抗議文

戦争法(新ガイドライン関連法)に続いて盗聴法案(組織的犯罪対策関連法案) を、十分な審議もせずに強行採決しようとする貴党に強い抗議を表明する。

憲法にかかわり、国の将来を左右する重要な法律を、国民の納得が得られるよう な審議もせずに、つぎつぎに強行成立させるやり方は、戦前の翼賛国会を想起さ せるものであり、民主主義の根幹を破壊するものとして、断じて認めることはで きない。

盗聴法は、自由なコミュニケーションによる市民社会の存立をあやうくするもの であり、市民・国民との自由な情報の交換を前提とするマスコミ・ジャーナリズ ムに従事する者として、とうてい承認することはできない。市民・国民からの情 報提供が監視されたり、取材源の秘匿が困難になるならば、マスコミ・ジャーナ リズムは国民の信頼と付託に応えることが出来なくなるであろう。戦前・戦中、 マスコミ・ジャーナリズムは、政府権力の強圧のもとに言論機関としての自由な 活動を抑え込まれ、本来の機能を果たすことができず、ファシズムと戦争を許し てしまい、国民にはかり知れない被害をもたらした。われわれジャーナリスト は、この痛恨な体験を決して忘れることはできない。

対象犯罪を限定するなど法案を一部修正をしたところで、この法案のもつ危険な 本質は何ら変わるものではない。盗聴法の廃案を強く要求する。

  五月三十一日

日本ジャーナリスト会議

 公明党 御中