法務省のTBS News23 への申し入れ

注: 丸数字は括弧書きに置き換えた。改行位置は原文どおり。

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「筑紫哲也NEWS23」(平成11年7月12日報道)に対する訂正申し入れ

株式会社東京放送
報道局長 平本和生 殿

平成11年7月13日
法務省刑事局長 松尾邦弘

 平成11年7月12日の「筑紫哲也NEWS23」において、通信傍受法案の(1)傍受令状発布の条件、(2)最小化措置及び(3)報告義務に関する報道がありました。
 これらのうち、(1)については、米国では、傍受令状請求時点までに可能な限りの捜査を尽くしたこと等を裁判官に対して具体的に明らかにする必要があるが、日本では「おそれ」があるだけで令状の申請ができ、令状を申請しさえすれば令状が出る旨の報道でありました。しかし、本法案は、犯罪関連通信が行われると疑うに足る状況があることのほか、「他の方法によっては犯人を特定し、又は犯行の状況若しくは内容を明らかにすることが著しく困難である」ことを要件としており(法案第3条第1項)、本法案による通信傍受令状請求に当たっても、米国同様の厳しい要件が課せられており、その要件については、十分な疎明資料を裁判所に提出して立証することが必要です。貴社の報道は、本法案の基本的な部分に関する理解を欠き、明白な誤りを犯しているものと言わざるを得ません。
 また、(2)については、米国では、傍受した通信はすべて記録されるのに対し、本法案による通信傍受では、傍受した通信のすべてが記録される訳ではなく、「日本では録音が終わっても、聴いていいということになっている。」との報道がありました。しかし、本法案においても、傍受した通信はすべて記録しなければならないこととされており(法案第19条第1項)、貴社の報道は、法案の文書に明白に反するものと言わざるを得ません。
 また、(3)については、米国では通信傍受に関する報告義務が厳しく、それが捜査官には非常に厳しい制約になっている旨紹介する一方、本法案において国会への報告義務(法案第29条)が定められていることについては一切触れておらず、視聴者に、本法案では、まったく報告義務が課されていないとの誤解を生じさせる内容となっており、著しく不正確な報道と言わざるを得ません。
 以上のように、貴社の報道は明白な誤りを犯し、また、国民の間に通信傍受法案に対する誤解を生じさせるものであるので、速やかに訂正の報道をされるよう申し入れます。


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