日本書籍出版協会(渡邊隆男理事長)8月2日、盗聴法に関する見解を発表


 現在、参議院で審議されている「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案」(以下、「法案」という)は、憲法第21条で保障されている「表現の自由、通信の秘密」、さらには国民のプライバシー保護等の基本的権利にかかわる問題であります。
 本法案は、組織的犯罪捜査を目的に、通信を傍受するものとされていますが、運用如何では傍受する通信の範囲・方法等が拡大されるおそれがあります。また、捜査対象者への取材活動が犯罪の共犯とされる危惧さえはらんでいます。犯罪捜査を名目に「通信の秘密」が侵されることは、取材源が探知されるほか、著作者や出版者の自由な執筆、取材・出版活動に影響を及ぼす虞があり、民主主義の根幹である「言論・出版等表現の自由」を損なうことを懸念するものであります。
 旧憲法下時代における信書の秘密を省みるまでもなく、法律の規定上および運用上の厳格な歯止めが必要であります。適正な監視機構の設立、傍受情報の悪用・濫用等に関する適切な規定も盛り込まれることが望まれます。
 国民の基本的権利に関することであることから、慎重かつ十分な審議を尽くされるよう強く要請するものであります。


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最終更新: 1999/08/11