子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
S940810 学校災害 2004.5.16 2005.6. 更新
1994/8/10 福島県会津若松市の県立高校柔道部の夏合宿で、成田直行くん(高2・16)が熱中症で倒れ、翌日(8/11)死亡。
経 緯 8/8 直行くんは、同校で行われた柔道部の合宿に参加。
8/10 3日目の早朝、直行くんはランニング中に倒れ、病院に運ばれる。
8/11 熱射病の合併症・横紋筋融解症による急性腎不全で死亡。
背 景 1994年夏は異常猛暑が続いていた。
当日の気温は37.3度で、道場内はさらに気温が高く蒸し暑かったが、
塩分、水分の補給がなく、顧問教師はできるだけ水分の摂取を控えるよう指導していた。

5年前の柔道部の夏季合宿でも、参加した生徒が脱水症状で倒れて入院していた。
裁 判 両親が、福島県を相手に、総額7100万円の損害賠償を求めて提訴。
被告側の言い分 県側は、「横紋筋融解症の知識は十分に普及しておらず、教諭は直行くんの発症を予見できなかった」と主張。
判 決
(一審)
1997/1/13 福島地裁会津若松支部で、県に総額5500万円の支払いを命じる判決。

木下徹信裁判長は、「横紋筋融解症は高温下で水分、塩分を補給せずに激しい運動を行った場合に起きる」として因果関係を認定。「高温下での練習には脱水症状がおこる可能性が高く、顧問の教諭は水分、塩分の補給に一層留意する義務があったのに、実際には水分を補給しないように黙示的な指導がなされ、生徒は水分は補給しづらい雰囲気にあった」として、顧問教師が積極的に塩分、水分を補給させなかった指導方法の誤りを指摘、過失を認めた。

県側が控訴。
(二審) 仙台高裁で和解。

一審を上回る内容で和解成立。学校の事故報告書に保護者の意見欄も付け加えて提出できるようにすることなどが内容に盛り込まれた。
参考資料 「学校災害ハンドブック」/喜多明人/1993.9.12草土文化、「教育判例ガイド」/船木正文/有斐閣、1997/1/14産経新聞(月刊「子ども論」1997年4月号)、
学災連ホームページ:http://www.cpi-media.co.jp/gakusairen/ 



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