第145回国会 法務委員会 第18号 1999年07月01日       (1999年08月18日 08:00 登録) 平成十一年七月一日(木曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員の異動  六月三十日     辞任         補欠選任      長谷川道郎君     阿南 一成君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         荒木 清寛君     理 事                 鈴木 正孝君                 服部三男雄君                 円 より子君                 大森 礼子君                 平野 貞夫君     委 員                 阿南 一成君                 阿部 正俊君                 井上  裕君                 世耕 弘成君                 竹山  裕君                 仲道 俊哉君                 海野  徹君                 小川 敏夫君                 千葉 景子君                 角田 義一君                 橋本  敦君                 福島 瑞穂君                 中村 敦夫君    衆議院議員        修正案提出者   笹川  堯君        修正案提出者   山本 有二君        修正案提出者   上田  勇君        修正案提出者   漆原 良夫君        修正案提出者   達増 拓也君    国務大臣        法務大臣     陣内 孝雄君    政府委員        内閣法制局第二        部長       宮崎 礼壹君        警察庁長官    関口 祐弘君        警察庁生活安全        局長       小林 奉文君        警察庁刑事局長  林  則清君        警察庁警備局長  金重 凱之君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        国税庁課税部長  森田 好則君        郵政省郵務局長  濱田 弘二君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   浜野  惺君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 恒男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関  する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百  四十五回国会衆議院送付) ○犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案(第  百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆  議院送付) ○刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百四十  二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送  付)     ───────────── <0001>=委員長(荒木清寛君)= ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  昨六月三十日、長谷川道郎君が委員を辞任され、その補欠として阿南一成君が選任されました。     ───────────── <0002>=委員長(荒木清寛君)= 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 <0003>=角田義一君= おはようございます。  去る六月二十四日に、皆さん御案内だと思いますが、日比谷の野音に約八千人の市民が集まった。市民団体主催で、この通信傍受法、世間様では盗聴法と言っておりますが、これに反対をする大集会が開かれた。そこに私どもの菅代表も出席をし、さらには共産党の不破委員長、社民党の土井党首、三党の党首が期せずしてそこに並んでこの法案の危険性を強く訴えた。  こういうことは近来には考えられない、私はある意味ではまことに異例のことだと思いますが、それだけにこの法案に対して我々野党、そしてまた多くの市民が非常に状況を憂えているということだと思うんです。この時代に市民が八千人も集まるというようなことは余り今までなかったことでありまして、こういう国会外における国民の不安なり反対運動なりというようなものをやはり審議する法務大臣としては心にとめておかなくてはいけないんじゃないか、そんなものは無視すればいいんだということに私はならないと思うんです。  そういうものにも率直に耳を傾ける、なぜそういう事態が起きるのか、こういう立場に立って、立場を変えながらも、そこに配慮もしながら審議を進めていく、それがやはり法務大臣、政治家の務めじゃないかというふうに私は思うのでございますが、まず大臣のお考えを承りたい。 <0004>=国務大臣(陣内孝雄君)= この法律案につきまして、今委員がおっしゃいましたように、種々のお立場から御議論があることは十分承知いたしております。  しかし、犯罪捜査のための通信傍受の導入というのは、通信の秘密の重要性に十分に配慮した上で、組織的犯罪の全容を把握し、首謀者を含めて犯人を検挙し、事案の真相を解明するなど、これに適切に対応していくために不可欠な法整備を行おうとするものでございます。したがいまして、できる限り早期に、大方の御理解を得て、この法整備を実現させていただきたいとお願いしたいところでございます。 <0005>=角田義一君= ちょっと法務大臣、それでは通り一遍の御答弁のように私は思います。やはり、反対者がなぜ反対をしているのかというところに心を砕くという姿勢が基本的になければいけないんじゃないかと私は思うんですが、どうですか。 <0006>=国務大臣(陣内孝雄君)= ただいま御答弁申し上げましたように、この必要性、重要性、そしてまた一番大事な通信の秘密を最大限に尊重していくというところを十分御理解いただくように必要な審議をお願いしたいと思っております。 <0007>=角田義一君= 理事会のお許しをいただきまして、先生方のお手元と政府側にもお配りをいたしておりますが、ちょっと目を通してほしいのですけれども、「盗聴法案(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案)に反対する法学者の声明」というのがございます。  これはことしの六月二十八日に発せられたものでありますが、世話人にはなかなかそうそうたる学者先生が並んでおられますし、この法学者声明、有志ということで四百五十名ということでございます。  ざっと目を通していただきますと、これは全国の法学関係のすべての大学からしかるべき先生方が憂えてこの声明に賛同されているということであります。法学者が四百五十名、こういう形で連署して声明を出す。承りますと、委員長さんのところにも要請があったというふうに聞いておりますが、それはさておきまして、この法学者の声明は三つのことを言っておると思います。  余り長いものじゃありませんから、ちょっと読みますけれども、「現在参議院で審議中の盗聴法案は、」「憲法上の本質的疑念を払拭するものとはなっていない。それどころか、この盗聴法案は、令状記載の犯罪との関連性のない通信を盗聴する予備的盗聴や別件盗聴、さらには犯罪発生前の事前盗聴を正面から容認することによって、盗聴が本質的に抱える対象通信の無限定性をいっそう拡大している。」、これが一つ。  それから、この「法案は、憲法に違反する疑いの極めて強い」、それから「盗聴対象の無限定性の故に、広く国民のプライバシーや通信の秘密を侵害し、表現の自由を萎縮させる効果をもたらす。衆議院の審議の過程で、対象犯罪を減らし、手続的規制を若干強めるなどの修正が行われたが、これらは弥縫策的な部分的修正にすぎず、盗聴法案の違憲性と危険性をいささかも解消するものではない。」、これが二番目。  さらに、「日本が諸外国とは異なり、これまで盗聴を認めてはこなかったのは、」、ここからが大事です、「戦前・戦中における捜査官憲による深刻な基本的人権の侵害に対する深い反省の上に立つものであり、極めて賢明な判断であった。通信手段が高度に発展し市民生活に広く根ざしている現在、この判断はいっそう尊重されなければならない。もし盗聴法案が成立することになれば、捜査実務および令状実務の現状からみて深刻な人権侵害が生ずることは必至であり、市民社会に深刻な影響を与えることになるからである。 以上の見地から、私たち法学者は、このような盗聴法案に対して強い反対の意思を表明する。」。  こういうふうに、三点に要約して法学者の皆さんが反対声明を出しているわけです。  私は、この法学者の方々の基本的な理念、これはやはりそれなりのきちっとした立派な理由があるだろう、合理的な理由があるだろうと思っているんですが、まず大臣、この法学者の声明、今ちょっと私は肝心なところだけ読みましたけれども、率直な御感想をお聞かせいただきたいと思います。 <0008>=国務大臣(陣内孝雄君)= 最近の新聞で報道されている世論調査の結果等によりますと、本法律案に反対の世論が特に多いというふうには私は認識しておりません。また、反対の意見の中で犯罪と関係のない一般市民の通信も傍受されるおそれがあるとの理由を挙げる者が多数を占めるなど、この制度が十分に理解されていない面があるものと考えられます。この点について理解が得られればさらに多くの世論の賛成を得られるものではないか、このように考えております。 <0009>=角田義一君= 大臣、この声明は三点にわたって問題点を指摘しているんですね。例えば三番です。戦前のいわば官憲の人権抑圧というようなことからして非常に問題があるんじゃないか。そして、こういういわば盗聴制度というふうなことがもし認められたとすると、市民の自由な対話、通信、こういうものが阻害され、いつ自分たちの平穏な対話というものが侵害されるのか、非常に閉塞した、極端なことをちょっと言いますと非常に息苦しい、もっと強いことを表現すれば窒息しそうな社会になるのではないのかという疑問を持つ人がいても、それを私は非難することはできないと思うんです。  そういうことがない、そんなことは絶対ないんだ、あり得ないんだというふうに大臣はここで言い切れますか。どうなんですか。そこが私は大きな問題だと思うんですよ。 <0010>=国務大臣(陣内孝雄君)= 憲法の第二十一条の二項には、通信の秘密を保障しております。これについては最大限尊重すべきものであるということは申し上げるまでもございません。しかし、憲法が保障する各種の基本的人権につきましては、それぞれに関する条文が制限の可能性を明示していると否とにかかわらず、憲法第十二条、第十三条の規定からいたしましてその乱用が禁止され公共の福祉の制限のもとに立つものであり、絶対無制限のものではないというふうに最高裁の判例においても明らかにしているところでございます。  したがいまして、通信の秘密の保障も犯罪の捜査という公共の福祉の要請に基づき必要最小限の範囲でその制限が許されるべきものと考えております。  今、委員御指摘のような過去の歴史を踏まえて、このようなことを十分配慮しながら、尊重しながら取り組んでいかなければならないと思っております。 <0011>=角田義一君= 大臣の概括的な答弁があったけれども、実務を担当する刑事局長どうですか。もうちょっと詳しく法律的なものも含めて答弁を。三点にわたって書いてあるから。 <0012>=政府委員(松尾邦弘君)= まず憲法の問題でございますが、これはただいま大臣からもお答えいたしましたが、種々の観点から検討いたしましても憲法の保障する通信の秘密を侵害するものではないというふうに考えております。  それから、市民生活に対して深刻な影響を与えないか、あるいは不安を与えないかということでございますが、今回の組織犯罪対策三法、通信傍受も含めまして、基本的には現在の日本の治安を守り、ひいては市民生活を守るために必要最低限度の刑事訴訟法上の改正をして、新しい捜査手法を導入するというものでございますので、市民生活を抑圧するものではないということをまず御理解いただきたいと思います。  それから、確かにいろいろな御議論がありまして、例えば一般の市民の電話も傍受されるのではないかというような不安感が一部にあるということはいろんな議論を拝聴する中で承知しているところでございますが、ただいま大臣からも申し上げましたとおり、この法案を正確に御理解いただければそうした不安は払拭されるものと我々は確信している次第でございます。 <0013>=角田義一君= 確かに憲法で言っている基本的人権というものは法文上は一般的に公共の福祉によって制約をされるということになっていますが、しかし、基本的人権の中でやっぱり差があると思うんです。  条文のつくりを見れば、通信の秘密のところについては公共の福祉というような文章は入っていない。公共の福祉という文章が入っている条文もあるし、公共の福祉云々という制約がない条文もあるということを考えますと、通信の秘密というのは憲法上はやや絶対に近い保障を私は予定しているだろうと思います。そして、そのごく例外は、御承知のとおり犯罪による郵便物の差し押さえだとか、あるいはこれはいろいろ議論があるんだけれども、受刑者が発する信書についての検閲がある。これらももうちょっと緩やかにした方がいいんじゃないかという議論もありますけれども、本当にごく限られたものしかこの通信の秘密を制約していないわけで、圧倒的にはこれは自由を保障する、こういう形で私は憲法は予定していると思うんです。  二十一条、表現の自由自体には公共の福祉云々ということはないということの意味、私はこの憲法の体裁というようなものも非常に大事だと思うんですよ、憲法を解釈する上で。どう思いますか。 <0014>=政府委員(松尾邦弘君)= ただいま委員御指摘のとおり、憲法の明文の規定はまさに先生おっしゃるとおりでございます。  ただ、その点について過去にもそうした根拠を挙げましてそれぞれの基本的人権の保障の質的な差異を議論した論議も当然ございました。ただ、それにつきましては最高裁判所の判例によりましても、憲法が保障する各種の基本的人権は、それぞれに関する条文が制限の可能性を明示していると否とにかかわりなく、憲法第十二条、第十三条の規定からしてその乱用が禁止され公共の福祉の制限のもとに立つものであって、絶対無制限のものではないということを最高裁の判例も言っておりまして、そうしたことからも、制限の明示の有無等にかかわりなく、やはり無制限なものではなく一定の制約を受けるものであるということは確定した判例であると我々は理解している次第でございます。 <0015>=角田義一君= 今あなたが言う確定した判例にしろ、具体的にこの法案の中でどういう一つの制限、制約、調和というものが図られるかということがまさにこの審議の場であるわけであります。それを我々とすればここが問題じゃないかというようなことを順次私どもの同僚が指摘をしてまいると思います。  そこで、若干具体論にこれから入ってまいりますけれども、恐縮ですが、この通信傍受法の五条二項をちょっと読んでみていただいて御説明をいただきたいと思うんです。 <0016>=政府委員(松尾邦弘君)= 五条の二項だけでよろしゅうございますか。  この第五条は、傍受令状の発付に関する規定でございます。その第二項ですが、「裁判官は、傍受令状を発する場合において、傍受の実施」、これは括弧書きがあります、「(通信の傍受をすること及び通信手段について直ちに傍受をすることができる状態で通信の状況を監視することをいう。以下同じ。)」とあります。「傍受の実施に関し、適当と認める条件を付することができる。」、こういう規定になっております。 <0017>=角田義一君= そこで、私が非常に気になっておりますのは、裁判官は傍受令状を発する場合に、あなた方は令状であるから心配ない心配ないとおっしゃるんだから申し上げますが、「裁判官は、傍受令状を発する場合において、傍受の実施に関し、」と書いてある。その実施に関しての中が問題なんですね。この中に書いてある文章というのは具体的に何を指すんですか。どういうことを言っているんですか。 <0018>=政府委員(松尾邦弘君)= 御質問の御趣旨を必ずしも理解していないかもしれませんが、これは、裁判官は傍受令状を発する場合におきまして、その傍受令状の申請を具体的に詳細に検討するということになります。  それで、例えば傍受の場所ということでございますと、それを傍受するのに最適な場所ということでその場所を指定する。それから、請求する方ももちろん、例えば通常の電話でありますとNTTの交換設備がある場所という形で特定して請求をするということになります。そういった一番適当な場所でない請求が来た場合には、場所を変えさせるなりなんなりということが裁判官の判断で当然あるわけでございます。そうしたことをこの条文では「適当と認める条件」という中に含ましめております。  そのほか、何らかの形で裁判官が条件を付した方がいいなということでございますれば、それはそういう条件が付される。具体例を申し上げますと、傍受令状の請求につきまして、例えば二十四時間傍受をしたいということを仮に請求書の中で書いてあったとしましても、裁判官がこれは時間を制限した方がいいというふうに判断される場合には、例えば午後一時から夜の十時とか、適当なそういう時間的な条件も裁判官の判断によって付することができるということで、それを総称して「適当と認める条件」というふうに記載しているということでございます。 <0019>=角田義一君= わかりました。  ちょっと私の質問が悪かったのかもしれない。  私が聞きたいのは、「傍受の実施」で括弧してこうなっているでしょう。この括弧内が問題なのです。「傍受の実施」とは「通信の傍受をすること」、これはだれが見てもわかる。通信の傍受をする。  次に、「通信手段について直ちに傍受をすることができる状態で通信の状況を監視することをいう。」というんです。この「通信の状況を監視する」というのは一体どういう意味なんですか。 <0020>=政府委員(松尾邦弘君)= 括弧内のことについて御説明申し上げますと、「傍受の実施」というのは「通信の傍受をすること及び通信手段について直ちに傍受をすることができる状態で通信の状況を監視することをいう。」ということですが、このうち「通信の傍受」については、第二条二項に定義規定を設けております。  二条の二項をごらんいただきますと、「この法律において「傍受」とは、現に行われている他人間の通信について、その内容を知るため、当該通信の当事者のいずれの同意も得ないで、これを受けることをいう。」と、この定義はこのとおりでございます。  さらに、「通信手段について直ちに傍受をすることができる状態で通信の状況を監視すること」、こういう表現がございますが、これは対象とする特定の通信手段を用いて通信が行われた場合には、直ちに傍受をすることができるよう必要な機器の準備等をした上で通信が行われるか否かを見守ることを言います。  具体的には、電話でありますと、例えば交換機のところで対象とする特定の回線に傍受に必要な機器を接続し、発信あるいは着信があったら直ちに傍受することができる状態で通話が行われるか否かを見守ることというふうに理解されておるところでございます。 <0021>=角田義一君= いろいろこれも解釈する人がいて、これは国会ですから、国会における政府側の答弁というのはうんと重いと思う。  この「通信の状況を監視する」ということは、いいですか、通信の中身を聞く、聞くこともできる。したがって、この条文によって、要するに犯罪と関係のない、さらにさっき言った学者が言っている無限定性ですよ、無限定の通信が傍受されるのではないかという疑問を持つ人がたくさんいるんですよ。いいとか悪いとかじゃないですよ、現にそういう解釈をしている学者もいるんだから。  だから、公権力の解釈としてここのところの「通信の状況を監視」という意味はどういうものであるかという確定した解釈をしないと、先ほど学者さんが言っている、まさにこの中に何でも聞けるのではないか、まさに無限定性があるのではないか、こういうことを疑問に持つわけだから、これは局長ははっきり答えなきゃいかぬのです。どうですか。 <0022>=政府委員(松尾邦弘君)= 通信傍受に関する今回の法案でございますが、これが具体的にどういう状況でどういった通信についてどういう条件のもとで傍受するかということは、この法案全体をまず御理解していただく中で十分に特定されていると私は思います。  先生御指摘の、この条文のこの文言そのものということになりますと、抽象的な表現等でもございますのでいろいろな解釈が生まれる余地がありますが、そのほかの条文等を総合的にお考えいただきますと、今申し上げたような理解であるということは明白であるというふうに考えております。 <0023>=角田義一君= じゃ、その今言ったことを、くどいようだけれどももう一遍言ってください。これ、国会であなたが答弁することはうんと大事なことだから、もう一遍ちょっと言ってみてください。 <0024>=政府委員(松尾邦弘君)= 先ほど五条の第二項の「傍受の実施」というところの括弧書きのところを読ませていただきました。そこの中で、先生御指摘の「通信の状況を監視することをいう。」ということは、先ほど御説明したとおりの状況です。それをもって直ちに、通信全体を無限定に傍受するという可能性を秘めている、あるいはそういうふうに理解されるんだという理解は、私は間違っているというふうに申し上げた次第でございます。 <0025>=角田義一君= そうすると、これははっきりそれはあり得ないんだ、ないんだというふうに聞いてよろしいですな。これは何度も念を押すんですよ、大事なことだから。もう一遍。 <0026>=政府委員(松尾邦弘君)= 通信一般を無限定に傍受することをこの第五条の第二項で認めているということではございません。それは明らかでございます。 <0027>=角田義一君= それから、その中で今度は、「適当と認める条件を付することができる。」と書いてありますね、裁判官が。そうすると、先ほどあなた、二十四時間、それは無理だよ、二十四時間ぶっ続けにやっちゃいけないよと。今日までの幾つかの判例は、御承知のとおり、時間についてはかなり厳しく二時間とか三時間とかやっています。  それからもう一つ、切断権を与えています、立会人に。いいですか、この条文は、裁判官が令状を発するときに、今までの判例と同じように切断権を与えるということを予想しているんですか。そういうふうに解釈してはいけないんですか。裁判官によっては立会人に切断権を与えるんだ、そういう条件をつけても構わない、こういうふうに読んでよろしいかどうか。 <0028>=政府委員(松尾邦弘君)= まず第一に、条件を付することができるということの条件でございますが、先ほど例として挙げました、例えば時間の制限と考えられるところでございます。  ただいま御質問の第二点でございますが、切断権を付与することはこの条件として想定されているのかということでございますが、結論は、立会人に傍受が令状に従って行われているかどうかという確認等の役割を与えるにとどめまして、立会人に切断権や通信内容の傍受を認める条件は付することができないということでございます。  これは、本法案におきましては立会人が通信の内容を聞くことは予定しておりません。すなわち、捜査のために傍受している通信の内容を第三者である立会人が聞くこと自体プライバシーの侵害に当たるものであるということを考慮いたしまして、本法案においては、傍受の実施の適正確保のための処置としては、捜査官が傍受した通信はすべて記録する、その上で立会人が封印をしまして裁判官が保管するということにしまして、捜査機関がどのように通信傍受を実施したかということを後から確実にチェックできるという仕組みを定める一方、立会人には傍受が令状に従って行われているかどうかの確認等の役割を与えるにとどめまして、切断権や通信内容の傍受を認める条件を付することができないというふうにしております。 <0029>=角田義一君= それはおかしいじゃないか。裁判官は三権分立で独立しているんだから、それに対して法の解釈を国会がやったって、それは裁判は裁判でしょう、国会のあれに従属させられないでしょう。もし、裁判官が仮に今までの判例に従って切断権を与えるべきだと、それは苦労してやってきたんだから、今まで判例が積み重なってきたんだから、知恵でやってきたわけですよ。やっぱり切断権を与えると困るということになるんですか。与えてもらっちゃ困ると、そこまで裁判官を制約するの。 <0030>=政府委員(松尾邦弘君)= 先生のお考えもある意味ではもっともなところがございますが、その前に、裁判官といえども法律に従って通信傍受の令状についての条件等を付することが当然その義務としてございます。したがって、この法律では今申し上げましたように立会人には切断権あるいは通信の内容そのものを傍受するということまでは認めていないわけでございます。  それは、この法律を組み立てる際に、先ほども申し上げましたが、立会人につきましては、例えばその内容を全部傍受することが適当かどうか、あるいは切断権を与えることが適当かどうか、いろいろな形で議論をいたしました。その結論として、立会人にはそこまで認めるべきではないということになりまして、法律でそのような仕組みをつくっているわけでございます。  したがって、そうした法律の仕組みに反して裁判官が切断権を与え、あるいは内容を傍受するという権限まで立会人に条件として付することはできないということでございます。 <0031>=角田義一君= まず、二つ私は問題にしたいんです。  立法をする際に、現場で苦労してきた一つの判例、慣行、現場の裁判官の苦労、そういうものを無視して、そんなものはほうり投げて立法をやってしまう。それも私に言わせれば、あなた方は切断権なんかない方がいいと言っているかもしれないけれども、切断権があった方がいいと思っている人もいるわけだし、そして切断権を与えるべきだと思っている人もいるし、現に裁判官は今まで与えてきたわけです。それを全面的に排除するということが立法作業として果たして妥当なのかどうかという評価を受けますよということが一つ。  それともう一つは、「適当と認める条件」と書いてあるが、ただし切断権は認めない、こうしなきゃ裁判官の中には私は出す裁判官が出ると思う。もっと厳格に解釈すればいいんだから、人権を守るためには。だったら、適当な条件というのは時間だけで切断権というのは一切認めない、これはちゃんと括弧して、ただし切断権は認めないとするのが丁寧というか、私は反対だけれども、どうなんですか、そこまでやらなかったら、あなた、これは解釈を押しつけることになるじゃないですか。 <0032>=政府委員(松尾邦弘君)= 先ほども御説明申し上げましたが、この法案の通信傍受に関して立会人にいかなることをしていただくのか、いかなる権限を認めるかということは、法制審議会等の論議、また立案の過程でのさまざまな論議でも確かに重要なポイントでございました。  ただ、先生御指摘のように、確かに検証令状で通信傍受を認めたケースが五件ございます。その中では、裁判所の付しました条件に立会人にも傍受させる、それから立会人に切断権を与える、五件のうち三例でございますが、切断権も与えているということでございました。  そうした判例あるいは実例の積み重ねということも確かに重要でございます。それも当然論議のときには十分慎重に検討されました。ただ一方で、そうした検証による通信傍受ということにつきましても、その権利保護の規定が明文でございませんので、この検証令状で通信傍受を広げていくのは果たしていかがなものかというまた強い批判も一方でございました。  そうしたことから、通信傍受というある意味では憲法に規定する非常に重要な国民の権利を制約する事項につきましては、法律で明文を置くべきだというような論議もその当時からあったわけでございます。  先生御指摘のように、傍受を立会人にも認めるべきだという議論も当然あったわけでございますが、先ほどから申し述べておりますように、この通信傍受の適正執行の担保というのは、この法案全体の中をごらんいただきますとさまざまな工夫がなされておりまして、立会人が傍受できないとその適正が担保されないということには直ちにならないわけでございます。  また、傍受することによるマイナスは、先ほども申し上げました通信当事者のむしろプライバシーの侵害にもなるのではないかということとか、またもう一点新しく申し上げますと、例えば立会人に傍受をした上で切断する決断をしてもらわなきゃいかぬことになりますが、そのような重い責任を果たすのは妥当かどうか、あるいはその決断がそもそもできるのかどうかという問題が十分論議されたことでございます。  通信傍受は捜査の非常に重要な段階、ある程度の捜査が積み上がりまして、核心の部分に近づいた段階でなされるものでございます。したがって、かかってきた通話が犯罪に直接関係するのかしないのかというのは、それまでの長い積み重ねの捜査の状況を全部把握しないとなかなか決断できるものではございません。  したがって、それに従事してきた捜査官がそれを判断するということが適当だろう、立会人にそのような重い負担を負わせることは現実に大き過ぎますし、また切るか切らないかの決断もなかなかしにくいということもありますので、立会人には傍受をさせない、切断権を与えない、そのほかの方法で適正の担保をしていくということが適当であろうということでこの法案全体が組み立てられている点をぜひ御理解いただきたいと思っています。 <0033>=角田義一君= 局長、これだけ私は議論をしているわけにはいかないので、今いろいろ問題点が出ましたから、後また同僚議員がこれを尋ねられていくと思います。これは非常に大きな問題なんです。  そこで、次に聞きますが、法律の十一条の協力義務の趣旨を説明してくれませんか。 <0034>=政府委員(松尾邦弘君)= 第十一条、これは通信事業者等の協力義務の規定でございます。条文そのものを読み上げますと、「検察官又は司法警察員は、通信事業者等に対して、傍受の実施に関し、傍受のための機器の接続その他の必要な協力を求めることができる。この場合においては、通信事業者等は、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。」、こういう規定でございます。 <0035>=角田義一君= まず最初に、ちょっと細かくて申しわけありませんが、この「通信事業者」の「者」、これは個人、法人両方含むのでしょうか。 <0036>=政府委員(松尾邦弘君)= 両方含みます。 <0037>=角田義一君= 細かいことで申しわけないけれども、「通信事業者等」の「等」というのは何ですか。具体的にはどんなものを予定しているのか。 <0038>=政府委員(松尾邦弘君)= これは、例えばホテルをお考えいただきたいと思います。  例えば、あるホテルで外線から入ってきますと、大きな交換施設に入ります。それから個々の部屋の内線につながっていくわけでございますが、その場合にホテル自体は通信事業者と言えませんので、しかし、これを外線のところで傍受いたしますとホテルにかかってくる電話全部を傍受する形になりますので、これは適当でない。やはり令状で請求した何号室の電話ということで特定しますので、その電話を傍受できるようにしなければいけません。  そうなりますと、ホテルの持っております交換施設の部屋に行く端子の方ですね、外線が入る方ではなくて部屋に行く方、つまり交換機器の部屋に行く方に傍受の機器を備えつけまして、その部屋に行く電話だけを傍受するということが適当でございます。その場合には、ホテルは通信事業者ではございませんので、「等」で読んでいただくということになります。 <0039>=角田義一君= そうすると、民間のホテル業者というようなものもこれは入るんだ、こういうふうに理解させてもらいました上で、そこで今度は「通信事業者」の方です。  「等」じゃない方、「等」は今言ったホテルだからわかりますけれども、通信事業者は御承知のとおり通信事業法三条、四条という形で守秘義務が課せられていると思うんです。今度は、これによって協力しなきゃならぬ義務があるわけです。これは義務でしょう。そうすると、電気通信事業法三条、四条の守秘義務というのは、いわば憲法の通信の秘密からストレートに来ている義務だと私は思うんです。憲法上の根拠のある義務です。  ところが、その義務と今度協力しなきゃならぬ義務とのいわば講学上言うところの義務の衝突ということが起こるんじゃないですか、起こらないですか、どうですか。 <0040>=政府委員(松尾邦弘君)= 先生御指摘のとおり、そういう議論がございます。  というのは、先ほど検証令状で五例あると申し上げましたが、その際に傍受を実施する側がNTTの職員に立ち会いをお願いしたんですが、協力する義務はないということで、この場合は断られております。  そのときのNTT側の理由は、法律に協力義務の明文がないということがその根拠でございました。したがって、今回は、そうしたこともありますので、通信事業者等の協力義務をこの第十一条に明文で置いたということでございます。  確かに先生のおっしゃるように、通信の秘密については憲法上の規定がございますが、それにある意味では制約を加える法律でございます。したがって、通信事業者等に協力をいただくのもやはり法律に明文の協力義務を置いた方がよかろうということでございまして、今回この十一条の規定になったという次第でございます。 <0041>=角田義一君= そうすると、電気通信事業法三条、四条は、憲法上の規定があって、そのまますとんとおりてくるわけです。おりて素直に読める。しかし、今度は逆に、通信を侵害するとは言わないが、傍受に協力するわけだから、憲法上で保障されている、自分の持っている通信を守らなきゃならぬ義務を排除しなきゃならぬ。排除するということを要求する憲法上の根拠は一体明文として何があるのかという問題が出てくるんです。どうですか。 <0042>=政府委員(松尾邦弘君)= これは先生の冒頭の御質問にまた返る話になろうかと思います。  憲法は、確かに通信の秘密については、それを制約し得る明文の規定を置いておるわけではございませんが、先ほど申し上げました最高裁の判例によりましても、明文の規定の有無にかかわらず、公共の福祉等の一定の制約を受けるということ、通信の秘密の保障といっても絶対無制限なものではないということを言っております。  その制約につきましては、そういう重要な憲法上の権利でございますので、やはり法律において明文を置くということが必要だと私も思いますが、それがこの第十一条であるというふうに御理解いただきたいと思っております。 <0043>=角田義一君= これは、立法の技術的な問題だと思うんです。  それでは、電気通信事業法の三条とか四条とかという規定はそのまま残すんですか。それとも、それに何らかの修正をするとか、手を加えるとかいうことになるんですか、どうなんですか。 <0044>=政府委員(松尾邦弘君)= 先生の御指摘の通信事業法等の規定はそのままでございます。  今回は通信傍受という、ある意味では極めて限定的、抑制的に通信を傍受するシステムをこの法律でつくり上げるわけでございますので、この法律に従って通信事業者等には第十一条に言う協力義務を課したというふうに御理解いただきたいと思います。 <0045>=角田義一君= そうしますと、通信事業法三条、四条は生きているということなんだ、生かしておく。片方では新たな義務規定を置く。そうすると、通信事業者はどちらの義務を自分は履行すべきなのか。あくまでも通信の秘密を守らなくちゃならない、これは憲法でそうなっているから守らなきゃならぬ。しかし、片方でこういう法律ができた。こっちの義務もしなくちゃいけないのか。その義務の選択を通信事業者に迫るということになりますな。 <0046>=政府委員(松尾邦弘君)= 通信事業者に対していかなる義務を負わせるかということでございますが、通信事業者について既存の法律によって固有のいろいろな規定があることはもちろんでございますが、今回はそれに加えまして通信事業者に協力義務を課するということでございますから、既存の法律のあり方等を前提といたしましてなおかつ十一条を置いたということでございます。  通信事業者等にはそういう御理解をいただけるものと我々は考えておる次第でございます。 <0047>=角田義一君= それでは、さらに突っ込んで聞きます。  この「者」には個人それから法人も含まれると言いましたけれども、具体的に聞きますが、NTTが会社として、法人としてこの義務を負担するのか、AならA、BならBという個々の職員までがこの義務を負担するのかどうか。これは大問題だ、どうですか。 <0048>=政府委員(松尾邦弘君)= 実際の問題となりますと、例えばNTTでありますと、傍受そのものは交換設備のある支店というんでしょうか、支所というんでしょうか、そういうところで行うケースが多かろうと思います。その際には、そこへ行って令状を示しまして協力をお願いするということでございます。  したがって、NTTは、一つの組織として考えますと、どの段階にそういう許可の権限がおりてきているかという問題も内部的にはいろいろあろうかと思いますが、対外的にはNTTとしてこれに協力するという形でございますので、NTT総体として協力いただいたということにはなろうかと思います。  ただ、現実にどこまでそういう報告を上げ、どこの了承をとるかというのはその法人内部の問題でございますので、それはさまざまな形があろうかと思っております。 <0049>=角田義一君= 法人内部の問題といったって、世の中は力関係というものがあるんだ。会社の業務命令によって立ち会いなさいということになってくるでしょう、恐らく。  Aという人が、私は嫌だ、私はNTTの職員として、どうしても憲法に保障されている守秘義務と電気通信事業法の義務も大事にしたいから嫌だと断るということだってあり得ると思う。その場合に、会社とすれば、あなたは業務命令に従わないんでしょう、しかるべき措置をとるということだって、事柄の展開としては十分あり得ることなんです。そんなことは絶対ない、みんなはいはいと従うと思っているのは大間違いだ。  そうすると、懲戒というような一つのペナルティーを科しながらこの義務を履行させていくということになると、これはまた憲法上の大きな問題が出てくるんじゃないですか、どうですか。 <0050>=政府委員(松尾邦弘君)= 組織の命ずる業務命令というような形の一つの制約と個人の心情がぶつかることは、このケースに限らずさまざまな形で考えられるところでございます。それはあくまでその組織の内部の問題でございます。  この法案は、通信事業者にそういう協力義務を課しているということでございまして、その構成する内部の者がどんなことを考え、どんな姿勢で臨むのかというところまではさまざまでございまして、確かに先生の御指摘のように個人的には心情として私はこういう傍受には立ち会いたくないという職員もいるかもしれません。ただ、捜査機関側から言わせていただきますと、やはりこの法案が成立いたしましたらその重要性等を十分に通信事業者等に御理解いただきまして、組織としてきちっと対応していただくということを期待しているところでございます。 <0051>=角田義一君= 私が言っているのは、局長もなかなか政治家だから、それは政治論なんです、一種の。NTTに頼んで、国はNTTの大株主だから言うことを聞かなくちゃならない。NTTの偉い人は職員に、NTTの立場を考えてちゃんとやってくれや、こうなる。嫌だと言ってもそれはやらざるを得なくなる立場に追い込まれるというのは世の中の通例なんです。  しかも、常時立ち会いとかといっても二十四時間ぶっ通しでできないからそれは交代するんだろうけれども、狭いところに入れられてやるということになってくると、私は憲法十八条によるその意に反して苦役を課せられないという条文がぴんと来た。いやしくも国民に苦役を課すようなことまでこの法律は行くんです、これはへたすると。政治論だけじゃないんです。法律論としてそこまでを考えなくちゃいけないんじゃないですか。それを考えないで、何しろ会社に頼めばやってくれるだろう、後は内部で適当にやってくれる、これじゃやっぱり法律としては私はいささかおかしいと思う。どうですか。 <0052>=政府委員(松尾邦弘君)= 法案が成立いたしますと、我々は通信事業者等に改めてこの内容を説明して協力をお願いするということになろうかと思います。  その際には、この組織犯罪対策三法、通信傍受の法案がその一つでございますが、これが組織犯罪と戦うための我が国が今とるべき処置をぎりぎり講じたものである。ひいては、それによりまして組織犯罪を抑圧して今の治安状況を守り、国民の生活あるいは経済を守っていくというために必要なんだというようなこの法案の持っている基本的な理念につきましてやはり御理解をいただいて、確かに通信事業者は一方では通信を利用している当事者の秘密を守るという非常に崇高な義務を負っているということもまた間違いございません。その一部をこういう傍受という形で例外的に協力いただくということでございます。  個々の職員の気持ちの中にある程度の葛藤がある方もおられるかもしれません。それは可能性としては否定するわけではございませんが、ただいま申し上げたより高い理念といいますか、国全体として必要な一つの制度である、あるいは仕組みを新しくつくるんだということの御理解をいただければ、個々の職員につきましても進んで一生懸命協力していただけるものと我々は期待しているところでございます。 <0053>=角田義一君= これは時間の関係もありますから、また同僚からお尋ねがあると思うんですが、その立会人をだれにするかという問題と、それから仮に百歩譲って、立ち会いをする人がNTTの職員であった場合にどこまで立ち会わせるのか、非常に技術的なことだけに限るのか。しかし、これは意見を言うこともできるなんと書いてありますから、意見を言うことができて、判こを押して封印して裁判所へ行くんですから、将来場合によれば法廷に呼ばれることだってあり得るわけだからね、これは、ないということはあり得ないわけですから。  そういうことをどういうふうに整合性を持たせてきちっとやるかというのは、私はまだ詰め切っていないと思っている。しかも憲法十八条の、その意に反して苦役を課せられないという条文との関係において、これはよほど深刻な問題になっていくんじゃないかということを、きょうは問題だけ提起しておきます。これは、後また同僚が聞くと思いますけれども、大きな宿題だと私は思っている。  次に、時間の関係もありますから申し上げますが、おとといの服部先生の御質問の中で私は一番最後のせりふだけは賛意を表する。それは、こういう制度をつくっても最後は警察に対する信頼があるのかないのか、これが決め手だ、ポイントだ、少なくとも検察も含めて、要するに捜査機関に対する信頼があるかどうか、こういうことが最後は決め手になる、こういう問題提起があった。私はそのとおりだと思う。これは恐らく全党派そう思っていると思います。  そこで、おとといの質疑の中で共産党幹部宅の盗聴の問題が出た、ちょっと触れられた。松尾刑事局長は、これは負の遺産であるというふうな表現をされた。そうすると、この法案を審議する上で、負の遺産というものは相続しないで、負の遺産はどこかで清算しなきゃならぬ、きちっとけじめをつけなきゃいかぬ、こう思うんです。負の遺産を引きずったままこの法案の審議を進めていくというのはどこか必ず無理が出てくる。  そこで、私は聞きたいんだが、いわば共産党幹部宅の盗聴事件というものについて、法務省としては、民事の確定判決もある、あなた方は二人の警察官に関して起訴猶予にしている。それから、確定判決の中では付審判の決定も引用されている。これだけのものがそろっている状況の中でこの事件については事案の概要というか、一々細かいことはいいですよ、どういうものだという認識を今日の段階で持っているんですか。 <0054>=政府委員(松尾邦弘君)= 神奈川県で起きました共産党の幹部宅の、これは盗聴事件とあえて申し上げますが、それにつきましては検察庁も捜査いたしまして、第一次に不起訴、さらに検察審査会が不起訴不当という結論を検察庁に戻してまいりましたのでさらに捜査を遂げまして、第二次の捜査でも捜査をした結果これを不起訴といたしておるのは先生御指摘のとおりでございます。  それで、この問題をどう考えるかということでございますが、確かに通信傍受を行う主体は、基本的には警察でございます。こういった捜査機関に対する信頼の問題というのが非常に重要なファクターだろうということは我々も理解するところであります。  そのためには、私は三つのことを申し上げておきたいと思うんですが、一つは、個々の捜査官に通信傍受制度自体をよく理解させた上で適正執行の強い自覚を持っていただくことが必要だろう、これが第一でございます。それから第二は、警察が組織として責任の所在を明確にしつつ、その監督をし、かつ実施をするという仕組みもまた必要であろうと思います。それから三番目には、そうはいいましても仮にこれが乱用されるおそれが皆無ではないということでございますと、それをどう制度的に担保していくか、この担保としての仕組みが十分かどうかということもまた問われるところだろうと思います。この三点がかなり重要だろうと思います。  例えば最初の第一点、第二点につきましては、先日も警察庁の方の御答弁の中で、これを適正に執行するという決意も述べられております。また、個々の職員に対してこの制度としての電話傍受、その内容を徹底して教育する、適正執行させるためにそういう教育も徹底して行うという決意も述べられております。  また、この委員会の席上ではございませんが、警察庁長官も同趣旨の御発言をしているというふうに承っております。  日本の警察組織は、いろいろな見方もあろうかと思いますが、私は客観的に見ますと質、量ともに世界でもトップクラスの組織である。重要犯罪の検挙率にいたしましても、この率をごらんいただければ諸外国に比べまして、特に先進諸国の中でもぬきんでた検挙あるいは解明率を誇っているということもありますので、十分に信頼に足る組織であると考えております。  ただ、そうはいいましても、本法案では例えば捜査官がこれを乱用した場合には重罰に処する、懲役三年以下の自由刑あるいは百万円以下の罰金ということが今度の修正案でも入りました。またさらに、そうしたものを仮に告発がありまして検察官が不起訴にした場合には、付審判請求という制度も設けているところでございます。  そのほか、これまでの論議でもいろいろ触れられておりますような適正担保の仕組みというものが十分に盛り込まれていると思いますので、今先生の御指摘の問題についてはクリアしているものと思います。  そういう意味で、私も確かに過去の遺産というふうに申し上げましたが、その言わんとするところは、神奈川の事件でいわゆる盗聴という形で国民の間に問擬された、問題にされたということにつきましては、電話傍受という一つの仕組みに対して歴史的にそういう事件があるということで、いろいろな不安感がそれによって生じてくる、これはまた否めないところでございます。今回の法案の立案に当たりましても、国民の間の一部にそういう不安感が存在するということも当然に考慮いたしまして、それに対しても十分不安感を払拭できるだけの仕組みをつくる必要があるという基本的な考えのもとにこの法案が組み立てられております。  そういう意味では、でき上がった姿は諸外国、特に先進諸国で行われております通信傍受のいろいろな仕組みと比較いたしましても、非常に抑制的でありますし、厳重な要件が加わっておりますし、立会人という諸外国に見られない制度も設けられております。また、裁判官による司法チェックといいますか、こういったことも手厚くなされるということで、そういった点にも今言った日本の抱えているいろいろな諸状況もマイナス面も含めまして織り込んだ法案であるというふうに御理解いただきたいと思っています。 <0055>=角田義一君= 局長が言うことも私はよくわかるんです。あなたがさっき三点言ったこと、私は別にそれは何の異存もないんです。そうだと思いますよ。  私が言っているのは、いわば共産党幹部の盗聴事件の事実、これは今私が言ったように法務省は起訴猶予にもしておるんだから、犯罪事実はあったんだから、あって猶予なんだから。さらには、民事の判決も確定しているんだし、その民事の判決の中には付審判の決定の中の文章も援用されているわけです。  そうすると、今の局長の話だと、警察の盗聴はあった、いわゆる文字どおり盗聴だ、それだけの事実ですか。それしかあなたはしゃべれないわけ、ここでは。私が言っているのは、そんなものじゃないんじゃないのと。それはいろいろの委員会で、かつて下稲葉法務大臣は、これは警察官がやったんだということまで言っているんです。  私が言っているのは、負の遺産を清算するためにはそこのところをある程度法務省としてはこういう事実ではないかと法務省なりのものを持っていなきゃどうにもならぬでしょう。そこをまず聞いているんです。あとのせりふはそれでよくわかった。それが聞きたいんです。 <0056>=政府委員(松尾邦弘君)= 御指摘のように、今お尋ねの件については検察庁が捜査をいたしました。その結果でございますが、神奈川県警察に所属する警察官二名が共謀の上で昭和六十一年十一月ごろ、緒方宅の電話を盗聴しようとしたという事実は認定されるということでございます。 <0057>=角田義一君= したんだよ。 <0058>=政府委員(松尾邦弘君)= 盗聴しようとしたという認定になっております。というのは、捜査でございますので、あくまで証拠で確定できるかどうかということでございます。  したがって、証拠で確定できるのは、警察官二名が緒方宅の盗聴をしようとしたということを認定しているということでございまして、そのほか民事訴訟等であるいは検察審査会の指摘内容等でそれ以外の表現がいろいろ使われ、あるいはその辺のさらにいろいろな事実が認定されるのではないかという指摘もあることは承知しておりますが、検察庁の捜査で認定できた事実は今申し上げた点でございます。 <0059>=角田義一君= では、民事の確定した事実はこっちへおきます。  警察庁、今法務省が言った法務省としての事実の認定についてはそれをお認めになるんですか、ならないんですか。 <0060>=政府委員(金重凱之君)= 今御質問が出ておりますいわゆる緒方宅事件についてでございますけれども、昭和六十二年当時でございますが、このときの東京地方検察庁の捜査におきまして警察官による盗聴行為があったということが認められ、それからまた今お話もございましたけれども、その後の民事訴訟におきましても同様の行為があったということが推認されましたことにつきましては、警察といたしましても厳粛にこれを受けとめておりまして、まことに残念なことであるというふうに考えておるところでございます。  私ども警察といたしましては、本件の反省を踏まえまして、今後とも国民の信頼を裏切ることのないよう厳しく戒めてまいる所存でございます。 <0061>=角田義一君= 警備局長、あなたのいろいろのせりふはいいから。  私が聞いているのは、端的に聞いているんですよ。今法務省が言った事実関係についてはあなた方も異存はないんですか、ないんですねと聞いておるんです。だから、異存はないならない、いや、そんなことはない、どちらかしかないんじゃないんですか、答えとして。 <0062>=政府委員(金重凱之君)= ただいまの東京地検の捜査の結果あるいは民事訴訟の結果というものが出ておる、これは客観的な事実でございます。警察としましては、そのことを厳粛に重く受けとめておるところでございます。 <0063>=角田義一君= あなた、評論家みたいなことを言っちゃいけないよ。そういう判決が出ております、それは承知しております、確かに出ておる、そんなもの。  私が聞いておるのは、そこで言われていること、事実、今法務省が言っていることを警察としては認めるんですか、認めないんですかと聞いておるんです。判決があったことはだれでもわかっていますよ。厳粛に受けとめるのは当たり前の話ですよ。そんなものはどうでもいいと言ったらこれはえらいことになるでしょう。そこを聞いているんですよ。負の遺産をどう清算するか、これからこの法案を審議していくときに必要だから、私はしつこいようだけれども聞いているんです。素直に答えたらよろしい、率直に。 <0064>=政府委員(金重凱之君)= 今御答弁申し上げましたところでありますけれども、そういう捜査の結果あるいは訴訟の結果ということが出ております。そのことは客観的な事実でございますし、私どもこれを本当に厳粛に受けとめておるというところでございますので、御理解を賜りたいというふうに思っております。 <0065>=角田義一君= 答えてないんです。私の質問わかるでしょう、皆さんだって。私の聞いていることをみんなわかっているはずです、ここにいる人。客観的に、判決がございました、検察庁もこういう処分をしました、全部わかっている。そういうことはある、厳粛に受けとめている。じゃ、そこで指摘された事実関係について、あなた方警察はお認めになるんですかと私はくどく聞いているわけだ。  判決だって確定しちゃったんですよ、あの判決は。最高裁に訴えたわけじゃないでしょう。そうすると、変な話だけれども、その判決を厳粛に受けとめているというのは、その事実を認めるということでなきゃ厳粛に受けとめることにならないんだよ。現に税金で金は払われているんだから、国民の税金であなた方の不始末をきちっとまたあれしているわけですよ。  私は、圧倒的なお巡りさんはおてんとうさまの下で堂々と立派な仕事をしていると思うんだけれども、こういうことがあったのならしようがないんだよ、あったならあったで。そこを素直に認めないで突っ張る、居直るというような印象を与えるんだよ、あなたの答弁は。そうすると、これは警察憲法なんだよ。要するに、しゃばに通用しない警察だけの理屈を押しまくるというふうに私はとりますよ。また国民もとりますよ。私はそう思うんだ。御理解を賜るって、それなら御理解を私ができるように素直に答えてくださいよ。私の言っていることは無理なことですか。 <0066>=政府委員(金重凱之君)= 確かに先生おっしゃられておりますように、この事実関係が捜査の結果あるいは裁判の結果ということで確定しておるということでございますし、こういう結果が出たということにつきまして、私ども厳粛に受けとめておるということを申し上げたわけでございます。  当時の神奈川県警の内部調査におきましては、県警は組織としては関与したことがない、また個人の関与については、これはもう大変残念なことでありますけれども、確認できなかったというようなことがあるわけでございます。  もちろん、この内部調査で警察官個人の関与について確認できなかった、判然としなかったということについて、それでいいというふうに私ども決して思っておるわけじゃございませんでして、それには警察として、組織として大いに反省すべき問題点があるというふうに認識しておるわけであります。したがいまして、当時もこういうことが二度と起こることがないようにということで、各種の措置をとったところでございます。  御理解賜りたいというふうに思っております。 <0067>=角田義一君= これは私は延々と何時間でもやるよ、しようがない。私が聞いていることに、国民の質問にまともにあなた答えなきゃだめだよ、警察は。  第一、今何と言った、あなた。内部調査でわからないなんて冗談じゃないですよ。警察が内部調査で自分たちの非違行為を調べ上げられないなんということで、今後いろいろこのでかい武器を与えるんだよ、すごい武器をあなた方に、法案が通れば。それでもし間違いがあったら、内部調査でわかりませんでした、何があったかわかりませんと、そんなことで世の中通らないよ。  私はこういうことを言いたいんです。相手がどなたであれ、何しろ裁判所で決まって、そして損害賠償を我々の税金で払ったんですよ。そうしたら、警察はやっぱり少なくとも二つのことをしなきゃならないんです、世の中の、しゃばの常識からして。一つは、やっぱり関係者に謝ること。それは、本人に会う、国民に謝ること、事実を認めること、率直に。その二つは、警察がおてんとうさまのもとで堂々とこれからやっていくための最低の条件です。それができない、それもやれない。これじゃ、我々にそれでも警察を信用しろと言っても、それは無理。  私は上州で、おてんとうさまのもとで堂々と歩けということを子供のころから教わってきたから、いい言葉だと思っているんだよ、この言葉は。笹川先生もおるけれども、同じ上州で、それはいいことですよ。  そういう態度を警察がとらなかったら、警察は信頼なんかされないでしょう。例えば、百歩譲って、普通は、下の者が間違いを犯したら上の者が謝りに行くんですよ。それが世の中の常識じゃないですか。いまだに行っていないでしょう。そういう世の中の常識に反するというか、合致しない警察独自の一つの論理というか、それを押しまくろうとする、私に言わせれば独善性、それをなくさなきゃだめだよ。私は、ある意味では、市民社会の中における警察の今後の対応を考えたときに言っているんですよ、率直に言っているんです。警察にこんなことを言うとおっかなくて言えないという人がいっぱいいるようだけれども、国会議員だから言うんだ。どうですか。 <0068>=政府委員(金重凱之君)= 先生から県警の内部調査のことについておしかりを受けたところでございますけれども、私どももこのことがこれで決していいというふうには思っておらないわけでございます。やはり当時の組織内部において内部管理体制が不徹底であったとか、あるいは職員の身上監督が不徹底であったとかいうような問題点があったというふうに思っております。したがいまして、私ども警察としましては、大いにこれは反省すべき点であるということで、各種の施策を当時とらせていただいたというような次第でございます。  それから、謝っていないのか、謝罪をというようなお話もございましたわけでございますが、この国賠訴訟の原告の方に対しましては、既に国の行政機関として、法律の定めるところに従いましてこの国賠訴訟の判決で命じられた賠償金というのはお支払いしておるところでございます。それから、この国賠訴訟の結果につきまして、累次国会で申し上げておりますけれども、警察として、これは厳粛に受けとめ、まことに残念であるということで御説明させていただいておるところでございます。 <0069>=角田義一君= まず、ちょっと悪いけれども、法務大臣に聞きます。これは聞きたくない、聞きたくなかった。  今、松尾局長が事実関係についておっしゃった。私は、検察と警察というものはお互い信頼関係がある、少なくともあってしかるべきだと思うんですよ。警察と検察が一緒に仲よくなかったら、この世の中おかしくなっちゃうからな。私も法務政務次官でいたときに、それは努めなきゃいかぬと思っていましたよ、警察と検察というのは。  そこで、少なくとも法務省が今言ったことを警察が否定しているわけだ、認めていないわけですよ。これは大変なことですぞ。これでなおかつこの法案を通して、検察、警察をあなた方は信頼しろと言うのかね。それが一つ。  それと、法律で判決が出ましたからお金を払いました、これは当たり前の話です。しかも、それは税金で払っているんです。私は、世の中というものはそういうものじゃないと言っているんだよ。判決で命じられたから、国民の税金で払ったからそれでいい、そういうものじゃないでしょう。  我々のしゃばというのは、世の中というのは、何かあって悪いところがあったら、酒の二本でもつるして謝りに行くんだよ。それで社会が円滑にいっているんですよ。そういうごく当たり前の世の中の生きていく作法それもやらないで、ただ金を払ったからそれでいいんですよというような、情がないというか、そういう発想で警察行政をやられたんじゃ、これは僕はたまらぬな。大臣、どうですか。 <0070>=国務大臣(陣内孝雄君)= 私ども法務省といたしましては、この神奈川県警の警部補の、警察官による共産党の方に対するのは盗聴事件だ、こういうふうに前の下稲葉大臣もおっしゃっておりますし、私も同じような認識でございます。  そして、これに対して、刑事局長が申し上げましたように、警察官本人、組織、それからまた法整備の上で、こういうものが二度と繰り返されないような仕組みをきちっと確立しておくということが一番大事なことだと思っております。  今、先生のおっしゃいましたお気持ちは、私にも十分わかるわけでございますので、そういうお気持ちを体しながら、今申し上げましたような対応を十分に図っていきたいと思っております。 <0071>=角田義一君= 警備局長どうだい。私の質問に対する感想を率直に言ってごらんなさいよ。 <0072>=政府委員(金重凱之君)= 累次御答弁させていただきますけれども、この捜査結果、それから裁判結果ということにつきましては、私ども警察としましては厳粛に受けとめておるところでございますし、大変残念なことでありますし、深く反省しておるというところでございます。  私ども、本件の反省を踏まえまして、その後十数年にわたりましてより一層適正な職務の執行に努めてまいったところでございますし、今後ともそのように努めていく所存でございます。 <0073>=角田義一君= あとは同僚議員に引き継ぎますが、私は最後に申し上げたい。警察が市民社会で信頼を受けたいと思うならば、そしてこの法律が仮に通って国民の信頼を得て執行したいなら、やっぱりやるべきことをきちっとやる、けじめをつけることはつける。それは最低のことです。それを居直るし開き直る、そんな態度では絶対だめ。しかも、法務大臣の言っていることを否定しているというのは、事実関係を今日なお否定するというのは、これじゃとてもだめだ。  私はもう警備局長をこれ以上責めないから、しかるべき時期に警察庁長官にここへ来てもらいましょう。後でまた要求します。来て、ちゃんとけじめはつけさせてもらいますから。以上。  同僚議員の質問に譲ります。 <0074>=小川敏夫君= 修正案提出者にお尋ねします。  立会人でございますが、立会人が切断権を持たない、それから捜査官とともに傍受しないという内容になっております。そうすると、その結果として、立会人は捜査官の傍受の内容を聞き取れない。したがって、捜査官が仮に本来聞いてはいけない通信を傍受していても、それをチェックできないということになると思います。  それでお伺いするんですが、立会人が捜査官の乱用に及ぶ通信の傍受をチェックできないとしますと、その後からでもやはりきちんとしたチェック方法を制度的に確立しておかないと乱用の防止の歯どめがきかないと思うんですが、そこら辺、修正案提出者はどのようにお考えでございましょうか。 <0075>=衆議院議員(笹川堯君)= 御案内のように、立会人に切断権というお話も衆議院でもございましたし、先日の委員会でも御質問いただきましたが、まず、今回私どもが修正をさせていただいて立会人、これは常時ということでありまして、仮に立会人が何らかの都合でできないということになれば、当然通信傍受は中断されるわけであります。相当厳しくこの点につきましては修正をさせていただいた。  それから、捜査機関をチェックできるかできないか。もともと立会人そのもののチェック機能というのは外形的条件をチェックできるというふうに定めておりますので、立会人が内容を聞いてチェックするというふうなシステムには実はなっておりません。これは、あくまでも全部録音したもの、原本は裁判所の方に提出する、裁判所の方でチェックするべきものはまたチェックをしていただくという制度にしておりますので、委員が御質問のように、捜査機関をチェックすることができるかどうかということになりますと、私は、今お答えしたように、裁判所の方でチェックしていただくということになろうかと思っております。  それから、今の切断権の話でありますが、これは切断権があればいいんじゃないのかなというお話もあります。当初、我々も切断権を認めればいいんじゃないかなという委員の意見もございましたが、立会人にそこまで認めますと、物すごく大きな負担が立会人にかかりまして、それでなくても角田先生から、立会人が断ったらどうするんだというような御質問がありましたけれども、当然私どもも、切断権を持たせれば、もうそんな重い仕事は嫌だと。しかも犯罪の内容も知るわけでありますから、組織的犯罪という非常に悪い人たちのことを聞くんですから、後から危害が及ばないというわけにはいかない。そんなことを、まさにプライバシーの侵害のようなものを立会人に付するということは、私はやってはならない。しかも、捜査機関の人じゃございませんので。そういうことをひとつ御理解いただきたいと思います。 <0076>=小川敏夫君= 今、長く答弁いただきましたが、私の質問に対する答えは、後で裁判所が事後的にチェックすればいい、こういう部分でありまして、それ以外は何か質問に関係ないお説をお伺いしたように思います。  後で裁判所がチェックすればいいという、その内容を教えてください。  修正案提出者が、本件の修正をもって乱用の防止には十分だという御意見ですので、私は修正案の提出者に聞いておるわけです。刑事局長には聞いておりません。  それから、修正案提出者が即座に答弁できないのなら、少し審議を休んでいただいて、まず相談してきちんと答弁させるようにしてください。審議時間を空費します。 <0077>=衆議院議員(山本有二君)= 裁判官による傍受期間の延長の可否の判断とかあるいは不服申し立てがあった場合の傍受の取り消しを判断するだとか、あるいは公判段階において違法収集証拠の排除をするだとかいうような観点から、裁判官が十分チェックし得るというように考えています。 <0078>=小川敏夫君= これは本来、乱用の部分については、その性質上、刑事手続に承服できないから傍受記録になされないのが普通であります。今、提出者がお話しされたことは、傍受記録にされた部分についてのお話ですが、私が聞いているのは、傍受記録に本来されないような、捜査官が乱用に及んだ部分についてどのような裁判所のチェックが機能されるのかお尋ねしているわけです。 <0079>=衆議院議員(山本有二君)= 傍受記録は確かに捜査官が作成しておるわけでありますが、しかし、立会人がチェックする、いわゆる意見をもって裁判所に書面で提出するという、両々相まって裁判官は判断するべきでありまして、立会人の意見の書面の評価やあるいは片方の意見の評価で傍受記録を云々するというようなことを期待しておるわけではない。裁判官が全体としてどう判断するかを我々は期待しておるわけでありまして、その点において御理解を賜りたいと思います。 <0080>=小川敏夫君= どうも答えの内容が私の質問にダイレクトに答えていただけていないようなんですが、では今、立会人の意見というお話が出ましたが、仮に、この傍受は大変に問題があるという立会人の意見が付されて、原記録が裁判所に送られたと。それを見た裁判官はどのような措置をとるんですか、あるいはとれるんですか、この法律上。 <0081>=衆議院議員(山本有二君)= 何度も繰り返すようでございますが、決定的には、違法収集証拠を排除というような観点から、この傍受記録に対する評価を裁判官がするということでございます。 <0082>=小川敏夫君= 原記録が裁判所に送られてきた、そこで、その裁判所が何の手続も進行していないのに違法収集証拠の判断する手続を開始するんですか。 <0083>=衆議院議員(山本有二君)= 先生の御指摘の、立会人の意見を書面をもって裁判所に提出する、そして、その意見に基づいて乱用があったと認定された場合のその後の裁判官の行動あるいは判断、それをお尋ねであろうとするならば、やはり私が申し上げたとおり、その裁判官は意見の書面、これを見ずして云々はできないだろうというように思っております。 <0084>=小川敏夫君= 全くこの法案とか刑事訴訟の法的手続を離れた個人的な感想にしかすぎないような御答弁をいただきましたけれども、裁判官が立会人の意見をもって判断するというのであればこの法律上どのような規定に基づいて判断するのか、その根拠を示してください。  では、答えやすいように言いますよ。立会人の意見が付されてその記録が裁判所に送られてきた、しかし、令状を発した裁判官は令状を発したことによって職務は終わっているんですよ。そして、だれかが何らかの裁判を起こす、準抗告を起こすというような手続がなければ、裁判所がみずから職権を発動して何らかの行動に出るということはないんですよ。ですから聞いているんです。  この通信傍受には問題があるという立会人の意見が付されて原記録が来たときに、では裁判所は職権で手続を開始するのかどうか。この原記録に、通信傍受に違法があるかどうかを職権をもってチェックする、そういう手続を開始するのかどうか、これをお答えください。この法律ではどうなっているのか。  委員長、答えられないんだったらその間は休憩してください、質問時間は考えているんですから。 <0085>=衆議院議員(上田勇君)= この法案の内容におきましては、立会人の意見書のみによりましては裁判官が職権によってそれについて何ら行動をするというような規定はございません。 <0086>=小川敏夫君= ですから、原記録が立会人の意見を付されて裁判所に保管されても、いかに違法なことがあると意見が付されていても、ほかのことで具体的な手続が始まらなければ、それはそのままで記録がただ保管されてしまって、後は何も進まないわけですよ。  そこで、お尋ねするわけです。  では、ほかの手続が進む場合は何かといいますと、それは傍受記録が作成されて通知が行く、そこで準抗告の問題が起こる、あるいは傍受記録が作成されてそれが後に証拠として使われて、その証拠の証明力、証拠力が争われる、そういう手続があって初めてそういう可能性が出てくるわけです。  そこで、私がさっき質問で聞いた傍受記録が作成されている部分は、これは本来乱用の部分じゃないんですよ。乱用の部分に関しては、傍受記録が作成されるということは事実上あり得ないわけです。わかるでしょう。  そうすると、乱用に及ぶ部分については傍受記録が作成されない。傍受記録が作成されなければ、その後の手続が開始される可能性はない。そうすると、幾ら立会人がこの通信傍受は問題があると言って意見を付されて原記録が裁判所に送られても、その記録について裁判官は自主的に何にも動けない。その記録は裁判所のお蔵に入ったまま、後で手続が開始されなければそのままで終わってしまう、こういう形になると思うんですが、いかがですか。 <0087>=衆議院議員(上田勇君)= 委員は先ほどから乱用というふうにおっしゃっているんですが、この法案におきましては、まずは令状に記載された内容に関する傍受しか行われないということと、その通信を傍受している際におきましても犯罪と関係のない通信については傍受してはならないということになっておりますので、基本的に委員が御懸念のようなことは行わないというふうに考えております。 <0088>=小川敏夫君= 法律で、そういうふうになってはいけないということになっていますよ。だけれども、さっき刑事局長も言っておられた、警察官が、捜査官が乱用に及んではいけないような制度的な担保をつくりなさい、それがなければ警察官が乱用に及んでしまうことがあるでしょうと。実際にこの法律ができる以前にも、再三指摘されているように、警察官が違法な行為をやった例は幾つもあるわけであります。今の答えは私の質問に何にも答えていない。  すなわち、私が聞いているのは、乱用に及んだ部分がもしあったらそれもチェックできるような制度的な仕組みをつくっておかなければならない、しかし乱用に及んだ部分に関しては、立会人が幾ら意見を書いたってそれは何にも意味しないでしょうということを聞いているわけです。つまり、それによって裁判官は自主的に何にも職権を発動できない、傍受記録が作成されなければその後の手続は起きないわけですから。そうすると、立会人が幾ら意見を書いたとしてもそれは乱用の防止の制度的なチェックにはならないでしょうということを聞いているわけです。  法律の精神でやっちゃいけないから警察官がやるはずがないという議論では、これはもう議論したって始まらないですよ。どうですか、制度的なチェックがされているんですか、この法律では。  修正案提出者に質問しています、私は。(発言する者多し) <0089>=委員長(荒木清寛君)= お静かに願います。 <0090>=衆議院議員(山本有二君)= 先生は、その傍受記録に乱用の事実は書いていないと。確かに、捜査官が作成する記録にみずからの違法性を指摘したような記録は作成し得ないだろうというようには思います。  しかし、一方で、立会人の意見というのは書面で提出されるわけでありますが、その書面の意見というのは外形的判断以外には何にも書かれていないわけでありまして、そのことからいたしますと、その外形的意見の中に、全く何も聞いていなかったんだ、外形的に傍受していると書いてあるけれどもしていなかったんだと、例えばそういうことがあるならば、それは裁判官は当然、みずからの令状でその行為を許したわけでありますから、その令状を撤回する、取り消しするということが最大の武器であるし、そのことを我々は期待しておるわけでありまして、そのことにおいて我々は信頼が十分できるんだというように思っています。 <0091>=小川敏夫君= 今の御答弁は、全く今の刑事訴訟の手続を無視しています。  裁判官というのは、令状を発する職務に関しては、令状を発した瞬間にその裁判官の職務は終わっているんですよ。今、聞いていなかったから言いますよ。裁判官の令状を発する職務というのは、令状を発した瞬間にもうそこで終わっているわけです。その令状に不服がある者が申し立てすれば、ほかの裁判官が令状の発付が適正であったかどうかを判断するんですよ。  今、あなたは何か令状を発した裁判官が意見がついたものが来ればどうするこうすると言いましたけれども、そんな形には刑事訴訟法はなっていないんじゃないですか。 <0092>=衆議院議員(山本有二君)= 私の申し上げました趣旨は、令状を執行する延長等の可否の判断という意味でございます。 <0093>=小川敏夫君= では、延長がない場合あるいは最後の延長による場合にはそういった機能は働かないわけですね、当然のことながら。 <0094>=衆議院議員(山本有二君)= 不服等の準抗告制度等が他に整備されているということでございます。 <0095>=小川敏夫君= ですから、そこはさっきから言っているではないですか。いいですか。準抗告を起こすためには、傍受を受けたことを知らなければ準抗告の起こしようがないわけですよ。その傍受をしたということを通知するのは傍受記録を作成した部分だけですよ。だけれども、委員はさっき認められたでしょう、乱用に及んでいる部分に関しては傍受記録を作成するはずがないと。それであれば通知は行かないんですよ。傍受されたことも知らないわけです。傍受されたことを知らない人が準抗告するわけがないじゃないですか、知らないんだから。 <0096>=衆議院議員(山本有二君)= 立会人は事業者としての一員でありまして、事業者として外形的に違法を認めたわけでありまして、事業者としての準抗告があり得るということでございます。 <0097>=小川敏夫君= 通信事業者が準抗告できるんですか。  では、その点だけ刑事局長がお答えください。 <0098>=政府委員(松尾邦弘君)= どうも議論が…… <0099>=小川敏夫君= いや、その点だけでいいです。 <0100>=政府委員(松尾邦弘君)= 修正部分のみならず、この仕組みの根本のところにかかわっておりますので、それに誤解がありますと議論が十分にかみ合わないのではないかと思います。  大変差し出がましいようでございますが、どういう場合に令状を発付した裁判官あるいは原記録を保管する裁判官がこれに関与してくるのかというところの基本的な仕組みを御理解いただかないと、議論がそれぞれすれ違いになっているというふうに見受けられます。 <0101>=小川敏夫君= 簡潔にお述べください。 <0102>=政府委員(松尾邦弘君)= 今回の傍受の制度そのものは、適正担保の大きな一つとしまして、傍受した通信はすべて原記録に入りまして、それを立会人が封印され、裁判所に届くというところがその基本でございます。  次には、その傍受記録というまた次の概念がございますが、これはかかってきました通話の中で…… <0103>=小川敏夫君= 概念の説明はいいです。 <0104>=政府委員(松尾邦弘君)= しかし、それを申し上げないとなかなか通知の話になりませんので。  それで、傍受記録というのは、犯罪に関係する部分、傍受令状で関係すると規定された部分については傍受記録に落とされます。その落とされた傍受記録の通信の当事者については確かに先生がおっしゃるように通知をする。それ以外の、例えばスポット的に聞いて関係ないと判断したものについては、これは通知が行かないということになります。なぜそういう仕組みをとったかはまたいろいろ理由がございまして、これまでの場合でも申し上げてきたところでございます。  先生のお尋ねは、そういうスポット的な、すなわち通信傍受記録に載っていない当事者には通知が行かないだろうと。そうなりますと、例えば、関係ない通話をずっと聞いても、それは傍受記録に落とさないんだから、それは通知が行かないことになって何ら司法的チェックを受けないことになるんじゃないか、こういう御質問だろうと思います。  その点につきましては、先ほども申し上げましたようなこの通信傍受の通知の仕組み全体にかかわることの中で適正かどうか、あるいはそういう通知をそこまで及ぼすのはどうかということにかかわりますので、単に一つの設例でもってどうこうという話ではなくて、全体の御理解がまず必要かなというふうに思っております。(「さっきの質問に答えていないと思いますが」「準抗告できるのか」と呼ぶ者あり)  済みません。最後のお尋ねの通信事業者がどういうふうな立場であるのかということでございますので…… <0105>=小川敏夫君= いや、立場はいいですよ。準抗告ができるかどうかですよ。本来の質問に答えてください。 <0106>=政府委員(松尾邦弘君)= この施設内で強制処分が行われると、それを受ける立場でございますので、処分を受けたものとして不服がある場合には準抗告を申し立てることができるということでございます。 <0107>=小川敏夫君= それは通信事業者の施設内で受けた処分に関してですね。ですから、捜査官が行った内容に関して準抗告ができるわけではないわけですね。 <0108>=政府委員(松尾邦弘君)= それは御指摘のとおりでございます。 <0109>=小川敏夫君= 修正案提出者にお伺いしますけれども、要するに私の質問の趣旨は、まず基本的において通信傍受を行うについて捜査官が乱用するようなことがあっては絶対ならない、これはもう皆さん共通した考えだと思うわけです。それで、その乱用の防止のためには乱用ができないような制度的な保障を講じるべきだ、これは刑事局長も先ほど言われたように、乱用の防止のためには制度的担保が必要だと言っておるわけです。  それで私は聞いておるわけです。立会人がもし一緒に話の内容を聞いていて切断権があるのなら、そこで直ちに捜査官の乱用は、それはいけませんと言って防止できるわけですよ。しかし、それを外しておるわけですよね。外しておるのなら、じゃ事後的にでもいいから、そういう捜査官の乱用がもしあった場合には、それを発見して何らかの手を打てる、そういう制度が必要じゃないかというふうに私は考えておるわけです。  どうでしょうか、立会人がチェックできないのなら、事後的にそういう乱用を発見できるような制度的な保障をつくるべきではないかという、その総論的な部分に関しては提出者の御意見はいかがでしょうか。 <0110>=衆議院議員(上田勇君)= まず、立会人が話の内容を聞いてその場において切断権を設けることが、その場においてチェックが可能であるというような御意見でもございましたけれども、私どもは、必ずしも捜査の内容等について周知をしていない立会人あるいはその途中…… <0111>=小川敏夫君= その是非を聞いているんじゃないんですよ。質問に答えていないじゃないですか。 <0112>=衆議院議員(上田勇君)= いやいや、最初はそういう御質問だったんじゃないですか、最初の部分はそうだと思う。  そういうような委員の御指摘については必ずしも同意するものではございませんが、もちろん事後的にこれの捜査が適正に行われたということをチェックできるための必要最小限の措置については必要であるというふうに考えているところでございまして、それは原案におきましても、まずは犯罪に該当しない部分についての傍受は行ってはならないという法律の規定が設けられているということ、必要最小限の原則でございます。  それから、事後的にも、すべての記録が傍受した際に記録をされまして、それが封印をされて裁判所に傍受原記録という形で保管をされており、いつでもそれについては事後的に検証できることは保障されているわけでございます。  また、原記録が作成されました会話の当時者に対しましてはそれぞれ通知が行くというようなことが書かれておるわけでございますし、なおかつ、事後的にその傍受記録並びに原記録の閲覧も行うことができ、それに基づいて不服申し立てもできるというような措置が講じられているところでございまして、私たちとしましては、乱用防止のための措置が十分に講じられているというふうに考えて御提案をさせていただいているところでございます。 <0113>=小川敏夫君= まず、立ち会いの後の事後的チェックが必要だという意見に賛成であるということは承りました。必要最小限というよりも、むしろ最大限の配慮が必要だと思うんです。  それで、今お話のあった例、今度は具体論として、原記録が裁判所に保管されている、ですからいつでもチェックできるというお話がありました。そこで、先ほどもそういう議論が進んでいっているわけです。  つまり、乱用というのは、いいですか、法律ではやってはいけないということになっていますよ。法律でやってはいけないから捜査官は絶対乱用しないというのだったらもう議論する必要はないですよ。あとは警察を信用できるかどうかですから。それから、刑事局長がおっしゃられたように制度的な担保も要らないですよ。法律でやってはいけないと書いてあるから警察官はやるはずがないというので、それでいいんだというのであれば。だけれども、刑事局長もおっしゃる乱用ができないような制度的担保は必要だと。恐らく修正案提出者もその点については異論がないと思うわけですよ。じゃ、その制度的担保が確かに機能しているのか、実効性があるのかという面で私は聞いておるわけです。  そこで、先ほど修正案の方が、立会人の意見というものを原記録に付して裁判所に出すことにしたという修正がなされました。ただ、それに関しては私先ほど言ったわけです。そういうものが来ても、それを読んだ裁判官がそれを読んだからといってみずから職権を発動できるわけじゃないんだと。ですから、その面に関しては全然チェックできないわけで、ただ裁判官の目にとまってもどうしようもないという事態が生じるだけだということです。  それからもう一つは、答弁者がお答えされたように、後の何らかの手続の中でその意見が反映されることがある、これは確かに御指摘のとおりですよ。ただ、後で何らかの手続が起こるというのは、考えられるところ、令状に対する、処分に対する準抗告か、あるいは被疑者が被告人になって、そのテープが、傍受記録が証拠として出されてその証拠能力が争われるということになったときだと思うわけです。すなわち、それはイコール傍受記録が作成された部分に関してそういう手続が起こる可能性があるわけです。  そこで、また話が戻るわけですよね。警察官が本来聞いてはいけない部分を聞いてしまった部分は、つまり乱用に及んだ部分は傍受記録に作成されるはずがないんですよ、乱用に及んでいるんですから。じゃその乱用に及んでいる部分に関しては準抗告の起きようがない。すなわち、通知が行かないんだから準抗告の起きようがないし、証拠として提出もされないんだから証拠能力として争われる可能性がないわけですよ。ですから、乱用に及んだ部分に関しては、その乱用に及んだ部分に関しての裁判所における手続が将来発生する可能性がないから、その手続がない、その場がないんだから、結局は裁判所のチェックというものはきかないでしょうというふうに私は質問しているわけです。  その点、質問の趣旨を御理解いただけたらお答えください。 <0114>=衆議院議員(上田勇君)= まず最初に、委員の御質問の中で、いわゆる傍受記録に記載されていることのみがその後のいろいろな例えば争い事があった場合の対象になるということでございましたけれども、確かに傍受記録に記載されているその会話の通信の当事者のみにしか通知が行かないというのは事実でありますが、その後の事後的な手続の中におきましては、傍受記録のみならず原記録についても閲覧、複写あるいは複製等は、通信の当時者については申し立てることができる規定になっておりますし、なおかつ、不服申し立てについても、その原記録の中身につきましてもできる規定になっているわけでございます。  またさらに、この法案の二十六条三項におきましては、重大な違法等がある場合におきましては裁判所がその記録の消去を命ずることができるというような規定もあわせて設けているところでございます。 <0115>=小川敏夫君= 法案の説明は余り長々としていただかなくていいんですけれども、その原記録の中から事後的にチェックできると言いますけれども、そもそも傍受されたことを知らない人がそういう申し立てをできるはずがないですよね。  こういう場合、一つの例を前提にして答えてください。捜査官が通信傍受しました、しかし、その中で犯罪に関する部分が全然なかった、実際には全部が乱用であった。その場合には傍受記録が一切ないわけです。ですから、だれにも通知が行かないわけです。そういう形で乱用が行われた場合に、一体だれがその原記録を見せてくれと。だれも自分が傍受されたことを知らないんですよ。その中で一体だれが裁判所に対して原記録を見せてくれ、あるいは不服の申し立てができるんですか。  いいですか。捜査官が通信傍受した、しかし、その中で犯罪に関する部分、傍受記録作成部分がなかったという場合を前提にして、だれが一体それを見せろと言うのか。そのことについて想定されるのか。刑事局長、後にしてください。まず提案者の方からお答えください。 <0116>=衆議院議員(上田勇君)= 今、委員の想定されているケースというのが必ずしも十分わかりませんが、令状によって傍受を始めた後に、犯罪に関係する通信が一切行われなかったという場合を想定されておられるのかというふうに理解します。 <0117>=小川敏夫君= その中に乱用があった場合のことを言っているんです。 <0118>=衆議院議員(上田勇君)= その場合には、犯罪に関係する通信が行われていない、乱用ということに当たらないというふうに思います。 <0119>=小川敏夫君= 私は乱用の防止策について聞いているんですよ、乱用の防止策。だから、絶対乱用がないという前提のお答えじゃないですか、今のは。じゃ、どうぞ刑事局長、お答えください。 <0120>=政府委員(松尾邦弘君)= 大分議論が錯綜しておりますので、今のお尋ねは、修正部分というよりもむしろこの原案の骨格にかかわるところでございますので、私からお答えした方が適当かと思います。 <0121>=小川敏夫君= 端的に答えてください。 <0122>=政府委員(松尾邦弘君)= それで、先生の御質問の核心の部分は、傍受記録に載ったものだけに通知が行く、それ以外のものは通知が行かないんだと。ですから、傍受記録が作成されないケースについては通知がないだろうと、これはおっしゃるとおりでございます。  問題は、先生はすべてが乱用に当たる場合とおっしゃいましたけれども、これはなかなかちょっと受け入れがたいところでございまして…… <0123>=小川敏夫君= いや、そういうケースを想定しての話です、乱用の防止について。 <0124>=政府委員(松尾邦弘君)= 傍受をしました、スポットモニタリングを繰り返しましたがヒットしないということですね。そうなりますと傍受記録は作成されません。ただし、原記録は作成されますので、それは裁判官の手元に行きます。  問題は、そういったケースについてどうするのかという問題なんですね。それでさまざまな議論がありました。一つには、裁判官にそういうヒットしないケースについてその原記録を全部チェックさせたらどうだというような議論がもちろんあったわけでございます。つまり、先生の御質問の核心はまさにそこの問題でございます。仮に通知の当事者がいなくて原記録が裁判所に保管されたままだとこれは死んでしまうじゃないかという御議論がまさにありまして、それが議論の中心になったわけでございます。  それに対しまして、この法案の立て方は、そういった場合に二つの理由がございます。  一つは、司法当局にその傍受の記録自体を全部当たらせるというようなことが適当なのかどうか。つまり、この中には、まさにスポット的に聞いている部分、しかも犯罪に関係しない部分でございますから、むしろ犯罪当事者の犯罪に関する通話やそれに関連する諸状況についての会話等ではなくて、まさに犯罪に関係ないプライバシーの部分そのものの記録ということになります。これを裁判官に全部聞かせるのかどうかという判断が一つあろうかと思います。  そこまでさせる必要があるかどうかというのは、最終的にはこの法律の中で適正手続がどういう形で保障されているのか、そこまで裁判官にやらせないと危ないのかというような判断の問題でございまして、そこはもう最終的にそれぞれのお立場で異なる結論になるということもあり得るわけでございまして、先生は今、一方のそれはまずいじゃないかと、そういう場合でも、要するに、極端に申し上げると、何らかの手当てが必要だということになりますと、当面考えられるのは、裁判官に全部聞かせるということになろうと思います。  そうしたことをとるべきであろうというような御議論もあることはわかりますが、ただ、我々といたしましては、法案全体の中で適正執行の手続全体がいろんな形で保障されておりますので、そうしたことを全体的に勘案しますと、裁判官にそんなことをしてもらうまでもないだろう。つまり、そこまでプライバシーに裁判官が踏み込んでいくということのマイナス面もございますので、そうした制度はとらない方がよかろうということで、確かに、先生のおっしゃるように、何らの通知も行かないケースも想定されるわけでございますが、そうしたケースについては、具体的に当事者のアクションがある、あるいは裁判等でそれが仮に問題になった場合にチェックできるようにしておけばよろしいだろうという制度をとったということでございます。  今の御議論の核心は、まさにそこのところの価値判断の問題ということに帰するんじゃないかと思います。 <0125>=小川敏夫君= 私の質問していないことを勝手に答えて、それが私の質問の核心だと言われても困るんですけれども、私の質問は、つまり何度も言うように、捜査官が仮に乱用に及ぶようなことがあってはいけないから、それができないような制度的な担保が必要だ、その制度的な担保がこの法律案あるいは修正案において確立されているのかという観点から聞いておるわけです。  それで、実際に捜査官が乱用した場合に、立会人がその場でチェックできないことはもうお認めになっておるわけです。じゃ、事後的にそれをチェックできる方法がないかと言っておるわけです。それを私は言っておるわけですよ。  捜査官が乱用したら、その部分に関して傍受記録をつくらない、極端な場合には、その原記録の中の全部について傍受記録をつくらない、そういう場合だってあるでしょうと。そういう乱用の場合に、通知も行かないから傍受されたことも知らない。傍受されたことも知らない人が準抗告を起こすわけないし、後に裁判も起こされないんだから、その通信の内容が乱用に及んだかどうかは判定される場面がない。それから、立会人が幾ら書いてきたって、それを読んだ裁判官がみずから職権を発動して動くこともできない。そうすると、結論的に、捜査官が乱用してしまった場合に立会人はそれを防止できない、チェックできない。それから、後から裁判所がそれをチェックすればいいと言うけれども、裁判所がチェックできる場面がないじゃないですか。  ですから、私、もう一回聞きますよ。通信の傍受がされた、その中で傍受記録が全然作成されていない、そういうケースの乱用があった。その場合に立会人がチェックできない。ここからが質問です。じゃ、事後的に裁判官がチェックできると修正案提出者はおっしゃいましたけれども、どういう手続で裁判官がチェックできるんですか。私はチェックできる方法がないと思っています。この法律上ないし刑事訴訟法上もない。私はないと思いますよ。あなた方もゆっくり考えれば、どうですか、あると思いますか。  先ほどあると言ったんだったらお答えください。まず提出者の方に、局長には後から同じ質問を聞きますから、先ほどあると言われたんだから、先ほどの質問の中で、後で裁判所がチェックすればいいと言われたんだから。もう一度聞きますよ。裁判所がどういう手続でやるんですか。 <0126>=衆議院議員(山本有二君)= 先生おっしゃるように通知されないわけで、その中で捜査官が乱用をするというお話ですね。  原記録はスポットモニタリングの記録も全部載っておりますし、先ほど上田答弁者が言われたように、複製も閲覧もそこでできるわけでして、知らない人ができないというと、知らない人がどういう不服を、不服というか、原状回復やら権利回復を求めるのかわかりませんが、ともかく乱用をしたという事実だけがある場合は、捜査官の通信の秘密の侵害罪がありますし、あるいは捜査官が違法なことをしたという意味では、一般的な公務員の法規等々あるいは検察庁や捜査機関の内部規定等で十分私はチェックできるというように思っています。 <0127>=政府委員(松尾邦弘君)= 今の修正案提案者側の説明もそのとおりだろうと思いますが、問題は、傍受令状をとって傍受しました、しかしヒットしなかった件も、それは確かに抽象的にはあり得ると思います。ただ、その点も、原案の作成者としましては、かなり絞り込んだ傍受を行いますので、まれなケースというふうに御理解いただきたいと思います。  それで、まれなケースはじゃどうするのかという問題です。方法はいろいろありますが、大きな方法として二つあると我々は考えました。  その場合に、先ほど申し上げた、裁判官が事後に原テープを全部もう一度聞いてみる、それで適正執行がなされているかどうかをチェックするという仕組みをつくることも、それは理念的には考えられることでございます。  それからもう一点は、そういった場合には何らかの通知をするようにしたらどうか。先生おっしゃるように、今の仕組みの中では通知は行かないということになりますので、そういった場合に限って、それはだれに通知するかという問題等がありますが、通知をしたらどうかという、この二つの問題がその解決策だろうと思います。  それで、まず第一の点につきましては、先ほども申し上げましたが、裁判官にそういうふうな負担を課すること、あるいは司法がそういう形で全面的に原記録に当たるということの当否の問題、それについては我々は消極的に考えました。  二番目は、それでは何もヒットしない場合に何らかの通知をするのかどうかという問題です。これもなかなか難しい問題ですが、一つは、だれにするのかという問題で大変悩ましい問題があります。  例えば、電話といいましても名義人がいます。実際に使っている者がいます。それも複数います。そういうケースももちろんあるわけでございまして、それじゃその名義人に通知をするのかということになりますと、必ずしも利用している者にはなりません。あるいは被疑者かといいますと、これは捜査の密行性等の問題もありまして、被疑者が不詳の場合にじゃどうするんだろうという問題もあります。あるいは電話の使用者が特定されない場合にどうするのか。  そんな問題も含めまして、通知というもの一つを考えましても技術的にもなかなか難しい問題がございます。それ以上に捜査の密行性の問題がございまして、そうした場合も含めて通知をするのかどうかというマイナス面、つまり何らかの形で対外的に捜査の内容を明らかにすることになりますので、そういったマイナス面もあります。  そういったマイナス面と、この法案に盛り込まれております適正手続のためのさまざまな工夫、これを全体としてお考えいただいて、今先生の御指摘のような件が確かに抽象的には考えられますが、その対策として何らかの方法をここに盛り込むというのは適当ではないというふうに考えて法案はそうなっているということですので、そこの比較考量の問題は確かに御指摘のようにあろうかと思いますが、結論としてはこの法案はその場合の通知制度はとらなかったということで御理解いただきたいと思っています。 <0128>=小川敏夫君= 要するに、仮に捜査官が乱用に及んだ場合、それを裁判所が事後的にチェックすればいいと言うけれども、乱用の部分に関しては裁判所が事後的にチェックできる部分がないのではないかという指摘に関して、先ほどの修正者の答弁も、それを認めた上で、仮に捜査官が乱用すれば捜査官の犯罪になるんだからいいんだ、こういうお考えに承りました。  それで、刑事局長のお考えも、ないんだと、ないんだけれども、それで僕の本会議での質問で、裁判所に聞かせればいいじゃないかという僕の提案を先取りして、そういう必要性はないんだというふうにお考えでしたけれども、ただ結論的に言えることは、要するに捜査官が乱用した場合、立会人はその場でチェックできない、その部分に関しては結局は事後的に裁判所もチェックできないんだ、こういう構造になっているのが本法案だというふうに私は意見を述べさせていただきます。これはもう再三議論をして、これ以上議論をすりかえられても困りますから。  それから、捜査の密行性ということが出てきましたが、警察官が乱用のための工夫を凝らすと、やはり非常に危険な法律であると思うんです。例えば、傍受記録を作成した、当然通知をしなければならないというふうにありますね。一方、その原記録は裁判所に保管されている。捜査官が事後的に捜査の必要性といいますか証拠とするために、つまり事後的に傍受記録を作成するために原記録の複製を求めることができるわけです。  そうすると、捜査官が犯罪に関する通信を傍受した、だから当然その部分は傍受記録にしなければならないんだけれども、傍受記録を作成すると通知しなければならない、通知するとちょっとまずいなと。じゃ意図的に傍受記録をつくらないでおいて、傍受記録をつくらなければ通知しなくていいんですから、それで半年か一年かたったら、裁判所に原記録があるから行ってその部分の傍受記録をつくってもらおうというようなことで、工夫を凝らせば傍受手続の通知制度も非常に抜け殻になってしまって機能しないんです。  刑事局長どうですか、こういう私の乱用するためのアイデアは。 <0129>=政府委員(松尾邦弘君)= まず、この法案自体が乱用についていろいろなチェックを置いているというのは先ほどから申し上げてまいりましたが、その場合には、二十二条の第五項には「検察官又は司法警察員は、傍受をした通信であって、傍受記録に記録されたもの以外のものについては、その内容を他人に知らせ、又は使用してはならない。その職を退いた後も、同様とする。」という歯どめの規定を置いております。  今御指摘のようなことでありますと、明らかに違法な電話傍受ということが言えようかと思います。それをやりますと、この法案では警察署長クラスの者が請求し、県警の本部長が決裁をする、ある意味では警察全体としてその責任を負うという体制をとっております。  それから、今先生も御指摘のとおり原記録というものがございまして、それは裁判官の手元に保管されまして、傍受の実態は明らかになっておりますので、それについて裁判等の場で、あるいはその当事者のアクションが起こされるとした場合には違法な執行であるということが明らかになりますので、厳しい処分がされるということでございまして、そうしたことによって担保されているというふうにお考えいただきたいと思います。 <0130>=小川敏夫君= どうも私の質問、つまり私が言った乱用のアイデアに関して、それが法律上禁止されているかどうか明確なお答えがなかったんですが、少なくともこの法律上それを禁止するという明文がないから、この法律の構成上できると思うんですが、これは解釈の問題になるから結構です。  次に、質問が変わりますが、通信の傍受を行って、その通信の記録の原記録は裁判所に行くわけです。それから、同じ内容のものを捜査官が持ち帰るわけです。持ち帰って、その中から刑事手続に使うものは傍受記録に作成するわけです。それ以外のものを消却しろ、こういう構成になっている。  それで、捜査官がまず通信の記録を持ち帰った段階で、あるいは傍受記録を作成するその作業の中でそれの複製をとること、あるいはその内容をメモすること、これはこの法律上禁止されていないですね、されているかどうかだけお答えください。 <0131>=政府委員(松尾邦弘君)= 傍受記録を作成するまでの間のメモ等については、これを禁止する規定はございません。 <0132>=小川敏夫君= そうすると、また私は乱用のアイデアが浮かびました。メモするわけですよ。つまり、刑事手続に使うもの、傍受記録以外のものは消さなければいけない、だから消しちゃう前に全部メモするわけです。それでこの法案を見ますと、そうした傍受記録作成部分以外の現物あるいはその複製、これは消去しなさいという法律の規定があります。ただ、法律のその規定を読みますと、複製とは、通信の記録の全部または一部をそのまま記録したものが複製だと言っているわけです。  では、かかってきた女はこれは愛人だと、愛人はどこに住んでいるかとか、そういう中身のエキスをぱっぱっぱとメモしたもの、これは消去すべき複製に当たるんですか。 <0133>=政府委員(松尾邦弘君)= それは該当します。 <0134>=小川敏夫君= 私が事前に刑事法制課長に電話して確認したときには当たらないというふうに回答をいただいたんです。この法文上も、二十二条の第四項、いいですか、「複製その他記録の内容の全部又は一部をそのまま記録した物」ですよ、複製とは。  ですから、通話の相手は愛人何子だと。いいことを聞いたと思って私がメモをした。それは当たるんですか。この条文上、当たらないように思うんですが。 <0135>=政府委員(松尾邦弘君)= この条文をごらんいただきますと、第四項は「複製等」の下に括弧がありまして、「複製その他記録の内容の全部又は一部をそのまま記録した物及び書面をいう。」というふうになっております。  したがって、例えばある女について、女房以外にこういう女性がいますよという話がわかった場合に名前を書きますね。その名前そのものが、この解釈として記録の一部というふうにみなされる場合には、その書面はここで消去しなければなりません。  ところが、会話の概要を書く。例えば、そのまま書かないで大体こんなような内容だということでそれを要約したもの等でございますと、それについてはむしろ五項の問題でございまして、「検察官又は司法警察員は、傍受をした通信であって、傍受記録に記録されたもの以外のものについては、その内容を他人に知らせ、又は使用してはならない。」と。それを何らかの形で利用することについてはこちらで歯どめをかけるということでございます。  いずれにいたしましても、記録をそのまま転写したみたいなもの、速記録みたいなものあるいはそれに類するもの、今言ったように、名前なりなんなりを全部書き抜いてそれを予備的に持っているというようなもの、つまりこの法案として、記録の内容の全部または一部をそのまま記録したというふうにみなされれば四項の問題になりますし、そうでない抽象的なメモ等でございますと五項の問題になりまして、いずれにしてもその使用は禁止されるということでございます。 <0136>=小川敏夫君= ですから、その前に何かメモが当たるような答弁をされましたけれども、実際に通信の内容を要約したメモは当たらないんですね。だから、消去しなくていいわけですね。  それから、それは五項の場合で、他人に知らせ使用してはならないという規定が引っかかるということでしたけれども、他人に知らせ使用してはならないといっても、捜査官の手帳の中に次の捜査のための情報収集資料としては残るわけです。  ですから、要約のメモが、捜査官がメモしたことが許されて、それがずっと残るんだったら、この消去の規定はしり抜けだと思います。  それから、法務大臣にお尋ねします。  法務大臣は、その点に関する私の本会議の質疑に関して、メモその他も消去しなければならないと答弁されているんですが、その点いかがですか。この答弁は間違っているんじゃないですか。  法務大臣に聞いているんです。法務大臣の答弁を。 <0137>=政府委員(松尾邦弘君)= 先生のおっしゃるのは二十二条四項の「複製等」の解釈の問題でございます。 <0138>=小川敏夫君= あなたには話を聞いたから、いいです。 <0139>=政府委員(松尾邦弘君)= 例えば、メモであっても複製であればこれに当たりますし、複製でなければ五項で、いずれにしても捜査その他にも当然使ってはいけないということになるわけでございます。 <0140>=小川敏夫君= 私は本会議の質疑で、通信の記録の消去のほかにメモ等も消去する必要があるんではないですかと質問したわけです。それに関して大臣は、「これが捜査機関の手元に残り利用されることがないよう、それがメモであってもすべて消去しなければならないものとするとともに、捜査官がその内容を使用することなども禁じております。」と。  つまり、「メモであってもすべて消去しなければならない」とあなたは本会議質問で答えているんです。これは間違いを答えたんですか、本会議で。 <0141>=国務大臣(陣内孝雄君)= これは二十二条の四項に、先ほど来論議されておるところでございますけれども、「複製等」の中に「書面」というものを明示しておりますけれども、これについては「その記録の全部を消去しなければならない。」ということになっておるということを説明したわけでございます。 <0142>=小川敏夫君= はっきりメモと言っているんですよ。全文を、通信の内容をそっくりそのまま翻訳したものは普通メモと言わないでしょう。やっぱりその要点を抜き出したものをメモと言うわけでしょう。  ここではっきり言っているじゃないですか。私もその点でメモとはっきり聞いているわけで、大臣もはっきり「それがメモであってもすべて消去しなければならない」と。本会議において間違えて答弁しているんですよ。 <0143>=国務大臣(陣内孝雄君)= 私が御説明いたしましたメモというのは、いろいろメモにも態様があると思いますが、私が申し上げましたのは、きちんと書面というような形で残されたメモという意味で申し上げたところでございます。 <0144>=小川敏夫君= そういう御説明ならそういうふうにきちんとした説明をしていただかないと、やはり日本語としては間違っていると思います。むしろ、間違ったことをそういうふうに何か言い逃れしているかのような印象を受けるんです。  では、また別のことを聞きますけれども、原記録が裁判所に五年間保管されますね。保管期間が終わった後、その原記録はどうなるんですか。 <0145>=政府委員(松尾邦弘君)= これは廃棄ということになります。裁判所によりまして廃棄されるということでございます。 <0146>=小川敏夫君= 私もそうだと思うんですが、ただこの法律を見ますと、裁判所が五年間保管するとだけ書いてあって、保管が終わった後廃棄するという規定がないんです。そもそもこの原記録は、警察が持っているテープなりそういった媒体に記録を入れたんだから、所有者は警察です、あるいは検察かもしれない、捜査官側ですね。  普通の物事の常識は、保管が終われば所有者に返す、司法における物品の扱いでもどこでもそうなんです。そうすると、五年間保管するとだけしか書いていないんだから、五年間保管が終わった後、物事の常識で考えれば所有者である警察に返すことになると思うんですが、刑事局長が言われたように、裁判所において廃棄するということは少なくともこの法律に書いていないんです。私はこの法律の欠陥だと思うんですが、いかがですか。 <0147>=政府委員(松尾邦弘君)= そもそも原記録をこの制度の中へ組み入れた趣旨は、適正担保のための司法チェックということの原資料になるものでございますので入れたわけでございます。これは裁判所に提出された段階で、警察、捜査官の手元から裁判官の手元に移るわけでございますので、その趣旨と、それから、二十七条では保管をするというのは五年間だということを明示しておりますので、これが警察官あるいは捜査官の手元に返るということを法律では全く予定していないということは、格別明示するまでもなく当然のことでございます。 <0148>=小川敏夫君= 私も当然のことだと思います、だけれども法律に書いていないんだから。法律の世界では所有者に返すのが当然のことです。ですから、これは法律がそのことを規定し忘れた欠陥だと思います。  所有者の所有権を没収して廃棄するんだったらそのことはやっぱり法律にきちんと書かなくちゃいけないわけです。だから、趣旨はわかります、もういいです、その点は。 <0149>=政府委員(松尾邦弘君)= 一つだけ。 <0150>=小川敏夫君= どうぞ。 <0151>=政府委員(松尾邦弘君)= いずれにいたしましても、この法律が成立いたしますと、その必要な細則等はそれぞれ決められることになりますので、最高裁判所当局も廃棄の仕方等につきましては当然その規則で定めるということが予定されておりますので、先生の御懸念は当たらないだろうと思います。 <0152>=小川敏夫君= 裁判所規則は手続を定めるだけであって、人の所有権を処分するようなそういう実体的なことまでは規則で決められないと思うんですが、これ以上議論しません。  それから、私が質問する前に局長が答えられた、原記録が裁判所に送られてきたら、それを裁判官がチェックすれば捜査官の乱用がすべて白日のもとにさらされるから、私個人は非常にいい制度だと思っているんです。これに関して刑事局長が、裁判官がまた通信者のプライバシーを知るようなことがあってはかえって通信の当事者に不利益ではないか、このようなことを申されました。  それに関して聞くんですが、原記録と同じ通信の内容を捜査官が、警察なら警察が持ち帰る、そこで傍受記録の作成作業をするわけです。当然テープを聞かなくちゃいけない。それに関する規定が全然ないわけですから、例えば通信の傍受記録を作成する作業ということで捜査会議を五十人集めて開いてそこで聞かせたって、それはこの法律上禁止されていないですね、どうですか。 <0153>=政府委員(松尾邦弘君)= 具体的にどういった形で傍受記録を作成するのかというのは、当然その法律の予定している姿というものがありますので、それを例えば公表に近い形でテープを流しながら聞くなんということは全く想定されておりません。ただ、捜査の必要がありまして傍受記録をつくる際に、関与した捜査官というのは、例えば電話傍受でありますと相当な大人数の警察官がこれには関与することになりますので、当然原記録から傍受記録を作成する際の作業というのはかなりの人数の警察官が関与するということはあり得ることでございます。 <0154>=小川敏夫君= ですから、捜査官が非常に多人数にわたって通信の内容を聞くわけですよ。それで、何か裁判官が、あるいは裁判所の書記官でもいいですよ、一人がその記録を聞くことはその通信の内容を聞く人がふえてプライバシーが侵害されると言うけれども、裁判所の職員が一人聞くだけでプライバシーが広く侵害されるような先ほどのお話は、私は納得できないんです。  そもそも裁判所は、裁判官は、令状を発付するという形で被疑者や被疑者周辺のプライバシーやその記録というのはわかっているわけです。その裁判所の裁判官なり書記官なりが後で来た通信の記録を全部聞いたって、それがそこに録音された人のプライバシーの侵害になるとは私は考えられないんです。考えられるとしても非常に微弱な侵害であって、むしろそのことによって守られる傍受の乱用防止というプラスの方がそれこそ数倍、数十倍大きいと思うんですが、この点は局長いかがですか。 <0155>=政府委員(松尾邦弘君)= これも先ほど申し上げたところでございますが、まず前提としまして、この傍受そのものはかなり絞り込んだ形で行われますので、それが全くヒットしないということはなかなか想定されない。しかし、理念的にはあるだろうと言われますとそれはそうだということになりまして、先生の今の御議論になるわけです。つまり、そういう前提の状況の中でお考えいただかないとまずいけないということ。  それから二番目には、この法案そのものは適正手続の担保をいろんな形で置いております。その傍受原記録に当たる場合は、裁判で用いられる、あるいは通知が行った当事者から聞きたいということで原記録にアクセスがあるというような形のときに原記録がコピーされたりあるいはメモされたりということになります。それで不服がありますと、裁判官はその原記録あるいは関係者から事情を聞くなりして、適正手続が行われたかどうかということをチェックする仕組みになっているわけでございます。  そういった仕組みの中で全然ヒットしない場合はどうするかというのは先ほど申し上げた議論になるわけでございますが、そういうまれなケースであり、かつ今言ったような適正手続の担保というのがいろんな形で置かれているという制度の中で、そういったまれなケースについてまで裁判官に全部原記録に当たらせてその内容を審査させるということが適当かどうかという判断でございまして、これも先生の御議論にもございましたが、いろいろな御議論があるところではございますが、制度全体をお考えいただければ、そこまでの負担を裁判官にかける、あるいはそこまで裁判官に聴取させることは、プライバシーとの権衡の問題等を考えればそれは制度としては設けるべきでないという結論でございます。 <0156>=小川敏夫君= 例えば、立会人が常時通信の傍受の間立ち会うという、三十日間ずっと傍受すれば三十日間二十四時間立ち会うという大変な苦痛を民間の人には強いているわけです。  一方、裁判所というのはある意味では人権を守るとりでです。先ほど言いましたように、立会人が傍受の乱用をその場ではチェックできない。それから、その通信の当事者、電話を傍受された人間は、乱用がされた場合にはそのこと自体知らないんだからチェックしようがないわけですよ。残るのは裁判所しかないじゃないですか。  例えば、三十日間二十四時間通信傍受したって、その時間全部がテープに録音されているわけじゃないわけです。通信があったその部分しか録音されていないわけです。ですから、実際に来る原記録というのはそれほど膨大な量じゃないし、そもそも通信傍受がなされる件数そのものも非常に少ないと予想されているわけです。そうすれば、裁判所の受ける負担というのは非常に軽微であると思う。少なくともそれを立会人が三十日間ずっと立ち会えなんて、民間人が受ける不利益に比べれば、裁判所が受ける負担などというものは軽微なものだ。しかも、人権を守るというその職責を持っている裁判所がやることは大変に好ましいことじゃないかと思う。  それから、先ほど私が言ったノーチェックじゃないかということに関して、刑事局長はしきりに非常にまれなケースだからとおっしゃる。でも、これは発想が違うんです。まれなケースであってもそのノーチェックができるのであったら、では今度はそのまれなケースを利用して、乱用する知恵を働かせてまれなケースにしてしまえばいいわけでしょう。さっき言ったように、そこにいい犯罪の証拠があったといったって、傍受記録をつくらなければいいわけです。本当に必要だったらそのことをメモしておいて、一年後、二年後に裁判所に行って原記録からコピーをとればいいだけですから。  だから、捜査官はテクニックで傍受記録をつくらないということだってできるわけです。そうすれば、それがまれなケースだといったって、そういうノーチェックだ、そのノーチェックがあれば結局は乱用というものがされてしまうじゃないですかと思うんです。  だから、そういう乱用ができるような方法、そのノーチェックな方法を残しておくことが、すなわち乱用防止の制度的な保障がなされていないということになるんですが、局長、いかがですか。 <0157>=政府委員(松尾邦弘君)= 前提として一つだけ確認させていただきたいんですが、この法案の二十五条の第六項でございます。これは、まず傍受記録に落とさなかった場合、しかし捜査の進展によって、スポット的に聞いて関係ないと思ったものも、実はあれはどうも今回の犯罪の嫌疑に関係があるということに気づく場合ももちろんあるわけでございます。そういった場合は、捜査官は裁判所の持っております原記録をさらに聴取しまして、その部分だけ捜査官が持ち帰る記録に落とす、これは二十五条の六項で傍受記録になりますので、当然当事者には通知しなければいけません。その点をまず前提として御理解いただきたいというふうに思います。  捜査官が乱用する場合ということをずっとおっしゃっておられますが、一つは、後ほどそれを利用するつもりでそもそも傍受記録に故意に落とさないということになりますと、それはこの法律ではもちろん違法な行為になりますし、それを最初から意図して、つまり正規の手続で適正に電話傍受するつもりでなくて、当初から令状をとって違法な傍受を行うということになりますと、これはもう全体として違法性が強いということで、むしろ三十条に規定しております懲役三年以下のいわゆる盗聴の部類に属する話というふうになりますので、違法性が甚だしい場合、あるいは形式的にこの手続に乗るけれども目的は全然最初から別にあるというようなことでありますと、これは法律は許すわけではございません。それはもうまさに違法な行為として刑事事件になるということでございます。その点はぜひ御理解いただきたいと思います。 <0158>=小川敏夫君= 今、乱用防止の制度的保障について聞いているわけですから、仮に捜査官がそういうことをすれば懲役三年以下の処罰をされるんだからやらないはずだと言うのだったら、これはもう議論にならないわけですよ、制度的保障の問題とは別の議論ですから。  ただ、警察官の共産党幹部に対する盗聴事件だって、あれはやれば犯罪でしょう。だけれども、やっているわけです。あるいは私が本会議で質問した調書の捏造、これは虚偽公文書作成罪です。やれば犯罪です。あるいは懲戒されるでしょう。そういう処罰される、懲戒されることになっているけれども、実際にやられているわけです。だから、やれば処罰されるということは、今の乱用防止の制度的保障の議論とはまた別の問題なわけです。(発言する者あり)  委員長、何か関係ない人がしゃべっていますけれども。委員長、服部委員に発言を許可したでしょうか。 <0159>=委員長(荒木清寛君)= 質問をお続けください。 <0160>=小川敏夫君= 最後の質問になるわけですけれども、結局私が言ったのは、まず傍受記録が正常に作成されない場合もある。まれなケースでもあると言われた。その場合にはやはり裁判所はノーチェックだ。それから、さらに警察官が、じゃそういう方法があるんだ、傍受記録にどうしてもしたい場合には後からやればいいんだというテクニックを凝らした場合に、やった場合には、警察官がそれをやれば犯罪になるからやりませんという議論じゃだめなんです。  法律上、そういうことをやればすぐばれる、あるいは絶対やれないような制度的保障がこの法律になされているんだということを説明していただかなくちゃいけない。  この質問を最後に、私の質問を終わります。 <0161>=政府委員(松尾邦弘君)= どうも先生の御質問は、結局午前中の論議の冒頭に戻るような感じがいたします。つまり、いろいろな仕組みを考えても、結局それを守らない者がいるじゃないかという議論だろうと思います。  それについては、先ほど申し上げましたように、この法律の中にそういったこともある可能性もあるということでいろいろな担保を置いているということでございまして、個々には触れませんが、当然先生のおっしゃるような事例についての対応もこの中では十分にされているということでございます。その細かいことは、午前中を通じてずっと申し上げてきたいろいろな点をお考えいただければ御理解いただけるのではないかと思います。 <0162>=委員長(荒木清寛君)= 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会 <0163>=委員長(荒木清寛君)= ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 <0164>=大森礼子君= 公明党の大森礼子です。  きょうは、私にとりましては初めての質問になりますので、まず最初に、私ども公明党、そして私がどういう立場から質問するかという、これを少し明らかにしておきたいと思います。  昨年三月十三日に当時の与党が提出いたしました政府原案は、これは一言で言えば、あれば捜査に便利との安易な発想によるものであると思います。証拠収集の方法としての代替性の有無などの検討がなく、乱用の危険が極めて大きなものであったと思います。そして、公明党は政府原案については一貫して反対の立場をとってまいりました。浜四津代表代行が反対を主張したのも当然でございます。  私たちは、ある法律案に対しまず賛否を決めなくてはいけません。採決に賛成するか反対するか。この時点では反対という態度でございます。政府原案に反対すること、これがイコール憲法二十一条二項の例外は一切認めないとか、どんなケースにも通信傍受を一切認めないということにはなりません。  修正案に反対する政党で、通信の秘密の例外は絶対に認めない、あるいは通信傍受という手法は一切認めないという主張をするところがありましたならば、明確にこの委員会冒頭でその旨を明らかにしていただきたい。もしかすれば、基本的立場は私たちと異ならないかもしれないからであります。また、そのような各会派の見解といいますか、立場を明らかにすることが以後の質問の意味内容を理解する手助けになると私は考えております。  まず、覚せい剤を初めといたします薬物が暴力団関係者のみならず一般の主婦や青少年にまで使用が拡大しているという現実に対しまして、国が対策を講ずるのは当然のことであると考えます。  そして、いわゆるマネーロンダリング規制法案、これが犯罪組織による犯罪収益の剥奪を目的とするものであるとするならば、その犯罪収益の多くを生んでいるのが暴力団による薬物犯罪でございますから、その薬物の売買を規制しようとすることは当然のことであると私は考えます。  問題はいかなる方法でこれを規制するかということで、ここで通信傍受法という一つの法案が出てきたわけでございます。  薬物犯罪を規制するにはどうしたらいいか、こういうふうな観点から私どもはその犯罪摘発の方法として通信傍受という方法が必要不可欠なのかという検討をしてまいりました。そして、極めて限定された犯罪について、捜査手法として例外的に通信傍受を採用することは許されるし、必要である、こういう結論に達しました。これは党内の法務部会で何回も何回も議論を重ねまして、党独自の見解としてまずまとめ上げたものでございます。それが今回の修正案として採用されたものであります。  公明党は変節したとか、こういう批判が他党からございますけれども、公明党は党独自の立場からあるべき通信傍受の方法についての党の見解を示したわけでありまして、もし私たちが変節したというのでありましたならば、組織犯罪対策について通信傍受という方法を認めないならばどういう有効な捜査手法があるのか、これを示さない政党、それから通信傍受についてもこういうふうに修正すればいいのではないかとか、こういう立場を明確にしない政党というのは、これはむしろ私は怠慢ではないかというふうに言わせていただきます。  いずれにしましても、各党、一切認めないのか、条件つきで認めるのか、条件つきで認めるとして従来の検証許可令状の運用にゆだねて立法措置を認めないのか、立法措置は必要だが政府原案同様修正案には反対だというのか、これがいまだ明らかでないように私には思えてなりません。  このようなことになりましたのも、政府原案が余りにも広範な犯罪対象等を認めておりましたために、各党とも、うちの党も含めてですけれども、その阻止のためにエネルギーを集中させ過ぎたからであると私は思います。本来冷静に検討すべき組織犯罪対策や、あるべき通信傍受法の議論を空洞化させたことをとても残念に思います。  組織犯罪対策、これはとりわけことし上半期でも既に一トンを超える押収量があるということです。〇・〇三グラムを一発分として三千二百万発分ぐらいに相当すると言われておりますが、私が仕事をしておりましたときには、使用は大体〇・〇二グラムが多かったなと思うんですが、これはささいなことであると思います。非常に大量の覚せい剤が押収されている現実がございます。薬物汚染から国民を守るために各党はいかなる対策を提示できるのか、これもこの委員会で審議すべきこと、検討すべきことではないでしょうか。  いろいろ議論を聞いておりまして思うことは、通信傍受法案は組織的な犯罪、とりわけ私どもは薬物犯罪というのを強調したいわけですけれども、この摘発のための手段であります。目的のための手段でございます。議論が手段の細部に拘泥する余り、通信傍受という手段を与えないならば、目的である組織的犯罪対策として他にいかなる有効な方法があるのか、こういう議論がなされないとしたならば、これは非常に残念なことであります。これは国会の議論の中で各党は明らかにすべきです。この部分の検討が欠落していることを指摘させていただきます。  なぜこのようなことを申しますかといいますと、午前中の議論で、民主党の小川委員の方から乱用のおそれということで、例えば通知等すべて行かなかったならば、事後的なチェックをどうするのかというやりとりがございました。  私、実は伺っておりまして、小川委員が意図するところをわかっておりました。要は、全く乱用というものをなくするならば、これは一番いい方法は原記録、これは立会人が外形をチェックするわけですが、その外形チェックされたこの原記録を裁判官が全部チェックするというのが一番乱用の危険がないパーフェクトな方法であろうと私も思います。例えば裁判官が全部その原記録をチェックして、ああこれはいいですよというオーケーが出てから傍受記録を作成するとかすれば、これは全く乱用の危険はないわけで、非常にすばらしい方法であると思います。しかし、それが実際できるかどうかということなんですね。  裁判官が忙しいとかいろいろ言われておりますけれども、実際に原記録を全部裁判官がチェックする、すばらしい方法だけれども、これをチェックするとしたならば、現実にどういうふうな問題が起きるかということでございます。その原記録を全部聞くわけですから、捜査機関が聞いたと同じ時間、裁判官はそのテープの再生に張りつけになると思います。裁判官がチェックするんですから、裁判所の書記官におまえちょっとやっておいてくれなんということは許されないと思います。これが果たしてできるのかということと、それから現実にそこまですることが必要なのかという判断があると思います。これは無理であろうと原案作成者も思ったんだと思いますし、私も思います。  そこで、じゃ別の方法はないかということで通知制度、これに一つの事後チェック機能をゆだねたのだと思います。そうしますと、裁判官が事後的に原記録を全部チェックする、これを一〇〇%としますと、この通知による方法ですと、次善の策ですからどうしても一〇〇%満たされない部分が出てくると思います。ここが皆さんが心配されている乱用の危険ということだと思うわけです。  そうすると、裁判官のチェックと通知によるチェックと、その差が必ず出てきます。乱用があるかもしれません。じゃ、これがあるからだめだというのか、それとも一方で組織犯罪対策として、一方で薬物犯罪を防がなくてはいけない、この必要性との兼ね合いでここまでの差ならば仕方がないではないかという、要はこの判断であると思います。  それから、乱用といいますと、余りいいかげんな言い方をしてはいけないんですけれども、人間がいる限りどんなところでも乱用というのはあり得ると思います。これがいいというわけではありません。法律にやはり明文化、条文化する、文章で表現するということですから、微に入り細に入りすべて規定することはできません。そして、人間を我々はコントロールできないわけですから、乱用の危険というのは至るところにあると私は思います。ですから、一〇〇%乱用がない制度なんかはつくるのは不可能だと思います。ただ、いかにそういうことが少ないように努力して規定をつくっていけるか、これに私たちは挑戦するしかないのではないかというふうに思います。  以上、前置きが長くなりましたけれども、こういう姿勢から公明党、質問をさせていただきます。  きょう、実は私にとっては初めての審議で、ほかの方の、特に反対会派の方の意見を伺うというのはとてもいいですね。ああそういう考えがあったのかと気づくことがございます。ですから、本当に精力的に審議を尽くしていかなくてはいけないんだなというふうに私も思った次第でございます。  例えば今まで気がつかなかったいろんなことに気づいてくる。午前中に民主党の角田委員が、憲法二十一条二項、公共の福祉による制限というものは明文として入っていない、これは憲法が絶対的に認めないという趣旨ではないかと。憲法の例外として認めているのは郵便物の差し押さえ、郵便物等といいましょうか、これは刑事訴訟法百条、そして捜査には刑事訴訟法二百二十二条の一項でしたでしょうか、これで準用されております。それから受刑者の通信という例外、例外はこれだけだとおっしゃるのでしょうか。もしそうだとするならば、時代状況というものを考えてみる必要があると思います。  この刑事訴訟法はいつ施行かというと昭和二十四年で、多分この郵便物等の差し押さえもこのころからあったのだと思うんです。それで、例外はこれだけなんだから、通信傍受なんか認めていないんだと言われると、ちょっと待ってくださいよと。その当時、電話というのはどれくらい普及していたのかということです。その当時、携帯電話があるはずもございません。戦時中の官憲の人権侵害の色濃い時代ですら、実は郵便物については、これも通信の秘密の対象ですけれども、例外を認めていた。私はむしろここに意義があるのではないかというふうに思っております。  それからもう一つ、角田委員の質問で非常に納得した部分がございました。角田委員は五条の解釈について聞かれまして、「通信の状況を監視」という意味はどういう意味ですかというふうに質問されました。つまり、中身を含むのであるならばそれが一般市民の一般会話も侵害する、こういう不安を持っている人もいるという質問でございました。これを聞いてやっと私は納得したんです。  といいますのは、修正案というのは原案と変わりがないと簡単に切って捨てる人もおりますけれども、私どもは一生懸命考えました。そして、考えたところ、その修正案が出た後も、何だこんなの変わりないじゃないかと。あるいは修正案を前提としましても、この法律が施行されたその日からあなたの電話は警察に盗聴されていると覚悟した方がいいなんということを言っておる人がおるんですと。監視社会になる、あなたの電話も盗聴されるとか、どう考えてもそういうことにならないわけですから、何でこんな議論が出てくるのか、まさかわざと国会議員がデマ宣伝するわけないし、おかしいなと実はずっと悩んでおったんです。先ほどの質問を伺いまして、ああそうか、そういう解釈のところでわからないところがあったのだから、そういう不安をつくる原因になったのだなというふうに気がつきました。  ですから、やはり国民の皆さんも修正案の中身がまだよくわからないがために、いたずらに不安を抱いておられる方がいらっしゃる。それから、政府原案ははっきり言ってひどかったものですから、あの亡霊にまだ悩まされている方もいらっしゃるのかなと思いますので、本当にこういう審議を通じていたずらな不安は取り除いてさしあげるべきだろう、こういうふうに私は思います。  それで、質問に入るわけですが、民主党さんが質問をされて、反対派はどこら辺が問題だと考えておられるかよくわかりました。それから、修正案に対するほかの批判はどういうものか。一つ手がかりになりますのは、六月十三日でしたか、NHKの「日曜討論」がありまして、民主党さん以外は法務委員の理事、オブザーバーが出た関係がありまして、そこでこういう批判があるんだなということがわかりました。  それで、いろんなところで批判が出てきます。これを前提にして、こういう部分はどうなっておりますかと、修正案提案者の方、それから法務省の方に順次お伺いしたいと思います。  まず最初に、これはNHKの「日曜討論」で、従来の捜査方法でいいじゃないか、こういう意見がございました。検証許可令状による従来の通信傍受の方法で足りる、だから通信傍受法は要らないということだと思います。私ども、党の見解をまとめるに当たりまして、ほかに有効な捜査方法があるかどうか、こういう検討をしていったその結果、対象犯罪を四種類に絞りました。  議論をわかりやすくするために、薬物犯罪ということを前提としてまず質問をしていきたいというふうに思います。検証許可令状で足りるかどうかの前提といたしまして、修正案の提案者の方にお尋ねいたします。ただ、捜査の現場におられた方はいらっしゃらないと思いますので、あとはまた刑事局長に補充していただければというふうに思います。  薬物事犯の検挙、これは末端の使用者等が捕まって、それから上へ突き上げていく上部被疑者への突き上げという方法が通常なわけですけれども、これも含めまして、薬物事犯の検挙、摘発について、通信傍受は必要な捜査手法なんだ、従来の捜査手法ではもう限界があるんだ、こういう点が当然あると思うのですが、これをなるべく詳しく具体的状況に即してお話しいただきたいと思います。 <0165>=衆議院議員(上田勇君)= お答えいたします。  今、薬物事犯につきまして例をという御質問でございます。今回、対象犯罪を四つに絞らせていただいた中で、その薬物事犯というのが私たちとしても最も深刻かつこの対象となり得る犯罪ではないかというふうに考えた次第でございます。  薬物関連犯罪というのは、一般的に組織的に行われるものでございまして、これらの犯罪の準備、実行というのは密行的に行われ、犯行後にも証拠を隠滅したり犯人を逃亡させるなど、そういうようなさまざまな工作が組織的に行われることが少なくないというふうに理解しているところでございます。  大森委員は捜査の現場で長年の経験を積まれていることでございますので、私の方から申し上げるまでもないかとは思いますが、こうした犯罪は、末端の実行者、いわゆる末端の者を逮捕したとしても、その供述による突き上げ捜査などといった従来の捜査方法だけでは、それに関連します、あるいはその指示を出している首謀者等の氏名や関係性、関与等を解明することはなかなか容易ではないという実態がございます。  他方、これらの犯罪において、犯行の準備、実行あるいは犯跡隠ぺい等のために犯人間におきまして相互に指示、連絡、報告等がどうしても必要なわけでございまして、そのためには最近普及の著しい携帯電話を初めといたしまして電気通信が適宜多用されているということが現状でございます。そこで、こうした通信を傍受することというのは非常に効果的であり、その意義は大きいものというふうに私どもは考えているものでございます。  そうした意味で、とりわけ今回限定をいたしました四類型の犯罪、その中でも特に薬物の事件につきましては、それらに対して適切に対処するためには、やはり特別の捜査手法として通信傍受を認めることが適当であるというふうに考えているところでございます。 <0166>=大森礼子君= そのとおりでございます。  薬物犯罪につきましては、例えば十かけたらできるのを二で済まそうと思って便利だという言い方ではなく、やはりこれが不可欠であるというふうに私は思うわけです。  きょうの午前中、民主党の委員が出されました「法学者の声明」がございます。この中に、「通信手段が高度に発展し市民生活に広く根ざしている現在、」と、今現在の状況認識がございます。そのとおりなんです。市民生活に広く根差すということは、これは犯罪者もこれを同時に使ってやるということでございまして、私は思うんですが、いろんなことを考える場合、昔「青春の光と影」という歌がありましたけれども、やはり光の部分と影の部分というのがある。影の部分を見失ってはいけないと思うわけでございます。  それで、この通信手段の発達でどうなったかといいますと、刑事局長に後でチェックしていただきたいのですけれども、まず薬物売買の末端の使用者を捕まえます。供述をとります。だれから入手したということを言います。言わない場合も多いです。相手が暴力団だったら報復を恐れてまず言わないことが多い。仮に供述した場合どうなるか。一方が否認した場合どうなるか。これは密行性といいましてなかなか客観的な証拠というのがございません。パケ、シャブが入っているパッケージですね、これに指紋でもぴたっと残っていればいいんですけれども、そんなものを残すばかはおりませんし、ほとんど物的証拠というのが乏しいわけでございます。  そして、一方が供述しても一方が否認したならば今度は、ここに弁護士さんたくさんいらっしゃいますから法廷でどういうことが起こるか御存じだと思いますけれども、一対一の供述になったときにどちらの供述がより信用できるかということで事実認定がされるわけであります。ところが、しゃべった方も実は覚せい剤を使っておりまして、そういう覚せい剤を使う人間の供述がどこまで信用できるかということがありまして、なかなか一対一で一方が供述した場合でも立証できないという、これも捜査の常識になっております。  今申しましたのが対面売買の場合でございます。そして、電話等が発達しますとどうなるか。よく従来の捜査方法でいいじゃないか、自白をとって正攻法でやれという元検察OBの方もいらっしゃるのですけれども、ちょっと無理な要求だなと思うんですね。内偵捜査でやれといっても、何か怪しいやつだなというので尾行していきます、行き着く場面は何かといったら、携帯電話をかけて連絡をとっている姿じゃないかなというふうな気がいたします。  それから通信手段が発達する、組織犯罪は何人かが連絡をとり合ってやるわけですから、これは本当に電話というのは便利なものでありまして、一緒に話し合っている姿がいっぱい見つかれば内偵捜査等でもできるのでしょうけれども、電話の発達によりまして非常に困難になっております。対面売買のケースが電話によって今なくなって、少なくなってきている。例えば電話で買いたい人が売人に申し込む、そうした場合、あと売る方はじゃどこそこと金を受け取る場所を指定します、金を置きます、それを確認します、もう一回電話連絡をとって、じゃどこそこにブツを置いているからとりに行け、とりに行く、こういうやり方、方法でお互い顔を合わさないケースでこの売買がされているわけです。  そうしますと、使用で捕まった人間にあなたこの覚せい剤どこで入手したのと聞いても、売った人間の顔とか見ていなければわからない。金を置いた場所はどこです、ブツを手に入れたのはどこそこです、それから相手はこんな声でした、そしてあとはその売人の電話番号ぐらいではないかなと私は思うんです。自白とりといってもなかなか売った人間の人物については供述が出てこない。私はこれが今の薬物犯罪の実態の一つではないかと思うわけです。  何か質問する側がしゃべっちゃって申しわけありませんけれども、ただやはりここの現状というものを御理解いただかないと、ほかに方法があるだろう、いやないと水かけ論になりますので、まず理解していただきたいと思って述べたのですが、刑事局長、このようなことでよろしいのでしょうか。つけ加えることがあればつけ加えていただきたいと思います。 <0167>=政府委員(松尾邦弘君)= 覚せい剤の末端の売買が今や対面方式から非対面の方式に基本的に移っているということは、今委員御指摘のとおりでございます。その難しさも委員の述べたことでほぼ尽きているのかなと思います。  一点だけ補充させていただきますと、現在六月十六日段階で、委員御指摘のように覚せい剤の押収量が一トンを超えております。このかなり大量の部分が密輸の段階での押収ということになります。  これについて、今どういう現状にあるかをちょっともう一つの具体例として申し上げたいと思いますが、外国から何月何日にどこどこの港に、あるいはどこどこの組がある外国のここから百キロ単位なり何百キロ単位の覚せい剤を輸入する計画がある。これは今のところそちらの国で把握したところによると、何月何日、例えば大阪の港に入るとか神戸の港に入るこれこれの船が利用されるとか、あるいは瀬取りといいまして、日本近海まで相手国の船で行き日本近海で日本の漁船等がそれをとりに行く、沖合で受け渡しする。これも二通りありまして、直接じかに受け渡しする場合と、もう一つは、特定のポイントを定めて覚せい剤をまず持ってきた船が投げ入れます、それを次に日本の漁船が行って回収するという方法と二通りありますが、そういったやり方でどうも覚せい剤の取引がありますよという連絡が来ます。  その場合に日本の捜査機関はどうするかということなんですが、最近の一番有効な方法はコントロールドデリバリーというやり方をやります。これは国際的にかなり多用されておりまして非常に有効な方法でございます。と申しますのは、神戸の港にその船が入ります。それで捜査機関は監視網をしきます。そうしますと、その暴力団組織、これは恐らく日本の暴力団組織になります、それが大量の覚せい剤を受け取りまして、それを国内の今度は販売ルートに乗せていくということになります。それを監視網をしいて追跡しながら、ある一定の段階で一網打尽にするというやり方です。  これがコントロールドデリバリーという手法でございますが、問題は、我が国はこのコントロールドデリバリーについて諸外国ほど実績がありません。件数が少ないということです。と申しますのは、このコントロールドデリバリーをやるためには、どうしても組織をある程度解明して、肝心なところの謀議についてこれを明確にとらえなきゃいけません。その謀議のほとんどは委員御指摘のように電話等でなされます。直接対面してなど、あるいは暴力団の幹部が一堂に集まってこれをどうしようなんということは今やりません。それは全部通信手段を有効に使ってやるわけですが、この傍受ができませんので、日本はコントロールドデリバリーの相手国としては必ずしも十分な信頼を得ていないということでございます。それでどういうことになるかといいますと、何件かのケースは非常に成功裏にコントロールドデリバリーができまして、かなり幹部まで検挙したケースがあります。しかし、なかなかそれができないということです。  これでひとつ御理解いただきたいのは、先ほど押収量が一トンを超えたといいますが、これは例えば日本の捜査機関がたまたま相手の方で予定している場所に張り込んでいるとか、あるいは予定した漁船をキャッチしましてそれが動けなくなってしまった、投げ入れはしたけれども受け取りに来ないわけです。それが海岸に流れ着いてくる、ビニールに厳重にこん包されて百キロというふうな形になります。ところが、こういうケースではなかなか犯人が検挙できません。これだけ大量な覚せい剤が日本に持ち込まれるという事態にかかわらず、暴力団の中枢まで手が及ばない。  それからもう一つは、仮にコントロールドデリバリーでやったとしても中枢の謀議がわかりませんので、順次追っていきますが、こういう大量の覚せい剤をとりに来るのは暴力団の周辺にいる者にすぎません。暴力団の中枢の幹部あるいはこれに主としてかかわるような中心的にいる者は表に出てこないわけでございます。  そういう意味では、組織防衛が今徹底しているということが言えるわけでございまして、そうした極めて重大なケースについてこの通信の傍受というものは極めて有効な方法である。先生御指摘の末端の使用事案から突き上げていくにも有効な方法であると同時に、大量の覚せい剤が密輸入される現場においてもこれは極めて有効な方法であり、この際、それ以外にここらあたりの幹部を集中的にたたくという方法はないというふうに考えております。 <0168>=大森礼子君= どうもありがとうございました。  私がした説明は、従前と比べて末端部分の突き上げでも非常に困難になってきている、こういう趣旨に理解していただければと思います。薬物事犯、この捜査現状といいますか、お話しいただきました。  そこで、反対される方、結構です、この修正案もどんどん批判していただきたい。知恵を絞ってもっといい方法があるのかどうか考えることも必要だと思います。ただ、それのみならず、こういう現状があるわけですから、もし通信傍受の方法がなくても、もっとこんないい方法があるじゃないかという案がございましたらぜひお示しいただきたい。きっと法務省だって一生懸命考えるだろうというふうに私は思います。  それで質問をもとに戻します。従来の検証許可令状の方法、それによるべきであって、あえて通信傍受法などという法律をつくる必要はないという御主張があります。これを前提に、まず基本的なことですが、通信傍受で検証許可令状によった理由といいますか、これを簡単に説明していただけたらと思います。法務省の方、お願いいたします。 <0169>=政府委員(松尾邦弘君)= 検証と申しますのは、人の五官の作用によりまして対象の存在とか内容、状態、性質等を認識するということでございます。これまで行われました電話の通信傍受は、電話回線を流れる電気信号を音声に変換した上でこれを認識して記録するということでございますので、その性質は有体物の押収を目的とする押収、捜索、差し押さえということではなくて、今申し上げました検証に当たるというものと考えられましたために、過去に五例、検証令状によりまして傍受をした例があるということでございます。 <0170>=大森礼子君= 例えば、新たな証拠物を必要とするようになった場合にどの令状によるかということは過去においても議論がございました。強制採尿ですか、あるいは捜索・差し押さえ令状だったでしょうか、どの令状が適当かといろいろ議論されて、今は捜索・差し押さえ令状に定着している。それは判例によって定着したものもありますし、そして定着していないのが実は私はこの検証許可令状による通信傍受ではないかなというふうに考えているわけです。ということは、やはり令状による場合にはそこにはいろんな限界があるから広くこの方法が普及しないのではないかというふうに思っております。  また角田先生のことばかり言って済みませんが、NHKの討論で角田先生は、哲学の問題としては権力は悪をなすと述べられました。私もそのとおりであると思います。権力は悪をなすという哲学、これを持つと同時に、国家は国民の生命、身体、財産を守る義務があるという哲学も私は持っておりますし、また国会議員は皆さん持っておられるだろうと思います。  犯罪というものは最も直接的な私人による人権侵害でありまして、放置してよいはずがないのであります。そして、権力は悪をなす、なしやすいからこそ、これを国民があるいはその代表である国会議員が監視するのが当然でありまして、だからこそ憲法三十一条が法定手続というものを保障し、刑事手続で恣意的な運用を許さないとしたのだと思います。つまり、手続は法律で定めると規定したのだというふうに思っております。  通信傍受を一切認めないという立場をとるのでなければ、権力を監視するために厳格な手続を法定するのが私は正攻法ではないかというふうに考えているわけなんです。それで、判例の運用だけでいいのかどうか、むしろこれは権力は悪をなすという思想とは矛盾するのではないか。申しわけございません、違うかもしれませんが、こんな気もするわけです。  それで、要は判例が示しております検証許可令状による方法が本当にいいのかどうかということについて少し質問したいと思います。  検証許可令状による通信傍受については、むしろいろんな問題点が弁護士さんとか法学者の方からも指摘されていたように私は思うのです。どういう問題点があったのか、できれば詳しく教えていただきたい。それから、要は通信傍受法もこれは人権にかかわるということで論議されているわけですから、むしろ検証許可令状による方法は人権の見地からもいろいろ問題点があると指摘されていると私は思っております。どういう問題点が指摘されているか、これを法務省の方にお尋ねいたします。 <0171>=政府委員(松尾邦弘君)= 検証による通信傍受は五例あるわけでございますが、先生御指摘のとおり、法律においてその具体的な要件等が定められておりません。個々の事案ごとに令状の請求を受けた裁判官が判断するということになりまして、まずその指摘の第一点は、その運用も区々にわたるおそれがあるということが言われております。また、検証令状による場合には対象犯罪等に限定がございません。また、傍受の実施の方法あるいは記録をつくるのかつくらないのか、つくってだれが保管するのかといった記録の作成、保管。それから三点目には、通知等の事後処置はどうなるのかということが法文上では明らかになっていないわけです。そのほか、不服申し立ての手続など関係者の権利保護に関する規定がないというような点で、その適正の担保のための処置は検証令状の運用ということでは難しいのではないかという非常に強い指摘がございます。  こういったことから、やはり通信傍受というものについては厳格な手続を法律で定めるべきではないかということが強く言われていたわけでございます。 <0172>=大森礼子君= 検証許可令状によるものもいろんな批判がされていた。ですから、札幌高裁の判例がありますけれども、これでも弁護人の方から、むしろ司法が事後的に確認する手続がないではないか、被傍受者、傍受された人が事後的に救済を求める手続の保障がないではないかということが指摘されていたところであります。  修正案より検証許可令状による方が非常に厳格な手続がやられているとおっしゃる方がいらっしゃいます。どういうことかなと思ったら、例えば立会人の切断権とか、傍受するにしても時間を限定的にするとかという理由だそうであります。これがすべてではないのでしょうけれども、これが判例によって認められた検証許可令状の方が修正案よりすぐれているという趣旨であれば、私は部分に気を奪われる余り全体の評価を少し見誤ってはいないかという気がいたします。  今、いろいろ問題になっております切断権とか、ここについてはきょうはちょっと時間が足りませんので、次回詳しく質問させていただきます。  ちょっと質問を飛ばします。アメリカの例は次回にいたします。  令状の却下率が低いから通信傍受法案によっても有効なチェックにならないんだという批判がございます。日本では令状の却下率が極めて低いから令状発付権者を地方裁判所の裁判官に限定してもチェックにならないという批判でございます。  政府原案では令状の発付権は急速を要する場合には簡易裁判所の裁判官でもよいとされておりました。修正案では地方裁判所の裁判官に限定しましたけれども、この理由を修正案提案者の方にお尋ねいたします。 <0173>=衆議院議員(上田勇君)= 修正案におきましては、令状の発付権者を地裁の裁判官に限定したわけでありますが、それは、通信の傍受は通信の秘密に一定の制約を加えるというものであり、その令状発付の要件も厳格にこの法案によって定められているところでございます。そのような要件についての判断というのは、やはりこれは慎重の上にも慎重になされるべきであり、またこのような趣旨から令状の請求権者も限定したところでございますので、傍受令状の発付は、令状請求権者の限定にもあわせまして、これを地裁の裁判官に限るということにしたものでございます。  また、請求権者にも限定を加えたこと、また衆議院における審議におきまして、警察内部等におきます決裁の方法についても、それぞれ都道府県の警察本部長の決裁を必要とするというふうなことになったことから、これを地裁の裁判官に限るということにしたとしても支障も生じないというふうに考えているところでございます。 <0174>=大森礼子君= 私、実は党の部会の方で党の見解を出すに当たって検討してきたものですから、その議論、実はわかっております。  それで、請求権者も実は警察の場合警視にした。これも実は共産党の盗聴事件等がありまして、それで組織のトップが知らないということ、こんなことは言わせまいということで実はその責任、それから、本部長決裁ということも、確かに判こだけですとおっしゃるかもしれませんが、やはり責任がありますので、もう言い逃れを許さないという実は考え方も働いておりました。  それから、簡易裁判所の裁判官を外した。これは簡易裁判所の裁判官に失礼なことになったら困るんですけれども、裁判所法の三十三条に簡易裁判所の裁判権というものが規定してございます。事物管轄です。この一項二号で、簡易裁判所の裁判官が扱える刑事事件としては、罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪、それから賭博とか窃盗、横領、贓物罪、こういうことになります。その二項では「簡易裁判所は、禁錮以上の刑を科することができない。」と、ただし書きがありますけれども、こういう規定