を再び取り戻す上で避けて通ることのできない云々と述べられておりますし、構造改革が非常に重要で、そのためには高い失業率も仕方がないんだ、こういう発言をされております。そしてさらに、建設的な楽観主義ということで、つまりコップの半分の酒を、もう半分しか残っていないと考えるより、まだ半分残っているではないかと考えることが重要だ、こうおっしゃっています。  総理の考え方は確かにそうでありましょうけれども、そういたしますと、今、日本の失業率は四・数%だ、まだまだ四・数%ではないか、九五%の人は職があるんだ、だからいいではないか、こういうふうにとれるんですけれども、いかがでしょうか。 <0023>=国務大臣(小渕恵三君)= ちょっと誤解があってはいけませんが、シカゴ大学におきまして学生たちとの討論のときに、日本経済全体を概観してどう考えるかというお話がありましたので、今、日本は産業も含めて徹底的な構造改革に挑戦をしておる。したがって、こういう過程の中で失業率も今四・八という数字になっておって、企業の中にはかなりリストラをされるというところの中で若干失業率というものが上がらざるを得ない状況にある。しかし、根本的には日本経済を何とか再生して雇用の場を広げていくという努力も一方でいたしておるという現状認識について申し上げたわけでございまして、高い失業率を何も望んでおるわけでもございませんし、今それを解消するために非常に厳しい産業の再生の努力も一方ではいたしておるということを申し上げたわけであります。  と同時に、比喩で申し上げましたことは、日本人も悲観主義に陥っておってはいけない、お互い何か道を見つけて努力する、日本人の持てる力というものはそういうものである。若干、日本人は感情の起伏が大きいところもありまして、ペシミズムに陥るときにはみんな一遍に全体がそういう空気になるところもあるし、お互い元気を出すときにはみんなシェープアップして頑張るということですから、ぜひそういう方向に持っていきたいということを強調いたしたことでございまして、失業率が高いことについて私が強調したのではないということだけはぜひ御理解いただきたいと思います。  重ねて申し上げますが、新しい産業も起こしながら、同時に企業におきましても、先ほどちょっと申し上げましたけれども、日本の年功序列型の終身雇用の制度そのものを一遍に解消するということはできないわけでありますから、企業におきましてもできる限りの努力をして、やはりリストラした企業の株価がそのままに上がっていくというような単純なものでない、社会全体の中で企業の社会的責任というものも持っていただきたいということを実は申し上げたつもりでございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。 <0024>=平田健二君= 確かに総理が今おっしゃったことはそうだと思いますけれども、しかし実際に今日まで政府のとられてきた政策というのはそれと逆行しておるんです。昨年の十一月には百万人の雇用創出をする、今回の予算では七十万人、ことしの三月は七十七万人、トータルしますと三百万近い雇用創出になっておるんです。ところが、現実には三百万人を超える失業者が出ておるじゃないですか。  政府のやってきたことは総理が言われたことと全く逆で、絵にかいたもちですよ。反省はないんですか。いかがですか、総理。 <0025>=国務大臣(小渕恵三君)= 細かくは労働大臣から分析した結果のお話をしていただきたいと思いますが、御指摘のように百万人雇用創出ということで努力をいたしました。  そのときには、若干マクロ的に考えまして、ぜひその数字を達成したいという形の中でいろいろ予算的措置を講じましたけれども、具体的な事柄において今度のような予算をきちんと配分できるような形でなかったことについての反省をせよと言われればそうかもしれませんけれども、それなりに何とか雇用を増加させていきたいという気持ちのもとに、例えば当初予算で一兆円の予算を投下させていただいておるわけでありまして、これがどういう効果が出てきたかということについて今御指摘をされておられるんだろうと思います。  詳しくはひとつ労働大臣から御答弁させていただきたいと思いますが、今回のことは、より一層明確に、それぞれの箇所に予算的配分を明らかにして七十万人の新しい雇用を創出させていきたい、こういうことで努力していることもぜひ御理解いただきたいと思います。 <0026>=国務大臣(甘利明君)= 先生は御専門でありますから、百万人と七十七万人と七十万人の関係はもう先刻御承知だと思います。  百万人のときに、おさらい的に申し上げさせていただきますと、雇用の安定維持効果を六十四万と見させていただきました。それから、雇用をつくり出す方は三十七万人と。しかも、あのときに申し上げましたのは、ほっておけば失われてしまうのを維持するための政策も、言ってみれば雇用の安定化に資するのではないかということでありました。そして、三十七万人につきましてはマクロ経済効果ということで申し上げました。そして、委員会の議論を通じて、もっと創出部分をふやせという御指摘をいただきましたし、もっと具体的に極力政策に落とし込めという御指摘をいただきました。そこで、主な四分野につきまして具体的な政策効果をぎりぎりまではじいてくれと。  そのとき申し上げたと思うのでありますけれども、雇用をつくり出すというのは、自由主義市場経済では言ってみれば間接話法でやることであります。これは計画経済なら国営企業のこの部分で、はい、来年度は幾らふやしますと簡単な話かもしれませんけれども、民間経済に委託をする話でありますから、その環境整備をするということで、やりにくさというのは先生自身の方がよく御存じだと思います。  それをさらに、具体的に予算との対比で考えてみようということで、今回、補正の中で具体的な予算の張りつけをしたわけであります。もとより、予算と雇用創出の関係についても他の政策のように明確にきっちりというわけにはいかないかもしれませんけれども、できるだけ具体的な努力に対する個別の作業ということで、先生方の御意見を体してより具体的に作業を進めていったというつもりでございます。 <0027>=平田健二君= 数字を出すことは、やはり国民は期待するわけです。数字を出すことの責任があるわけです。  総理は、この七月五日に東京で職業訓練所を訪問されました。そのときに、雇用問題は小渕内閣の最大の政治課題だ、こうおっしゃっておるわけでして、にもかかわらず失業率はどんどんふえている。小渕内閣の最大の政治課題の雇用問題は失敗したと言わざるを得ないわけです。  そこで、具体的にお尋ねをいたしますが、昨年の十二月の補正予算で六百億円の緊急雇用創出基金を用意いたしました。これの実績について教えてください。 <0028>=政府委員(渡邊信君)= 緊急雇用創出特別基金でございますが、これは全国、それから地域ブロックにつきまして一定の失業率を超えたときに採用のときの賃金助成をするといった制度でございます。  沖縄県については特別の要件を課しまして、県単独で要件を設定いたしました。その結果、沖縄県におきましては本年の一月三十日から四月三十日までの四カ月間にわたってこの基金の発動がなされました。この沖縄県の発動期間中の支給実績は、二十八事業所、三十二人というふうになっております。沖縄県におきますこの期間の常用就職件数は四百三件でございまして、このうち非自発的な失業者に該当する方が六十人程度でございます。その六十人程度の中の約半数の方が支給対象となったということでございまして、全員が支給対象になっておりませんのは、この間労働者数の増員があったかどうかというふうなほかの要件に該当しなかったために、一応該当する六十人の方の半数程度が該当になったということでございます。  なお、沖縄県におきましては、その後失業率がやや改善をいたしまして、その後この制度は発動されておりません。 <0029>=平田健二君= 三十二名で、金額は。 <0030>=政府委員(渡邊信君)= 一人三十万円でございますから、九百万ぐらいかというふうに思います。 <0031>=平田健二君= 労働大臣、鳴り物入りで六百億円を用意します、セーフティーネットですと。実際に利用されたといいますか使われたのは三十二名、九百六十万円です。多いということは困るんですけれども、実はセーフティーネットでございます、大見え切って六百億円用意しましたと。この実使用実績は七カ月間でたった三十二名、九百六十万円です。どういうことですか、これは。 <0032>=国務大臣(甘利明君)= 先生がみずから今お話しになりましたように、これはセーフティーネットでございます。失業率がここまで来たときに自動的に発動しますということで、安心感を幾らかでも醸成するという仕組みでありまして、それは雇用創出としての効果はもちろん期待をしておりますけれども、雇用創出の本体業務というよりは、セーフティーネットとして特開会金に二重に合わせたネットが用意してありますということを強調させていただきました。  なかなか実績が上がらないというのは大変につらいことでありますけれども、しかしこういうネットが特開会金に加えて用意してありますよということをPRさせていただいて、多少なりとも安心感を醸成したいというふうに思っているわけでございます。 <0033>=平田健二君= いや、確かにそうですけれども、国民はそう思っていないんですよ。ですから、もっと丁寧にこの制度を教えなきゃいかぬ。そういうことですね。六百億用意したから、ああ安全だ、セーフティーネットができたんだと思い込みますよ。しかし、実際にやってみたら、国民は怒りますよ、三十二名しか利用していない、九百六十万だと。  私は、昨年の補正予算の審議のときに、この六百億円については失業率が五・七%という設定が高過ぎないかという質問をいたしました。今回そういったことでこれを〇・三%下げて五・四にするということですけれども、仮にこの基準を五・四にしたときに、今時点で発動対象となる地域はありますか。五・七から五・四にしたことによってこの基金が発動される地域はありますか。いかがですか。 <0034>=政府委員(渡邊信君)= 現在、近畿ブロックにおきます一月から三月の失業率が五・四%ということになっておりまして、仮に四月から六月の失業率が近畿において五・五を超えるということになると近畿地方において発動されることになると思います。 <0035>=平田健二君= 今、近畿は失業率は幾つですか。 <0036>=政府委員(渡邊信君)= これは三カ月単位で出しておりますけれども、一月から三月の平均で五・四%でございます。四―六の数字が近々出るかと思います。 <0037>=平田健二君= 五・七から五・四に基準を下げても一カ所適用されるかどうかというところでしょう。これはもっと下げたらいかがですか。地域基準を〇・三下げた、全国基準は下げないと。これは一回下げたらどうですか、全国基準も緩和してもっと下げたらいかがですか、実際に使用できるように。大臣、いかがですか。 <0038>=国務大臣(甘利明君)= この趣旨は、先ほども申し上げましたようにセーフティーネットであります。つまり、恒常的に作動している政策ではなくて安全ネットとして張ってある政策でありますので、先生の御意見その他しんしゃくさせていただきまして五・四とさせていただきますけれども、これは恒常的に働く政策でなくて、こういうものを用意してあるという安全ネット策という趣旨が一番強いということをぜひ御理解いただきたいと思います。 <0039>=平田健二君= ネットが高過ぎるんですよ。もっと下げたらいかがですか。結局使い物にならないネットを張っているだけじゃないですか。いかがですか。 <0040>=国務大臣(甘利明君)= この政策しかないわけではございませんで、いろんな政策をやっております。そして、安全ネットとしてこのネットが張ってあると。御指摘のように高過ぎるという御指摘もあったんだと思いますが、そこで五・四まで下げさせていただくということでございます。 <0041>=平田健二君= ということは、失業率は今のままでいいということですか。どうですか。 <0042>=国務大臣(甘利明君)= 決してそういうことは申し上げておりません。(発言する者あり) <0043>=平田健二君= だめだよ、それじゃ。 <0044>=国務大臣(甘利明君)= 今回の対策でも、いろいろと補正を使いまして拡充した政策あるいは新規の政策等をつくりました。私は労働大臣でありますから、雇用不安を取り除くということが一番の使命でありますから、そのために最大限の策を講じたいと思っておりますし、もとより失業率が高くていいなんということは思ったこともございません。極力これを下げるために努力をしたいと思います。しかも、労働政策の中で講じられる策は当然限界がありますから、抜本的な策としては産業政策と連携をとり、政府全体として失業率の少しでも改善に取り組んでいくということであります。 <0045>=平田健二君= いや、そうじゃなくて、政府は今回まで数次にわたって雇用対策をやってきたわけですよ、六百億だ九百億だと。そのことは全部ネットが高過ぎて実際には使用できない。ということは、もっと失業率が上がれということじゃないですか。それまで発動しないということじゃないですか。下げたらいいじゃないですか。もっと上がらなきゃ発動しないということでしょう。現状を認めているということじゃないですか。総理、いかがですか。 <0046>=国務大臣(甘利明君)= 現状を認めているわけではありません。セーフティーネットをここで下げますけれども、それが極力発動しないで済むように万全の対策を練りたいということでやっているわけであります。 <0047>=平田健二君= ですから、最初に言いましたように、政府の施策は絵にかいたもちだと言っておるんですよ。(「見せ金だよ」「目くらましだよ」と呼ぶ者あり)見せ金ですよ。いかがですか。目くらましじゃないですか、本当に。実際に使用できない。施策をいろいろ並べてきましたけれども、どれも実効性がないということですよ。政府はいろいろ数字を並べていますけれども、実行されていないじゃないですか。総理、いかがですか。 <0048>=国務大臣(甘利明君)= 特開金という制度がある。これは御存じだと思いますし、それから特に中高年の非自発的失業者が深刻でありますから、これについてどういう策が抜本対策になるだろうか。その抜本策はまず受け皿をつくることであります。ただし、新しくできてくる受け皿は従来の失業者の職業能力では入ることができないかもしれません。そこで、例えばそういう情報化に対応した職業能力をどうつけるか。その際には、今までの三カ月とか六カ月のコースではカバーし切れないかもしれない、だったら民間に一年のコースがあるんだったらその選択もさせようじゃないか。しかもその際に、失業者がどういう職につきたいか、そのためにどういう能力をつけるべきか、カウンセリングをし、相談に乗り、そして自主選択として、民間にそういう講座があるんだったらどうぞ選択されて結構です、大幅に民間委託もしますというような策を講じているわけであります。  セーフティーネットというのは、あくまでも常時それが発動していたらやっぱり不安になってしまうんじゃないかと思いまして、そこに行くまでに何とか解決をしたいというふうに……(「ネットがない」と呼ぶ者あり)いや、ネットがないわけじゃなくて張ってあるわけでありまして、それが機能しないということではないと思います。 <0049>=平田健二君= 総理に。 <0050>=国務大臣(小渕恵三君)= 今、御主張されておられるように、しからばセーフネットはどのパーセンテージまで保障するかという御議論にもなるかと思います。極論を言えば、失業者全部セーフネットにかかるというようなことまで考えられることではないわけなんです。  これは、国民的な理解が、各種の政策を講じて本当に極めて高い水準に失業率がなった場合にそれを保障するという線の引き方についてでございまして、労働大臣がたびたび答弁を申し上げているように、それだけの数字だけでなくて、あらゆる施策を講ずることによって今回の対策を講じようということでございまして、委員おっしゃられるように、しからば四%でいいのか三%でいいのか、こういろいろ議論になってきますと、最終的には国民の皆さんが恐らくそれだけの負担をしてでも失業された方々をお世話しましょうということになれば、それはある意味でセーフネットという名の失業対策を全部やるということになるということになれば、これはあり得ないことであって、その数字については、政府としては、今回これだけ引き下げさせていただくことによりまして、本当に万やむを得ない地域、そしてそうした職を失われた方々がそれによって救われるという線としては、政府としてはこの数字でお願いをしたい、こういうことで設定させていただいたことでございます。 <0051>=国務大臣(堺屋太一君)= この件につきましては、今年度の予算をつくるときにいろいろと研究させていただきました。  それで、今最初に総理が第三の道ということをおっしゃったのでございますけれども、セーフティーネットを余り低くしますと、ヨーロッパ型の失業保険で安楽だというような社会ができてしまうかもしれない、さりとてアメリカ型に自由競争にすると格差が広がるかもしれない、その間でどういうものを張っていくかということで三つの種類を用意いたしました。  第一は、従来からやっておりました雇用をそのまま維持していただく方法。そして第二番目には、新しい雇用をつくるための訓練。これはいろいろと訓練の場所とか教科とかそういうものを用意しなきゃいけませんので、必ずしも迅速に対応できたとは限りませんが、一生懸命やっております。そして三つ目に、この安全ネットで一定の期間。これは初めてでございましたからあるいは高過ぎたかもしれない。それで、一時は五・七といったのを今五・四に下げて試行錯誤している、こういうぐあいに御理解いただきたいと思っております。 <0052>=平田健二君= 私は、前回の質問のときにも申し上げました。金融機関とかそういったのには九兆円とか十兆円とか相当な金を投入しておるんですよ。それで、実際に三百万人以上の失業者が出ているこの事態に六百億だ九百億だと。一兆ぐらいのもありましたけれども、ちょっと政府のやり方は国民から見たら納得できませんよ、こういうことを言いたいんです。いいですか、総理、そういったことなんです。このことはもう言いたくないと思っていたんです、前回も言いましたから。銀行や金融機関には九兆円、十兆円という公的資金を投入しながら、三百万人にも上ろうかという失業者には見せ金だけですか。実際には使用できないじゃないですか。このことを言っておるんです。しっかり考えてください。  今回の新規・成長分野雇用創出推進事業として九百億円の予算がつけられましたけれども、このことによって十五万人の雇用創出が見込める、こういうふうに説明されておりますけれども、いつまでにどのような雇用が発生するんでしょうか。 <0053>=国務大臣(甘利明君)= 雇用失業情勢の抜本解決は、御承知のとおり、新しく雇用を引き受けてくれる場所ができるということが大事です。実はそれは産業政策でやっていただいて、待っていれば何年かすればできるんだと思います。また、できなかったら日本が完全に沈没してしまうわけでありますから、産業政策で事業基盤整備を、環境整備をやっているわけであります。  ただ、それにしても、例えば一年とか二年後に必要な人材だったら今から採ってほしいということでありまして、その奨励金を設定させていただきました。これは、そのお金を設定すればオートマチックに企業が採ってくれるとまでは思っておりません。ただ、精いっぱいお願いをさせていただきましても、どうしてもそういう雇用政策というのは間接話法にならざるを得ません。強制的に民間企業にこれをやるから採りなさいと言うわけにはいかないのでありますけれども、できるだけ事態の深刻さを理解していただいて、予算をこれだけ用意をいたしました、それはこの人数分に該当しますということで設定をさせていただきました。 <0054>=平田健二君= どういう産業ですか。 <0055>=国務大臣(甘利明君)= 産業分野ですか。  産業分野は、情報通信とか介護福祉とか環境とか、将来の雇用の受け皿になり得る十五分野というところを基本的には対象とさせていただいております。そして、平成十三年末までを想定しております。 <0056>=平田健二君= 成長十五分野ということのようですけれども、昨今、政府は産業別の支援はしないという方針のようですね。産業別支援はしない。通産省、そうですね。産業別の支援はしない。ここだけなぜ十五分野に限定するのか。もっとほかに成長する分野はないんですか。いかがですか。 <0057>=国務大臣(甘利明君)= 成長が期待されるというところは雇用吸収力があるからということで私どもは期待しているわけでありまして、この分野は必ずしもハイテク分野に限らない、ローテクの分野でもこれからマンパワーを必要とするところはたくさんあるわけでありますから、将来、雇用の受け皿になってくださるところに、今からぜひ準備をしてください、早目に採用された人員については職業能力のアップのための支援もいたしますよということであります。 <0058>=平田健二君= 次に、産業再生法関連について若干お尋ねいたしますけれども、この産業再生法はリストラ促進法じゃないかと。一部の報道には、税金を使って労働者の首切りを奨励するような産業再生法だ、こういうふうに報道されています。労働大臣、十三日の記者会見で、企業がリストラをやみくもにやると労働者に影響が出る、こう発言をされておられますけれども、どのような影響が出るというふうにお考えですか。 <0059>=国務大臣(甘利明君)= リストラというのは、企業の言ってみれば事業再構築でありますから、それはいろんな分野を見直すわけであります。通常、世間で三つの過剰と言われています。債務の過剰、設備の過剰、雇用の過剰。しかし、雇用というのは血の通った人間のことでありますから、他の過剰と同じような視点で切り込んでほしくないと思うわけであります。設備の過剰を切り込むときには、古い設備を廃棄して新しい設備、つまり生産性の高い設備を導入する入り口になるという発想だと思います。  雇用の場合は、その雇用を職業能力をアップすることによって生産性を上げる、つまり言ってみれば、言い方はおかしいかもしれませんが、古い設備をそのまま生産性を向上させることだってできるんですよと。ですから、いろんな手法で雇用の場合は維持ということに頑張ってもらいたいし、そういうことに責任を持つ企業家というのがちゃんと評価されるべきであろうというふうに思った発言でございます。 <0060>=平田健二君= 通産大臣、過剰設備の廃棄をねらっておるわけですけれども、過剰設備といいましても、過剰設備には過剰な労働者がおるわけですよね。この法案提出に当たって、通産大臣は労働者の、働いている人の権利の保護をどういうふうにお考えですか。 <0061>=国務大臣(与謝野馨君)= 私は、働いている方は家族を持ち、専ら労働の対価で生活をしているわけでございますから、純経済理論的に言いますと、昨日は衆議院の方で民主党の方からすべての問題、ややハードランディング的な手法をとれというような御質問がありましたけれども、どちらかというと、雇用に関しては本当にソフトランディングを目指さなければならないと私はしんから思っております。純理論的にはそうかもしれませんけれども、やはり政治は働いている方々の立場を考え、政治として本当にそれぞれの方の立場をよく考えながら物事を進めていく必要があると思っております。  長期的には、リストラ、構造改革というのは、低い生産性の分野から資本と労働が移動することでございますから、労働も移動せざるを得ないというのは、マクロで見た場合にはそういうことになるだろうと私は思っております。私は、したがいまして、できればそういう労働の移動というのがその会社自体の中で行われることが望ましいと考えておりますし、また子会社、分社化というようなことで労働が移動する場合にも労働者の立場が十分考慮されるべきだというふうに私はもともと思っております。  産業再生法案の中で労働者の権利を規定するのかどうかという御質問であれば、実は再生法案はそのようなことを直接規定するという法律の性格を持っておりません。ただ、まだ国会には提出しておりませんけれども、その法案の中には、労働者の方々の理解を求めながら物事を進めていくという規定は設けてございます。 <0062>=平田健二君= 通産大臣、ぜひ働く人たちの権利保護を前提とした法案にしていただきたいと思います。よろしくお願いします。  官房長官がお戻りになりましたので、質問をさせていただきますが、一昨日の衆議院の予算委員会で、我が党の石井一議員との質疑の中で、官房長官は石井議員の質問に対して、私は私の道を歩んでまいりました、あなたにそういうことを言われる筋合いはありません、あなたがもしお好みであるならば私があなたについて申し上げるべきことはたくさんございます、私はそれをここで言うことはありませんと、こうお答えになっています。  官房長官という職務は、私はついたことはありませんからあれですけれども、権力の中枢におられる方だと私は思います。そういった方が、おまえのことを何でも知っておるぞ、いいかと、言葉は適当かどうかわかりませんが、まるで脅迫するかのような発言を繰り返されておるわけです。あの官房長官の答弁を見て国民の皆さんは、権力者の、まさに権力の中枢におる人の恐怖政治を見た思いがすると私は思うんです。  今、参議院では盗聴法が審議されておりますけれども、盗聴法は、まさにおまえのことを何でも知っておるぞ、いいんだなと言わんばかりの私は悪法だと思います。参議院での審議を即刻取りやめて、むしろ盗聴防止法を提案すべきだと思いますが、官房長官と総理の御意見をお伺いしたいと思います。 <0063>=国務大臣(野中広務君)= 一昨日の衆議院の民主党の代表質問に石井一議員がお立ちになりまして、その質問のほとんどは全然予告がございませんでした。私には財金分離の問題と衆議院の比例定数減の問題についての予告がございましたけれども、全く予告のない、私の発行した本及び私のその後の言動につきまして御指摘がございまして、そういう御指摘の中におきまして、最初に、あなたは変節漢だと、こうおっしゃいました。  したがいまして、私も閣僚でございますけれども、閣僚も政治家でございますので、お互いに政治家である以上、今政治の活性化を目指すために副大臣制やあるいは政務官制を求め、さらに政府委員を廃止して改革をやろうとしておるときであります。閣僚にも人権がございます。したがって、私は、あなたがそのように発言され、変節漢と言われる筋合いはないし、あなたほどの変節漢ではないと、こう申し上げました。その後は言葉を非常に荒げて、そして、厚顔無恥を初めとして聞くにたえない発言をなさいました。  私にもまた、先ほど申し上げましたように人権もあり、さらには私に反論権があるはずでございます。したがって、私は閣僚でありますから、そして今それを質問されておるわけではありませんが、あなたについて発言をさせていただくとするならば、この場を発言の場としませんが、お好みであれば申し上げてみたいと思いますと、こう申し上げました。それは脅迫だとおっしゃいました。脅迫だとおっしゃるなら、私は、ぜひあの場所で、私が申し上げる石井一議員についての話を聞いていただく余裕があってほしかったなと、こう考えておるわけでございます。  これからお互いに激しい議論を重ねていかなくてはならないわけでございますが、私もまた閣僚の責めにある者としてその発言に十分注意をしていかなくてはならないと思うわけでございますけれども、当初の質問であり、代表質問であり、しかもNHKを通じまして全国放送をされておる中で、党を代表した質問として、質問のほとんどが私に対する個人的問題に終始したことを私は非常に残念に思います。そして、これからも私は政治家として、この問題について石井議員の御希望があれば幾らでも討論をしてまいりたいと考えております。 <0064>=国務大臣(小渕恵三君)= 通信傍受法案につきまして、盗聴法だというお話でございますけれども、この今回国会にお願いをいたしておりますのはあくまでも一般国民の安寧秩序を守るために必要な措置としてお願いしておるのでございまして、権力を利用して、そして無辜の方々の通話を傍受し、これをいたすという趣旨のものでないことにつきましては、改めて国民の皆さんにも御理解をちょうだいいたしたいと存じます。 <0065>=平田健二君= 私が申し上げたのは、石井議員とのやりとりの問題の中で、その内容をとやかく言うつもりはございませんが、官房長官という立場にある人が、おまえのことは何でも知っているよ、だけど言わないんだ、こういうことなんですよ。国民が見たら、権力の中枢にいる、まさに内閣のかなめじゃないですか、その官房長官たる人が、おまえの秘密は何でも知っているんだ、知っているんだぞ、いいか、こういうふうに受け取れますよ、あの発言は。そういうことなんです。変節だとか、そういったことを私は言っておるわけじゃないんです、そのことは仕方がないことですから。そのことを私は問うているわけです。  これ以上申し上げませんけれども、アメリカで実際にあった話として、エドガー・フーバーというアメリカの連邦捜査局、FBIの長官が四十八年間にわたって君臨したということは、もう既に皆さん御承知のとおりであります。FBIの長官の権力を乱用して盗聴して、個人の秘密を全部握って、歴代大統領も全部自分で操って、自分の友人を副大統領にまでする、こういった事件が実は起こっておるわけですね。  生活上の弱みを握って、権力にある者が、おまえのことは何でも知っているぞ、こういったことをやるとは言いませんが、そういった危険性のあるのがこの盗聴法なんです、通信傍受法と言われていますが。秘密を全部握って、おまえのことを何でも知っておるんだぞ、要らぬことを言うなと権力で押さえつける。まさにこの構図じゃないですか。  ぜひこの盗聴法、通信傍受法は今国会では廃案にしていただきたい。このことを訴え、さらにこういった国会の場でまさに、脅迫とは言いませんが、脅迫まがいの発言をするということは、私は許されないことだと思っております。いかがでしょうか。 <0066>=国務大臣(陣内孝雄君)= ただいま通信傍受法についての御発言がございましたので、私の方からその法案の目的としているところを少しお話しさせていただきたいと思います。  この通信傍受法というのは、犯罪が組織的に行われる、その一つとして、組織的な殺人、あるいは麻薬犯罪関係、銃器の犯罪関係、そして蛇頭等による密入国関係、この四つの重大凶悪犯罪について、犯人と考えられる人が特定の電話を使って通話をしている、そのことを捜査令状に基づいて捜査させていただくということで、一般の国民の皆さん方の通話とは全く関係のない犯罪捜査のための通信傍受でございます。  ぜひ、最近のこの深刻な犯罪動向を御賢察の上、この最後の最後の手段として活用する捜査手段の新しい導入について御理解を賜りたいと思います。 <0067>=国務大臣(野中広務君)= 重ねて委員から御指摘を賜りましたけれども、私は、官房長官としての権力を行使して、それによって今言われるような通信傍受を含めたような権力を行使して石井議員の何かについて申し上げようとしたわけではありません。  お互いに同じ党におり、お互いに同じグループにおり、そして九〇年、金丸・田辺訪朝団にともに参加した中の経過から、時には石井議員の発言の中に、私があたかも当時の新進党等から我が党に人を引っ張ってきたような、ひっさらってきたというような表現もございました。そのときに、時々にかかわられた問題等も含めて私は申し上げる用意があると申し上げたところでございまして、私は、今、官房長官として知り得ることについて何かをし、何かを石井議員について、委員が今おっしゃったような通信等について行うような、そんなおごったことを考えておりませんし、お言葉の中にそれぞれ私に対する許せない話がありましただけに、私は、同じことを佐藤参議院議員からも御指摘をいただきましたその際には、そのような発言をいたしておりません。それだけに石井議員の発言は、党を代表し、さらにこの全国放送を通じて行われたことに私は耐えられない思いがして申し上げた次第でございます。 <0068>=国務大臣(野田毅君)= 大体、基本的には今、官房長官それから法務大臣からお話があったとおりです。  私は、官房長官の発言の問題と組織犯罪対策の法案、特に通信傍受に関連する法案、この二つは全く関係のない世界であって、あたかもそれが関連があるような御発言ということは、治安の責任を負う閣僚の一員としてこれをただ単に聞き捨てにするわけにいかない、そういう意味で私は申し上げておるわけでございます。  内容においては、今、法務大臣がお答え申し上げましたので、重ねることは避けたいと思います。 <0069>=平田健二君= 私は、官房長官やここに座っている閣僚の皆さんがやると言っておるわけじゃないんです。そういうことは言っていません。いいですか、官房長官がやるなんということは一言も言っていませんよ。そうじゃなくて、権力の中枢にある人、捜査当局の方々は何でも盗聴できる。そうでしょう。法案をいろいろする必要はありませんが、もう少しきちっと委員会で審議をしてくださいよ、それだったら。しっかりした議論をせにゃいかぬ。ぜひひとつ、そういうこともあるということをお考えください。  次に、雇用保険の問題についてお尋ねいたします。  報道によれば、雇用保険料のアップと給付の切り下げということが検討されている、こういう一部マスコミの報道がございますけれども、労働大臣、保険料だけを引き上げて給付を引き下げるということですけれども、これはもともと国庫負担は本則で二五%というのがあるわけです。これも同時に引き上げるということですか。 <0070>=国務大臣(甘利明君)= 雇用保険はまさにセーフティーネットの最たるものでありますから、これが機能しなくなるのはまさに大社会不安になりますから、これがちゃんと網が破れないようにする。今、収支で言いますと、収入一兆七千億、支出二兆七千億ですから、毎年一兆円ずつ穴があく、三年でゼロになるということでありますから、これをちゃんと安定させるために財政状況をどう見直すかということであります。  今回は抜本是正、つまり基本設計の変更でありますから、いろんな要素を審議会等で検討していただいて結論を出していただきたいというふうに考えております。 <0071>=平田健二君= いや、保険料を値上げすることは、これは仕方がない。でも、もともと国庫負担というのは本則にありますように二五%なんです。それが今一四%です。これもやはり引き上げるということを同時に検討しないといけないと思うんですけれども、そのことを聞いておるんです。 <0072>=国務大臣(甘利明君)= ですから、そういう指摘も委員会でいただいておりますから、そういう指摘もありますということを検討項目の中に付議して、そして審議会で国庫負担のあり方はどうあるべきかとか、あるいは負担と給付の関係についてどうあるべきか、考え得る要素はみんな俎上に上げて検討してくださいということをさせていただきます。 <0073>=平田健二君= 時間が参りました。いろいろと質問の通告をしておりましたけれども、時間がございませんので最後になるかと思いますけれども、大蔵大臣、金融機関等の公的資金についてお尋ねをしたいと思います。  銀行への公的資金が昨年とことしで九兆三千億程度になっておるわけですが、さらに今破綻した長銀や日債銀の処理のために七兆円以上が必要だと言われております。これに加えて、山一証券の破綻に伴って政府が日銀に要請した日銀特融、この資金も貸し倒れになりそうだという報道があり、衆議院、参議院の委員会があり、大蔵大臣も答弁をされておりますけれども、政府は日銀に対して、山一証券の貸し倒れ金について補償を行うということでしょうか、まず最初にお聞きしたいと思います。 <0074>=国務大臣(宮澤喜一君)= 山一証券は、ただいまのところ債務超過千六百億円と言われておりますけれども、これはまだ恐らく一年以上かかりませんとなかなか確定をいたさないかと思います。  他方で、日本銀行は三千数百億円特融がございます。この点につきましては、当時の状況、ちょうど日銀法が旧法と新法と変わりましたのですが、いずれにしても、しかしこれは大蔵大臣の要請によって特融が行われたということは、これは認めなければなりません。  そこで、他方に投資者保護基金というものが御承知のようにできまして、これは証券会社がそういう基金をつくって将来いろんなときにこういう救済に当たるという機構でございますけれども、そして法律には、設立前に生じた債権も引き受けることができる、あたかもこの特融もこの基金が引き受ける、債権を引き受けてよろしいというような不思議な規定でございますが、それを期待したような規定が入っております。  ただ、この基金ができましてまだ三百億程度の金しかございません。そういたしますと、借り入れにも限度がございますので、今申し上げました金額等々を考えますと、この投資者保護基金にそれだけのいわば買い取りをさせることには私は事実上無理があるだろうと。当時、そこへ期待をするというようなことを大蔵大臣も言っておられますけれども、実際は金額としては全部持てというのはどうも私は無理だというふうに判断をしております。  したがいまして、これは大蔵大臣の要請に発したことでございますので、御承知のように、中央銀行のバランスシートの姿が余り悪くなりますということは国際的にも心配なことでございますから、私は、一年先か二年先か、数字が固まるのに時間がかかりますけれども、要請をした大蔵大臣にはこの問題についての解決をする責任があると考えております。 <0075>=平田健二君= 今、大蔵大臣、山一証券の貸し倒れが三千四百億と。いみじくも、今回の雇用対策の三千四百億…… <0076>=国務大臣(宮澤喜一君)= 千六百億。 <0077>=平田健二君= 日銀特融は三千四百億あるんじゃないですか、残りが。 <0078>=国務大臣(宮澤喜一君)= 山一は千六百億。 <0079>=平田健二君= そうですか、千六百億。山一証券だけで千六百億。三千四百億円、雇用対策。国民が見たら、これはやっぱりおかしいと思いますよ。  終わります。 <0080>=委員長(竹山裕君)= 以上で今泉昭君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ───────────── <0081>=委員長(竹山裕君)= 次に、岡利定君の質疑を行います。岡利定君。 <0082>=岡利定君= 自由民主党の岡利定でございます。  小渕総理を初め閣僚の皆様には、連日、大変御苦労さまでございます。  ことしの梅雨は、大変例年以上に雨が多いということで、六月下旬から梅雨豪雨が続き、全国各地で大きな被害が出ております。被害を受けられました方々に心からお見舞い申し上げる次第でございます。  政府としても、早々に最も被害が大きかったと言われる広島県に建設大臣を派遣されるなど、素早い対応をとられたわけでございますけれども、その後の各地での豪雨のために被害も拡大しております。被害地域の救済、二次災害の防止あるいは復旧のために政府としても積極的な、また素早い手だてを講じていただきたいと思う次第でございます。  まず、この点について総理のお考えをお聞きいたしたいと思います。 <0083>=国務大臣(小渕恵三君)= まず、先般発生をいたしました豪雨によりまして、広島県を初めといたしまして各地に甚大な被害が発生いたしまして、その中でとうとい命を失われた方々がおられるわけでございまして、謹んで哀悼の意を表しますと同時に、被災を受けられた方々に政府を代表いたしまして心からお見舞いを申し上げたいと思います。  特に、広島におきまして被害が非常に大きくなった地域を、直後、国土庁長官を派遣いたしまして調査、お見舞いさせたところでございますけれども、大変急峻な山すそに住宅が建っておりまして、突然の降雨によりまして土砂が流れ落ち、そのために大きな被害が生じたという現状を写真その他で見させていただきました。  こうした地域で豪雨が降るたびに大きな被害が生ずるというようなことを考えますと、たまたま広島の地域のことでございましたけれども、一方、急峻な山のすそ野に住宅地ができ、それは住宅地域が、どうしてもその平面に調整区域等がございまして、なかなかそこには建物は建たぬということで、山林の下の方でそうしたところができるというようなことでございます。そうした地域を考えますと、もちろんできる限り安価に住宅を求めるということですからやむを得ない点もあろうかと思いますけれども、こうした災害が起きるたびにこのままでいいかということでございますので、改めて建設大臣・国土庁長官にも、こうした地域における問題について、何らかの法的措置も含めまして対応ができないかということを実は指示しておるところでございます。  また、被害を受けられたことはまことに残念でありますが、こうした方々に被災者生活再建支援法によりましての救済も考えておりまして、これは議員立法として国会でおつくりをいただいた法律が今回適用になるわけでございます。  実は昨年、栃木、福島で大水害が起きたときに、こうした法律の制定の趣旨を十分理解いたしまして、当時、国土庁長官は柳沢長官でありましたけれども、ぜひこうした対応をすべきだということで、既にその地区の皆さんにこれを、適用ではありませんが、措置をさせていただいておるところでありますが、後でこういう措置を講ずることは当然のことながら、やはりその原因をもっとしっかり踏まえて、いかに対処すべきかということは政府の責任と心得て対処いたしてまいります。 <0084>=岡利定君= 国民生活に、国民の安全に直結する話でありますので、政府としての積極的なお取り組みをお願いいたします。  ところで、介護保険制度につきましてでありますが、昨日の衆議院の予算委員会で議論が行われ、その質疑をめぐって報道がされております。この問題は、昨年末に自由民主党と自由党の間での確認もあり、また国民に大変関心が持たれておるものでございます。政府として今後どのように進めていくお考えか、この際、改めて所管大臣である厚生大臣にお聞きいたします。 <0085>=国務大臣(宮下創平君)= 介護制度につきましては、今御指摘のように平成十年十二月十六日の自由党との協議の確認におきまして、介護制度については平成十一年度末までに基盤整備、実施主体の状況などを点検し、円滑な実施が図られるよう財源のあり方を含め検討するとされております。  これに沿って、円滑な実施が図られるように当省といたしましても誠実に与党間における協議を得て対応したいと考えております。 <0086>=岡利定君= ぜひそのようにお願い申し上げます。  小渕内閣が昨年七月三十日に発足して一年を迎えようとしております。総理は、富国有徳の国づくりを目指されて、その日その日に全力を尽くすというお考えのもとで国政に取り組まれてきたと理解いたしております。  一年前の今ごろといいましょうか、参議院選挙の前後でございますが、深刻な不況、金融不安というようなことで、まさに日本の経済は最悪の事態を迎えて、いわゆる景況感というのは悲観論が大勢を占めるというような状況だったと思います。小渕内閣発足以来、金融システム安定化のための諸施策、さらには昨年末に総事業規模で二十七兆円の経済対策を実行いただくということで、景気の一刻も早い回復に努めていただきました結果、今日では、まだ厳しさが残り油断は決してできませんけれども、金融システムも何とか落ちついてき、景気に対する見方も、いわゆる悲観論が後退して楽観論も出てくる、こういうような状況になりつつあるのではないかと思っております。  経済対策を初めとして、山積する国政の諸問題に絡む課題を次々とこなされていく中で、小渕内閣の支持率は日々高まっておるというように聞いております。ある新聞社の最近の調査では、五七・二%の支持率となっておるということまで聞いております。  丸一年を迎えるに当たって、マスコミは、いろんな形ですけれども、その関連について特集記事を組まれたり、そういうことでされておりますけれども、なかなか厳しい評価をするマスコミではございますけれども、この一年間の成果について、M誌ではとりあえず及第点だというような記事が書かれておりますし、またA新聞では、総理は最近新聞に掲載された川柳、「やるじゃない やりすぎじゃない 小渕さん」、こういうところに赤鉛筆で筋を引かれたというような記事が出ておりました。赤鉛筆の真偽はわかりませんけれども、まだ少々皮肉を含んだ記事も続いておりますが、いずれにしましても小渕内閣の仕事っぷりについて一定の評価をしておるというように考えます。  まだ参議院で重要法案がいろいろと審議中でございますので総括するには少し早過ぎるのかもわかりませんけれども、この機会に、この一年を振り返りまして総理の感想をお聞かせいただきたいと思います。 <0087>=国務大臣(小渕恵三君)= 我が党の先生からのお尋ねでございますので率直に承りましたが、そうした評価を今後とも国民各層に得られるように、まずは全精力を傾けて努力いたしていきたいと思っております。  もともと私、鈍牛と称せられまして鈍足でございますけれども、遅い足ながら精一杯一年間懸命に走ってまいりました。みずからに勢子をかけるつもりでやらせていただきましたし、特に私、総理大臣としてよりも、ここに今並んでいただいておる閣僚の皆さんも真剣に、現下の厳しい経済情勢の中で経済再生内閣という銘を打たせていただきましたことの実行のために、それぞれ精一杯努力をしていただいたことでありますし、またある意味では国会の大変な御協力をいただいている点もあろうかと思います。  御案内のように、内閣ができましたときに、日本の金融システムが危機的な状況であり、国際的信認が得られないという中で、これはまさに各党各会派の御協力をいただきまして金融二法を成立することができたということは、やっぱりこれは国会の御良識と考えて、それを前提にして政策をスタートさせることができたということはまことに幸いだったというふうに思っております。  その後、景気対策等につきましても、これもいろいろ赤字国債の大発行でいかがかという御批判もありました。、しかし、今の時点では財革法もあえてこれを提出させていただいて、この際は何はともあれ、集中的に経済を再生するために国として行い得るのは財政政策であります。このために思い切った経済対策もさせていただいたというようなこともあったかと思います。  政治的には何よりも自由党との連立ということがございまして、現在のこの危機的な状況を乗り越えるためには、自由民主党だけでなく自由党とともにこの難局を乗り越えようということで、いわゆる連立内閣が成立し、その中で国政を運営させていただいたということもあろうかと思いますし、また特に今国会におきましては、公明党の御協力も得ながら実効ある政策をとらせていただいてきておるわけでございまして、こういう事態の中で政治を行い得ることは大変ありがたいことだと思っております。  特に、これも国会の御協力でありますが、予算がいわゆる戦後最速ということで、三月の後半早い時期に通過することができました。私はこれは非常に大事なことで、従来、ある内閣におきましてはもう夏になりましても予算が通過しないというような時期がありましたが、その後のことを考えますと、やはり予算というものは三月の早い時期にできて、そして四月一日から施行できるということがはっきりすれば、例えば公共事業にいたしましてもそれに対するいろんな設計その他が進んでくるわけであります。恐らくこれは、国会においても予算を早く上げて、そして今のこの景気を回復するために少なくとも国としてなすべきことは早くやれという御指示のたまものではなかったかなという気がいたしておりまして、そういったようなところで予算的な措置が早くとれたということは大変ありがたいと思っております。  それから、何よりもやはり日本の安全保障にかかわる問題といたしまして、ガイドライン関連法案も成立させていただくと同時に、また明治以来の行政システムを改革するために中央省庁改革法案並びに地方分権法という法律を通させていただきました。これも、法律ができたからすべてであるとは私は思っておりませんで、またそういうお尋ねもございましたし御意見もありました。そのとおりだろうと思いますので、せっかくできた明治以来のこうした法律を大改革することによりましてその実を上げていかなければならないかと思っております。  さらに、今最終的な段階に入っておりますけれども、政府委員の廃止とか副大臣制の導入等につきましても、これも大きな変革ではないかというふうに考えておりまして、一日も早くこれが成立し実行できるように考えていかなきゃならないかと思っております。  私自身といたしましては、いつも申し上げておりますが、基本的には一日一生涯と、こういうことで、毎日毎日がすべてであるという考え方のもとに国政を担当させていただいております。同時に、このことは国民の底力というものが基本的には存在するんだということでございますので、「確固たる意志を持った建設的な楽観主義」、こういうことを施政方針で申し述べさせていただきましたが、お互い日本国民の持つ大きなパワー、これを結集してこの難局を乗り切ることができればありがたいと思っております。  と同時に、今回いろんな法律を出させていただいておりますが、その趣旨は、政策の立案決定に当たりまして官僚主義を排して、政治主導によって国民の英知を集めて、国民に語りそして対話することを心がけていかなきゃならぬと思っております。  改めて一年を振り返りまして、内外の課題はまだ大きいと思っておりますし、国民の信頼を得るためにより謙虚により一層努力いたしてまいらなければならないというふうに考えております。足らざる点は多々あると思いますけれども、御叱正をいただきながらこの大きな責任を果たしていきたいと思いますので、よろしく御鞭撻のほどをお願いいたす次第でございます。 <0088>=岡利定君= 国づくりの関係でございますけれども、総理の諮問機関であります経済審議会が、去る七月五日、新十カ年計画を取りまとめ答申し、政府はこれを受けて七月八日に閣議決定されました。  この新経済計画には、二〇一〇年のあるべき姿がわかりやすく提示されております。しかし、その姿を具体的にどう実現するかというのが今後の大きな政策課題でございます。特に、多様な知恵の社会を形成するために「日本列島の中核に世界最大級の高速・大容量を持つ情報通信ネットワークの形成に努める。」など、情報通信の役割の重要性を強調している点は従来の経済計画にはない大きな特徴の一つではないかと思います。  しかしながら、新聞によりますと、情報通信についてまだビジョンと分析が欠けているんじゃないかというようなコメントもございます。  総理は、従来から情報通信に大変御造詣が深く、現内閣においても高度情報通信社会推進本部を開催されるなど積極的に取り組んでおいでになります。そういう立場で、新経済計画を踏まえ、今後情報通信政策をどう推進されるのか、総理の御所見をお伺いいたします。 <0089>=国務大臣(小渕恵三君)= 御指摘のように、情報通信ネットワーク化は二十一世紀の新たな発展基盤を形成し、経済全体の効率性を飛躍的に高める可能性を持つと認識をいたしております。  平成十年十一月に改定をいたしました高度情報通信社会推進に向けた基本方針におきまして、情報通信政策として特に優先的に取り組むべき分野といたしまして、光ファイバー網を初めとする高度な情報通信インフラの整備、電子商取引普及、電子的な政府の実現、情報リテラシーの向上という四つの当面の目標を掲げております。  本年四月にはこの基本方針に基づいたアクションプランを策定いたしたところでございまして、政府といたしましては、今般閣議決定をいたしました経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針を踏まえ、今後とも関係省庁一体となりまして高度情報通信社会の実現に取り組んでまいりたいと思います。  一言申し上げますと、二〇〇〇年問題というのがございまして、これは直接これとかかわりありませんが、やはり西暦二〇〇〇年になりまして、いわゆるコンピューター社会の中でどうした事態が起こってくるかということにつきまして、非常に国民的不安もなきにしもあらずであります。そういった意味で、この問題には集中的に今取り組ませていただいておりまして、日本はこれはかなりおくれているのではないかという国際的な評価がございましたが、それに対して今急速に各所におきまして改善をいたしておりまして、少なくとも二〇〇〇年一月一日午前零時には日本として問題が起こらないように、今最善の努力をいたしております。  ぜひ国民の皆さんにおかれましても安心していただけるような対応を、政府もそうでありますが、民間も一生懸命今取り組ませていただいておりますので、ぜひこの点につきましても政府として全力を挙げておることを申し上げさせていただきたいと思います。 <0090>=岡利定君= 今、総理から二〇〇〇年問題が出ましたけれども、これは我が国にとっても全世界にとっても大変重要な危機管理対策であると思いますので、総理が今おっしゃったように積極的な取り組みで危機の起こらないようによろしくお願い申し上げたいと思う次第でございます。  今の情報通信政策の関係で、所管大臣であります郵政大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 <0091>=国務大臣(野田聖子君)= 御質問ありがとうございます。  岡先生におかれましては、郵政省においてまさに情報通信を推進していく旗振り役ということで、今日国会議員としてもその中心的な役割を担っていただいているところで、こういう先生の御尽力がまさに今情報通信の高度化に向けてのさまざまな政策とかに生かされていることをまずもって感謝申し上げる次第でございます。  そこで、今御指摘がありました新経済計画においてどういうことが具体的に政策方針として挙げられているかについて申し上げますと、まず初めにインターネット活用等の情報教育の充実、そして社会的、経済的ニーズに対応した研究開発投資の重点化、さらに世界最大級の高速・大容量を持つ情報通信ネットワークの形成、そして電子政府の実現等の公共分野の情報化といった取り組みの重要性が指摘されました。  郵政省としても、この情報通信産業というのは、これまでも経済の牽引として高く評価しておりますし、最近でも、非常に消費の落ち込みがあると言われている中でしたけれども、情報通信産業の代表格である携帯電話にせよまたはパソコンにせよ、着実な売り上げを伸ばしているということで、今後もさらにこれらの産業というのは日本の国のリーディング産業であり続けるし、そこで新たな雇用を創出し、なおかつそこからまた新しい産業が生まれてくるということで非常に重要であると認識しているところであります。  そこで、これまでも取り組んできたことですけれども、これからも例えば学校におけるインターネット利用の促進などを通じた、先ほど総理も御指摘ありましたけれども、情報リテラシーの向上、これはまさに次世代の子供たちが不自由なくパソコンを使い、インターネットでの学習をすることによって二十一世紀に対応できる人材を育てていこうということでございます。  次世代のインターネット、これは今よくお話が出ていますのは、おかげさまでインターネットは千七百万人のユーザーがいると言われていますが、このあるべき姿では、二〇一〇年には四千五百万人と言われています。ただ、そこに持っていくには、今抱えている問題、例えば通信料金の問題とか容量の問題とか安全性、そういう問題を一つずつきちっと解決していかなければなりませんし、超高速のギガビットネットワーク、そして放送デジタル化の推進。つまり、今までデジタル化が進んでいますけれども、放送分野においてはこれから最終局面に向かっていて、すべてをトータル・デジタル・ネットワークにつないでいくということがこれから国にとって大きな重要な課題になってくると思います。そういうことを通じて世界最高レベルの情報通信インフラの整備をしてまいりたい。  そして、これまでも取り組んでおります光ファイバー網の全国整備の推進。そして、これから大変重要だと思いますけれども、まさに政府みずからがユーザーとなる、各省庁と連携することによって電子政府を実現し、そして社会経済全体の情報化の起爆剤となる公共分野の情報化の推進。これまで情報通信は民間主導と言われておりましたけれども、まさにここにおいては私たち政府が主導し、ユーザーとなって公共分野に関しては推進していかなければならない。  さまざまな施策に取り組むことによって、経済再生はもとよりですけれども、私たちのこれからの暮らしをさらに豊かにしていくための努力を精いっぱいやってまいりたいと思っています。 <0092>=岡利定君= ありがとうございました。  それでは、経済問題に関して何問かお聞きいたします。  まず、経済企画庁長官にお伺いいたしたいのですが、景気の底入れの関係でございます。  経済企画庁は、七月の月例経済報告で、この総括判断として、「景気は、民間需要の回復力が弱く厳しい状況にあるが、各種の政策効果が浸透し、このところやや改善している。」との見解を示しております。これは、六月十日に発表された一―三月の実質GDPが前期比一・九%の大幅な上昇を見た、などを受けてのことと思います。ちなみに、六月の月例報告では、景気は下げどまり、おおむね横ばいで推移しているとされておったわけでございます。  しかし、景気の底入れについては、総理は七月十三日の参議院本会議で、景気底入れとするには時期尚早であるという御答弁をされております。GDP統計や日銀短観が大きく好転したにもかかわりませず、景気底入れの判断を明確にできないのはどういうわけなんだろうかということで、経済企画庁長官からその理由をわかりやすく御説明いただきたいと思います。  長官は、テレビの討論番組などで、景気の位置は午前四時だ、こう発言されております。景気が底を打っていないなら、いつごろ夜が明けるのか、底を打つのか、もう少し現在の景気認識についてお教えいただきたいと思います。 <0093>=国務大臣(堺屋太一君)= 景気判断を需要の面から見ますとかなり好転しておりまして、個人需要は、収入が伸びませんのでそれほど力強いとは言えないものの、消費性向が少し上がってよくなっております。また、住宅建設もことしに入りましてから増加傾向にございます。官公需、官需の方は相当公共事業を熱心にやっておりますので大きく伸びましたし、輸出の方もアジア経済が回復してきたのでここ最近好調に推移しております。しかしながら、設備投資の方は、一部中小企業のサービス部門、非製造部門に動きがございますけれども、前年に比べてやはり大きく下がっているというような状況でございます。  これらを合わせて、需要部門で見ますとやや改善ということが言えますが、全体の景気判断をいたしますと、先ほどから問題になっております雇用問題あるいは企業の利益水準、そういったところを見るとまだ軟弱な部分があるのではないか、そういうことを含めて私たちはやや慎重な見方をしております。  私どもは、去年の十二月に変化の胎動が見えると一番早く前向きの姿勢を見せたのでございますけれども、今はむしろもう少し慎重にこの動向を見て、注意深く経済運営をしていくのがいいのではないか、そういった判断をしております。 <0094>=岡利定君= やや慎重にということのようでありますが、かなり以前よりは明るさが出てきておると理解したいと思います。  また、先般発表になりました一―三月の実質GDPは、前期比で一・九、年率で七・九という高成長を記録したわけでございます。株価も、この発表された六月十日に、前日比四百八十円も急騰して一万七千円の大台を回復いたしております。その後、株価は強い基調を維持しており、少なくとも株式市場では景気底入れ、回復を織り込みつつあるんじゃないかというような感じもするわけでございます。  しかし、一―三月の実質が高くなったからといって楽観は禁物でございますけれども、政府の見通しであります今年度のプラス〇・五%成長は現実味を帯びてきたのではないかというように思います。  ただ、長官も今おっしゃいましたけれども、今後景気が持続してよくなっていくかどうか、不透明な要素もあるようでございます。  とりわけ、今おっしゃいました雇用状況でございますが、企業のリストラが本格化するにつれてさらに厳しくなる可能性が指摘されております。個人消費は実質で前期比一・二%ふえておりますが、家計調査などはこの間マイナスになっておって、自動車販売などの販売統計が消費を押し上げたと推計されます。リストラで所得が伸びない、企業によっては年収がマイナスに抑制されているところも多い中で、個人消費の持続的な拡大というのはまだちょっと疑問を呈さざるを得ないんじゃないかというような思いでございます。  そこで、経済企画庁長官は、GDPで見る景気の持続性に関してどのように判断されるか。特に、リストラの推進を反映しての個人消費の先行きについてどのような認識をお持ちか、お教えいただきたいと思います。 <0095>=国務大臣(堺屋太一君)= 一―三月のGDP、いわゆるQEでございますが、これは外需、輸出から輸入を引いたものでございますが、外需がマイナス〇・二、内需がプラスの二・二という姿でございまして、そのうち官需が一・一、民需が一・一と、非常に我が国としては好ましい形になっております。その中で、官需はもちろん公共投資が主でございますが、民需の方では消費が伸びました。そして設備投資も、前期が下がり過ぎていたこともありまして、二・五ほど上がっておる、こういう形でございます。  やはり一番問題は、先生御指摘のように個人消費でございまして、一―三月で見たときには消費者統計で見ますと弱かった。それが、自動車でございますとか電気製品でございますとか、それから家賃でございますが、修正していきまして、そういうものでかなり上がったのでございますが、この四、五月を見ますと、家計調査の方がかなりよくなっております。四月は前期比〇・七のマイナスでございましたが、五月は三・六のプラスでございまして、家計支出が少し好調になってきております。  今、所得はボーナスが少なかったりして伸び悩んでおりますけれども、消費者のマインドの方は少しよくなってきた。財布の中身はふえていないけれども、ひもは緩くなった。こういうような現象が起こっておりますので、天候等いろいろ気になることはあるのでございますけれども、少しいい方に向かうんじゃないかと期待しております。 <0096>=岡利定君= このGDPの項目別の動向では、個人消費も問題でございますけれども、これよりも設備投資の悪化の可能性が心配されております。  一―三月の実質設備投資は、携帯電話の新サービスに伴う投資増加、信用保証協会の保証枠拡大による中小企業への投資増などによって前期比二・五%増を記録しております。しかしながら、設備投資の先行指標と言われる機械受注は大幅な後退が続いており、また各種のアンケート調査でも、企業は今年度の設備投資に極めて慎重になっているという姿がうかがえると思います。  例えば、六月二十一日に発表されました通産省の今年度設備投資計画によりますと、製造業はマイナス一一・七%、非製造業はプラス四・五%、全体でマイナス一・七%となっております。しかし、産業政策局は「景気動向が大きく好転する見込みがない限り、年後半に下方修正の可能性がある」というコメントもつけております。七月五日に発表されました日銀の短観でも、大企業、中小企業問わず設備投資意欲は極めて弱いということが確認されております。  経済活動の大きな歯車である設備投資の先行きに関しまして通産大臣及び経済企画庁長官はどのような御認識をお持ちか、お尋ねいたします。 <0097>=国務大臣(与謝野馨君)= 設備投資の動向については、回復力の弱い民間需要を背景に、収益環境が改善しない中で資産圧縮の動きもあり、引き続き厳しい状況と認識をしております。  現下の状況については、一―三月期は中小企業に改善の動きが見られるなど明るい動きが見られたものの、基調としては大幅な減少が続いていると認識しております。なお、本年一月に閣議決定された平成十一年度の政府経済見通しでもマイナス五・二%と見込んでおります。  現下の我が国経済は、各種の政策効果が浸透し、このところやや改善しておりますが、本格的な経済再生には民間設備投資や個人消費を初めとする内需の回復が不可欠であると考えており、今後とも経済動向を注視した経済運営を行ってまいりたいと考えております。 <0098>=国務大臣(堺屋太一君)= 委員御指摘のとおり、特に機械受注の予測の点が大きく下がっております。我々も十一年度の設備投資はマイナス五・二と見ておりますが、今の機械受注はそれ以上に下がっております。ただし、この数字は毎年期末になると上がってくる傾向がございまして、単純にこれがそのまま実現するとは思っておりません。したがいまして、我々の予測ぐらいのところへ来るんじゃないかと思っておりますが、やはり設備投資は依然として弱い。  よく私の申すことでございますけれども、まず公共事業、それから住宅、そして今消費が出てまいりまして、その次にアジア向けの輸出が好転してくれて、最後にこの設備投資が出てくると、いよいよ民間の需要が、民需が出てきて軌道に乗るんじゃないか、そういう期待を持っております。 <0099>=岡利定君= 設備投資の見方はまだかなり厳しいようでありますけれども、設備投資が出てこないのは、企業が先行き不安から投資を手控えているということに加えまして、過去に行った設備投資が過剰に積み上がっておってその調整が進んでおらないからだとも言われております。  調査機関の推計によりますと、過剰設備は現在八十ないし百兆円程度、名目GDP比で一六ないし二〇%もあると見積もられております。バブル期に積み上がった設備が廃棄されずに使われているケースなどがあり、それが新規投資を抑制するとともに資本の生産性を低下させていると見られております。設備の更新が進んでいないことから設備の使用年数が近年急速に長くなっており、現在、過去最高水準の十年強に達しているという指摘もございます。過剰設備の廃棄、除去は、新規設備投資を誘発するだけでなくて資本の生産性を高める効果があり、早急に進める必要がございます。  政府は、産業競争力強化対策を具体化するために今国会に産業活力再生特別措置法案を提出予定であると伺っております。この法律では過剰設備の廃棄に関してどういった施策をお考えなのか、その施策によって予想される効果を含めて御説明いただきたいと思います。  また、ついでで申しわけございませんが、この法律については、巷間、企業の過剰設備や過剰債務の問題を処理するための後ろ向きな対策が中心になっておるのじゃないかという批判がなされております。無論こうした負の遺産が適切に処理されるということも重要でございますけれども、せっかく法案を提出される以上、もっと前向きなもの、新たな未来に向けての産業界の積極的なチャレンジを応援するものであるべきだと思います。  現在検討されております法案において我が国産業の将来の発展に向けての取り組みをどのように支援していこうとされておるのか、あわせて通産大臣の御意見をお伺いいたします。 <0100>=国務大臣(与謝野馨君)= まず第一点でございますが、我が国経済の自律的な発展を図るためには、事業者による選択と集中を促進し、生産性の低い部門から生産性の高い部門へ経営支援のシフトを進めることが重要でございます。  現在、政府内部で検討しております産業活力再生特別措置法案においては、設備の廃棄を含め、事業者が生産性の向上を目指して行う活動を支援の対象とする方向でございます。非効率な設備の処理を進めることにより新たな投資が促進をされ、我が国全体の生産性の向上に寄与するものと考えております。  第二点の御質問は、後ろ向きの対策が中心だという批判にどうこたえるのかという御質問だと思いますが、現在、政府内部で検討しております産業活力再生特別措置法案は、事業者の事業再構築を通じた選択と集中の円滑化に加え、創業及び中小企業者による新事業の開拓、研究活動の活性化等についても総合的に支援することを通じ新たな投資を促し、我が国産業活力の早期再生を目指す考えでございます。  このうち、事業再構築に対する支援については、単なる後ろ向きの対策を支援するのではなく、事業の選択と集中により将来に向けた新たな事業の開拓、拡大など前向きな取り組みを含むことを基本として支援をしていきたい、こういうふうに考えておりますが、一言で申し上げますと、事業再構築だけではなくて創業及び中小企業者による新事業開拓、研究活動の活性化についても支援する、こういう考え方で今法案をつくっているところでございます。 <0101>=岡利定君= ぜひ前向きな面の多い法律に仕上げていただきたいと思います。  ところで、日銀総裁、大変お忙しいところ恐縮でございます。  六月の日銀短観が大幅な改善を示しました。大企業・製造業の業況判断DIは前回調査比一〇ポイント改善してマイナス三七に、また大企業・非製造業のDIは〇・六ポイント改善してマイナス二八にまで高まってきました。水準は依然としてまだマイナスでありますが、最近の改善ピッチが速いことが評価されるわけでございます。  問題は、先ほども指摘しましたように、設備投資が依然弱いということでございます。今年度の設備投資計画は全規模でマイナス一一・一%となっており、企業規模を問わず設備過剰感が強くて投資に積極的になれないようでございます。  そこで、日銀総裁にお伺いいたしますけれども、今回の短観について全体的にどのように評価されておりますか。過去の景気底入れ前後の業況判断DIの動きを見ますと、今回のように三月調査、それから六月調査と二期連続向上したケースは景気底入れをするとの経験則があると見られるわけでございます。こうした景気底入れとDIの二期連続改善の経験則、また設備投資計画や雇用情勢を中心に日銀総裁の御見解をお伺いいたします。 <0102>=参考人(速水優君)= 岡先生御指摘のとおり、先週発表いたしました六月の日本銀行の短期経済観測によりますと、企業の経営者の業況判断というのは三月に引き続いて六月の調査で連続改善したということでございます。  一般論として申し上げますと、日本銀行の短観というのは中小企業を含めまして全国約一万社から報告をとっております。したがいまして、これまでの景気循環局面で企業のマインドが一たん改善し始めますと、それが結果的に景気の回復につながっていくといったような大まかな傾向は確かにあると申し上げられると思います。  ただしかし、そうした過去の局面におきましても、日本銀行は、短観の業況判断が二期連続で改善したという事実だけをもって景気が底入れしたと機械的に判断したことはございません。短観などの景気指標をも含めまして、その時々の景気、物価情勢や金融動向を丹念に点検して総合的に判断しておる次第でございます。  そういう観点で今回の短観を見ますと、業況判断が二期連続で改善したとはいえ、先ほど先生御指摘のとおり、生産設備あるいは雇用に関する過剰感はほとんど変化がなくて、設備投資計画も確かに前年度比で一一%よくなっているわけですけれども、引き続き抑制的なものだというふうに判断せざるを得ないわけでございます。  このように、今回の短観の調査結果は、全体として見ますと、足元の景気は下げどまっているけれども回復へのはっきりとした動きは見られないという私どもの景気判断をおおむね裏づけしてくれたものだというふうに考えております。こうした景気情勢のもとで、日本銀行は、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になりますまで現在の思い切った金融緩和基調を維持していきたいというふうに考えております。  本日、たまたま政策委員会の金融政策決定会合を開催いたしておるわけでございますが、以上のような短観の結果も踏まえまして十分に討議をいたしまして政策運営に誤りなきを期してまいりたいというふうに考えております。 <0103>=岡利定君= 日銀総裁、お忙しいでしょうから御退席いただいて結構でございます。  追加の景気対策について、大蔵大臣にお伺いさせていただきます。  経済企画庁長官は現在の景気について、先ほども申しましたけれども、別なところで、六月の午前三時半から四時ぐらいのところだ、薄明かりは感じられるけれども夜が明けたら企業のリストラが進んでいなくて雨かもしれない、こういうような状況認識を示されております。  夜が明けたらやっぱり雨でしたでは、これは到底済まない話でございます。近く産業競争力の強化対策を具体化するための法案がただいま通産大臣からお話ありましたように出されるとお聞きしておりますけれども、それとは別に、財政による景気対策を前広に検討すべきではないか。企画庁長官は来年の一月から三月ごろ公共事業が息切れするんじゃないかという見解も示されておりますけれども、国の予算手当てから地方公共団体の発注に至るまでには約半年ぐらいかかるというように伺っております。  従来の公共事業は、景気対策のため発注、執行を急ぐ余り投資効率を無視しがちであり、また生産性の悪いゼネコン体質を温存することになり構造改革の足を引っ張るというような批判も見受けられますけれども、日本の経済や雇用を支えてきたことは間違いのない事実でございます。  当面は、当初予算に計上された公共事業等予備費五千億円、これを活用するにしましても、秋以降に景気対策のための第二次補正予算が必要になるんじゃないかと思うわけでございます。  十四日の衆議院の予算委員会におきまして、大蔵大臣はこの点に関しまして、四―六月の経済成長率の速報値が出る九月の時点で最終判断をするという意向を示されておるようでございますけれども、どのような経済情勢になれば追加補正を考えるかといったようなことについて、公共投資の補正計上の条件といいましょうか、それについて大蔵大臣のお考えを聞きたいと思います。 <0104>=国務大臣(宮澤喜一君)= 先ほどから御質問の基本になるお考えを拝聴しておりまして、私も大体同感でございます。  つまり、昨年から広い意味での官需を随分やってまいりましたが、結局、民間消費と設備投資に結びつきませんと本当の経済回復になっていかないわけでございます。その中で、国民消費が、先ほど企画庁長官が言われましたように、一―三にはちょっといい数字が出ている。それが何なのか、実は四―六がどうなるかということを知りたいものですから、何なのかという分析を、企画庁でもしておられるわけですけれども、消費性向が少し上がったということはあるかもしれません。しかし、季節調整の影響もあるかもしれないと思いますので、その後の家計調査は、さっき企画庁長官が言われましたように五月なんかはなかなかいい数字が出ているのでございますが、それが最終的にどういうものになるかということの予測ができないという問題が一つでございます。  それから、設備投資の方は、製造業も非製造業も、大も中も、機械受注なんかはおっしゃるとおりだと思うんですね、先行指標でございますから、どうも余りいい様子は見えないように思います。  それは、今御審議中の予算あるいはこれから御審議願います法律で、やはり企業が遊休施設を抱えております限りはなかなか新しい設備投資には至らない。これは製造業でも非製造業でも同じじゃないかと思いますから、設備投資の方は私は今この段階では余り当てにするわけにいかないだろう。これは四―六にいい数字が出なくても私はそんなに不思議なことはないなということを思っておるわけでございます。  それからもう一つ、そういうことと別に、一―三月のたるみということでございますが、支払いベースで見ます限り、今年度の公共投資の支払いベースは昨年より一兆二、三千億円上でございます。下半期にもう七千億円ぐらいは上でございますから支払いベースに関する限り心配はございませんが、工事ベースになりますと、いろいろ地方のこともございますし、一―三は少し今から様子を注意深く考えておく方がいいかな、そういうことをおっしゃいました。そういう部分は確かにあると思うのでございます。  したがいまして、結論としまして、公共事業予備費五千億円も使わずにおりますしいたしますから、四―六がどういうふうに出ていくのか、その度合いによりまして対応がいろいろに変わってくるのであろうか、しかしいずれの場合にしても一―三のことは頭に置いておいた方がいいなということは私も思っております。経済でございますからなかなか読みにくいところがございますので、固定観念を持たずに柔軟に対処するような気持ちで、最終的には総理の御裁断を得たい、こう考えております。 <0105>=岡利定君= ありがとうございました。  次は、雇用問題に移らせていただきますが、雇用問題についての基本的なお考えについては先ほどの今泉委員に対する総理のお答えの中でお聞かせいただきましたので、今回の緊急対策の関係でちょっとお教えいただきたいと思います。  今回の緊急対策では国、地方公共団体による臨時応急の雇用・就業機会の創出ということが行われるとされておりますけれども、補正予算では地方への緊急地域雇用特別交付金は二千億円、これに対して国の行う事業は八十八億円にすぎず少な過ぎるんじゃないか、また雇用創出三十万人強についてでございますけれども、地方に責任を押しつけるものになるんじゃないかと心配する声があります。  国が責任を持って取り組むというように理解しておいてよろしいか、総理のお考えをお聞きいたします。 <0106>=国務大臣(甘利明君)= 今回の雇用創出のための交付金は、地方の主体性に沿っていろいろアイデアを競っていただきたい、国の方は余り細かく細目にわたっては注文をつけません、地方の主体性、地方分権に沿って地方なりの考え方で雇用に資するような策を講じていただきたいと。大枠でありますから、臨時、一時的なもの、それから雇用創出効果がある、民間委託を基本とすると。これは失対事業の反省点がありますから余りずるずるいかないように、ちゃんと線が引けるようにというような幾つかの大枠を切りまして、あとは、例えばこんなものがありますよという例は示しますけれども、必ずしもそれによって地方を拘束するものではないということであります。  むしろ、地方から余り細かく決めてくれるなという御意見もいただいているようでありますから、地方のアイデア、考え方に沿ってやらせていただきたいと思っております。 <0107>=岡利定君= 地方の知恵を使ってということでありますが、この間の新聞では、地方を悩ます使い方などというのが出ておりまして、みずからいろいろ考えさせてくれというところと、どうしたらいいのかなということで困っておるというような記事もございます。今、労働大臣もおっしゃいましたが、そういう点、国としても地方への押しつけになるということのないようによろしくお願い申し上げたいと思います。  今回の交付金によって雇用対策の一環として地方公共団体が直接雇用することは、地方公務員の数をふやすということになりまして、地方行革の推進に問題が出るんじゃないかというようにも思いますが、自治大臣、いかがでしょうか。 <0108>=国務大臣(野田毅君)= 雇用対策は現下の最重要の政策課題でありまして、そういう点で雇用あるいは就業機会の創出ということについて、国あるいは地方公共団体がそれぞれの役割を踏まえながら努力していかなければならないということは当然のことだと思います。  一方で、今御指摘ございましたように、地方におきましても常に簡素で効率的な仕組みをつくるために努力いたしておりまして、そういう意味で地方行革の徹底ということにつきましては、累次にわたって自治省からも各地方公共団体に要請をいたしておる状況下にございます。  そういう中で、今回、雇用対策に協力する場合、真に必要な事業を民間企業なりNPOなり、こういったところに外部委託をしてもらうというようなことが原則であるというふうに考えておりまして、不要不急な事業を直接みずから実施してみたり、むやみな直接雇用を行うということは避けてもらわなければいけない、これはもう御指摘のとおりでございます。  そういう点を含めて、今関係省庁と具体的にどういうようなケースがあるか、いろんな例示をお示しするような努力をいたしておりますが、なお一層地方自治体においても、地域の雇用の問題は決して国政上の課題だけでなくてみずからの地域の課題でもあるものですから、そういう点でそれぞれ今知恵を絞っていただいておる段階であると認識いたしております。  くれぐれも今御指摘になりましたような直接雇用によってそれがまた後々に尾を引くような形があってはならぬということを戒めながら、対処してまいりたいと考えております。 <0109>=岡利定君= 国、地方一体になって取り組んでいただきたいと思います。  直面する雇用問題を解決する上で円滑な労働移動が何としても必要になってくるわけでございますが、これに関連して中途採用者の処遇の問題というのが出てまいります。  中途採用者は、賃金、退職金等の処遇の面で不利になりがちであります。年金問題は、自民党で確定拠出型年金の制度創出を真剣に検討しているところでございますが、雇用の流動化を促進するために、賃金などの処遇面で中途採用者に不利にならないような仕組みを構築し、企業へ要請、指導していくことが重要だと思いますけれども、労働大臣のお考えはいかがでしょうか。 <0110>=国務大臣(甘利明君)= 今までの仕組みというのは日本の採用、雇用形態と密接な関連があると思います。つまり、一括して春にどんと採用して、終身雇用で一つの企業でしっかりとコンクリートして長期的戦略にのっとって職業訓練なりをしていくということであります。これは、基本的にそこにずっといるということを前提に基本設計がされていますから、移動するということについては当然不利に働くわけであります。  しかし、これからは成熟産業から新しい事業分野、新規産業を育てていかなければなりませんから、そこへは経営資源を適宜適切に投入する、つまり資本と労働力を投入していかなければならない、だからそこに労働移動政策が出てくるわけであります。成熟産業と新規産業との労働力と資本のやりとりといいますか、融通のし合いということが必要になってくるわけでありますから、そうした場合に年金を初めとする周辺の施策が不利に働かないように、移動にとっても中立に働くように環境整備をしていかなければならないということで、今各方面でいろいろ審議をしていただいているところであります。 <0111>=岡利定君= 今、労働大臣のお話にも出ましたけれども、確定拠出型年金でございます。  現行の年金、確定給付型企業年金の場合には三年以上勤務しなければ年金がもらえないという問題がございます。そこで、雇用の流動化に対応して雇用流動性が確保されておりますアメリカの内国歳入法四〇一Kをモデルとしました日本版の確定拠出型年金の導入が必要であるというような観点から、政府部内でも検討が進められておると聞いております。  その検討内容と方向性、さらに今後のスケジュールについて、関係各省いろいろあるようでありますが、厚生大臣からお聞かせいただきたいと思います。 <0112>=国務大臣(宮下創平君)= まず一般的に、二十一世紀の高齢化社会を控えまして、老後の生活への備えをするということは極めて重要なことでございます。このため私どもは、公的年金というものをきちっとした見通しのあるものにしたいというのが第一で、これを基本としつつも、今御指摘のように自助努力によって老後の所得の確保の仕組みを整備することも、これもまた極めて重要なことであると考えております。  今御指摘のように、日本では確定給付型、給付を確定するということでございますが、アメリカの四〇一Kのように給付、拠出を確定して後は運用によってその帰属を決めていくという確定拠出型年金というものは、戦略会議でも御提言がございますが、これは採用すべきものだと私は考えております。  そして、委員から労働力の流動化、中途採用の問題に絡めましてこの問題の御指摘が今ありましたが、確かにこの制度はメリット、デメリットはございますけれども、流動性という問題では、個人が雇用を離れて次の企業に雇用を移すような場合に、その企業年金を持ち越すことも容易に可能でございます。つまり、ポータビリティーがあるということです。  そういうことからいたしまして、私どもは確定拠出年金をぜひ採用したいと思って、今関係省庁の間で、つまり大蔵省、それから厚生、労働、通産省、この四省で協議をしておりまして、概算要求までにはあらあらの骨格を固めた上で概算要求をしたいと。  そして、一番肝心な点は、この拠出、運用、それから給付の段階における税法上の扱いをどうするかということがかなりかぎになりますので、これは税制改正を暮れに控えておりますから、それを経て十二年度中に法案を提出し実現をしたい、このように考えております。 <0113>=岡利定君= 午前の部の最後になると思いますけれども、少子化の関係についてちょっとお伺いいたします。  少子化問題というのは我が国にとって大変深刻かつ解決の難しい問題でございますけれども、総理府の少子化に関する世論調査におきましても七二・一%の人々が関心を持っておるということで、大きな課題だと受けとめられております。この少子化の対応についていろいろと質問を用意いたしたわけでありますが、時間の関係もございますので、一点だけ厚生大臣にお伺いいたしたいのです。  いろんな対策というのが言われております。例えば、子育てを支援する税制を何とかしろとか、公的融資制度の拡大だとか、あるいはまた大学の授業料が大変な負担になっているからこれを軽減してほしいとか、義務教育の前の段階であります保育園、幼稚園の就学前の公的な負担ももう少しふやしてほしいといったようなことなんかの要望がいろいろと出ておるわけでございますけれども、これらを敷衍していきますと、間違いなく到来する少子化社会にあっては、社会あるいは国が子供育ての主役になるということじゃないかと思うわけであります。  育児は親との関係というよりはむしろ社会性を帯びてくるということでありまして、この社会全体による子育てというものについて、厚生大臣の御感想なり御意見はいかがでしょうか。 <0114>=国務大臣(宮下創平君)= 少子化問題につきましては、小渕内閣として、これは高齢化社会への対応とともに、あるいはそれ以上の重要性を感じておりまして、総理からの御指示もございまして、少子化に対する有識者会議で各種の提言をいただいております。また、それに基づきまして閣僚会議も設置いたしまして、この方針をきちっと定めて総合的な対策を講じようということでございます。なお同時に、これも国民的な広がりで理解を求めていくということが必要でございますので、国民会議というのを過般総理御出席のもとに立ち上げさせていただきました。  そんなことでございますが、特に少子化対策といいますと、従来厚生省の保育所がすぐ考えられるわけでありますけれども、もっともっと広範な領域での、職場における、あるいは企業風土、男女共同参画型社会のもとにおける女性のあり方の問題、育児の問題、仕事と育児の両立の関係等々、雇用環境の問題にも影響いたしますし、それから家庭や地域の環境づくりも非常に重要なことでございます。  また、利用者の多様な需要に応じました保育サービスは、これは当然なことで、今回二千億の特別緊急対策事業をお願いしているのもこの趣旨によるものでございます。  なお、教育の問題とかあるいは住宅その他の生活環境の問題、非常に広範な領域を含んでおりますので、年末までに方針を取りまとめて対応を期していきたいと思っておりますが、今、委員のお尋ねの趣旨は、社会的責任で子育てを考えるべきであるというのはまことにそのとおりでございます。子供を育てるのは親の任務であり愛情の表現であると思いますが、同時に、こういう社会の変化に即応して、子育てが本当に働きながらでもできるという状況をつくり出すことは極めて重要なことで、今特殊出生率がもう最低の一・三八人ということになっておりますので、ぜひともこの対策を重視して強化してまいりたい、このように考えております。 <0115>=岡利定君= 午前の部はこの辺で終わらせていただきます。午後は同僚の林委員からまた続けさせていただきます。  ありがとうございました。 <0116>=委員長(竹山裕君)= 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会 <0117>=委員長(竹山裕君)= ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度補正予算二案を一括して議題とし、質疑を行います。  関連質疑を許します。林芳正君。 <0118>=林芳正君= 自民党の林芳正でございます。午前中の岡先生の質疑に関連いたしまして質疑を行ってまいりたいと思います。  岡先生の方から全般的なマクロ経済、また少子化対策につきまして質疑がございましたので、私はもう少し各論に入りまして、先般、自民党の方の行革本部でまとめさせていただきまして政府で御決定いただきました規制緩和計画、また産業再生に絡みまして新規産業の育成、こういうことに絞ってお聞きをしてまいりたいと思っております。  その前に、午前中の同僚の平田先生の御質問の中で、先日の衆議院の方の委員会の石井委員と野中官房長官のやりとりの中でのことに関しまして、私もちょっとぼんやり聞いておったものですから誤った印象を持ったかもしれませんが、閣僚等の立場にあられる方は、今審議中の通信傍受法案が通りますと何でもできるような印象を与えかねないようなやりとりがございましたので、ここで改めまして法務大臣と国家公安委員長からこの件につきましての御見解をいただいたらと思います。 <0119>=国務大臣(陣内孝雄君)= ただいま通信傍受法案についてのお尋ねがございました。  結論から言いますと、閣僚が傍受内容を知るということはできないということでございますが、少し詳しく説明させていただきます。  通信傍受法案に定める通信傍受というのは、具体的な犯罪行為が既に行われたことを前提にしております。その捜査として行うわけでございます。決して、いわゆる情報収集という手段として行うものではないということを一つ確認させていただきます。  また、傍受の対象となる犯罪は、薬物関連犯罪、銃器関連犯罪、集団密航の罪、組織的な殺人の罪、この四種類の犯罪に限定されており、しかも犯罪にかかわる電話番号を令状で特定いたすわけでございます。この電話がその犯罪に使われるということをきちっと電話を特定いたします。また、傍受する場所も特定しますし、そこには第三者の立ち会いも必要とするというようなことで、電話における犯罪の実行に関連する通話等のみが傍受の対象となります。ですから、犯罪と関係のない一般市民の通話が広く傍受されることはありません。  また、傍受の要件につきましても、既に一定の犯罪が行われたことについて十分な嫌疑がある場合に、他の方法によってはこれらの犯罪を解明することが著しく困難である、こういうときに限りまして裁判官が慎重に審査した上で傍受の令状請求について発付をするということになるわけでございまして、そういう令状に基づいて検察官または司法警察員が傍受を行うことができるものとされるわけでございます。その手続は外国に例のない極めて厳格なものでございます。  このような制度のもとにおきましては、捜査機関以外の者が通信傍受を行うことはできません。また、捜査機関に指示して自由にこれを行わせることも、その結果を入手することも断じてあり得ないということでございます。  したがいまして、冒頭申し上げましたように、この法律で通信が傍受、閣僚が聞けるのではないかというようなことにつきましては、この捜査官が閣僚に傍受内容を漏らすようなことは厳格に禁じられておりますので、閣僚が傍受内容を知るということはできないということでございます。 <0120>=国務大臣(野田毅君)= 今、具体的な厳格な要件の内容について法務大臣から御説明がありました。重複は避けたいと思います。  そこで、若干つけ加えさせていただきますと、裁判官に令状を請求いたしますときに、警察としては、県警本部長までの決裁を経た上で請求をするという、極めてその責任体制においても厳格な体制の中で請求を行うということをいたすことにいたしております。  そういう意味で、今お話がありましたとおり、何か閣僚であればだれでも自由に通信傍受ができるかのごとき、それをまた容認するかのごとき法案のようなイメージで語られるということは極めてこれは間違いでありまして、相手構わず自由に傍受できるものではありませんし、官房長官といえどもできるような代物でもないし、今までもやったことはないし、これからもあり得ないということは申し上げておきたいと思います。  ちなみに、先般私は、ニューヨーク市の警察の本部長と会談をしました際、通信傍受は閉鎖的で秘密裏に謀議を行うようなそういう組織犯罪の解明には不可欠である、これがまたニューヨーク市において犯罪が半減したということの大きな背景にあるということを力説されておられたことに強い印象を受けたところでございます。  また、さきに東京で開催されましたマネーロンダリング対策を推進するための金融活動作業部会、FATFですが、この全体会合におきまして、多くの国から、我が国の通信傍受法案を含む組織的犯罪対策三法案が強く支持されて、同部会の総意としてその早期成立について大きな期待が寄せられたと承知をいたしております。  したがいまして、組織的犯罪の問題は我が国の治安にとっても重大な脅威となっておりますので、一日も早い法案の成立を期待いたしております。 <0121>=林芳正君= 両大臣、突然の御質問にもかかわらず明確な御答弁ありがとうございました。  それでは、本題に戻りまして、規制緩和でございますが、まずは総論で総理にお伺いしたいと思うんです。  いろんな規制緩和を進めていく中で、今経企庁だと思いますが、この効果を一応GDPの換算ということでやっておられますが、私は今後は、数字で、GDPで上がってくる以外にも、例えば、いろんな個人がその創意工夫を生かしてできるようになるということ、また多くの方々が事業主に、幾らちっちゃくても自分が社長になっていろんなことをやっていけるようになるといったようなこのフレームワークの魅力、こういったもの、それからもう一つは、よく言われていることでございますが、やはり消費者の皆さんに対して大変な利便がある、私も持っておりますがこういう携帯電話なんかは、五年前に比べますともう本当に隔世の感があるわけでございまして、タイムリーな連絡が可能になって、個々人のライフスタイルの中で時間のむだもなくなってきている、こういうようなところもどんどんとセールスをしていかなければいけない、こういうふうに思うわけでございますが、総理にお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。 <0122>=国務大臣(小渕恵三君)= 御指摘のとおり、規制緩和によるメリット、効果を積極的にかつわかりやすく国民にお示しすることは、規制緩和を推進していく上で極めて重要であると考えております。  経済企画庁におきまして、規制緩和の効果につきまして数量的な分析を行い公表しているほか、総務庁におきましても、規制緩和白書を毎年作成し、規制緩和の効果を、多様で豊かな国民生活の実現、経済の活性化、国際整合化などの実現、国民負担の軽減の四つの観点に分類し、この分類に沿って個別の規制緩和の取り組みによる効果を具体的にお示ししているところでございます。  今後、政府といたしましても、有効かつ適切な周知に努めてまいりたいと答弁申し上げましたが、実は規制緩和白書とかこういうものをたくさん白書の形で出しましても、国民の皆さんはすぐ白書を読んでくれるわけじゃないんです。そこで、実際は、その需要効果、利用者のメリット効果、コストダウン効果というのを具体的にわかりやすくしなきゃならない。わかりやすく説明するのが一番上手なのは堺屋長官でございまして、後ほどしていただきたいと思いますけれども、一番おわかりになるのは今お示しいただいた携帯電話。これはもう時勢といいますか、使ってみて便利だというので、もうこれは説明なしに需要者がこれを利用しているんですね。しかし同時に、説明して、もっと便利になりました、規制緩和によってこれができましたということをもっともっとPRすれば、この効果というものは格段にふえるんだろうと思います。  という意味で、御指摘をいただきましたので工夫させていただきますと同時に、アカウンタビリティー、よく説明することを我々も率先してやらなきゃならぬかと思いますけれども、この点は経企庁長官が一番よくおわかりになっておりますので、ちょっと国民の皆さんにも、どういう効果がありというような説明をしましたが、どのくらいの数字が出ておるかということをちょっとお知らせ申し上げさせていただきたいと思います。 <0123>=国務大臣(堺屋太一君)= 経済企画庁では規制緩和の効果を、需要効果、利用者メリット効果、コストダウン効果等々に分けまして出しておりますが、需要効果としては年平均八・二兆円とか、利用者メリット効果は六兆六千億円とか、そういう数字を出しております。  これは、それぞれの経済がもし規制緩和をしていなかったらという前提で出しておりますけれども、そのほかに生活の利便性、それから自由な振る舞い、今、委員から携帯電話の例がございましたけれども、同じようなことは、例えば三階建ての木造が許されたこととか、あるいは発電の売電が許されていろんなところで企業が発電をし出したというようなこともございます。さらに大きいことは、やはりそういうものを利用して事業ができるし生活ができるし、考え方が広がってくるということが重要だと思います。  それで、この前、経済審議会で答申していただきました二〇一〇年のあるべき姿の中でも、これからは正義というものの中に効率と平等と安全に続いて自由というものが入ってくるだろうと。自由に暮らせる、自由に選べる、そのことによって、コストが下がるだけではなしに、国民生活が豊かになる、そのことがまた高齢化社会にも女性の社会的進出にも非常に効果が出るだろう、皆さんに自由に考える習慣をつけていただくのがいいのではないかということを述べております。 <0124>=林芳正君= 大変わかりやすい御説明をいただきまして、ありがとうございました。総理の御答弁も大変わかりやすく聞かせていただきました。  そこで、少し各論に入らせていただきたいと思うんです。  今回まとめさせていただきました中には、少子化対策という意味も込めまして保育の分野を重点的に取り上げさせていただいております。まず厚生大臣に、今合計特殊出生率が落ちてきたという話でございますが、これは結婚が晩婚化しているということと、それから結婚しているカップルの子供の数が余りふえないということがございますが、結婚しているカップルの子供の数がふえないということの理由を厚生省でどのようにとらえておられるか、まずお聞きしたいと思います。 <0125>=国務大臣(宮下創平君)= 我が国におきまして少子化の問題が非常に大きな問題になっておりますが、この進行の主たる原因は、今御指摘の晩婚化の進行、そしてまた、それと関連がございますが、未婚率の上昇ということがございます。そして、その背景といたしましては、今までの固定的な男女の役割分業、あるいは雇用慣行のもとでの結婚や育児に対する負担感が極めて高いということ、それから結婚観とか価値観の変化などが指摘されております。  一方、夫婦の子供数の状況について見ますと、夫婦の平均出生数は、出生率が低下いたしました四十年代後半以降、平均二・二人くらいで推移してきておりますが、しかし、ごく最近の状況を調べますと、なお結婚年別の累積の出生児数の推移は下がる傾向にございますから、今まではちょっと安定的に二・二人くらいで推移してまいりましたが、安心できない状況だと私どもは思っております。  そして、子供を持っていない夫婦に対する調査につきましては、平成九年の国立社会保障・人口問題研究所の調査によりますと、子供を持たない若い女性は子供を持つに当たってどういう感じを持っているかと申しますと、子育てに理解のある職場環境の整備が必要であるとか、保育所の充実であるとか、こういった点の御指摘と、それから仕事と育児の両立に対する支援を特に望んでいるということが報告されております。  したがって、職場や地域における子育てへの支援が極めて重要なことではないかと思っておりますが、今後、家庭や子育てに夢を持てるような環境を整備することが社会全体として重要な課題であると認識しておりまして、小渕内閣におきましても、少子化対策を最大の課題であるとして、閣僚会議を設置し、国民会議も立ち上げ、そしてその対策の取りまとめに取り組まさせていただいているところでございます。 <0126>=林芳正君= 今、大臣から御答弁いただきましたように、少子化対策というのは、多分、うちに入って子供を育てるか、結婚しないでキャリアを追求するか、この二者択一ではなくて、両方できるという環境を整備することが大変大切だろうと思うわけでございます。  そういう意味で、今、大臣からも御指摘がありました働く意欲のある皆さんがもっと働けるように、待機児童、都会ではたくさんいると言われていますが、延長保育や育児に知識、経験を有する女性たちのポテンシャルを生かすべく、保育園との連携のもとでホーム保育、これは今までいわゆる保育ママとも言われておりましたが、厚生省のポスターにも最近は男性も育児をしろということでございますから、改めてホーム保育と私は呼ばせていただきたいと思うんですが、これに対する支援を決定していただいたと思ってございますが、これはどのぐらいの規模でどういうスケジュールで実施に移されていくのか、お伺いしたいと思います。 <0127>=国務大臣(宮下創平君)= 御指摘のホーム保育は、林委員が党におきまして少子化問題の取りまとめに当たられた際に非常に中心になって取り運びをされたということで、その視点につきまして敬意を表するところでございます。  ホーム保育というのは、保育者の自宅におきまして家庭的な雰囲気の中で低年齢児を預かる形態の保育サービスであるというふうに解しておりますが、今までこれは補助対象等ではやっておりません。市町村の単独事業等でやっておりましたが、この制度を今回の補正予算において措置することにいたしました。  この制度は、家庭的な雰囲気の中で主として低年齢児の保育を行うといった、施設での保育サービスにない特色を持っているという点が最大の特色でございます。そしてまた、施設整備を特に必要としないということから、保育所の入所待機児童の緊急かつ一時的な受け皿としては極めて適切なものではないかと考えております。  ただいま申しましたように、このホーム保育の育成事業も今回の二千億の中でメニューとして御提示願えれば、これを交付金の対象にしていきたいというように考えております。 <0128>=林芳正君= ありがとうございました。  国が今回初めて支援事業として認めるということで、画期的なことではないかというふうに思っております。  もう一つ保育所の関係で、今、原則認可保育所の保育時間が八時間というふうになっておるものですから、どうしても預けてから職場へ行かれて、そして職場を退出されてからまた引き取りに行く、全部で八時間でございますので、実際に働ける時間というのはこれより短くなってしまうわけでございます。今回、保育所における保育時間の弾力化や保育時間の延長を図っていただけるという方向になっておると伺っておりますが、こういうことによってもう少し普通の職務形態にどんどん女性の方が出ていっていただけるということになると思うわけでございますが、この面の規制緩和について、大臣にお伺いしたいと思います。 <0129>=国務大臣(宮下創平君)= 保育所につきましては、基本的には今、委員のおっしゃられたように八時間等でございますが、十一時間まで開所できるように予算措置としては行っておるところでございます。そして、十一時間を超える場合には延長保育の促進事業ということで、需要に応じまして一時間単位、二時間単位あるいは四時間、六時間の延長が可能なような状況にいたしておるところでございます。開所時間につきましても、それぞれのお勤めの関係等もございますでしょう、そういったことを考慮いたしまして、平成十年度からは利用者の需要を踏まえまして各保育所が自由に開設できるというようにしたところでございます。  また、延長保育促進事業につきましては、今までは市町村の委託事業という形をとっておりましたが、今度保育所が主体的に行える自主事業にするということで見直しを行います。利用児童数が五人以下の場合でも補助対象とするなど、実施要件の見直しに努めたところでございまして、今後ともこの実情に応じた対応ができるようにしていきたい、こう思っております。 <0130>=林芳正君= ありがとうございました。  今、保育の規制緩和をお伺いしたわけでございますが、なかなかどうしても赤ちゃんの場合は保育所にも預けられない、自分のうちで子供を見ながら仕事をするというようなライフスタイルということも言われております。いわゆるSOHO、スモールオフィス・ホームオフィスというふうなことを言っておりますけれども、いわゆる在宅での仕事を支援するためには、今度は郵政大臣にお伺いしたいんですが、今インターネットの接続料金、かけっ放しにしておきますとどんどん電話料金が上がりますから、例えば月幾らだと定額にしていただければ、どんどんとこういうライフスタイルも促進できるんではないか、また、先ほど午前中のやりとりでもあったように、インターネットの接続がますますふえるのではないかと思っております。  このことについて、今どの辺まで進んでおるか、郵政大臣にお伺いしたいと思います。 <0131>=国務大臣(野田聖子君)= 最近、政府の中でさまざまな会議が行われておりまして、そこで近未来、または中長期的な日本の姿、経済の再生に向けてどう取り組むべきかという話が出てくるわけですが、必ず登場してくるのが情報通信産業をやはり伸ばしていくことなんだと。例えば、今インターネットの話がありましたけれども、恐らく二十一世紀は、日本はもちろんのことですけれども、世界においてインターネットという新しい通信手段が経済の面においても、または文化、さらには教育の面においても主流になってくるだろうと。現在、それに向けて世界各国、欧米はもちろん、アジア諸国も国を挙げて取り組んでいて、日本は遅いじゃないかと、そういう御指摘があったところでございます。  現在、日本の場合、インターネットユーザー、接続したことがあるというふうに言われているのは十人に一人、または千七百万人と言われているわけで、先般の「あるべき姿」の中に、十年後の日本ではインターネット接続が今の千七百万人から四千五百万人ぐらいになっているだろう、そういうもとで新しいビジネス、新しい教育、新しい社会福祉とか、さらには公共のさまざまな手続ができてくるだろうということが予想されています。  ただし、そこまでに至るに、今の阻害要因というのを排除していかなきゃいけない。大きく分けて三つ挙げられると思うんです。一つが今の通信料金の問題。二つ目が容量の問題。まだまだ遅いとか、なかなか大容量のものが送れないとか。そして三番目には安全性。これは二つあって、本当に信用できるかどうかというのと、また子供たちに見せられるかどうかとか、そんなような安全性も含まれると思います。こういうものをやはり早急にクリアすることが大切で、特に一番今問題になっているのがこの料金であります。  現実問題、やはり高ければ家庭においても事業所においても取り入れることができない。その改善の一つとして、今、先生御指摘があった定額制という料金体系の導入なんですが、去年あたりから郵政省も積極的にその定額制、今までの電話の料金体系じゃなくて、インターネットという基本的につなぎっ放しの通信の道具に対する新しい料金体系をつくっていかなきゃいけないということを各事業者の方にお願いしてきたところでございます。  そういういろいろな議論があった結果、七月十三日の政府の産業構造転換・雇用対策本部においても、やはり国としても今年度中の実施を目途に定額制の導入を促進するということをお答えとしていただいたところです。  現在の定額制はどうなっているかということなんですが、一部のCATV事業者がインターネット接続の事業を開始されていて、そこでは定額制が導入されているけれども、これはもう大変小さな小さなエリアになっているわけであります。そういうことで、NTTの方に郵政省からも要請しまして、NTTでも最近、定額制の導入について積極的に取り組むというふうな御発言があったところで、とりあえずISDN回線を利用した定額料金制の導入について検討していただいているところでございます。  郵政省としては、インターネットの単なるファンをふやすだけではなく、今おっしゃったような、インターネットが広がることによって、例えば通勤できない女性がインターネットの接続によって在宅で仕事ができるという可能性を生むという大きな道具であるわけですから、そういうことも含めて、家庭内で使いやすいリーズナブルな通信料金というものを、やはり事業者の方にこれからも積極的にお願いしていきたい、そういうスタンスでいるところでございます。 <0132>=林芳正君= ありがとうございました。  定額制と先ほどのホーム保育をつなげますと、女性がうちにいたままで五人ぐらいでインターネットで働きながらお互いに子供を預け合い、助け合いながらというイメージも浮かんでくるわけでございます。  そこで、少しほかの各論でございますが、建設大臣にちょっとお伺いしたいのでございます。  今度ITS、高度道路交通システムということをおやりになる。渋滞情報とか料金所の自動化、いろんなことを計画されておられるようでございますが、これをぜひ民活に生かしていただきたいというふうに思うわけでございます。いろんな混雑する情報を民間に出すということで、今、車にはナビがつくようになりましたけれども、ここに、どこの道を通ったら今込んでおります、だからこっちの道を行きましょうというのも新しい技術でできるようになっておりまして、かなりこの分野は伸びるのではないかと私も思っておるところでございます。