前略。時下ますますご清祥のことと存じます。さて、ご多忙とは存じますが、下 記のような公開質問状をお送りいたしますので、ご検討方よろしくお願いいたし ます。


盗聴法案、総背番号制法案を治安維持立法と位置づける自由党小沢党首の見解に 関する公開質問状

参議院法務委員会
自民党委員殿
自由党委員殿
公明党委員殿

1999年8月9日

発信者
ネットワーク反監視プロジェクト
盗聴法成立阻止ネットワーカー連絡会
連絡先 priv-ec@jca.apc.org 電子メール
    090-8261-7041 携帯
担当 小倉利丸

賛同団体
婦人民主クラブ
国民総背番号制に反対する市民連絡会
プライバシーアクション
番号管理・情報監視はいやだ!市民行動

私たちは、通信傍受法案(以下、盗聴法案と呼ぶ)や住民基本台帳改正案(以下、 国民総背番号制法案と呼ぶ)が、市民のコミュニケーションを監視するシステム、 あるいは治安維持のためのシステムとなるのではないかという疑いを持ってきま した。これに対して、政府側の公式見解は、私たちの危惧を払拭する努力もせず、 ひたすら私たちの主張を否定する見解に終始してきました。

 しかし、マスコミの報道によれば、与党自由党の党首、小沢一郎氏は、7月6 日の経団連の講演の席上で、盗聴法、国民総背番号制法などについて、国家的な 危機管理、国防、安全保障、治安のために使用すべきであると主張し、政府の立 法趣旨を批判しました。更に、8月4日の法務委員会でも、自由党の平野委員は、 この小沢発言について、組織犯罪に対処するのは、国会的な危機管理に他ならな いと発言しました。これらの発言は、法案について、与党内部に政府の公式見解 とは対立する見解、対立する法解釈、法の運用が存在することを示しています。 小沢党首の主張では、これら法案を治安維持や軍事目的にも利用し、住民を予防 的に監視したり、プライバシーや人権を制約してもかまわないのだ、ということ にほかならず、私たちの危惧を図らずも裏付ける結果になっています。自由党は 現在、閣僚として自治大臣・国家公安委員長を出していることから、実際に法案 が成立した際の運用において、この小沢発言に即して治安維持に利用される恐れ があり、見過ごすわけにはいきません。

 この小沢党首の発言に関して、私たちは政府・与党や連立を組むとされている 公明党の態度におおきな疑問をもっています。というのは、この小沢発言が政府 の公式見解と大きくずれるものでありながら、政府あるいは自民党からは何ら異 論や批判も出されず、公明党もまた、この発言を放置したままで連立政権への参 加を決めているからです。

 盗聴法は、技術的な前提条件や法案の条文に即しても、また政府側の答弁によ っても、憲法や電気通信事業法に違反して捜査機関に大きな裁量権をみとめてい ます。国民総背番号制法案も、諸外国でその導入が見送られてきたIDカードによ る身分証明書機能や個人情報の統合的なデータベース化への懸念が、政府側答弁 でも払拭されていません。こうした現状をふまえたとき、小沢党首が主張する治 安維持のための管理・監視への利用の可能性を否定できませんし、自民党、公明 党からも明確な批判がないことから、これら与党内部や法務省、警察庁にも治安 維持等に盗聴法、国民総背番号制法を運用しようとする意図があるのではないか との疑いを抱かざるをえません。

 そこで、法案審議も大詰めを迎えた現状において、この法案の基本的性格があ いまいなまま審議が進むことに私たちは大きな危惧を抱き、下記の点を質問させ ていただきます。、ぜひとも至急回答をいただきたいのでよろしくお願いいたし ます。

質問1 盗聴法、国民総背番号制法案を国防、安全保障、治安、国家的危機管理 に利用すべきだとの小沢党首の発言にたいする見解をお聞かせください。

質問2 もし小沢発言が与党党首の発言としては逸脱したものであるとした場合、 小沢発言の撤回を要求してください。もし、撤回を要求しないのであれば、その 理由をおきかせください。

回答は、下記宛にお送りください。
電子メール priv-ec@jca.apc.org
ファックス 076-422-7275
ネットワーク反監視プロジェクト