第145回国会 法務委員会 第15号 1999年06月08日       (1999年08月17日 08:00 登録) 平成十一年六月八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      阿南 一成君     有馬 朗人君  六月二日     辞任         補欠選任      千葉 景子君     岡崎トミ子君  六月三日     辞任         補欠選任      岡崎トミ子君     千葉 景子君  六月七日     辞任         補欠選任      岡野  裕君     世耕 弘成君      吉川 芳男君     仲道 俊哉君  六月八日     辞任         補欠選任      藁科 滿治君     小川 敏夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         荒木 清寛君     理 事                 鈴木 正孝君                 服部三男雄君                 円 より子君                 大森 礼子君                 平野 貞夫君     委 員                 阿部 正俊君                 井上  裕君                 世耕 弘成君                 竹山  裕君                 仲道 俊哉君                 海野  徹君                 小川 敏夫君                 千葉 景子君                 角田 義一君                 藁科 滿治君                 橋本  敦君                 福島 瑞穂君                 中村 敦夫君    国務大臣        法務大臣     陣内 孝雄君    政府委員        警察庁長官    関口 祐弘君        警察庁長官官房        長        野田  健君        警察庁生活安全        局長       小林 奉文君        警察庁刑事局長  林  則清君        警察庁警備局長  金重 凱之君        法務大臣官房長  但木 敬一君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        法務省矯正局長  坂井 一郎君        法務省人権擁護        局長       横山 匡輝君        公安調査庁長官  木藤 繁夫君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局人事局長   金築 誠志君        最高裁判所事務        総局民事局長        兼最高裁判所事        務総局行政局長  千葉 勝美君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 恒男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○法務及び司法行政等に関する調査  (薬物、銃器、集団密航等に関する暴力団犯罪  の動向に関する件)  (人権擁護行政の推進に関する件)  (オウム真理教の現状に関する件)  (競売物件の情報提供に関する件)  (法務省による報道機関に対する要請に関する  件)  (警察署の公金支出の適正に関する件)  (過激派の動向に関する件)  (暴力団と金融機関との関係に関する件)     ───────────── <0001>=委員長(荒木清寛君)= ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る五月二十八日、阿南一成君が委員を辞任され、その補欠として有馬朗人君が選任されました。  また、昨七日、岡野裕君及び吉川芳男君が委員を辞任され、その補欠として世耕弘成君及び仲道俊哉君が選任されました。     ───────────── <0002>=委員長(荒木清寛君)= 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 <0003>=服部三男雄君= 自民党の服部でございます。  今国会においていわゆる組織三法が一番大きい問題になるわけであります。その組織三法の対象犯罪というのはいわゆる組織犯罪、暴力団等の対策ということになるわけでございます。  私もしばらく法務・検察に奉職いたしましたが、ここ十年ぐらいからどうも暴力団の犯罪動向、体質というものが変わってきたんではないか。特に、ジャーナリズム、企業幹部等に対するテロ行為が見られるようになってきた。これはかつてないことであります。  それから、暴力団の数がふえてきた、集約化されてきた。しかも、その数が、世界的に見ても、一つの国の中で日本の暴力団が圧倒的に数が多い。世界の暴力団犯罪というと、よくアメリカのコーザ・ノストラ、いわゆるシチリア系のマフィアの話がよく出るのでありますが、数において日本の暴力団と比較にならない。向こうの方が、マフィアの方が少ない、日本の方がはるかに多いというようなこと。  それから、バブル崩壊後の不良債権問題と暴力団の関係というのが非常にゆゆしき事態を招きかねない。  いろんな過去にないここ十年来の暴力団の顕著な傾向というのが見られるように思います。それについて法務当局はどのように考えているのか、松尾刑事局長に問います。 <0004>=政府委員(松尾邦弘君)= 最近の犯罪情勢ということでお答えいたしますが、戦後五十年たったわけでございますが、当初の二十五年は犯罪の発生件数等、起伏、変動がございました。ただ、最近の二十五年間をとってみますと、いわゆる刑法犯の認知件数ではほぼ一貫して増加傾向を示しております。日本は、世界に冠たる治安のいい国だということが常々言われているわけでございますが、刑法犯の認知件数ということで見ますと、一貫した増加傾向ということで必ずしも予断を許さない、全般的にはそういうことも言えるわけでございます。  先生お尋ねの、特に暴力団等による薬物あるいは銃器等の不正取引の問題でございますが、この罪種につきましては、結論としては引き続き非常に深刻な状況にあるということが言えるわけでございます。  このほかに、暴力団の犯罪ということで、いわゆる縄張りを維持するためのさまざまな違法行為、それから蛇頭等の外国人の犯罪組織による集団密航事犯、そのほかにも、こうした暴力団組織そのものではございませんが、いわゆるオウム真理教事件のような大規模な組織的形態による凶悪事犯、それから会社等の法人組織を利用した詐欺商法等の大型経済事犯、豊田商事事犯あるいはオレンジ共済等で御記憶に新しいところだろうと思います。こうした組織的な犯罪が少なからず発生しているという状況でございます。  こうした犯罪状況でございますが、言うまでもなく、我が国の平穏な市民生活を脅かすと同時に、健全な社会あるいは経済の維持発展に悪影響を及ぼす状況がございまして、予断を許さないところでございます。  今申し上げたいろいろな犯罪の中でも、特に薬物事犯でございますが、最近でも報道されましたが、本年は一月から五カ月の間で既に覚せい剤の押収件数あるいは押収量が、押収量で言いますと一トン、千キログラムに近づいています。このままの勢いでということを仮定しますと、昨年の二倍、三倍の押収量に上るのではないかと危惧されるところでございます。  それから、覚せい剤の使用がどの範囲までいっているかということでございますが、暴力団の周辺の者にとどまらず、一般の市民、さらには中高校生等の未成年者等にも急速に拡大しているところでございます。その背後には、暴力団を含む内外の組織、あるいは密輸や供給に暴力団が深くかかわっていると考えられているところでございます。  また、銃器に関する犯罪でございますが、つい先週も連続十数件の発砲事件があり、大々的に報じられたところでございます。暴力団による対立抗争事件あるいは企業幹部を対象としたテロ行為、金融機関等に対する現金強奪事件などがかなり頻繁に発生しておりまして、その際には一般市民が巻き添えとなり、あるいはねらわれるといった悲惨な事件がしばしば発生しており、その背後には、やはり暴力団等による組織的なけん銃の密輸、その供給が行われているものと考えられるところでございます。  したがいまして、このような組織的な犯罪を的確に検挙しまして、これについて真に責任を負う者に対して厳正な科刑を実現することは、現下の諸情勢にかんがみますと極めて重要な課題であると考えている次第でございます。 <0005>=服部三男雄君= 警察の方に尋ねますが、先ほど私がちょっと触れましたけれども、日本の暴力団員の数というのは非常に多い。世界的に見ても、コーザ・ノストラ、マフィアの十倍ぐらいの数がいるんじゃないか。その暴力団構成員数のここ十数年の増減とか、警察庁の方で把握している内容について説明を願います。 <0006>=政府委員(林則清君)= 平成十年末現在で我々が把握しております暴力団構成員数は約四万三千五百人、それから準構成員というものの数が約三万七千八百人で、合計八万一千三百人という状況でございます。  暴力団の人数は、暴力団対策法施行前の平成三年末を見ますと約九万一千人、内訳で言いますと、構成員が六万三千八百人、準構成員が約二万七千二百人という状況でありましたが、その後平成七年末までに約七万九千三百人にまで減少をいたしました。しかし、問題は、それ以降、ここ数年はやや微増傾向に転じておるというのが現状でございます。 <0007>=服部三男雄君= 今の林局長の説明でちょっと尋ねますが、今度ロンダリングの法案を出すわけですが、そのときにいわゆる企業舎弟といって上納金を普通の企業関係者が暴力団員に出している例がよくあるんです、こっちはロンダリングで縛っていくわけですけれども。今、局長の説明した準構成員のところにはいわゆる企業舎弟というものは入っているのか入っていないのか、どちらですか。 <0008>=政府委員(林則清君)= 一言で言いますと、我々が把握して、暴力団と非常に密接な関連があるということが認定できるものは準構成員ということでカウントしております。  今、先生が例に挙げられたものも、企業舎弟と言われたりフロントと言われたり、いろんな形のものがありますが、おおむね大体企業舎弟と言われる程度に関係を持っておればまず準構成員として把握してよかろう、かように思います。 <0009>=服部三男雄君= 今の説明ですと、暴力団対策法施行後やや二万人ぐらい減員になったのが、またその効果が薄れてきて漸増状況に変わっている、こういうことですな。 <0010>=政府委員(林則清君)= 今、先生御指摘の点もありますが、法の効果といいますか、やや中には偽装破門的な形で、組織に属していない形をとった方が活動がしやすい、一般社会の中へ潜り込みやすいという形で組織員として減って、むしろ組織から出たという形になっておる者も結構おるというのが現状であります。 <0011>=服部三男雄君= それらの暴力団関係者による犯罪の動向、特に覚せい剤事犯等、賭博、恐喝というように、暴力団員による特有の犯罪動向がありますね。それらの占める割合等について説明を求めたいと思います。 <0012>=政府委員(林則清君)= 暴力団犯罪の動向いかんということでございますけれども、平成十年中の暴力団構成員及び準構成員のいわゆる検挙自体は三万二千九百八十五人検挙しておりますけれども、その内訳を見ますと、やはり今御指摘のように、覚せい剤取締法違反、これが七千百九十三人、それから恐喝が三千四十四人、賭博が一千八百八十一人と、やはり資金源に絡む、金に絡む、そういうものが多くなっております。  さらにつけ加えますと、全体の検挙人員に対する暴力団構成員及び準構成員の検挙人員の割合を見ますと、全犯罪の中で、脅迫というのが五六%、恐喝は三一%、それから証人威迫が七二%を占めるということで、やはり暴力団特有の傾向を示しておるというのが現状でございます。 <0013>=服部三男雄君= ここ一週間ぐらいで暴力団員によるけん銃発砲事件が特に都心部で見られるようになりましたが、これはもう一般市民にとっては迷惑きわまりない、非常にその地域を恐怖に陥れる事犯だと思います。これがまた暴力団に対するゆえなき一般市民の畏怖につながる、それが暴力団の威勢を示すもとになるわけでありますが、こういったことに対する、まず事案の概要と、それに対して警察は今どういう手を打とうとしているのか、説明願いたいと思います。 <0014>=政府委員(林則清君)= お尋ねの件につきましては、六月二日から四日にかけまして、山口組と国粋会の対立抗争が発生いたしまして、関東六都県におきまして合計十五件の銃器発砲事件が発生しております。  警察庁におきましては、六月三日に関係都道府県に対しまして捜査の徹底と続発防止のための警戒強化等を指示しまして、同日、警視庁が東京都内において、国粋会傘下組織の事務所に向けてけん銃を発射した山口組傘下組織組員一名を現行犯逮捕しております。また、六月四日、警視庁、神奈川県警察及び埼玉県警察が両団体関係事務所五カ所に対して暴力団対策法に基づく事務所使用制限の仮命令を発出しているところでございます。 <0015>=服部三男雄君= 一生懸命警察なりにやろうとしていることはよくわかりますが、白昼堂々とピストルを撃ち込んでいるわけでありますから、警察の機動力をもってすぐに検挙をしてもらわなきゃ困るわけですね。ところが、なかなか実際この種事犯で、ある程度時間がたって何らかの端緒から犯人の検挙に結びついている、成功している例は多く見られますが、もっと早くならないのか、市民の不安を一掃するためにもすぐ検挙できないのか、どういうところに隘路があるのか、その点について説明願いたいと思います。 <0016>=政府委員(林則清君)= もう御案内のとおりでありますけれども、一般に暴力団というのは、こういった犯罪を行うに当たりましては、事前に下見、それから実行行為をやる者、それから見張り、事後の証拠隠滅、それから逃走幇助、こういったものを組織的に任務分担いたしまして、行動に当たっては携帯電話等で連絡をとりながら極めて機動的に敢行するということが多いというのが実情でございまして、これが被疑者の早期検挙の大きな障害になっておるのが現状であります。  また、実行犯の一部を検挙できましても、暴力団特有の内部の強固な組織的統制等によりまして、幹部の関与状況について供述を得るというのは大変困難でございまして、その刑事責任の追及というのも容易でないというのが実情でございます。  しかし、御指摘のように、警察におきましては、発生事件の検挙と実際それをやらせておる幹部の刑事責任追及に全力を挙げておるところでありまして、ただいまお尋ねのあった一連の銃器発砲事件につきましても、たった一件ではございますが、事前に張りついておった警察官が現行犯逮捕を一人しておりますし、また関係都道府県警察におきましては、関係箇所三十カ所を捜索してこの事件に関する捜査を進めようということで鋭意やっておるところでございます。 <0017>=服部三男雄君= けん銃発砲事件はもちろんそうですが、やっぱり暴力団を一番恐れている、恐れられるというのは、平然と人を殺すという殺人事件を、しかもその犯行の態様は残虐というのか、目を覆うようなことを平気でやるというところにあるわけであります。  近時のそういう暴力団員による殺人事件の発生状況について説明願いたいと思います。 <0018>=政府委員(林則清君)= 暴力団による殺人につきましては、平成八年には二百十人、平成九年には二百六十五人、それから平成十年には二百五十七人をそれぞれ殺人で検挙しております。  その内容を見ますと、今御指摘がありましたように、例えば平成十年十一月に、山口組傘下組織の構成員らが知人と飲食中に口論となって、集団で暴行した上拉致をし、油圧ショベルで掘った穴の中へ突き落として生き埋めにしたというような事件であります。そういった凶悪な手口のものでありますとか、あるいは平成九年八月には、中野会傘下組織構成員十数名が共謀しまして、白昼神戸市内のホテルにおいて山口組の若頭を射殺した、このときは巻き添えで一般市民の方も亡くなっておられる。そういうような組織的に行われるものが多数見られるというのが現状でございます。 <0019>=服部三男雄君= 暴力団の相互の対立抗争で暴力団員が暴力団員に殺される。これは、そういう組織に自分で望んで入った人間たちの間のことでありますから私たち一般市民は余り関係ないなと言いたくなるんですが、実際は、けん銃を白昼堂々と、しかも人が集う場所でねらい撃ちして撃ち合うものですから、一般市民が巻き添えにされるという例が特に近時見られるようになったわけであります。  それらの一般市民が巻き添えで被害を負った事件というのはここしばらくの間どんなものがあるのか、説明願いたいと思います。 <0020>=政府委員(林則清君)= 暴力団による殺人といいますか一連の行為において一般の市民が被害を受けた、いわゆる巻き添えに遭ったという例といたしましては、ただいまもちょっと申し上げました、平成九年八月に中野会傘下組織構成員らが神戸市内のホテルで山口組の若頭を射殺した、たまたま居合わせたお医者様が巻き添えになり射殺されたという事件を初めといたしまして、例えば、平成二年六月には、山口組と、波谷組という組がありますが、これとの対立抗争が大阪を中心に起こったわけでありますが、このとき波谷組の暴力団員が居住しておったという場所、そこからはもうそれが転居して一般の市民の方が入っておられたんですが、そこで波谷組の暴力団員と間違われて射殺されたというような事件。  それから、これも平成二年の十一月でありますが、沖縄旭琉会の暴力団員が暴力団同士の対立抗争中、三代目旭琉会傘下組織の事務所において格子の取りつけ作業をしておったアルバイト中の定時制高校生を三代目旭琉会の暴力団員と間違えて射殺したというような事件等がございます。 <0021>=服部三男雄君= こういうふうに暴力団の巻き添え等が出てくる、あるいは白昼堂々と人の集う場所でやる。今までの暴力団同士の抗争とはちょっと態様が変わってきているということ、それから先ほど刑事局長から説明のありました正常な企業幹部に対するテロ、ジャーナリズムに対するテロ等が見られるようになってきて、暴力団の悪質性というのは余計にひどくなってきていると言わざるを得ないわけであります。それに対して警察、法務・検察も一生懸命やっているだろうと思いますが、それなりの成果を上げているようですが、一般市民の目から見ますと、市民の感覚から見れば、直観的なものでありますけれども、もっと上の幹部が捕まっていいんじゃないか、実行犯の下っ端ばかりじゃないのかと。  それが裁判所の判決で、判決に堂々と中心的役割とは言えないというようなことを裁判官が書くものですから、意外と刑が有期でとまっている例が散見される。暴力団が人を殺すんだからこんなのは当然死刑になって当たり前だというのが一般市民の感覚なんですが、必ずしもそういうところに量刑の上からも結びついていないということで、これはどうも警察の力だけでは十分な真相解明がなされていないのではないかという声もあるということは、法務並びに警察も、あなたたち幹部の耳にも達していると思うわけです。それについてどのように思いますか。 <0022>=政府委員(松尾邦弘君)= 事件を処理する検察の立場から申し上げますと、まさに先生御指摘のような状況が残念ながらうかがわれるところでございます。  暴力団犯罪の特質は、先ほど警察庁の林局長の方から具体的に御答弁されたところでございますが、端的に言いますと、非常に組織的であり、かつ非常に綿密に計画される、非常に密行性も高い、つまり組織犯罪のいわば典型ということでございますが、そうした特質がございます。  したがいまして、確かに事件によりましては、例えば暴力団が敢行した殺人事件ということでけん銃が使われ、例えばある企業幹部が射殺されるとなりますと、けん銃を持って私がやりましたと出てくるケースが時にはあるわけでございます。いわゆる鉄砲玉、こう言うわけですが、実質的にはこの暴力団組織の中で犯行後どう対処するかというところまで十分に計画があるわけでございまして、その後には鉄砲玉を出す。それ以上は解明させないといいますか、捜査官側からいくと解明できないというのもまた一つの現状でございます。  捜査当局は、関係証拠の押収あるいは関係者の取り調べ、鋭意捜査を尽くすわけでございますが、犯行に関与した者の割り出し、あるいは首謀者等を含めた役割分担、こうしたものの解明が必ずしも十分にできていないケースも多いわけでございます。したがいまして、一番末端あるいは下部の実行部隊を検挙しましても、組織的な背景とか、あるいは首謀者に関する供述が得られないケースもまた多々ございます。そんなこともありまして、結局は首謀者を含めて犯行に関与した者を特定して真相を解明するに足る証拠を得ることができない場合もあるのが実情でございます。 <0023>=服部三男雄君= 今の松尾刑事局長の答弁に関連して、私の体験も含めて質問したいんです。  いわゆる鉄砲玉になる者はやっぱり懲役十年以上を覚悟して来るわけです。その間、暴力団の組の方でその家族に対する手当てをしてやらないと、要するに経済的支援をしてやらないと、鉄砲玉になる者は不安で懲役十年も覚悟して来るわけがない。一つの家族を十年間も面倒を見るというのはかなりの金を要するわけです。こういったことはやっぱり暴力団の資金そのものが豊かであることを前提としていないとできないわけであります。  ところが、今の法制でいきますと、いわゆる没収追徴の関係が犯行と直接関連するということが立証できて、しかも物そのものに限定されていく、殺人とか特別なものになりますと別ですが、贈収賄とか別ですけれども、そういういろんな法制上の問題もあるんじゃないか。暴力団の豊かな資金、もっと端的に言いますと、大きな組織暴力団、全国に三つか四つありますが、その本部に刑務所に行く連中を最後まで面倒を見るための対策本部まであるということも考えますと、どうも資金源追及からいかないと本当の首謀者の特定まで行かないんじゃないか、こんな気がいたしますが、いかがですか。 <0024>=政府委員(松尾邦弘君)= まさに御指摘のとおりだと思います。  財政的にどういうふうに暴力団を締め上げていくのか、あるいは組織犯罪をなした主体を締め上げていくのかというのが非常に大事な点でございますが、切り口を、例えば脱税でできないかとか、捜査当局あるいは国税を含めた調査をしている担当の部局は、そういった観点から今までさまざまな工夫をしてきたのもまた一方であるわけでございます。  先生御指摘のように、あるいは没収追徴にいたしましても、例外は若干ありますが、現にそこにある物、あるいは第三者に属していれば没収の対象から外れてしまう。そういった法制度から来る限界というものが多々ございまして、財政的に締め上げているという望ましい状況からは現状はほど遠い状況にございます。  マスコミ報道あるいは実際の事件等で、例えば暴力団の組員に射殺された家族が組長を相手取って損害賠償請求を起こす、これは大変勇気のある行動でございます。これは現に勝訴したケースが出始めているところでございます。我々はこういった報道を見るにつけ、捜査当局といたしまして、こういったことを刑事法の分野でカバーできない、それがこういう民事の損害賠償といったいわば家族からいいますと窮余の策に出ざるを得ないというような現状があることについて、一方でそうした勇気を称賛すると同時に、捜査当局としてなお一層その点についても暴力団の資金源を徹底的に洗い、財政的に追い込んでいくということの不十分さというものを痛感している次第でございます。 <0025>=服部三男雄君= 暴力団関係についてもっといろんな個々の具体的な事件を取り上げて、現在の刑事法制、捜査手段の限界、それからあるべき捜査方法、手段等についてきめの細かい議論もしたいわけでありますが、それは組織三法の審議のときにまた譲るといたしまして、とにもかくにも日本のそういう法制並びに捜査のトップにおられるのは法務大臣でありますから、法務大臣に現下の暴力団対立抗争や殺人事件が絶えない現状に対して力強い所感を問いたいと思います。 <0026>=国務大臣(陣内孝雄君)= すべて、今委員の御指摘のとおりだと私も思っております。  暴力団の山口組の最高幹部射殺事件などでは一般市民を巻き添えにして、そのとうとい命を奪うような痛ましい事件がありましたし、また、企業幹部を対象としたテロ行為あるいは金融機関等に対する現金強奪事件など、暴力団関係者により一般市民がねらわれるという凶悪な事件もしばしば発生しております。また、暴力団同士の対立抗争に伴う銃器の発砲事件も多発し、その都度一般市民に不安と脅威を与えておるのでございます。しかも、これらの背後には、暴力団による銃器の組織的、継続的な供給が行われているものと考えられますし、極めて深刻な事態であると憂慮をいたしております。  暴力団の不正な権益の獲得、維持を目的とした種々の犯罪が絶えないことも考え合わせますと、暴力団関係者による種々の犯罪は我が国における組織的な犯罪の典型ともいうべきもので、平穏な市民生活を脅かすとともに、健全な社会経済の維持発展に悪い影響を及ぼしていると考えられます。このような犯罪に対しましては、断固とした決意で厳正に対処していかなければならないと考えております。 <0027>=服部三男雄君= 今の法務大臣の決意を多としまして、今後も法務並びに警察に頑張ってもらいたい。私たち法務委員会のメンバーも、そのための周辺環境整備、特に法整備について真剣に取り組まなきゃいかぬと思っております。  特に、私が冒頭にも申しましたが、企業幹部、特に金融機関、具体的に挙げますと住友銀行の名古屋支店長、それから阪和銀行等々五年ぐらい前にありました。これがバブル崩壊後の金融機関が早期に不良債権を処理をしなきゃいかぬものをストップさせる、スローダウンさせる。それが日本の経済に大変な悪影響を及ぼしているということはもう多くの国民が認めるところであります。  先ほど来、林局長も松尾局長も、一般市民や巻き添えにされた人が暴力団組長に対して民事訴訟を起こしていることについて、自分たちの手かせ足かせに切歯扼腕するとともに、何とかせにゃいかぬという気持ち、焦慮の気持ちがあると、非常に心情を吐露されたいい話だったのですが、少なくとも法務省といたしましては、そういう暴力団が、単なる暴力団抗争でなくて、一般市民を巻き添えにするばかりか不良債権処理に絡んで金融機関をねらい撃ちしてくる、さらにはジャーナリズム、朝日新聞事件はまだ解決してないわけでありますが、これは暴力団がやったかどうかまだはっきりしませんけれども、こういう新たな犯罪動向が起きたときには、今回組織三法を出されたわけでありますが、もっと早くこういった行動を起こすべきではないかな、こういう感を拭い切れないわけであります。  法務省は昔から手がたくて、まじめな役所には違いないのですが、何しろ私がおったところですから、まじめな役所で結構なんですが、もうちょっと犯罪動向との絡みで、政治家はもちろん一般国民にそういう必要性を訴え、あるいは法制改正に向けてダイナミックに動く必要があるのではないかな、こんなことを考えているんですが、大臣でも松尾局長でも結構ですが、その点について所感をいただきたいと思います。 <0028>=政府委員(松尾邦弘君)= 大変厳しい御指摘でございますが、私どもとしては十分謙虚に受けとめたいと思っております。  先生御指摘のように、金融機関に対する事件としましても、先ほどお触れになった阪和銀行副頭取の射殺事件、平成五年でございます。それから平成六年には住友銀行名古屋支店長の射殺事件等がございます。こうした企業幹部に対する殺人事件というものは大変甚大な心理的影響を企業幹部あるいは企業そのものに与える犯罪でございます。  一昨年、平成九年には一連の証券会社の総会屋絡みの事件等がございましたが、この総会屋絡みの事件の背景にはやはり組織がございます。その際に、私も一部の企業幹部の方からいろいろ聞きましたが、例えば企業幹部に対する脅迫事件あるいは企業幹部の家族に対する脅迫事件、例えばあなたのお孫さんはどこどこの幼稚園に行っておりますねと名指しで、また幼稚園の名前も正確に示された上で、お大事にというようなことを電話で一言言われる。このことの重みというものを直接聞きまして、つくづくと暴力団犯罪の持っている影響力あるいはその与える威嚇力というものに対して、非常に切に感じた次第でございます。  この背景には、今申し上げたような例えば住友銀行の名古屋支店長の射殺事件、現実にそういうものが起こる。しかも、これが徹底的に解明されたかという社会の見方からしますと、捜査当局は頑張って徹底的な捜査をやるわけでございますが、必ずしも社会の評価は、そうした犯罪を敢行した組織の中枢には迫っていないんじゃないかと。つまり、十分に検挙できないというような批判もあるわけでございます。  そうしたことに対して、捜査当局としては、与えられたいろんな制約の中で最大限努力したということを言いたいわけでございますが、なおあえて言わせていただけるのであれば、もう少し武器をいただけないかというのが正直な気持ちでございます。  その中には、先ほど申し上げた財政的に締め上げていくような武器も含めまして、あるいは捜査の中枢に迫るための何らかの武器をいただきたい。人権その他いろんな制約を配慮しながらも、ぎりぎりのところでなおそうした希望を持っているのもまた現実でございます。 <0029>=服部三男雄君= 先ほど私が申しました金融機関に対するテロ、今局長が御説明のとおり大変インパクトが強かった。金融機関が、いわゆる不良債権絡みで暴力団関係者による土地の仮登記とかああいったことに対して全く足がとまってしまった。恐らくその影響力は、識者によって金額は違いますが、数兆円の不良債権処理のおくれにつながっているんじゃないかと言われておるわけです。  それに対しまして私ども国会は、これはいかぬということで、焦眉の急ということで住管機構をつくって、中坊さんを社長にして、そしていろんな金融機関なり暴力団に対する調査権限というものを法制上整備して動かしました。一兆円ぐらいの金額ですけれども、住管機構の方で処理できてきた。その間の二度にわたる報告を聞きますと、大した暴力団の抵抗はないというわけであります。  ということで、確かに殺人等を情け容赦なく行う暴力団ですから一般市民にとっては恐怖の的でありますが、法制さえ備えれば、暴力団というのはある程度は鎮圧できるものだというのを、民事絡みの暴力団事件ということで住管機構はある程度の成功を見せたといういい例があるわけであります。  その観点から見ますと、今度の組織三法の出し方は、法務当局はやや遅い、住管機構の成功例を見れば、直ちに腰を上げてやるべきじゃなかったか。刑事司法ですから、過去の例その他を考えますと、思いついてすぐ一年でばたばたとつくるというのはなかなか難しい面があることはよくわかります、立法技術上の問題がありますからわかりますが、その点も含めて、ちょっと法務並びに警察の社会の動向に対するアンテナの感覚の鈍さというものを感じざるを得ないわけでありまして、今後そういうことも考えてもっとビビッドに、鋭角的に法務行政、警察行政をやっていただきたいなと心からお願いしたいと思います。  続きまして、薬物関係について質問したいと思います。  いわゆる覚せい剤事犯が五十年の間に、今第三次乱用期と言われておりますが、昭和二十四、五年ごろのヒロポン時代、高度成長期の昭和四十年代後半から五十年代前半、そしていよいよ平成に入ってきたわけでありますけれども、明らかに覚せい剤事犯の態様が変わってきたということは犯罪動向を分析すれば言えると思います。第一次、第二次と違って第三次というのはどのように変わってきたのかということについて、法務当局から説明をもらいたいと思います。 <0030>=政府委員(松尾邦弘君)= 最近の覚せい剤事犯等を中心とした薬物事犯の動向を見ますと、第一点は、検挙人員で見ましても非常に高水準で推移しているということでございます。具体的には、毎年二万人を超える者が薬物事犯で被疑者として受理されているということが第一点でございます。  それから第二点目でございますが、覚せい剤の押収量に顕著な特徴がございます。ことしは、四カ月間で既に過去最高でありました平成八年の年間の押収量を上回っております。先ほども申し上げましたが、五月末現在の暫定値でございますが、押収量は九百五十二キログラム、約一トンでございます。  さらに、覚せい剤の使用でございますが、先ほども触れましたが、青少年、若年化傾向というのが最近の大きな特徴でございます。中学生の検挙例もふえてきております。高校生の検挙例はかなりの率で急増しているということでございます。  それから、次の特徴としましては、非常に犯行が巧妙化、手段が巧妙化しているということで、その中には来日外国人犯罪組織等を巻き込みました組織化あるいは巧妙化、隠密化というものが一段と深まっているということがうかがえるわけでございます。こうしたことが先ほど申し上げたような大量の押収量につながっていくと見受けられるところでございます。  今申し上げましたように、薬物事犯の現況というのは極めて憂慮すべき状況が続いているという認識でございます。 <0031>=服部三男雄君= 日本の覚せい剤事犯の特徴は、一〇〇%輸入ということだと思うんです。私の個人的経験なんですが、国内犯、日本で密造した事例を検挙したのは恐らく私だけじゃないかと思うんです。昭和五十二年だったと思うんですが、浦和で五キロほど製造した事犯を検挙した例があるんですけれども、恐らくそれだけだと思うんです。あと日本でその例は聞いたことがありませんから、全部密輸入だと思うんです。  この密輸入の一回当たりの量が、これも私の経験では、私が密輸入事犯で検挙したのは最高三キロというのがあったんです、横浜まで押収に行ったんですが。今は百キロオーダーは超えて五百キロまで、ドラム缶一本という例が何か出てきたと聞いております。こうなると、大規模組織でないとちょっとできない。個人の運び屋でも何とか持ち込める限度が大体二キロ、三キロだと思うんですが、ドラム缶となりますと、これは船、それを運ぶ、あるいは監視するとなると数十人の組織、団体でやらないと実行不可能な量になってきていると思うんです。  こういうことを考えると、日本の国内の暴力団と海外とがどうも提携しているんじゃないかと思わざるを得ないわけでありますが、警察庁の方、生活安全局長でもいいし刑事局長でもいいですが、それらの動向についてどのように今検討しているんですか。 <0032>=政府委員(小林奉文君)= 委員御指摘のように、最近、大量の密輸入事件が続いております。この事件につきましては、委員御指摘のように、国内の犯罪組織と諸外国の犯罪組織が結託してと申しますか、連携してそれぞれの犯行を行い、それぞれの組織の資金源を得るようにしている、こういうふうに認識しております。  そういった観点で、私どもといたしましては、そういった事件については捜査力を集中して徹底した取り締まりをすべきではないか、こういうふうに考えている次第でございます。 <0033>=服部三男雄君= 恐らく、組織暴力団員の、しかもそのための特別チームを組まないとできない事犯になってきたんだろうと思うんです。そういう意味で、やっぱり覚せい剤と暴力団というのは密接不可分なものだ。  警察に尋ねますが、覚せい剤事犯の検挙人員の推移と同時に、その中に占める暴力団員の割合というのはどういうふうにここ数年でなっているのか、説明を願いたいと思います。 <0034>=政府委員(小林奉文君)= 覚せい剤の検挙人員、検挙件数についてでございますが、平成元年以降はそれぞれ件数で二万件、人員で一万五千人前後で推移しておりましたが、平成七年以降増加傾向にあるということでございます。  平成七年が二万三千三百八十二件、一万七千百一人でございます。このうち、暴力団が占める割合は、検挙数で四三・七%、人員で四三・一%でございます。こういった状況がずっと続いておりまして、昨年、平成十年が二万二千四百九十三件、一万六千八百八十八人の検挙人員でございます。このうち、件数で四二・五%、人員で四二・七%が暴力団関係者の占める割合でございます。  このように、ここのところずっと約四割が暴力団関係者で占められている状況にあろうかと思います。暴力団が覚せい剤事犯に深く関与していることがうかがわれる状況に現在あるということでございます。 <0035>=服部三男雄君= 覚せい剤事犯は、法律用語で言いますと、特に密売になりますと買う方がいれば売る方がいるわけですから、対向犯というんですか、必要的共犯になるわけですね。当然、検挙する場合ですから、売る方も買う方も検挙するわけですから、今の局長の説明で暴力団員の占める割合が検挙人員数等で四割を超える、四三、四%だということになると、売る方は大半が暴力団員だ、こういう結論になるんでしょうか。 <0036>=政府委員(小林奉文君)= ほぼそのとおりだと考えて間違いないと思います。 <0037>=服部三男雄君= さて、先ほどの松尾局長の説明によると、ことしになって既に去年の四割以上、押収量が激増しているということでございます。覚せい剤等の薬物押収量の推移について説明願いたいと思います。 <0038>=政府委員(小林奉文君)= 最近の覚せい剤の押収量についてでございますが、具体的な数字を申し上げさせていただきたいと思います。平成六年に三百十一・三キログラム、平成七年に八十五・一キログラム、平成八年に六百五十・八キログラム、平成九年に百七十一・九キログラムとなっております。  昨年からことしにかけましては、国際的な薬物犯罪組織が関与した覚せい剤の大量密輸入事件の摘発が相次いでいる状況にございます。  昨年、平成十年は約五百四十九キログラムでございます。ことしに入ってからは、五月末までの暫定値で約九百五十二キログラムとなっております。五カ月間で過去の年間最多押収量を記録した平成八年を大幅に上回っている状況にございます。一トンに迫るような異例の大量押収状況になっているということでございます。 <0039>=服部三男雄君= 今、自民党内で危機管理チームというのがあって、私もその常任のメンバーなんです。これは法務委員会のテーマと違いますが、いわゆる北韓の不審船の問題で、日本の主権をどういうふうに守るかという議論の中で、海上保安庁並びに警察が第一線だという現行体制は変わらないだろうと。その場合の対処の仕方は警職法でやるというわけですね。あるいは漁業法違反とか、要するに国内法規対処の制度になっているわけです。  そこで、私が考えたのは、日本の警察というのは人口移動に応じて警察官を配置するようなシステムをつくってあって、おおよそ人のいない臨海部にたくさんの警察官を配置するような制度になっていないわけです。ところが、覚せい剤がこういうふうに半年で一トンクラスになってくると、海から来ることは間違いないわけです、密輸入だから。そうすると、警察の配置状況も考えなきゃいかぬのじゃないか。海から入ってくるものを都心部で待ったって、これは網にかからない。波打ち際作戦のことを考えると、ちょっと警察官の配置も考えなきゃいかぬ。生活安全局長、どう思いますか。 <0040>=政府委員(小林奉文君)= 外国からの覚せい剤の密輸入事件ということに限定させていただくならば、こういった事件を摘発するためには、私どもといたしましては、国際的な犯罪組織の動向とか、いろんなことを外国の捜査機関と連携して捜査しながらその動向を見ていかなければ検挙できないんじゃないかなと思っております。そういった観点から、私どもとしては、外国の捜査機関、国内では税関、海上保安庁と連携してこういった事件に対応してまいりたいと考えております。  ただ、警察官の定員が少ないということは事実でございますので、願わくばそういった面での配慮は必要かなという感じで個人的に申し上げさせていただきたい、このように思う次第でございます。 <0041>=服部三男雄君= 密輸入となると相手の国があるわけですが、どういったところが今までの検挙事例で出ておりますか。 <0042>=政府委員(小林奉文君)= 委員御指摘のように、覚せい剤を初めとします薬物はほとんどが外国で密造されておるわけでございます。そういった密造された薬物が国際的な薬物犯罪組織や日本の暴力団によって密輸入されるわけでございますが、まず、覚せい剤につきましては現段階におきましては中国等、それから大麻は台湾、フィリピン等、コカインはコロンビア等、こういった各国から密輸入されている状況にあるというふうに理解しております。 <0043>=服部三男雄君= 密輸入ですから、隠匿、仮装しなきゃ密輸にならぬわけですが、どういう方法が顕著な事例として挙げられておりますか。 <0044>=政府委員(小林奉文君)= 覚せい剤等の薬物の密輸入の方法でございますが、一つの例を申し上げますと、正規のルートで輸入した貨物の中に薬物を巧妙に隠匿して密輸入するというケースがございます。例えば、最近の事例で申しますと、大理石の柱の中に隠匿している、あるいは大型消火器の内部に隠匿する、ロール状の布生地の心棒の内部に隠匿している、こういったケースがございます。  また、最近大量に密輸入のケースが摘発されているわけでございますが、その一つの典型的なケースといたしまして、洋上で漁船等を利用しまして薬物の受け渡しを行い、それを地方の漁港に陸揚げする、こういった方法がとられているということが一つの大きな特徴として挙げられるんじゃないかと考えております。 <0045>=服部三男雄君= 今の後半の説明の、船を使って大量の何百キロオーダーのものを出すと。そうすると、一人ではなかなか運べない。しかも、船の受け渡しが要る。さらに、日本のどこかに上陸するときに近くに警察がいないかとか、海上に警備艇が回っていないかとか、臨機応変に対応をとらざるを得ない。今、説明があった大理石の中に隠すとか消火器の中に隠すというのは、これは個人である程度対処できます、税関を通ってくるわけですから。そうでない場合は、十人、二十人の者がチームを組んでやらざるを得ない。警察のパトカーの動きも見なければいかぬ。となると、当然だれか指揮官がいて中継ぎがいて、相互の指揮をする、携帯電話等を使って、電子機器を使ってやるというような大がかりな組織犯的対応をとらざるを得ないだろうと思うんです。  そういったことに対して、警察としてはどのように対処できるのか。あるいは、現行ではなかなか難しいからこういう方法があればいいのではないかというようなことがないでしょうか。 <0046>=政府委員(小林奉文君)= 委員御指摘のように、例えば洋上で取引する際にいろいろな手法を用いるわけでございます。最近はGPS、こういった装置で瀬取り場所を決める…… <0047>=服部三男雄君= 何だ、GPSって。わからない。日本語で言え、日本語で。 <0048>=政府委員(小林奉文君)= GPSと申しますのは、人工衛星を利用した電波航法システムでございます。三カ所の人工衛星から発する電波でもって位置を測定する最近の方法でございます。 <0049>=服部三男雄君= カーナビみたいなやつか。 <0050>=政府委員(小林奉文君)= そうです。そういったことにつきましても、例えば瀬取りができるということになっていて今度は船を使うということになる。その船につきましては漁船を使うのが一番いいだろう、漁船をその手段に使うために購入する、そういったことでもって資金も必要であり、また相当準備が必要であるということ。それから、どのような港に入ったらば警察からの、あるいは税関、海上保安庁からの監視の目を逃れるかとかいろんなことを考えているということで、大変工夫しているわけでございます。  私どもとして現在申し上げられるのは、現在の法律の範囲内におきまして、できる限りの方法を用いてやりたいということです。ただ、具体的にどのような方法をとるかということについては捜査の具体的な方法でございますので、説明については差し控えるのが一番相当ではないかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 <0051>=服部三男雄君= 今言いましたように、密輸入を波打ち際作戦で防波する、これは一つの方法ですね。と同時に、暴力団というのは営利を求めているわけでありますから、買う人の場面、末端のところで遮断する、買い手がなくなれば彼らはそんなことやりませんから。そして三つ目は、暴力団の組織の中の中心部に、頂上作戦で覚せい剤を追っていく、この三つの方法が考えられるわけです。  末端の売買の点ですが、昔は密売人がいていかがわしい場所をうろうろしている人と連絡をとり合うという、今から見れば極めて牧歌的なというか、簡単な手口でやっておったんですが、今はもう非常に巧妙になっているということでございます。  生活安全局長から具体的に、警察になかなか捕まらない巧妙な手口というのを一例を説明してもらいたいと思います。 <0052>=政府委員(小林奉文君)= 具体的な手口ということでございますが、抽象的に答えさせていただきたいと思います。 <0053>=服部三男雄君= 具体的事例があるだろう、具体的事例が。 <0054>=政府委員(小林奉文君)= ほとんどの密売事件等につきましては、それぞれどのような場所でどのように密売人を探し出して客が買うかということ、それから密売人は…… <0055>=服部三男雄君= じゃ、質問を変えます。  私がある捜査資料から見た例なんですけれども、新宿にあった例です。検証事例に使った例もそうですが、密売の申し込みの専用受付電話で別の携帯電話で申し込みがあった人に対して何々喫茶店の入り口の下のところに一万円置いてくださいという指示をする。別の人がそれを監視していて、別の電話で密売人のところへ今一万円置かれましたと。確認したら、申し込み人に対してまた別の携帯電話でかけ直して、今度はその三軒隣のどこそこの喫茶店のテーブル何番の下に覚せい剤〇・五グラム、〇・五グラムか〇・〇五か忘れました、置いてありますからとってくださいというふうに、携帯電話を使って場所を何カ所も動かす。そうしますと、具体的例になりますと、例えばそれを警察が把握して尾行しておって喫茶店のテーブル三番で現行犯で捕まえても、いや、たまたま拾いましたという弁解を防圧できないわけです。  こういうふうにして、携帯電話を使って非常に巧妙に、しかも対面的な面を割らないように全部遮断していくという巧妙な方法がとられているというふうに聞いておりますが、こういう事例は今どのくらいふえておりますか。 <0056>=政府委員(小林奉文君)= ただいま御指摘の手口というものは私どもとしても承知しておりまして、例えば携帯電話、転送電話、ポケットベル等を連絡手段として利用して、御指摘のような非対面で密売するというケースがございます。こういったケースがほとんどのケースだというふうに私ども理解しております。 <0057>=服部三男雄君= 警察官僚独特の言葉で、非対面と君は今言いましたね。わかりますか、一般市民が非対面という言葉を聞いて。ちゃんと普通の言葉で説明してもらいたいものです。 <0058>=政府委員(小林奉文君)= 密売をします場合に、密売人がだれであるかということを客に知られないためにその顔あるいは動静をその人の前にあらわさない、こういうことが犯行を隠すための手段でございます。言うなれば、被疑者がだれであるかということをわからないようにするという方法を非対面と申し上げさせていただきました。 <0059>=服部三男雄君= 次に、覚せい剤事犯がこれだけふえているのですから、量刑の面で、今からもう五十年近くなるわけですが、ヒロポン全盛期に量刑が非常に強くなった。裁判所、法務当局の熱心な努力で裁判所が量刑を非常に厳しくしたことで、わずか五年ぐらいでほぼヒロポンを撲滅することができた。ところが、昭和五十年以降累々と押収量もふえ検挙人員もふえているのが二十年続いている。にもかかわらず、現在の量刑がどうなのか、量刑による防圧が効果があるのかどうか、それについて法務当局に問います。 <0060>=政府委員(松尾邦弘君)= 具体的な数字で申し上げますと、平成九年における覚せい剤事件の科刑状況でございますが、有罪判決を受けた者は一万四千六百三十三人でございますが、懲役三年以上の刑の言い渡しを受けた者は全体の五・七%でございます。懲役一年以上三年未満の刑を受けた者は九三・七%、懲役一年未満は〇・六%でございます。  これを約十年前の平成元年と比べてみますと、懲役三年以上が平成元年では三・九%でございましたので、先ほどの五・七%は、それよりも少し量刑は重くなっているということは一応言えるかと思います。全般的にはわずかでございますが量刑は重くなっている。  しかし、別の見方をしますと、例えば五年を超える懲役刑の言い渡しを受けた者、これはその量刑からいいまして、罪種としましては営利目的による覚せい剤の譲渡あるいは所持、輸入等の事犯ということになろうかと思います。つまり、末端の使用者や売人クラスでなくてもう一段二段上の被告人ということになりますが、つまり五年以上の懲役を受けた者ですが、その割合は平成元年では〇・三五%、平成九年では〇・四三%でございます。  こうした量刑からも十分推測できることでございますが、覚せい剤事犯の首謀者あるいは中枢に位置する者は当然その懲役五年以上ということになるわけでございますが、この量刑にもあらわれているように件数的にもほとんど伸びていないし量刑的にもやはり十分なものになっていないという現状でございます。 <0061>=服部三男雄君= 今の量刑の点からも言えることでありますが、やっぱり捜査当局によるこの種事犯の頂上作戦が必ずしもうまくいっているとは思えない。しかし、やらにゃいかぬことであります。  いわゆる突き上げ捜査を行う上で、現下の法制あるいは警察の過去の例から見てどこにその難点があるのかということについて法務当局に説明を願いたいと思います。 <0062>=政府委員(松尾邦弘君)= この原因でございますが、今までの御質問と私なり警察当局からの答弁の中にいろいろな形で触れられていることでございますが、まず第一は、覚せい剤の密輸あるいは密売事犯というものが暴力団等ある意味では非常に強固な組織によって非常に計画的に敢行されているということにあります。このような犯罪は、とにかく検挙を免れるために、例えば末端の使用者に対する密売については、先ほど警察の方からも非常にかたい言葉で申し上げましたが、非対面方式ということでございます。つまり買う者と売る者とが顔を合わせないということです、具体的には。そのために、電話を中心とした器材を非常に巧妙に利用するということでございます。密行的かつ巧妙に行われるということでございまして、犯行自体が捜査当局によりまして全貌を把握し早期に解決するという点で非常に困難な要素を含んでいるということでございます。  それからもう一つは、犯行後におきましても暴力団組織を中心に罪証隠滅工作あるいは犯人隠避工作が行われることが少なくない。容易に捜査の端緒をつかむことが困難だということも一つの理由になります。  また、さらにつけ加えますならば、最近では末端の売人に外国人が登場してくるケースがございます。これはもう調べ自体が非常に困難をきわめると同時に、外国人は日本の密売組織の実情についてなかなか知識が十分でないものですから、仮にそれを捕まえていろいろ調べましても、そこから突き上げるということはさらに困難をきわめるということでございます。  今申し上げたような諸事情から、末端の売人ぐらいまでにとどまりまして組織の中枢に捜査の手が及ぶのが難しいという一つの罪種ということでございます。 <0063>=服部三男雄君= 突き上げ捜査の困難な原因はよくわかりました。それに対して現在のとれる方法、どこに限界があるのか、こういう手段を捜査当局に与えていただければできるというような点について考えがあれば説明願いたいと思います。 <0064>=政府委員(松尾邦弘君)= 日本の捜査の一つの特徴は、被疑者を取り調べる、それによりまして自白を得る、それで関連の証拠を固めて犯罪を解明するというのが一つの典型的な捜査手法でございます。ただ、自白を得るということが、暴力団組織とこの種薬物、けん銃事犯が中心でございますが、大変難しいことになります。これまで捜査当局は一生懸命やってきまして、それなりに自白を得、解決した事例も多々あるわけでございますが、最近の諸事情からいいますと、ますますそれは困難になってきている実情にございます。  こうしたことと、先ほどから申し上げている覚せい剤事犯、けん銃事犯等を中心とした組織犯罪が非常に計画的あるいは強固な組織に支えられており、犯行後の証拠隠滅工作も徹底して行われるというような諸事情に照らしますと、もう少し腰を据えた捜査といいますか、あるいは新しい手法による捜査というものをもはや導入せざるを得ないというのが現状だろうと思います。  その捜査手法、世界各国でいろんな方法がとられております。その中の一つに電話傍受ということがあるわけでございますが、今回の法案の一つにこの電話傍受を法制面で整備するという法案がございます。我々捜査当局といたしましては、ぜひこういった捜査手法も導入していただきたいという切実な願いがございます。 <0065>=服部三男雄君= では、薬物事犯についての最後の総括ということで、法務大臣に現状と捜査に関しての所見を問いたいと思います。 <0066>=国務大臣(陣内孝雄君)= 最近の薬物事犯の現状につきましてはこれまで御説明申し上げたとおりでございますが、特に我が国で最も多く乱用されている覚せい剤事犯について、近年、検挙人員あるいは検挙件数がともに増加している上、押収量も史上最高を記録するということでございます。また、中学、高校生を初めとする若者にもこの覚せい剤使用が広がっていることなど、覚せい剤の乱用のすそ野が広がっている状況にあり、深刻な情勢になっておるというふうに認識しているところでございます。  このような情勢を改善していくためには、何よりも薬物の供給源となっている密輸入及び密売を組織的に敢行する薬物犯罪組織の実態を解明して、その首謀者を割り出し、適切な科刑を実現することなどが不可欠であると考えられます。  しかしながら、このような犯罪は検挙を免れるために犯行自体が密行的に行われることはもとより、犯行後におきましても証拠隠滅工作や犯人隠避工作等が行われることも少なくない上、犯行に関与した者のうちの一部の者、特に末端の犯行関与者が検挙されましても、首謀者等の他の共犯者の氏名やその関与の状況などについての供述を得ることは容易ではないということから、その真相を解明することは困難な状況にあるわけでございます。  このような犯罪の全容を解明し犯行に真に責任を有する者を検挙するためには、新たな捜査手法として犯罪捜査のための通信傍受の制度を導入する必要があり、これなくしては十分な薬物犯罪対策を行うことはできないものと考えております。 <0067>=服部三男雄君= 時間が限られておりますから、次に銃器関連犯罪について尋ねたいと思います。  これもかなり日本に銃器がふえておる、非常に危険な兆候になっております。巷間、ある学者に言わせるとピストルは二十万丁も日本にあるんじゃないかと言われている。こういう憂うべき状況について、現下の銃器犯罪の検挙状況について警察の方に説明を求めます。 <0068>=政府委員(小林奉文君)= 平成十年中の銃器使用犯罪についてでございますが、認知件数は三百三十九件であります。このうち殺人は五十三件、強盗は百十七件、こういうふうな発生状況になっております。  そういった発生に対しましての検挙件数でございますが、百二十五件検挙しております。殺人は四十四件、強盗は三十一件などとなっておる、こういう状況でございます。 <0069>=服部三男雄君= またこれも警察官僚らしいあれで、認知件数、検挙件数と言われても一般市民はわからない。もう一度説明し直しなさい。 <0070>=政府委員(小林奉文君)= 認知件数と申しますのは、事件発生で警察に届け出のあった件数、こういうことでございます。それから検挙件数は、その事件の被疑者等を逮捕してその事件を解決した、こういうことでございます。 <0071>=服部三男雄君= 今の銃器使用犯罪で検挙された事件のうち暴力団関係者の占める割合について説明を求めます。 <0072>=政府委員(小林奉文君)= 先ほどの平成十年中の銃器使用犯罪の検挙は百二十五件でありますということで御報告させていただきましたが、このうち暴力団関係者が被疑者となったものは八十三件、約六六%となっております。  また、過去五年間を通算してみますと、銃器使用犯罪の検挙は六百七十五件であり、このうち四百七十一件、約七〇%が暴力団関係者によって敢行されているという状況にございます。 <0073>=服部三男雄君= 銃器というのはピストルのことをいうわけですが、それを使うというと人を殺すか人をおどして強盗するかということになるわけであります。殺しも問題ですが、強盗事件もかなり殺傷事件に結びつきがちですから危険な犯罪なんですが、その発生状況について説明を求めます。 <0074>=政府委員(小林奉文君)= 銃器を使用しました強盗事件の発生についてでございますが、平成十年中は百十七件発生しておりまして、このうち現に銃器発砲を行った強盗は十一件であります。そのうち死傷者が出ました件数は五件となっております。 <0075>=服部三男雄君= 暴力団とけん銃というのは密接不可分だというふうに言えるわけでありますが、近時の傾向としてどうもそうでない、暴力団以外の人も比較的安く、トカレフなんか十万円ぐらいで買えるというんです。ということで、ちょっとそういう変な傾向も出ているんじゃないかなという危惧あるいは心配する状況も見られますが、その点について説明を求めます。 <0076>=政府委員(小林奉文君)= 平成十年を例にとって御説明させていただきたいと思いますが、平成十年中のけん銃の押収丁数は千百四丁でございます。このうち暴力団からの押収は五百七十六丁で全体の約五二%、暴力団以外からの押収は五百二十八丁で全体の約四八%となっております。  こういった形で暴力団の周辺あるいはそういった者に対してけん銃が蔓延しているという状況がこの中からもうかがえる、このように思っておる次第でございます。 <0077>=服部三男雄君= それだけ多数の銃が日本国内に滞留し出すと、昔は暴力団というのは自分の家とか布団の下に隠したとかいうのがあるんですが、暴力団抗争がこれだけふえますと、しかも暴力団事務所は常にガサを食らうという危険性があるものですから、組自体の非常時に備えた大量のけん銃なんかを組の事務所に置けなくなるということで何か向こうなりに工夫しているんじゃないかなと思うんですが、その点について説明を求めます。 <0078>=政府委員(小林奉文君)= 委員御指摘のとおりでございまして、けん銃の押収丁数を見ておりますと、平成七年の千八百八十丁をピークに減少しておるわけでございます。特にその中でも暴力団からのけん銃の押収が減少している状況にございます。  その理由といたしましては、近年の銃刀法改正による銃器事犯の重罰化、警察の取り締まり強化などによりまして暴力団側が警戒を強め、銃器の隠匿方法を巧妙化していることなどが挙げられようかと思います。例えば、最近のケースでも見られるわけでございますが、空き家、倉庫等の人の居住していない場所を武器庫として使用したり、あるいは小口に分けて保管する、しかも暴力団と表面的には関係ないような場所、関係ないような人のところに預ける、こういったケースが多くなってきている、こういう状況にございます。 <0079>=服部三男雄君= そうしますと、今の答弁によりますと、暴力団からの押収が全体の五十何%といっていて、やや一般市民の方に拡散傾向がなきにしもあらずですが、それは暴力団の隠匿方法が巧妙化していることによる分を差し引かなきゃいかぬ、こういうふうに考えていいわけですか。 <0080>=政府委員(小林奉文君)= 全体的にはそういうふうに評価しなければならない面もあろうかと思います。 <0081>=服部三男雄君= マニアとか趣味の人が日本でけん銃をつくろうと思えばつくれぬこともないでしょうけれども、これだけ巷間伝えられる暴力団関係者が二十万丁も持つとなりますと、当然密輸入ということになるわけですが、どのような種類のものがどこから持ち込まれているのか、それについての分析を説明してもらいたいと思います。 <0082>=政府委員(小林奉文君)= 委員御指摘のとおり、国内で押収される真正けん銃のほとんどは外国で製造され、暴力団等の犯罪組織によって海外から密輸入されたものでございます。  平成十年中に押収された真正けん銃を製造国別に見てみますと、アメリカ製が二百七十丁と最も多く、次いで中国製が百丁、フィリピン製が七十五丁の順となっております。  この真正けん銃がどんな種類であるかということを見てみますと、最も多い銃種はトカレフ型けん銃でございます。平成四年以降連続して最も多い押収の銃種となっております。  また、過去五年間に密輸入で検挙押収したけん銃についてその仕出し国を見てみますと、タイ、フィリピン、米国の三カ国が上位を占めております。このほか近年は、南アフリカ、ロシア、中国等からの密輸入も見られるところでございます。世界じゅうのさまざまな国からけん銃が密輸入されている状況にある、このように見ておるところでございます。 <0083>=服部三男雄君= 先ほどの覚せい剤事犯と同じ問題点に触れるわけでありますが、銃器はある意味では覚せい剤よりも押収しやすい、大柄のものですから。そういう意味で、覚せい剤はその場で水にぽっと流してしまえばおしまいですけれども、銃というのは隠しようがないですから、所持事犯を検挙するのはそんなに問題はないだろうと思うんですが、大量の銃器を押収した場合に、そこから一挙に突き上げ捜査をやらなきゃいかぬわけですが、その点についても同じような困難な問題があるのじゃないかと思います。  その点についても、同じような説明になるだろうと思いますが、原因と、それに対する対策として何が必要なのかということを説明してもらいたいと思います。 <0084>=政府委員(松尾邦弘君)= 私自身が関与したけん銃の隠匿事件というのがございまして、真正けん銃三丁の隠匿事案でございます。その被告人の供述によりますと、もう十年、二十年と自分が持っていたものである、自分の家の納屋に隠していたんだという主張でございまして、そのとおりの内容で起訴いたしました。ところが、公判が進行するに従いまして、暴力団そのものの内部に抗争が生じました。その結果、内部が分裂いたしまして、彼の地位そのものが非常に微妙な状況になってまいりました。そんなときに求刑が行われて、懲役六年を求刑いたしましたら、その途端に被告人がちょっと待ってくださいということで、いや実はこれは検挙される三日前に暴力団の幹部から預かったんですということを初めて自白したケースがございます。その自白を今度は端緒にしまして警察が鋭意捜査をして、その組長と顧問と称する者を検挙したという事例がございました。  つまり、けん銃の所持そのものを検挙しても、いわば殺人の場合に鉄砲玉があるのと同じように、このようにけん銃の所持もしょって出る者がいるわけです。これは断固自分でしょって出るということでございますから、絶対に関与した幹部の名前は言わない、幾ら自白を慫慂しても頑張り通すというケースが基本的にはほとんどということでございまして、先ほどの薬物事犯と同じように、これを突き上げて行うというのはその向こうに大きな壁がある、つまり組織の壁があるということでございます。  こういった事例は、腰を据えたより深い徹底した捜査をやって一挙に検挙するという以外に組織の中枢に迫るということはなかなか難しい実情にあることをぜひ御理解いただきたいと思います。そのためにはいろいろな捜査手法が必要でございまして、今お願いしております通信傍受もその一つということで、ぜひ御理解いただきたいと思っておる次第でございます。 <0085>=服部三男雄君= 先ほども暴力団の動向のところで、住友銀行名古屋支店長射殺事件の説明を求めました。非常に企業に対して重大なインパクトを与えて、企業活動に対する影響を考えますと、本当に悪質きわまりない犯行であったわけでありますが、このような企業テロ、これは住友銀行事件だけじゃなくてほかにもありました。富士フィルム専務の事件もありました。  というようなことを考えると、今度衆議院を通過したロンダリングのところに株及び債権による企業の不当支配という項目もあるわけでありますが、これなんか不当支配どころじゃなくて命をねらっておるわけですから、こういう事犯に対して法務当局として、どのような影響があり、それに対してどのように今後対処していくべきか、考え方があれば聞きたいと思います。 <0086>=政府委員(松尾邦弘君)= この数年で起こりました企業の幹部に対するそういう凶悪事件ということで、今改めて振り返ってみますと、先ほど申し上げましたが、阪和銀行副頭取射殺事件あるいは名古屋鉄道社長宅に対するけん銃発砲事件、さらに、時系列で言っていますが、住友銀行名古屋支店長射殺事件、あるいは同じ年の同じ月でございますが毎日新聞東京本社に対するけん銃発砲事件、それから平成七年九月にはカシオ専務宅に対するけん銃発砲事件等、ざっと振り返ってみただけでも相当多数のこういう企業幹部に対するテロ事件というものがございます。  いまだに犯人の検挙に至らない事件もこの中にはかなり含まれているわけでございまして、こうした事件は、確かに背景は一様ではないと考えられますが、暴力によってこうした企業活動に不当な圧力を加える勢力の存在がこういったことからも十分にうかがえるところでございます。  このように今、正当な経済活動を行う企業幹部の命が脅かされるということは、我が国の健全な社会経済の維持発展につきましてまことに重大な脅威であります。これに対しては厳正に対処すべきものだというふうに我々は考えておる次第でございます。 <0087>=服部三男雄君= これも私の個人的な経験なんですが、私は二十年前にパリの大審裁判所へ研究員で行ったときに、アンブロシアーノ銀行頭取暗殺事件というのがあって、フランスのやや左翼がかった暴力団組織による犯行だったんです。そのころ、フランスの予審判事たちと協議したときに、将来これが政治家に向かう危険性があるんだ、イタリアが現にそれをやられている、フランスも非常にそれを憂慮しているという話がありました。事実、その後、イタリアで政治家がマフィアに暗殺される、あるいは癒着していた政治家がマフィアの情報提供によって逆に政治的生命を絶たれていくという例が散見されました。  日本も、今までの暴力団がやらなかった企業幹部の正当活動に対するこういうテロ、それからジャーナリズムに対するテロはここ十年間で歴然と出てきた。万が一にも政治にまで、かつてのシチリアのマフィアがやったように、日本の政治家に対してこういうテロ活動をやるようになってくると日本の民主主義の危機でありますということを私なんかは二十年前の経験からも憂えているわけでありますが、そのためにも法務当局及び警察は全力を挙げてやってもらいたい、このように思います。  そういうことで、再度、法務大臣にこの種事案に対するトップとしての決意をお聞きしたいと思います。 <0088>=国務大臣(陣内孝雄君)= 暴力団によるけん銃等による大変ゆゆしい被害というものが日本の国民生活の安全あるいは経済社会の健全な維持、発展を阻害している、ひいてはこれが民主主義の破壊につながるんじゃないかという御懸念は、私も同じような気持ちを持つ一人でございます。  私たちにとって一番大事な民主主義、これをやっぱり最後まできちっと守っていくためにも、今懸念されているようなこと一つ一つをしっかりと防いでいくような努力をしていかなきゃならぬと思いますが、そのためのいろいろな必要な手段、方法、これについてもひとつ用意をさせていただきたい、このように願っておるところでございます。 <0089>=服部三男雄君= もっと触れたいわけでありますけれども、時間の制約がありますので。  今は非常に世界は国際化の時代でございます。二十世紀はいわゆる資本主義と共産主義の対立の時代であった、それがベルリンの壁が壊れて十年、資本主義が世界に蔓延していく、いわゆる自由民主主義の時代が来ているわけであります。そうなりますと、資本主義はグローバリズムをとりますから国境の壁がない、人はジャンボジェット機で六百人がぽんと簡単に行ける。ましてやお金は自由にボーダーレスの時代になってくる。そうなりますと、日本のような豊かな国にどうしてもたくさんの外国人が入りたがるのはもう世界の流れの必然でございます。  一方では、アメリカのハーバード大学の先生だったと思います、名前はちょっとど忘れしましたが、アングラ犯罪組織集団と正規の自由民主主義体制との闘争が二十一世紀に大きく問題になってくるだろうということを説明した学者もおります。その一番典型例が日本で見られる蛇頭だと私は分析できると思います。この最近の蛇頭を中心とする集団密航事件、これは法務省の入管行政の根幹にもかかわる問題でありますから、重要な問題でありまして、しかもそれに暴力団でもくっつきますと、これは大変なことになりかねないという危惧される事件でございますので、その検挙状況についてまず説明してもらいたいと思います。 <0090>=政府委員(金重凱之君)= 最近の集団密航事件の検挙状況ということでございますが、平成十年中に検挙いたしました集団密航事件は六十四件の千二十三人でございます。その前年、平成九年に七十三件、千三百六十人と急増した年がございましたが、これと比較しますと、件数で約一二%、人員で約二五%減少しております。しかしながら、平成八年に二十九件、六百七十九人ということでございましたので、これと比べますと、平成十年は倍を超える件数になっておる、それから人員も前年に引き続き千人を超えておる、こういう状況になっておるわけでございます。  それから、本年、平成十一年でございますけれども、六月六日現在における検挙件数、人員でございますが、既に三十三件、六百七十六人ということになっておりまして、昨年の同期に比べますと三件、百八十一人増加しておるという状況でございます。依然として多発傾向が続いておるということでございます。  そして、この集団密航者全検挙人員の中で、中国人が平成十年中は八割、それから平成十一年のただいま申し上げました六月六日現在までの数字では九割を中国人が占めておる、こういう現状でございます。 <0091>=服部三男雄君= その集団密航事件についても、これはやっぱり組織的な団体が関与しなければできないと思う、千人、二千人の人間を運ぶというわけですから。しかも密航させるとなると、正規の港に上がらないわけですから、そういう特質を考えますと暴力団が関与していると思われるわけですが、その内容と実態について説明を求めます。 <0092>=政府委員(金重凱之君)= 確かに先生おっしゃられるように、この集団密航事件につきましては犯罪組織が関与しておるということがございます。蛇頭、そして暴力団が関与しておるという部分があるわけでございます。  今申し上げました、例えば平成十年でございますが、中国人による集団密航というのは全検挙人員の中の八割を超えておる、こういうことで申し上げましたし、ことしはもう九割を超えておる、こういう状況なんですが、その背景には蛇頭と呼ばれております密航請負組織の介在が見られるわけでございます。それから、中国から日本等へ密航するという者を請け負う蛇頭の活動が行われる過程で、一部我が国の暴力団との連携というのも見られるわけでございます。 <0093>=服部三男雄君= その集団密航の態様について説明が足りません。 <0094>=政府委員(金重凱之君)= それでは具体的に。  集団密航が行われることの背後には、相当の請負料を取るということを目的にしまして、送り出し国での密航者を勧誘するという役割を持つ者がございます。それから送り出し国から引率するという役割、それから搬送する船舶や偽造旅券等を調達する、それから行き先国での密航者の隠匿をする、隠すということでございますが、それから不法就労のあっせんを行うというようなこと等を行う組織、これが密航請負組織ということで、私どもその組織の総称を蛇頭というふうに呼んでおるわけです。そういったものがあるということでございます。  それから、暴力団がそこに絡んでくるという部分について申し上げますと、これまでの事案の中では、この密航者の受け入れのための船の手配をしたり、あるいは陸地でのレンタカーの借り上げ等の輸送車両の手配をする、あるいはこの密航者の隠匿、隠す場所の手配をする、あるいは密航者が逃げないようにということでの監視をする、こういうようなことで暴力団関係者が関与しておるという実態が見られております。 <0095>=服部三男雄君= 先ほどちょっと説明しましたように、集団密航ということで正規の港に入ってこないわけですから、日本は御案内のとおり海浜ラインが非常に長いわけですね、海辺が。海上保安庁も一生懸命やっているし、警察もやるでしょうけれども、もともとそんなに多数の人間を配置しているわけじゃない、手薄なわけだ。ということで、集団密航は検挙されている、千三百人ということでありますけれども、暗数があるんじゃないか。要するに、わからない、警察がまだ把握し切れていない部分もあるんじゃないかというふうに思わざるを得ないわけであります。  警察用語で言うと、認知されていない事件ということになるわけでありますが、そういうことを考えますと、どういうふうにすればそれを解決できるのか。そのために一番いいのは、もうだれでも、子供でもわかるわけですが、蛇頭の首謀者のところをごぼっと全部やってしまえばそういうことが防げるわけでありますが、その点について法務当局の方に尋ねましょうか。法務当局は入管行政も絡むから、法務当局の方へ回答を求めます。 <0096>=政府委員(松尾邦弘君)= 御指摘のとおり、集団密航事件のある事犯というのは、その性質上、いわゆる暗数、検挙に至らない件数が相当あるのではないかと考えられております。これは単に推測ではございませんで、不法残留者を一斉検挙いたしますと、この中には正規の旅券を持って入ってきておりましたが滞在期間を超えて残留するという者ももちろんいるわけでございますが、そのほかに、こういう密航事犯により入ってきた外国人というものが検挙されるケースが相当ございます。そういったことから推測しますと、こういう密航事犯は相当な暗数があるということ、あるいはそういうふうに見ざるを得ないということでございます。  この種事犯でございますが、今委員御指摘のように、一番の検挙の要諦は、不法に上陸する者を上陸する時点で一斉に検挙するということができればこれが一番いいということになるわけでございます。そのためには、外国と我が国で密航事案を計画してそれを具体的な行動に移す段階から的確にその行動をつかまえて、首謀者、実行者あるいは末端を手伝っている者まで含めて全容を解明して、日本に上陸し密入国した者たちが拡散しない前にそれを検挙するということがこういう事案を防圧する最大の捜査体制ということになるわけでございます。この種事案も性質上非常に組織的、非常に緻密に計画され、また非常に高度の通信機器等を利用しております。そういうことで、なかなか捜査がその中枢に迫れないというのが実情でございます。  先ほど警察の方からも瀬取り船ということがございましたが、密航船そのものが港に隠密裏に入港して上陸するというケースよりも、むしろ最近では沖合でそういう外国人の受け渡しをするというケースも非常にふえてきております。そうした際にはもちろん通信機器が多用されるわけでございます。また、国内の搬送手段の準備等についても携帯電話、固定電話等を含めまして通信機器が多用されているということでございます。  捜査当局としましては、こうした密航計画の全容を把握するための捜査を進めることができるようにすることが肝心であるということでございます。また、そのための捜査手法も、ぜひ通信傍受を含めて導入したい、あるいは活用して、さらにこうした事案の検挙に努めたいと考えているところでございます。 <0097>=服部三男雄君= 入管行政を考えますと、日本のような豊かな国、日本へ来ると一働きできるという、外国の貧しい人たちから見れば来たがる気持ちはよくわかるわけです。別に来たがることをそんなに防ぐ必要もないと私は個人的には考えますが、ただ、異文化に接するということと、日本における外国人に対する理解もまだ余り進んでいない。貧しい生活をする、中には不心得なやつもたくさん入ってくるということで、それが日本の治安に悪影響を及ぼすことが怖いわけであります。外国人が日本に来ることを拒むのではなくて、日本で治安が悪化すること、これはもう世界の例を見ましたらわかるとおりでありまして、ドイツにおけるトルコの問題とか、フランスにおけるアルジェリアの問題とか、世界のどこを見ましても低開発国からたくさんの人間が来たときには治安が悪化するのはもうこれは避けられない事実でございます。  そういう意味で、外国人犯罪の動向、特にそれが凶悪化の傾向が認められるのかどうか、その点について警察から実情を説明願います。 <0098>=政府委員(林則清君)= お尋ねの来日外国人による犯罪でございますが、平成十年中の来日外国人による刑法犯、特別法犯を含めました検挙の状況が、検挙件数三万一千七百七十九件、それから検挙人員の方が一万三千四百十八人ということでございまして、平成元年の五千七百六十五件、四千六百十八人というものと比較をいたしますと、件数で五・五倍、人員で二・九倍というふうに数字の上ではなっております。  それで、来日外国人の犯罪の傾向といたしましては、まず犯罪が組織化しているということが挙げられまして、平成十年には、刑法犯で見ますと共犯事件というのが九千三百四十九件と全体の四三%を占めております。平成元年の共犯事件が二百八十八件で約八%でありましたものと比較しまして非常に増加しておるということでございます。  このような来日外国人犯罪が組織化しておるということの原因といいますか、これは国内における不法滞在者を中心としてグループ化するという面と、国際犯罪組織の活動が背景にあるというふうに考えておりまして、具体的には、近年では例えば香港三合会、トライアドによる貴金属店対象の強盗事件でありますとか、あるいは中国人グループによる組織的連続窃盗事件、それから中国人らによる中国人女性身の代金目的誘拐事件など、こういった事件が組織的に行われるところが見られるところであります。  つけ加えますと、これらの犯罪の中には、我が国の暴力団が関与をしておるという事件も認められるところであります。  そしてまた、お尋ねの凶悪化という点につきましても、平成十年中の来日外国人による殺人、強盗等の凶悪犯の検挙状況は、検挙件数が二百二十八件で検挙人員二百五十一人というふうに、平成元年の九十八件、九十四人に比較して大幅に増加しており、数字の上でも凶悪化が進んでいることが明らかなわけであります。  これら凶悪犯の検挙人員の約五五%が不法滞在者でございまして、これらの不法滞在者が組織的に凶悪事件を敢行しておるという事件も見られるところであります。凶悪犯の中には、先ほど来問題になっておりますけん銃を使用する者も見られ、さらには警察官に対してもけん銃を発砲してくるという事件も発生しておるところでございます。  このように、来日外国人による犯罪は、量、質ともに悪化しておる、我が国の治安に対する重大な脅威となっておるものと認識しております。 <0099>=服部三男雄君= そういうことで、集団密航事犯というのは我が国社会の治安に非常に悪影響を及ぼしていると言わざるを得ないわけでありまして、入管行政をも所管される法務大臣に、この点について決意を述べていただきたいと思います。 <0100>=国務大臣(陣内孝雄君)= 集団密航者の増加は我が国の社会に対する重大な脅威となっております。集団密航者の大半は、上陸後、全国各地に分散して不法就労活動に従事しており、我が国の出入国管理制度の根幹を揺るがしかねない事態が生じております。  また、多数の集団密航者が不法就労活動に従事することによりまして、国内労働者の労働条件の向上を阻害し、低賃金労働市場を固定化して労働市場の階層化をつくり出すという弊害も生じかねません。さらには、国内の雇用機会が不足している高年齢者等の雇用への圧迫等ももたらしかねない事態を生じていると認識しております。  治安の面においても、集団密航者を含む不法滞在者による犯罪が多発している上、その内容も悪質化の傾向があり、凶器を使用した殺傷事件や身の代金目的略取事件など凶悪犯罪や薬物密売事犯を犯す者も少なくなく、犯罪の多様化、広域化が認められ、さらに同じ外国人同士が相互に結合したり、蛇頭など海外の犯罪組織や日本国内の暴力団等と連携するなどして犯罪組織化する傾向が見られるわけでございまして、このことが国民生活の安全と平穏を脅かす事態を生じかねない、このように認識しておるところでございます。 <0101>=服部三男雄君= 法務委員会に常に出席しております法務省の但木官房長宅にボーガンの矢が撃ち込まれるという衝撃的な事件が起こりました。  数年前に警察庁長官狙撃事件がありました。昭和二十年代にそういう役所あるいは政官に対する事件があったようでありますが、その後ずっと日本は極めてそういう事件がない世界一平和ないい国であったんですが、ここ数年、政官の官の方ですけれども、ねらう事件がある。私も新聞を読んだときに本当に戦慄する思いをしました。  ただ、ボーガンの矢と言われてもぴんとこなかった。その翌日に埼玉県警か川越署の発表で、優に殺傷能力のあるものだという実例を挙げて写真で説明されていて、しかもそれが四本も五本も撃ち込まれているという事件であるというふうに聞いて、この事件の重大さというものを、しかも組織三法案が審議されている最中だということを考えると非常にこの問題について重大な関心を持たざるを得ないと思います。  まず、その事件の概要を警察に説明を求めます。 <0102>=政府委員(林則清君)= お尋ねの事件は、平成十一年五月三十日未明に埼玉県川越市所在の法務省官房長の自宅にボーガンの矢が撃ち込まれ、さらに車庫内の自家用車のタイヤに千枚通しが突き刺されるなどしておった事件であります。  埼玉県警におきましては、法務省の現職の幹部宅に対し、今お話がありましたように大変殺傷力のあるものが撃ち込まれたという事件でありますことから、自宅の警戒を行いますとともに、専従の捜査班を設置しまして犯行の背景をも含めて鋭意捜査を推進しておるところでございます。 <0103>=服部三男雄君= 予定の時間がまだあるので、その点について詳しく聞きますが、まず、ボーガンの矢と言われてもよくわからない。もうちょっとそれを説明していただきたい。それが何本撃ち込まれたのか。その犯行の手口、被害者もそこにおりますけれども、手口をもうちょっと詳細に説明してくれないか。 <0104>=政府委員(林則清君)= 記憶力が悪いのと、手元に資料を持っていないので、私ども確実に把握しておるところから言いますと、本数は、まず台所の方へ撃ち込まれたもの、それから庭で発見されたもの二本、ですから少なくとも三本以上は撃ち込まれておると記憶しております。  それから、ボーガンというものの矢をどういうふうに示していいのか、失礼しました、発見されたボーガンの矢は四本でございました。おわびします。  それで、これは長さがこれくらいの、うまく説明できませんけれども、威力もそのまま直接人に当たれば完全に殺傷力がある。たまたま台所の方へ撃ち込まれておりますが、奥様が台所においでにならなかったということで大事に至らなかったわけであります。もしおられれば大変なことになっておる可能性があった、そういうようなものでございます。 <0105>=服部三男雄君= 法務省の官房長ということになりますと、その直属の上司は法務大臣でございます。法務大臣としましては、特に組織三法案を審議中の時期に国会対策の中心である官房長宅に対する事件ということになりますと、その背景、動機について官房長の職務に絡むと言わざるを得ないというふうにお思いだろうと思います。それだけに、法務行政の長であられる法務大臣としましては非常に憂慮されていることと思いますが、この件についての所感、決意を伺って質問を終わりたいと思います。 <0106>=国務大臣(陣内孝雄君)= お尋ねの事件につきましては、ただいま警察庁から御報告がございましたように、現在捜査当局において捜査中であり、その背景、動機等は不明であるというふうに承知しております。  しかしながら、最近の当省をめぐる諸情勢にかんがみますと、本件の背景、動機については当省官房長としての職務に絡む事柄もその可能性としては否定できないのではないか、このようにも思えるわけでございます。もし職務に絡む事柄が背景、動機になって本件のような個人の居宅に対する極めて危険な犯行が敢行されたものであるとすれば、卑劣きわまりないものであるとともに、法秩序に対する挑戦とも言えるわけでございまして、大変悪質な犯行であると考えるところでございます。  いずれにしましても、本件につきましては、早期に犯人が検挙されて、厳正に処罰されることを期待しております。 <0107>=服部三男雄君= 質問を終わります。 <0108>=委員長(荒木清寛君)= 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後一時開会 <0109>=委員長(荒木清寛君)= ただいまから法務委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、藁科滿治君が委員を辞任され、その補欠として小川敏夫君が選任されました。     ───────────── <0110>=委員長(荒木清寛君)= 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 <0111>=千葉景子君= 私は、きょうの質疑につきまして、人権問題を中心にして何点かお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  ことしはどういう年かということを改めて考えてみたいというふうに思うんですけれども、実は昨年は世界人権宣言五十周年という大変記念すべき年でございました。国連を初め世界各国で世界人権宣言の持つ意義を再確認し、そして来るべき二十一世紀を人権の世紀とするために、各国政府としても人権の保護と、そしてその伸長に向けたたゆまぬ努力を推進していこう、それぞれそういう表明などもあったところでございます。我が国でも、国会でこれに基づいた決議などもされましたし、法務省を中心として人権宣言五十周年を記念するさまざまな行事も施行されたということも承知をさせていただいております。そういう年が明けまして、いよいよ次の五十年、新しい時代に向けて、こういう時期にことしは差しかかっているのだろうというふうに思っております。  それから、実は国連人権教育の十年、人権教育のための国連十年、これが一九九九年、本年がちょうど中間年ということになるわけでもございます。そういう意味では、この前半の五年間、これを十分に検証しながら、そして人権教育を今後さらに深めていくという意味で後半どのように取り組んでいくか、こういうまた節目にも差しかかっているところであろうというふうに思います。  また、この委員会でもさまざまこれまで取り上げさせていただいておりますけれども、いわば人権擁護行政、あるいはそれぞれの各国の人権状況につきまして国連の人権機関などもさまざまな取り組みをしております。そして、昨年も、規約人権委員会などで日本の人権状況などにさまざまなコメントあるいは勧告、意見なども表明されました。この内容、大変盛りだくさんでございますけれども、関連する問題につきましては、この委員会でもしばしば取り上げられているところでもございます。  こういういろいろな節目あるいは国際社会の動き、こういう中で、いわば我が国もこれからもう間もなくやってこようという二十一世紀に向けて真の意味で人権の保障される、いわば世界でもリーダー国としてこれから進んでいく、こういうことが求められようかと思います。改めて法務大臣に、人権問題を管轄する責任者として、このような節目に立ち至り、そして国際的なさまざまな動向なども踏まえてどのような認識をお持ちでおられるのか。そして、その上に立ってこれからの人権擁護行政、こういうことについてどのような心構え、あるいは方向性を持って取り組まれていこうとされるのか。この際、改めてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。 <0112>=国務大臣(陣内孝雄君)= 人権の尊重が日本国憲法の柱であり、民主政治の基本であるということは十分承知しております。  ただいま委員が世界人権宣言五十周年、五十周年を迎えた我が国の去年またことしの意義についてお話がございましたけれども、世界人権宣言や国際人権規約等によっても人権の尊重が強くうたわれているということも承知いたしております。  法務省といたしましては、日本国憲法や世界人権宣言の精神にのっとりましてこれまで人権擁護行政の推進に努めてまいりましたが、今後ともすべての人々の人権が尊重される平和で豊かな社会の実現を目指し、人権擁護行政の推進により一層努めてまいりたい、このように考えております。 <0113>=千葉景子君= ぜひ基本的な姿勢を鮮明にしていただきまして具体的なさまざまな取り組みをしていただきたいというふうに思いますが、そういう意味で、何点か人権にかかわる問題についてこれからお尋ねをしたいというふうに思います。  まず、ちょうどこういう状況の中ですが、実は人権擁護推進法に基づきまして人権擁護推進審議会が今議論を進めておられるというふうに聞いておりますが、つい先般、五月二十五日でしょうか、この夏にも答申が出されるやに聞いておりますが、そのたたき台ともなる素案をまとめられたというふうに聞いております。報道などがされているところでございますが、まずその素案、たたき台というんでしょうか、この内容、それから今後このたたき台、素案に基づいてどのような段取りがとられるのか、それについてちょっと御説明をいただきたいというふうに思います。 <0114>=政府委員(横山匡輝君)= 御指摘の答申素案は、本年五月二十五日に開催されました人権擁護推進審議会に提出され、現在これに基づきその内容について検討中であると承知しております。  この五月二十五日の審議会におきまして、この答申素案は非公開という扱いにする旨決定されておりますので、その内容については答弁は差し控えさせていただきたいと思います。  それから、今後の予定につきましては、答申案が取りまとめられました段階で国民の方々にこれを公表し、国民の方々からの意見を聞いた上で答申を確定し、本年七月末ころを目途に公表する予定であると承知しております。 <0115>=千葉景子君= 確かに非公開ということのようでございますけれども、七月末ころにまとめられるという状況だとすれば、それまでそんなに時間はないわけですね。やはり今後の我が国の人権のあり方あるいはその教育、啓発、こういうものの進め方、こういうものについてどうしていくかという問題でもございますので、非公開で、そして時間もそう長いことないところでまとめられるというのは、私は大変疑問に思うんです。できればきちっとした問題点を示していただいて、今のお話ですとこれから広く意見も求めるということではございますけれども、せっかくこういう法務委員会などもあり、そういう場でも意見を反映できるような姿勢というものをぜひ持っていただきたい。これは審議会の方の問題であろうかというふうに思いますけれども、審議会のできる限りの公開というのは今要請をされていることでもございます。  そういう意味では、非公開ということですから、お答えできないというのはそのとおりの答えかもしれませんけれども、私はその点については大変疑問に思います。  七月末ころということですけれども、それまでに例えばいわゆるパブリックコメントといいましょうか、さまざまな意見を聴取するということになろうかというふうに思うんですけれども、それは具体的にはどんな形で、そしてまたどういう分野といいますか、幅広くどういう形で意見を求められるということになるのでしょうか。 <0116>=政府委員(横山匡輝君)= この答申素案というのは答申案を作成する上での全くたたき台でございまして、今これを審議会でいろいろと審議をして、いろいろ必要があれば修正すると思うんですね。今その作業をしている、審議をしている最中でございます。この答申素案につきましては、今のところ、六月十八日に答申案を公表する、そういう予定で今審議が進められているところでございます。  それで、この公表の方法でございますが、一つは、直接法務省に来ていただいた方に手渡すという方法はありますけれども、それ以外にファクスあるいは電話等の申し込みによって郵送するという扱い、それからまたホームページを開きましてインターネットでアクセスすることもできる、そういうことも考えております。それからまた、国会議員の方々、関係する議員の方々等に対しましてはお届けさせていただくということを考えております。さらにまた、この審議におきまして、いろいろな人権課題に関しましての各種人権団体、人権に関する運動をしています団体等からヒアリングをしております。そういう団体に対しては直接この答申案をお送りする。多様な方法で国民の方々から意見を聞くという方法を考えておるところでございます。 <0117>=千葉景子君= これはファクス、電話で申し込みを受ける、あるいは法務省へ来てもらったらということでもあるし、ホームページということもありますけれども、逆に言えば、こういうものは例えばきちっと報道機関に乗せて、そしてだれもがすぐにわかるようにするというようなことも当然考えてしかるべきだというふうに思います。  というのは、今回、そのたたき台ということについて非公開という話ではございますけれども、報道はされているんですね、各新聞などに。これは正式な報道でないんだと言われるのかもしれませんけれども、非公開にしてもそういうものがまとまったということになれば、やっぱり多くの皆さんが関心を持ち、それから報道機関などもそれについてできるだけ早く知らせたいということもあるでしょう。こういう新聞等にやっぱり出てきます。  逆に言えば、そこに正確な中身が報道されませんと、むしろ誤解を招いたりすることにもなりかねない。そういう意味では、ぜひ内容あるいは審議の状況などをむしろ法務省の側から積極的に伝えていくということが必要ではないかというふうに思います。  それで、先ほど非公開なのでというお話でしたけれども、新聞報道等で素案の内容が報道されています、正しいのか正しくないのかはあれですけれども。この報道等をかいま見ますと、幾つかやっぱり問題点というものが出てくるような気がいたします。  この審議会の設置につきましては、法案審議の際に附帯決議などが付されております。これも十分に御存じのところであろうというふうに思うんです。  その素案の中身から考えますと、どうも幾つか私が指摘させていただくような点で不十分さあるいは問題点を残しているように思うんです。  例えば、この推進法の審議の際の衆参の附帯決議、これによりますと、参議院の法務委員会での附帯決議ですけれども、「人権尊重の理念に関する教育及び啓発の基本的事項については二年を目途に、人権侵害の場合の被害の救済施策については五年を目途になされる人権擁護推進審議会の答申等については、最大限に尊重し、答申等を踏まえ、法的措置を含め必要な措置を講ずること。」、こういう附帯決議になってございます。  この答申の内容でもどういう法的措置をきちっととるべきかということなどがどうもいま一つはっきりしていないのではないか、こういう報道等の指摘もございます。五年後ということになりますと、五年後には今度は救済策に伴ってさまざまな法的な措置ということも検討していくことになろうかというふうに思うので、やはり今回の答申の内容、そしてそれを踏まえての法的なきちっとした措置、法律の策定を含めて、こういうことが求められるのではないかと思いますが、どうもその点がいま一つはっきりしていないとの報道がございます。  それから、人権についての教育や啓蒙ということになりますと、やっぱり各省庁の連携、そして国と自治体との連携、あるいは行政機関と民間の連携、ボランティア、NGO含めて、こういうトータルな協力体制が必要であろうというふうに思います。そうなりますと、それをコーディネートしたりいろいろ連携を図っていくための機関とか設備とか、それに伴うスタッフとか、そういうことが必要になってくる。  とりわけ、地方自治体などでこういう取り組みをするとなると財政的な問題も出てこようかというふうに思うんですけれども、こういう点について十分な答申案になっているのかどうか、その辺にも多少疑問が残るように指摘をされております。あるいは、都道府県などを単位にした地域の組織づくり、体制づくり、やはり全体で取り組んでいくという意味ではそういうことも必要であろう。こういう問題がどうなっているのか。  先ほども指摘をいたしましたけれども、国際的な人権諸条約とか、あるいはそれに基づいて人権機関がさまざま表明をする意見、あるいは日本に対するさまざまな問題指摘、こういうところが十分に考慮されて、あるいは認識をされた上で今回の答申案、そのたたき台というものにつながっているのかどうか。このあたりも、多少どうも、私もつぶさに内容がわかりませんけれども、報道等からうかがい知るところによると問題点があるのではないかというふうに思われます。  このあたりについては、今たたき台は非公開ということで具体的にお答えできないのかとは思いますが、もう近いうちに答申案がまとめられて公表される。それに基づいて法務省としてもさまざまな施策やあるいは取り組みを進めていくことになるわけですから、こういう問題点はどういうふうに扱われているのでしょうか。それで、法務省としてはどう考えておられるのか。いや、こういう問題点はもう審議会で言われなくても当然法務省は考えておることなんだから気にするなということなのか、あるいは審議会でももう少しそれらの点について十分に議論してもらいたいというふうに考えているのか。ちょっとその辺についての御説明をいただきたいと思います。 <0118>=政府委員(横山匡輝君)= 最初に、先ほどの答申案の公表の点で、先ほど委員から御指摘されましたマスコミを通じての公表というのを私の方でちょっと落としておりまして、どうも失礼いたしました。マスコミによる公表ということも当然考えておるところでございます。  それで、今委員からいろいろお話がございましたが、最初に出ました法的措置の点と、そのほかいろいろ出ておりますけれども、全体としましては、先ほど来御説明しておりますように、人権教育、啓発の基本的なあり方についての答申の方向性については、現在取りまとめの作業中であるので答弁は差し控えさせていただきたいと思っております。  法的措置の点でございますが、確かに人権擁護施策推進法成立の際の衆議院及び参議院の法務委員会で先ほど委員御指摘のような附帯決議がなされ、「人権擁護推進審議会の答申等については、最大限に尊重し、答申等にのっとり、」、またはこれを踏まえて、「法的措置を含め必要な措置を講ずること。」とされております。附帯決議の内容からも明らかだと思いますけれども、これは政府に対するものでございまして、審議会との関係では、答申に盛り込むべき内容について述べているものではないというふうな理解をしておるところでございます。  また、こういう法的措置の問題、それから国と地方自治体との人権教育、啓発を進めるに当たっての連携の問題、あるいは行政側と民間団体との連携の問題等々、これらは審議会の審議の中ではいろいろと議論が出てきているところでございます。したがいまして、今答申案の作成過程でございますが、こういう答申案を作成する過程の中でもこういう議論が出ているということを踏まえて審議会の認識、考え方というのが示されることになるのではないか、このように考えておるところでございます。 <0119>=千葉景子君= 御説明の趣旨はよくわかりますが、答申案が出ましてから、むしろ法務省として、それを受ける方がやはりきちっとした法的措置を講ずるなり、それから例えば各省庁の連携や自治体との連携を含めて十分な財政措置、こういうものも必要になってくるだろう。当然のことながら、これはむしろ国に対する決議ということになりますので、この答申案が出ましたときにはぜひその附帯決議の趣旨というものを踏まえて対応していただきたいものだというふうに思いますが、その点について法務省としての御決意のほどというのはいかがでしょうか。 <0120>=政府委員(横山匡輝君)= 審議会の答申が出されました際には、私どもこの附帯決議の趣旨を体しましてこの答申を最大限に尊重し、答申等にのっとりまして、あるいは踏まえまして必要な措置を講じてまいる、このように考えております。 <0121>=千葉景子君= さて、人権問題については、冒頭申し上げましたように、世界人権宣言あるいは人権教育の十年とかそして国際的な日本に対する指摘、こういうことを踏まえていく必要があろうと思います。昨年、国連の規約人権委員会からさまざまな勧告、指摘がされております。先般来、この委員会で外国人に関する問題についてもたび重ねて規約人権委員会の勧告の内容が引用されたところでもございます。  その中で、きょうは一つ指摘をさせていただきたいんですけれども、いわゆる刑事関係につきまして証拠の開示というものが十分でないということが規約人権委員会の中でも指摘をされたところでございます。これは今回が初めてではございませんで、たび重ねて指摘をされているところでもございます。規約人権委員会では、刑事法によると検察には証拠を開示する義務が存在していない、こういうことに懸念が示されておりまして、弁護側あるいは被告人側がその証拠を十分に検討した上で防御権を行使することができるように、そういうことが求められているところでもございます。  この問題については、背景として、もう御存じのとおり、再審に係る証拠の開示、狭山事件などを中心にして問題がずっと指摘をされてきたこと、これは法務省の方でも十分御存じのところであろうというふうに思っているところです。証拠の開示がなかなかされないということについては、この間何回か私もお尋ねをして、おおよそ理由としては、プライバシーにかかわるという問題点が一つ、それから将来に対して捜査上支障が出る可能性があるというようなことが挙げられているように思いますけれども、これだけ規約人権委員会などでも指摘をされ、そして事実の解明や被告の防御権などということを考えましても、この証拠の開示という問題について積極的に前向きな姿勢をとられるべきではないかというふうに思いますが、どうでしょうか。考え方はこの間全く変わっておられないのでしょうか、ちょっとお聞きをいたします。 <0122>=政府委員(松尾邦弘君)= 今お尋ねの点につきましては、これまでも法務当局からお答えをしてきたところでございまして、基本的にはその立場は、お答えの内容そのものはなかなか変わり得ない状況でございます。  委員御指摘のように、証拠の開示につきまして刑事訴訟法の規定がございますが、検察官個々に、事案ごとに被告人の防御上合理的に必要と認められる証拠を適切に開示するということが規定されておりまして、法務当局としましては、弁護人等には公判準備に必要な証拠の開示を受ける機会が十分に保障されているものという考えで従来から来ておるところでございます。  また、再審請求事件におきましても、再審請求者に対する公判に提出していない記録の開示につきましては、事件の争点との関連性、あるいは今先生御指摘のとおり、関係者のプライバシー等の保護、あるいは将来の捜査における協力の確保等の観点から、その検察官において個々の事案ごとに個別に判断して適切に対処しているものと考えておるところでございます。  先生の今御指摘のあります狭山事件につきましても、現在、事件を担当する検察官と弁護人との間で個別にまだ協議が断続的ではございますが続いている状況というふうに理解をしているところでございます。 <0123>=千葉景子君= 考えるに、一般的な問題としてプライバシーにかかわる、それから将来の捜査に影響があるということは全く私も否定するものではございません。  ただ、狭山事件なりの再審問題を考えますと、捜査から経過をする年月を考えると、プライバシーと申しましても、例えば関係者はもうかなり御高齢になり、あるいはお亡くなりになったりしているケースもございます。それからさまざまな報道あるいはこれまでの事実の解明などによってプライバシーという問題もかなり緩和されているのではないか。  それから、将来にわたる捜査に対する影響というのは、これはもう捜査というのは終了し、そして再審の段階でいわば本当に最終段階ということを考えれば、将来の捜査への支障ということはまず余り理由にはならないのではないかというふうに思います。  こういう非常に長きにわたるこれまでの経過を考えたときには、やはりこの際きちっと必要なる証拠を開示して、そして事実の解明というものに検察としてもやっぱり協力をしていく必要があるのではないか、こういう気持ちがしているところです。  それでもいろいろ問題があるということであれば、例えば一般に公表しなくても、裁判所で裁判官が証拠を見て、これはプライバシーやあるいは捜査に支障がない、何らかのそういう判断を第三者的に加えることもできるだろう。インカメラ方式のような形で第三者としての裁判所がそういう判断をする、こういう手続も工夫をすればできないことではない。  こういうことなどを考えますと、この間の長きにわたる多くの皆さんの努力、こういうものに報いていく、あるいはきちっと対処していくという意味で、やはり大臣としても一つの決断を。これは検察ということになりますので直接口を出しにくいということもあるかとも思います。それは私も十分承知の上ではございますけれども、やはり大臣としても、こういう問題について一つの大きな解決の糸口あるいはそういう環境づくり、こういうものに決断をいただく時期ではなかろうかというふうに思いますが、いかがですか。 <0124>=国務大臣(陣内孝雄君)= 狭山事件につきましては、現在東京高等裁判所で再審請求が係属中でございます。公判に提出していない記録の開示につきましては、事件を担当する検察官と弁護人側との間で個別に協議をしている、このように承知いたしておりますので、法務大臣の立場としてはお答えする立場じゃないんじゃないか、このように考えます。 <0125>=千葉景子君= 大臣のお立場、検察に対する大臣という意味ではお答えしにくいということはわかりますが、きょう私も何点か指摘をさせていただきました。刑事局長も大臣もその思うところは十分に御理解をいただけたのではないかなという気もいたします。そういう意味では、ぜひ検察側と弁護団なりとの協議の場でよりよき方向性が出ますように、指示をしろとはなかなか言いにくいですけれども、そういうものを十分に側面からサポートいただくようなお心で対応していただきたいものだというふうに思っております。  私の時間が多少過ぎておりますけれども、もう一点だけお尋ねをしておきたいというふうに思います。  それは、やはりこの規約人権委員会で指摘をされているところでございますし、それからこのところの省庁再編の問題、そういう中で法務省の人権擁護局の存置などもいろいろ議論をされてまいりました。存続の方向にはなっておるようでございますけれども、この人権擁護にかかわる管轄場所ですね。法務省で本当に努力をいただくということは私も当然のことであろうというふうに思っております。全国に人権擁護委員の皆さんがいろいろな形で取り組みをされておられるということも十分承知をしているところでもございまして、むしろより一層人権擁護について、先ほど大臣の最初の御発言もございましたけれども、積極的に取り組んでいただくということは前提の上でもございます。  ただ、それにしても、やはり日本の場合に、人権擁護についてあるいはその救済などについてこれまた審議会がさらに検討をする問題ではあろうかというふうに思いますけれども、いわゆる政府あるいは各機関から独立をするような形で第三者的に救済を図るというような機関が存在をしないということについて、国際機関からもやはり懸念や指摘がされているところでございます。  確かに法務省が人権擁護の機関であり、そして、法務省がそれについてちっともやってない、だめだから法務省から独立せいと言うつもりは決してないんですけれども、やはりそれぞれの行政機関というものの指揮命令あるいはその管轄というものを受けず、行政機関にもきちっとした目を凝らし、そしてさまざまな国内の人権擁護、救済を図っていく機関の必要性というものがあるのではないか。この国際的な指摘というのも私はうなずける部分ではなかろうかというふうに思っております。  人権擁護機関の体制、現状を私も調べさせていただいているところでございますが、これはこれとして、こういう独立した機関というものを検討していく、これは審議会なりで御議論いただくということと同時並行でやっていかぬということは別にないわけでして、こういう問題について法務省としてはどのように考えておられるのでしょうか。 <0126>=政府委員(横山匡輝君)= 人権救済制度のあり方につきましては、今の委員のお話の中にも出ておりましたけれども、人権擁護推進審議会におきまして、法務大臣からの諮問に基づき本年九月以降本格的に調査審議がされる予定であると承知しております。  委員御指摘のとおり、昨年、規約人権委員会からは人権侵害の申し立てに対する調査のための独立した機関を設置すべきとの指摘を受けておりまして、人権救済を行う機関につきましては一定の独立性が必要との考え方もあるところであります。  法務省としましては、審議会での調査審議の結果も踏まえて慎重に検討してまいりたい、このように考えているところでございます。 <0127>=千葉景子君= こういう問題は、もちろん審議会にもいろいろな知恵を働かせていただく。しかし、それを待つまでもなく法務省の方も積極的に議論をして、むしろ早過ぎて悪いということは全然ないわけです。  今、いろいろな分野で独立した救済機関のような議論はされているというふうに思います。例えば、つい先般成立いたしました男女共同参画社会基本法、こういう中で男女共同参画に対するさまざまな救済についても、いわばオンブズパーソンなり独立した救済機関、審議機関のようなものが必要なのではないかという議論もされ、あるいは子供の問題でも独立して子供の人権などをきちっと救済できるような機関の設置が必要ではないか、こういう問題などもあり、あるいはいわば雇用の場では同じように独立した審議機関という一定のそういう方向があるわけです。そういう意味では、さまざまな場で人権というものを考えたときには、それを救済し、そして本当に公平公正な立場で独立した判断ができる、こういうものが、これは今始まったことではなくて既にずっと求められてきているわけです。  そういう意味では、審議会がことしの答申を出したら今度は次のに取りかかって、そこで答申がされるのでそれを待ちながらということではなくて、審議会にもいい意見を出していただく。でも、それに先立って議論を始めて、そして審議会の議論ともあわせて、できるだけこういうものにスピーディーに対応していくということが必要ではないかというふうに思います。  どうでしょう、大臣。こういう問題について待ちの姿勢ではなくて、決して審議会をおろそかにしようという意味ではありませんけれども、法務省としてもこういう議論を積極的に展開して、審議会と本当に協力しながらいい結論を出していく、こういう姿勢をお持ちいただいたらよろしいのではないかというふうに思いますが、大臣、その辺について御意見を伺わせていただきます。 <0128>=国務大臣(陣内孝雄君)= 人権擁護施策の重要性につきましては、るる委員御指摘のとおりでございます。  ただいま審議をいただいております中央省庁等の改革の中でも、人権啓発につきましては法務省が所掌するということで進めることになっております。  問題は、人権擁護施策となりますと、おっしゃるようにいろんな行政分野にまたがるわけでございますが、まず啓発という分野を私どもは担当しながら、今各省庁でしっかりとそれぞれの施策が円滑に連携をとりながら進んでいくような、そういう中心にならなければならないということは常に審議会の結論を待つまでもなく考え、取り組んでいく必要があると思います。  私どもは、人権擁護に関しましては、組織的にも、またこれまでの経験的にもしっかりとしたものを持っておりますので、そういうもので人権擁護施策全般が推進できるような立場を築いていきたい、このように考えております。 <0129>=千葉景子君= 終わります。 <0130>=委員長(荒木清寛君)= 速記をとめてください。    〔速記中止〕 <0131>=委員長(荒木清寛君)= 速記を起こしてください。 <0132>=小川敏夫君= 民主党・新緑風会の小川でございます。  最初に、警察庁それから公安調査庁にお尋ねします。  最近のオウム真理教が、凶悪事件を起こした際、重立った人間が検挙されて宗教法人も破産になったということで一時影を潜めていたのでございますが、最近になってまた顕著に活動するようになって、各地で大変大きな社会問題を起こしているというような状況になっております。  まず、オウム真理教の現状についてお尋ねしたいんですが、これは警察庁、公安調査庁の両方じゃなくてどちらか一方で結構でございますが、まず信者数に関して、事件を起こした当時の信者の数、それから最近の数、それが増加をたどっているのかというそこら辺について説明していただきますようにお願いします。 <0133>=政府委員(金重凱之君)= オウム真理教の現状についてのお尋ねでございます。  現在、オウム真理教は宗教法人格を失いまして任意の団体ということで、六人の正悟師と呼ばれる幹部と、それから麻原彰晃こと松本智津夫の子供、これらによる集団指導体制をとっておりまして、各般の分野で活動を活発化させておるということでございます。  お尋ねの現在の信者数は、最盛時は約一万人おりました。現在は約二千百名というふうに見られております。ただ、脱会信者に対して執拗な復帰工作を行っておりますし、それから新規信者の獲得に向けましてもさまざまなサークル活動等への参加呼びかけ等を行っております。したがいまして、こういう活動によりまして、信者数はわずかずつではありますが増加の傾向にあるものというふうに見られております。 <0134>=小川敏夫君= 現状でオウム真理教の信者勧誘活動というのは非常に活発に行われているのでしょうか。 <0135>=政府委員(金重凱之君)= 新規信者の獲得ということにつきましては、例えば冊子、リーフレット、これはオウムということを隠したような形でそういうリーフレット、冊子みたいなものを活用してサークル会員を募集するというようなことで一般人を対象にして呼びかけをしたり、あるいは大学生を対象にしまして学校の中で、やはりこれも偽装のサークルでありますけれども、そういったものへの参加呼びかけ等、活発に行っておるというふうに思っております。 <0136>=小川敏夫君= 私が思うところは、オウム真理教が各地でいろんなトラブルを起こすということも問題ですが、主として若者が将来ある身でありながらこういう宗教団体に入っていくということも、またこれも一つの被害ではないかと思うんです。そうした真理教の信者獲得方法というものを具体的に公にするなりして、事情のよくわからない者が間違って入信することがないような啓蒙活動といいますか、そういったような観点からの活動の考え方はございますでしょうか。 <0137>=政府委員(木藤繁夫君)= オウム真理教の活動が信徒獲得のためにいろいろな手段を使っておるところでございまして、ただいま警察の方から話もありましたように、当初はオウム真理教というような名前を隠しまして、ヨガの団体であるとかあるいはほかのことを研究するような団体であるとかというようなことで勧誘しておりますし、またインターネットなども使って国内あるいは海外に向けての布教宣伝活動をやろうとして、現にやっておるわけでございます。  こういう活動実態ということにつきましては、私どももそれなりに把握しているわけでございますけれども、関連するお尋ねが特にございますればもちろんそういうことについてお答えしておりますし、またオウム真理教の活動実態についての広報ということでマスコミの方にもまとめた形でお知らせしておる、こういうことでございます。 <0138>=小川敏夫君= 今現在、オウム真理教は三年少し前のような凶悪な犯罪事件そのものは起こしていないように思うんですが、実際の現状のオウム真理教の主たる活動はどういう内容に及んでいるか、わかる範囲で説明していただきたいんです。 <0139>=政府委員(木藤繁夫君)= まず、中央組織を集中化いたしまして、その組織、機構を整備しておるわけでございます。それと同時に、地方組織につきましても充実強化を図っておりまして、いろいろな活動拠点あるいは修行の施設などそういった施設を設けようとしているわけでございます。現在、合計三十八カ所の拠点施設を保有しておりまして、そのうち半数近くでトラブルが発生しているという現状でございます。  また、そういった拠点の獲得と同時に、全国各地で宣伝ビラを大量に配布したり、ただいま申しましたように若年層を対象として信徒獲得活動を展開しておるわけでございます。  また、パソコン販売事業などを基軸としまして豊かな財政基盤を維持して、資金獲得活動も熱心に行っておるわけであります。  そういったことで、信徒数も徐々にふえてきており、資金的にも豊かになってきておる、こういった状況にあるように考えております。 <0140>=小川敏夫君= 今の答弁の中に少しありましたが、オウム真理教の資金源はどういったところにあるか説明していただきますようお願いします。 <0141>=政府委員(木藤繁夫君)= 資金源の中心はパソコンの販売事業ではなかろうかと考えておるわけでございまして、パソコンの販売、三社四店舗による売り上げが平成十年、一年間で七十億円を超える。その約一割が収益といたしましても、推計で七億ないし十億という収益があるのではなかろうかと思われるわけでございます。  そのほかにいろいろなセミナーを実施いたしまして、その際のいわゆるお布施の形での収入があるわけでございます。平成十年中には、ゴールデンウイーク期間中の丹沢セミナーとか年末年始セミナー、こういったセミナーを開催いたしまして、合わせて約一億円のお布施の収入があると考えております。 <0142>=小川敏夫君= パソコン関連の事業を行っているということですが、その事業の根拠地あるいは営業主体の数あるいは地域的なものについて概略説明をお願いいたします。 <0143>=政府委員(木藤繁夫君)= パソコンの組み立てとかそういうふうな製造関係の根拠地は主として川口市にあると考えております。  一方、その販売の場所につきましては、東京が五店舗、名古屋が一店舗、大阪が一店舗でございます。部品等の仕入れ、組み立て、商品の流通管理等の各部門に約二百名の信徒を配置して仕入れから販売まで事業を行っておる、このように考えております。 <0144>=小川敏夫君= 事業関係なんですが、一つは、オウム真理教はあれだけの被害者を多数出す凶行を行いながら被害者に対する補償等を行っていないという問題がございます。これは宗教法人が破産になったという破産法上の問題がありますが、例えばこの事業を行う開業資金、こういったものの資金源に宗教法人が破産する以前の資金が流用されていないか、こういった点からの見方ではどうでしょうか。 <0145>=政府委員(木藤繁夫君)= 開業の資金がどのように手当てされたのかというような詳細につきましては、十分に把握できていないというところでございます。 <0146>=小川敏夫君= 事業主体は法人が多いというふうに聞いておりますが、例えば法人の設立時期、それから出資金等はいかがでしょうか。 <0147>=政府委員(金重凱之君)= 設立時期、パソコンショップの開業の時期でございますけれども、早いものですと平成八年の春ごろでございます。それから、最近では本年の二月ごろから営業を始めた店もあります。  それから、出資金といいますか開業資金はどのぐらいであったかということでありますけれども、店によりまして違いがあるわけでございますけれども、おおむね三百万ないし一千万円でありますので、資本金がその程度でございますから開業資金はそれ以上あったのではないかというふうに見ております。 <0148>=小川敏夫君= 仮にオウム真理教のそうしたグループが破産財産を隠匿しておればこれは破産法違反になるわけですが、そういった観点から調査するということはいかがでしょうか。 <0149>=政府委員(金重凱之君)= 先ほど公安調査庁の方でもお答えがあったかと思いますが、私どもの方もこの破産以前の隠し金みたいなものについての情報を現在のところ持ち合わせておらないところであります。  しかしながら、幅広く今後ともこのオウム真理教の財政実態の解明に努めてまいりたいというふうに考えております。 <0150>=小川敏夫君= 仮に破産財産を隠匿したものが発見できれば、破産財団に回復できれば、それが被害者の救済に回るという可能性があるので、ぜひそこら辺も鋭意調査、捜査していただきたいという希望を述べておきます。  続いて、そのパソコンショップ等の問題ですが、営業主体の役員あるいは個人営業の場合にはその営業主、これはオウム真理教の構成員なんでしょうか。 <0151>=政府委員(金重凱之君)= このコンピューター関連会社につきましては、ほとんどすべてが信者でございます。 <0152>=小川敏夫君= 従業員も同様ですか。 <0153>=政府委員(金重凱之君)= そのとおりでございます。 <0154>=小川敏夫君= そのパソコンショップ等で例えばアルバイト募集というような名をかりた形で一般の人たちを取り込むような行動はなされていないでしょうか。 <0155>=政府委員(金重凱之君)= 先ほど申し上げましたようないろんなサークルを通じての新規会員の獲得みたいなものにつきましては私ども把握しておるんですが、今委員御質問のような形態での信者獲得については承知いたしておりません。 <0156>=小川敏夫君= それから、従業員がほとんど信者だということですが、労働条件とか給料の支払い等の問題について、例えば労働基準法上の問題とかそういったことが明らかになるような例はございませんでしょうか。 <0157>=政府委員(金重凱之君)= 具体的なところでそうしたものについて、例えば今委員の御質問にありました労働条件云々とかというようなことについて、私どもまだ具体的なものについて把握しておるところではございません。  ただ、このコンピューター関連企業等で働く信者でありますけれども、通常月々八千円の業財というふうに呼ばれておるところのいわゆる小遣い、これをもらっておるわけでありまして、そしてその収入のすべてはお布施というようなことで教団に寄附している場合が多いというように見ておるところでございます。ですから、こうしたものも、こういうオウムの関連企業による収益が現在の教団の活動の財政的な支えになっておるのではないかというふうにも見られるわけであります。 <0158>=小川敏夫君= それでは、観点を変えてオウムのことを聞きますが、オウム真理教がまた再び同じような凶行を繰り返さないかということが最大の関心事だと思うんですが、オウム真理教がかつてのような非合法活動を行うようなそういった兆しというものは今つかんでおるのでしょうか、どうでしょうか。 <0159>=政府委員(金重凱之君)= 具体的な非合法活動云々ということは別といたしまして、一般的にオウム真理教は依然として従前からの反社会的な教義を堅持しておるというふうに私ども見ておるわけでありまして、現在も教団内のほとんどの信者が松本智津夫に対する絶対的帰依を表明しておるというようなことがございます。  それから、先ほど来話の出ておりますセミナーとかあるいは説法会とかというものもございますけれども、そうした際に松本の教えを繰り返し学習しておるというようなこともございます。それから、教団の支部だとかあるいは道場の祭壇、そういったところには崇拝の対象として松本の写真が掲げられておるというようなことがございます。  そして、この松本智津夫の確立した教義でございますけれども、この教義を根幹に据えてオウム真理教があるわけでございまして、説法の中にも教団の利益に合致するならば殺人さえも教団の救済活動として許される場合もあるというような極めて反社会的なものもあるということでございまして、そうした中で過去にも一連の凶悪な犯罪を敢行してきておるというようなことであろうというふうに私ども思っております。  そしてまた、オウム真理教の特別手配被疑者等四名が依然として逃走中であるというようなことでもございますので、私どもそうした者に対して全力を挙げて所要の措置をとってまいりたいというふうに思っておるところであります。 <0160>=小川敏夫君= 現在服役しておる信者あるいは元幹部がおるんですが、これが近々出所する予定と。それから、仮に幹部が出所した場合にオウムに復帰するのかどうか。そして、それが復帰した場合に今後のオウム真理教の活動に与える影響などについて説明していただきますようお願いします。 <0161>=政府委員(木藤繁夫君)= 教団の中で高い位である正大師という位にある上祐という幹部が現在広島刑務所で服役中なのでございますが、それが本年末に出所予定でございます。  その後、この幹部がどのような役割を果たしていくかということにつきまして、私ども関心を持っておるところでございます。しかし、その後の上祐の活動がどうであるかという予測は今直ちには難しいわけでございますけれども、ただ、勾留中書簡等を通じ教団運営方針などを指示しておるということもあるようでございますので、出所した後は、位が高いということもありまして、かなり教団運営における実質的な決定権を決めていく幹部として動いていくのではなかろうか、こう思っておるところでございます。 <0162>=小川敏夫君= 警察庁にお尋ねしますが、ごく最近にオウム真理教関係者を住居侵入ということで検挙している、逮捕している例があるようですが、この住居侵入の態様、特に建物の管理状況とかそういった点、概略御説明していただきますようお願いいたします。 <0163>=政府委員(金重凱之君)= 最近、警視庁管内でございますけれども、五月二十七日と六月六日のこの二件でございます。オウム真理教のビラ配布目的でマンション等に侵入した信者を現行犯逮捕しておるわけでございます。  それで、最初の五月の方の事件でございますが、これは十二階建てのマンションに深夜教団のビラ配布目的で侵入して、最上階から一戸一戸の入り口ドアにビラを投函しておったというところを九階におられる居住者が発見して一一〇番通報して、そして駆けつけた警察官が住居侵入で現行犯逮捕したというものでございます。  それから二つ目の、六月の方の事件でございますけれども、これも深夜でございますけれども、逮捕場所付近一帯のアパート等にオウムのビラを投げ込んでおる者を発見した通行人が近くの交番に通報いたしまして、それで駆けつけた警察官が、これは二階建てのアパートでございますけれども、この二階の通路で不審者を発見して住居侵入で現行犯逮捕したというものでございます。 <0164>=小川敏夫君= やはり警察庁の方にお尋ねしますが、今各地でオウムが拠点を構えようとしたところで住民とのトラブルが起きておりますが、一つ心配なのは、住民とオウム関係者とのトラブルで何らかの事件がまた新たに発生したりしないかということが一つ心配でございますが、そうした住民とオウム関係者との直接の対立、トラブルが起きないような防止策等についてどのように配慮しているか、お聞かせください。 <0165>=政府委員(金重凱之君)= 昨年からオウム真理教関係者が全国各地でオウム真理教の拠点となり得る施設を確保してきておりまして、そのために地元住民の方々によるところのオウム反対の住民運動が起きておるという状況、委員御承知のとおりでございます。  そうした中で、対策協議会みたいなものも次々と結成されたりということもあったわけでございますけれども、各地によって状況はもちろん変わっておるわけでございますけれども、施設周辺の地域住民の方々の不安というのは、やはり過去の事件等のことを考えますと、その不安ははかり知れないものであろうというふうに私ども考えておる次第でございまして、そうした不安を除去するということが一つございます。  それからもう一つは、今お話がありましたように、そういった教団の拠点になるような施設に入り込んでくるオウム信者と地元住民の方々との間での不測の事態というようなことがあってもいけないということがございますので、管轄警察署によるところの警戒警備、あるいは本部の機動隊を動員しての警戒警備等、情勢に応じて所要の措置を継続してきておるというような状況にございます。  そういう地域住民の方々あるいは関係自治体の当局との緊密な連携みたいなものも継続しつつ、オウムの教団信者の違法行為というのがございましたならば、これは厳正に対処してまいりたいというふうに思っておるところでございます。 <0166>=小川敏夫君= 次に法務大臣にお尋ねしますが、前回も法務大臣にこの場でお尋ねしまして、オウムの問題については破防法の改正の考えはないというふうにお答えいただいたんですが、その後、政府・与党内では改正という声もまた上がるようなところもあります。  現時点で破防法の改正についての法務大臣のお考えをもう一度お聞かせください。 <0167>=国務大臣(陣内孝雄君)= ただいまオウム真理教をめぐる問題についてるるお話がございました。周辺住民とのトラブルを発生させるなど、住民の不安や危惧の念が依然として払拭されない状況にあるということでございますので、同教団への対策としては、現行法令を最大限に活用することを初めとして幅広い対応が必要である、このように考えております。  政府においても各省の対策のための連絡会を設置していただいておるところでございますが、私どもといたしましても、こういうオウム対策の一環としまして、現行破壊活動防止法上の問題についても、オウム教団のような団体に対して有効かつ適切な規制が図れるよう、公安調査庁にこの法律の改正をも視野に入れた種々の検討を鋭意進めさせているところでございます。 <0168>=小川敏夫君= それで、破防法の改正についてはいかがでございましょうか。 <0169>=国務大臣(陣内孝雄君)= ただいま触れたように、破防法の改正も含めて、あるいはまた新しい法律も必要じゃないかという声もございます。そういうものをいろいろ検討しながら、オウムの現状、あるいはこれからの問題をよく見据えて、どういう対応、法的整備が必要か、真剣に鋭意検討しておるという状況でございます。 <0170>=小川敏夫君= では、少し観点が違う問題ですが、警察庁にお尋ねします。  松本サリン事件において、河野さんの問題ですが、結論的に言えば河野さんは全く犯人ではない、被害者であったわけですが、事件直後、河野さん宅に捜索令状が執行されております。どうも真犯人でないし、当時の状況からして河野さんが真犯人だというようなどの程度の客観的な証拠があったのか、どの程度の根拠で令状が請求されたのかについて説明をお願いいたします。 <0171>=政府委員(林則清君)= お尋ねの事件は極めて特異かつ凶悪な事件でありまして、警察におきましては、発生直後からあらゆる点を視野に入れて、総力を挙げて捜査を推進しておりましたところ、事件現場の近辺に所在する第一通報者の方、端的に言えば河野さんの敷地内とその周辺において飼い犬とかザリガニとか小鳥の死骸等が多数発見されたという点、それと現場一帯の実況見分の過程で、この第一通報者の河野さんの居宅に割合特異と見られる薬品様のものが相当数存在したというようなことから、これらの場所が被害の発生場所でもあり、犯行に密接に関係のある場所であるということを判断いたしまして、被疑者不詳のままこの地点についての差し押さえ、捜索令状等の発付を得て検証と捜索を実施した、捜索、差し押さえを実施したという経緯でございます。 <0172>=小川敏夫君= どうも私は、今お伺いした範囲では、河野さんを直接の被疑者だと結びつけるには若干根拠が弱いような印象も受けるんですが、その点はいかがでしょうか。 <0173>=政府委員(林則清君)= ただいまの説明が足りなかったかもしれませんが、河野さんを被疑者として請求したものでは全然ございません。非常に犯行に関連がある場所であるということで、被疑者不詳ということで請求をしておるわけでございます。 <0174>=小川敏夫君= それでは、また別の問題をお尋ねします。  法務省の方についてですが、今回のこの法律で、私ども民主党は、公明党さん、社民党さん、参議院の会と一緒になりまして国会議員の地位利用収賄罪というものを提案しておるわけでございます、まだ審議に入っておりませんが。  そこで、それに関連してお尋ねするんですが、刑法であっせん収賄罪という規定がございます。まず、これについて、実際にこのあっせん収賄罪が適用され、起訴されるに至った件数はどのくらいあるのか教えていただきますようお願いします。 <0175>=政府委員(松尾邦弘君)= あっせん収賄罪につきましては、昭和三十八年から平成九年までの間におきまして八十七名を公判請求しております。昭和六十三年から平成九年までということで十年間ということでいいますと、公判請求人員は二十二名でございます。 <0176>=小川敏夫君= 一般に刑法のあっせん収賄罪は、請託を受けて収賄を行った点、請託が犯罪の構成要件の一つでございますが、この請託の有無が立証上困難である、困難というかやや難しいという議論がありますが、こういった観点の見方はいかがでございましょうか。 <0177>=政府委員(松尾邦弘君)= 刑法の百九十七条の四はあっせん収賄罪の規定でございますが、「公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるように、又は相当の行為をさせないようにあっせんをすること又はしたことの報酬として、賄賂を収受し、」云々がありまして「五年以下の懲役」、こうなっておるわけでございますが、通常の単純収賄罪に比べますと、請託というのと、それからもう一つは職務上不正な行為をさせるようにというのが入ってございます。いわば二重の構成要件がありますので、通常の単純な贈収賄罪に比べますと、公判請求上ではやはりそれなりの証拠を集めなきゃいけませんので、捜査の困難性等からいいますと、比較の問題でございますが、なかなか難しい犯罪であることは間違いございません。  ただ、先ほども申し上げましたように、昭和三十八年から平成九年末まででとりますと八十七人を公判請求しておりますので、それなりの機能は果たしておるものというふうに考えております。 <0178>=小川敏夫君= では次に、また質問を変えまして、裁判所の方にお尋ねいたします。  最近、判事補が、いわゆる盗聴法に関しますことで分限の戒告を受けたということがございました。まず、これを踏まえて、裁判官の政治活動の制限について最高裁としてはどのような対処をしているか、一般的にお答えいただきますようお願いいたします。 <0179>=最高裁判所長官代理者(金築誠志君)= 裁判官の政治的自由という問題につきましては、御指摘の寺西判事補の事件に関しまして昨年の十二月一日に最高裁判所の大法廷の決定がございました。  裁判官の政治的自由の範囲という問題を法的な問題としてとらえますと、裁判所法五十二条一号に積極的に政治運動をすることが禁止されているわけでございまして、今申しました事件もこの解釈、適用をめぐる問題だったわけでございます。  この決定の中でどういう行為が積極的な政治運動に当たるのかということで一般的な議論もしておりますが、決定によりますと、積極的に政治運動をすることというのは組織的、計画的、または継続的な政治上の活動を能動的に行う行為であって、裁判官の独立及び中立公正を害するおそれがあるものがこれに該当する。そういう該当性を判断するに当たっては客観的な事情、主観的な事情を総合的に考慮して決めなければいけない。あるいは、裁判官が一国民として法律の制定に反対の意見を持って、その意見を裁判官の独立及び中立公正を疑わしめない場において表明することまでは禁止されるものではないとした上で、その裁判官が職名を明らかにして論文、講義等において特定の立法の動きに反対である旨を述べることも、その発表の場所、方法等に照らして、それが特定の政治運動を支援するものではなく、一人の法律実務家ないしは学識経験者として個人的意見の表明にすぎないと認められる限りにおいてはこの条文により禁止されるものではないというふうなことも述べているわけでございます。  結局、その裁判官の政治的自由について法的に考える場合には、今申しました最高裁の判示するところが基準になると申しますか、判例ということになるわけでございますが、具体的な特定の行為がこれに当たるかどうかというふうなことは、これは今後の案件で分限裁判所等がその手続において判断されるということで、個々具体的な判断は私の方では述べるのは差し控えさせていただきたいと思います。 <0180>=小川敏夫君= この寺西判事補の分限裁判の事実となった集会への出席でございますが、どうも事実関係を見てみますと、本当は集会で発言する予定だったんだけれども、その直前に所長からアドバイスを受けてそれはよくないということで、集会に出て発言できなくなったということを発言したというように理解しております。  ここで、所長が寺西判事補にアドバイスをしたというのは、これは所長としての司法行政上の立場として、そういう政治的な発言をしてはいけないということで言ったのか、あるいは同じ裁判官同士の個人的なアドバイスとして、そういう司法行政上の注意ではない個人的なアドバイスとして言ったのか、もし今わかればで結構でございますが、教えていただければと思います。 <0181>=最高裁判所長官代理者(金築誠志君)= ちょっと申しわけございませんが、今その点について明確にお答えする用意はできておりません。 <0182>=小川敏夫君= では、また別の問題についてお尋ねします。  いわゆる行政を争う行政事件ですとか、それから国を相手にする民事事件、こういったものを含めて東京地裁等では行政部というものを設けて、集中的に特定の行政部という部署で審理しておるようですが、この行政部を設けておる理由について説明していただきますようお願いいたします。 <0183>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= 東京地裁では行政事件の件数が非常に多うございます。それから、行政事件の審理におきましては、専門的、技術的な法律判断が必要になるという点で、通常の民事事件とは異なった面があるということがございます。  そういうことで、行政事件を専門的に扱います専門部、これを二カ部設置いたしまして、効率的な事件処理を図ってきているところでございます。 <0184>=小川敏夫君= まず、その扱う事件の中で、ただ単に当事者が国だというだけで、本来法律問題としては一般民事に属する部分もあるかと思います。それからもう一つ、行政事件が専門的だとはいっても、裁判官は法律家ですから特別行政事件の裁判ができないということもない、すべての裁判官ができることだと思います。  ですから、そうした事情を考えますと、あえて特定の行政部を設けて事件を集中させるよりも、やはりバランスよくすべての裁判官に公平に配てんした方が裁判の公平性というのは保たれるのではないかという意見もあるんですが、その点はいかがでしょうか。 <0185>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= 今御指摘の点でございますが、確かに行政事件は簡単なものももちろんあるかと思いますけれども、事件の類型として考えますと、いろいろと訴訟要件といいますか、難しい問題がございます。  御案内のとおり、原告適格の問題、訴えの利益の問題、それから行政処分の処分性の問題、さらに出訴期間等々、行政事件訴訟法で規定がいろいろ書いてございますけれども、訴訟法上の解釈問題がございます。  それから、行政法規、公法の法規というのは非常に参考文献も少ないというのと、また行政公法上の特有の法理論などもある、そういう問題が事件の類型として比較的多く含まれている、そういう事件でございまして、やはりこういう事件というのは一つの部に集めて審理をするというのがいいのではないかというふうに思っております。  これら、東京地裁専門部は二カ部ございますけれども、個々の事件、これは内容、事案、それぞれ異なりますけれども、この事案に応じて適正、妥当な判断をするよう心がけているというふうに認識しております。事件を集中的に扱うということから、通常部に配てんするよりは画一的な処理がされるということはないというふうに認識しております。個々の事案ごとにやはり適正な判断をされているというふうに認識しております。 <0186>=小川敏夫君= 東京地裁の裁判官ですとやはりきちんとした能力のある方ですから、どこの裁判部に行っても行政事件を取り扱えるとは思うんです。  一つの角度を変えた見方としまして、行政事件を特定の部に集中させますと、その部に行政側に非常に理解のある裁判官を配置することによって、行政側に有利な判断が得られるという構造ができ上がってしまうのではないかという見方もあります。特に今回、この国会で情報開示に関する法律ができましたが、ここでも管轄が東京高裁を含めた高裁所在地というふうに限定されております。  私どもとしまして、やはり裁判官がすべて、どの裁判官に当たるかということも含めて、公平にというのが願いでございますが、特定の部に行政事件が行くという扱いになりますと、どうも管理されやすいというような危惧を持つのでございます。そこら辺のところをもう一度、くどいようですが、お考えをお聞かせいただければと思います。 <0187>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= 行政部の裁判官もそれ以外の裁判官もすべて裁判官は、いかなる事件についても裁判官の良心に従って公平中立な立場から憲法と法律に従って独立してその職権を行使しているということでございます。  今、行政側に理解のある裁判官というお話がございましたが、行政部の裁判官がそうだということではございませんで、行政事件のそういう技術的、専門的なものについて、やはり集中して事件処理をするということの方が適正、迅速な処理にプラスになるということで専門部制を設けているということを御理解いただきたいと思います。 <0188>=小川敏夫君= 終わります。 <0189>=大森礼子君= 公明党の大森礼子です。  きょうは、まず最高裁の方にいわゆる競売手続についてお尋ねいたします。それから、後で法務省の方に、特に矯正局の方にキャピックのことについてお尋ねしたいと思います。  それでは、まず最初に最高裁の方にお尋ねするんですが、いわゆる土地建物の競売物件の落札状況というんでしょうか、これが近時好転してきたというふうに言われております。十年、十五年、一昔前ですと、何か競売物件といいますとトラブった物件ということでこれを敬遠するような傾向があったようにも記憶しているのですけれども、競売物件の落札状況が好転しているというのは事実なのかどうか、その実態についてまず説明していただきたいと思います。 <0190>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= 競売物件の売却率でございますが、バブル経済崩壊後の平成三年以降、著しく下落いたしました。その後低迷をしておったわけでございますけれども、近年は裁判所によっては改善の兆しが見られております。例えば東京地裁では、平成三年には三〇%台に売却率が下落いたしましたけれども、近年は五〇%から六〇%前後になっている、そういう状況でございます。 <0191>=大森礼子君= 買えるかどうかということは、それだけお金に余裕があるかどうかということにも関係がありまして、不況になると買いにくいということも言えるのかもしれません。  ただ一方で、先ほど触れましたけれども、昔は競売物件といいますと、意外と日本人というのは縁起を担ぐところもあるのでしょうが、トラブった物件はと敬遠されましたけれども、だんだんそういうタブー視されていたものが取り除かれてきたのかな、そういう入札しようという側の意識も違ってきたのかなという気もしているのですが、その点はいかがでしょうか。 <0192>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= 委員が御指摘の分析が当たっているような気もいたしますけれども、我々が認識しておりますのは、まず競売物件の評価が近年非常に適正になされてきておるということが一つ挙げられるかと思います。  それからもう一つは、非常に広い範囲で買い受け希望者を募り、競売物件の売却向上率を図るために、情報の媒体それから提供する情報の内容、こういうものを拡大しております。いわゆる充実した競売物件情報の提供に努めている。そういう情報があるために一般の人も安心して買えるようになった、そういう意味では委員御指摘のとおりかと思っております。 <0193>=大森礼子君= 一般の人も安心して買えるようになったということは、これは非常に望ましいことであるわけです。  裁判をしまして勝訴いたしましても、債権者、訴えた原告側がそれで満足がいくかというとそうじゃありませんで、やはり競売手続という強制執行ですか、それに至って回収できて初めてそこでその事件が決着するんだろうというふうに思っております。そういった意味で、買い受け希望者がふえて、そして落札がスムーズにいくということは、裁判システムの上からも望ましいことだろうと思います。  先ほど、情報が非常に提供されるようになって一般の方も安心して買えるようになったとおっしゃいましたけれども、競売物件の情報公開ですが、どのように実施されているか、格別な工夫というものが近時なされているかについて、簡単に教えていただきたいと思います。 <0194>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= 競売物件情報の提供につきましては、各裁判所の実情に応じてでございますけれども、日刊新聞紙それから不動産情報誌などを活用してきました。  近時は、情報提供の一層の充実を図るためにファクシミリによる二十四時間サービス、いつでも競売物件の情報をファクスで取り出せる、競売物件情報システムと申しておりますが、これを設置しております。さらに、インターネットのホームページを利用するという裁判所も増加してきております。 <0195>=大森礼子君= 今、インターネットのホームページを使用する裁判所もふえてきているとお答えになりましたが、その点についてきょうは質問させていただこうと思うんです。  それから、競売物件については公告等なされます。日刊新聞とかで確かに出ますけれども、非常に一般の人は見づらいといいますか、必要最小限の情報は提供されているのでしょうけれども、それを見て、じゃ、ちょっとこれは入札してみようかとか、動機になりにくい部分もあると思います。  先ほどお答えになりましたのは、インターネットによる競売物件の情報提供というものは非常に有効な手段だと考えているわけですね。最高裁の方では、このインターネットによる競売物件の情報提供について特別な取り組みをしておられるのかどうか、裁判所で採用しているところがあるとして、その実施状況というのはどのようになっているかということについてお尋ねいたします。 <0196>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= インターネットのホームページを利用して競売物件情報の提供を行っている裁判所でございますが、東京地裁、横浜地裁、浦和地裁、福岡地裁、札幌地裁、仙台地裁など、数で言いますと現在二十四庁を数えております。これらの裁判所で取り扱う不動産執行事件は全国の事件の三〇%を超えているという状況でございます。さらに、大阪地裁、名古屋地裁などの裁判所でもインターネットのホームページの利用を検討しているというふうに聞いております。  これらの裁判所ではいずれも業者などのホームページを利用しているということでございまして、裁判所がみずからホームページを開設しているわけではないということでございます。 <0197>=大森礼子君= 実は、これは河北新報のホームページになるのでしょうか、河北新報ニュースということで、これは五月二十二日付のニュースであります。「ファクスで競売情報 秋田地裁が提供システム導入」、「自宅に居ながらにして気軽に競売物件の情報を手にしてもらおうと、秋田地裁は二十一日、「競売物件等情報提供システム」を導入した。ファクスを利用して物件情報を知ってもらうシステムで、秋田地裁は「大いに利用を」と呼び掛けている。」、こういうものがございます。これはファクスでということなんですけれども。  このページの下に「最高裁によると、全国の地裁と支部二百五十三庁のうち、これまで九十六庁で同様のサービスを行っている。」とあるのですが、この九十六庁というのは、これは先ほどおっしゃったファクスによる情報提供ということでしょうか。これは通告していませんでしたけれども、わかればで結構です。 <0198>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= おっしゃるとおり、ファクスによる情報サービスでございます。 <0199>=大森礼子君= 先ほどインターネットについて御説明いただきました、まず二十四庁、大阪、名古屋は検討しているということで。業者のホームページに情報を提供しているというのは、非常にわかりにくいのですが、要するに裁判所の方が自分のホームページを持っているという形ではないということでしょうか。 <0200>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= そのとおりでございます。 <0201>=大森礼子君= 裁判所独自でやっているところはございませんでしたか。 <0202>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= 裁判所がホームページを開設して、そこに競売物件情報を載せて提供しているという例はございません。 <0203>=大森礼子君= ちょっと私、インターネットのことはよくわからないもので。そうなりますと後の質問が続きにくいのですが、実は手元に宮崎地方裁判所、それから岡山地方裁判所津山支部の不動産競売情報というのがありましてプリントアウトしたんですけれども、業者によってでも裁判所のでもいいのですが、要するに一般の国民の側がそういう情報をひとしく受けられる体制ということは必要ではないかと思うんです。  それについて、最高裁は、業者を通じてでも裁判所独自のホームページでも最高裁のホームページでも構わないのですが、インターネットによる情報提供について何か具体的なプランとかこれからのあり方とか、こういうお考え、ビジョンのようなものはございますでしょうか。 <0204>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= インターネット利用の情報提供でございますが、先ほど各庁の実情に応じてということを申し上げました。これは、競売物件の所在地が例えばリゾート地域で、リゾートマンションが競売物件であるというような例を考えてみますと、買い受け希望者は都市部に居住しているということで非常に範囲が広うございます。こういう物件につきましては、インターネットのホームページを利用するというのが非常に効果的であろうかと思われます。  ただ、そうではなくて、例えばでございますが、山間部の農村で過疎化が進んでいるようなところに競売物件があるということになりますと、インターネットのホームページで流しても、恐らくこの物件を買い受ける買い受け希望者というのは地域住民に限られていると思われますので、そうなりますと、むしろ地元の情報誌、地元の地方紙などの方がいいかというふうに考えております。  そういう実情に応じて、インターネットのサービスを続けるかどうかということは各庁の判断で行っているという状況でございます。 <0205>=大森礼子君= 各裁判所の判断で行っているという言い方はよろしいのですが、最高裁がそういう認識でよろしいのかなという気がするんです。この前に、司法制度改革審議会設置法というのを審議いたしまして、要するに裁判所も国民のニーズにこたえなきゃいけない、これが二十一世紀の大きな課題だという議論をしてきたわけなんです。それで、各裁判所にゆだねる、じゃ自由にやっていいですよ、どんどん進めなさいよとか、こういう指示はしておりますか。 <0206>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= 最高裁につきましては、インターネットのホームページの利用につきましては一つの有効な競売物件情報の提供のあり方であるという認識をしております。したがいまして、各裁判所に紹介しておりまして、各裁判所の実情に応じて採用を検討していただきたいということは伝えてございます。 <0207>=大森礼子君= そうした場合に、各裁判所でする場合もお金がどのくらいかかるのか、提供する情報量にもよるんでしょうけれども。もし裁判所が望めばそういう予算措置というのはきちっと最高裁の方で手当てしますよと、こういう裏づけがあった上で各裁判所とか支部に検討してもらっているんでしょうか。 <0208>=最高裁判所長官代理者(千葉勝美君)= 少し基本的な構造を御説明させていただきたいと思いますが、競売物件情報の提供というのは、民事執行規則四条三項の規定によります公示として、申し立て債権者が裁判所に予納した費用を用いて行うというものでございます。  インターネットのホームページの利用という最新の公示方法ということになりますが、それは先ほど申し上げました各裁判所の実情が異なりますので、全国画一的に利用するということは現段階では困難でございますけれども、その実情に応じて公示法を選択していると、むしろ利用できるものであれば十分利用していただきたいというふうに裁判所は各庁にお願いをしております。我々といたしましても、このホームページの利用の有効性は十分認識しておりますので、各裁判所に対する紹介に努めていきたいというふうに考えております。  ここで今私が申し上げました民事執行規則四条三項の規定による公示という制度とは無関係に、最高裁が予算をとって競売物件情報の提供についてみずからインターネットの最高裁のホームページを利用して推進するということにつきましては、現在のところは、先ほど申し上げましたとおり民間の業者などが存在をして既に多くの裁判所がこ